JP2004112981A - 電源装置及びその電源トランス - Google Patents
電源装置及びその電源トランス Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004112981A JP2004112981A JP2002276010A JP2002276010A JP2004112981A JP 2004112981 A JP2004112981 A JP 2004112981A JP 2002276010 A JP2002276010 A JP 2002276010A JP 2002276010 A JP2002276010 A JP 2002276010A JP 2004112981 A JP2004112981 A JP 2004112981A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic material
- power supply
- frequency
- supply device
- magnetic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Dc-Dc Converters (AREA)
- Inverter Devices (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Abstract
【課題】動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能であり、且つこの切り替えを簡単な構成の電子回路で可能にする安価な電源装置及びその電源トランスを提供する。
【解決手段】低周波領域において珪素鋼板11の理論磁束密度と周波数特性とを使用し、高周波領域においてフェライトコア12の論理磁束密度と周波数特性とを使用することで、1つの電源トランス1で異なる2つの動作周波数領域に対応する。また、低周波領域の磁性材である珪素鋼板11と高周波領域の磁性材であるフェライトコア11とを重ね合わせて一体とした構成を有する。これにより、単一の周波数切替回路を用いて低周波領域から高周波領域まで対応することが可能となる。
【選択図】 図6
【解決手段】低周波領域において珪素鋼板11の理論磁束密度と周波数特性とを使用し、高周波領域においてフェライトコア12の論理磁束密度と周波数特性とを使用することで、1つの電源トランス1で異なる2つの動作周波数領域に対応する。また、低周波領域の磁性材である珪素鋼板11と高周波領域の磁性材であるフェライトコア11とを重ね合わせて一体とした構成を有する。これにより、単一の周波数切替回路を用いて低周波領域から高周波領域まで対応することが可能となる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動作周波数を切り替えることが可能な電源装置及びその電源トランスに関し、特に、画像形成装置に用いられる電源装置及びその電源トランスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の出力電圧の動作周波数の切り替えは、例えば2値の切り替えの場合、同一鉄芯に巻かれた巻線により構成されたトランスに一般的なスイッチング電源回路部品を接続し、これを制御回路を用いて制御して所望する動作周波数の交流バイアスを発生することで行われていた(例えば特許文献1参照)。また、このように構成された電源装置の場合、一般的にはフェライトコア又は珪素鋼板等のコア材が使用されていた。
【0003】
これらのコア材(フェライトコア及び珪素鋼板)は、それぞれの材料からくる特有の駆動周波数領域を有している。例えばフェライトコアでは数kHz以上の動作周波数領域で切り替えを行うことができる。また、珪素鋼板では約1kHz以下の動作周波数に使用されてきた。
【0004】
また、このようなコア材の周辺技術として、例えば特許文献2には、リン(P),マグネシウム(Mg),シリコン(Si),ホウ素(B)を含むガラス状絶縁層で被覆された軟磁性粉末同士が、このガラス状絶縁層を介して接合した構成を有することで、高い透磁率と優れた周波数安定性とを得られる圧粉磁心が開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献3には、複数のリアクトルやトランスを複合化することで部品点数の低減及び軽量化を図るための技術が開示されている。
【0006】
更に、例えば特許文献4には、1個の電圧変成器に電圧変換動作と電流制限機能とを兼ね持たせることで、簡単で高い変換効率を得られる電圧変換装置が開示されている。
【0007】
このような技術的背景において、最近では珪素鋼板とフェライトコアとの両者にまたがる動作周波数の切り替えが要求されるようになってきている。一般的に、動作周波数の切り替えを広範囲にわたりカバーするためには、低周波数領域においてトランスのコアボリュームを大きく取る必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−123718号公報
【特許文献2】
特開平8−250317号公報
【特許文献3】
特開平7−263262号公報
【特許文献4】
特開平8−116667号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コアボリュームを大きくすることは、トランスが大型化するという問題を伴う。
【0010】
また、電源装置の発熱部分(損失)の殆どはスイッチング素子による発熱であり、この発熱は駆動周波数に比例して増加するものである。
【0011】
例えば、出力P(W)を扱うトランス出力式は、以下の式1となる。
P=Vin×Ip=4Bm・Ae・f・Np・Ip×108 …(式1)
【0012】
よって、必要となるコア断面積Aeは以下の式2で表される。
Ae=P/(4・Bm・f・Np・Ip・108) …(式2)
【0013】
この式2において、磁束密度Bmはコア材質により決定される定数である。また、トランスの1次巻数Npは共通使用になるため同じとする。すると、動作周波数fが小さくなれば、コア断面積Aeは大きくなり、逆に動作周波数fが大きくなればコア断面積Aeは小さくなる。
【0014】
これにより、同一コアを使用して駆動周波数を切り替えることは、トランスの設計において低周波数側で設計しなければならない欠点を有することを導き出せる。即ち、従来では高周波領域でのコア材の利用率が低下するため、経済的でないという問題を有していた。
【0015】
また、フェライトコアを使用した場合、周波数の切り替えは式2に従いフェライトコアの体積を大きくすれば対応可能であることが分かる。しかしながら、最近の要求としては、周波数の切り替え領域の範囲が非常に広くなる傾向にあり、低周波数では数100Hz(例:約800Hz)から高周波数では約2000Hzとなってきている。尚、参考までに、従来は1600Hzから2000Hz程度であった。
【0016】
このため、フェライトコアのみで対応するためには、従来ではコア断面積Aeを約2割アップすればよかったが、最近の周波数範囲では約2.5倍アップの必要となる。これは装置の大型化やコストアップ等の問題に繋がる。
【0017】
従って、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能であり、且つこの切り替えを簡単な構成の電子回路で可能にする安価な電源装置及びその電源トランスを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明による電源装置は、請求項1記載のように、透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有する電源トランスと、前記1次巻線に導入する周波数を切り替える周波数切替回路とを有する。このように、透磁率の異なる磁性材料を重ね合わせて使用することで、各々が特性に応じた異なる動作周波数で作用するため、動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能な電源装置を簡単な電子回路を用いて安価に実現することが可能となる。
【0019】
また、上記の電源装置は、好ましくは請求項2記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが磁気抵抗的に並列に接続されている構成を有する。これにより、個々の磁性材料の特性を最大限に活用できる構成が提供される。
【0020】
また、上記の電源回路において、例えば請求項3記載のように、前記第1の磁性材料が珪素鋼板であり、前記第2の磁性材料がフェライトであってもよい。これにより、低周波領域において有効な磁性材料と、高周波領域において有効なフェライトコアとが動作周波数に応じて使い分けられる電源装置が実現される。
【0021】
また、上記の電源回路は、例えば請求項4記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは所定の空隙を隔てて重ね合わされているように構成されてもよい。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料とが電気的に接続されることを防止できる。
【0022】
また、上記の電源回路は、例えば請求項5記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが密着されているように構成されてもよい。これにより、電源トランスの大きさが更に縮小され、結果的に電源装置の大きさが縮小される。
【0023】
また、上記の電源回路は、例えば請求項6記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが絶縁層を挟んで重ね合わされているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料とが電気的に接続されることを防止できる。
【0024】
また、上記の電源回路は、例えば請求項7記載のように、前記第1の磁性材料及び/又は前記第2の磁性材料が、ヨ字型の部材の開口部を向き合わせて組み立てられているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料との透磁率を有効に活かす構成が実現される。
【0025】
また、この電源回路は、好ましくは請求項8記載のように、前記ボビンと前記コアとが、前記1次巻線と前記2次巻線とが前記ヨ字型の部材が組み合わされた前記コアにおける中央の腕を巻回するように組み合わされている構成を有する。これにより、これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料との透磁率を有効に活かす構成が実現される。
【0026】
また、上記の電源回路は、例えば請求項9記載のように、前記第1の磁性材料の理論磁束密度が18000ガウス以上20000ガウス以下であり、前記第2の磁性材料の理論磁束密度が2000ガウス以上3000ガウス以下であるように構成される。これにより、一般的に使用される低周波領域と高周波領域とに手適合した電源装置が実現される。
【0027】
また、本発明による電源装置は、請求項10記載のように、透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有する電源トランスと、前記1次巻線に所定の周波数を導入するスイッチング素子と、前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、前記制御回路に異なる発振信号を入力する信号発生回路と、を有し、前記信号発生回路の発振信号の周波数を切り替えることで、前記1次巻線に導入する周波数を切り替えるように構成される。このように、透磁率の異なる磁性材料を重ね合わせて使用することで、各々が特性に応じた異なる動作周波数で作用するため、動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能な電源装置を簡単な電子回路を用いて安価に実現することが可能となる。
【0028】
また、上記の電源装置は、例えば請求項11記載のように、画像形成装置に用いられる高圧用の電源装置であり、前記画像形成装置のプロセス速度に応じて前記周波数が切り替えられるように構成されている。これにより、1つの電子回路と1つの磁性材料(トランス)とによって動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能であり、且つこの切り替えを簡単な構成の電子回路で可能にする安価な電源装置が実現される。
【0029】
また、上記の電源装置は、例えば請求項12記載のように、前記信号発生回路が、2つの発振器と、該2つの発振器における何れか1つから出力された前記発振信号を選択的に切り替える切替回路とを有して構成されている。これにより、2つの発振器から出力された何れかの発振信号に基づいた出力を得ることが可能となる。
【0030】
また、本発明による電源トランスは、請求項13記載のように、透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有する。このように、透磁率の異なる磁性材料を重ね合わせて使用することで、各々が特性に応じた異なる動作周波数で作用するため、動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能な電源トランスを安価に実現することが可能となる。
【0031】
また、上記の電源トランスは、好ましくは請求項14記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが磁気抵抗的に並列に接続されている構成を有する。これにより、個々の磁性材料の特性を最大限に活用できる構成が提供される。
【0032】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項15記載のように、前記第1の磁性材料が珪素鋼板であり、前記第2の磁性材料はフェライトであってもよい。これにより、低周波領域において有効な磁性材料と、高周波領域において有効なフェライトコアとが動作周波数に応じて使い分けられる電源トランスが実現される。
【0033】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項16記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが所定の空隙を隔てて重ね合わされているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料とが電気的に接続されることを防止できる。
【0034】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項17記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが密着されているように構成されても良い。これにより、電源トランスの大きさが更に縮小される。
【0035】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項18記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが絶縁層を挟んで重ね合わされているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料とが電気的に接続されることを防止できる。
【0036】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項19記載のように、前記第1の磁性材料及び/又は前記第2の磁性材料が、ヨ字型の部材の開口部を向き合わせて組み立てられているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料との透磁率を有効に活かす構成が実現される。
【0037】
また、この電源トランスは、好ましくは請求項20記載のように、前記ボビンと前記コアとが、前記1次巻線と前記2次巻線とが前記ヨ字型の部材が組み合わされた前記コアにおける中央の腕を巻回するように組み合わされている構成を有する。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料との透磁率を有効に活かす構成が実現される。
【0038】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項21記載のように、前記第1の磁性材料の理論磁束密度が18000ガウス以上20000ガウス以下であり、前記第2の磁性材料の理論磁束密度が2000ガウス以上3000ガウス以下であるように構成される。これにより、一般的に使用される低周波領域と高周波領域とに手適合した電源装置が実現される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0040】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態では、低周波領域において珪素鋼板の理論磁束密度(18000Gから20000G)と周波数特性(1kHz以下)とを使用し、高周波領域においてフェライトコアの論理磁束密度(2000Gから3000G)と周波数特性(500kHz以下)とを使用することで、1つのトランスで異なる2つの動作周波数領域に対応した電源装置及びその電源トランスを実現する。また、低周波領域の磁性材である珪素鋼板と高周波領域の磁性材であるフェライトコアとを一体とした構成を有する。
【0041】
珪素鋼板は、用途に応じていくつかの材質があるが、トランス用と回転機用とに大別される。いずれの場合も鉄損を低減するために積層構造を有している。一般的に積層構造における1枚当たりの鋼板は、0.15〜0.35mm程度とされる。
【0042】
尚、フェライトコアの理論的磁束密度は約2000Gから3000Gであるのに対し、珪素鋼板の理論磁束密度は約18000Gから20000Gである。しかし、周波数特性を比較するとフェライトコアは400kHz〜500kHzまで略フラットな特性が得られるのに対し、珪素鋼板は約1000Hz付近までしか周波数特性が得られない特徴を有している。これを以下で図面を用いて説明する。
【0043】
図1に、珪素鋼板の周波数に対する磁束密度Bmk[T]と磁界の強さH[AT/m]との関係(以下、B−H特性という)を示す。図1を参照すると明らかなように、珪素鋼板は、約1kHz未満(これを低周波領域とする)の周波数に対して、十分な密度の磁束を発生させるが、約1kHz以上(これを高周波領域とする)の周波数に対しては磁束を殆ど発生しないことが分かる。これは、約1kHz以上の高周波領域において、珪素鋼板が磁気回路的に高抵抗として作用するためである。
【0044】
一方、フェライトコアは、トランスの1次及び2次巻線の巻数を調整することで、低周波領域における2次側での電力の発生を抑制することができる。これは、珪素鋼板と比較して、低周波領域における磁束の発生効率が悪いためである。即ち、フェライトコアは、低周波数領域では発生する巻数に対して発生する鎖交磁束が比較的少ないため、十分な出力電圧を得ることができない。
【0045】
本実施形態では、これら2つの異なる特性を利用することで、低周波領域において磁気回路的に磁気抵抗が低い珪素鋼板を介してのみ、磁束によるエネルギーの伝達が行われるように構成する。
【0046】
また、図1では、約1kHz以上の高周波領域になると、珪素鋼板におけるB−H特性の曲線(以下B−H曲線という)がある一定の周波数帯から急激に低下すること示された。これは、高周波領域において珪素鋼板が磁気回路的に高抵抗となるためであり、高周波の磁束を通さないためである。このことは、珪素鋼板に対する周波数f[Hz]と比透磁率μskとの関係(これを比透磁率の周波数特性という:図2参照)からも明らかである。尚、図3に図2における1Hzから10kHzまでの拡大図を示す。
【0047】
また、図2には、フェライトコアに対する比透磁率μsfの周波数特性も示す。図2を参照すると明らかなように、フェライトコアは鉄心の比透磁率μsfの周波数特性が広範囲の周波数にわたり一定である。このため、フェライトコアは、広範囲の周波数領域で磁気抵抗が低く磁束を通す。しかしながら、上述のように、実際には低周波領域におけるエネルギー伝達としての鎖交磁束数が小さいため、エネルギー伝達が微小である。このため、エネルギー伝達が十分に行えるのは、鎖交磁束数が増加する高周波領域のみとなる。
【0048】
本実施形態では、低周波領域の場合と同様に、これら2つの異なる特性を利用することで、高周波領域において磁気回路的に磁気抵抗が低いフェライトコアを介してのみ、磁束によるエネルギーの伝達が行われるように構成する。
【0049】
また、以上のことから、動作周波数に対する理論出力特性は、図4に示すように、珪素鋼板の低周波エネルギー領域とフェライトコアの高周波エネルギー領域との2つの領域に分割できる。
【0050】
このように、本実施形態では、珪素鋼板の低周波領域のエネルギー伝達特性と、フェライトコアの高周波領域のエネルギー伝達特性とを適宜使い分けることで、単一のトランスと,単一の制御回路と,単一の駆動回路とを用いて、低周波領域でのエネルギーの伝達と、高周波領域でのエネルギーの伝達とを可能にする。これにより、トランスの数量低減と,制御及び駆動回路の1回路化によるコスト低減と,部品点数削減による小型化と,信頼性改善等が達成された電源装置及びその電源トランスを実現することが可能となる。
【0051】
以下、本実施形態による電源装置100及び電源トランス1の構成を図面と共に詳細に説明する。図5は本実施形態による電源トランス1の概略構成を示す斜視図である。
【0052】
図5に示すように、本実施形態による電源トランス1は、1組の珪素鋼板11a,11bと同じくヨ字型の1組のフェライトコア12a,12bとが重ねられ、これらがボビン13により固定された構成を有する。珪素鋼板11a,11b及びフェライトコア12a,12bにおける個々の部材は、ヨ字型をしており、組み立ての際は図面のように開口部が向き合うように位置される。また、ボビン13の複数の溝には1次巻線と2次巻線とがそれぞれ巻き付けられている。従って、珪素鋼板11a,11b及びフェライトコア12a,12b及びボビン13を組み立てることで、1次巻線及び2次巻線がヨ字型の部材における中央の腕(凸部)を巻回するように構成される。尚、1組の珪素鋼板11a,11b又は1組のフェライトコア12a,12bは接着剤等を用いて相互に固定されても良い。また、珪素鋼板11(11a,11bの接合体)とフェライトコア12(12a,12bの接合体)とは密着されていてもよいし、1mm程度の所定の間隔を隔てて分離されつつ重ね合わされても良いし、この他、例えば絶縁層を挟んで重ね合わされても良い。
【0053】
また、電源トランス1の上面図(a),側面図(b)及び底面図(c)を図6に示す。図6に示すように、電源トランス1は、珪素鋼板11とフェライトコア12とを重ね合わせた部分(これをコア部分という)にボビン13を組み合わせた構成を有する。また、ボビン13の所定の溝にはそれぞれ1次巻線Npと2次巻線Nsとが巻き付けられており、更に各1次巻線Np及び2次巻線Nsと外部とを電気的に接続するためのピン状の端子(ピン端子14)とが設けられている。尚、これに限定されず、例えば補助巻線等も巻き付けられる構成としてもよい。
【0054】
次に、図5及び図6に示す電源トランス1の等価回路を図7に示す。図7において、Npは1次巻線を示し、Nsは2次巻線を示す。また、これに補助巻線Nfが加えられた場合の等価回路図8に例示する。
【0055】
更に、図7に示す等価回路を回路特性に応じて表記した場合の回路図を図9に示す。尚、図9は1次巻線Npと2次巻線Nsとが同一の巻数である場合の等価回路を示している。
【0056】
図9において、Y01は珪素鋼板11のアドミタンスであり、珪素鋼板11の抵抗R01とインダクタンスL01とから以下の式3で求められるようなインピーダンス(これをZ01とする)の逆数である。但し、jは虚数を示し、ωは周波数(角速度)を示す。
Y01=1/Z01=1/R01+1/(jωL01) …(式3)
【0057】
同様に、Y02はフェライトコア12のアドミタンスであり、フェライトコア12の抵抗R02とインダクタンスL02とから以下の式4で求められるようなインピーダンス(これをZ02とする)の逆数である。
Y02=1/Z02=1/R02+1/(jωL02) …(式4)
【0058】
また、Zpは電源トランス1における1次側の内部インピーダンスであり、1次巻線Npの抵抗Rpと漏れリアクタンスLpとから以下の式5で求められる。Zp=Rp+jωLp …(式5)
【0059】
同様に、Zsは電源トランス1における2次側の内部インピーダンスであり、2次巻線Nsの抵抗Rsと漏れリアクタンスLsとから以下の式6で求められる。
Zs=Rs+jωLs …(式6)
【0060】
尚、上記の等価回路では、1次巻線Npの内部インピーダンスZpと、2次巻線Nsの内部インピーダンスNsとが別に構成されているため、図中のトランスTは理想とランスとして機能する。このような等価回路において、図9を参照すると明らかなように、これらのアドミタンスY01,Y02は磁気抵抗的に並列接続されている。
【0061】
ここで、1次巻線Np側に電圧E1を印加すると、珪素鋼板11における励磁電流I01は以下の式7で表される。同様にフェライトコア12における励磁電流I02は以下の式8で表される。
I01=E1・Y01 …(式7)
I02=E1・Y02 …(式8)
【0062】
この際、珪素鋼板11におけるうず電流損Waとヒステリシス損Whとの和、即ち鉄損Wkは以下の式9で導かれる。同様にフェライトコアにおける鉄損Wfは以下の式10で導かれる。
Wk=E1・I01=E1 2・Y01 …(式9)
Wf=E1・I02=E1 2・Y02 …(式10)
【0063】
従って、低周波領域では、上述した特性により珪素鋼板11のアドミタンスY01が大きいため、珪素鋼板11における励磁電流I01が多く流れる。このため、電源トランス1では珪素鋼板11によるエネルギーの伝達が支配的となる。これに対し、高周波領域では、珪素鋼板11における励磁電流I01と比較してフェライトコア12における励磁電流I02が非常に大きくなる。このため、高周波領域ではフェライトコア12によるエネルギーの伝達が支配的となる。
【0064】
また、図9に示す等価回路では、2次側に閉ループが作られ無いため、循環電流の発生を防止できる。尚、これと対比する構成を図10に示す。
【0065】
図10に示す等価回路において、図9と同一の構成には同一の符号が付されている。従って、Y01は珪素鋼板11のアドミタンスであり、珪素鋼板11の抵抗R01とインダクタンスL01とから上述した式3で求められるようなインピーダンスZ01の逆数である。
【0066】
同様に、Y02はフェライトコア12のアドミタンスであり、フェライトコア12の抵抗R02とインダクタンスL02とから上述した式4求められるようなインピーダンスZ02の逆数である。
【0067】
また、Zp1は電源トランス1における1次側の1次巻線Np1に関する内部インピーダンスであり、1次巻線Np1の抵抗Rp1と漏れリアクタンスLp1とから以下の式11で求められる。
Zp1=Rp1+jωLp1 …(式11)
【0068】
同様に、Zp2は電源トランス1における1次側の1次巻線Np2に関する内部インピーダンスであり、1次巻線Np2の抵抗Rp2と漏れリアクタンスLp2とから以下の式12で求められる。
Zp2=Rp2+jωLp2 …(式12)
【0069】
また、Zs1は電源トランス1における2次側の2次巻線Ns1に関する内部インピーダンスであり、2次巻線Ns1の抵抗Rs1と漏れリアクタンスLs1とから以下の式13で求められる。
Zs1=Rs1+jωLs1 …(式13)
【0070】
同様に、Zs2は電源トランス1における2次側の2次巻線Ns2に関する内部インピーダンスであり、2次巻線Ns2の抵抗Rs2と漏れリアクタンスLs2とから以下の式14で求められる。
Zs2=Rs2+jωLs2 …(式14)
【0071】
尚、図10の等価回路では、1次巻線Np1,Np2の内部インピーダンスZp1,Zp2と、2次巻線Ns1,Ns2の内部インピーダンスNs1,Ns2とが別に構成されているため、図中のトランスT1,T2は理想とランスとして機能する。
【0072】
この図10に示す回路構成のように、磁性材料として珪素鋼板11を用いた電源トランスT1とフェライトコア12を用いた電源トランスT2とを個別に設け、これらを並列に接続した場合、2次側に閉ループが形成されるため、循環電流(V2−V2’)/(Zs1+Zs2)が発生する。尚、V2は2次側の2次巻線Ns1に生じる誘起起電力であり、V2’は2次側の2次巻線Ns2に生じる誘起起電力である。これに対し、図9に示す本実施形態による回路構成では、2次側に閉ループが存在しないため、このような問題が回避されている。
【0073】
次に、上記の電源トランス1を用いた電源回路100の回路構成を図11を用いて説明する。図11(a)に示すように、電源回路100における電源トランス1の1次巻線Npの一方には、スイッチング素子Q1,Q2が接続されている。また、スイッチング素子Q1,Q2のゲートには、それぞれ制御回路101,102が接続されている。この制御回路101,102は信号発生回路103から入力された発振信号に基づいて、スイッチング素子Q1,Q2のオン/オフを制御する。また、信号発生回路103は、外部から入力されたデータに基づく周波数で発振し、この発振信号を制御回路101,102に入力する。これにより、1次巻線Npに所定周波数の交流信号が導入されるように構成される。尚、スイッチング素子Q1,Q2と制御回路101,102と信号発生回路103とは、電源トランス1の1次捲線Npへ導入する周波数を切り替えるための周波数切替回路を構成する。
【0074】
より詳細には、1次巻線Npの一方に接続されたスイッチング素子Q1及びQ2は、それぞれ制御回路101,102によりオン/オフが制御される。尚、スイッチング素子Q1,Q2は例えばバイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ等で構成される。また、制御回路101,102は信号発生回路103から入力された発振信号に基づいて、スイッチング素子Q1,Q2のオン/オフを制御する。信号発生回路103は、複数(例えば2つ)の発振器を有して構成されており、外部から入力されたデータに基づいて何れかの発振器より出力された発振信号を制御回路101,102へ入力する。
【0075】
このように、電源トランス1には、信号発生回路103から出力された発振信号に基づいてスイッチング素子Q1,Q2のオン/オフを制御することで、高周波信号と低周波信号との何れかが入力される。従って、2次巻線Nsは、1次巻線Npに導通した電流に従って誘導電流を発生し、これをAC出力として出力(Vout)する。
【0076】
尚、本実施形態では、低周波信号を約600Hzとし、高周波信号を約2000Hzとする。また、制御回路101,102は例えば600Hzの低周波信号が入力されると、600Hzでスイッチング素子Q1,Q2を制御し、2000Hzの高周波信号が入力されると、2000Hzでスイッチング素子Q1,Q2を制御する。図11(b)に各信号(信号1及び2,スイッチング素子Q1及びQ2のコレクタ・エミッタ間電圧Vce,出力電圧Vout)のタイミングチャートを示す。
【0077】
この際、珪素鋼板11の磁束密度Bmkは、以下の式15を満足する。但し、μsk>>1である。
Bmk=N・I×(I/μ0μsk)=Vin/4・N・Ae・f …(式15)
【0078】
一方、フェライトコア12の磁束密度Bmfは、以下の式16を満足する。
Bmf=N・I×(I/μ0μsf)=Vin/4・N・Ae・f …(式16)
【0079】
出力電圧Voutは磁束密度(Bmk,Bmf)と周波数fとに比例するため、上記式15,式16で表されるように、低周波信号の場合、珪素鋼板11では出力電圧Voutが得られるが、フェライトコア12では出力電圧Voutが得られないことが分かる。従って、低周波信号の場合、珪素鋼板11においてのみエネルギー伝達が成されている。
【0080】
また、高周波信号の場合、上記式15,式16で表されるように、珪素鋼板11の比透磁率μskが低下するため、動作周波数高くなっても出力電圧Voutは発生しない。これに対し、高周波領域では、フェライトコア12の比透磁率μskが珪素鋼板11の比透磁率μskよりも高くなり、更に鎖交磁束数も増加するため、フェライトコア12による出力電圧Voutが発生し、これにより2次側にエネルギーが伝達される。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、主に低周波領域で作用する珪素鋼板11と主に高周波領域で作用するフェライトコア12とが重ねられたコア部分を使用するため、低周波信号と高周波信号との両方で動作できる電源回路及びその電源トランスが提供される。
【0082】
尚、本実施形態において、電源トランス1におけるB−H曲線の動作は図12のように4象現にわたる。ここで、低周波動作の場合、珪素鋼板11は磁束密度が高いためフェライトコア12に対し比較的大きく動作する。これに対しフェライト12は約1/3〜1/2の領域で動作する。また、高周波領域の場合、図13のように、珪素鋼板11の周波数特性からB−H曲線の動作領域が低減し、フェライトコア12より小さくなる。これに対しフェライトコア12は周波数特性が一定であるため殆ど変わらすに動作する。従って、高周波領域になるとフェライトコア12が支配的に動作することになる。
【0083】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図14は、本実施形態による電源装置200の構成を示す回路図である。
【0084】
図14を参照すると、電源装置200は、電源トランス1と、該電源トランス1の1次巻線Np1とNp2とを接続し、1次巻線Np1の一方の端子をスイッチング素子Q3に接続した構成を有する。このような構成は、フライバック方式及びフォワード方式の場合に適用される。
【0085】
また、スイッチング素子Q3は、制御回路201によりオン/オフが制御される。制御回路201は信号発生回路203から入力された発振信号に基づいて、スイッチング素子Q3のオン/オフを切り替える。信号発生回路203は、複数(例えば2つ)の発振器を有して構成されており、外部から入力されたデータに基づいて何れかの発振器から出力された発振信号を制御回路201に入力する。尚、上記の構成において、スイッチング素子Q3と制御回路201と信号発生回路203とは電源トランス1の1次巻線Npへ導入する周波数を切り替えるための周波数切替回路を構成する。また、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0086】
以上のように構成した場合、フライバック方式やフォワード方式では、B−H曲線が第1象現と第4象現のみの動作となる(図12及び図13参照)。また、珪素鋼板11とフェライトコア12との周波数動作は上記と同様となる。
【0087】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明した電源トランス1を用いた電源装置300の具体的構成例を示す。
【0088】
尚、本実施形態は、複写機及びプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置において、帯電用バイアスチャージロール(BCR)等の帯電手段に交流バイアスを印加する場合に対応するためのものである。この交流バイアスは用紙の送り速度(例えば白黒モードやカラーモード等の画像形成装置のプロセスモード)に応じて交流バイアスの動作周波数を2倍程度切り替えることが行われている。即ち、本実施形態はこのような出力駆動周波数を数倍以上の広い範囲に渡って切り替えることを目的とし、1つの電子回路と1つの磁性材料(トランス)とによって動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能であり、且つこの切り替えを簡単な構成の電子回路で可能にする安価な電源装置を提供するものである。
【0089】
図15に本実施形態による電源装置300の構成及び信号発生回路400の構成を示す。図15を参照すると、電源装置300は、制御回路301とスイッチング回路302と電源トランス1とを有して構成されている。また、電源トランス1を介して2次側の出力端には、平滑回路303を構成するコンデンサC101と抵抗R101とが並列に接続されている。
【0090】
また、電源装置300の外部(入力端側)に接続された信号発生回路400は、2つの発振器401,402と、これらを切り替える切替回路403とを有して構成されている。尚、切替回路403は、外部から入力されたデータに基づいて制御される。
【0091】
制御回路301は、スイッチ素子としてのトランジスタQ01、Q02を含む。これらのトランジスタQ01、Q02は、バイポーラトランジスタ又はユニポーラトランジスタで実現される。また、スイッチング回路302は、スイッチング素子として機能するトランジスタQ03を含む。
【0092】
信号発生回路400から出力された発振信号は、電源装置300における制御回路301のトランジスタQ02の制御入力(尚、バイポーラトランジスタの場合はベース、ユニポーラトランジスタの場合はゲート)に印加される。発振信号によりトランジスタQ02のオン/オフが切り替えられると、これに連動してトランジスタQ01のオン/オフが切り替えられる。これにより、スイッチング回路302におけるトランジスタQ03の制御入力(尚、バイポーラトランジスタの場合はベース、ユニポーラトランジスタの場合はゲート)には、抵抗R01,R02及びR06を介して電源電圧VCCが印加されるため、トランジスタQ03のオン/オフが切り替わり、電源トランス1の1次巻線Npに、発振信号に基づいた周波数が導入される。尚、上記の構成において、スイッチング回路302と制御回路301と信号発生回路400とは、電源トランス1における1次巻線Npへ導入する周波数を切り替えるための周波数切替回路を構成する。
【0093】
上記説明におけるトランジスタには、例えばNPN又はPNPのバイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ等が適用される。また、図15において、帯電手段に対する電源装置としては、電源電圧VCCを例えば+24Vとした場合、電源トランス1を介した出力側に+1.2kV〜1.8kVの出力電圧(出力AC)が得られるように構成される。また、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0094】
〔他の実施形態〕
以上、説明した実施形態は本発明の好適な一実施形態にすぎず、本発明はその趣旨を逸脱しない限り種々変形して実施可能である。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、交流電力の動作周波数を広い範囲にわたり駆動することが可能となるだけでなく、低周波(例えば800Hz以下)及び高周波(例えば1000Hz以上)の両周波数帯域に対し、同一の回路構成を使用することが可能となる。また、制御及びスイッチング回路が1回路で済むので部品点数が半減、部品実装面積及び体積が小さく済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】珪素鋼板の周波数に対する磁束密度Bmk[T]と磁界の強さH[AT/m]との関係(以下、B−H特性という)を示すグラフである。
【図2】珪素鋼板に対する周波数f[Hz]と比透磁率μskとの関係(比透磁率の周波数特性)を示すグラフである。
【図3】図2における1Hzから10kHzまで範囲の拡大図である。
【図4】珪素鋼板とフェライトコアとに関する動作周波数に対する理論出力特性を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態による電源トランス1の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示す電源トランス1の上面図,側面図及び底面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態による電源トランス1の等価回路を示す図である。
【図8】図7に示す等価回路に補助巻線Nfを加えた際の構成を示す回路図である。
【図9】図7に示す等価回路を回路特性に応じて表記した場合の回路図である。
【図10】複数のトランスを並列に接続し、これらを複数の制御回路で切り替えるように構成された電源装置の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の第1の実施形態による電源トランス1を用いた電源回路100の回路構成を示す図である。
【図12】電源トランス1におけるコア(鉄心)のB−H曲線の動作を模式的に示す図である(低周波動作時)。
【図13】電源トランス1におけるコア(鉄心)のB−H曲線の動作を模式的に示す図である(高周波動作時)。
【図14】本発明の第2の実施形態による電源装置200の構成を示す回路図である。
【図15】本発明の第3の実施形態による電源装置300及び信号発生回路400の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 電源トランス 11、11a、11b 珪素鋼板
12、12a、11b フェライトコア 13 ボビン
14 ピン端子 100、200、300 電源装置
101、102、201、301 制御回路
103、203、400 信号発生回路
303 平滑回路
Q1、Q2、Q3、Q03 スイッチング素子
Q01、Q02 トランジスタ Np 1次巻線
Ns 2次巻線
【発明の属する技術分野】
本発明は、動作周波数を切り替えることが可能な電源装置及びその電源トランスに関し、特に、画像形成装置に用いられる電源装置及びその電源トランスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の出力電圧の動作周波数の切り替えは、例えば2値の切り替えの場合、同一鉄芯に巻かれた巻線により構成されたトランスに一般的なスイッチング電源回路部品を接続し、これを制御回路を用いて制御して所望する動作周波数の交流バイアスを発生することで行われていた(例えば特許文献1参照)。また、このように構成された電源装置の場合、一般的にはフェライトコア又は珪素鋼板等のコア材が使用されていた。
【0003】
これらのコア材(フェライトコア及び珪素鋼板)は、それぞれの材料からくる特有の駆動周波数領域を有している。例えばフェライトコアでは数kHz以上の動作周波数領域で切り替えを行うことができる。また、珪素鋼板では約1kHz以下の動作周波数に使用されてきた。
【0004】
また、このようなコア材の周辺技術として、例えば特許文献2には、リン(P),マグネシウム(Mg),シリコン(Si),ホウ素(B)を含むガラス状絶縁層で被覆された軟磁性粉末同士が、このガラス状絶縁層を介して接合した構成を有することで、高い透磁率と優れた周波数安定性とを得られる圧粉磁心が開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献3には、複数のリアクトルやトランスを複合化することで部品点数の低減及び軽量化を図るための技術が開示されている。
【0006】
更に、例えば特許文献4には、1個の電圧変成器に電圧変換動作と電流制限機能とを兼ね持たせることで、簡単で高い変換効率を得られる電圧変換装置が開示されている。
【0007】
このような技術的背景において、最近では珪素鋼板とフェライトコアとの両者にまたがる動作周波数の切り替えが要求されるようになってきている。一般的に、動作周波数の切り替えを広範囲にわたりカバーするためには、低周波数領域においてトランスのコアボリュームを大きく取る必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−123718号公報
【特許文献2】
特開平8−250317号公報
【特許文献3】
特開平7−263262号公報
【特許文献4】
特開平8−116667号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コアボリュームを大きくすることは、トランスが大型化するという問題を伴う。
【0010】
また、電源装置の発熱部分(損失)の殆どはスイッチング素子による発熱であり、この発熱は駆動周波数に比例して増加するものである。
【0011】
例えば、出力P(W)を扱うトランス出力式は、以下の式1となる。
P=Vin×Ip=4Bm・Ae・f・Np・Ip×108 …(式1)
【0012】
よって、必要となるコア断面積Aeは以下の式2で表される。
Ae=P/(4・Bm・f・Np・Ip・108) …(式2)
【0013】
この式2において、磁束密度Bmはコア材質により決定される定数である。また、トランスの1次巻数Npは共通使用になるため同じとする。すると、動作周波数fが小さくなれば、コア断面積Aeは大きくなり、逆に動作周波数fが大きくなればコア断面積Aeは小さくなる。
【0014】
これにより、同一コアを使用して駆動周波数を切り替えることは、トランスの設計において低周波数側で設計しなければならない欠点を有することを導き出せる。即ち、従来では高周波領域でのコア材の利用率が低下するため、経済的でないという問題を有していた。
【0015】
また、フェライトコアを使用した場合、周波数の切り替えは式2に従いフェライトコアの体積を大きくすれば対応可能であることが分かる。しかしながら、最近の要求としては、周波数の切り替え領域の範囲が非常に広くなる傾向にあり、低周波数では数100Hz(例:約800Hz)から高周波数では約2000Hzとなってきている。尚、参考までに、従来は1600Hzから2000Hz程度であった。
【0016】
このため、フェライトコアのみで対応するためには、従来ではコア断面積Aeを約2割アップすればよかったが、最近の周波数範囲では約2.5倍アップの必要となる。これは装置の大型化やコストアップ等の問題に繋がる。
【0017】
従って、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能であり、且つこの切り替えを簡単な構成の電子回路で可能にする安価な電源装置及びその電源トランスを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明による電源装置は、請求項1記載のように、透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有する電源トランスと、前記1次巻線に導入する周波数を切り替える周波数切替回路とを有する。このように、透磁率の異なる磁性材料を重ね合わせて使用することで、各々が特性に応じた異なる動作周波数で作用するため、動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能な電源装置を簡単な電子回路を用いて安価に実現することが可能となる。
【0019】
また、上記の電源装置は、好ましくは請求項2記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが磁気抵抗的に並列に接続されている構成を有する。これにより、個々の磁性材料の特性を最大限に活用できる構成が提供される。
【0020】
また、上記の電源回路において、例えば請求項3記載のように、前記第1の磁性材料が珪素鋼板であり、前記第2の磁性材料がフェライトであってもよい。これにより、低周波領域において有効な磁性材料と、高周波領域において有効なフェライトコアとが動作周波数に応じて使い分けられる電源装置が実現される。
【0021】
また、上記の電源回路は、例えば請求項4記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは所定の空隙を隔てて重ね合わされているように構成されてもよい。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料とが電気的に接続されることを防止できる。
【0022】
また、上記の電源回路は、例えば請求項5記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが密着されているように構成されてもよい。これにより、電源トランスの大きさが更に縮小され、結果的に電源装置の大きさが縮小される。
【0023】
また、上記の電源回路は、例えば請求項6記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが絶縁層を挟んで重ね合わされているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料とが電気的に接続されることを防止できる。
【0024】
また、上記の電源回路は、例えば請求項7記載のように、前記第1の磁性材料及び/又は前記第2の磁性材料が、ヨ字型の部材の開口部を向き合わせて組み立てられているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料との透磁率を有効に活かす構成が実現される。
【0025】
また、この電源回路は、好ましくは請求項8記載のように、前記ボビンと前記コアとが、前記1次巻線と前記2次巻線とが前記ヨ字型の部材が組み合わされた前記コアにおける中央の腕を巻回するように組み合わされている構成を有する。これにより、これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料との透磁率を有効に活かす構成が実現される。
【0026】
また、上記の電源回路は、例えば請求項9記載のように、前記第1の磁性材料の理論磁束密度が18000ガウス以上20000ガウス以下であり、前記第2の磁性材料の理論磁束密度が2000ガウス以上3000ガウス以下であるように構成される。これにより、一般的に使用される低周波領域と高周波領域とに手適合した電源装置が実現される。
【0027】
また、本発明による電源装置は、請求項10記載のように、透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有する電源トランスと、前記1次巻線に所定の周波数を導入するスイッチング素子と、前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、前記制御回路に異なる発振信号を入力する信号発生回路と、を有し、前記信号発生回路の発振信号の周波数を切り替えることで、前記1次巻線に導入する周波数を切り替えるように構成される。このように、透磁率の異なる磁性材料を重ね合わせて使用することで、各々が特性に応じた異なる動作周波数で作用するため、動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能な電源装置を簡単な電子回路を用いて安価に実現することが可能となる。
【0028】
また、上記の電源装置は、例えば請求項11記載のように、画像形成装置に用いられる高圧用の電源装置であり、前記画像形成装置のプロセス速度に応じて前記周波数が切り替えられるように構成されている。これにより、1つの電子回路と1つの磁性材料(トランス)とによって動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能であり、且つこの切り替えを簡単な構成の電子回路で可能にする安価な電源装置が実現される。
【0029】
また、上記の電源装置は、例えば請求項12記載のように、前記信号発生回路が、2つの発振器と、該2つの発振器における何れか1つから出力された前記発振信号を選択的に切り替える切替回路とを有して構成されている。これにより、2つの発振器から出力された何れかの発振信号に基づいた出力を得ることが可能となる。
【0030】
また、本発明による電源トランスは、請求項13記載のように、透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有する。このように、透磁率の異なる磁性材料を重ね合わせて使用することで、各々が特性に応じた異なる動作周波数で作用するため、動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能な電源トランスを安価に実現することが可能となる。
【0031】
また、上記の電源トランスは、好ましくは請求項14記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが磁気抵抗的に並列に接続されている構成を有する。これにより、個々の磁性材料の特性を最大限に活用できる構成が提供される。
【0032】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項15記載のように、前記第1の磁性材料が珪素鋼板であり、前記第2の磁性材料はフェライトであってもよい。これにより、低周波領域において有効な磁性材料と、高周波領域において有効なフェライトコアとが動作周波数に応じて使い分けられる電源トランスが実現される。
【0033】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項16記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが所定の空隙を隔てて重ね合わされているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料とが電気的に接続されることを防止できる。
【0034】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項17記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが密着されているように構成されても良い。これにより、電源トランスの大きさが更に縮小される。
【0035】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項18記載のように、前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とが絶縁層を挟んで重ね合わされているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料とが電気的に接続されることを防止できる。
【0036】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項19記載のように、前記第1の磁性材料及び/又は前記第2の磁性材料が、ヨ字型の部材の開口部を向き合わせて組み立てられているように構成されても良い。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料との透磁率を有効に活かす構成が実現される。
【0037】
また、この電源トランスは、好ましくは請求項20記載のように、前記ボビンと前記コアとが、前記1次巻線と前記2次巻線とが前記ヨ字型の部材が組み合わされた前記コアにおける中央の腕を巻回するように組み合わされている構成を有する。これにより、第1の磁性材料と第2の磁性材料との透磁率を有効に活かす構成が実現される。
【0038】
また、上記の電源トランスは、例えば請求項21記載のように、前記第1の磁性材料の理論磁束密度が18000ガウス以上20000ガウス以下であり、前記第2の磁性材料の理論磁束密度が2000ガウス以上3000ガウス以下であるように構成される。これにより、一般的に使用される低周波領域と高周波領域とに手適合した電源装置が実現される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0040】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態では、低周波領域において珪素鋼板の理論磁束密度(18000Gから20000G)と周波数特性(1kHz以下)とを使用し、高周波領域においてフェライトコアの論理磁束密度(2000Gから3000G)と周波数特性(500kHz以下)とを使用することで、1つのトランスで異なる2つの動作周波数領域に対応した電源装置及びその電源トランスを実現する。また、低周波領域の磁性材である珪素鋼板と高周波領域の磁性材であるフェライトコアとを一体とした構成を有する。
【0041】
珪素鋼板は、用途に応じていくつかの材質があるが、トランス用と回転機用とに大別される。いずれの場合も鉄損を低減するために積層構造を有している。一般的に積層構造における1枚当たりの鋼板は、0.15〜0.35mm程度とされる。
【0042】
尚、フェライトコアの理論的磁束密度は約2000Gから3000Gであるのに対し、珪素鋼板の理論磁束密度は約18000Gから20000Gである。しかし、周波数特性を比較するとフェライトコアは400kHz〜500kHzまで略フラットな特性が得られるのに対し、珪素鋼板は約1000Hz付近までしか周波数特性が得られない特徴を有している。これを以下で図面を用いて説明する。
【0043】
図1に、珪素鋼板の周波数に対する磁束密度Bmk[T]と磁界の強さH[AT/m]との関係(以下、B−H特性という)を示す。図1を参照すると明らかなように、珪素鋼板は、約1kHz未満(これを低周波領域とする)の周波数に対して、十分な密度の磁束を発生させるが、約1kHz以上(これを高周波領域とする)の周波数に対しては磁束を殆ど発生しないことが分かる。これは、約1kHz以上の高周波領域において、珪素鋼板が磁気回路的に高抵抗として作用するためである。
【0044】
一方、フェライトコアは、トランスの1次及び2次巻線の巻数を調整することで、低周波領域における2次側での電力の発生を抑制することができる。これは、珪素鋼板と比較して、低周波領域における磁束の発生効率が悪いためである。即ち、フェライトコアは、低周波数領域では発生する巻数に対して発生する鎖交磁束が比較的少ないため、十分な出力電圧を得ることができない。
【0045】
本実施形態では、これら2つの異なる特性を利用することで、低周波領域において磁気回路的に磁気抵抗が低い珪素鋼板を介してのみ、磁束によるエネルギーの伝達が行われるように構成する。
【0046】
また、図1では、約1kHz以上の高周波領域になると、珪素鋼板におけるB−H特性の曲線(以下B−H曲線という)がある一定の周波数帯から急激に低下すること示された。これは、高周波領域において珪素鋼板が磁気回路的に高抵抗となるためであり、高周波の磁束を通さないためである。このことは、珪素鋼板に対する周波数f[Hz]と比透磁率μskとの関係(これを比透磁率の周波数特性という:図2参照)からも明らかである。尚、図3に図2における1Hzから10kHzまでの拡大図を示す。
【0047】
また、図2には、フェライトコアに対する比透磁率μsfの周波数特性も示す。図2を参照すると明らかなように、フェライトコアは鉄心の比透磁率μsfの周波数特性が広範囲の周波数にわたり一定である。このため、フェライトコアは、広範囲の周波数領域で磁気抵抗が低く磁束を通す。しかしながら、上述のように、実際には低周波領域におけるエネルギー伝達としての鎖交磁束数が小さいため、エネルギー伝達が微小である。このため、エネルギー伝達が十分に行えるのは、鎖交磁束数が増加する高周波領域のみとなる。
【0048】
本実施形態では、低周波領域の場合と同様に、これら2つの異なる特性を利用することで、高周波領域において磁気回路的に磁気抵抗が低いフェライトコアを介してのみ、磁束によるエネルギーの伝達が行われるように構成する。
【0049】
また、以上のことから、動作周波数に対する理論出力特性は、図4に示すように、珪素鋼板の低周波エネルギー領域とフェライトコアの高周波エネルギー領域との2つの領域に分割できる。
【0050】
このように、本実施形態では、珪素鋼板の低周波領域のエネルギー伝達特性と、フェライトコアの高周波領域のエネルギー伝達特性とを適宜使い分けることで、単一のトランスと,単一の制御回路と,単一の駆動回路とを用いて、低周波領域でのエネルギーの伝達と、高周波領域でのエネルギーの伝達とを可能にする。これにより、トランスの数量低減と,制御及び駆動回路の1回路化によるコスト低減と,部品点数削減による小型化と,信頼性改善等が達成された電源装置及びその電源トランスを実現することが可能となる。
【0051】
以下、本実施形態による電源装置100及び電源トランス1の構成を図面と共に詳細に説明する。図5は本実施形態による電源トランス1の概略構成を示す斜視図である。
【0052】
図5に示すように、本実施形態による電源トランス1は、1組の珪素鋼板11a,11bと同じくヨ字型の1組のフェライトコア12a,12bとが重ねられ、これらがボビン13により固定された構成を有する。珪素鋼板11a,11b及びフェライトコア12a,12bにおける個々の部材は、ヨ字型をしており、組み立ての際は図面のように開口部が向き合うように位置される。また、ボビン13の複数の溝には1次巻線と2次巻線とがそれぞれ巻き付けられている。従って、珪素鋼板11a,11b及びフェライトコア12a,12b及びボビン13を組み立てることで、1次巻線及び2次巻線がヨ字型の部材における中央の腕(凸部)を巻回するように構成される。尚、1組の珪素鋼板11a,11b又は1組のフェライトコア12a,12bは接着剤等を用いて相互に固定されても良い。また、珪素鋼板11(11a,11bの接合体)とフェライトコア12(12a,12bの接合体)とは密着されていてもよいし、1mm程度の所定の間隔を隔てて分離されつつ重ね合わされても良いし、この他、例えば絶縁層を挟んで重ね合わされても良い。
【0053】
また、電源トランス1の上面図(a),側面図(b)及び底面図(c)を図6に示す。図6に示すように、電源トランス1は、珪素鋼板11とフェライトコア12とを重ね合わせた部分(これをコア部分という)にボビン13を組み合わせた構成を有する。また、ボビン13の所定の溝にはそれぞれ1次巻線Npと2次巻線Nsとが巻き付けられており、更に各1次巻線Np及び2次巻線Nsと外部とを電気的に接続するためのピン状の端子(ピン端子14)とが設けられている。尚、これに限定されず、例えば補助巻線等も巻き付けられる構成としてもよい。
【0054】
次に、図5及び図6に示す電源トランス1の等価回路を図7に示す。図7において、Npは1次巻線を示し、Nsは2次巻線を示す。また、これに補助巻線Nfが加えられた場合の等価回路図8に例示する。
【0055】
更に、図7に示す等価回路を回路特性に応じて表記した場合の回路図を図9に示す。尚、図9は1次巻線Npと2次巻線Nsとが同一の巻数である場合の等価回路を示している。
【0056】
図9において、Y01は珪素鋼板11のアドミタンスであり、珪素鋼板11の抵抗R01とインダクタンスL01とから以下の式3で求められるようなインピーダンス(これをZ01とする)の逆数である。但し、jは虚数を示し、ωは周波数(角速度)を示す。
Y01=1/Z01=1/R01+1/(jωL01) …(式3)
【0057】
同様に、Y02はフェライトコア12のアドミタンスであり、フェライトコア12の抵抗R02とインダクタンスL02とから以下の式4で求められるようなインピーダンス(これをZ02とする)の逆数である。
Y02=1/Z02=1/R02+1/(jωL02) …(式4)
【0058】
また、Zpは電源トランス1における1次側の内部インピーダンスであり、1次巻線Npの抵抗Rpと漏れリアクタンスLpとから以下の式5で求められる。Zp=Rp+jωLp …(式5)
【0059】
同様に、Zsは電源トランス1における2次側の内部インピーダンスであり、2次巻線Nsの抵抗Rsと漏れリアクタンスLsとから以下の式6で求められる。
Zs=Rs+jωLs …(式6)
【0060】
尚、上記の等価回路では、1次巻線Npの内部インピーダンスZpと、2次巻線Nsの内部インピーダンスNsとが別に構成されているため、図中のトランスTは理想とランスとして機能する。このような等価回路において、図9を参照すると明らかなように、これらのアドミタンスY01,Y02は磁気抵抗的に並列接続されている。
【0061】
ここで、1次巻線Np側に電圧E1を印加すると、珪素鋼板11における励磁電流I01は以下の式7で表される。同様にフェライトコア12における励磁電流I02は以下の式8で表される。
I01=E1・Y01 …(式7)
I02=E1・Y02 …(式8)
【0062】
この際、珪素鋼板11におけるうず電流損Waとヒステリシス損Whとの和、即ち鉄損Wkは以下の式9で導かれる。同様にフェライトコアにおける鉄損Wfは以下の式10で導かれる。
Wk=E1・I01=E1 2・Y01 …(式9)
Wf=E1・I02=E1 2・Y02 …(式10)
【0063】
従って、低周波領域では、上述した特性により珪素鋼板11のアドミタンスY01が大きいため、珪素鋼板11における励磁電流I01が多く流れる。このため、電源トランス1では珪素鋼板11によるエネルギーの伝達が支配的となる。これに対し、高周波領域では、珪素鋼板11における励磁電流I01と比較してフェライトコア12における励磁電流I02が非常に大きくなる。このため、高周波領域ではフェライトコア12によるエネルギーの伝達が支配的となる。
【0064】
また、図9に示す等価回路では、2次側に閉ループが作られ無いため、循環電流の発生を防止できる。尚、これと対比する構成を図10に示す。
【0065】
図10に示す等価回路において、図9と同一の構成には同一の符号が付されている。従って、Y01は珪素鋼板11のアドミタンスであり、珪素鋼板11の抵抗R01とインダクタンスL01とから上述した式3で求められるようなインピーダンスZ01の逆数である。
【0066】
同様に、Y02はフェライトコア12のアドミタンスであり、フェライトコア12の抵抗R02とインダクタンスL02とから上述した式4求められるようなインピーダンスZ02の逆数である。
【0067】
また、Zp1は電源トランス1における1次側の1次巻線Np1に関する内部インピーダンスであり、1次巻線Np1の抵抗Rp1と漏れリアクタンスLp1とから以下の式11で求められる。
Zp1=Rp1+jωLp1 …(式11)
【0068】
同様に、Zp2は電源トランス1における1次側の1次巻線Np2に関する内部インピーダンスであり、1次巻線Np2の抵抗Rp2と漏れリアクタンスLp2とから以下の式12で求められる。
Zp2=Rp2+jωLp2 …(式12)
【0069】
また、Zs1は電源トランス1における2次側の2次巻線Ns1に関する内部インピーダンスであり、2次巻線Ns1の抵抗Rs1と漏れリアクタンスLs1とから以下の式13で求められる。
Zs1=Rs1+jωLs1 …(式13)
【0070】
同様に、Zs2は電源トランス1における2次側の2次巻線Ns2に関する内部インピーダンスであり、2次巻線Ns2の抵抗Rs2と漏れリアクタンスLs2とから以下の式14で求められる。
Zs2=Rs2+jωLs2 …(式14)
【0071】
尚、図10の等価回路では、1次巻線Np1,Np2の内部インピーダンスZp1,Zp2と、2次巻線Ns1,Ns2の内部インピーダンスNs1,Ns2とが別に構成されているため、図中のトランスT1,T2は理想とランスとして機能する。
【0072】
この図10に示す回路構成のように、磁性材料として珪素鋼板11を用いた電源トランスT1とフェライトコア12を用いた電源トランスT2とを個別に設け、これらを並列に接続した場合、2次側に閉ループが形成されるため、循環電流(V2−V2’)/(Zs1+Zs2)が発生する。尚、V2は2次側の2次巻線Ns1に生じる誘起起電力であり、V2’は2次側の2次巻線Ns2に生じる誘起起電力である。これに対し、図9に示す本実施形態による回路構成では、2次側に閉ループが存在しないため、このような問題が回避されている。
【0073】
次に、上記の電源トランス1を用いた電源回路100の回路構成を図11を用いて説明する。図11(a)に示すように、電源回路100における電源トランス1の1次巻線Npの一方には、スイッチング素子Q1,Q2が接続されている。また、スイッチング素子Q1,Q2のゲートには、それぞれ制御回路101,102が接続されている。この制御回路101,102は信号発生回路103から入力された発振信号に基づいて、スイッチング素子Q1,Q2のオン/オフを制御する。また、信号発生回路103は、外部から入力されたデータに基づく周波数で発振し、この発振信号を制御回路101,102に入力する。これにより、1次巻線Npに所定周波数の交流信号が導入されるように構成される。尚、スイッチング素子Q1,Q2と制御回路101,102と信号発生回路103とは、電源トランス1の1次捲線Npへ導入する周波数を切り替えるための周波数切替回路を構成する。
【0074】
より詳細には、1次巻線Npの一方に接続されたスイッチング素子Q1及びQ2は、それぞれ制御回路101,102によりオン/オフが制御される。尚、スイッチング素子Q1,Q2は例えばバイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ等で構成される。また、制御回路101,102は信号発生回路103から入力された発振信号に基づいて、スイッチング素子Q1,Q2のオン/オフを制御する。信号発生回路103は、複数(例えば2つ)の発振器を有して構成されており、外部から入力されたデータに基づいて何れかの発振器より出力された発振信号を制御回路101,102へ入力する。
【0075】
このように、電源トランス1には、信号発生回路103から出力された発振信号に基づいてスイッチング素子Q1,Q2のオン/オフを制御することで、高周波信号と低周波信号との何れかが入力される。従って、2次巻線Nsは、1次巻線Npに導通した電流に従って誘導電流を発生し、これをAC出力として出力(Vout)する。
【0076】
尚、本実施形態では、低周波信号を約600Hzとし、高周波信号を約2000Hzとする。また、制御回路101,102は例えば600Hzの低周波信号が入力されると、600Hzでスイッチング素子Q1,Q2を制御し、2000Hzの高周波信号が入力されると、2000Hzでスイッチング素子Q1,Q2を制御する。図11(b)に各信号(信号1及び2,スイッチング素子Q1及びQ2のコレクタ・エミッタ間電圧Vce,出力電圧Vout)のタイミングチャートを示す。
【0077】
この際、珪素鋼板11の磁束密度Bmkは、以下の式15を満足する。但し、μsk>>1である。
Bmk=N・I×(I/μ0μsk)=Vin/4・N・Ae・f …(式15)
【0078】
一方、フェライトコア12の磁束密度Bmfは、以下の式16を満足する。
Bmf=N・I×(I/μ0μsf)=Vin/4・N・Ae・f …(式16)
【0079】
出力電圧Voutは磁束密度(Bmk,Bmf)と周波数fとに比例するため、上記式15,式16で表されるように、低周波信号の場合、珪素鋼板11では出力電圧Voutが得られるが、フェライトコア12では出力電圧Voutが得られないことが分かる。従って、低周波信号の場合、珪素鋼板11においてのみエネルギー伝達が成されている。
【0080】
また、高周波信号の場合、上記式15,式16で表されるように、珪素鋼板11の比透磁率μskが低下するため、動作周波数高くなっても出力電圧Voutは発生しない。これに対し、高周波領域では、フェライトコア12の比透磁率μskが珪素鋼板11の比透磁率μskよりも高くなり、更に鎖交磁束数も増加するため、フェライトコア12による出力電圧Voutが発生し、これにより2次側にエネルギーが伝達される。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、主に低周波領域で作用する珪素鋼板11と主に高周波領域で作用するフェライトコア12とが重ねられたコア部分を使用するため、低周波信号と高周波信号との両方で動作できる電源回路及びその電源トランスが提供される。
【0082】
尚、本実施形態において、電源トランス1におけるB−H曲線の動作は図12のように4象現にわたる。ここで、低周波動作の場合、珪素鋼板11は磁束密度が高いためフェライトコア12に対し比較的大きく動作する。これに対しフェライト12は約1/3〜1/2の領域で動作する。また、高周波領域の場合、図13のように、珪素鋼板11の周波数特性からB−H曲線の動作領域が低減し、フェライトコア12より小さくなる。これに対しフェライトコア12は周波数特性が一定であるため殆ど変わらすに動作する。従って、高周波領域になるとフェライトコア12が支配的に動作することになる。
【0083】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図14は、本実施形態による電源装置200の構成を示す回路図である。
【0084】
図14を参照すると、電源装置200は、電源トランス1と、該電源トランス1の1次巻線Np1とNp2とを接続し、1次巻線Np1の一方の端子をスイッチング素子Q3に接続した構成を有する。このような構成は、フライバック方式及びフォワード方式の場合に適用される。
【0085】
また、スイッチング素子Q3は、制御回路201によりオン/オフが制御される。制御回路201は信号発生回路203から入力された発振信号に基づいて、スイッチング素子Q3のオン/オフを切り替える。信号発生回路203は、複数(例えば2つ)の発振器を有して構成されており、外部から入力されたデータに基づいて何れかの発振器から出力された発振信号を制御回路201に入力する。尚、上記の構成において、スイッチング素子Q3と制御回路201と信号発生回路203とは電源トランス1の1次巻線Npへ導入する周波数を切り替えるための周波数切替回路を構成する。また、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0086】
以上のように構成した場合、フライバック方式やフォワード方式では、B−H曲線が第1象現と第4象現のみの動作となる(図12及び図13参照)。また、珪素鋼板11とフェライトコア12との周波数動作は上記と同様となる。
【0087】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明した電源トランス1を用いた電源装置300の具体的構成例を示す。
【0088】
尚、本実施形態は、複写機及びプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置において、帯電用バイアスチャージロール(BCR)等の帯電手段に交流バイアスを印加する場合に対応するためのものである。この交流バイアスは用紙の送り速度(例えば白黒モードやカラーモード等の画像形成装置のプロセスモード)に応じて交流バイアスの動作周波数を2倍程度切り替えることが行われている。即ち、本実施形態はこのような出力駆動周波数を数倍以上の広い範囲に渡って切り替えることを目的とし、1つの電子回路と1つの磁性材料(トランス)とによって動作周波数を広い範囲にわたって切り替えることが可能であり、且つこの切り替えを簡単な構成の電子回路で可能にする安価な電源装置を提供するものである。
【0089】
図15に本実施形態による電源装置300の構成及び信号発生回路400の構成を示す。図15を参照すると、電源装置300は、制御回路301とスイッチング回路302と電源トランス1とを有して構成されている。また、電源トランス1を介して2次側の出力端には、平滑回路303を構成するコンデンサC101と抵抗R101とが並列に接続されている。
【0090】
また、電源装置300の外部(入力端側)に接続された信号発生回路400は、2つの発振器401,402と、これらを切り替える切替回路403とを有して構成されている。尚、切替回路403は、外部から入力されたデータに基づいて制御される。
【0091】
制御回路301は、スイッチ素子としてのトランジスタQ01、Q02を含む。これらのトランジスタQ01、Q02は、バイポーラトランジスタ又はユニポーラトランジスタで実現される。また、スイッチング回路302は、スイッチング素子として機能するトランジスタQ03を含む。
【0092】
信号発生回路400から出力された発振信号は、電源装置300における制御回路301のトランジスタQ02の制御入力(尚、バイポーラトランジスタの場合はベース、ユニポーラトランジスタの場合はゲート)に印加される。発振信号によりトランジスタQ02のオン/オフが切り替えられると、これに連動してトランジスタQ01のオン/オフが切り替えられる。これにより、スイッチング回路302におけるトランジスタQ03の制御入力(尚、バイポーラトランジスタの場合はベース、ユニポーラトランジスタの場合はゲート)には、抵抗R01,R02及びR06を介して電源電圧VCCが印加されるため、トランジスタQ03のオン/オフが切り替わり、電源トランス1の1次巻線Npに、発振信号に基づいた周波数が導入される。尚、上記の構成において、スイッチング回路302と制御回路301と信号発生回路400とは、電源トランス1における1次巻線Npへ導入する周波数を切り替えるための周波数切替回路を構成する。
【0093】
上記説明におけるトランジスタには、例えばNPN又はPNPのバイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ等が適用される。また、図15において、帯電手段に対する電源装置としては、電源電圧VCCを例えば+24Vとした場合、電源トランス1を介した出力側に+1.2kV〜1.8kVの出力電圧(出力AC)が得られるように構成される。また、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0094】
〔他の実施形態〕
以上、説明した実施形態は本発明の好適な一実施形態にすぎず、本発明はその趣旨を逸脱しない限り種々変形して実施可能である。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、交流電力の動作周波数を広い範囲にわたり駆動することが可能となるだけでなく、低周波(例えば800Hz以下)及び高周波(例えば1000Hz以上)の両周波数帯域に対し、同一の回路構成を使用することが可能となる。また、制御及びスイッチング回路が1回路で済むので部品点数が半減、部品実装面積及び体積が小さく済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】珪素鋼板の周波数に対する磁束密度Bmk[T]と磁界の強さH[AT/m]との関係(以下、B−H特性という)を示すグラフである。
【図2】珪素鋼板に対する周波数f[Hz]と比透磁率μskとの関係(比透磁率の周波数特性)を示すグラフである。
【図3】図2における1Hzから10kHzまで範囲の拡大図である。
【図4】珪素鋼板とフェライトコアとに関する動作周波数に対する理論出力特性を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態による電源トランス1の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示す電源トランス1の上面図,側面図及び底面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態による電源トランス1の等価回路を示す図である。
【図8】図7に示す等価回路に補助巻線Nfを加えた際の構成を示す回路図である。
【図9】図7に示す等価回路を回路特性に応じて表記した場合の回路図である。
【図10】複数のトランスを並列に接続し、これらを複数の制御回路で切り替えるように構成された電源装置の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の第1の実施形態による電源トランス1を用いた電源回路100の回路構成を示す図である。
【図12】電源トランス1におけるコア(鉄心)のB−H曲線の動作を模式的に示す図である(低周波動作時)。
【図13】電源トランス1におけるコア(鉄心)のB−H曲線の動作を模式的に示す図である(高周波動作時)。
【図14】本発明の第2の実施形態による電源装置200の構成を示す回路図である。
【図15】本発明の第3の実施形態による電源装置300及び信号発生回路400の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 電源トランス 11、11a、11b 珪素鋼板
12、12a、11b フェライトコア 13 ボビン
14 ピン端子 100、200、300 電源装置
101、102、201、301 制御回路
103、203、400 信号発生回路
303 平滑回路
Q1、Q2、Q3、Q03 スイッチング素子
Q01、Q02 トランジスタ Np 1次巻線
Ns 2次巻線
Claims (21)
- 透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有する電源トランスと、
前記1次巻線に導入する周波数を切り替える周波数切替回路とを有することを特徴とする電源装置。 - 前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは磁気抵抗的に並列に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
- 前記第1の磁性材料は珪素鋼板であり、前記第2の磁性材料はフェライトであることを特徴とする請求項1又は2記載の電源装置。
- 前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは所定の空隙を隔てて重ね合わされることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
- 前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは密着されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
- 前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは絶縁層を挟んで重ね合わされていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
- 前記第1の磁性材料及び/又は前記第2の磁性材料は、ヨ字型の部材の開口部を向き合わせて組み立てられていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の電源装置。
- 前記ボビンと前記コアとは、前記1次巻線と前記2次巻線とが前記ヨ字型の部材が組み合わされた前記コアにおける中央の腕を巻回するように組み合わされていることを特徴とする請求項7記載の電源装置。
- 前記第1の磁性材料の理論磁束密度は18000ガウス以上20000ガウス以下であり、前記第2の磁性材料の理論磁束密度は2000ガウス以上3000ガウス以下であることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
- 透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有する電源トランスと、
前記1次巻線に所定の周波数を導入するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路と、
前記制御回路に異なる発振信号を入力する信号発生回路と、
を有し、前記信号発生回路の発振信号の周波数を切り替えることで、前記1次巻線に導入する周波数を切り替えることを特徴とする電源装置。 - 前記電源装置が画像形成装置に用いられる高圧用の電源装置であり、
前記画像形成装置のプロセス速度に応じて前記周波数が切り替えられることを特徴とする請求項10記載の電源装置。 - 前記信号発生回路は、2つの発振器と、該2つの発振器における何れか1つから出力された前記発振信号を選択的に切り替える切替回路とを有して構成されていることを特徴とする請求項10又は11記載の電源装置。
- 透磁率の異なる第1の磁性材料と第2の磁性材料とが重ね合わされて形成されたコアと、
1次巻線と2次巻線とが巻回されたボビンとを有することを特徴とする電源トランス。 - 前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは磁気抵抗的に並列に接続されていることを特徴とする請求項13記載の電源トランス。
- 前記第1の磁性材料は珪素鋼板であり、前記第2の磁性材料はフェライトであることを特徴とする請求項13又は14記載の電源トランス。
- 前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは所定の空隙を隔てて重ね合わされることを特徴とする請求項13から15の何れか1項に記載の電源トランス。
- 前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは密着されていることを特徴とする請求項13から15の何れか1項に記載の電源トランス。
- 前記第1の磁性材料と前記第2の磁性材料とは絶縁層を挟んで重ね合わされていることを特徴とする請求項13から15の何れか1項に記載の電源トランス。
- 前記第1の磁性材料及び/又は前記第2の磁性材料は、ヨ字型の部材の開口部を向き合わせて組み立てられていることを特徴とする請求項13から18の何れか1項に記載の電源トランス。
- 前記ボビンと前記コアとは、前記1次巻線と前記2次巻線とが前記ヨ字型の部材が組み合わされた前記コアにおける中央の腕を巻回するように組み合わされていることを特徴とする請求項19記載の電源トランス。
- 前記第1の磁性材料の理論磁束密度は18000ガウス以上20000ガウス以下であり、前記第2の磁性材料の理論磁束密度は2000ガウス以上3000ガウス以下であることを特徴とする請求項13記載の電源トランス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002276010A JP2004112981A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 電源装置及びその電源トランス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002276010A JP2004112981A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 電源装置及びその電源トランス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004112981A true JP2004112981A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32272027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002276010A Pending JP2004112981A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 電源装置及びその電源トランス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004112981A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2207180A2 (en) | 2004-04-07 | 2010-07-14 | Panasonic Corporation | Information recording medium wherein stream convertible at high-speed is recorded, and recording apparatus and recording method therefor |
JP2020036483A (ja) * | 2018-08-30 | 2020-03-05 | 新電元工業株式会社 | コンバータ回路を複数搭載した電源回路及びその制御回路 |
-
2002
- 2002-09-20 JP JP2002276010A patent/JP2004112981A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2207180A2 (en) | 2004-04-07 | 2010-07-14 | Panasonic Corporation | Information recording medium wherein stream convertible at high-speed is recorded, and recording apparatus and recording method therefor |
JP2020036483A (ja) * | 2018-08-30 | 2020-03-05 | 新電元工業株式会社 | コンバータ回路を複数搭載した電源回路及びその制御回路 |
JP7158212B2 (ja) | 2018-08-30 | 2022-10-21 | 新電元工業株式会社 | コンバータ回路を複数搭載した電源回路及びその制御回路 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5923544A (en) | Noncontact power transmitting apparatus | |
US6281779B1 (en) | Coil device and switching power supply apparatus using the same | |
KR102020648B1 (ko) | 변압기 및 이를 가지는 llc 공진형 컨버터 | |
JP2009164293A (ja) | 非接触電力伝送装置 | |
JP7319352B2 (ja) | 無線電力伝送のための装置および方法 | |
AU600179B2 (en) | Magnetron drive apparatus | |
JP2004112981A (ja) | 電源装置及びその電源トランス | |
EP1483941A2 (en) | Magnetron drive boosting transformer | |
JP2000353627A (ja) | 絶縁コンバータトランス及びスイッチング電源回路 | |
WO2002035691A1 (fr) | Noyau magnetique, composant de bobine le contenant, et circuit de source d"energie | |
JP5176767B2 (ja) | スイッチング電源 | |
WO2022269966A1 (ja) | インバータ回路及び電界結合式非接触給電装置 | |
JP2696956B2 (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP3557380B2 (ja) | 電力変換回路 | |
JP4218090B2 (ja) | スイッチング電源回路 | |
JP2000357617A (ja) | マグネトロン駆動用電源のトランス | |
JPH11186076A (ja) | トランス | |
JP4241976B2 (ja) | 電源トランス | |
JP4212285B2 (ja) | マグネトロン駆動用昇圧トランス | |
JPH10248172A (ja) | 電池駆動モータシステム | |
JP3279073B2 (ja) | スイッチング電源回路 | |
JP2002078338A (ja) | スイッチング電源回路 | |
TW202324920A (zh) | 雜訊濾波器及電路 | |
JPH0243110Y2 (ja) | ||
JPS626870Y2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050816 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080812 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090106 |