JP2004112961A - 樹脂モールドモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】巻線と固定子鉄心間の熱伝導性を向上させ、モータ出力の向上および損失の少ない高効率モータを提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂モールドモータの固定子1は、固定子鉄心2のスロット部3の内壁に絶縁物4を設け、その一部に細長いスリット状の開口部4aを巻線5aと直交方向あるいは傾斜方向に複数設けている。マグネットワイヤ5による巻線5aを施したあと、固定子鉄心2の内周から外周の範囲の隙間に高熱伝導性樹脂6をモールドする。これにより開口部4aにも高熱伝導性樹脂6が充填される。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂モールドモータの固定子1は、固定子鉄心2のスロット部3の内壁に絶縁物4を設け、その一部に細長いスリット状の開口部4aを巻線5aと直交方向あるいは傾斜方向に複数設けている。マグネットワイヤ5による巻線5aを施したあと、固定子鉄心2の内周から外周の範囲の隙間に高熱伝導性樹脂6をモールドする。これにより開口部4aにも高熱伝導性樹脂6が充填される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業分野また家庭電気製品などに使用される樹脂モールドを施した固定子を有する樹脂モールドモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータの大出力化や高効率駆動あるいは防水防塵性を高めるために、固定子鉄心スロットの巻線部を樹脂材料でモールドすることが一般的に実施されている。
【0003】
この樹脂モールドモータの固定子は、マグネットワイヤと固定子鉄心が巻線時およびモールド時の圧力などで接触することを防ぐために、固定子鉄心のスロット部にマイカや樹脂材料からなる絶縁物を設けており、巻線を施した後に、マグネットワイヤと固定子鉄心を樹脂モールドしていた。
【0004】
また、筒状の樹脂ケースをモータに嵌装し、その固定子と樹脂ケースとの間に熱放散性の樹脂材を充填することで、巻線から発生する熱を放散するものが知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−147748号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、モータ駆動電流により巻線で発生した熱は、モールド樹脂材料、絶縁物、固定子鉄心を経て固定子からモータ全体に伝導することになるが、一般に絶縁性能の高い材料は熱伝導率が低く、高熱伝導性の樹脂材料で巻線部をモールドしても、固定子鉄心と巻線間に絶縁性能の高い絶縁物を設けているため、巻線から固定子鉄心への熱放散が十分確保できず、マグネットワイヤの温度上限から制約されるモータ出力の向上が図れず、課題があった。
【0007】
また、巻線の温度上昇による抵抗値の上昇によって損失が増加して駆動効率の低下を招き、課題があった。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、巻線と固定子鉄心間の熱伝導性を向上させ、モータ出力の向上および損失の少ない高効率モータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、巻線から固定子鉄心への熱伝導を妨げる絶縁物の一部に開口部を設け、この開口部に前記絶縁物より熱伝導性の高い樹脂材料を充填するもので、巻線の温度上昇を低減させ、モータ出力の向上および損失の少ない高効率モータを得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために請求項1に記載の樹脂モールドモータは、固定子鉄心スロット部に絶縁物を設け、マグネットワイヤによる巻線を施した固定子を樹脂材料にてモールドするモータにおいて、前記絶縁物の一部に開口部を設け、この開口部に前記絶縁物より熱伝導性の高い樹脂材料を充填したもので、巻線で発生した熱は、熱伝導性の高い樹脂材料から固定子鉄心に効率よく放散されるため、巻線の温度上昇を低減させることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の樹脂モールドモータは、巻線方向に対して直交あるいは傾斜方向に細長いスリット状の開口部を絶縁物に複数設けたもので、スリット状の開口部にモールド樹脂が充填されやすくなり、巻線が発生する熱を放散できるとともに、巻線と固定子鉄心間の絶縁を確保できる。
【0012】
さらに、請求項3および請求項4に記載の樹脂モールドモータは、開口部を充填する樹脂材料と固定子をモールドする樹脂材料とを別の材料としたもので、予め開口部に高熱伝導性の樹脂材料を充填できる。このため巻線占積率が高い集中巻線においても実施でき、巻線と固定子鉄心間の絶縁が確実になるとともに巻線が発生する熱を放散できる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
(実施例1)
実施例1は、固定子に分布巻き巻線を施した樹脂モールドモータである。
【0015】
図1において、樹脂モールドモータの固定子1は、固定子鉄心2の1つのスロット部内壁に1つの絶縁物4を設け、マグネットワイヤ5を分布巻きした巻線5aを施したあと、固定子鉄心2と絶縁物4および巻線5aの隙間を高熱伝導性樹脂6でモールドしている。ロータ7は、固定子1の両端に配置したエンドブラケット8に設けた軸受9で回転自在に支持される。
【0016】
絶縁物4は図2に示すように、細長いスリット状の開口部4aを傾斜方向に設けたので、モールド樹脂が開口部4aに流れやすく充填を促進する。また、開口部4aは巻線方向に対して傾斜させており、巻線工程からモールド工程までの間、固定子鉄心と巻線間の絶縁を確保できる。さらに、スロット内周部に沿い易いように折目4bを設けている。
【0017】
この絶縁物4の材料には、高い絶縁性能を有したメタ系アラミド紙あるいはポリイミドフィルムを用いる。一方、高熱伝導性樹脂6は、不飽和ポリエステル樹脂にアルミナなどを配合して絶縁物4よりも熱伝導率を向上させており、モールドにより固定子鉄心2のスロット部3と巻線5aの隙間、および開口部4aに充填させる。
【0018】
これにより、モータ駆動のために巻線5aに電流を流すことにより発生する熱の多くは、開口部4aに充填された高熱伝導性樹脂6を通じて直接固定子鉄心2に伝わり、固定子鉄心2の外周表面とモールド樹脂の表面から空気中に放散される。
【0019】
一方、固定子鉄心2自身も磁束の変化により生じるヒステリシス損や渦電流損すなわち鉄損に伴う熱が発生するが、巻線5aから発生する熱と共に、固定子鉄心2の外周表面からモータの外部に放散される。
【0020】
ここで、熱伝導率を中心にして説明する。発熱源となる巻線材料の銅は403W/m・K、その熱を放散させる固定子鉄心材料の鉄は83.5W/m・Kである。また、その周囲に配置する高熱伝導性樹脂は2.0W/m・K、絶縁物の樹脂材料は0.1〜0.18W/m・Kである。ちなみに、空気は0.024W/m・Kである。
【0021】
このように、絶縁物4に用いるメタ系アラミド紙の熱伝導率(0.1〜0.18W/m・K)は、モールド材として用いる高熱伝導性樹脂の熱伝導率(2.0W/m・K)の約10〜20倍の格差がある。このため、絶縁物4の開口部比率が20%程度であっても、巻線5aから固定子鉄心2までの熱伝導性は2倍以上良化する。
【0022】
(実施例2)
実施例2は、集中巻線方式の固定子である。
【0023】
図3において、31は固定子鉄心、32は絶縁物、33は巻線、34はモールド樹脂と別の高熱伝導性樹脂である。
【0024】
絶縁物32は、固定子鉄心31のスロット内壁に装着され、固定子鉄心31の両端面に設ける絶縁端板(図示せず)により保持される。そして、固定子鉄心31のティースごとに集中巻により高密度の巻線33が施されたあと、樹脂モールドする。
【0025】
ところで、絶縁物32の開口部32aには、高熱伝導性樹脂34を予め塗布などにより充填し、硬化させる。このため、開口部の形状は、高熱伝導性樹脂34が充填しやすく保持されやすい形状(例えば、小さい丸孔)にすればよく、必ずしもスリット形状でなくてよい。また、高熱伝導性樹脂34の充填は、絶縁物32をスロット部に装着する前あるいは後のどちらでもよい。
【0026】
実施例2は、スロット部の巻線密度が高く、モールド樹脂が絶縁物の開口部まで十分に充填されない場合に有効であり、巻線と固定子鉄心の絶縁を確保しつつ固定子鉄心に効率良く熱放散できる。
【0027】
なお、本発明の実施において、巻線に印加される入力電圧が比較的低いときには、開口部比率を大きくして熱の放散性をさらに高めることができる。また、入力電圧が高いときには、開口部比率を20%程度にとどめて絶縁物の厚みを厚くすればよく、絶縁と熱の放散の両性能を確保できる。
【0028】
したがって、開口部比率および絶縁物の厚みは一定ではなく、モータの使用条件により適宜決定すればよい。
【0029】
また、樹脂モールドモータ以外にも同じような構造を持つ変圧トランスなどにも本発明を適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
上記の実施例から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、絶縁物の開口部に高熱伝導性樹脂を充填するので、巻線で発生した熱は、高熱伝導性樹脂から固定子鉄心に伝わり放散され、巻線の温度上昇を低減させることができる。
【0031】
また、請求項2に記載の発明によれば、開口部の形状をスリット状にすることでモールド樹脂が充填されやすくなり、巻線が発生する熱を放散できるとともに、巻線と固定子鉄心間の絶縁を確保できる。
【0032】
また、請求項3に記載の発明によれば、モールド樹脂とは異なる高熱伝導性樹脂を予め開口部に充填できるため、巻線と固定子鉄心間の絶縁が確実なものとなり、かつ巻線が発生する熱を固定子鉄心から放散できる。
【0033】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、絶縁物の開口部にモールド樹脂が充填されにくい集中巻線方式の固定子であっても実施することができる。
【0034】
したがって、巻線の温度上昇を低減させ、モータ出力の向上および損失の少ない高効率モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における樹脂モールドモータの半断面図
【図2】本発明の実施例1における絶縁物の説明図
【図3】本発明の実施例2における固定子の要部断面図
【符号の説明】
1 固定子
2、31 固定子鉄心
4、32 絶縁物
4a、32a 開口部
5 マグネットワイヤ
5a、33 巻線
6 高熱伝導性樹脂(モールド樹脂)
34 高熱伝導性樹脂(モールド樹脂とは別)
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業分野また家庭電気製品などに使用される樹脂モールドを施した固定子を有する樹脂モールドモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータの大出力化や高効率駆動あるいは防水防塵性を高めるために、固定子鉄心スロットの巻線部を樹脂材料でモールドすることが一般的に実施されている。
【0003】
この樹脂モールドモータの固定子は、マグネットワイヤと固定子鉄心が巻線時およびモールド時の圧力などで接触することを防ぐために、固定子鉄心のスロット部にマイカや樹脂材料からなる絶縁物を設けており、巻線を施した後に、マグネットワイヤと固定子鉄心を樹脂モールドしていた。
【0004】
また、筒状の樹脂ケースをモータに嵌装し、その固定子と樹脂ケースとの間に熱放散性の樹脂材を充填することで、巻線から発生する熱を放散するものが知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−147748号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、モータ駆動電流により巻線で発生した熱は、モールド樹脂材料、絶縁物、固定子鉄心を経て固定子からモータ全体に伝導することになるが、一般に絶縁性能の高い材料は熱伝導率が低く、高熱伝導性の樹脂材料で巻線部をモールドしても、固定子鉄心と巻線間に絶縁性能の高い絶縁物を設けているため、巻線から固定子鉄心への熱放散が十分確保できず、マグネットワイヤの温度上限から制約されるモータ出力の向上が図れず、課題があった。
【0007】
また、巻線の温度上昇による抵抗値の上昇によって損失が増加して駆動効率の低下を招き、課題があった。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、巻線と固定子鉄心間の熱伝導性を向上させ、モータ出力の向上および損失の少ない高効率モータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、巻線から固定子鉄心への熱伝導を妨げる絶縁物の一部に開口部を設け、この開口部に前記絶縁物より熱伝導性の高い樹脂材料を充填するもので、巻線の温度上昇を低減させ、モータ出力の向上および損失の少ない高効率モータを得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために請求項1に記載の樹脂モールドモータは、固定子鉄心スロット部に絶縁物を設け、マグネットワイヤによる巻線を施した固定子を樹脂材料にてモールドするモータにおいて、前記絶縁物の一部に開口部を設け、この開口部に前記絶縁物より熱伝導性の高い樹脂材料を充填したもので、巻線で発生した熱は、熱伝導性の高い樹脂材料から固定子鉄心に効率よく放散されるため、巻線の温度上昇を低減させることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の樹脂モールドモータは、巻線方向に対して直交あるいは傾斜方向に細長いスリット状の開口部を絶縁物に複数設けたもので、スリット状の開口部にモールド樹脂が充填されやすくなり、巻線が発生する熱を放散できるとともに、巻線と固定子鉄心間の絶縁を確保できる。
【0012】
さらに、請求項3および請求項4に記載の樹脂モールドモータは、開口部を充填する樹脂材料と固定子をモールドする樹脂材料とを別の材料としたもので、予め開口部に高熱伝導性の樹脂材料を充填できる。このため巻線占積率が高い集中巻線においても実施でき、巻線と固定子鉄心間の絶縁が確実になるとともに巻線が発生する熱を放散できる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
(実施例1)
実施例1は、固定子に分布巻き巻線を施した樹脂モールドモータである。
【0015】
図1において、樹脂モールドモータの固定子1は、固定子鉄心2の1つのスロット部内壁に1つの絶縁物4を設け、マグネットワイヤ5を分布巻きした巻線5aを施したあと、固定子鉄心2と絶縁物4および巻線5aの隙間を高熱伝導性樹脂6でモールドしている。ロータ7は、固定子1の両端に配置したエンドブラケット8に設けた軸受9で回転自在に支持される。
【0016】
絶縁物4は図2に示すように、細長いスリット状の開口部4aを傾斜方向に設けたので、モールド樹脂が開口部4aに流れやすく充填を促進する。また、開口部4aは巻線方向に対して傾斜させており、巻線工程からモールド工程までの間、固定子鉄心と巻線間の絶縁を確保できる。さらに、スロット内周部に沿い易いように折目4bを設けている。
【0017】
この絶縁物4の材料には、高い絶縁性能を有したメタ系アラミド紙あるいはポリイミドフィルムを用いる。一方、高熱伝導性樹脂6は、不飽和ポリエステル樹脂にアルミナなどを配合して絶縁物4よりも熱伝導率を向上させており、モールドにより固定子鉄心2のスロット部3と巻線5aの隙間、および開口部4aに充填させる。
【0018】
これにより、モータ駆動のために巻線5aに電流を流すことにより発生する熱の多くは、開口部4aに充填された高熱伝導性樹脂6を通じて直接固定子鉄心2に伝わり、固定子鉄心2の外周表面とモールド樹脂の表面から空気中に放散される。
【0019】
一方、固定子鉄心2自身も磁束の変化により生じるヒステリシス損や渦電流損すなわち鉄損に伴う熱が発生するが、巻線5aから発生する熱と共に、固定子鉄心2の外周表面からモータの外部に放散される。
【0020】
ここで、熱伝導率を中心にして説明する。発熱源となる巻線材料の銅は403W/m・K、その熱を放散させる固定子鉄心材料の鉄は83.5W/m・Kである。また、その周囲に配置する高熱伝導性樹脂は2.0W/m・K、絶縁物の樹脂材料は0.1〜0.18W/m・Kである。ちなみに、空気は0.024W/m・Kである。
【0021】
このように、絶縁物4に用いるメタ系アラミド紙の熱伝導率(0.1〜0.18W/m・K)は、モールド材として用いる高熱伝導性樹脂の熱伝導率(2.0W/m・K)の約10〜20倍の格差がある。このため、絶縁物4の開口部比率が20%程度であっても、巻線5aから固定子鉄心2までの熱伝導性は2倍以上良化する。
【0022】
(実施例2)
実施例2は、集中巻線方式の固定子である。
【0023】
図3において、31は固定子鉄心、32は絶縁物、33は巻線、34はモールド樹脂と別の高熱伝導性樹脂である。
【0024】
絶縁物32は、固定子鉄心31のスロット内壁に装着され、固定子鉄心31の両端面に設ける絶縁端板(図示せず)により保持される。そして、固定子鉄心31のティースごとに集中巻により高密度の巻線33が施されたあと、樹脂モールドする。
【0025】
ところで、絶縁物32の開口部32aには、高熱伝導性樹脂34を予め塗布などにより充填し、硬化させる。このため、開口部の形状は、高熱伝導性樹脂34が充填しやすく保持されやすい形状(例えば、小さい丸孔)にすればよく、必ずしもスリット形状でなくてよい。また、高熱伝導性樹脂34の充填は、絶縁物32をスロット部に装着する前あるいは後のどちらでもよい。
【0026】
実施例2は、スロット部の巻線密度が高く、モールド樹脂が絶縁物の開口部まで十分に充填されない場合に有効であり、巻線と固定子鉄心の絶縁を確保しつつ固定子鉄心に効率良く熱放散できる。
【0027】
なお、本発明の実施において、巻線に印加される入力電圧が比較的低いときには、開口部比率を大きくして熱の放散性をさらに高めることができる。また、入力電圧が高いときには、開口部比率を20%程度にとどめて絶縁物の厚みを厚くすればよく、絶縁と熱の放散の両性能を確保できる。
【0028】
したがって、開口部比率および絶縁物の厚みは一定ではなく、モータの使用条件により適宜決定すればよい。
【0029】
また、樹脂モールドモータ以外にも同じような構造を持つ変圧トランスなどにも本発明を適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
上記の実施例から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、絶縁物の開口部に高熱伝導性樹脂を充填するので、巻線で発生した熱は、高熱伝導性樹脂から固定子鉄心に伝わり放散され、巻線の温度上昇を低減させることができる。
【0031】
また、請求項2に記載の発明によれば、開口部の形状をスリット状にすることでモールド樹脂が充填されやすくなり、巻線が発生する熱を放散できるとともに、巻線と固定子鉄心間の絶縁を確保できる。
【0032】
また、請求項3に記載の発明によれば、モールド樹脂とは異なる高熱伝導性樹脂を予め開口部に充填できるため、巻線と固定子鉄心間の絶縁が確実なものとなり、かつ巻線が発生する熱を固定子鉄心から放散できる。
【0033】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、絶縁物の開口部にモールド樹脂が充填されにくい集中巻線方式の固定子であっても実施することができる。
【0034】
したがって、巻線の温度上昇を低減させ、モータ出力の向上および損失の少ない高効率モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における樹脂モールドモータの半断面図
【図2】本発明の実施例1における絶縁物の説明図
【図3】本発明の実施例2における固定子の要部断面図
【符号の説明】
1 固定子
2、31 固定子鉄心
4、32 絶縁物
4a、32a 開口部
5 マグネットワイヤ
5a、33 巻線
6 高熱伝導性樹脂(モールド樹脂)
34 高熱伝導性樹脂(モールド樹脂とは別)
Claims (4)
- 固定子鉄心スロット部に絶縁物を設け、マグネットワイヤによる巻線を施した固定子を樹脂材料にてモールドするモータにおいて、前記絶縁物の一部に開口部を設け、この開口部に前記絶縁物より熱伝導性の高い樹脂材料を充填したことを特徴とする樹脂モールドモータ。
- 巻線方向に対して直交あるいは傾斜方向に細長いスリット状の開口部を絶縁物に複数設けた請求項1に記載の樹脂モールドモータ。
- 開口部を充填する樹脂材料と固定子をモールドする樹脂材料とを別の材料とした請求項1または請求項2に記載の樹脂モールドモータ。
- 固定子の巻線が集中巻である請求項3に記載の樹脂モールドモータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002274529A JP2004112961A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 樹脂モールドモータ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004112961A true JP2004112961A (ja) | 2004-04-08 |
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2002
- 2002-09-20 JP JP2002274529A patent/JP2004112961A/ja active Pending
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