JP2008312313A - 高熱伝導回転電機及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コイル内部から回転電機コアに至るまで高熱伝導性樹脂による連続した経路を設けることにより放熱性を向上させ、回転電機の出力密度を向上させる。
【解決手段】複数のコイル巻線と回転電機コアの間に絶縁物を備える回転電機において、前記絶縁物がメッシュ構造を有し、該絶縁物のメッシュ構造内に、実質的にボイドフリーに充填され硬化した高熱伝導性樹脂が、前記複数のコイル巻線内部から回転電機コアに至るまで連続して存在し、これにより前記高熱伝導性樹脂の連続した伝熱経路を形成した回転電機及びその製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】複数のコイル巻線と回転電機コアの間に絶縁物を備える回転電機において、前記絶縁物がメッシュ構造を有し、該絶縁物のメッシュ構造内に、実質的にボイドフリーに充填され硬化した高熱伝導性樹脂が、前記複数のコイル巻線内部から回転電機コアに至るまで連続して存在し、これにより前記高熱伝導性樹脂の連続した伝熱経路を形成した回転電機及びその製造方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、回転電機に関する。特に、産業・車・家電などに使用される回転電機に関する。
回転電機は高出力化が強く望まれている。その一方で、回転電機自体はコンパクト化が求められている。従来、これらの回転電機は例えば次に示す方法あるいは構造で製作されてきた。
一般に、絶縁性能確保を目的としてコイルと回転電機コアの間にポリアミドイミドペーパーで作られた絶縁シート(スロット絶縁、絶縁フィルム、ライナーなどとも呼ばれる)が配置されるが、絶縁シートの熱伝導率は0.1W/mK程度と低いため放熱上のネックとなっている。
これを受け、絶縁シートの放熱性を向上するため、絶縁物シートの一部に空気孔を設けこの空気孔部に前記絶縁シートより熱伝導性の高い樹脂を含浸した樹脂モールドモータが提案されている。(例えば、特許文献1参照。詳細は比較例1参照)
また、回転電機の絶縁物としてガラスクロスを適用した例を以下に示す。電気絶縁テープとして、合成樹脂が含浸されたガラスクロステープが回転電機の対地主絶縁および補助絶縁に用いられている。これに樹脂含浸を施す。これによりコイルと絶縁物、絶縁物と回転電機コアの間の空隙に樹脂が含浸される。(例えば、特許文献2参照。詳細は比較例2参照)
特開2004−112961号公報
特開平10−201156号公報
また、回転電機の絶縁物としてガラスクロスを適用した例を以下に示す。電気絶縁テープとして、合成樹脂が含浸されたガラスクロステープが回転電機の対地主絶縁および補助絶縁に用いられている。これに樹脂含浸を施す。これによりコイルと絶縁物、絶縁物と回転電機コアの間の空隙に樹脂が含浸される。(例えば、特許文献2参照。詳細は比較例2参照)
しかし、上記構造においてガラスクロスの貫通孔およびコイルの巻線間に樹脂を充填することは困難である。コイル内部から回転電機コアに至るまで、樹脂による連続かつ放熱性が均一な伝熱経路を設けることは出来ない。以上の理由から、従来方法では放熱性向上に限界があり、通電電流が限られる。従って、従来技術適用による回転電機の出力密度の上限は4.5W/cm3程度であった。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、コイル内部から回転電機コアに至るまで高熱伝導性樹脂の連続した伝熱経路を均一に設けることにより放熱性を高め、回転電機の出力密度を向上させることにある。
本発明は、複数のコイル巻線と回転電機コアの間に絶縁物を備える回転電機において、前記絶縁物がメッシュ構造を有し、該絶縁物のメッシュ構造内に、実質的にボイドフリーに充填され硬化した高熱伝導性樹脂が、前記複数のコイル巻線内部から回転電機コアに至るまで連続して存在し、これにより前記高熱伝導性樹脂の連続した伝熱経路を形成したことを特徴とする回転電機を提供するものである。
また、本発明は、メッシュ構造を有する絶縁物に第1の高熱伝導性樹脂組成物を含浸・硬化し、得られた絶縁物をステータスロットに挿入し、所望のコイル巻線をステータスロットに挿入し、第2の高熱伝導性樹脂組成物をスロット内の前記コイル巻線及び該コイル巻線とスロットの間の空間に実質的にボイドフリーに含浸・硬化させて前記コイル巻線内部から回転電機コアに至るまで連続した高熱伝導樹脂により伝熱通路を形成することを特徴とする回転電機の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、コイル内部から回転電機コアに至るまで連続した伝熱パスを設けることができ、回転電機の放熱性を著しく向上させ、その出力密度を向上させることが出来る。
本発明の前記目的は、コイル7と回転電機コア5の間に絶縁物を備える回転電機において、前記の絶縁物としてメッシュ構造の絶縁物を適用し、コイルと回転電機コア間のあらゆる空隙に高熱伝導性樹脂を含浸して、ボイドフリーな絶縁層及びボイドフリーなコイル巻線層を形成することにより、コイルから回転電機コアに至るまで高熱伝導性樹脂の連続した経路を設けることにより達成できる。本発明において、実質的にボイドフリーとは、コイル巻線間及びコイル巻線とそれを挿入するスロット壁の間並びにコイル巻線をスロットに挿入する前に挿入したボイドフリーの絶縁物とコイル巻線及びスロット壁の間に実質的にボイドが存在しないことを言う。もちろん、少量のボイドの存在は許される。本発明による回転電機のコイル巻線及びそれを取り囲む絶縁層においては、従来の回転電機と比べて、はるかにボイドの残存が少ない。
また、本発明において、メッシュ構造とは、特許文献1記載のような絶縁シートに貫通孔を設けたものではなく、絶縁物を構成する繊維が集合して網目(メッシュ)を形成しているものを言い、貫通孔が三次元方向に形成されていて、含浸する樹脂組成物が絶縁物のあらゆる方向に侵入することができる。従って、この構造は特許文献1記載の絶縁シートとは異なり、高熱伝導性樹脂組成物の含浸にあたり、障害となる様な部分は存在しない。特許文献1の場合は、絶縁シートのスリット以外の重なり部分には含浸樹脂組成物が侵入することが殆どできないため、ボイドが残存する可能性が高く、熱伝導性があまり改善されないことが懸念される。
本発明において用いられるメッシュ構造の絶縁物は、繊維の織布又は不織布が好ましく、材質がガラスなどの無機物或いはポリイミド、ポリアミドイミドなどの有機物の繊維が好ましい。熱伝導性、コスト、電気特性などの観点からガラス繊維が好ましい。
本発明の回転電機において、前記絶縁物のメッシュ構造の貫通孔は、前記コイル巻線の直径の2倍以下の幅を有することが望ましい。メッシュの孔が1.5倍を超えると、コイル巻線がメッシュを貫通してステータと接触することが懸念される。メッシュの貫通孔の幅が1倍以下であることがより好ましい。メッシュ構造の絶縁物として、ガラスクロスがもっとも好ましい。メッシュ幅(貫通孔の幅といっても良い)をコイルの直径より小さくすることでコイルが絶縁物に進入してコアに接触するのを防ぎ、規格や仕様で定められた絶縁性を満たすことができる。
樹脂組成物のスパイラルフローは50〜150cmであれば、含浸不良を起こすことなくガラスクロスの孔部に充填される。本発明においては、硬化した高熱伝導性樹脂の熱伝導率が1W/mK以上であることが好ましい。このような硬化物を生成する高熱伝導性樹脂組成物は、種々の熱硬化性樹脂に適量の高熱伝導性充填材例えばアルミナ、ジルコニア、シリカなどを混合したものが知られている。高熱伝導性の充填剤の配合量は、樹脂組成物の50重量%以上、特に80〜200重量%が好ましい。これにより、絶縁物よりも熱伝導性の高い樹脂硬化物を生成する樹脂組成物が得られる。これらの樹脂組成物自体は既に公知のものであるので、本発明では詳細な説明は省略する。
前記回転電機の製造方法において、前記第1の熱伝導性樹脂組成物と第2の熱伝導性樹脂組成物は実質的に同一であることが好ましい。言うまでも無く、実質的に同一の樹脂組成物を用いることにより、樹脂含浸層の分離、剥離を起こすことがないので実質的にボイドフリーな絶縁層を形成することができる。
本発明の回転電機は、コイルと回転電機コアの間に絶縁物を備える回転電機において、前記の対地間の主絶縁物としてメッシュ構造の絶縁物を適用し、コイル内部と回転電機コア間のあらゆる空隙にスパイラルフローが50〜150cmの高熱伝導性樹脂を含浸することによりコイルから回転電機コアに至るまで高熱伝導性樹脂による連続した経路を均一に設けることにより達成できる。本発明において、ガラスクロス等の多孔質メッシュ構造のほかに、マイカ裏打ちなどの、樹脂含浸を妨げるようなものは用いないが、本発明の目的に反しない範囲で、他の絶縁物を組み合わせることを妨げない。
ガラスクロス材を固める場合は、モールド時と同じ高熱伝導樹脂を用いる。また、メッシュ幅をコイル直径より小さくすることでコイルが絶縁物に進入してコアに接触するのを防ぎ、規格や仕様で定められた絶縁性を満たす。
以下、本発明による高熱伝導回転電機について図示の実施形態により詳細に説明する。
[実施例1]
図1により、本発明の最良の実施形態である3相クローポール型回転電機の全体構成について説明する。3相クローポール型回転電機の小型化・高トルク化、および効率の向上を実現するため、ステータコアが3次元爪磁極構造となっている。
図1により、本発明の最良の実施形態である3相クローポール型回転電機の全体構成について説明する。3相クローポール型回転電機の小型化・高トルク化、および効率の向上を実現するため、ステータコアが3次元爪磁極構造となっている。
図1において、1はロータ、2はシャフト、3はロータコア、4はロータ磁石、5はステータコア、6は爪磁極、7はコイル巻線を示している。なお、爪磁極6及びコイル巻線7はそれぞれ3相分あるので、6U,6V,6W,7U・・・と表示されることもある。ステータコア5の上下の爪磁極間にはトロイダル状のコイル巻線7が巻かれている。なお、図1およびその他の図において、同一符号は同一の構成要素を示している。
図2はコイル7周辺の断面拡大図であり、本発明の特徴を表している。通常、回転電機においてはコイル巻線7とステータコア5との間に絶縁シートまたはスロットライナーなどの絶縁物を配置するが、図1の回転電機は図2のように絶縁物を巻線側に巻回した後にステータコア5に設置する場合である。
まず、直線状の電機子巻線をボビンなどに巻きつけソレノイド状のコイル巻線7にする。このとき、コイル巻線7が型崩れしないように自己融着線を用いて通電加熱するなどの方法を用いると良い。コイル巻線7は丸線でも平角銅線でもよく、形状の指定はない。本モータのコイル巻線の直径は0.3〜0.8mmとした。
その後、ソレノイド状コイル巻線7に絶縁シートの代わりにガラスクロステープ8を巻回する。前述のように、ガラスクロスに集積マイカを張り合わせたりしない。それは、マイカなどを裏打ちすると、樹脂組成物を含浸する妨げとなり、含浸不良の部分はボイドとなって残留するからである。
また、ガラスクロスに事前に樹脂が含浸されているもの、たとえばプリプレグは用いない。その理由もまた、樹脂組成物の含浸の妨げになるからである。ガラスクロスの貫通孔はなるべく均一に設け、その幅は巻線コイルの直径以下とし、厚みが0.05mm〜0.1mmの基材を使用するのが好ましい。このように設定することで、コイルと回転電機コアが接触することを防ぐ。このときガラスクロス8に代わって多孔質フィルム(連続気泡フィルム)など三次元方向に貫通孔が形成されたものを用いても良い。連続気泡の径は、巻線の相当直径よりも小さい物を用いる。上記のように貫通孔を設定することにより、コイルの巻線間にまで樹脂が充填されることを解析および実験で確認した。
絶縁シートなどの絶縁物に二次元方向に貫通孔を施す場合(特許文献1)に比べ、本発明の場合は、ガラスクロス8と回転電機コアの接触面が少ないため、ガラスクロスと回転電機コアとの間に空気が侵入しにくく、また残存しにくく、コイル巻線とコアの間に有効な伝熱経路が形成され、熱抵抗が低減される。また、ガラスクロス8等を用いることにより、貫通孔に均一性があるため局所的に含浸不良によるボイドが生じても放熱特性に支障をきたさない。加えて、空気孔の総面積が大きいため高熱伝導性樹脂の割合が大きくなり、優れた放熱性を得ることが出来る。ガラスクロス自体の熱伝導率も1W/mK程度であり、絶縁シートよりも高い。ガラスクロステープ8は貫通孔を施す作業が不要であるため、穴あけ作業を省略し、絶縁材の製作時間を短縮することが出来る。ガラスクロス8は耐熱特性が高いため、より高い温度環境においても使用可能である。
ガラスクロス8を固定するために一部にカプトンテープの薄膜の接着テープ11や接着剤を用いてガラスクロス8を固定する。その領域は固定するために必要な最低限度のものとし、絶縁物領域の10%以下とする。ガラスクロステープ8を巻くときは隙間なく、1/2ほど重なるように巻く。これは、巻いたガラスクロスが加圧含浸によりずれるのを防ぐためである。回転電機の口出し部12など電界が高く高絶縁性が求められる部分は、図2に示すように、ガラスクロステープ8を複数回巻回し必要分の絶縁距離を確保する。低圧の場合は出来るだけ薄いガラスクロステープ8を用いる。
こうして出来たガラスクロス巻ソレノイドコイル7をステータコア5にはめ込み、熱伝導率が1W/mK以上の高熱伝導性樹脂4を加圧成型する。加圧成型は、ガラスクロス細部に樹脂が含浸するようにトランスファ成型や射出成型などのプレス含浸や真空含浸による。
図3に出力密度の樹脂熱伝導率依存性を示す。樹脂の熱伝導率が高いと熱抵抗が低下し温度上昇が低減されその分出力を向上できる。出力密度5W/cm3を狙う場合、樹脂の熱伝導率として1W/mK以上が必要となる。
また、含浸する樹脂のスパイラルフローは50〜150cm程度とする。図4に樹脂含浸率のスパイラルフロー依存性を示す。樹脂含浸率が高いほどボイドが無く樹脂が良く含浸されていることを意味する。ガラスクロスの空気孔に樹脂が空隙の無いように含浸されるには、樹脂の流動性が必要であるためである。流れが良すぎると、逆に樹脂が抜け出てしまう可能性がある。
また別の従来技術では、ガラスクロステープに前もって熱硬化性樹脂を塗工または含浸したのちにステータコアにはめ込むが、樹脂がガラスクロス内の空隙を浸透しにくくなりガラスクロスとステータコア5の間に空隙層が生じやすくなり放熱性に影響を及ぼす可能性がある。これに対し、本発明では、含浸作業を最後に一回だけ実施しコイルから回転電機コアにかけて高熱伝導性樹脂による連続した経路を形成するため、ソレノイドコイル7からステータコア5の間に空気層が発生しにくく放熱性が良好となる。以上をもって完成とし、コイル内部から回転電機コアに至るまで連続した高熱伝導樹脂の伝熱経路を設けることによって、従来に比べ出力密度を10%向上できる。
[実施例2]
実施例2は、内燃機関であるエンジンと共に車両の駆動源を構成する車両駆動用回転電機としてはハイブリッド自動車に搭載され、車載電源であるバッテリから供給された直流電力を交流電力に変換するインバータ装置によって駆動される回転電機でに関する。この回転電機において、永久磁石内蔵型のロータを備え、ステータコイルの巻線方式として分布巻きが用いられた同期機を例にして説明する。ただし、本発明の構成は、上記同期機のみならず、誘導機にも適用することができる。
実施例2は、内燃機関であるエンジンと共に車両の駆動源を構成する車両駆動用回転電機としてはハイブリッド自動車に搭載され、車載電源であるバッテリから供給された直流電力を交流電力に変換するインバータ装置によって駆動される回転電機でに関する。この回転電機において、永久磁石内蔵型のロータを備え、ステータコイルの巻線方式として分布巻きが用いられた同期機を例にして説明する。ただし、本発明の構成は、上記同期機のみならず、誘導機にも適用することができる。
ハイブリッド自動車などの電動車両において、永久磁石内蔵型のロータを有しかつインバータ装置により駆動される同期機は、高出力化や弱め界磁制御の点で有利である。この同期機において、高出力化を図るためには回転電機内部の高熱伝導化がキー技術となる。
図5は、実施例2の回転電機の構成を示す断面図であり、図6は回転軸方向の断面形状を示している。図6に示すように、実施例2の回転電機は、ステータ20と、ステータ20の内周側に空隙を介して配置されかつ回転可能に支持されているロータ21から構成されている。ステータ20とロータ21は回転電機のハウジング22内に保持されている。
ステータ20は、ステータコア23と、ステータコイル24とから構成されている。ステータコア23は、薄板の鋼板をプレス成形により所定の形状とした上で、積層したものである。ステータコア23は、環状のヨークコアと、これから径方向に突出し、周方向に等間隔で配置された複数のティースコアから構成されており、ヨークコアとティースコアは一体に形成されている。ステータコア23の内周部には、ステータコア23の内周表面側が開口し、軸方向に連続した複数のスロットが形成されている。このスロットは、周方向に隣接するティースコア間に形成された溝状の空間部である。本実施例では48個のスロットが形成されている。ステータコイル24は分布巻きで、ステータコア23のティースコアに巻回されている。ここで、分布巻きとは、コイルが、複数のスロットを跨いで(或いは挟んで)離間した2つのスロットに収納されるように、ステータコア23に巻かれる巻線方式である。
通常、ステータコイル24をステータコア23に巻く前に図示しない絶縁シート25を予め折り込んでスロットに挿入する。本発明ではこの絶縁シート25に代えてガラスクロステープを用いた。その方法については、後述する。
ステータコイル24は、コイル導体を積層しながら連続的に巻回したU相ステータコイルと、V相ステータコイル、W相ステータコイルとから構成されている。ステータコイル24は、自動巻線機を用いて、巻き枠に所定の順序で予め巻回され、その後自動挿入機を用いて、ステータコア23のスロットの入口部からスロット内に挿入され、ステータコア23に巻かれる。ステータコイル24は、U相ステータコイル,V相ステータコイル,W相ステータコイルの順に、スロット内に挿入される。ステータコイル24のコイル端部は、スロットから軸方向両方向に突出してステータコア23の軸方向両端面に配置されている。
ロータ21は、ロータコア26と、永久磁石27と、シャフト28とから構成されている。ロータコア26は、薄板の鋼板をプレス成形により所定の形状とした上で積層し、シャフト28に固定したものである。ロータコア26の外周部には、ロータ21の軸方向に貫通した複数の磁石挿入孔が周方向に等間隔で形成されている。本実施例では8個の磁石挿入孔が形成されている。永久磁石挿入孔のそれぞれには永久磁石27が挿入され、固定されている。シャフト28は、ハウジング22の両側にそれぞれ固定されたエンドブラケット29F,29Rに、軸受30F,30Rによって回転可能に支承されている。
以下、本発明の特徴であるガラスクロス32に高熱伝導性樹脂34を含浸する方法について説明する。図6はステータ20の径方向断面を示したものである。コイル31とステータコア23の間にガラスクロステープ32を配置している。実施例2では、図のようにガラスクロス32をスロット33に挟んだ後に巻線を巻く。効果については、実施例1とほぼ同様であり以下に加えて述べる。
図7に示すようなジグや金型を用いてガラスクロステープに高熱伝導樹脂34を含浸し加熱硬化したものを適用すると効率よく製造できる。このとき、高熱伝導樹脂を含浸したガラスクロステープはスロットに収まり巻線寸法に支障のないようにする。具体的な例として、下金型41の幅はスロット幅と同一とし上金型40の凸部幅はコイル31の幅より大きくする。特許文献2などでは、ガラスクロステープの裏側に集積マイカなどを用いているが、本発明では後の含浸過程で使用する高熱伝導性樹脂と同一の樹脂組成物のみを用いてガラスクロスを固形化させる。もしくは、ガラスクロスの空隙(貫通孔)を埋めない程度に薄い自己融着性物質を適用し固形化させても良い。口出し部は固めたガラスクロス32の上からさらに所定回数巻回し、後のモールドにより高熱伝導性樹脂を充填する。
こうして形状が定まったガラスクロス材32をスロット33に装着し、その後コイルを巻く。その後、高熱伝導性の樹脂を含浸することにより完成となる。
[比較例1]
以下に、本発明との比較として、特許文献1記載の技術について説明する。
以下に、本発明との比較として、特許文献1記載の技術について説明する。
特許文献1において、絶縁シートの放熱性を改善するため、絶縁物の一部にスリットを設けこのスリットに前記絶縁テープより熱伝導性の高い樹脂を含浸した樹脂モールドモータが提案されている。
この場合、絶縁シートなどの絶縁物にスリットを施すため、部分的に樹脂を含浸することになる。そのため樹脂が含浸される領域が限られ、放熱性の向上に限界がある。また、均一な伝熱パスを得ることが出来ない。さらに、絶縁シートのスリットが設けられていない部分には樹脂が浸透せず、その表裏に空気が混入しやすいため熱抵抗が大きくなる。
さらに問題点として、含浸不良によりスリットおよびその付近のコイルに樹脂が含浸されなかった場合、局所的な温度上昇および絶縁性能の低下を招く。
効果的な放熱性を得るためには空気孔の領域を大きくすればよいが、スリットの幅がコイル直径より大きいとコイルが絶縁シートを突き抜けコアと接触し絶縁不良を起こす可能性がある。そのため、コイル直径より小さい開孔幅を持つスリットをたくさん設けなければならないので、作業性が悪く、回転電機の構造に依存してスリットの幅や位置を検討しなければならない。
本発明のように、メッシュ構造の絶縁物を適用すると、樹脂の含浸領域が広いため含浸不良を起こしにくい。また、仮に含浸不良が発生しても他の伝熱経路をたどって効率よく熱が放散される。
表1に実施例と比較例1の効果をまとめて示した。実施例1は絶縁物として熱伝導率1W/mKのガラスクロステープ8を用い、比較例1は熱伝導率0.1W/mKのノーメックス絶縁シートに空気孔を2割設けたものとした。それぞれの絶縁物の厚さは0.25mmとし充填する高熱伝導性樹脂の熱伝導率を2W/mKとした。表1より、熱抵抗が27%に低減されることが分かる。18W発熱時において最大温度が10℃以上低減されることを実測により確認済みである。
[比較例2]
以下に、本発明との比較として、[特許文献2]記載の技術を説明する。
以下に、本発明との比較として、[特許文献2]記載の技術を説明する。
特許文献2でもガラスクロスを適用しているが、予め合成樹脂が含浸された絶縁テープを用いている。また、他の事例では集積マイカを張り合わせた電気絶縁テープ材が用いられている。
このような場合、巻回した電気絶縁テープに樹脂が含浸できないためコイル内部から回転電機コアに至るまで連続した伝熱経路を設けることは出来ない。また、樹脂が浸透しないため絶縁テープの表裏に接触熱抵抗が生じ絶縁物の熱抵抗が150%以上高くなるという事実がある。これに対し、本発明のようにガラスクロスのみを用いることにより絶縁物の表裏における接触熱抵抗をほぼ0にすることが出来る。
また、集積マイカなどをガラスクロスに併せて使用する場合、コイルとステータコアの間に対地主絶縁物およびコイル固め層など構造物が2重に存在するため接触熱抵抗により放熱性に支障をきたすと考えられる。加えて、複数の構造が存在するとその間隙に空気層が発生しやすくこれも放熱性に支障をきたす。さらに、絶縁層が複数あるとソレノイド状コイとステータコア5の間に単一の高熱伝導性樹脂による一貫した熱伝導パスが形成されない。
1…ロータ、2…シャフト、3…ロータコア、4…ロータ磁石、5…ステータコア、6…爪磁極、7…コイル巻線、8…ガラスクロス材、9…高熱伝導樹脂、11…接着テープ、12…口出し部、20…ステータ、21…ロータ、22…ハウジング、23…ステータコア、24…ステータコイル、26…ロータコア、27…永久磁石、28…シャフト、29F…エンドブラケット、29R…エンドブラケット、31…コイル、32…ガラスクロス、33…スロット、34…稀有熱伝導樹脂、40…上金型、41…下金型。
Claims (13)
- 複数のコイル巻線と回転電機コアの間に絶縁物を備える回転電機において、前記絶縁物がメッシュ構造を有し、該絶縁物のメッシュ構造内に、実質的にボイドフリーに充填され硬化した高熱伝導性樹脂が、前記複数のコイル巻線内部から回転電機コアに至るまで連続して存在し、これにより前記高熱伝導性樹脂の連続した伝熱経路を形成したことを特徴とする回転電機。
- 前記絶縁物のメッシュ構造の孔幅は、前記コイル巻線の直径の1.5倍以下であることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
- 前記絶縁物のメッシュ構造の孔幅は、前記コイル巻線の直径以下であることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
- 前記絶縁物は三次元方向に貫通孔を有するものである請求項1記載の回転電機。
- 前記絶縁物は繊維の織布又は不織布である請求項1記載の回転電機。
- 前記絶縁物はガラスクロスである請求項1記載の回転電機。
- 硬化時の熱伝導率が1W/mK以上の高熱伝導性樹脂の樹脂組成物を含浸・硬化した請求項1記載の回転電機。
- メッシュ構造を有する絶縁物に第1の高熱伝導性樹脂組成物を含浸・硬化し、得られた絶縁物をステータスロットに挿入し、所望のコイル巻線をステータスロットに挿入し、第2の高熱伝導性樹脂組成物をスロット内の前記コイル巻線及び該コイル巻線とスロットの間の空間に実質的にボイドフリーに含浸・硬化させて前記コイル巻線内部から回転電機コアに至るまで連続した高熱伝導樹脂により伝熱通路を形成することを特徴とする回転電機の製造方法。
- 硬化時の熱伝導率が1W/mK以上の高熱伝導性樹脂の樹脂組成物を含浸した請求項8記載の回転電機。
- 前記絶縁物は三次元方向に貫通孔を有することを特徴とする請求項8記載の回転電機の製造方法。
- 前記絶縁物は繊維の織布又は不織布である請求項8記載の回転電機の製造方法。
- 前記絶縁物はガラスクロスであることを特徴とする請求項8記載の回転電機の製造方法。
- 前記第1の熱伝導樹脂組成物と第2の熱伝導樹脂組成物は実質的に同一であることを特徴とする請求項8記載の回転電機の製造方法。
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Cited By (2)
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