JP2006320124A - モータステータの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱伝導性を高めたモータステータの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】 リング状に構成されるコア3aの内側に突出する複数のティース3bを設け、このティース間にスロット3cを形成し、このスロットに絶縁材7を介してコイル3dを配置するモータステータの製造方法において、前記スロットに配置した前記コイルに作用する遠心力により前記コイルを形成する導線間の間隙が減少するように前記コアをその軸心回りに高速で回転させるコア回転工程と、前記回転を維持したまま、前記コイルの導線間の間隙にワニスを浸透させるワニス浸透工程と、前記回転を維持したまま、前記ワニスが硬化する温度までコアを昇温するコア昇温工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータステータの製造方法及び製造装置に関する。
従来、モータのステータの製造方法及び製造装置としては、ステータのコア間のスロット内に絶縁紙で包み込んだコイルを配置して、コイルを包む絶縁紙内にコアを回転しつつ、ワニスを滴下する。ワニスは、コアの回転と毛細管現象により各コイル間に均一に浸透し、浸透後にワニス硬化温度まで加熱してワニスを硬化し、ステータ製造する方法がある(特許文献1参照)
特開2003-189523号公報
しかしながら従来技術では、ワニス滴下時においてスロット内のコイルにはコイル間を密着させる力がほとんど作用していない。このため、各コイル間および各コイルとステータの密着度が低い。密着度が低いため、コイルで発生する熱の伝達性が低下する。熱伝達効率が低いため、コイルで生じた熱をステータに伝達し難く、コイルの熱をステータから放熱し難い。
また、ワニスの浸透が毛細管現象により行われているため、スロット内部や絶縁紙とステータ間にワニスが浸透し難い。
そこで、本発明は、各コイル間等の密着性を向上して、コイルで生じた熱の放熱性を向上するモータステータの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、リング状に構成されるコアの内側に突出する複数のティースを設け、このティース間にスロットを形成し、このスロットに絶縁材を介してコイルを配置するモータステータの製造方法において、前記スロットに配置した前記コイルに作用する遠心力により前記コイルを形成する導線間の間隙と、前記コアと前記絶縁材及び前記コイルとの間隙が減少するように前記コアをその軸心回りに高速で回転させるコア回転工程と、前記回転を維持したまま、前記コイルを形成する導線間の間隙、前記コアと前記絶縁材及び前記コイルとの間隙にワニスを浸透させるワニス浸透工程と、前記回転を維持したまま、前記ワニスが硬化する温度までコアを昇温するコア昇温工程とを備えた。
本発明によれば、コアを回転することで、遠心力の作用によりコイル間、コイルとコア間の間隙が小さくなり、密着性が高まり、熱伝導性が高められる。これによりコイルで生じた熱を効率よくコアに伝達することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用するモータの概略図である。モータ1は、有底円筒状のハウジング2と、このハウジング内に配置され、コアにコイルが巻線されたステータ3と、ステータ3の磁力により回転するロータ4と、ロータと一体的に形成されるシャフト5と、ハウジングの開口部を閉鎖する蓋6とから構成され、シャフト5はハウジング2の底部と蓋6とにより回転自在に支持される。
図2は、モータ1のステータ3の構成図であり、図3は、スロット3cの詳細を示す断面図である。ステータ3は、リング状に形成されたコア3a、コア内面から中央側に突出する複数のティース3bと、ティース3b間に形成されるスロット3cと、スロット3c内に配置され、所定のティース3bに掛け渡されるコイル3dとからなる。コイル3dは絶縁被膜に覆われた導線を所定回数だけ巻回して形成される。
コイル3dは、絶縁紙7に覆われてスロット3c内に配置される。絶縁紙7は、U字断面の2つの絶縁紙である第1、第2シート7a、7bから構成される。これらシート7a、7bは開口端を径方向に向けて、かつ開口端を相互に重ね合わせるようにして角筒状にして用いられる。そして、第1、第2シート7a、7bが形成した角筒内にコイル3dを内装し、スロット3c内に設置する。なお、絶縁紙7a、7bには複数の貫通孔7cが形成され、またはメッシュ状のシートで構成され、後述のワニス8が透過可能に構成される。さらにコア3aの中心側に配置された第2シート3bは、剛性を有する絶縁部材で構成してもよい。このようにコイル3dがスロット3c内から飛び出さないようにスロット3cの開口端に形成される鍔3fに引っ掛かるように形成される。
コイル3dの導線間、コイル3dと絶縁紙4及びコア3a(及びティース3b)の間隙にワニス8を浸透、硬化させてステータ3が形成される。ワニス8は、コイル3dの各導線間等の絶縁性を担保する絶縁塗料であり、液状の熱硬化性樹脂からなり、加熱により硬化して各部の隙間を埋め、絶縁性を確保するとともに熱伝導性を高めることができる。
コイル3dの端部3eは、コア3aの軸方向における両端面3gより突出するように配置され、突出した部分にワニス8を滴下含浸する。滴下したワニス8は、毛細管現象によってコイル3dの導線間に浸透する。
次に、ステータ3の製造方法を図3〜図6を用いて工程毎に説明する。この製造方法では、ワニス8を2度滴下する方法を例として説明する。なお、ワニス8の滴下回数は2回に限られないことはいうまでもない。
第1工程:まず、ステータ3のコア3aの各スロット3c内にコイル3dと、コイル3dを覆う絶縁紙7である第1シート7a及び第2シート7bを配置して、コイル3dの結線及びレーシングを行う(図3(a)、(b))。
ここで、レーシングとは、コイル3dの端部3eをガラス繊維を含む糸を用いて糸縛りして固定する作業である。また、各コイル3dを構成する導線の端部は、所定のコイル間で結線される。
第2工程:続いて、図4に示すようにコイル3dの端部3eを位置決めする円筒形のコイルエンド治具9a、9bにコイル3d等が設置されたコア3aを固定する。そして、コア3aをコイルエンド治具9a、9bにセットした状態で、これらを加熱、回転及びワニス8を滴下する装置(図示せず)に固定する。
なお、コイルエンド治具9a、9bは、コイル3dの端部の成形性を担保する治具である。コイルエンド治具9a、9bは、コア3aの外周面に接して覆うように形成されるとともに、コイル3dの端部3eの径方向及び軸方向の形状を規定するようにコイル端部3eを取り囲む。この治具9a、9bによりコイル3dの端部3eが外力により過度に変形することがない。また、この治具9a、9bによりコア3aやコイル端部3eの外周部を覆うことで、ワニス滴下時にワニス8が外部に飛び散ることを抑止することができる。なお、コイルエンド治具9a、9bには、コア3aとの間での相対回転を拘束する手段、例えばキーを備える。
第3工程:次に上記コア3aを所定温度まで加熱して保温する(図3(c))。この時の所定温度は、後述のワニス8の硬化温度より低い温度とする。
第4工程:加熱されたコア3aを高速の第1回転速度で回転する。図3(c)に示すように、このコア3aを第1の回転速度で回転する工程では、スロット3cに配置されたコイル3dや第1、第2シート7a、7bに強い遠心力が作用する。図5に示すように、この遠心力により、コイル3dや第1、第2シート7a、7bが外周方向に押し付けられ、各コイルの各導線間、コイルと絶縁紙及びコア3aまたはティース3bの間隙を狭めて各部間の密着性を高めることができる。
第5工程:図3(d)に示すように、コア3aを第1の回転速度で回転した状態で、コイル3dの端部3eへのワニス8の第1回目の滴下を行う。ワニス8の滴下位置は、コア3aの中心線上中央部から第2シート7bの貫通孔7cを透過して遠心力によりコイル3dの線間に浸透する。または、コア3aの配置が、その回転軸を垂直に配置される場合には、図6に示すように上側に位置するコイル3dの端部3eに滴下する。この場合には、ワニス8に重力が作用することで、コイル3dの導線間等への浸透を促進させる効果がある
第6工程:ワニス8を滴下した後、コア3aの回転を維持した状態でコア3aをワニス8の硬化温度である第1の所定温度まで昇温する(図3(d))。
第7工程:次にコア3aの回転速度を第1回転速度より低い低速の第2回転速度に変化させ、コア3aを回転する。ここで、第2回転速度は、ワニス8を各部に均等に浸透することを目的とした回転であり、第1の回転速度より低速の回転速度に設定する。コア3aを第2回転速度で回転させた状態で、2回目のワニス8の滴下をコイル2dの端部3eに実施する(図3(e))。
この2度目の滴下時に用いるワニス8aは、1回目の滴下時に用いたワニス8に比して硬化温度が高いものを用いるようにする。または、1回目と同じワニス8を用いてもよいが、この場合にはコア3aの温度を低下させる必要が生じ、製造時間が伸びることになる。
第8工程:2度目の滴下したワニス8aが硬化する第2の所定温度までコア3aを昇温し、ワニス8aを硬化させる(図3(e))。
第9工程:ワニス4の硬化完了後、完成したステータ3を取り外す。
このように本発明においては、ステータ製造時において、コア3aのスロット3c内にコイル3d及び絶縁紙7を設置した状態で、コア3aを第1の所定回転速度で回転させて、コイル3d及び絶縁紙7に遠心力を作用させ、コイル3dの導線間及び、コイル3dと絶縁紙及び絶縁紙7とコア3aまたはティース3bの間隙を減少させて、各部の密着性を高めることができる。
この状態からワニス8をコイル3dに滴下することで、ワニスが各部間の間隙に浸透して、間隙を埋め、コイル3dで生じた熱をコア3aに効率よく伝達する。このため、コイル3dの放熱効率を高めることができる。
また、1回目のワニスの滴下が第1の回転速度、つまり高速回転状態で行われると、ワニスは遠心力により外周側に集まり、内周側ではワニスが不足する恐れがある。このような場合にワニス滴下の2回目を第2の回転速度、つまり低速回転で滴下することにより、内周側にもワニスを浸透できる。このようにして確実にコイル3d間や各部位間にワニス8を均等に浸透することができる。
コイル3dは、コイル3dの端部3eをコイルエンド治具9a、9bに保持されているため、端部3eの形状を規制し、過度の変形を防止することができる。また、コイルエンド治具9a、9bは、コイル3d及びコア3aを外側から覆うため、滴下したワニス8が外部に飛散することを防止することができる。
絶縁紙7である第1、第2シート7a、7bはワニス8が透過するような構成を有するため、特に第1シート7aでは、第1シート7aとコア3a及びティース3bとの間の間隙にワニスを浸透でき、熱伝達性を高めることができる。また、第2シート7bでは、コア内部からコイル中央部にワニス8を滴下する場合に、ワニスを透過させることができ、ワニス8のコイル3dの導線間への浸透を促進することができる。
次に、第2の実施形態としてのステータ3の製造方法を工程毎に説明する。この製造方法では、コイル3dに自己融着線を用いたことを特徴とする。ここで自己融着線とは、導線の絶縁被膜を覆う樹脂被膜で、所定温度で融解し、冷却することで互いに接着する導線をいう。
第1工程:まず、ステータ3のコア3aのスロット3c内にコイル3d、第1シート7a及び第2シート7bを配置して、コイル3dの結線及びレーシングを行う。ここで、コイル3dの導線には自己融着線を用いる。
第2工程:続いて、コイル3dの端部3eを保持するコイルエンド治具9a、9bに、コイル3d等が設置されたコア3aを固定し、コア3aを治具9a、9bにセットした状態で、これらを加熱及び回転する装置に固定する。
第3工程:コア3aを所定の回転速度で回転させて、遠心力の作用によりコイル3dの導線間の間隙、コイル3dと絶縁紙7及びコア3aの間隙を狭めて密着性を向上させる。
第4工程:次に、回転を維持しつつ、コア3aをコイル3dを形成する自己融着線の融点まで昇温し、各自己融着線同士を融着させる。なお、各導線間がショートしない程度に加熱する。
第5工程:コア3aの回転を維持しつつ、コア3aの温度を低下させて自己融着線を固着させる。
第6工程:コア3aの回転を停止後、完成したステータ3を取り外す。
このようにコイルは強い遠心力によりコイルの線同士が密着し、ステータ3の熱伝達性を向上することができる。また、この自己融着線を用いた製造方法では、樹脂被膜が融着するのでワニスを用いることなくコイルの導線間等の間隙をなくし、ワニスの毛細管現象による各部の間隙への浸透バラツキを抑制し、ステータ3の熱伝達性を向上することができる。
本発明を適用するモータの断面図である。 ステータの断面図である。 ステータ製造工程を説明する図である。 治具に取り付けたステータの状態を説明する図である。 遠心力の効果を説明する図である。 他のワニスの滴下方法の一例を説明する図である。
符号の説明
1 モータ
2 ハウジング
3 ステータ
3a コア
3b ティース
3c スロット
3d コイル
3e 端部
3f 鍔
4 ロータ
5 シャフト
6 蓋
7 絶縁紙
7a 第1シート
7b 第2シート
8 ワニス
9a、9b コイルエンド治具

Claims (8)

  1. リング状に構成されるコアの内側に突出する複数のティースを設け、このティース間にスロットを形成し、このスロットに絶縁材を介してコイルを配置するモータステータの製造方法において、
    前記スロットに配置した前記コイルに作用する遠心力により前記コイルを形成する導線間の間隙と、前記コアと前記絶縁材及び前記コイルとの間隙が減少するように前記コアをその軸心回りに高速で回転させるコア回転工程と、
    前記回転を維持したまま、前記コイルを形成する導線間の間隙と、前記コアと前記絶縁材及び前記コイルの間隙にワニスを浸透させるワニス浸透工程と、
    前記回転を維持したまま、前記ワニスが硬化する温度までコアを昇温するコア昇温工程と、
    を備えたことを特徴とするモータステータの製造方法。
  2. 前記コア回転工程は、前記コアをその軸心回りに高速の第1回転速度で回転する第1コア回転工程と、第1回転速度より低い低速の第2回転速度で回転する第2コア回転工程とからなり、前記コイルを形成する導線間の間隙と、前記コアと前記絶縁材及び前記コイルとの間隙が減少するように前記コアをその軸心回りに前記第1回転速度で回転させ、
    前記ワニス浸透工程は、前記第1回転速度でのコア回転時に第1ワニスを滴下する第1ワニス浸透工程と、前記第1ワニス硬化後、前記第2回転速度でのコア回転時に前記第1ワニスより高温で硬化する第2ワニスを滴下する第2ワニス浸透工程とからなり、
    前記コア昇温工程は、前記第1回転速度での前記コア回転時に第1ワニスが硬化する第1温度まで前記コアを昇温する第1ワニス浸透工程と、前記第2回転速度での前記コア回転時に第2ワニスが硬化する第2温度まで前記コアを昇温する第2ワニス浸透工程とからなることを特徴とする請求項1に記載のモータステータの製造方法。
  3. 前記コイルの端部は、前記コアの端部より軸方向にはみ出すように設置され、このコイル端部に前記ワニスを滴下させることを特徴とする請求項1または2に記載のモータステータの製造方法。
  4. 前記コアは、その中心軸を水平方向に設置し、
    前記絶縁材は、複数の貫通孔を有する角筒状に形成され、
    前記ワニスを前記コアの内周側から滴下し、前記貫通口を介して前記コイル内に浸透させることを特徴とする請求項1または2に記載のモータステータの製造方法。
  5. リング状に構成されるコアの内側に突出する複数のティースを設け、このティース間にスロットを形成し、このスロットに絶縁材を介してコイルを配置するモータステータの製造方法において、
    前記コイルの導線を自己融着線で形成し、
    前記スロットに配置した前記コイルに作用する遠心力に前記コイルを形成する導線間の間隙と、前記コアと前記絶縁材及び前記コイルとの間隙が減少するように前記コアをその軸心回りに高速で回転させるコア回転工程と、
    前記自己融着線の融点までコアを昇温するコア昇温工程と、
    を備えたことを特徴とするモータステータの製造方法。
  6. 前記コイルの端部を保持し、前記コアを外側から取り囲む治具に前記コイル及び前記絶縁材を前記スロットに配置した前記コアを固定して、前記治具を前記コアの軸芯回りに回転することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のモータステータの製造方法。
  7. 前記絶縁材は、U字状断面を有する2つの第1、第2シートを角筒状に構成されることを特徴とする請求項6に記載のモータステータの製造方法。
  8. リング状に構成されるコアに内側に突出する複数のティースを設け、このティース間にスロットを形成したモータステータにおいて、
    前記スロットに、絶縁材を介してコイルを配置するコイル配置手段と、
    前記スロットに配置した前記コイルに作用する遠心力により前記コイルを形成する導線間の間隙と、前記コアと前記絶縁材及び前記コイルとの間隙が減少するように前記コアをその軸心回りに回転させるコア回転手段と、
    前記コアにワニスを滴下するワニス滴下手段と、
    前記ワニスが硬化する温度まで前記コアを昇温するコア昇温手段とを備えたことを特徴とするモータステータの製造装置。
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