JP2010236421A - 圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この圧縮機は、パイプ11とそのパイプ11の内部に配置されるモータとを複数の溶接位置P1〜P3で溶接により接合する圧縮機である。モータは、環状のバックヨーク部75、バックヨーク部75から径方向(X方向)の内側に突出する複数のティース部76、及び、隣接するティース部76の間に形成されるスロット77を有するコア71と、スロット77に配置されるコイル72と、スロット77に配置され、コイル72とコア71とを絶縁するスロットセル73とを備えている。バックヨーク部75の複数の溶接位置P1〜P3に対応する部分には、それぞれ空隙(伝熱遮蔽部)S1〜S3が設けられている。
【選択図】図2
Description
また、凹部を設けた場合には、絶縁部材がバックヨーク部に接触しなくなるので、溶接による熱が直接絶縁部材に伝達しなくなり、絶縁部材が融けてしまうのをより抑制することができる。
さらに、この圧縮機では、空隙又は凹部を設けることにより、溶接時の熱膨張や収縮応力による歪みを当該空隙又は凹部において吸収することができるので、コアの変形を軽減することができる。これにより、コアの内部に配置される回転子とコアとの間のエアギャップが均一になり、磁束がアンバランスになるのを抑制することができる。その結果、電磁加振力が発生するのを抑制することができ、振動及びその振動による騒音が発生するのを抑制することができる。
また、当該空隙又は凹部が油や冷媒の通路となる場合、コイルが冷却されるため圧縮機の効率が向上すると共にコイルの信頼性が向上する。
また、モータの電磁振動を当該空隙又は凹部によって吸収することができるので、ケーシングに伝達される振動を抑えることが可能となり、低騒音及び低振動の圧縮機を得ることができる。
また、凹部を設けた場合には、絶縁部材がバックヨーク部に接触しなくなるので、溶接による熱が直接絶縁部材に伝達しなくなり、絶縁部材が融けてしまうのをより抑制することができる。
さらに、この圧縮機では、空隙又は凹部を設けることにより、溶接時の熱膨張や収縮応力による歪みを当該空隙又は凹部において吸収することができるので、コアの変形を軽減することができる。これにより、コアの内部に配置される回転子とコアとの間のエアギャップが均一になり、磁束がアンバランスになるのを抑制することができる。その結果、電磁加振力が発生するのを抑制することができ、振動及びその振動による騒音が発生するのを抑制することができる。
また、当該空隙又は凹部が油や冷媒の通路となる場合、コイルが冷却されるため圧縮機の効率が向上すると共にコイルの信頼性が向上する。
また、モータの電磁振動を当該空隙又は凹部によって吸収することができるので、ケーシングに伝達される振動を抑えることが可能となり、低騒音及び低振動の圧縮機を得ることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るCO2冷媒用ロータリー圧縮機の内部構造を示した断面図である。図2は、圧縮機の水平断面図である。図3は、モータの平面図である。図4は、固定子の部分拡大図である。図5は、コアの平面図である。図6は、溶接位置と空隙との位置関係を示した模式図である。図7は、バックヨーク部の各位置における磁束密度の変化を示したグラフである。以下、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る圧縮機1について詳細に説明する。
第1実施形態に係るロータリー圧縮機1は、図1に示すように、2シリンダ型ロータリー圧縮機であって、密閉ケーシング10と、密閉ケーシング10内に配置されるモータ20及び圧縮機構30と、密閉ケーシング10の側方に配置されるアキュームレータ40とを備えている。このロータリー圧縮機1は、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であって、CO2冷媒(以下、冷媒と略記する)を利用している。そして、このロータリー圧縮機1は、密閉ケーシング10内において、圧縮機構30がモータ20の下側に配置される。また、密閉ケーシング10の下部には、圧縮機構30の各摺動部に供給される潤滑油50が貯留されている。
密閉ケーシング10は、パイプ11、トップ12及びボトム13によって構成されている。パイプ11は、上下方向に延びた略円筒状の部材であり、その上下端が開口している。また、パイプ11の側面には後述するインレットチューブ43a及び43bを密閉ケーシング10の内部に導入するための接続口11a及び11bが上下方向に並んで2つ形成されている。そして、この接続口11a及び11bの内周面には、インレットチューブ43a及び43bを保持する円筒形状の継手管14a及び14bがそれぞれ接合されている。トップ12は、パイプ11の上端の開口を塞ぐ部材である。このトップ12には、圧縮機構30によって圧縮された高温高圧の冷媒を密閉ケーシング10の外部に吐出するための吐出管15が取り付けられている。また、トップ12には、モータ20に接続されるターミナル端子16が設けられている。ボトム13はパイプ11の下端の開口を塞ぐ部材である。上記した構成の密閉ケーシング10には、パイプ11、トップ12及びボトム13によって囲まれた密閉空間が形成されている。
モータ20は、各相(U相、V相、W相)のコイル72をコア71のティース部76に巻回した巻線方式が集中巻きのモータである。このモータ20は、その下方に配置される圧縮機構30を駆動するために設けられており、図3に示すように、回転子60と、この回転子60の径方向外側にエアギャップを介して配置される固定子70とを有している。
回転子60は、コア61及び複数の永久磁石62を有している。コア61は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層されるとともに、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。また、コア61には、その略中央部に、平面視で略円形の貫通孔63が形成されている。貫通孔63には、シャフト80の上端部が挿入されており、シャフト80がコア61に固定されている。
固定子70は、図2及び図3に示すように、コア71、コイル72、スロットセル(絶縁部材)73、及び、インシュレータ74a及び74b(図1参照)を有している。
コア71は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層される共に、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。このコア71は、図5に示すように、環状のバックヨーク部75と、そのバックヨーク部75から径方向(X方向)の内側に突出する9個のティース部76と、隣接するティース部76の間に形成される9個のスロット77とを有している。コア71の略中央部分には、上下方向に延びた貫通孔Hが形成されている。この貫通孔Hの内部には、上記した回転子60(図3参照)が配置される。なお、コイル72の巻線方式が集中巻きのモータ20では、上記したバックヨーク部76は、コイルの巻線方式が分布巻のモータに比べて、その径方向(X方向)の幅が小さくなっている。
図1に示すように、シャフト80は、上記した回転子60と共に回転することによって、圧縮機構30のピストン34及び37を回転させる。このシャフト80には、後述するフロントシリンダ33のシリンダ室T1内に位置するように偏心部81が設けられると共に、リアシリンダ36のシリンダ室T2内に位置するように偏心部82が設けられている。これらの偏心部81及び82には、ピストン34及び37がそれぞれ装着されており、シャフト80の回転に伴って、偏心部81に装着されるピストン34がシリンダ室T1で回転すると共に、偏心部82に装着されるピストン37がシリンダ室T2で回転する。なお、偏心部81と偏心部82とは、シャフト80の回転方向に180°ずれた位置に配置されている。
圧縮機構30は、図1に示すように、モータ20のシャフト80の回転軸に沿って上から下に向かって、2重構造となっているフロントマフラ31と、フロントヘッド32と、フロントシリンダ33及びピストン34と、ミドルプレート35と、リアシリンダ36及びピストン37と、リアヘッド38と、リアマフラ39とを有している。
アキュームレータ40は、密閉ケーシング10の外部からその内部に配置されるフロントシリンダ33のシリンダ室T1及びリアシリンダ36のシリンダ室T2のそれぞれに冷媒を供給するために設けられている。このアキュームレータ40は、図1に示すように、鉛直方向に延びる入口管41と、略L字状に屈曲する2つの出口管42a及び42bとを備えている。これにより、入口管41から流入する冷媒は、各出口管42a及び42bを通過して、シリンダ室T1及びT2のそれぞれに供給される。
図8は、本発明の第1実施形態に係る圧縮機のコアの製造方法を説明するための分解斜視図である。次に、図8を参照して、第1実施形態に係る圧縮機のコアの製造方法について説明する。
本実施形態の圧縮機1には、以下のような特徴がある。
図9は、本発明の第2実施形態に係る固定子の部分拡大図である。次に、図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る固定子170について詳細に説明する。なお、この第2実施形態では、コア171のバックヨーク部175に設けられる空隙S11以外の構成は、第1実施形態と同様であるのでその説明を適宜省略する。
コア171は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層される共に、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。このコア171は、図9に示すように、環状のバックヨーク部175と、そのバックヨーク部175から径方向(X方向)の内側に突出する複数のティース部176と、隣接するティース部176の間に形成されるスロット177とを有している。
本実施形態の圧縮機には、以下のような特徴がある。
図10は、本発明の第3実施形態に係る固定子の部分拡大図である。次に、図10を参照して、本発明の第3実施形態に係る固定子270について詳細に説明する。なお、この第3実施形態では、コア271のバックヨーク部275に設けられる空隙S21以外の構成は、第1及び第2実施形態と同様であるのでその説明を適宜省略する。
コア271は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層される共に、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。このコア271は、図10に示すように、環状のバックヨーク部275と、そのバックヨーク部275から径方向(X方向)の内側に突出する複数のティース部276と、隣接するティース部276の間に形成されるスロット277とを有している。
本実施形態の圧縮機には、以下のような特徴がある。
図11は、本発明の第4実施形態に係る固定子の部分拡大図である。次に、図11を参照して、本発明の第4実施形態に係る固定子370について詳細に説明する。なお、この第4実施形態では、コア371のバックヨーク部375に設けられる伝熱遮蔽部以外の構成は、第1〜第3実施形態と同様であるのでその説明を適宜省略する。
コア371は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層される共に、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。このコア371は、図11に示すように、環状のバックヨーク部375と、そのバックヨーク部375から径方向(X方向)の内側に突出する複数のティース部376と、隣接するティース部376の間に形成されるスロット377とを有している。
本実施形態の圧縮機には、以下のような特徴がある。
図12は、本発明の第4実施形態の第1変形例に係る固定子の部分拡大図であり、図13は、本発明の第4実施形態の第2変形例に係る固定子の部分拡大図である。上記した第4実施形態では、略直方体形状の凹部S31をバックヨーク部375に設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、図12に示した第4実施形態の第1変形例に係る固定子470のように、バックヨーク部475のスロット477に面する部分に形成される凹部S41を、そのY方向の両端部が先細形状になるように形成してもよい。
図14は、本発明の第5実施形態に係る固定子の部分拡大図である。次に、図14を参照して、本発明の第5実施形態に係る固定子670について詳細に説明する。なお、この第5実施形態では、空隙を設ける位置を変更したこと以外は、第1実施形態と同様であるのでその説明を適宜省略する。
コア671は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層される共に、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。このコア671は、図14に示すように、環状のバックヨーク部675と、そのバックヨーク部675から径方向(X方向)の内側に突出する複数のティース部676と、隣接するティース部676の間に形成されるスロット677とを有している。
図15は、本発明の第5実施形態の第1変形例に係る固定子の部分拡大図であり、図16は、本発明の第5実施形態の第2変形例に係る固定子の部分拡大図である。上記した第5実施形態では、第1実施形態の空隙S1と形状,大きさ,範囲が同様の空隙S61をティース部676の径方向(X方向)の外側に設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、図15に示した第5実施形態の第1変形例に係る固定子770のように、第2実施形態の空隙S11と同様に、Y方向の両端部が先細形状の空隙S71を、ティース部776の径方向(X方向)の外側に位置するバックバックヨーク部775に設けてもよい。また、図16に示した第5実施形態の第2変形例に係る固定子870のように、第3実施形態の空隙S21と同様に、径方向(X方向)に沿って所定の間隔を隔てて設けられる3つの空隙S81を、ティース部876の径方向(X方向)の外側に位置するバックヨーク部875に設けてもよい。
図17は、本発明の第6実施形態に係る固定子の部分拡大図である。次に、図17を参照して、本発明の第6実施形態に係る固定子970について詳細に説明する。なお、この第6実施形態では、凹部を設ける位置を変更したこと以外は、第4実施形態と同様であるのでその説明を適宜省略する。
コア971は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層される共に、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。このコア971は、図17に示すように、環状のバックヨーク部975と、そのバックヨーク部975から径方向(X方向)の内側に突出する複数のティース部976と、隣接するティース部976の間に形成されるスロット977とを有している。
図18は、本発明の第6実施形態の第1変形例に係る固定子の部分拡大図であり、図19は、本発明の第6実施形態の第2変形例に係る固定子の部分拡大図である。上記した第6実施形態では、略直方体形状の凹部S91をバックヨーク部975に設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、図18に示した第6実施形態の第1変形例に係る固定子1070のように、第4実施形態の第1変形例と同様に、Y方向の両端部が先細形状の凹部S101aを、溶接位置P101とスロット1077aとの間に設けると共に、Y方向の両端部が先細形状の凹部S101bを、溶接位置P101とスロット1077bとの間に設けてもよい。
11 パイプ(ケーシング)
20 モータ
71,171,271,371,671,971 コア
72 コイル
73 スロットセル(絶縁部材)
75,175,275,375,475,575,675,775,875,975,1075,1175,1275,1475,1575 バックヨーク部
76,176,276,376,676,776,876,976,1176 ティース部
77,77a,77b,77c,177,277,377,477,577,677,977,1077a,1077b,1177a,1177b スロット
S1,S2,S3,S11,S21,S61,S71,S81,S91,S101a,S101b,S121,S13H,S13L,S141,S151 空隙(伝熱遮蔽部)
S31,S41,S51a,S51b,S91a,S91b,S111a,S111b,S111c,S111d 凹部(伝熱遮蔽部)
P1,P2,P3,P11,P21,P31,P61,P91,P101,P111,P121,P13H,P13L,P141,P151 溶接位置
Claims (15)
- ケーシングとそのケーシングの内部に配置されるモータとを複数の溶接位置で溶接により接合する圧縮機において、
前記モータは、
環状のバックヨーク部、前記バックヨーク部から径方向の内側に突出する複数のティース部、及び、隣接する前記ティース部の間に形成されるスロットを有するコアと、
前記スロットに配置されるコイルと、
前記スロットに配置され、前記コイルと前記コアとを絶縁する絶縁部材とを備え、
前記バックヨーク部の前記複数の溶接位置に対応する部分の少なくとも1つには、伝熱遮蔽部が設けられていることを特徴とする、圧縮機。 - 前記伝熱遮蔽部は、前記溶接位置とその溶接位置に近接する前記スロットとの間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の圧縮機。
- 前記伝熱遮蔽部は、上下方向に関して前記溶接位置に対応する部分にのみに設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧縮機。
- 平面視において、前記伝熱遮蔽部は、前記径方向に交差する方向に延在し、その延在する方向の端部が先細形状又は円形状であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
- 前記ケーシングには、前記溶接位置に対応する部分に溶接孔が設けられ、
平面視において、前記伝熱遮蔽部の前記径方向に交差する方向の幅は、前記溶接孔の前記径方向に交差する方向の幅より大きいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧縮機。 - 前記伝熱遮蔽部は、前記径方向に沿って間隔を隔てて複数設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧縮機。
- 前記伝熱遮蔽部は、前記バックヨーク部の前記径方向中央より外側の部分に配置されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧縮機。
- 前記伝熱遮蔽部は、前記バックヨーク部の外端部から離間した位置に設けられる空隙、又は、前記バックヨーク部の前記スロットに面する部分に形成される凹部であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧縮機。
- 前記凹部は、一の前記スロットに対して複数設けられることを特徴とする、請求項8に記載の圧縮機。
- 前記絶縁部材は、フィルムであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の圧縮機。
- 前記絶縁部材は、油及び/又は冷媒に対して浸透性があることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の圧縮機。
- 前記絶縁部材は、その内部に気泡を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の圧縮機。
- 前記ケーシングと前記バックヨーク部の外周面との間には、隙間が設けられていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の圧縮機。
- 前記コイルの巻線方式が集中巻きであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の圧縮機。
- CO2冷媒を用いたことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の圧縮機。
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