JP2004112888A - Pwmコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】僅かの電子部品構成により確実な架線停電検出を行えるPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路を提供する。
【解決手段】主回路入力に交流リアクトルとPWMコンバータを有するPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路であって、主回路が接続された電源側の停電を検出するためにPWMコンバータ制御用のPLL回路23の位相比較器23a出力の同期外れ量を計測し所定量を超えた時点で停電とする停電検出回路とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば交流架線区間を走行するPWMコンバータを有する車両用補助電源装置等のPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は例えば、94年電気学会論文誌、T.IEE Japan, Vol. 114−D, No.6, ’94(604頁〜)に開示された従来のPWMコンバータの架線停電検出回路を示す構成図である(例えば、非特許文献1参照)。図4において、1はAC25kV交流架線から集電するパンタグラフ、2は高圧回路全体の開閉を行う遮断器、3はAC25kV電圧を例えばAC400Vの低圧に変換する主変圧器、4は補助電源装置の回路開閉を行う接触器、5は入力に設置する交流リアクトル、6は入力単相交流を直流に変換するPWMコンバータ、7は直流から3相定電圧交流に変換する3相インバータ、8および9はインバータ出力のPWM波形の高調波成分を除去し正弦波とする交流フィルタリアクトルおよび交流フィルタコンデンサ、10は負荷である。
【0003】
また11はPWMコンバータ入力電流を測定する電流センサ、12は入力電流の基本波成分のみを除去する基本波カットフィルタ、13は基本波を除去した高調波の実効値を検出する実効値検出回路、14は高調波の実効値の判定基準値を決めるところの第1の基準電圧、15は高調波実効値と第1の基準電圧14を比較する第1の比較回路、16はPWMコンバータ6と3相インバータ7間の直流電圧を測定する電圧センサ、17は直流リンク電圧低下の判定基準値を決めるところの第2の基準電圧、18は直流リンク電圧と第2の基準電圧17を比較する第2の比較回路である。
【0004】
以下に従来の架線停電検出回路の動作について説明する。新幹線等で採用されているAC25kV交流架線方式の場合、補助電源装置として図4に示すようなPWMコンバータ方式補助電源装置がしばしば使用される。
【0005】
まず交流架線からパンタグラフ1で集電されたAC25kV電圧は遮断器2を経由して主変圧器3へ供給される。この電圧は主変圧器3で低圧のAC400V等の低圧に降圧される。
【0006】
接触器4、交流リアクトル5、PWMコンバータ6で構成されるAC/DC変換器はこの単相AC400V電圧を直流例えばDC750Vに変換する。その後、直流は3相インバータ7、交流フィルタリアクトル8、交流フィルタコンデンサ9により3相交流、例えばAC400V、3相電圧に変換され負荷10へ供給される。
【0007】
このようなPWMコンバータ方式補助電源装置において交流架線に停電が発生した場合、負荷が軽い場合にはほとんど直流リンク電圧が下がらず、PWMコンバータ部が運転を継続するため主変圧器3を通して架線に逆加圧されるため、架線停電が判別できない状態となる。
【0008】
従来においてはこの架線停電を検出するため以下のような方法で行っていた。まず車両側に共通母線を持ち、複数の補助電源装置が接続されている場合、装置毎で回生するものと力行するものがあり、それがアンバランスする場合には、回生モード゛となっている装置の直流リンク電圧が低下するため停電であることを検出できる。実際、図4における電圧センサ16で直流電圧を検出し、比較器18で基準電圧17と比較し、ある基準電圧以下になった場合には比較器18の出力が反転動作するのでこの信号を検出してPWMコンバータ6を一旦停止させることにより停電検出が可能である。
【0009】
また回生と力行がバランスし見かけ上あたかも架線電圧があるかのように見える場合は、実際の架線と比較し、PWMコンバータ6の場合は高調波電流が増加するため、これで判別する。電流センサ11で検出した電流成分の内、基本波分を基本波カットフィルタ12で除去し高調波分のみを検出する。これを実効値検出回路13に通し実効値を検出し、基準電圧14と比較器15で比較する。架線停電時はPWMコンバータ6の電圧のみとなり高調波増加するため、これで停電検出を行う。
【0010】
従来は以上の2回路を併用し、停電検出を行っていた。しかしながら直流電圧低下検出による方法は力行と回生がバランスすると検出できず、また高調波検出による方法も複数のPWMコンバータが共通母線につながっている場合は少しの位相ずれで高調波が増加しない場合があり、これらを併用しても停電検出できない場合がしばしば見られた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来のこの種の停電検出回路では停電検出ができないケースがあり、そのために装置によっては停電再加圧時に電圧・位相が急変し、過電流等が発生するという問題点があった。
【0012】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、確実に停電検出を行えるPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的に鑑み、この発明は、主回路入力に交流リアクトルとPWMコンバータを有するPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路であって、主回路が接続された電源側の停電を検出するためにPWMコンバータ制御用のPLL回路の位相比較器出力の同期外れ量を計測し所定量を超えた時点で停電とすることを特徴とするPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路にある。
【0014】
また、共通母線に複数接続された車両用のPWMコンバータ方式の補助電源装置の停電検出回路であることを特徴とする。
【0015】
また、電源線電圧または車両用の場合には架線電圧の高調波分を除去した信号のゼロ点を検出するゼロクロス検出回路と、このゼロクロス検出回路の出力信号とこれを前記PLL回路に入力させて得られるPLL回路の出力との同期が外れている間、信号を出力する前記PLL回路の位相比較器と、この位相比較器の出力がある間、カウントを行うカウンタと、このカウンタの出力が所定量を越えた時にセットされるフリップフロップ回路と、からなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はPWMコンバータ方式の補助電源装置に設けられたこの発明の一実施の形態による停電検出回路を示すもので、図において、1はAC25kV交流架線(電源線)から集電するパンタグラフ、2は高圧回路全体の開閉を行う遮断器、3はAC25kV電圧を例えばAC400Vの低圧に変換する主変圧器、4は補助電源装置の回路開閉を行う接触器、5は入力に設置する交流リアクトル、6は入力単相交流を直流に変換するPWMコンバータ、7は直流から3相定電圧交流に変換する3相インバータ、8および9はインバータ出力のPWM波形の高調波成分を除去し正弦波とする交流フィルタリアクトルおよび交流フィルタコンデンサ、10は負荷である。
【0017】
また20は架線電圧を検出する電圧センサ(PT)、21は架線電圧の高調波分を除去するローパスフィルタ、22は架線電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出回路、23は位相比較器23a、ループフィルタ23b、電圧/周波数変換器(V/fコンバータ)23cおよびカウンタ23dから構成されるPLL回路、24はクロック発振器(OSC)、25はカウンタ、26はフリップフロップ(FF)である。
【0018】
以下に本発明による架線停電検出回路の動作について説明する。従来と同様に交流架線からパンタグラフ1で集電されたAC25kV電圧は遮断器2を経由して主変圧器3へ供給される。この電圧は主変圧器3でAC400V等の低圧に降圧される。
【0019】
接触器4、交流リアクトル5、PWMコンバータ6で構成されるAC/DC変換器は従来と同様に単相AC400V電圧を直流に変換する。そして直流リンク電圧は3相インバータ7、交流フィルタリアクトル8、交流フィルタコンデンサ9により3相交流、例えばAC400V、3相電圧に変換され負荷10へ供給される。
【0020】
この種のPWMコンバータを構成する場合、通常制御の基準信号作成用としてPLL回路23が使用される。PLL回路を使用するにあたっては電圧センサ20で検出した架線電圧の高調波分をローパスフィルタ21で除去し、ほぼ正弦波に近い波形とした後にゼロクロス検出回路22に入力する。その波形を図2に示す。図2の(A)に高調波を除去した架線電圧波形Vpを示す。これをゼロクロス検出回路22に通すと、正弦波のゼロ点で論理が反転する(B)のPCAのような波形を得る。
【0021】
PLL回路23内の位相比較器23aはこのPCA信号とPLL回路23の出力であるカウンタ23dのPCB出力(図2の(C))を比較し、その立ち上がりタイミングの時間差の期間だけパルスΔθを出力する。これを図2の(D)に示す。通常架線電圧にPLLが同期している場合はこのパルス幅は非常に狭く10μs程度である。
【0022】
ここで例えばPLLが架線電圧に同期している状態から、架線電圧が停電した場合を想定する。通常運転時の各電圧・電流ベクトルを図3に示す。ここでVp’は主変圧器2次側から見た架線電圧、VconvはPWMコンバータ入力電圧、IconvはPWMコンバータ入力電流、LはPWMコンバータ6入力部のACL1のインダクタンス値である。
【0023】
通常運転時PWMコンバータ6は主変圧器3の2次側から見た架線電圧Vp’に対し、ACL1のインダクタンス分Lの電圧降下分jωL*Iconv分だけ遅れたベクトルVconvの電圧を出力している。この状態でVp’とVconvとの位相差はφである。ここで架線電圧停電が発生した場合、Vp’が瞬時に無くなるため、PWMコンバータ6の電圧Vconvが残るものの位相が一瞬にしてφだけ変化する。これを図2の(A)中央部に示す。
【0024】
そのためにゼロクロス検出回路22の出力PCAが一瞬にしてφだけ変化する(図2の(B))。これに対しPLL回路23の出力PCBはすぐには変化しないため、PLL内の位相比較器23aの出力ΔQは図2の(D)のようにφの期間だけパルスを出力する。このパルス幅をクロック発振器24で駆動するカウンタ25で計測する。
【0025】
ゼロクロス検出回路22の出力PCAを図2の(D)のように該カウンタ25のリセット解除信号として用いる。ゼロクロス信号が”L”の場合はカウンタ25はリセットされ、”H”の場合はカウントする構成とする。従って架線停電時には期間φの間、カウンタ25はカウントアップするが、この値がある値Qnを越えた場合には次段のフリップフロップ26をセットする。このQnという値を適切な値、例えば位相角で5°等の値に設定することにより停電検出が可能となる。通常PLLでは上記のように同期外れ量はごく僅かであり、停電時のみ動作するので確実な検出が可能である。
また共通母線に複数の車両用補助電源が接続されている場合でも停電時には同様に電圧位相が急変するため検出可能である。通常この種のPWMコンバータは制御用にPLL回路を設置しており、これにクロック発振器24、カウンタ25、フリップフロップ26という僅かな回路構成を加えることにより容易に停電検出が実施可能となるのが本発明の特徴である。
【0026】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、主回路入力に交流リアクトルとPWMコンバータを有するPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路であって、主回路が接続された電源側の停電を検出するために、電源線の電圧に基づき制御用基準信号を作成するPWMコンバータ制御用PLL回路の位相比較器出力の同期外れ量を計測し所定量を超えた時点で停電とすることを特徴とするPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路としたので、より確実に停電検出を行える。
【0027】
また、共通母線に複数接続された車両用のPWMコンバータ方式の補助電源装置の停電検出回路に適用した場合でも、停電時には同様に電圧位相が急変するため検出可能である。
【0028】
また、電源線電圧または車両用の場合には架線電圧の高調波分を除去した信号のゼロ点を検出するゼロクロス検出回路と、このゼロクロス検出回路の出力信号とこれを前記PLL回路に入力させて得られるPLL回路の出力との同期が外れている間、信号を出力する前記PLL回路の位相比較器と、この位相比較器の出力がある間、カウントを行うカウンタと、このカウンタの出力が所定量を越えた時にセットされるフリップフロップ回路と、から構成したので、PWMコンバータ制御用PLL回路の位相比較器を兼用できかつ簡単な構成で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態によるPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路の構成図である。
【図2】図1の停電検出回路の動作タイミングチャートである。
【図3】図1の停電検出回路の動作を説明するためのPWMコンバータの動作時の電圧・電流のベクトル図である。
【図4】従来のPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路の構成図である。
【符号の説明】
1 パンタグラフ、2 遮断器、3 主変圧器、4 接触器、5 交流リアクトル、6 PWMコンバータ、7 3相インバータ、8 交流フィルタリアクトル、9 交流フィルタコンデンサ、10 負荷、20 電圧センサ(PT)、21ローパスフィルタ、22 ゼロクロス検出回路、23 PLL回路、23a 位相比較器、24 クロック発振器(OSC)、25 カウンタ、26 フリップフロップ(FF)。

Claims (3)

  1. 主回路入力に交流リアクトルとPWMコンバータを有するPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路であって、主回路が接続された電源側の停電を検出するためにPWMコンバータ制御用のPLL回路の位相比較器出力の同期外れ量を計測し所定量を超えた時点で停電とすることを特徴とするPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路。
  2. 共通母線に複数接続された車両用のPWMコンバータ方式の補助電源装置の停電検出回路であることを特徴とする請求項1に記載のPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路。
  3. 電源線電圧または車両用の場合には架線電圧の高調波分を除去した信号のゼロ点を検出するゼロクロス検出回路と、
    このゼロクロス検出回路の出力信号とこれを前記PLL回路に入力させて得られるPLL回路の出力との同期が外れている間、信号を出力する前記PLL回路の位相比較器と、
    この位相比較器の出力がある間、カウントを行うカウンタと、
    このカウンタの出力が所定量を越えた時にセットされるフリップフロップ回路と、
    からなることを特徴とする請求項1または2に記載のPWMコンバータ方式の補助電源装置のための停電検出回路。
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