JP2004112633A - 画像読取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリッジの保持機構が従来の構成でありながら、ミラー上にごみが付着することによる画質劣化をできるだけ抑えることが可能な画像読取装置を提供すること。
【解決手段】原稿画像読取時に副走査方向に移動中のキャリッジが主走査方向にずれると、1走査ライン上の画素の内、ごみを排除するための補正を施すべき画素を、ずれが生じない場合における画素(第2500〜2520番の画素)からそのずれ量に対応する画素(第2550〜2570番の画素)に変更する。
【選択図】 図12
【解決手段】原稿画像読取時に副走査方向に移動中のキャリッジが主走査方向にずれると、1走査ライン上の画素の内、ごみを排除するための補正を施すべき画素を、ずれが生じない場合における画素(第2500〜2520番の画素)からそのずれ量に対応する画素(第2550〜2570番の画素)に変更する。
【選択図】 図12
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ミラーを移動させて原稿の画像を読み取るミラースキャン方式の画像読取装置に関し、特に当該ミラーに付着した異物の画像データへの影響を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル複写機などが備える画像読取装置は、従来、原稿の読み取りに先立って白色基準板を読み取り、その読み取ったデータをシェーディング補正用の基準データとして用い、光源の配光のばらつき、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサの画素出力のばらつき等を補正するシェーディング補正を行っている。
【0003】
一方、画像読取装置の原稿読取方式の一つに、原稿を固定した状態でミラーを副走査方向に移動させながら原稿の画像を読み取る、いわゆるミラースキャン方式がある。
このようなミラースキャン方式では、塵の混入などによりミラー上にごみが付着すると、原稿読取中にこのごみを常時読み取るため、読み取って得られた画像データから再現された画像に副走査方向に連続する黒すじができてしまい、画質が大変劣化するという問題がある。
【0004】
そこで、従来から、例えばシェーディング補正時に、1走査ライン上の画素の内、ミラー上に付着しているごみの主走査方向における位置を特定しておき、原稿読取時に、読み取った各ラインについて、当該特定した位置と主走査方向に同一の位置にある画素のデータを補正して行くことにより、ごみの影響をできるだけ除去するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−247445号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ミラースキャン方式の画像読取装置では、ミラー上にごみが付着している場合、図14(a)に示すように、コピーされた用紙にすじ状のノイズ91が現れる場合があり、効果的に画質劣化を抑えることができない。
このようなノイズ91が現れるのは、ミラースキャン方式におけるミラーの移動機構に原因がある。すなわち、ミラースキャン方式では、通常、図14(b)に示すようにミラー93を保持しているキャリッジ92が、レール、シャフト等からなるガイド部材(不図示)により副走査方向に移動自在にガイドされているのであるが、キャリッジ92とガイド部材の間には、主走査方向に微小な遊びがあり、そのため原稿読取中にキャリッジ92(ミラー93)がその遊び分だけ主走査方向にずれる場合がある。例えば、シェーディング補正時に特定したごみ94の主走査方向における位置が第3000番目の画素の位置であった場合に、原稿読取中にキャリッジ92が30画素分だけ主走査方向にずれると、ごみ94の主走査方向における位置も3030番目の画素の位置までずれることになる。
【0007】
ところが、従来では、このようなずれを考慮しておらず、全ラインについて、シェーディング補正時に特定した3000番目の画素のデータを補正しているだけである。そのため、実際にごみ94が付着している部分に当たる3030番目の画素のデータについては補正されず、上記のようなノイズ91が現れて来るのである。
【0008】
これに対し、キャリッジとガイド部材の主走査方向における遊びをなくすように構成することが考えられるが、大変高価になる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであって、キャリッジの保持機構が従来の構成でありながら、ミラー上にごみが付着することによる画質劣化をできるだけ抑えることが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像読取装置は、副走査方向にミラーを移動させて原稿画像を読み取って、画像データを生成するミラースキャン方式の画像読取装置であって、前記ミラー表面の異物を検出する異物検出手段と、前記ミラーが副走査方向に移動する際に生じる主走査方向における変位を検出する変位検出手段と、検出されたミラー表面の異物による画像データへの影響を除去するように、検出されたミラーの主走査方向の変位に応じて前記原稿を読み取った画像データを補正する画像補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、基準板と、前記基準板を読み取ったときの各画素のデータに基づき、前記異物による画像データへの影響を除去するための補正データを生成する補正データ生成手段と、を備え、前記画像補正手段は、主走査ライン毎に、当該ライン上の各画素の内、前記生成された補正データによる補正を施すべき画素を、ミラーの主走査方向の変位に応じて変えることにより、前記原稿を読み取った画像データを補正することを特徴とする。
【0011】
さらに、前記基準板は、シェーディング補正板であり、前記補正データ生成手段は、当該シェーディング補正板を読み取ったときの各画素のデータに基づき、シェーディング補正用の基準データを生成する基準データ生成手段と、生成された基準データから、ミラー表面の異物の付着部分に対応するデータを抽出する抽出手段と、を備え、抽出されたデータを前記補正データとすることを特徴とする。
【0012】
また、前記異物検出手段は、前記基準板を副走査方向に異なる複数の位置で読み取って得られたデータの値が、全て主走査方向のほぼ同じ位置で変化していることが検出されたときに、前記ミラー表面に異物があると検出することを特徴とする。
また、前記ミラーの原稿画像の読み取りに使用される領域以外の部分に基準マークが設けられ、前記変位検出手段は、当該基準マークの主走査方向における位置を検出することによって当該ミラーの主走査方向の変位を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像読取装置の実施の形態を、デジタル式の複写機(以下、単に「複写機」という。)に適用した場合について説明する。
(1.複写機1の全体構成)
図1は、複写機1の全体の構成を示す図である。
【0014】
同図に示すように、この複写機1は、原稿自動搬送装置10と、原稿読取部30と、画像形成部50と、給紙部70を備える。
原稿自動搬送装置10は、原稿給紙トレイ11上にセットされた複数の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部30のプラテンガラス20上に設定された所定の原稿読取位置まで搬送し、原稿読取部30により原稿画像の読み取りが行われると、原稿排紙トレイ12上に排出する公知の装置である。
【0015】
原稿読取部30は、プラテンガラス20の下方をパルスモータ36(図3参照)の駆動により図の矢印A方向に走行する第1スライダーユニット(スキャナ)31を備える。第1スライダーユニット31は、移動の開始位置(走査開始位置。シェーディング補正板22の真下の位置)を左端とし、原稿読取位置に搬送された原稿の大きさ等に応じた所定距離を矢印Aで示した副走査方向に移動することによって原稿画像を走査する。原稿読取部30は、露光ランプ311の照射による原稿からの反射光を第1ミラー312、第2ミラー321、第3ミラー322を介して光路変更しつつ、レンズ34を介してCCDセンサ33に結像させる。CCDセンサ33は、ここでは600dpiの解像度で入射光を電気信号に変換し、読取データとして制御部100に送る。
【0016】
制御部100は、受信した読取データにシェーディング補正などの各種のデータ処理を施し、記録シートの供給と同期して主走査ライン(以下、単に「ライン」という。)ごとに読み出してレーザダイオード58を駆動する。
画像形成部50は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、感光体ドラム51、レーザダイオード58、ポリゴンミラー59、帯電チャージャ53、現像器54、転写チャージャ55、分離チャージャ56、クリーナ52等を備える。制御部100から出力される駆動信号に基づきレーザダイオード58が駆動されてレーザ光が出射され、そのレーザ光は一定速度で回転されるポリゴンミラー59にて偏向走査されて矢印方向に回転駆動される感光体ドラム51上を露光走査する。
【0017】
感光体ドラム51は、上記露光を受ける前にクリーナ52により残留トナーを除去されると共に、帯電チャージャ53により一様に帯電されており、この露光により静電潜像が形成される。その静電潜像は、現像器54によりトナーの供給を受けて現像され、現像されたトナー像は、転写チャージャ55による転写電界を受けて、給紙部70から搬送されてくる用紙に転写される。
【0018】
トナー画像の転写された用紙は、分離チャージャ56により感光体ドラム51から分離されて、搬送ベルト57により定着部60に搬送され、内部にヒータを備えた定着ローラ61の加熱圧着作用により定着される。定着後の用紙は、排出ローラ62により排紙トレイ63上に排出される。
給紙部70は、用紙を収納しておくための給紙カセット71、72と、この用紙を繰り出すためのピックアップローラ711、721を備え、画像形成部50に用紙を供給する。
【0019】
なお、複写機前面の操作しやすい位置には、操作パネル90(図1の破線)が設置されている。この操作パネルは、コピー開始を指示するためのコピースタートキーやコピー枚数設定用のテンキーなどの各種の入力キー等を備えている。
また、プラテンガラス20の裏面(下面)には、シェーディング補正板22と、第1スライダーユニット31の、画像読取中(スキャン中)の主走査方向におけるずれ量の検出(後述)に用いるシート23が貼着されている。
【0020】
図2は、シェーディング補正板22とシート23が貼着されている状態を説明するための図であり、プラテンガラス20を図1のB方向から見たときの平面図である。
同図に示すように、シェーディング補正板22、シート23は、共に細長い板状の部材であって、シェーディング補正板22は、プラテンガラス20の左側端部(原稿開始位置側端部)に主走査方向に平行に、シート23は、複写機1を正面から見たときの奥側に副走査方向に平行に貼着されている。シェーディング補正板22、シート23の下面(貼着面と反対側の面)全面には、白色コーティングが施されている。なお、シェーディング補正板22、シート23の貼着部分は、非画像域(露光ランプ311により照射はされるが、原稿の画像として扱われない領域)になっており、原稿自動搬送装置10から送られて来る原稿は、プラテンガラス20表面(原稿載置面)の、非画像域以外の画像域内の原稿読取位置まで搬送されることになる。
【0021】
(2.原稿読取部30の構造)
図3は、原稿読取部30の駆動部分の構造を示す斜視図である。
原稿読取部30は、第1スライダーユニット31、第2スライダーユニット32を備えており、各スライダーユニットは、その両端部において、副走査方向(矢印A方向)に配設されたレール46、46’によって摺動可能に保持されている。なお、この移動機構は従来の構成と同様に、各スライダーユニットとレール46間において矢印E(主走査方向)に平行な方向に、ある程度の遊びがある。そのため、各スライダーユニットは、レール46上を摺動中(原稿読取中)に、最大その遊び分だけ矢印E、またはその反対方向にずれる場合がある。
【0022】
第1スライダーユニット31は、スキャナとして作用するものであって、露光ランプ311、第1ミラー312およびこれらを保持する第1キャリッジ313とからなる。
第2スライダーユニット32は、第2ミラー321、第3ミラー322およびこれらのミラーをそのミラー面が90度をなす状態で保持する第2キャリッジ323とからなり、これらのミラー312、321、322相互の位置関係は、図1に示す通りであって、露光ランプ311の原稿面からの反射光をレンズ34を介してCCDセンサ33に導くように配設される。
【0023】
次に、前記第1スライダーユニット31、第2スライダーユニット32を往復動させるための駆動機構について説明する。
この駆動源としてパルスモータ36が利用されており、当該パルスモータ36は、ピニオン361、平歯車371を介して、図示しない軸受け部によって回転自在に保持されたシャフト37を回転駆動する。このシャフト37の両端部にはプーリ372、プーリ372’が同軸上に固着されており、シャフト37の回転と共に回転する。これらのプーリ372,372’と副走査方向の反対側に設けられたプーリ39,39’の間には、それぞれワイヤー38,38’が掛け渡されており、各ワイヤー38,38’の途中に、第1スライダーユニット31の端部が固定されている。
【0024】
一方、第2スライダーユニット32の両側面には、2つのプーリ対40,41および40’,41’が軸支されており、これらのプーリ40,41,40’,41’に上記ワイヤー38,38’が図に示すような状態で掛け渡されている。ワイヤー38,38’の一端は、固定ピン42,42’により原稿読取部30本体に固定されており、またその他端は、ネジリコイルバネ43、43’の一旦に固定されて、ワイヤー38,38’に適当な張力を与えるようになっている。
【0025】
このような構成において、パルスモータ36を回転駆動させると、プーリ372,372’を介してワイヤー38、38’が移動し、これに追随して第1スライダーユニット31および第2スライダーユニット32が移動する。このとき、プーリ40,41,40’,41’が動滑車の役目を果たすため、第2スライダーユニット32は、第1スライダーユニット31に対してその1/2の速度で同一方向へ移動することになる。これにより、第1スライダーユニット31が原稿走査のため移動しても、当該第1のミラー312から集光用のレンズ34までの光路長が一定に保たれ、レンズ34による結像位置を常にCCDセンサ33の表面に維持することができる。なお、第1スライダーユニット31による原稿走査が終わると、パルスモータ36を逆回転させて元の走査開始位置に復帰させる。このとき第2スライダーユニット32も追随して元の位置に復帰する。
【0026】
第1ミラー312には、そのミラー面の装置奥側の位置に、第1ミラー312の主走査方向における位置ずれ検出のための黒色の矩形のパターン(マーク)3121がマーキングされている。図4は、当該パターン3121のマーキング位置を説明するための図である。図4(a)は、第1ミラー312を図3の矢印D方向から見たときの平面図であって、パターン3121とプラテンガラス20との位置関係を示すためにプラテンガラス20を一点鎖線で示してある。図4(b)は、第1ミラー312を図4(a)の矢印F方向から見たときの側面図である。
【0027】
両図に示すように、パターン3121は、第1ミラー312のミラー面上の、プラテンガラス20に貼着されているシート23の下面と対向する位置に設けられており、その長辺を主走査方向と直交させるようにすることで、読み取られたときにそのエッジを検出し易くしている。なお、基準マークとしてのパターン3121の形状は、矩形に限られることはなく、円形等のマークとしても良い。また、シート23の矢印E方向における長さは、第1ミラー312が、第1スライダーユニット31とレール46との間に存在する遊びにより、スキャン中に矢印E、またはその反対方向にずれたとしても当該パターン3121が常にシート23と対向する位置関係になるように、予め決められている。
【0028】
(3.制御部100の構成)
図5は、複写機1内部に設置される制御部100の構成を示す図である。
同図に示すように、制御部100は、シェーディング補正部101、画像処理部102、画像メモリ103、レーザダイオード(LD)駆動部104、ROM105、RAM106およびCPU107を備えている。
【0029】
シェーディング補正部101は、CCDセンサ33から順次送られて来る各画素の画像信号(データ)を受信してシェーディング補正を施し、それを画像処理部102に送る。
画像処理部102は、シェーディング補正されたデータが原稿の反射率データであるため、これを実際の画像の濃度データに変換し、これにMTF補正などの各種補正を施した後、2値のデジタル画像データを生成し、画像メモリ103に1ライン毎に格納して行く。
【0030】
LD駆動部104は、CPU107による画像形成の指示を受けると、画像メモリ103に格納されている画像データを読み出して、レーザダイオード58を駆動するための駆動信号を生成し、レーザダイオード58を駆動させる。
ROM105は、原稿自動搬送装置10における原稿搬送動作、原稿読取部30における原稿読取動作、画像形成部50における画像形成動作、および給紙部70による用紙の給送動作に関するプログラムなどを格納している。
【0031】
CPU107は、ROM105から必要なプログラムを読み出して、原稿読取動作、画像形成動作等をタイミングを取りながら統一的に制御して円滑な複写動作を実行させる。また、操作パネル90においてどのキーが押下されたかを判断し、そのキーに応じた処理、例えばコピースタートキーの場合には、複写動作を開始させる。
【0032】
さらに、シェーディング補正部101に指示して、シェーディング補正データ生成処理とシェーディング補正処理を実行させる。
シェーディング補正データ生成処理は、原稿読取開始直前にシェーディング補正板22を読み取って、読み取って得られたデータからシェーディング補正のための補正係数を求める処理である。
【0033】
一方、シェーディング補正処理は、原稿読取中に、シェーディング補正データ生成処理において求められた補正係数を用いて、各ラインごとに、当該ライン上の各画素のデータにシェーディング補正を施す処理である。
RAM106は、CPU107によるプログラム実行時のワークエリアを提供する。
【0034】
(4.シェーディング補正部101の構成)
図6は、シェーディング補正部101の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、シェーディング補正部101は、A/D変換部111、ラインメモリ112、位置検出部113、シェーディング演算部114、基準位置記憶部115、シェーディングテーブル116、117、118、ごみ付着位置記憶部119を備えている。
【0035】
A/D変換部111は、CCDセンサ33からの各画素のアナログのデータをデジタルのデータに変換してラインメモリ112に送信する。
ラインメモリ112は、1ライン分の各画素のデータを格納する記憶領域を有するメモリであり、A/D変換部111からのデータを順次格納する。
位置検出部113は、ラインメモリ112に格納された1ラインの各画素のデータから、第1スライダーユニット31の主走査方向における位置を検出する。この検出方法については、後述する。
【0036】
シェーディング演算部114は、ラインメモリ112に格納された1ラインの全画素の内、画像域内の各画素について、シェーディング補正を施すための補正係数を求める。また、その補正係数を用いて 各画素のデータにシェーディング補正を施し、画像処理部102に送出する。その際、第1ミラー312のミラー面上に埃等のごみ(異物)が付着している場合には、スキャン中に第1スライダーユニット31が主走査方向にずれたとしても、従来の図14(a)に示すようなノイズ91が現われないように、上記補正係数の値を変更し、変更した補正係数を用いてシェーディング補正を行う。
【0037】
基準位置記憶部115には、シェーディング補正板22を読み取ったときの、第1スライダーユニット31(第1ミラー312)の主走査方向における位置(基準位置)を示すデータが格納される。
シェーディング補正テーブル116〜118は、図7(a)〜図7(c)に示すように、各画素に対応する補正係数を示すデータがそれぞれ格納される。これらシェーディング補正テーブル116〜118の内容については、後述する。
【0038】
ごみ付着位置記憶部119には、シェーディング補正板22を読み取ったときの、第1ミラー312に付着しているごみの主走査方向における位置を示すデータが格納される。
(5.シェーディング補正部101の処理内容)
シェーディング補正部101は、CPU107からの指示により、シェーディング補正データ生成処理とシェーディング補正処理を実行する。
【0039】
(5−1.シェーディング補正データ生成処理)
図8は、シェーディング補正データ生成処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、A/D変換部111は、CCDセンサ33から送られて来るシェーディング補正板22の1ライン分の読取データをラインメモリ112に格納させる(ステップS1)。
【0040】
図9は、シェーディング補正板22を読み取った場合の、ラインメモリ112内に格納された1ライン分の各画素のデータの出力レベルの変化を模式的に示した波形図であり、横軸が主走査方向の画素数に対応している。
本実施の形態では、1ライン上の各画素に、主走査方向に第1番〜第5300番までの番号を付して管理しており、第1番の画素が非画像域の左端を、第300番の画素が非画像域と画像域の境界を、第5300番の画素が画像域の右端の位置を示すものとして予め決められている。なお、上記したように、ここでは原稿画像を600dpi(主走査、副走査共)で読み取っており、そのため画像域の主走査方向の幅(5000画素分の長さ)は、約215(mm)になる。
【0041】
同図に示すように、波形を見ると、非画像域に出力レベルが低下している部分25が存在している。この部分25は、第1ミラー312の非画像域に設けられたパターン3121の読取データを示したものである。なお、部分25の両側はシート23の白色の部分ということになる。
同図には、例えば第1ミラー312のミラー面に、図4に示すようなごみ21が付着していた場合の波形(破線26で示す部分)も合わせて示している。第1ミラー312のミラー面にごみ21が付着していると、そのごみ21により反射光が低減することになり、その部分は破線26で示すように出力レベルがV字形に落ち込むようになる。このことは、シェーディング補正板22表面にごみが付着している場合でも同様である。ここでは、ごみ付着部分に相当する画素が第2500番から第2520番までの画素になっている例を示している。なお、第2ミラー321、第3ミラー322にごみが付着している場合には、破線26のようなV字形の波形になり難い。これは、第2ミラー321、第3ミラー322は、第1ミラー312よりも原稿面から大変離れており、これらのミラー面にごみが付着していたとしても、CCDセンサ33上では、そのごみの像はピントがぼやけた状態になり、レベル変化が少なくなるからである。
【0042】
図8に戻って、ステップS2では、位置検出部113がラインメモリ112に格納された1ラインの各画素のデータから第1スライダーユニット31(すなわち、第1ミラー312)の主走査方向における位置を検出する。
具体的には、図9に示す波形の、非画像域におけるパターン3121を示す部分25の波形の重心位置を公知の演算処理を用いて求め、その求めた位置に対応する画素の番号を、パターン3121の非画像域内における主走査方向の位置として検出するものである。以下、シェーディング補正板22を読み取って得られた第1スライダーユニット31の主走査方向における位置を「基準位置」という。
【0043】
ステップS3では、検出した画素の番号を示すデータを基準位置を示すデータとして、基準位置記憶部115に格納する。例えば、第150番の画素であれば、「150」を示すデータが格納される。
ステップS4では、シェーディング演算部114が、ラインメモリ112に格納された1ライン分の各画素のデータから、シェーディング補正のための補正係数を演算し、その補正係数を示すデータ(シェーディング補正データ)を生成する。具体的には、シェーディング補正板22を読み取ったときの波形(図9)から、1ラインの画像域内における各画素(ここでは、第300番から第5300番までの画素)について、シェーディング歪みによる出力レベルの変化が打ち消されるように補正係数を求める。これは、公知の方法により行われ、例えば図9に示す波形の場合、図10(a)に示すような波形が補正係数を示す波形になる。
【0044】
ステップS5では、各画素について求めた補正係数を示すデータをシェーディングテーブル116(図7(a)の内容例参照)に格納する。
ステップS6では、求めた補正係数の値が、所定の閾値S(図10(a))以上の画素があるか否かを判断する。この閾値Sは、再現画像に影響を与える(ノイズとなって現れる)程度のごみが付着しているか否かを出力レベルにより判断するために設けられたものであり、予め実験等で求められてシェーディング演算部114の図示しないメモリに記憶されている。
【0045】
補正係数が閾値S以上の画素がある場合には、シェーディング補正板22、第1ミラー312のミラー面上のいずれかの画像域に埃等のごみが付着していることになる。
そこで、ステップS7では、シェーディング演算部114がCPU107に対し、第1スライダーユニット31の移動を要求する。このようにするのは、シェーディング補正板22の表面にごみが付着している場合、第1スライダーユニット31を現在の位置から、例えば2(mm)程度副走査方向に移動させれば、シェーディング補正板22のごみが付着していないラインを読み取ることができるからである。CPU107は、当該要求を受けると、露光ランプ311を点灯させた状態で、第1スライダーユニット31をシェーディング補正板22を読み取れる範囲内において、約1(mm)分だけ副走査方向に移動させる。
【0046】
ステップS8において、上記移動要求が3回目に達していない場合(1回目、2回目の場合)と判断すると、ステップS1に戻り、再度ステップS1〜S7の処理を繰り返し実行する。その際、ステップS1の読取データの格納、S3の位置データの格納、S5のシェーディング補正データの格納については、上書き保存になる。
【0047】
上記移動要求が3回目であると判断すると(ステップS8で「Y」)、ごみが第1ミラー312のミラー面上に付着しているものと判断する(ステップS9)。これは、シェーディング補正板22に付着すると予想されるごみには、そもそも2(mm)を越えるような大きなものがなく、したがって第1スライダーユニット31を2(mm)移動させても補正係数が閾値Sを越える画素があるということは、ごみはシェーディング補正板22ではなく、第1ミラー312側に付着していると考えられるからである。この第1スライダーユニット31を副走査方向に移動させる回数、移動量は、適宜設定される。
【0048】
第1ミラー321のミラー面上にごみがあると判断すると、そのことを示すフラグ(ごみありフラグ)を立てる。
ステップS10では、ごみが付着している部分の主走査方向おける位置を特定し、その特定した位置を示すデータをごみ付着位置記憶部119に格納する。具体的には、ステップS4で生成したシェーディング補正データから、ごみに相当する部分の画素の番号を特定し、その画素の番号を示すデータをごみ付着位置記憶部119に格納する。ごみが付着している部分に相当する画素が、上記例のように第2500番から第2520番までの画素の場合、「2500、2501・・・2520」を示すデータが格納されることになる。
【0049】
なお、上記では、補正係数が閾値S以上の画素をごみが付着している部分の画素として特定するとしたが、ごみ付着部分の画素を特定する方法は、これに限られず、例えばある画素について、隣接する画素との補正係数の差を演算し、その差が所定の閾値を越える場合に、その画素をごみが付着している部分の画素として特定するとしても良い。
【0050】
ステップS11では、ステップS4で生成したシェーディング補正データから、そのごみに相当する部分の画素のデータを削除する。図10(a)の波形例でいうと、破線27の部分を切り取ることになる。
ステップS12では、削除した部分の画素のデータ(補正係数)を補間して、その補間後のシェーディング補正データをシェーディングテーブル117(図7(b)の内容例参照)に格納する。具体的には、図10(a)の波形例の場合、図10(b)に示すように、破線27の部分を切り取って残った実線部分の切断部間を繋ぐように、その間の各画素に対する補正係数を求めるものである。
【0051】
ステップS13では、ステップS4で生成したシェーディング補正データから、上記ごみに相当する部分の画素のデータだけを抽出し、画素番号と対応付けてシェーディングテーブル118(図7(c)の内容例参照)に格納して、当該処理を終了する。具体的には、図10(a)の波形例の場合、図10(c)に示すように、切り取られた破線27の部分の画素の補正係数を示すデータと、その画素番号とを対応付けてシェーディングテーブル118に格納することになる。
【0052】
一方、上記ステップS6において、補正係数が閾値S以上の画素がない、すなわち所定値Sより小さい画素しかない場合には(ステップS6で「N」)、シェーディング補正板22、第1ミラー321双方にごみが付着していないと判断して(ステップS14)、当該処理を終了する。
(5−2.シェーディング補正処理)
図11は、シェーディング補正処理の内容を示すフローチャートである。
【0053】
同図に示すように、シェーディング演算部114は、まず変数Nの値を「1」に設定する(ステップS21)。この変数Nは、原稿画像を読み取ったときの各ラインについて、読取開始の最初のラインを「1」番、それ以降を2番目、3番目・・・と副走査方向に順次番号を付けたときの、その番号を示す数値である。ステップS21では、まず第1番目のラインの各画素のデータをシェーディング補正すべく、Nを「1」としている。
【0054】
ステップS22では、CCDセンサ33から送られて来る第1番目のラインの読取データをラインメモリ112に格納させる。
ステップS23では、第1ミラー312のミラー面にごみが付着しているか否かを判断する。この判断は、上記ごみありフラグが立っているか否かにより行われる。
【0055】
ごみありフラグが立っている場合には(ステップS23で「Y」)、原稿画像の第N番目(ここでは、第1番目)のラインを読み取ったときの、第1スライダーユニット31(第1ミラー312)の主走査方向における位置を検出する(ステップS24)。この処理は、上記ステップS2と同じ方法で行われる。
ステップS25では、ステップS24で検出された位置と上記基準位置記憶部115に格納されている基準位置を比較して、そのずれ量を検出する。双方が同じであれば、ずれ量を「0」、主走査方向に「P」画素分ずれていた場合には、「+P」、主走査方向と「P」画素分だけ反対方向にずれていた場合には、「−P」とする。
【0056】
ステップS26では、検出したずれ量から、第N番目(第1番目)のラインの第300〜第5300番までの画素の内、ごみが付着している部分に相当する画素を特定する。ずれ量が「0」であれば、上記ステップS10において特定した画素(ごみ付着位置記憶部119に格納されている画素の番号)と同じになる。上記例では、第2500番〜第2520番の画素になる。
【0057】
一方、ずれ量が、例えば「+50」であれば、ごみ付着位置記憶部119に格納されている画素の番号に「50」を加算した値、上記例では、第2550〜第2570番の画素になる。また、例えば「−50」であれば、ごみ付着位置記憶部119に格納されている画素の番号から「50」を減算した値、上記例では第2450〜第2470番の画素になる。
【0058】
ステップS27では、変数Mの値を「300」に設定する。この変数Mは、1ライン上の画素番号(図9)を示すものである。
ステップS28では、第M番目(ここでは、300番目)の画素が、異物部(ゴミが付着している部分)に相当する画素であるか否かを判断する。この判断は、第M番目の画素が、ステップS26で特定された画素に含まれるか否かにより行われる。
【0059】
ゴミ付着部分に相当する画素でないと判断すると(ステップS28で「N」)、シェーディングテーブル117に格納されている第M番目の画素に対する補正係数を用いて、第M番目の画素のデータにシェーディング補正を施す(ステップS29)。具体的には、例えば第M番目の画素が第300番の画素である場合には、シェーディングテーブル117の第300番の画素のデータ、すなわちα0を用いることになる。
【0060】
次に、変数M=5300であるか否かを判断し、変数M=5300でないと判断すると(ステップS31で「N」)、現在のMの値に「1」をインクリメントして(ステップS32)、ステップS28に戻る。ステップS28において、第M番目の画素がごみ付着部分に相当する画素であると判断されるまで、S28、S29、S31、S32の処理を繰り返し行う。
【0061】
そして、第M番目の画素がゴミ付着部分に相当する画素であると判断すると(ステップS28で「Y」)、上記例ではMの値が2550〜2570のいずれかになったと判断すると、シェーディングテーブル118に格納されている各画素の内、第M番目の画素に対応する画素の補正係数を用いて、当該第M番目の画素のデータにシェーディング補正を施す(ステップS30)。
【0062】
具体的には、例えば第M番目の画素が第2550番の画素の場合には、シェーディングテーブル118の第2500番の画素に対する補正係数、すなわちβ0を用いる。また、第M番目の画素が第2570番の画素である場合には、第2550番の画素に対する補正係数、すなわちβ20を用いることになる。このようにするのは、ゴミ自体の大きさは基準位置から変わるものではなく、そうであれば基準位置において求められたごみ付着部分の画素(第2500〜2550番の画素)に対する補正係数(すなわち、シェーディングテーブル118の補正係数)を、第1番目のラインにおけるごみ付着部分に相当する画素(第2550〜2570番の画素)に、同じ位置関係にあるもの(画素)同士を対応させて適用して行けばゴミの影響を除去することができるからである。
【0063】
図12は、当該処理の概念図を示す図であり、第1スライダーユニット31(第1ミラー312)が基準位置から見て主走査方向にずれた(変位した)場合には、その変位した分だけ、ごみの影響を除去するための補正係数を適用すべき画素を変更している様子を示したものである。
図11に戻って、ステップ31において、M=5300であると判断すると(ステップS31で「Y」)、第Nライン(ここでは、第1番目のライン)の、画像域内の全画素(第300〜5300番の画素)について、そのデータにシェーディング補正が施されたことになるので、ステップS33に移る。
【0064】
一方、ステップS23においてごみがないと判断すると(ステップS23で「N」)、ステップS34に移って、シェーディングテーブル116に格納されている各画素に対する補正係数を用いて、第1番目のライン上の全画素について、順次そのデータにシェーディング補正を施して行き、ステップS33に移る。
ステップS33では、シェーディング補正後の全画素のデータを画像処理部102に送出する。
【0065】
ステップS35では、読み取られた全てのラインについてシェーディング補正が終了したか否かを判断し、まだであると判断すると(ステップS35で「N」)、現在の変数Nの値に「1」をインクリメントして(ステップS36)、ここでは、N=2として、ステップS22に戻る。
ステップS22では、第2番目のラインの読取データをラインメモリ112に格納させて、以降のステップS23〜S35までの処理を行う。
【0066】
ステップS35において、全てのラインについてシェーディング補正が終了したと判断されるまで、ステップS22〜S36までの処理を繰り返し行い、全ラインについてシェーディング補正が終了したと判断すると(ステップS35で「Y」)、当該処理を終了する。
以上説明したように、本実施の形態では、第1ミラー312にゴミが付着している場合、原稿画像の読取中(スキャン中)に第1ミラー312の主走査方向における位置が変位としても、そのごみによる画像への影響を除去するように、その変位に応じてごみ付着部分に相当する画素のデータを補正している。したがって、従来のようにその変位を全く考慮していないため、シェーディング補正時に特定した画素のデータだけを補正し、スキャン途中に第1ミラーが主走査方向に変位したとき、実際にごみが付着している画素のデータについては補正できず、スキャン途中からすじ状のノイズが現れて来るといったことが生じにくくなり、スキャナ(キャリッジ)の保持機構が従来の遊びがある構成でありながら、画質を向上できるという効果を奏する。
【0067】
(6.変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明の内容は、当該実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば次のような変形例を考えることができる。
(6−1)上記実施の形態では、第1ミラー312のミラー面上にパターン3121を設けるようにしたが、パターンを設ける位置は、これに限定されない。例えば、図13に示すようにプラテンガラス20と第1ミラー312の光路間に黒色のプレート81をパターンとして配設する構成とすることもできる。原稿(プラテンガラス20)に近い方が焦点に近くなり、パターン像のエッジを検出し易くなるので、パターンの主走査方向における位置をより正確に検出することができる。
【0068】
(6−2)上記実施の形態では、第1ミラー312のミラー面上のごみの影響を排除する処理をシェーディング補正に関連付けて実行するようにしたが、シェーディング補正とは別に、上記の処理を実行する構成としても良い。
この場合、例えば上記シェーディング補正データ生成処理において、ステップS4に代えて、読み取ったデータのごみの部分のデータから当該ごみによる画像データへの影響を排除するための補正データ(具体的には、図10(c)の補正係数を示すデータ)を生成する処理を実行し、またステップS5に代えて、生成した補正データを上記とは別のテーブルに格納する処理を実行する。また、ステップS11〜S13の処理を実行しないようにする。そして、シェーディング補正処理では、ステップS30に代えて、第M番目の画素のデータを上記別のテーブルに格納されている補正データに基づいてごみによる画像データへの影響を排除するように補正し、ステップS29を実行しない、すなわち第M番目の画素が異物部に相当する画素でない場合には(ステップS28で「N」)、ステップS31に移って補正を行わない構成とする。なお、シェーディング補正自体を行わないのであれば、シェーディング補正板22とは別の無地の、例えば白色、黄色等の淡い色等の基準板を原稿画像の読取前に読み取れる位置に配置しておけば良い。
【0069】
また、上記とは別の例として、上記シェーディング補正データ生成処理において、ステップS4、S5、S11〜S13を実行しない構成とする。すなわち、シェーディング補正板22(または上記基準板)を読み取ったときの、ごみ付着部分の主走査方向おける位置および第1ミラー312の主走査方向における位置だけを検出する。そして、シェーディング補正処理では、ステップS30に代えて、第M番目の画素のデータをゴミの影響を受けていない隣接する画素のデータに基づいて補正、例えば近似するように補正し、ステップS29を実行しない構成とすることもできる。上記のような補正データ自体を生成せず、ごみ付着部分に相当する画素のデータを隣接する画素のデータに基づいて補正するので、上記テーブル等を設けなくても済む。
【0070】
(6−3)上記実施の形態では、第1ミラー312の表面にごみが付着しているか否かを判断する方法として、図8のシェーディング補正データ生成処理において、補正係数が閾値S以上の画素がある場合には(ステップS6で「Y」)、第1スライダーユニット31(スキャナ)を1(mm)移動させて(ステップS7、S8で「Y」)、再度シェーディング補正板22を読取り、読取ったラインの各画素について、補正係数が閾値S以上の画素があるか否か、すなわちごみが付着しているか否かを判断する(ステップS1〜S6)。ごみが付着していると判断した場合には(ステップS6で「Y」)、さらにスキャナを1(mm)移動させて(ステップS7、S8で「Y」)、ごみが付着しているかを判断する(ステップS1〜S6)という処理を繰り返し実行し、このようにした場合でも補正係数が閾値S以上の画素がある場合に、第1ミラー312表面にごみが付着していると判断するとしたが、これに限定されず、例えば次の方法を用いることもできる。
【0071】
すなわち、ステップS6の処理後に、S7、8の処理に代えて、スキャナを移動させながらシェーディング補正板22を1ラインずつ複数ライン(例えば、5ライン)読取り、各ラインの、主走査方向に同位置の(画素番号が同一の)各画素について、そのデータを平均化し、平均化したデータを1ラインのデータとしてラインメモリ112に格納する処理を実行し、その処理後、再度ステップS1以降の処理(S7、8を除く。)を実行するものである。
【0072】
このようにすれば、シェーディング補正板22にごみが付着している場合には、例えばごみの大きさが1(mm)を越えないものとして、複数のラインを1(mm)間隔で読取ると、ごみが付着しているラインと、ごみが付着していないラインのデータが平均化されることになり、ラインメモリ112に格納されるデータは、ごみの影響が除去されて、その結果、補正係数が閾値S以上の画素が存在しなくなる(ステップS6で「N」になる。)。
【0073】
一方で、第1ミラー312にごみが付着している場合には、そのごみの部分の画素は全ラインについて同じごみの影響を受けたものになるため、平均化してもその影響は除去されず、補正係数が閾値S以上の画素が存在することになって(ステップS6で「Y」になる。)、第1ミラー312へのごみ付着の有無を判断できることになる。
【0074】
なお、上記例の処理では、ステップS6において、補正係数が閾値Sを越える画素があった場合に、スキャナを移動させて再度シェーディング補正板22を読取って平均化の処理を実行するとしたが、例えば最初からシェーディング補正板22を複数ライン読取って、上記の平均化の処理を実行した後に、ステップS1以降の処理(ステップS7、8の処理を除く。)を行う構成とすることもできる。この構成の場合、ルーチンがリターンする(前のステップに戻る)ことがないので上記に比べて処理時間の短縮化を図ることができる。
【0075】
(6−4)上記実施の形態では、本発明に係る画像読取装置を複写機に適用した場合の例について述べたが、その他スキャナ装置、ファクシミリ装置など、要するにミラーを移動させて画像を読み取る全ての装置に適用可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像読取装置は、ミラー表面の異物を検出する異物検出手段と、前記ミラーが副走査方向に移動する際に生じる主走査方向における変位を検出する変位検出手段と、検出されたミラー表面の異物による画像データへの影響を除去するように、検出されたミラーの主走査方向の変位に応じて前記原稿を読み取った画像データを補正する画像補正手段と、を備えているので、従来のように上記変位を全く考慮していないため、原稿読取中にミラーが主走査方向に変位したとき、実際にごみが付着している画素のデータについては補正できず、すじ状のノイズが現れて来るといったことが生じにくくなり、画質を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複写機1の全体の構成を示す図である。
【図2】シェーディング補正板22とシート23が貼着されている状態を説明するための図である。
【図3】原稿読取部30の駆動部分の構造を示す斜視図である。
【図4】第1ミラー312のミラー面上のパターン3121のマーキング位置を説明するための図である。
【図5】複写機1内部に設置される制御部100の構成を示す図である。
【図6】シェーディング補正部101の構成を示すブロック図である。
【図7】シェーディングテーブル116〜118の内容例を示す図である。
【図8】シェーディング補正データ生成処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】シェーディング補正板22を読み取った場合の、ラインメモリ112内に格納された1ライン分の各画素のデータの出力レベルの変化を模式的に示した波形図である。
【図10】1ライン上の各画素に対するシェーディング補正係数の値を示す波形図である。
【図11】シェーディング補正処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】ごみの付着部分に相当する画素のデータを補正する処理の概念図を示す図である。
【図13】プラテンガラス20と第1ミラー312の光路間に黒色のプレート81をパターンとして配設する構成例を示す図である。
【図14】(a)は、用紙にすじ状のノイズ91が発生している様子を示す図であり、(b)は、キャリッジ92が原稿画像読取時に副走査方向に移動して行く間にキャリッジ92の位置が主走査方向にずれて行く様子を示した図である。
【符号の説明】
1 複写機
20 プラテンガラス
21 ごみ
22 シェーディング補正板
23 シート
30 原稿読取部
31 第1スライダーユニット
33 CCDセンサ
46 レール
81 プレート
100 制御部
101 シェーディング補正部
102 画像処理部
107 CPU
111 A/D変換部
112 ラインメモリ
113 位置検出部
114 シェーディング演算部
115 基準位置記憶部
116〜118 シェーディングテーブル
119 ごみ付着位置記憶部
311 露光ランプ
312 第1ミラー
3121 パターン
【産業上の利用分野】
本発明は、ミラーを移動させて原稿の画像を読み取るミラースキャン方式の画像読取装置に関し、特に当該ミラーに付着した異物の画像データへの影響を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル複写機などが備える画像読取装置は、従来、原稿の読み取りに先立って白色基準板を読み取り、その読み取ったデータをシェーディング補正用の基準データとして用い、光源の配光のばらつき、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサの画素出力のばらつき等を補正するシェーディング補正を行っている。
【0003】
一方、画像読取装置の原稿読取方式の一つに、原稿を固定した状態でミラーを副走査方向に移動させながら原稿の画像を読み取る、いわゆるミラースキャン方式がある。
このようなミラースキャン方式では、塵の混入などによりミラー上にごみが付着すると、原稿読取中にこのごみを常時読み取るため、読み取って得られた画像データから再現された画像に副走査方向に連続する黒すじができてしまい、画質が大変劣化するという問題がある。
【0004】
そこで、従来から、例えばシェーディング補正時に、1走査ライン上の画素の内、ミラー上に付着しているごみの主走査方向における位置を特定しておき、原稿読取時に、読み取った各ラインについて、当該特定した位置と主走査方向に同一の位置にある画素のデータを補正して行くことにより、ごみの影響をできるだけ除去するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−247445号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ミラースキャン方式の画像読取装置では、ミラー上にごみが付着している場合、図14(a)に示すように、コピーされた用紙にすじ状のノイズ91が現れる場合があり、効果的に画質劣化を抑えることができない。
このようなノイズ91が現れるのは、ミラースキャン方式におけるミラーの移動機構に原因がある。すなわち、ミラースキャン方式では、通常、図14(b)に示すようにミラー93を保持しているキャリッジ92が、レール、シャフト等からなるガイド部材(不図示)により副走査方向に移動自在にガイドされているのであるが、キャリッジ92とガイド部材の間には、主走査方向に微小な遊びがあり、そのため原稿読取中にキャリッジ92(ミラー93)がその遊び分だけ主走査方向にずれる場合がある。例えば、シェーディング補正時に特定したごみ94の主走査方向における位置が第3000番目の画素の位置であった場合に、原稿読取中にキャリッジ92が30画素分だけ主走査方向にずれると、ごみ94の主走査方向における位置も3030番目の画素の位置までずれることになる。
【0007】
ところが、従来では、このようなずれを考慮しておらず、全ラインについて、シェーディング補正時に特定した3000番目の画素のデータを補正しているだけである。そのため、実際にごみ94が付着している部分に当たる3030番目の画素のデータについては補正されず、上記のようなノイズ91が現れて来るのである。
【0008】
これに対し、キャリッジとガイド部材の主走査方向における遊びをなくすように構成することが考えられるが、大変高価になる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであって、キャリッジの保持機構が従来の構成でありながら、ミラー上にごみが付着することによる画質劣化をできるだけ抑えることが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像読取装置は、副走査方向にミラーを移動させて原稿画像を読み取って、画像データを生成するミラースキャン方式の画像読取装置であって、前記ミラー表面の異物を検出する異物検出手段と、前記ミラーが副走査方向に移動する際に生じる主走査方向における変位を検出する変位検出手段と、検出されたミラー表面の異物による画像データへの影響を除去するように、検出されたミラーの主走査方向の変位に応じて前記原稿を読み取った画像データを補正する画像補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、基準板と、前記基準板を読み取ったときの各画素のデータに基づき、前記異物による画像データへの影響を除去するための補正データを生成する補正データ生成手段と、を備え、前記画像補正手段は、主走査ライン毎に、当該ライン上の各画素の内、前記生成された補正データによる補正を施すべき画素を、ミラーの主走査方向の変位に応じて変えることにより、前記原稿を読み取った画像データを補正することを特徴とする。
【0011】
さらに、前記基準板は、シェーディング補正板であり、前記補正データ生成手段は、当該シェーディング補正板を読み取ったときの各画素のデータに基づき、シェーディング補正用の基準データを生成する基準データ生成手段と、生成された基準データから、ミラー表面の異物の付着部分に対応するデータを抽出する抽出手段と、を備え、抽出されたデータを前記補正データとすることを特徴とする。
【0012】
また、前記異物検出手段は、前記基準板を副走査方向に異なる複数の位置で読み取って得られたデータの値が、全て主走査方向のほぼ同じ位置で変化していることが検出されたときに、前記ミラー表面に異物があると検出することを特徴とする。
また、前記ミラーの原稿画像の読み取りに使用される領域以外の部分に基準マークが設けられ、前記変位検出手段は、当該基準マークの主走査方向における位置を検出することによって当該ミラーの主走査方向の変位を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像読取装置の実施の形態を、デジタル式の複写機(以下、単に「複写機」という。)に適用した場合について説明する。
(1.複写機1の全体構成)
図1は、複写機1の全体の構成を示す図である。
【0014】
同図に示すように、この複写機1は、原稿自動搬送装置10と、原稿読取部30と、画像形成部50と、給紙部70を備える。
原稿自動搬送装置10は、原稿給紙トレイ11上にセットされた複数の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部30のプラテンガラス20上に設定された所定の原稿読取位置まで搬送し、原稿読取部30により原稿画像の読み取りが行われると、原稿排紙トレイ12上に排出する公知の装置である。
【0015】
原稿読取部30は、プラテンガラス20の下方をパルスモータ36(図3参照)の駆動により図の矢印A方向に走行する第1スライダーユニット(スキャナ)31を備える。第1スライダーユニット31は、移動の開始位置(走査開始位置。シェーディング補正板22の真下の位置)を左端とし、原稿読取位置に搬送された原稿の大きさ等に応じた所定距離を矢印Aで示した副走査方向に移動することによって原稿画像を走査する。原稿読取部30は、露光ランプ311の照射による原稿からの反射光を第1ミラー312、第2ミラー321、第3ミラー322を介して光路変更しつつ、レンズ34を介してCCDセンサ33に結像させる。CCDセンサ33は、ここでは600dpiの解像度で入射光を電気信号に変換し、読取データとして制御部100に送る。
【0016】
制御部100は、受信した読取データにシェーディング補正などの各種のデータ処理を施し、記録シートの供給と同期して主走査ライン(以下、単に「ライン」という。)ごとに読み出してレーザダイオード58を駆動する。
画像形成部50は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、感光体ドラム51、レーザダイオード58、ポリゴンミラー59、帯電チャージャ53、現像器54、転写チャージャ55、分離チャージャ56、クリーナ52等を備える。制御部100から出力される駆動信号に基づきレーザダイオード58が駆動されてレーザ光が出射され、そのレーザ光は一定速度で回転されるポリゴンミラー59にて偏向走査されて矢印方向に回転駆動される感光体ドラム51上を露光走査する。
【0017】
感光体ドラム51は、上記露光を受ける前にクリーナ52により残留トナーを除去されると共に、帯電チャージャ53により一様に帯電されており、この露光により静電潜像が形成される。その静電潜像は、現像器54によりトナーの供給を受けて現像され、現像されたトナー像は、転写チャージャ55による転写電界を受けて、給紙部70から搬送されてくる用紙に転写される。
【0018】
トナー画像の転写された用紙は、分離チャージャ56により感光体ドラム51から分離されて、搬送ベルト57により定着部60に搬送され、内部にヒータを備えた定着ローラ61の加熱圧着作用により定着される。定着後の用紙は、排出ローラ62により排紙トレイ63上に排出される。
給紙部70は、用紙を収納しておくための給紙カセット71、72と、この用紙を繰り出すためのピックアップローラ711、721を備え、画像形成部50に用紙を供給する。
【0019】
なお、複写機前面の操作しやすい位置には、操作パネル90(図1の破線)が設置されている。この操作パネルは、コピー開始を指示するためのコピースタートキーやコピー枚数設定用のテンキーなどの各種の入力キー等を備えている。
また、プラテンガラス20の裏面(下面)には、シェーディング補正板22と、第1スライダーユニット31の、画像読取中(スキャン中)の主走査方向におけるずれ量の検出(後述)に用いるシート23が貼着されている。
【0020】
図2は、シェーディング補正板22とシート23が貼着されている状態を説明するための図であり、プラテンガラス20を図1のB方向から見たときの平面図である。
同図に示すように、シェーディング補正板22、シート23は、共に細長い板状の部材であって、シェーディング補正板22は、プラテンガラス20の左側端部(原稿開始位置側端部)に主走査方向に平行に、シート23は、複写機1を正面から見たときの奥側に副走査方向に平行に貼着されている。シェーディング補正板22、シート23の下面(貼着面と反対側の面)全面には、白色コーティングが施されている。なお、シェーディング補正板22、シート23の貼着部分は、非画像域(露光ランプ311により照射はされるが、原稿の画像として扱われない領域)になっており、原稿自動搬送装置10から送られて来る原稿は、プラテンガラス20表面(原稿載置面)の、非画像域以外の画像域内の原稿読取位置まで搬送されることになる。
【0021】
(2.原稿読取部30の構造)
図3は、原稿読取部30の駆動部分の構造を示す斜視図である。
原稿読取部30は、第1スライダーユニット31、第2スライダーユニット32を備えており、各スライダーユニットは、その両端部において、副走査方向(矢印A方向)に配設されたレール46、46’によって摺動可能に保持されている。なお、この移動機構は従来の構成と同様に、各スライダーユニットとレール46間において矢印E(主走査方向)に平行な方向に、ある程度の遊びがある。そのため、各スライダーユニットは、レール46上を摺動中(原稿読取中)に、最大その遊び分だけ矢印E、またはその反対方向にずれる場合がある。
【0022】
第1スライダーユニット31は、スキャナとして作用するものであって、露光ランプ311、第1ミラー312およびこれらを保持する第1キャリッジ313とからなる。
第2スライダーユニット32は、第2ミラー321、第3ミラー322およびこれらのミラーをそのミラー面が90度をなす状態で保持する第2キャリッジ323とからなり、これらのミラー312、321、322相互の位置関係は、図1に示す通りであって、露光ランプ311の原稿面からの反射光をレンズ34を介してCCDセンサ33に導くように配設される。
【0023】
次に、前記第1スライダーユニット31、第2スライダーユニット32を往復動させるための駆動機構について説明する。
この駆動源としてパルスモータ36が利用されており、当該パルスモータ36は、ピニオン361、平歯車371を介して、図示しない軸受け部によって回転自在に保持されたシャフト37を回転駆動する。このシャフト37の両端部にはプーリ372、プーリ372’が同軸上に固着されており、シャフト37の回転と共に回転する。これらのプーリ372,372’と副走査方向の反対側に設けられたプーリ39,39’の間には、それぞれワイヤー38,38’が掛け渡されており、各ワイヤー38,38’の途中に、第1スライダーユニット31の端部が固定されている。
【0024】
一方、第2スライダーユニット32の両側面には、2つのプーリ対40,41および40’,41’が軸支されており、これらのプーリ40,41,40’,41’に上記ワイヤー38,38’が図に示すような状態で掛け渡されている。ワイヤー38,38’の一端は、固定ピン42,42’により原稿読取部30本体に固定されており、またその他端は、ネジリコイルバネ43、43’の一旦に固定されて、ワイヤー38,38’に適当な張力を与えるようになっている。
【0025】
このような構成において、パルスモータ36を回転駆動させると、プーリ372,372’を介してワイヤー38、38’が移動し、これに追随して第1スライダーユニット31および第2スライダーユニット32が移動する。このとき、プーリ40,41,40’,41’が動滑車の役目を果たすため、第2スライダーユニット32は、第1スライダーユニット31に対してその1/2の速度で同一方向へ移動することになる。これにより、第1スライダーユニット31が原稿走査のため移動しても、当該第1のミラー312から集光用のレンズ34までの光路長が一定に保たれ、レンズ34による結像位置を常にCCDセンサ33の表面に維持することができる。なお、第1スライダーユニット31による原稿走査が終わると、パルスモータ36を逆回転させて元の走査開始位置に復帰させる。このとき第2スライダーユニット32も追随して元の位置に復帰する。
【0026】
第1ミラー312には、そのミラー面の装置奥側の位置に、第1ミラー312の主走査方向における位置ずれ検出のための黒色の矩形のパターン(マーク)3121がマーキングされている。図4は、当該パターン3121のマーキング位置を説明するための図である。図4(a)は、第1ミラー312を図3の矢印D方向から見たときの平面図であって、パターン3121とプラテンガラス20との位置関係を示すためにプラテンガラス20を一点鎖線で示してある。図4(b)は、第1ミラー312を図4(a)の矢印F方向から見たときの側面図である。
【0027】
両図に示すように、パターン3121は、第1ミラー312のミラー面上の、プラテンガラス20に貼着されているシート23の下面と対向する位置に設けられており、その長辺を主走査方向と直交させるようにすることで、読み取られたときにそのエッジを検出し易くしている。なお、基準マークとしてのパターン3121の形状は、矩形に限られることはなく、円形等のマークとしても良い。また、シート23の矢印E方向における長さは、第1ミラー312が、第1スライダーユニット31とレール46との間に存在する遊びにより、スキャン中に矢印E、またはその反対方向にずれたとしても当該パターン3121が常にシート23と対向する位置関係になるように、予め決められている。
【0028】
(3.制御部100の構成)
図5は、複写機1内部に設置される制御部100の構成を示す図である。
同図に示すように、制御部100は、シェーディング補正部101、画像処理部102、画像メモリ103、レーザダイオード(LD)駆動部104、ROM105、RAM106およびCPU107を備えている。
【0029】
シェーディング補正部101は、CCDセンサ33から順次送られて来る各画素の画像信号(データ)を受信してシェーディング補正を施し、それを画像処理部102に送る。
画像処理部102は、シェーディング補正されたデータが原稿の反射率データであるため、これを実際の画像の濃度データに変換し、これにMTF補正などの各種補正を施した後、2値のデジタル画像データを生成し、画像メモリ103に1ライン毎に格納して行く。
【0030】
LD駆動部104は、CPU107による画像形成の指示を受けると、画像メモリ103に格納されている画像データを読み出して、レーザダイオード58を駆動するための駆動信号を生成し、レーザダイオード58を駆動させる。
ROM105は、原稿自動搬送装置10における原稿搬送動作、原稿読取部30における原稿読取動作、画像形成部50における画像形成動作、および給紙部70による用紙の給送動作に関するプログラムなどを格納している。
【0031】
CPU107は、ROM105から必要なプログラムを読み出して、原稿読取動作、画像形成動作等をタイミングを取りながら統一的に制御して円滑な複写動作を実行させる。また、操作パネル90においてどのキーが押下されたかを判断し、そのキーに応じた処理、例えばコピースタートキーの場合には、複写動作を開始させる。
【0032】
さらに、シェーディング補正部101に指示して、シェーディング補正データ生成処理とシェーディング補正処理を実行させる。
シェーディング補正データ生成処理は、原稿読取開始直前にシェーディング補正板22を読み取って、読み取って得られたデータからシェーディング補正のための補正係数を求める処理である。
【0033】
一方、シェーディング補正処理は、原稿読取中に、シェーディング補正データ生成処理において求められた補正係数を用いて、各ラインごとに、当該ライン上の各画素のデータにシェーディング補正を施す処理である。
RAM106は、CPU107によるプログラム実行時のワークエリアを提供する。
【0034】
(4.シェーディング補正部101の構成)
図6は、シェーディング補正部101の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、シェーディング補正部101は、A/D変換部111、ラインメモリ112、位置検出部113、シェーディング演算部114、基準位置記憶部115、シェーディングテーブル116、117、118、ごみ付着位置記憶部119を備えている。
【0035】
A/D変換部111は、CCDセンサ33からの各画素のアナログのデータをデジタルのデータに変換してラインメモリ112に送信する。
ラインメモリ112は、1ライン分の各画素のデータを格納する記憶領域を有するメモリであり、A/D変換部111からのデータを順次格納する。
位置検出部113は、ラインメモリ112に格納された1ラインの各画素のデータから、第1スライダーユニット31の主走査方向における位置を検出する。この検出方法については、後述する。
【0036】
シェーディング演算部114は、ラインメモリ112に格納された1ラインの全画素の内、画像域内の各画素について、シェーディング補正を施すための補正係数を求める。また、その補正係数を用いて 各画素のデータにシェーディング補正を施し、画像処理部102に送出する。その際、第1ミラー312のミラー面上に埃等のごみ(異物)が付着している場合には、スキャン中に第1スライダーユニット31が主走査方向にずれたとしても、従来の図14(a)に示すようなノイズ91が現われないように、上記補正係数の値を変更し、変更した補正係数を用いてシェーディング補正を行う。
【0037】
基準位置記憶部115には、シェーディング補正板22を読み取ったときの、第1スライダーユニット31(第1ミラー312)の主走査方向における位置(基準位置)を示すデータが格納される。
シェーディング補正テーブル116〜118は、図7(a)〜図7(c)に示すように、各画素に対応する補正係数を示すデータがそれぞれ格納される。これらシェーディング補正テーブル116〜118の内容については、後述する。
【0038】
ごみ付着位置記憶部119には、シェーディング補正板22を読み取ったときの、第1ミラー312に付着しているごみの主走査方向における位置を示すデータが格納される。
(5.シェーディング補正部101の処理内容)
シェーディング補正部101は、CPU107からの指示により、シェーディング補正データ生成処理とシェーディング補正処理を実行する。
【0039】
(5−1.シェーディング補正データ生成処理)
図8は、シェーディング補正データ生成処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、A/D変換部111は、CCDセンサ33から送られて来るシェーディング補正板22の1ライン分の読取データをラインメモリ112に格納させる(ステップS1)。
【0040】
図9は、シェーディング補正板22を読み取った場合の、ラインメモリ112内に格納された1ライン分の各画素のデータの出力レベルの変化を模式的に示した波形図であり、横軸が主走査方向の画素数に対応している。
本実施の形態では、1ライン上の各画素に、主走査方向に第1番〜第5300番までの番号を付して管理しており、第1番の画素が非画像域の左端を、第300番の画素が非画像域と画像域の境界を、第5300番の画素が画像域の右端の位置を示すものとして予め決められている。なお、上記したように、ここでは原稿画像を600dpi(主走査、副走査共)で読み取っており、そのため画像域の主走査方向の幅(5000画素分の長さ)は、約215(mm)になる。
【0041】
同図に示すように、波形を見ると、非画像域に出力レベルが低下している部分25が存在している。この部分25は、第1ミラー312の非画像域に設けられたパターン3121の読取データを示したものである。なお、部分25の両側はシート23の白色の部分ということになる。
同図には、例えば第1ミラー312のミラー面に、図4に示すようなごみ21が付着していた場合の波形(破線26で示す部分)も合わせて示している。第1ミラー312のミラー面にごみ21が付着していると、そのごみ21により反射光が低減することになり、その部分は破線26で示すように出力レベルがV字形に落ち込むようになる。このことは、シェーディング補正板22表面にごみが付着している場合でも同様である。ここでは、ごみ付着部分に相当する画素が第2500番から第2520番までの画素になっている例を示している。なお、第2ミラー321、第3ミラー322にごみが付着している場合には、破線26のようなV字形の波形になり難い。これは、第2ミラー321、第3ミラー322は、第1ミラー312よりも原稿面から大変離れており、これらのミラー面にごみが付着していたとしても、CCDセンサ33上では、そのごみの像はピントがぼやけた状態になり、レベル変化が少なくなるからである。
【0042】
図8に戻って、ステップS2では、位置検出部113がラインメモリ112に格納された1ラインの各画素のデータから第1スライダーユニット31(すなわち、第1ミラー312)の主走査方向における位置を検出する。
具体的には、図9に示す波形の、非画像域におけるパターン3121を示す部分25の波形の重心位置を公知の演算処理を用いて求め、その求めた位置に対応する画素の番号を、パターン3121の非画像域内における主走査方向の位置として検出するものである。以下、シェーディング補正板22を読み取って得られた第1スライダーユニット31の主走査方向における位置を「基準位置」という。
【0043】
ステップS3では、検出した画素の番号を示すデータを基準位置を示すデータとして、基準位置記憶部115に格納する。例えば、第150番の画素であれば、「150」を示すデータが格納される。
ステップS4では、シェーディング演算部114が、ラインメモリ112に格納された1ライン分の各画素のデータから、シェーディング補正のための補正係数を演算し、その補正係数を示すデータ(シェーディング補正データ)を生成する。具体的には、シェーディング補正板22を読み取ったときの波形(図9)から、1ラインの画像域内における各画素(ここでは、第300番から第5300番までの画素)について、シェーディング歪みによる出力レベルの変化が打ち消されるように補正係数を求める。これは、公知の方法により行われ、例えば図9に示す波形の場合、図10(a)に示すような波形が補正係数を示す波形になる。
【0044】
ステップS5では、各画素について求めた補正係数を示すデータをシェーディングテーブル116(図7(a)の内容例参照)に格納する。
ステップS6では、求めた補正係数の値が、所定の閾値S(図10(a))以上の画素があるか否かを判断する。この閾値Sは、再現画像に影響を与える(ノイズとなって現れる)程度のごみが付着しているか否かを出力レベルにより判断するために設けられたものであり、予め実験等で求められてシェーディング演算部114の図示しないメモリに記憶されている。
【0045】
補正係数が閾値S以上の画素がある場合には、シェーディング補正板22、第1ミラー312のミラー面上のいずれかの画像域に埃等のごみが付着していることになる。
そこで、ステップS7では、シェーディング演算部114がCPU107に対し、第1スライダーユニット31の移動を要求する。このようにするのは、シェーディング補正板22の表面にごみが付着している場合、第1スライダーユニット31を現在の位置から、例えば2(mm)程度副走査方向に移動させれば、シェーディング補正板22のごみが付着していないラインを読み取ることができるからである。CPU107は、当該要求を受けると、露光ランプ311を点灯させた状態で、第1スライダーユニット31をシェーディング補正板22を読み取れる範囲内において、約1(mm)分だけ副走査方向に移動させる。
【0046】
ステップS8において、上記移動要求が3回目に達していない場合(1回目、2回目の場合)と判断すると、ステップS1に戻り、再度ステップS1〜S7の処理を繰り返し実行する。その際、ステップS1の読取データの格納、S3の位置データの格納、S5のシェーディング補正データの格納については、上書き保存になる。
【0047】
上記移動要求が3回目であると判断すると(ステップS8で「Y」)、ごみが第1ミラー312のミラー面上に付着しているものと判断する(ステップS9)。これは、シェーディング補正板22に付着すると予想されるごみには、そもそも2(mm)を越えるような大きなものがなく、したがって第1スライダーユニット31を2(mm)移動させても補正係数が閾値Sを越える画素があるということは、ごみはシェーディング補正板22ではなく、第1ミラー312側に付着していると考えられるからである。この第1スライダーユニット31を副走査方向に移動させる回数、移動量は、適宜設定される。
【0048】
第1ミラー321のミラー面上にごみがあると判断すると、そのことを示すフラグ(ごみありフラグ)を立てる。
ステップS10では、ごみが付着している部分の主走査方向おける位置を特定し、その特定した位置を示すデータをごみ付着位置記憶部119に格納する。具体的には、ステップS4で生成したシェーディング補正データから、ごみに相当する部分の画素の番号を特定し、その画素の番号を示すデータをごみ付着位置記憶部119に格納する。ごみが付着している部分に相当する画素が、上記例のように第2500番から第2520番までの画素の場合、「2500、2501・・・2520」を示すデータが格納されることになる。
【0049】
なお、上記では、補正係数が閾値S以上の画素をごみが付着している部分の画素として特定するとしたが、ごみ付着部分の画素を特定する方法は、これに限られず、例えばある画素について、隣接する画素との補正係数の差を演算し、その差が所定の閾値を越える場合に、その画素をごみが付着している部分の画素として特定するとしても良い。
【0050】
ステップS11では、ステップS4で生成したシェーディング補正データから、そのごみに相当する部分の画素のデータを削除する。図10(a)の波形例でいうと、破線27の部分を切り取ることになる。
ステップS12では、削除した部分の画素のデータ(補正係数)を補間して、その補間後のシェーディング補正データをシェーディングテーブル117(図7(b)の内容例参照)に格納する。具体的には、図10(a)の波形例の場合、図10(b)に示すように、破線27の部分を切り取って残った実線部分の切断部間を繋ぐように、その間の各画素に対する補正係数を求めるものである。
【0051】
ステップS13では、ステップS4で生成したシェーディング補正データから、上記ごみに相当する部分の画素のデータだけを抽出し、画素番号と対応付けてシェーディングテーブル118(図7(c)の内容例参照)に格納して、当該処理を終了する。具体的には、図10(a)の波形例の場合、図10(c)に示すように、切り取られた破線27の部分の画素の補正係数を示すデータと、その画素番号とを対応付けてシェーディングテーブル118に格納することになる。
【0052】
一方、上記ステップS6において、補正係数が閾値S以上の画素がない、すなわち所定値Sより小さい画素しかない場合には(ステップS6で「N」)、シェーディング補正板22、第1ミラー321双方にごみが付着していないと判断して(ステップS14)、当該処理を終了する。
(5−2.シェーディング補正処理)
図11は、シェーディング補正処理の内容を示すフローチャートである。
【0053】
同図に示すように、シェーディング演算部114は、まず変数Nの値を「1」に設定する(ステップS21)。この変数Nは、原稿画像を読み取ったときの各ラインについて、読取開始の最初のラインを「1」番、それ以降を2番目、3番目・・・と副走査方向に順次番号を付けたときの、その番号を示す数値である。ステップS21では、まず第1番目のラインの各画素のデータをシェーディング補正すべく、Nを「1」としている。
【0054】
ステップS22では、CCDセンサ33から送られて来る第1番目のラインの読取データをラインメモリ112に格納させる。
ステップS23では、第1ミラー312のミラー面にごみが付着しているか否かを判断する。この判断は、上記ごみありフラグが立っているか否かにより行われる。
【0055】
ごみありフラグが立っている場合には(ステップS23で「Y」)、原稿画像の第N番目(ここでは、第1番目)のラインを読み取ったときの、第1スライダーユニット31(第1ミラー312)の主走査方向における位置を検出する(ステップS24)。この処理は、上記ステップS2と同じ方法で行われる。
ステップS25では、ステップS24で検出された位置と上記基準位置記憶部115に格納されている基準位置を比較して、そのずれ量を検出する。双方が同じであれば、ずれ量を「0」、主走査方向に「P」画素分ずれていた場合には、「+P」、主走査方向と「P」画素分だけ反対方向にずれていた場合には、「−P」とする。
【0056】
ステップS26では、検出したずれ量から、第N番目(第1番目)のラインの第300〜第5300番までの画素の内、ごみが付着している部分に相当する画素を特定する。ずれ量が「0」であれば、上記ステップS10において特定した画素(ごみ付着位置記憶部119に格納されている画素の番号)と同じになる。上記例では、第2500番〜第2520番の画素になる。
【0057】
一方、ずれ量が、例えば「+50」であれば、ごみ付着位置記憶部119に格納されている画素の番号に「50」を加算した値、上記例では、第2550〜第2570番の画素になる。また、例えば「−50」であれば、ごみ付着位置記憶部119に格納されている画素の番号から「50」を減算した値、上記例では第2450〜第2470番の画素になる。
【0058】
ステップS27では、変数Mの値を「300」に設定する。この変数Mは、1ライン上の画素番号(図9)を示すものである。
ステップS28では、第M番目(ここでは、300番目)の画素が、異物部(ゴミが付着している部分)に相当する画素であるか否かを判断する。この判断は、第M番目の画素が、ステップS26で特定された画素に含まれるか否かにより行われる。
【0059】
ゴミ付着部分に相当する画素でないと判断すると(ステップS28で「N」)、シェーディングテーブル117に格納されている第M番目の画素に対する補正係数を用いて、第M番目の画素のデータにシェーディング補正を施す(ステップS29)。具体的には、例えば第M番目の画素が第300番の画素である場合には、シェーディングテーブル117の第300番の画素のデータ、すなわちα0を用いることになる。
【0060】
次に、変数M=5300であるか否かを判断し、変数M=5300でないと判断すると(ステップS31で「N」)、現在のMの値に「1」をインクリメントして(ステップS32)、ステップS28に戻る。ステップS28において、第M番目の画素がごみ付着部分に相当する画素であると判断されるまで、S28、S29、S31、S32の処理を繰り返し行う。
【0061】
そして、第M番目の画素がゴミ付着部分に相当する画素であると判断すると(ステップS28で「Y」)、上記例ではMの値が2550〜2570のいずれかになったと判断すると、シェーディングテーブル118に格納されている各画素の内、第M番目の画素に対応する画素の補正係数を用いて、当該第M番目の画素のデータにシェーディング補正を施す(ステップS30)。
【0062】
具体的には、例えば第M番目の画素が第2550番の画素の場合には、シェーディングテーブル118の第2500番の画素に対する補正係数、すなわちβ0を用いる。また、第M番目の画素が第2570番の画素である場合には、第2550番の画素に対する補正係数、すなわちβ20を用いることになる。このようにするのは、ゴミ自体の大きさは基準位置から変わるものではなく、そうであれば基準位置において求められたごみ付着部分の画素(第2500〜2550番の画素)に対する補正係数(すなわち、シェーディングテーブル118の補正係数)を、第1番目のラインにおけるごみ付着部分に相当する画素(第2550〜2570番の画素)に、同じ位置関係にあるもの(画素)同士を対応させて適用して行けばゴミの影響を除去することができるからである。
【0063】
図12は、当該処理の概念図を示す図であり、第1スライダーユニット31(第1ミラー312)が基準位置から見て主走査方向にずれた(変位した)場合には、その変位した分だけ、ごみの影響を除去するための補正係数を適用すべき画素を変更している様子を示したものである。
図11に戻って、ステップ31において、M=5300であると判断すると(ステップS31で「Y」)、第Nライン(ここでは、第1番目のライン)の、画像域内の全画素(第300〜5300番の画素)について、そのデータにシェーディング補正が施されたことになるので、ステップS33に移る。
【0064】
一方、ステップS23においてごみがないと判断すると(ステップS23で「N」)、ステップS34に移って、シェーディングテーブル116に格納されている各画素に対する補正係数を用いて、第1番目のライン上の全画素について、順次そのデータにシェーディング補正を施して行き、ステップS33に移る。
ステップS33では、シェーディング補正後の全画素のデータを画像処理部102に送出する。
【0065】
ステップS35では、読み取られた全てのラインについてシェーディング補正が終了したか否かを判断し、まだであると判断すると(ステップS35で「N」)、現在の変数Nの値に「1」をインクリメントして(ステップS36)、ここでは、N=2として、ステップS22に戻る。
ステップS22では、第2番目のラインの読取データをラインメモリ112に格納させて、以降のステップS23〜S35までの処理を行う。
【0066】
ステップS35において、全てのラインについてシェーディング補正が終了したと判断されるまで、ステップS22〜S36までの処理を繰り返し行い、全ラインについてシェーディング補正が終了したと判断すると(ステップS35で「Y」)、当該処理を終了する。
以上説明したように、本実施の形態では、第1ミラー312にゴミが付着している場合、原稿画像の読取中(スキャン中)に第1ミラー312の主走査方向における位置が変位としても、そのごみによる画像への影響を除去するように、その変位に応じてごみ付着部分に相当する画素のデータを補正している。したがって、従来のようにその変位を全く考慮していないため、シェーディング補正時に特定した画素のデータだけを補正し、スキャン途中に第1ミラーが主走査方向に変位したとき、実際にごみが付着している画素のデータについては補正できず、スキャン途中からすじ状のノイズが現れて来るといったことが生じにくくなり、スキャナ(キャリッジ)の保持機構が従来の遊びがある構成でありながら、画質を向上できるという効果を奏する。
【0067】
(6.変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明の内容は、当該実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば次のような変形例を考えることができる。
(6−1)上記実施の形態では、第1ミラー312のミラー面上にパターン3121を設けるようにしたが、パターンを設ける位置は、これに限定されない。例えば、図13に示すようにプラテンガラス20と第1ミラー312の光路間に黒色のプレート81をパターンとして配設する構成とすることもできる。原稿(プラテンガラス20)に近い方が焦点に近くなり、パターン像のエッジを検出し易くなるので、パターンの主走査方向における位置をより正確に検出することができる。
【0068】
(6−2)上記実施の形態では、第1ミラー312のミラー面上のごみの影響を排除する処理をシェーディング補正に関連付けて実行するようにしたが、シェーディング補正とは別に、上記の処理を実行する構成としても良い。
この場合、例えば上記シェーディング補正データ生成処理において、ステップS4に代えて、読み取ったデータのごみの部分のデータから当該ごみによる画像データへの影響を排除するための補正データ(具体的には、図10(c)の補正係数を示すデータ)を生成する処理を実行し、またステップS5に代えて、生成した補正データを上記とは別のテーブルに格納する処理を実行する。また、ステップS11〜S13の処理を実行しないようにする。そして、シェーディング補正処理では、ステップS30に代えて、第M番目の画素のデータを上記別のテーブルに格納されている補正データに基づいてごみによる画像データへの影響を排除するように補正し、ステップS29を実行しない、すなわち第M番目の画素が異物部に相当する画素でない場合には(ステップS28で「N」)、ステップS31に移って補正を行わない構成とする。なお、シェーディング補正自体を行わないのであれば、シェーディング補正板22とは別の無地の、例えば白色、黄色等の淡い色等の基準板を原稿画像の読取前に読み取れる位置に配置しておけば良い。
【0069】
また、上記とは別の例として、上記シェーディング補正データ生成処理において、ステップS4、S5、S11〜S13を実行しない構成とする。すなわち、シェーディング補正板22(または上記基準板)を読み取ったときの、ごみ付着部分の主走査方向おける位置および第1ミラー312の主走査方向における位置だけを検出する。そして、シェーディング補正処理では、ステップS30に代えて、第M番目の画素のデータをゴミの影響を受けていない隣接する画素のデータに基づいて補正、例えば近似するように補正し、ステップS29を実行しない構成とすることもできる。上記のような補正データ自体を生成せず、ごみ付着部分に相当する画素のデータを隣接する画素のデータに基づいて補正するので、上記テーブル等を設けなくても済む。
【0070】
(6−3)上記実施の形態では、第1ミラー312の表面にごみが付着しているか否かを判断する方法として、図8のシェーディング補正データ生成処理において、補正係数が閾値S以上の画素がある場合には(ステップS6で「Y」)、第1スライダーユニット31(スキャナ)を1(mm)移動させて(ステップS7、S8で「Y」)、再度シェーディング補正板22を読取り、読取ったラインの各画素について、補正係数が閾値S以上の画素があるか否か、すなわちごみが付着しているか否かを判断する(ステップS1〜S6)。ごみが付着していると判断した場合には(ステップS6で「Y」)、さらにスキャナを1(mm)移動させて(ステップS7、S8で「Y」)、ごみが付着しているかを判断する(ステップS1〜S6)という処理を繰り返し実行し、このようにした場合でも補正係数が閾値S以上の画素がある場合に、第1ミラー312表面にごみが付着していると判断するとしたが、これに限定されず、例えば次の方法を用いることもできる。
【0071】
すなわち、ステップS6の処理後に、S7、8の処理に代えて、スキャナを移動させながらシェーディング補正板22を1ラインずつ複数ライン(例えば、5ライン)読取り、各ラインの、主走査方向に同位置の(画素番号が同一の)各画素について、そのデータを平均化し、平均化したデータを1ラインのデータとしてラインメモリ112に格納する処理を実行し、その処理後、再度ステップS1以降の処理(S7、8を除く。)を実行するものである。
【0072】
このようにすれば、シェーディング補正板22にごみが付着している場合には、例えばごみの大きさが1(mm)を越えないものとして、複数のラインを1(mm)間隔で読取ると、ごみが付着しているラインと、ごみが付着していないラインのデータが平均化されることになり、ラインメモリ112に格納されるデータは、ごみの影響が除去されて、その結果、補正係数が閾値S以上の画素が存在しなくなる(ステップS6で「N」になる。)。
【0073】
一方で、第1ミラー312にごみが付着している場合には、そのごみの部分の画素は全ラインについて同じごみの影響を受けたものになるため、平均化してもその影響は除去されず、補正係数が閾値S以上の画素が存在することになって(ステップS6で「Y」になる。)、第1ミラー312へのごみ付着の有無を判断できることになる。
【0074】
なお、上記例の処理では、ステップS6において、補正係数が閾値Sを越える画素があった場合に、スキャナを移動させて再度シェーディング補正板22を読取って平均化の処理を実行するとしたが、例えば最初からシェーディング補正板22を複数ライン読取って、上記の平均化の処理を実行した後に、ステップS1以降の処理(ステップS7、8の処理を除く。)を行う構成とすることもできる。この構成の場合、ルーチンがリターンする(前のステップに戻る)ことがないので上記に比べて処理時間の短縮化を図ることができる。
【0075】
(6−4)上記実施の形態では、本発明に係る画像読取装置を複写機に適用した場合の例について述べたが、その他スキャナ装置、ファクシミリ装置など、要するにミラーを移動させて画像を読み取る全ての装置に適用可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像読取装置は、ミラー表面の異物を検出する異物検出手段と、前記ミラーが副走査方向に移動する際に生じる主走査方向における変位を検出する変位検出手段と、検出されたミラー表面の異物による画像データへの影響を除去するように、検出されたミラーの主走査方向の変位に応じて前記原稿を読み取った画像データを補正する画像補正手段と、を備えているので、従来のように上記変位を全く考慮していないため、原稿読取中にミラーが主走査方向に変位したとき、実際にごみが付着している画素のデータについては補正できず、すじ状のノイズが現れて来るといったことが生じにくくなり、画質を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複写機1の全体の構成を示す図である。
【図2】シェーディング補正板22とシート23が貼着されている状態を説明するための図である。
【図3】原稿読取部30の駆動部分の構造を示す斜視図である。
【図4】第1ミラー312のミラー面上のパターン3121のマーキング位置を説明するための図である。
【図5】複写機1内部に設置される制御部100の構成を示す図である。
【図6】シェーディング補正部101の構成を示すブロック図である。
【図7】シェーディングテーブル116〜118の内容例を示す図である。
【図8】シェーディング補正データ生成処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】シェーディング補正板22を読み取った場合の、ラインメモリ112内に格納された1ライン分の各画素のデータの出力レベルの変化を模式的に示した波形図である。
【図10】1ライン上の各画素に対するシェーディング補正係数の値を示す波形図である。
【図11】シェーディング補正処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】ごみの付着部分に相当する画素のデータを補正する処理の概念図を示す図である。
【図13】プラテンガラス20と第1ミラー312の光路間に黒色のプレート81をパターンとして配設する構成例を示す図である。
【図14】(a)は、用紙にすじ状のノイズ91が発生している様子を示す図であり、(b)は、キャリッジ92が原稿画像読取時に副走査方向に移動して行く間にキャリッジ92の位置が主走査方向にずれて行く様子を示した図である。
【符号の説明】
1 複写機
20 プラテンガラス
21 ごみ
22 シェーディング補正板
23 シート
30 原稿読取部
31 第1スライダーユニット
33 CCDセンサ
46 レール
81 プレート
100 制御部
101 シェーディング補正部
102 画像処理部
107 CPU
111 A/D変換部
112 ラインメモリ
113 位置検出部
114 シェーディング演算部
115 基準位置記憶部
116〜118 シェーディングテーブル
119 ごみ付着位置記憶部
311 露光ランプ
312 第1ミラー
3121 パターン
Claims (5)
- 副走査方向にミラーを移動させて原稿画像を読み取って、画像データを生成するミラースキャン方式の画像読取装置であって、
前記ミラー表面の異物を検出する異物検出手段と、
前記ミラーが副走査方向に移動する際に生じる主走査方向における変位を検出する変位検出手段と、
検出されたミラー表面の異物による画像データへの影響を除去するように、検出されたミラーの主走査方向の変位に応じて前記原稿を読み取った画像データを補正する画像補正手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。 - 基準板と、
前記基準板を読み取ったときの各画素のデータに基づき、前記異物による画像データへの影響を除去するための補正データを生成する補正データ生成手段と、を備え、
前記画像補正手段は、
主走査ライン毎に、当該ライン上の各画素の内、前記生成された補正データによる補正を施すべき画素を、ミラーの主走査方向の変位に応じて変えることにより、前記原稿を読み取った画像データを補正することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。 - 前記基準板は、シェーディング補正板であり、
前記補正データ生成手段は、当該シェーディング補正板を読み取ったときの各画素のデータに基づき、シェーディング補正用の基準データを生成する基準データ生成手段と、
生成された基準データから、ミラー表面の異物の付着部分に対応するデータを抽出する抽出手段と、を備え、
抽出されたデータを前記補正データとすることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。 - 前記異物検出手段は、
前記基準板を副走査方向に異なる複数の位置で読み取って得られたデータの値が、全て主走査方向のほぼ同じ位置で変化していることが検出されたときに、前記ミラー表面に異物があると検出することを特徴とする請求項2もしくは3に記載の画像読取装置。 - 前記ミラーの原稿画像の読み取りに使用される領域以外の部分に基準マークが設けられ、
前記変位検出手段は、当該基準マークの主走査方向における位置を検出することによって当該ミラーの主走査方向の変位を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置。
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JP2002275130A JP2004112633A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 画像読取装置 |
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JP2007300448A (ja) * | 2006-05-01 | 2007-11-15 | Murata Mach Ltd | 画像読取装置 |
-
2002
- 2002-09-20 JP JP2002275130A patent/JP2004112633A/ja active Pending
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