JP2004111689A - 窒化物半導体レーザ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化ガリウム系化合物半導体からなる第1導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層上に形成され窒化ガリウム系化合物半導体からなる活性層と、前記活性層上に形成され窒化ガリウム系化合物半導体からなる第1の第2導電型半導体層と、前記第1の第2導電型半導体層上の一部に設けられ窒化ガリウム系化合物半導体からなるメサ型構造でストライプ状の第2の第2導電型半導体層と、を備え、前記メサ型構造の第2の第2導電型半導体層の両側にこの第2の第2導電型半導体層に並行して少なくとも前記第1の第2導電型半導体層と前記活性層とを貫くように一対の溝が形成されてなることを特徴とする窒化物半導体レーザを提供する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、窒化物半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、GaN、InGaN、GaAlN、InGaAlN等の窒化ガリウム系化合物半導体(InxGayAlzN、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)は紫外領域から可視光緑色領域までの短波長半導体レーザの材料として注目されている。この窒化ガリウム系化合物半導体を用いた窒化物半導体レーザにおいては、例えば、日亜化学の中村らが、Appl.Phys.Lett.72(2).211(1998)に記載しているようにリッジ導波構造レーザが望ましい。窒化物半導体を用いたリッジ導波構造レーザでは、水平横モード制御のための活性層幅が2μm程度と広くすることができ、かつリソグラフィが容易な幅であるので歩留まりを高くすることができる。このため、光ディスク記録・再生装置のピックアップ光源として期待されている。
【0003】
図2は、従来のリッジ構造の窒化物半導体レーザを示す図である。サファイア基板200上には、バッファ層210、SiO2マスク211、GaNからなるn型コンタクト層212、AlGaN/GaNからなるn型超格子クラッド層213、GaNからなるn側ガイド層214、InGaNを含む量子井戸構造の活性層215、GaNからなるp側ガイド層216、AlGaN/GaNからなるp型超格子クラッド層217、が順次形成されている。このp型超格子クラッド層217は、第1のp型クラッド層217Aと、この第1のp型クラッド層217A上の一部にエッチングによりリッジ型に形成された第2のp型クラッド層217Bと、からなる。この第2のp型クラッド層217B上には、GaNからなるp型コンタクト層218が形成されている。このp型コンタクト層218上を除いた上面部分と、側面の一部と、は絶縁膜219で覆われている。また、p型コンタクト層218上には、一方側の電極であるp側電極221が形成されている。他方側の電極であるn側電極220は、エッチングにより露呈されたn型コンタクト層212上に形成される。
【0004】
上記の活性層215には、p側電極221と、n側電極220と、から電流が注入される。ここで、活性層215の図中左側の側面から右側の側面までの幅は約200μmである。これに対し、p型コンタクト層218の幅は約2μmと狭くしている。このため、p側電極221からの電流は、活性層215の中央付近に注入される。これにより、活性層215の中央付近から光が放射され、この光が増幅されて、紙面に垂直な端面方向からレーザ光が出力される。
【0005】
【非特許文献1】
中村修二、他,「Applied Physics Letters」,米国物理学会(American Institute of Physucs),1998年1月12日,第72巻,第2号,p.211−213
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のリッジ構造の窒化物半導体レーザは、他の材料系のレーザに比べ、閾値電流が高く、雑音特性が悪い。すなわち、リッジ導波構造レーザは、p側電極221からの電流がp型コンタクト層218の直下から横方向に広がりやすく、量子井戸活性層215の中央付近に高密度で高効率に電流を注入することが難しい。このため、閾値電流が高くなりやすい。また、窒化物半導体レーザは、他のIII−V族化合物半導体材料系レーザに比べて、導波路層214、215、216と、クラッド層213、217と、の屈折率差を大きくできないので光閉じ込めが弱い。このため、活性層215とガイド層214、216からなる導波面において、レーザ出射方向に垂直な方向、つまり図中横方向に、光が透過しやすい。これにより、図中横方向から自然放出光がチップ外部に漏れ、雑音特性が悪化しやすい。
【0007】
また、この問題を解決するために、活性層215を含むn型クラッド層213からp型クラッド層217までの幅を数十μm程度に狭くする方法を用いることも考えられるが、これは有効な対策とはならない。すなわち、n型クラッド層213からp型クラッド層217までの幅を数十μm程度に狭くすれば、活性層の中央付近に高密度で高効率に電流を注入することはできるようになり、動作電流を下げることはできる。しかし、n型クラッド層213からp型クラッド層217までの幅を狭くすれば、熱抵抗が上昇し、閾値電流はかえって上昇してしまう。また、横方向への漏洩光も増えてしまう。さらに、n型クラッド層213からp型クラッド層217までの幅を狭くすれば、p側電極221から外部への配線をワイアを用いて形成するのが困難になる。
【0008】
このように、従来の窒化物半導体レーザでは、自然放出光の漏洩を抑制しつつ、活性層215に効率よく基本横モード利得に必要な高電流密度のキャリア注入をする構造を得ることは困難である。このため、従来の窒化物半導体レーザでは、レーザ駆動時でさえ発振に寄与しない自然放出光が共振器以外から放出されノイズが現れる。
【0009】
以上のように、光ディスク等への実用に供する、低閾値電流、低電圧で動作し、基本横モードで連続発振する信頼性の高い窒化物半導体レーザを実現するためには、活性層へのキャリア注入を効率的に行うと共に漏洩光をカットする様な構造を形成することが重要であるが、未だこれらを満足する構成は得られていないのが現状である。
【0010】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、基本横モード制御構造の形成が容易であるばかりか、漏洩光が低減でき且つ活性層へ高密度でキャリア注入を行うことができる電流狭窄構造により、低閾値電流で且つ低雑音特性の窒化物半導体レーザを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒化物半導体レーザは、窒化ガリウム系化合物半導体からなる第1導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層上に形成され窒化ガリウム系化合物半導体からなる活性層と、前記活性層上に形成され窒化ガリウム系化合物半導体からなる第1の第2導電型半導体層と、前記第1の第2導電型半導体層上の一部に設けられ窒化ガリウム系化合物半導体からなるメサ型構造でストライプ状の第2の第2導電型半導体層と、を備え、前記メサ型構造の第2の第2導電型半導体層の両側にこの第2の第2導電型半導体層に並行して少なくとも前記第1の第2導電型半導体層と前記活性層とを貫くように一対の溝が形成されてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の窒化物半導体レーザは、基板と、前記基板上に形成されGaNからなる第1導電型半導体コンタクト層と、前記第1導電型半導体コンタクト層上に形成され、AlGaNを含む第1導電型半導体クラッド層と、前記第1導電型半導体クラッド層上に形成され、InGaNを含み、電流注入により波長λの光を放射する多重量子井戸構造の活性層と、前記活性層上に形成され、AlGaNを含む第1の第2導電型半導体クラッド層と、前記第1の第2導電型半導体クラッド層上の一部に形成され、底部幅W1のストライプ状のメサ型構造からなり、AlGaNを含む、第2の第2導電型半導体クラッド層と、前記ストライプ状の第2の第2導電型半導体クラッド層上に形成されGaNからなる第2導電型半導体コンタクト層と、前記第1導電型半導体コンタクト層に電気的に接続して形成された第1電極と、前記第2導電型半導体コンタクト層に電気的に接続して形成された第2電極と、を備え、前記ストライプ状の第2の第2導電型半導体クラッド層の両側に、この第2の第2導電型半導体クラッド層に並行しW2(W1≦W2)以上離れた位置に前記第1の第2導電型半導体クラッド層および前記活性層を貫いて前記第1導電型半導体クラッド層の途中に達するように、λ/2(λは前記活性層からの発光波長。)以上2μm以下の幅で溝が形成され、前記第1の第2導電型半導体クラッド層、前記第2の第2導電型半導体クラッド層および前記第1導電型半導体クラッド層よりも屈折率が低い材料からなり、かつZrO2、SiO2、TiO2、AlGaN、の少なくとも1つを含む材料で前記溝が埋め込まれてなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照にして、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態の特徴の1つは、図1に示すように、リッジ構造の窒化物半導体レーザにおいて、溝130を形成した点である。これにより、低閾値電流で且つ低雑音特性の窒化物半導体レーザを提供することができる。
【0014】
図1は本発明の実施の形態に係わる窒化物半導体レーザの断面図である。厚さ150μmのサファイア基板100上には、バッファ層110、SiO2マスク111、5×1018cm−3のSiがドープされたGaNからなる厚さ6μmのn型(第1導電型)コンタクト層112、アンドープAl0.10Ga0.90NとSiドープGaNとからなる厚さ1.5μmのn型超格子クラッド層113、アンドープのGaNからなる厚さ0.1μmのn側ガイド層114、アンドープのIn0.15Ga0.85Nからなる厚さ3nmの3層の量子井戸層と、この量子井戸層を挟みアンドープのIn0.02Ga0.98Nからなる厚さ6nmの障壁層と、からなる多重量子井戸構造の活性層115、MgドープのGaNからなる厚さ0.1μmのp側ガイド層116、アンドープAl0.10Ga0.90NとMgドープGaNとからなる厚さ0.8μmのp型(第2導電型)超格子クラッド層117、が順次形成されている。このp型超格子クラッド層117は、第1のp型クラッド層(第1の第2導電型半導体層)117Aと、この第1のp型クラッド層117A上の一部にストライプ状のメサ型構造に形成された第2のp型クラッド層(第2の第2導電型半導体層)117Bと、からなる。この第2のp型クラッド層117Bの底部幅W1は、約2μmである。この第2のp型クラッド層117B上には、1×1018cm−3のMgがドープされたGaNからなる厚さ1μmのp型コンタクト層118が形成されている。このp型コンタクト層118上を除いた上面部分と、側面の一部と、はZrO2/SiO2を多層に積層した絶縁膜119で覆われている。また、p型コンタクト層118上には、Pt/Auからなるp側電極(第2電極)121が形成されている。他方側の電極であるn側電極(第1電極)120は、Ti/Al/Ni/Auからなり、エッチングにより露呈されたn型コンタクト層112上に形成される。このエッチングで残った活性層115の横方向の幅は、200μmである。また、特に図示していないが、レーザ光出射端面にもZrO2/SiO2を多層に積層した高反射コートを施している。なお、図1の素子は、基板100の厚さが150μm、積層体111〜118の厚さが約10μm、活性層215の幅が200μm、第2のp型クラッド層117Bの底部幅W1が2μm、であるが説明をしやすくするため縮尺を変えて示している。
【0015】
図1の窒化物半導体レーザでは、活性層114の上部に形成され該活性層113にキャリアを注入するための電流狭窄構造117Bがメサ型に形成されている。このため、電流は、活性層114の図中中央付近に注入される。そして、この電流注入により活性層114から光が放射され、この光が増幅されて、紙面と垂直方向にレーザ光が放射される。
【0016】
図1の窒化物半導体レーザの特徴の1つは、帯状(ストライプ状)の第2のp型クラッド層117Bを挟んでその両側に、この第2のp型クラッド層117Bに並行して、第1のp型クラッド層117Aおよび活性層114を貫くように形成された溝130を形成した点である。この溝130からメサ型の第2のp型クラッド層(メサ型電流狭窄構造)117Bまでの距離W2は5μmであり、この溝130の幅は1μmである。この溝130は、図1に示すように、レーザの実効屈折率よりも屈折率が低いZrO2/SiO2からなる絶縁膜(埋め込み材)119で埋め込まれている。ここで溝130の深さはn型超格子クラッド層113の途中までとすることが好ましい。n型超格子クラッド層113を貫通し、n型コンタクト層112に達すると、n型コンタクト層112が活性層115からの光に対して透明な材料であるため、n型超格子クラッド層113の外側に光が染み出して、高次モードの発振が起こりやすくなってしまう。この溝130の側面形状は垂直で無い方が好ましい。また、この溝130の内側から第2のp型クラッド層117Bの外側までの距離W2(5μm)と、第2のp型クラッド層117Bの底部幅W1(2μm)と、の関係はW1≦W2となるようにすることが好ましい。すなわち、溝130の内側と、メサ型電流狭窄構造117Bの外側と、の距離W2(5μm)は少なくともメサ型電流狭窄構造117Bの幅W1(2μm)より離すこと、望ましくはできるだけ遠くに離すことで、水平横モードが安定な基本モードになり、水平方向遠視野像がノイズの無い単峰形状になる。
【0017】
次に、上記窒化物半導体レーザの製造方法について説明する。
【0018】
(1)まず、有機金属気相成長法(MOCVD法)で、サファイア基板100上に、バッファ層110を形成し、次いで熱CVD法などでSiO2膜を堆積する。このSiO2膜は、後に形成するレーザ共振器と平行な方向に、開口部幅4μm、SiO2幅10μmのライン・アンド・スペースとなるようにパターニングし、SiO2マスク111とする。
【0019】
(2)次に、再度MOCVD法を用い、n型コンタクト層112からp型コンタクト層118までの積層体112〜118を成長する。
【0020】
(3)次に、SiO2マスク111に垂直で且つ共振器長(紙面に垂直な方向の長さ)500μmとなるようにエッチングマスクを形成し、ドライエッチング法でサファイア基板100まで垂直エッチングし、レーザ出射端面を形成する。
【0021】
(4)次に、p型コンタクト層118上に、幅2μmのストライプ状のエッチングマスクを、SiO2マスク111上部でかつSiO2マスク111中心部がかからない位置に形成し、ドライエッチング法でp型超格子クラッド層117の途中までエッチングし、メサ型構造117Bを形成する。
【0022】
(5)次に、漏洩光をカットするためにメサ型構造117Bの外側W2(5μm)の位置にp側ガイド層116からn側ガイド層114までを貫通する幅1μmの溝130を形成する。
【0023】
(6)次に、n側電極120形成のために、結晶成長した半導体層の一部の領域をn型コンタクト層112までエッチングする。次いで、ウェハ全面にZrO2/SiO2を4層に積層した絶縁膜119を堆積する。ここで、ZrO2とSiO2の夫々の膜厚は出射端面となる垂直エッチング面においてレーザ発振波長λの4分の1となるように設定する。次いで、n型コンタクト層112の一部にTi/Al/Ni/Auからなるn側電極120を形成する。
【0024】
(7)次に、p型コンタクト層118の上部を露出させ、Pt/Auからなるp側電極121を形成する。次いで、特に図示しないが、サファイア基板100裏面を鏡面研磨し基板100の厚さを150μmとし、サファイア基板100裏面にはTi/Pt/Au膜を蒸着し、劈開法またはスクライブ法でチップ化を施し、さらにCu、立方晶窒化硼素またはダイアモンド等の熱伝導性の高いヒートシンク上にTi/Pt/Au等をメタライズした層に対してAuSn共晶半田を用いて熱圧着させる。尚、電流注入のための配線はAu線を用いる。
【0025】
以上の製造方法によって形成される、図1のレーザは、共振器長0.5mmの場合、発振波長は405nm、動作電圧は4.2Vで室温連続発振した。出射ビームはTE00モードで発振しており、遠視野像の半値全幅は垂直方向θ⊥=8°、水平方向θ//=20°でありアスペクト比2.5が得られた。また、50℃、30mW駆動における素子寿命は5000時間以上であった。さらに、図1のレーザでは、閾値電流が20mAと極めて低くなった。これは、従来の約半分である。また、20℃から80℃における相対強度雑音は−140dB/Hz以下であり、従来よりも相対強度雑音特性が10〜20%程度向上した。
【0026】
以上説明した図1の窒化物半導体レーザでは、溝130を設けたので、相対雑音強度を低減することができる。この理由の1つは、横方向の漏洩光を低減できるからであると解析される。すなわち、窒化物半導体レーザでは、前述のように、活性層115と、ガイド層114、116と、からなる導波面において、光が横方向に透過しやすい。そして、光は、屈折率が高い物質から低い物質に向かう場合に透過しやすくなる。このため、図1のレーザでも、活性層115で発生した光は、導波面(屈折率約2.5)から溝130内の絶縁膜119(屈折率=約1.4〜2.1)には進行しやすい。しかし、図1のレーザでは、溝130内の絶縁膜119(屈折率=約1.4〜2.1)からその外側の導波面(屈折率=約2.5)には光が進行しにくい。つまり、溝130の外側で光が反射されやすい。このため、横方向からチップ外部に透過する光を低減し、漏洩光を低減できる。これにより、遠視野像のノイズとなる光の裾野が減り、基本モード光だけの単峰スペクトルが得られる。従って、アスペクト比が1に近づくばかりか、相対雑音強度を低減することができる。
【0027】
これに対し、従来のレーザ(図2)では、活性層215で発生した光は、導波面(屈折率=約2.5)、空気(屈折率=1)の順に進行するので、チップ外部に光が透過しやすかった。
【0028】
もっとも、単に漏洩光を減らすだけでは、必ずしもノイズを低減することができない。このため、図1のような溝130を形成することによりノイズが低減できることは、通常の技術者にとっては予期できないことである。すなわち、漏洩光を減らす方法としては、従来のレーザ(図2)の図中左右の面に高反射コート膜を形成する方法がある。あるいは、図1のレーザの溝130を高反射コート膜で埋め込む方法も考えられる。しかし、このような高反射コート膜を形成すれば、横方向に共振モードが出現してしまう。そして、この共振モードによりノイズが発生してしまう。このため、漏洩光を低減することと、ノイズを低減することと、は必ずしも一致しない。しかしながら、本発明者の実験によれば、図1のレーザでは、漏洩光を低減することにより、ノイズを低減することができた。この理由について、本発明者は、次のように考えている。すなわち、図1のレーザでは、レーザ出射方向に対して垂直方向(図中横方向)に放出された光の多くは、溝部130の外側で内側方向に反射される。この反射された光は、溝部130の低屈折率層に閉じこめられるか、または溝部130で曲げられクラッド層114、116で閉じ込められる。従って、溝部130に入射された自然放出光は発振に寄与しないばかりか、チップ外部へ漏洩しない。
【0029】
また、図1の窒化物半導体レーザでは、量子井戸活性層215の中央付近に高密度で高効率に電流を注入することができる。このため、閾値電流を低くすることができる。
【0030】
また、図1の窒化物半導体レーザでは、活性層115の全体の幅は従来と同じ200μmにすることができる。このため、従来のレーザと比べて熱抵抗が上昇することはほとんどない。
【0031】
また、図1の窒化物半導体レーザでは、10GHz程度まで直接変調することができる。これは、溝130の形成により、p−n接合面積が狭くなり接合容量を減らすことができたためである。また、p−n接合面積が狭く制約されるためにレーザ発振時に高キャリア注入されるメサ構造からの漏洩電流防止に寄与するので、動作電流低減や長寿命化が可能になる。
【0032】
次に、溝130の幅について検討する。すなわち、図1の窒化物半導体レーザでは、溝130の幅を1μmとしたが、これを他の幅にして製造することもできるので、この幅について検討する。前述のように、溝部130が高反射コート膜で埋められた場合は、出射方向に対して垂直方向(図中横方向)に共振モードが出現してノイズの原因となるので、好ましくない。従って、溝130の幅は、活性層115からの自然放出光の中心波長をλとすると、反射しにくい厚さ、すなわち漏洩光を吸収しやすいλ/2以上であることが好ましい。また、溝130の幅が広すぎると、溝130の埋め込み工程と端面高反射コート膜形成工程を同時に行う場合には、溝130側面に高反射コート膜が形成されてしまうおそれがある。このため、溝130の幅は、2μm以下が望ましい。ただし、溝を被覆する材料が単層である場合または高反射コート膜では無い場合には、λ/2以上であれば2μm以上あっても構わない。
【0033】
以上説明した窒化物半導体レーザは、溝130の埋め込み材としてZrO2/SiO2絶縁膜119を用いたが、この埋め込み材として、ZrO2、SiO2、TrO2、AlGaN、の少なくとも1つを含むものを用いることもできる。また、溝130を埋め込まずに、溝130の部分を空気または真空にして使用することもできる。
【0034】
また、以上説明した窒化物半導体レーザは、本実施例に限られるものではなく、各半導体層の組成や膜厚を変化させることもできる。例えば、n型コンタクト層112を、GaNではなく、AlGaNによって構成することもできる。この場合には、溝130を、n型コンタクト層112の途中まで形成することができる。なぜなら、n型コンタクト層をAlGaNにした場合には、n型コンタクト層112が活性層115に対してクラッド層となるので反導波構造になりにくくなるためであり、従ってn型コンタクト層112の途中まで溝130を形成しても、光が図中下側に染み出さないからである。ただし、言うまでもないが、溝130は、n型コンタクト層112を貫通してはならない。n型コンタクト層を貫通すれば、n側電極120と活性層115は電気的に切断されてしまうからである。また、例えば、n型超格子クラッド層113やp型超格子クラッド層は、超格子構造に限定されず、AlGaNを含むクラッド層にすることもできる。
【0035】
また、以上説明した窒化物半導体レーザは、導電性が逆の構造であっても構わない。また、エッチングの順序などの工程は本実施形態に限られるものではない。また、基板はサファイアに限らず、GaN基板であっても構わないばかりか、将来GaN基板の入手が容易になればGaN基板のほうが好ましい。また、端面出射型レーザに限られるものではなく、面発光レーザなどの他の構造のレーザでも構わない。さらに、発光素子以外にも、受光素子などの光デバイスに適用が可能である。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、リッジ構造の窒化物半導体レーザにおいて、活性層を貫く溝を設けたので、低閾値電流、低雑音特性のレーザを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる窒化物半導体レーザの断面図。
【図2】従来の窒化物半導体レーザの断面図。
【符号の説明】
100 サファイア基板
110 バッファ層
111 SiO2マスク
112 n型コンタクト層
113 n型超格子クラッド層(第1導電型半導体層)
114 n側ガイド層
115 活性層
116 p側ガイド層
117 p型超格子クラッド層
117A 第1のp型クラッド層(第1の第2導電型半導体層)
117B 第2のp型クラッド層(第2の第2導電型半導体層)
118 p型コンタクト層
119 ZrO2/SiO2絶縁膜
120 n側電極(第1電極)
121 p側電極(第2電極)
130 溝
Claims (7)
- 窒化ガリウム系化合物半導体からなる第1導電型半導体層と、
前記第1導電型半導体層上に形成され窒化ガリウム系化合物半導体からなる活性層と、
前記活性層上に形成され窒化ガリウム系化合物半導体からなる第1の第2導電型半導体層と、
前記第1の第2導電型半導体層上の一部に設けられ窒化ガリウム系化合物半導体からなるメサ型構造でストライプ状の第2の第2導電型半導体層と、
を備え、
前記メサ型構造の第2の第2導電型半導体層の両側にこの第2の第2導電型半導体層に並行して少なくとも前記第1の第2導電型半導体層と前記活性層とを貫くように一対の溝が形成されてなることを特徴とする窒化物半導体レーザ。 - 前記活性層が多重量子井戸構造の活性層であることを特徴とする請求項1記載の窒化物半導体レーザ。
- 前記ストライプ状の第2の第2導電型半導体層の底部幅W1と、前記第2の第2導電型半導体層から前記溝までの距離W2と、の関係が、
W1 ≦ W2
となることを特徴とする請求項1または請求項2記載の窒化物半導体レーザ。 - 前記溝が、前記第1導電型半導体層および前記第1の第2導電型半導体層よりも屈折率が低い材料で埋め込まれていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ。
- 前記埋め込み材が、ZrO2、SiO2、TiO2、AlGaN、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4記載の窒化物半導体レーザ。
- 前記溝の幅が、前記活性層からの発光波長の2分の1以上で且つ2μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ。
- 基板と、
前記基板上に形成されGaNからなる第1導電型半導体コンタクト層と、
前記第1導電型半導体コンタクト層上に形成され、AlGaNを含む第1導電型半導体クラッド層と、
前記第1導電型半導体クラッド層上に形成され、InGaNを含み、電流注入により波長λの光を放射する多重量子井戸構造の活性層と、
前記活性層上に形成され、AlGaNを含む第1の第2導電型半導体クラッド層と、
前記第1の第2導電型半導体クラッド層上の一部に形成され、底部幅W1のストライプ状のメサ型構造からなり、AlGaNを含む、第2の第2導電型半導体クラッド層と、
前記ストライプ状の第2の第2導電型半導体クラッド層上に形成されGaNからなる第2導電型半導体コンタクト層と、
前記第1導電型半導体コンタクト層に電気的に接続して形成された第1電極と、
前記第2導電型半導体コンタクト層に電気的に接続して形成された第2電極と、を備え、
前記ストライプ状の第2の第2導電型半導体クラッド層の両側に、この第2の第2導電型半導体クラッド層に並行しW2(W1≦W2)以上離れた位置に前記第1の第2導電型半導体クラッド層および前記活性層を貫いて前記第1導電型半導体クラッド層の途中に達するように、λ/2(λは前記活性層からの発光波長。)以上2μm以下の幅で溝が形成され、
前記第1の第2導電型半導体クラッド層、前記第2の第2導電型半導体クラッド層および前記第1導電型半導体クラッド層よりも屈折率が低い材料からなり、かつZrO2、SiO2、TiO2、AlGaN、の少なくとも1つを含む材料で前記溝が埋め込まれてなることを特徴とする窒化物半導体レーザ。
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