JP2004111621A - Mocvd装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】原料供給部から溶液原料を安定した流量で気化器に供給できるMOCVD装置を提供する。
【解決手段】原料供給部40は、外枠61aと、外枠61aの内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク62aとの二重構造を有している貯蔵容器41a、これとほぼ同様の構造をもつ貯蔵容器41b及び貯蔵容器41cにより構成されている。溶液原料はベローズタンク62a,62b,62c内で外部から隔離されて貯蔵されている。そして、外枠61a,61b,61cの下側に設けられた加圧ガス導入口66a,66b,66cを介して外枠61a,61b,61cとベローズタンク62a,62b,62cとの間の空間に加圧ガスを導入して、溶液原料をベローズタンク62a,62b,62cから押し出す。
【選択図】 図2
【解決手段】原料供給部40は、外枠61aと、外枠61aの内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク62aとの二重構造を有している貯蔵容器41a、これとほぼ同様の構造をもつ貯蔵容器41b及び貯蔵容器41cにより構成されている。溶液原料はベローズタンク62a,62b,62c内で外部から隔離されて貯蔵されている。そして、外枠61a,61b,61cの下側に設けられた加圧ガス導入口66a,66b,66cを介して外枠61a,61b,61cとベローズタンク62a,62b,62cとの間の空間に加圧ガスを導入して、溶液原料をベローズタンク62a,62b,62cから押し出す。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体又は液体の有機金属を溶媒に溶かした溶液原料を用いて強誘電体膜等を形成するMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
FeRAM(Ferroelctric Random Access Memory )等の不揮発性メモリ装置には、強誘電体薄膜を上部電極及び下部電極で挟んで構成された強誘電体キャパシタが用いられている。
【0003】
強誘電体薄膜には、ペロブスカイト型結晶構造のPZT(Pb( Zr、Ti) O3 )等の強誘電特性をもつ材料が用いられる。また、電極や配線層には、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)又はPt(プラチナ)等の金属膜やIrの酸化物又はRuの酸化物からなる膜が用いられる。
【0004】
一般的に、強誘電体薄膜や高誘電体膜を形成するには溶液気化型MOCVD装置が使用されている。溶液気化型MOCVD装置では、固体又は液体の有機金属を溶媒に溶かした溶液原料を定量づつ連続的に加熱し気化させて原料ガスとして用いる。このため、溶液気化型MOCVD装置は、蒸気圧の低い材料や熱的に不安定な材料を使用しても反応室には実用的なモル濃度の原料ガスを安定して供給できて、良質の強誘電体薄膜又は高誘電体膜を形成することができる。
【0005】
図6は、PZT薄膜の形成に使用されている溶液気化型MOCVD装置の一例を示す模式図である。
【0006】
原料供給部1には、Pb系溶液原料を貯蔵する原料容器5a、Zr系溶液原料を貯蔵する原料容器5b及びTi系溶液原料を貯蔵する原料容器5cが格納されている。原料容器5aに接続された配管6aの途中には液体マスフローコントローラ7aが取り付けられており、配管6aを通る溶液原料の流量を制御できるようになっている。これと同様に、原料容器5bに接続された配管6b及び原料容器5cに接続された配管6cには、それぞれ液体マスフローコントローラ7b,7cが取り付けられている。これらの配管6a,6b,6cは、配管14に合流している。
【0007】
一方、キャリアガス(N2 )が流れる配管15にはマスフローコントローラ17が取り付けられており、キャリアガスの流量を制御できるようになっている。この配管15は、気化器2の近傍で配管14と接続されている。配管14に流れる溶液原料は、配管15を流れるキャリアガスによって気化器2まで搬送される。
【0008】
気化器2には、内部空間を加熱する加熱装置(図示せず)と、溶液原料を内部空間に噴射するノズル(図示せず)とが設けられている。配管14を通って送られてきた溶液原料は、ノズルから気化器2の加熱された空間内に噴射されてガス化し、原料ガスとなる。この原料ガスは、配管18を通ってMOCVD装置本体3に送られる。
【0009】
MOCVD装置本体3は、ガス混合室19、シャワーヘッド21及び反応室22で構成されている。ガス混合室19には、原料ガスが送られてくる配管18と、酸化ガス(O2 )が送られてくる配管20とが接続されている。そして、原料ガス及び酸化ガスはガス混合室19内で混合され、シャワーヘッド21を介して反応室22に供給される。
【0010】
反応室22内には、基板24を搭載するための台23が配置されている。この台23にはヒータ(図示せず)が内蔵され、基板24を所望の温度に加熱することができる。反応室22から排気されたガスは、配管25を介して排気装置4に送られる。排気装置4では、MOCVD装置本体3から送られてきたガスに対し分解等の処理を施してクリーンなガスに変換する。
【0011】
図7は原料供給部1をより詳細に示す模式図である。
【0012】
Pb系溶液原料を貯蔵する原料容器5aには、原料容器5a内に加圧ガスを導入するための配管8aと、溶液原料を気化器2に供給するための配管6aとが接続されている。配管8aの先端は溶液原料の液面より上に位置し、配管6aの先端は原料容器5aの底部近傍に位置している。配管8aにはバルブ9aが接続されており、配管6aにはバルブ10a及び液体マスフローコントローラ7aが接続されている。バルブ9aを開けて配管8aを介し加圧ガス(He)を原料容器5aに導入すると、加圧ガスの圧力により溶液原料が原料容器5aから押し出される。
【0013】
これと同様に、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器5bには、バルブ9bが取り付けられた配管8bと、バルブ10b及び液体マスフローコントローラ7bが取り付けられた配管6bとが接続されている。また、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器5cには、バルブ9cが取り付けられた配管8cと、バルブ10c及び液体マスフローコントローラ7cが取り付けられた配管6cとが接続されている。
【0014】
以下、上述したMOCVD装置において、原料供給部1から気化器2へ溶液原料を搬送する方法について説明する。
【0015】
まず、原料容器5a,5b,5c内にそれぞれPb系溶液原料、Zr系溶液原料及びTi系溶液原料を充填しておく。
【0016】
次に、原料供給部1のバルブ9a,9b,9cを開き、配管8a,8b,8cを介して原料容器5a,5b,5c内に圧力が0.3MPaの加圧ガス(He)を導入する。これにより、それぞれの溶液原料は加圧ガスの圧力で原料容器5a,5b,5cから配管6a,6b,6cへ押し出される。これらの溶液原料は液体マスフローコントローラ7a,7b,7cで流量調整され、配管14を介して気化器2へ搬送される。
【0017】
なお、特許第3054118号公報には、Pbジピバロイルメタナイト、Zrジピバロイルメタナイト及びTiジピバロイルメタナイトをテトラヒドロフランに溶かした溶液原料をアルゴンガスでバブリングして気化器に搬送し、この溶液原料を気化器でガス化して原料ガスを生成し、この原料ガスをCVD反応炉で約200℃で加熱気化させてPZT膜の成膜を行うホットウォールタイプのCVD装置が提案されている。
【0018】
【特許文献1】
特許第3054118号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明者等は、従来のMOCVD装置には以下に示す問題点があると考える。すなわち、従来のMOCVD装置では、原料容器に0.3MPa程度に加圧されたHeガスを導入しているので、図8に示すようにHeガスが溶液原料に溶け込む。一方、MOCVD装置本体3と配管18を介して接続されている気化器2では0.7〜1.3kPa程度まで減圧されているので、配管14の内部の圧力が気化器2の直前で下がり始める。このため、溶液原料に溶け込んだHeガスが膨張して、気化器2の近傍の配管14内部で大きな気泡が発生する場合がある。溶液原料(液体)と気泡(気体)とでは粘性が大きく異なるので、配管14内に大きな気泡が発生すると溶液原料の流量が変動して、液体マスフローコントローラ7a,7b,7cでの流量制御が不安定になる。その結果、基板24上に形成されたPZT膜の組成が変動してしまう。Heは他のガスに比べて溶液中への溶け込みは少ないものの、従来のMOCVD装置では、溶液中へのHeの溶け込みを避けることはできない。
【0020】
以上から、本発明の目的は、原料供給部から溶液原料を安定した流量で気化器に供給できるMOCVD装置を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本願発明のMOCVD装置は、MOCVD装置本体と、有機金属を含む液体原料をガス化して前記MOCVD装置本体に供給する気化器と、前記液体原料を前記気化器に供給する液体原料供給部とを有し、前記液体原料供給部は、伸縮自在の原料容器と、前記原料容器に圧力を加え収縮させて前記液体原料を押し出す加圧手段とにより構成されていることを特徴とする。
【0022】
また、本願発明のMOCVD装置において、前記加圧手段が、密閉された貯蔵容器内で前記原料容器にガス又は液体により圧力を加えるものであることが好ましい。
【0023】
更に、本願発明のMOCVD装置において、前記原料容器から前記気化器に流れる液体原料の流量を検出する流量検出部を更に有し、前記加圧手段は、前記流量検出部の出力に応じて前記原料容器に加える圧力を調整することが好ましい。
【0024】
本発明のMOCVD装置においては、液体原料を伸縮自在な原料容器に入れておき、加圧手段により圧力を加えて原料容器を収縮させて原料容器から液体原料を押し出す。押し出された液体原料は気化器へ搬送され、気化器でガス化されてからMOCVD装置本体に供給される。このように、本発明のMOCVD装置では、液体原料が加圧ガスに直接接触することがない。このため、液体原料中にガスが溶け込むことがなく、原料容器と気化器との間の配管内で気泡が発生しないので、原料供給部から液体原料を安定した流量で供給できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態のMOCVD装置を示す模式図である。
【0027】
原料供給部40には、Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41a、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41b及びTi系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41cが格納されている。貯蔵容器41aに接続された配管42aの途中には液体マスフローコントローラ43aが取り付けられており、配管42aを通る溶液原料の流量を制御できるようになっている。これと同様に、貯蔵容器41bに接続された配管42b及び貯蔵容器41cに接続された配管42cには、それぞれ液体マスフローコントローラ43b,43cが取り付けられている。これらの配管42a,42b,42cは、配管44に合流している。
【0028】
一方、キャリアガス(N2 )が流れる配管45にはマスフローコントローラ46が取り付けられており、キャリアガスの流量を制御できるようになっている。この配管45は、気化器47の近傍で配管44と接続されている。配管44に流れる溶液原料は、配管45を流れるキャリアガスによって気化器47まで搬送される。
【0029】
気化器47には、内部空間を加熱する加熱装置(図示せず)と、溶液原料を内部空間に噴射するノズル(図示せず)とが設けられている。配管45を通って送られてきた溶液原料は、ノズルから気化器47の加熱された空間内に噴射されてガス化し、原料ガスとなる。この原料ガスは、配管48を通ってMOCVD装置本体50に送られる。
【0030】
MOCVD装置本体50は、ガス混合室51、シャワーヘッド52及び反応室53で構成されている。ガス混合室51には、原料ガスが送られてくる配管48と、酸化ガス(O2 )が送られてくる配管49とが接続されている。これらの配管48,49を介して送られてきた原料ガス及び酸化ガスは、ガス混合室51内で混合され、シャワーヘッド52を介して反応室53に供給される。
【0031】
反応室53内には、基板55を搭載するための台54が配置されている。この台54にはヒータ(図示せず)が内蔵され、基板55を所望の温度に加熱することができる。反応室53から排気されたガスは、配管56を介して排気装置59に送られる。排気装置59では、MOCVD装置本体50から送られてきたガスに対し分解等の処理を施してクリーンなガスに変換する。
【0032】
図2は原料供給部40をより詳細に示す模式図である。
【0033】
Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41aは、外枠61aと、外枠61aの内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク62aとの二重構造を有している。ベローズタンク62aは溶液原料に腐食されるおそれがないステンレス又はフッ素樹脂で形成されている。このベローズタンク62a内に溶液原料が貯蔵される。ベローズタンク62aの上部は外枠61aの上部内側に気密的に接続されており、ベローズタンク62a内の溶液原料がタンク62aの外側の気体と接触しないようになっている。ベローズタンク62aには、タンク62a内に溶液原料を補充するための配管63aと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42aが接続されている。配管63aにはバルブ64aが接続されており、配管42aにはバルブ65a及び液体マスフローコントローラ43aが接続されている。
【0034】
外枠61aの下側には加圧ガス導入口66aが設けられている。この加圧ガス導入口66aを介して外枠61aとベローズタンク62aとの間の空間に加圧ガス(N2 )を導入すると、ベローズタンク62aが収縮してその底部が上方に移動し、溶液原料がベローズタンク62aから押し出される。
【0035】
これと同様に、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41bは、外枠61bとベローズタンク62bとにより構成されている。ベローズタンク62bには溶液原料を補充するための配管63bと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42bとが接続されている。配管63bにはバルブ64bが接続されており、配管42bにはバルブ65b及び液体マスフローコントローラ43bが接続されている。そして、外枠61bの下側には、加圧ガスを導入するための加圧ガス導入口66bが設けられている。
【0036】
また、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41cは、外枠61cとベローズタンク62cとにより構成されている。ベローズタンク62cには溶液原料を補充するための配管63cと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42cとが接続されている。配管63cにはバルブ64cが接続されており、配管42cにはバルブ65c及び液体マスフローコントローラ43cが接続されている。そして、外枠61cの下側には、加圧ガスを導入するための加圧ガス導入口66cが設けられている。
【0037】
以下、上述したMOCVD装置を用いた強誘電体膜(PZT膜)の形成方法について説明する。
【0038】
まず、ベローズタンク62a,62b,62c内にそれぞれ溶液原料を入れる。すなわち、バルブ64a,64b,64cを開き、配管63a,63b,63cを介してベローズタンク62a,62b,62c内にそれぞれ溶液原料を注入する。このとき、外枠61a,61b,61cの内側は大気圧とする。これにより、ベローズタンク62a,62b,62cは溶液原料の注入に伴って伸張し、各ベローズタンク62a,62b,62c内には十分な量の溶液原料が貯蔵される。
【0039】
強誘電体膜としてPZT膜を形成する場合、例えば貯蔵容器41aにはPb(thd)2 を0.3mol/L(リットル)の濃度で酢酸ブチルに溶解した溶液原料を充填し、貯蔵容器41bにはZr(OiPr)(thd)3 を0.3mol/L(リットル)の濃度で酢酸ブチルに溶解した溶液原料を充填し、貯蔵容器41cにはTi(OiPr)2 (thd)2 を0.3mol/L(リットル)の濃度で酢酸ブチルに溶解した溶液原料を充填する。
【0040】
なお、ベローズタンク62a,62b,62c内に溶液原料を貯蔵した後、バルブ64a,64b,64cを開いたまま外枠61a,61b,61c内に加圧ガスを導入してベローズタンク62a,62b,62cを若干収縮させ、ベローズタンク62a,62b,62c内のガスを除去しておくことが好ましい。
【0041】
このようにしてベローズタンク62a,62b,62c内にそれぞれPb系溶液原料、Zr系溶液原料及びTi系溶液原料を充填したら、バルブ64a,64b,64cを閉じておく。
【0042】
次に、MOCVD装置本体50の反応室53内に基板55を載置し、所定の温度(例えば、550〜650℃)まで加熱する。また、原料供給部40のバルブ65a,65b,65cを開き、加圧ガス導入口66a,66b,66cを介して貯蔵容器41a,41b,41c内に圧力が0.3MPaの加圧ガス(N2 )を導入する。これにより、ベローズタンク62a,62b,62cが収縮して、貯蔵容器41a,41b,41cから気化器47へ溶液原料が搬送される。
【0043】
溶液原料は、気化器47でガス化されて原料ガスとなり、MOCVD装置本体50に送られる。但し、基板55が所定の温度になるまでMOCVD装置50には原料ガスが供給されないようにすることが必要である。例えば、基板55が所定の温度になるまでの間、気化器47で生成された原料ガスを図示しない配管を介して排気装置59に直接流れるようにする。
【0044】
その後、基板55が所定の温度に達したら、MOCVD装置本体50への原料ガスの供給及び酸化ガス(O2 )の供給を開始する。これにより、反応室53内の基板55の表面近傍で原料ガスが化学反応し、基板55の上にPZTが堆積してPZT膜が形成される。反応後のガス及び未反応のガスは配管56を通って排気装置59に搬送され、分解等の処理がなされた後に排気される。
【0045】
PZT膜が所望の厚さに形成された後、MOCVD装置本体50への原料ガスの供給及び酸化ガスの供給を停止し、反応室53から基板55を取り出す。このようにして、基板55上に強誘電体特性を有するPZT膜が形成される。
【0046】
本実施の形態においては、溶液原料がベローズタンク62a,62b,62c内に充填され、溶液原料がベローズタンク62a,62b,62cから押し出すための加圧ガスから隔離されている。このため、溶液原料中にガスが溶け込むことがなく、配管内で気泡が発生することによる原料供給量の変動が回避される。その結果、基板55上には、組成が均一な強誘電体膜が形成され、良好な強誘電体特性を得ることができる。また、本実施の形態においては、加圧ガスが溶液原料に溶け込むことがないので、加圧ガスとしてHe等の高価なガスを使用する必要がなく、N2 等の安価なガスを使用することができる。これにより、ランニングコストが低減されるという効果も得られる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、加圧ガスを用いてベローズタンク62a,62b,62cを収縮させたが、ガスの代わりに液体を用いてもよい。
【0048】
(第1の実施の形態の変形例)
以下、溶液原料補充用容器を設けた変形例のMOCVD装置について図3を用いて説明する。なお、この変形例のMOCVD装置が第1の実施の形態のMOCVD装置と異なる点は貯蔵容器41a,41b,41cにそれぞれPb系溶液原料、Zr系溶液原料及びTi系溶液原料を補充する補充容器が設けられていることにあり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、ここでは重複する部分の説明は省略する。また、Zr系溶液原料の貯蔵容器41b及びTi系溶液原料の貯蔵容器41cにそれぞれ溶液原料を補充する補充容器の構造は、Pb系溶液原料の貯蔵容器41aにPb系溶液原料を補充する補充容器と同一の構造であるため、ここではPb系溶液原料の貯蔵容器41aにPb系溶液原料を補充する補充容器の構造のみを説明する。
【0049】
Pb系溶液原料を補充する補充容器71は、貯蔵容器41aとほぼ同様の構造であり、外枠72と、外枠72の内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク73との二重構造を有している。ベローズタンク73は溶液原料に腐食されるおそれがないステンレス又はフッ素樹脂で形成されている。このベローズタンク73内に溶液原料が貯蔵される。ベローズタンク73の上部は外枠72の上部内側に気密的に接続されており、ベローズタンク73内の溶液原料がタンク73の外側の気体と接触しないようになっている。ベローズタンク73には、タンク73内に溶液原料を補充するための配管78と、溶液原料を原料容器41aに供給するための配管63aが接続されている。配管63aは原料容器41aにも接続されている。配管78にはバルブ79が接続されており、配管63aには補充容器71側にバルブ77と、原料容器41a側にバルブ64aとがそれぞれ接続されている。
【0050】
外枠72の下側には加圧ガス導入口74が設けられている。この加圧ガス導入口74を介して外枠72とベローズタンク73との間の空間に加圧ガス(N2 )を導入すると、ベローズタンク73が収縮してその底部が上方に移動し、溶液原料がベローズタンク73から押し出される。
【0051】
次に、上述した補充容器71を用いて、Pb系溶液原料を貯蔵容器41aへ補充する方法について説明する。
【0052】
まず、ベローズタンク73内に溶液原料を入れる。すなわち、バルブ64a,77を閉じてからバルブ79を開き、配管78を介してベローズタンク73内に溶液原料を注入する。このとき、外枠72の内側は大気圧とする。これにより、ベローズタンク73は溶液原料の注入に伴って伸張し、ベローズタンク73内には十分な量の溶液原料が貯蔵される。その後、バルブ79を閉じておく。
【0053】
次に、バルブ77,64aを開き、加圧ガス導入口74を介して補充容器71内に圧力が0.3MPaの加圧ガス(N2 )を導入する。これにより、ベローズタンク73が収縮して、補充容器71から配管63aを介して原料容器41aへ溶液原料が供給される。原料容器41a内にPb系溶液原料を充填したら、バルブ64a,77を閉じておく。
【0054】
本変形例においては、補充容器71のベローズタンク73内に充填された溶液原料が加圧ガスから隔離されているため、溶液原料中にガスが溶け込むことがない。また貯蔵容器41a内の溶液原料が減少すると、補充容器71aから貯蔵容器41aへ溶液原料を補充するので、長時間にわたるPZT膜の成膜が可能である。
なお、本変形例においては、加圧ガスを用いてベローズタンク73を収縮させたが、ガスの代わりに液体を用いてもよい。
【0055】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部を示す模式図である。なお、第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は原料供給部の構成が異なる点にあり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、重複する部分の説明は省略する。
【0056】
原料供給部80には、Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81a、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81b及びTi系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81cが格納されている。
【0057】
Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81aは、外枠82aと、外枠82aの内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク83aとの二重構造を有している。ベローズタンク83aは溶液原料に腐食されるおそれがないステンレス又はフッ素樹脂で形成されている。このベローズタンク83a内に溶液原料が貯蔵される。ベローズタンク83aの上部は外枠82aの上部内側に気密的に接続されており、ベローズタンク83a内の溶液原料がタンク83aの外側の気体と接触しないようになっている。ベローズタンク83aには、タンク83a内に溶液原料を補充するための配管63aと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42aが接続されている。配管63aにはバルブ64aが接続されており、配管42aにはバルブ65a及び液体マスフローコントローラ43aが接続されている。
【0058】
外枠82aの底部にはピストン84aが設置されている。ピストン84aは可動部85aとシリンダー86aとにより構成されており、可動部85aはベローズタンク83aの底部に取り付けられている。また、シリンダー86aの下側には制御ガス導入口87aが設けられ、上側には排気口88aが設けられている。制御ガス導入口87aを介してN2 ガス等の制御ガスをシリンダー86a内に導入すると、可動部85aが下から上の方向に押し上げられる。従って、ベローズタンク83aが収縮して、溶液原料がベローズタンク83aから押し出される。
【0059】
これと同様に、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81bは、外枠82b、ベローズタンク83b及びピストン84bにより構成されている。ベローズタンク83bには溶液原料を補充するための配管63bと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42bとが接続されている。配管63bにはバルブ64bが接続されており、配管42bにはバルブ65b及び液体マスフローコントローラ43bが接続されている。ピストン84bは可動部85bとシリンダー86bとにより構成されており、可動部85bはベローズタンク83bの底部に接続されている。そして、シリンダー86bの下側には制御ガスを導入するための制御ガス導入口87bが設けられ、上側には排気口88bが設けられている。
【0060】
また、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81cは、外枠82c、ベローズタンク83c及びピストン84cにより構成されている。ベローズタンク83cには溶液原料を補充するための配管63cと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42cとが接続されている。配管63cにはバルブ64cが接続されており、配管42cにはバルブ65c及び液体マスフローコントローラ43cが接続されている。ピストン84cは可動部85cとシリンダー86cとにより構成されており、可動部85cはベローズタンク83cの底部に接続されている。そして、シリンダー86cの下側には制御ガスを導入するための制御ガス導入口87cが設けられ、上側には排気口88cが設けられている。
【0061】
次に、上述した原料供給部80を用いて気化器47に溶液原料を供給する方法を説明する。
【0062】
まず、ベローズタンク83a,83b,83c内にそれぞれ溶液原料を注入する。このとき、ピストン84a,84b,84cの制御ガス導入口87a,87b,87c側を大気圧とする。これにより、ベローズタンク83a,83b,83cは溶液原料の注入に伴って伸張し、各ベローズタンク83a,83b,83c内には十分な量の溶液原料が貯蔵される。その後、バルブ64a,64b,64cを閉じておく。
【0063】
次に、バルブ65a,65b,65cを開き、制御ガス導入口87a,87b,87cを介してシリンダー86a,86b,86c内にN2 等の制御ガスを導入する。これにより、制御ガスの圧力で可動部85a,85b,85cは下から上の方向に押し上げられるので、ベローズタンク83a,83b,83cが収縮して、貯蔵容器81a,81b,81cから気化器47へ溶液原料が搬送される。
【0064】
本実施の形態においては、溶液原料がベローズタンク83a,83b,83c内に充填され、ピストン84a,84b,84cにより溶液原料をベローズタンク83a,83b,83cから押し出す。このため、溶液原料中にガスが溶け込むことがなく、配管内で気泡が発生することによる原料供給量の変動が回避される。その結果、基板55上には、組成が均一な強誘電体膜が形成され、良好な強誘電体特性を得ることができる。また、本実施の形態においては、ピストン84a,84b,84cにより溶液原料を貯蔵容器81a,81b,81cから押し出すので、He等の高価なガスを使用する必要がなく、ランニングコストが低減されるという効果も得られる。
【0065】
なお、本実施の形態においては、制御ガスを用いてベローズタンク83a,83b,83cを収縮させたが、ガスの代わりに液体を用いてもよい。
【0066】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部を示す模式図である。なお、第3の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は原料供給部の構成が異なる点にあり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、重複する部分の説明は省略する。
【0067】
原料供給部90には、Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91a、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91b、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91c及び溶液原料の流量を制御するコントローラ97が格納されている。
【0068】
Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91aは、外枠92aと、外枠92aの内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク93aとの二重構造を有している。ベローズタンク93aは溶液原料に腐食されるおそれがないステンレス又はフッ素樹脂で形成されている。このベローズタンク93a内に溶液原料が貯蔵される。ベローズタンク93aの上部は外枠92aの上部内側に気密的に接続されており、ベローズタンク93a内の溶液原料がタンク92aの外側の気体と接触しないようになっている。ベローズタンク93aには、タンク93a内に溶液原料を補充するための配管63aと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42aが接続されている。配管63aにはバルブ64aが接続されており、配管42aにはバルブ65a及び液体マスフローメータ94aが接続されている。液体マスフローメータ94aではPb系溶液原料の流量を測定して、この流量のデータをコントローラ97に出力する。コントローラ97は、流量設定部(図示せず)から流量設定信号を入力し、この流量設定信号と液体マスフローメータ94aからの流量のデータとに基づいてステップモータ95aへ制御信号を出力する。
【0069】
ステップモータ95aは外枠92aの底部に設置されている。ステップモータ95aには可動部96aが取り付けられており、コントローラ97からの制御信号により可動部96aが移動する。すなわち、ステップモータ95aの回転運動を1軸ボールねじ(図示せず)とギア(図示せず)とを組み合わせて直線運動に変換し、可動部96aを上下方向に移動させる。この可動部96aはベローズタンク93aの底部に取り付けられている。
【0070】
これと同様に、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91bは、外枠92b、ベローズタンク93b及びステップモータ95bにより構成されている。ベローズタンク93bには溶液原料を補充するための配管63bと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42bとが接続されている。配管63bにはバルブ64bが接続されており、配管42bにはバルブ65b及び液体マスフローメータ94bが接続されている。ステップモータ95bには可動部96bが取り付けられており、可動部96bはベローズタンク93bの底部に接続されている。
【0071】
また、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91cは、外枠92c、ベローズタンク93c及びステップモータ95cにより構成されている。ベローズタンク93cには溶液原料を補充するための配管63cと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42cとが接続されている。配管63cにはバルブ64cが接続されており、配管42cにはバルブ65c及び液体マスフローメータ94cが接続されている。ステップモータ95cには可動部96cが取り付けられており、可動部96cはベローズタンク93cの底部に接続されている。
【0072】
次に、上述した原料供給部90を用いて気化器47に溶液原料を供給する方法を説明する。
【0073】
まず、ベローズタンク93a,93b,93c内にそれぞれ溶液原料を注入する。このとき、ステップモータ95a,95b,95cの電気ブレーキは解除しておく。これにより、ベローズタンク93a,93b,93cは溶液原料の注入に伴って伸張し、各ベローズタンク93a,93b,93c内には十分な量の溶液原料が貯蔵される。その後、バルブ64a,64b,64cを閉じておく。
【0074】
次に、バルブ65a,65b,65cを開く。このとき、ステップモータ95a,95b,95cは停止しており、溶液原料がベローズタンク93a,93b,93cから押し出されないので、液体マスフローメータ94a,94b,94cでは流量をゼロと検出し、その検出結果に基づく信号をコントローラ97に出力する。
【0075】
コントローラ97は、動作を開始すると液体マスフローメータ94a,94b,94cから出力された信号と、各溶液原料の流量設定値とに基づいて、ステップモータ95a,95b,95cの動作を制御する信号を出力する。
【0076】
この制御信号に基づいて、ステップモータ95a,95b,95cは可動部96a,96b,96cを下から上に動作させる。これにより、ベローズタンク93a,93b,93cが収縮して貯蔵容器91a,91b,91cから溶液原料が押し出される。
【0077】
コントローラ97が動作を開始した直後は、流量設定値と実際の流量との差が大きいので、コントローラ97はステップモータ95a,95b,95cを制御して、急激に流量を立ち上げるようにする。そして、実際の流量が流量設定値に近づくと、コントローラ97は流量の立ち上がりを抑えて、一定の流量となるようにステップモータ95a,95b,95cを制御する。このようにして、設定流量値に対して素早く応答し、流量設定値に流量に達すると安定した流量で原料供給部90から気化器47へ溶液原料を搬送する。
【0078】
本実施の形態においても、溶液原料を加圧ガス等を用いずにベローズタンク93a,93b,93cから押し出している。このため、溶液原料中にガスが溶け込むことがなく、配管内で気泡が発生することによる原料供給量の変動が回避される。その結果、基板55上には、組成が均一な強誘電体膜が形成され、良好な強誘電体特性を得ることができる。また、本実施の形態においては、液体マスフローメータ94a,94b,94cからの流量データに基づいてコントローラ97がステップモータ95a,95b,95cを制御している。このように、原料供給部90ではフィードバックループを構成しているので、流量設定値に対し素早く応答し、設定した流量に達すると安定した流量で気化器47へ溶液原料を搬送することができる。
【0079】
なお、本実施の形態においては、原料供給部90にコントローラ97を設けて溶液原料の流量を制御しているが、コントローラはMOCVD装置全体を制御する制御装置に内蔵してもよい。
【0080】
また、上述した実施の形態は本発明のMOCVD装置をPZT膜の形成に適用した場合について説明したが、本発明のMOCVD装置は他の強誘電体膜、高誘電体膜、Ir、Ru又はPt等の金属膜、及びIr又はRuの金属酸化膜等の形成に適用することができる。
【0081】
(付記1)MOCVD装置本体と、有機金属を含む液体原料をガス化して前記MOCVD装置本体に供給する気化器と、前記液体原料を前記気化器に供給する液体原料供給部とを有し、前記液体原料供給部は、伸縮自在の原料容器と、前記原料容器に圧力を加え収縮させて前記液体原料を押し出す加圧手段とにより構成されていることを特徴とするMOCVD装置。
【0082】
(付記2)前記加圧手段が、密閉された貯蔵容器内で前記原料容器にガス又は液体により圧力を加えるものであることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0083】
(付記3)前記加圧手段が、前記原料容器を伸縮するピストンにより構成されていることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0084】
(付記4)前記加圧手段が、電気モータにより構成されていることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0085】
(付記5)更に、前記原料容器から前記気化器に流れる液体原料の流量を検出する流量検出部を有し、前記加圧手段は、前記流量検出部の出力に応じて前記原料容器に加える圧力を調整することを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0086】
(付記6)前記原料容器が、ベローズ状であることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0087】
(付記7)前記原料容器が、ステンレスにより構成されていることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0088】
(付記8)前記原料容器が、フッ素樹脂により構成されていることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0089】
(付記9)前記原料容器に前記有機金属液体原料を補充する補充容器を有することを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0090】
(付記10)前記補充容器が、前記原料容器と同一の構造を有することを特徴とする付記9に記載のMOCVD装置。
【0091】
(付記11)強誘電体膜の成膜に使用されることを特徴とする付記1乃至10のいずれか1項に記載のMOCVD装置。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のMOCVD装置によれば、有機金属液体原料は伸縮自在な原料容器に貯蔵され、加圧手段により原料容器に圧力を加えて原料容器を収縮させて液体原料を押し出す。このため、液体原料中にガスが溶け込むことがなく、原料容器と気化器との間の配管内で気泡が発生しないので、原料供給部から液体原料を安定した流量で供給できる。その結果、基板上に組成が均一な強誘電体膜等の金属膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態のMOCVD装置を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部をより詳細に示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態の変形例として、Pb系溶液原料の貯蔵容器と補充容器との構成を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部を示す模式図である。
【図6】図6は、PZT薄膜の形成に使用されている溶液気化型MOCVD装置の一例を示す模式図である。
【図7】図7は、図6で示したMOCVD装置の原料供給部をより詳細に示す模式図である。
【図8】図8は、従来のMOCVD装置に発生する問題点を示す模式図である。
【符号の説明】
1、40、80、90…原料供給部、
2、47…気化器、
3、50…MOCVD装置本体、
4、59…排気装置、
5a、5b、5c…原料容器、
6a、6b、6c、8a、8b、8c、14、15、18、20、25、42a、42b、42c、44、45、48、49、56、63a、63b、63c、78…配管、
7a、7b、7c、43a、43b、43c…液体マスフローコントローラ、
9a、9b、9c、10a、10b、10c、64a、64b、64c、65a、65b、65c、77、79…バルブ、
17、46…マスフローコントローラ、
19、51…ガス混合室、
21、52…シャワーヘッド、
22、53…反応室、
23、54…台、
24、55…基板、
41a、41b、41c、81a、81b、81c、91a、91b、91c…貯蔵容器、
61a、61b、61c、72、82a、82b、82c、92a、92b、92c…外枠、
62a、62b、62c、83a、83b、83c、93a、93b、93c…ベローズタンク、
66a、66b、66c、74…加圧ガス導入口、
71…補充容器、
84a、84b、84c…ピストン、
85a、85b、85c、96a、96b、96c…可動部、
86a、86b、86c…シリンダー、
87a、87b、87c…制御ガス導入口、
88a、88b、88c…排気口、
94a、94b、94c…液体マスフローメータ、
95a、95b、95c…ステップモータ、
97…コントローラ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体又は液体の有機金属を溶媒に溶かした溶液原料を用いて強誘電体膜等を形成するMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
FeRAM(Ferroelctric Random Access Memory )等の不揮発性メモリ装置には、強誘電体薄膜を上部電極及び下部電極で挟んで構成された強誘電体キャパシタが用いられている。
【0003】
強誘電体薄膜には、ペロブスカイト型結晶構造のPZT(Pb( Zr、Ti) O3 )等の強誘電特性をもつ材料が用いられる。また、電極や配線層には、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)又はPt(プラチナ)等の金属膜やIrの酸化物又はRuの酸化物からなる膜が用いられる。
【0004】
一般的に、強誘電体薄膜や高誘電体膜を形成するには溶液気化型MOCVD装置が使用されている。溶液気化型MOCVD装置では、固体又は液体の有機金属を溶媒に溶かした溶液原料を定量づつ連続的に加熱し気化させて原料ガスとして用いる。このため、溶液気化型MOCVD装置は、蒸気圧の低い材料や熱的に不安定な材料を使用しても反応室には実用的なモル濃度の原料ガスを安定して供給できて、良質の強誘電体薄膜又は高誘電体膜を形成することができる。
【0005】
図6は、PZT薄膜の形成に使用されている溶液気化型MOCVD装置の一例を示す模式図である。
【0006】
原料供給部1には、Pb系溶液原料を貯蔵する原料容器5a、Zr系溶液原料を貯蔵する原料容器5b及びTi系溶液原料を貯蔵する原料容器5cが格納されている。原料容器5aに接続された配管6aの途中には液体マスフローコントローラ7aが取り付けられており、配管6aを通る溶液原料の流量を制御できるようになっている。これと同様に、原料容器5bに接続された配管6b及び原料容器5cに接続された配管6cには、それぞれ液体マスフローコントローラ7b,7cが取り付けられている。これらの配管6a,6b,6cは、配管14に合流している。
【0007】
一方、キャリアガス(N2 )が流れる配管15にはマスフローコントローラ17が取り付けられており、キャリアガスの流量を制御できるようになっている。この配管15は、気化器2の近傍で配管14と接続されている。配管14に流れる溶液原料は、配管15を流れるキャリアガスによって気化器2まで搬送される。
【0008】
気化器2には、内部空間を加熱する加熱装置(図示せず)と、溶液原料を内部空間に噴射するノズル(図示せず)とが設けられている。配管14を通って送られてきた溶液原料は、ノズルから気化器2の加熱された空間内に噴射されてガス化し、原料ガスとなる。この原料ガスは、配管18を通ってMOCVD装置本体3に送られる。
【0009】
MOCVD装置本体3は、ガス混合室19、シャワーヘッド21及び反応室22で構成されている。ガス混合室19には、原料ガスが送られてくる配管18と、酸化ガス(O2 )が送られてくる配管20とが接続されている。そして、原料ガス及び酸化ガスはガス混合室19内で混合され、シャワーヘッド21を介して反応室22に供給される。
【0010】
反応室22内には、基板24を搭載するための台23が配置されている。この台23にはヒータ(図示せず)が内蔵され、基板24を所望の温度に加熱することができる。反応室22から排気されたガスは、配管25を介して排気装置4に送られる。排気装置4では、MOCVD装置本体3から送られてきたガスに対し分解等の処理を施してクリーンなガスに変換する。
【0011】
図7は原料供給部1をより詳細に示す模式図である。
【0012】
Pb系溶液原料を貯蔵する原料容器5aには、原料容器5a内に加圧ガスを導入するための配管8aと、溶液原料を気化器2に供給するための配管6aとが接続されている。配管8aの先端は溶液原料の液面より上に位置し、配管6aの先端は原料容器5aの底部近傍に位置している。配管8aにはバルブ9aが接続されており、配管6aにはバルブ10a及び液体マスフローコントローラ7aが接続されている。バルブ9aを開けて配管8aを介し加圧ガス(He)を原料容器5aに導入すると、加圧ガスの圧力により溶液原料が原料容器5aから押し出される。
【0013】
これと同様に、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器5bには、バルブ9bが取り付けられた配管8bと、バルブ10b及び液体マスフローコントローラ7bが取り付けられた配管6bとが接続されている。また、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器5cには、バルブ9cが取り付けられた配管8cと、バルブ10c及び液体マスフローコントローラ7cが取り付けられた配管6cとが接続されている。
【0014】
以下、上述したMOCVD装置において、原料供給部1から気化器2へ溶液原料を搬送する方法について説明する。
【0015】
まず、原料容器5a,5b,5c内にそれぞれPb系溶液原料、Zr系溶液原料及びTi系溶液原料を充填しておく。
【0016】
次に、原料供給部1のバルブ9a,9b,9cを開き、配管8a,8b,8cを介して原料容器5a,5b,5c内に圧力が0.3MPaの加圧ガス(He)を導入する。これにより、それぞれの溶液原料は加圧ガスの圧力で原料容器5a,5b,5cから配管6a,6b,6cへ押し出される。これらの溶液原料は液体マスフローコントローラ7a,7b,7cで流量調整され、配管14を介して気化器2へ搬送される。
【0017】
なお、特許第3054118号公報には、Pbジピバロイルメタナイト、Zrジピバロイルメタナイト及びTiジピバロイルメタナイトをテトラヒドロフランに溶かした溶液原料をアルゴンガスでバブリングして気化器に搬送し、この溶液原料を気化器でガス化して原料ガスを生成し、この原料ガスをCVD反応炉で約200℃で加熱気化させてPZT膜の成膜を行うホットウォールタイプのCVD装置が提案されている。
【0018】
【特許文献1】
特許第3054118号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明者等は、従来のMOCVD装置には以下に示す問題点があると考える。すなわち、従来のMOCVD装置では、原料容器に0.3MPa程度に加圧されたHeガスを導入しているので、図8に示すようにHeガスが溶液原料に溶け込む。一方、MOCVD装置本体3と配管18を介して接続されている気化器2では0.7〜1.3kPa程度まで減圧されているので、配管14の内部の圧力が気化器2の直前で下がり始める。このため、溶液原料に溶け込んだHeガスが膨張して、気化器2の近傍の配管14内部で大きな気泡が発生する場合がある。溶液原料(液体)と気泡(気体)とでは粘性が大きく異なるので、配管14内に大きな気泡が発生すると溶液原料の流量が変動して、液体マスフローコントローラ7a,7b,7cでの流量制御が不安定になる。その結果、基板24上に形成されたPZT膜の組成が変動してしまう。Heは他のガスに比べて溶液中への溶け込みは少ないものの、従来のMOCVD装置では、溶液中へのHeの溶け込みを避けることはできない。
【0020】
以上から、本発明の目的は、原料供給部から溶液原料を安定した流量で気化器に供給できるMOCVD装置を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本願発明のMOCVD装置は、MOCVD装置本体と、有機金属を含む液体原料をガス化して前記MOCVD装置本体に供給する気化器と、前記液体原料を前記気化器に供給する液体原料供給部とを有し、前記液体原料供給部は、伸縮自在の原料容器と、前記原料容器に圧力を加え収縮させて前記液体原料を押し出す加圧手段とにより構成されていることを特徴とする。
【0022】
また、本願発明のMOCVD装置において、前記加圧手段が、密閉された貯蔵容器内で前記原料容器にガス又は液体により圧力を加えるものであることが好ましい。
【0023】
更に、本願発明のMOCVD装置において、前記原料容器から前記気化器に流れる液体原料の流量を検出する流量検出部を更に有し、前記加圧手段は、前記流量検出部の出力に応じて前記原料容器に加える圧力を調整することが好ましい。
【0024】
本発明のMOCVD装置においては、液体原料を伸縮自在な原料容器に入れておき、加圧手段により圧力を加えて原料容器を収縮させて原料容器から液体原料を押し出す。押し出された液体原料は気化器へ搬送され、気化器でガス化されてからMOCVD装置本体に供給される。このように、本発明のMOCVD装置では、液体原料が加圧ガスに直接接触することがない。このため、液体原料中にガスが溶け込むことがなく、原料容器と気化器との間の配管内で気泡が発生しないので、原料供給部から液体原料を安定した流量で供給できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態のMOCVD装置を示す模式図である。
【0027】
原料供給部40には、Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41a、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41b及びTi系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41cが格納されている。貯蔵容器41aに接続された配管42aの途中には液体マスフローコントローラ43aが取り付けられており、配管42aを通る溶液原料の流量を制御できるようになっている。これと同様に、貯蔵容器41bに接続された配管42b及び貯蔵容器41cに接続された配管42cには、それぞれ液体マスフローコントローラ43b,43cが取り付けられている。これらの配管42a,42b,42cは、配管44に合流している。
【0028】
一方、キャリアガス(N2 )が流れる配管45にはマスフローコントローラ46が取り付けられており、キャリアガスの流量を制御できるようになっている。この配管45は、気化器47の近傍で配管44と接続されている。配管44に流れる溶液原料は、配管45を流れるキャリアガスによって気化器47まで搬送される。
【0029】
気化器47には、内部空間を加熱する加熱装置(図示せず)と、溶液原料を内部空間に噴射するノズル(図示せず)とが設けられている。配管45を通って送られてきた溶液原料は、ノズルから気化器47の加熱された空間内に噴射されてガス化し、原料ガスとなる。この原料ガスは、配管48を通ってMOCVD装置本体50に送られる。
【0030】
MOCVD装置本体50は、ガス混合室51、シャワーヘッド52及び反応室53で構成されている。ガス混合室51には、原料ガスが送られてくる配管48と、酸化ガス(O2 )が送られてくる配管49とが接続されている。これらの配管48,49を介して送られてきた原料ガス及び酸化ガスは、ガス混合室51内で混合され、シャワーヘッド52を介して反応室53に供給される。
【0031】
反応室53内には、基板55を搭載するための台54が配置されている。この台54にはヒータ(図示せず)が内蔵され、基板55を所望の温度に加熱することができる。反応室53から排気されたガスは、配管56を介して排気装置59に送られる。排気装置59では、MOCVD装置本体50から送られてきたガスに対し分解等の処理を施してクリーンなガスに変換する。
【0032】
図2は原料供給部40をより詳細に示す模式図である。
【0033】
Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41aは、外枠61aと、外枠61aの内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク62aとの二重構造を有している。ベローズタンク62aは溶液原料に腐食されるおそれがないステンレス又はフッ素樹脂で形成されている。このベローズタンク62a内に溶液原料が貯蔵される。ベローズタンク62aの上部は外枠61aの上部内側に気密的に接続されており、ベローズタンク62a内の溶液原料がタンク62aの外側の気体と接触しないようになっている。ベローズタンク62aには、タンク62a内に溶液原料を補充するための配管63aと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42aが接続されている。配管63aにはバルブ64aが接続されており、配管42aにはバルブ65a及び液体マスフローコントローラ43aが接続されている。
【0034】
外枠61aの下側には加圧ガス導入口66aが設けられている。この加圧ガス導入口66aを介して外枠61aとベローズタンク62aとの間の空間に加圧ガス(N2 )を導入すると、ベローズタンク62aが収縮してその底部が上方に移動し、溶液原料がベローズタンク62aから押し出される。
【0035】
これと同様に、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41bは、外枠61bとベローズタンク62bとにより構成されている。ベローズタンク62bには溶液原料を補充するための配管63bと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42bとが接続されている。配管63bにはバルブ64bが接続されており、配管42bにはバルブ65b及び液体マスフローコントローラ43bが接続されている。そして、外枠61bの下側には、加圧ガスを導入するための加圧ガス導入口66bが設けられている。
【0036】
また、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器41cは、外枠61cとベローズタンク62cとにより構成されている。ベローズタンク62cには溶液原料を補充するための配管63cと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42cとが接続されている。配管63cにはバルブ64cが接続されており、配管42cにはバルブ65c及び液体マスフローコントローラ43cが接続されている。そして、外枠61cの下側には、加圧ガスを導入するための加圧ガス導入口66cが設けられている。
【0037】
以下、上述したMOCVD装置を用いた強誘電体膜(PZT膜)の形成方法について説明する。
【0038】
まず、ベローズタンク62a,62b,62c内にそれぞれ溶液原料を入れる。すなわち、バルブ64a,64b,64cを開き、配管63a,63b,63cを介してベローズタンク62a,62b,62c内にそれぞれ溶液原料を注入する。このとき、外枠61a,61b,61cの内側は大気圧とする。これにより、ベローズタンク62a,62b,62cは溶液原料の注入に伴って伸張し、各ベローズタンク62a,62b,62c内には十分な量の溶液原料が貯蔵される。
【0039】
強誘電体膜としてPZT膜を形成する場合、例えば貯蔵容器41aにはPb(thd)2 を0.3mol/L(リットル)の濃度で酢酸ブチルに溶解した溶液原料を充填し、貯蔵容器41bにはZr(OiPr)(thd)3 を0.3mol/L(リットル)の濃度で酢酸ブチルに溶解した溶液原料を充填し、貯蔵容器41cにはTi(OiPr)2 (thd)2 を0.3mol/L(リットル)の濃度で酢酸ブチルに溶解した溶液原料を充填する。
【0040】
なお、ベローズタンク62a,62b,62c内に溶液原料を貯蔵した後、バルブ64a,64b,64cを開いたまま外枠61a,61b,61c内に加圧ガスを導入してベローズタンク62a,62b,62cを若干収縮させ、ベローズタンク62a,62b,62c内のガスを除去しておくことが好ましい。
【0041】
このようにしてベローズタンク62a,62b,62c内にそれぞれPb系溶液原料、Zr系溶液原料及びTi系溶液原料を充填したら、バルブ64a,64b,64cを閉じておく。
【0042】
次に、MOCVD装置本体50の反応室53内に基板55を載置し、所定の温度(例えば、550〜650℃)まで加熱する。また、原料供給部40のバルブ65a,65b,65cを開き、加圧ガス導入口66a,66b,66cを介して貯蔵容器41a,41b,41c内に圧力が0.3MPaの加圧ガス(N2 )を導入する。これにより、ベローズタンク62a,62b,62cが収縮して、貯蔵容器41a,41b,41cから気化器47へ溶液原料が搬送される。
【0043】
溶液原料は、気化器47でガス化されて原料ガスとなり、MOCVD装置本体50に送られる。但し、基板55が所定の温度になるまでMOCVD装置50には原料ガスが供給されないようにすることが必要である。例えば、基板55が所定の温度になるまでの間、気化器47で生成された原料ガスを図示しない配管を介して排気装置59に直接流れるようにする。
【0044】
その後、基板55が所定の温度に達したら、MOCVD装置本体50への原料ガスの供給及び酸化ガス(O2 )の供給を開始する。これにより、反応室53内の基板55の表面近傍で原料ガスが化学反応し、基板55の上にPZTが堆積してPZT膜が形成される。反応後のガス及び未反応のガスは配管56を通って排気装置59に搬送され、分解等の処理がなされた後に排気される。
【0045】
PZT膜が所望の厚さに形成された後、MOCVD装置本体50への原料ガスの供給及び酸化ガスの供給を停止し、反応室53から基板55を取り出す。このようにして、基板55上に強誘電体特性を有するPZT膜が形成される。
【0046】
本実施の形態においては、溶液原料がベローズタンク62a,62b,62c内に充填され、溶液原料がベローズタンク62a,62b,62cから押し出すための加圧ガスから隔離されている。このため、溶液原料中にガスが溶け込むことがなく、配管内で気泡が発生することによる原料供給量の変動が回避される。その結果、基板55上には、組成が均一な強誘電体膜が形成され、良好な強誘電体特性を得ることができる。また、本実施の形態においては、加圧ガスが溶液原料に溶け込むことがないので、加圧ガスとしてHe等の高価なガスを使用する必要がなく、N2 等の安価なガスを使用することができる。これにより、ランニングコストが低減されるという効果も得られる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、加圧ガスを用いてベローズタンク62a,62b,62cを収縮させたが、ガスの代わりに液体を用いてもよい。
【0048】
(第1の実施の形態の変形例)
以下、溶液原料補充用容器を設けた変形例のMOCVD装置について図3を用いて説明する。なお、この変形例のMOCVD装置が第1の実施の形態のMOCVD装置と異なる点は貯蔵容器41a,41b,41cにそれぞれPb系溶液原料、Zr系溶液原料及びTi系溶液原料を補充する補充容器が設けられていることにあり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、ここでは重複する部分の説明は省略する。また、Zr系溶液原料の貯蔵容器41b及びTi系溶液原料の貯蔵容器41cにそれぞれ溶液原料を補充する補充容器の構造は、Pb系溶液原料の貯蔵容器41aにPb系溶液原料を補充する補充容器と同一の構造であるため、ここではPb系溶液原料の貯蔵容器41aにPb系溶液原料を補充する補充容器の構造のみを説明する。
【0049】
Pb系溶液原料を補充する補充容器71は、貯蔵容器41aとほぼ同様の構造であり、外枠72と、外枠72の内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク73との二重構造を有している。ベローズタンク73は溶液原料に腐食されるおそれがないステンレス又はフッ素樹脂で形成されている。このベローズタンク73内に溶液原料が貯蔵される。ベローズタンク73の上部は外枠72の上部内側に気密的に接続されており、ベローズタンク73内の溶液原料がタンク73の外側の気体と接触しないようになっている。ベローズタンク73には、タンク73内に溶液原料を補充するための配管78と、溶液原料を原料容器41aに供給するための配管63aが接続されている。配管63aは原料容器41aにも接続されている。配管78にはバルブ79が接続されており、配管63aには補充容器71側にバルブ77と、原料容器41a側にバルブ64aとがそれぞれ接続されている。
【0050】
外枠72の下側には加圧ガス導入口74が設けられている。この加圧ガス導入口74を介して外枠72とベローズタンク73との間の空間に加圧ガス(N2 )を導入すると、ベローズタンク73が収縮してその底部が上方に移動し、溶液原料がベローズタンク73から押し出される。
【0051】
次に、上述した補充容器71を用いて、Pb系溶液原料を貯蔵容器41aへ補充する方法について説明する。
【0052】
まず、ベローズタンク73内に溶液原料を入れる。すなわち、バルブ64a,77を閉じてからバルブ79を開き、配管78を介してベローズタンク73内に溶液原料を注入する。このとき、外枠72の内側は大気圧とする。これにより、ベローズタンク73は溶液原料の注入に伴って伸張し、ベローズタンク73内には十分な量の溶液原料が貯蔵される。その後、バルブ79を閉じておく。
【0053】
次に、バルブ77,64aを開き、加圧ガス導入口74を介して補充容器71内に圧力が0.3MPaの加圧ガス(N2 )を導入する。これにより、ベローズタンク73が収縮して、補充容器71から配管63aを介して原料容器41aへ溶液原料が供給される。原料容器41a内にPb系溶液原料を充填したら、バルブ64a,77を閉じておく。
【0054】
本変形例においては、補充容器71のベローズタンク73内に充填された溶液原料が加圧ガスから隔離されているため、溶液原料中にガスが溶け込むことがない。また貯蔵容器41a内の溶液原料が減少すると、補充容器71aから貯蔵容器41aへ溶液原料を補充するので、長時間にわたるPZT膜の成膜が可能である。
なお、本変形例においては、加圧ガスを用いてベローズタンク73を収縮させたが、ガスの代わりに液体を用いてもよい。
【0055】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部を示す模式図である。なお、第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は原料供給部の構成が異なる点にあり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、重複する部分の説明は省略する。
【0056】
原料供給部80には、Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81a、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81b及びTi系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81cが格納されている。
【0057】
Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81aは、外枠82aと、外枠82aの内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク83aとの二重構造を有している。ベローズタンク83aは溶液原料に腐食されるおそれがないステンレス又はフッ素樹脂で形成されている。このベローズタンク83a内に溶液原料が貯蔵される。ベローズタンク83aの上部は外枠82aの上部内側に気密的に接続されており、ベローズタンク83a内の溶液原料がタンク83aの外側の気体と接触しないようになっている。ベローズタンク83aには、タンク83a内に溶液原料を補充するための配管63aと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42aが接続されている。配管63aにはバルブ64aが接続されており、配管42aにはバルブ65a及び液体マスフローコントローラ43aが接続されている。
【0058】
外枠82aの底部にはピストン84aが設置されている。ピストン84aは可動部85aとシリンダー86aとにより構成されており、可動部85aはベローズタンク83aの底部に取り付けられている。また、シリンダー86aの下側には制御ガス導入口87aが設けられ、上側には排気口88aが設けられている。制御ガス導入口87aを介してN2 ガス等の制御ガスをシリンダー86a内に導入すると、可動部85aが下から上の方向に押し上げられる。従って、ベローズタンク83aが収縮して、溶液原料がベローズタンク83aから押し出される。
【0059】
これと同様に、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81bは、外枠82b、ベローズタンク83b及びピストン84bにより構成されている。ベローズタンク83bには溶液原料を補充するための配管63bと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42bとが接続されている。配管63bにはバルブ64bが接続されており、配管42bにはバルブ65b及び液体マスフローコントローラ43bが接続されている。ピストン84bは可動部85bとシリンダー86bとにより構成されており、可動部85bはベローズタンク83bの底部に接続されている。そして、シリンダー86bの下側には制御ガスを導入するための制御ガス導入口87bが設けられ、上側には排気口88bが設けられている。
【0060】
また、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器81cは、外枠82c、ベローズタンク83c及びピストン84cにより構成されている。ベローズタンク83cには溶液原料を補充するための配管63cと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42cとが接続されている。配管63cにはバルブ64cが接続されており、配管42cにはバルブ65c及び液体マスフローコントローラ43cが接続されている。ピストン84cは可動部85cとシリンダー86cとにより構成されており、可動部85cはベローズタンク83cの底部に接続されている。そして、シリンダー86cの下側には制御ガスを導入するための制御ガス導入口87cが設けられ、上側には排気口88cが設けられている。
【0061】
次に、上述した原料供給部80を用いて気化器47に溶液原料を供給する方法を説明する。
【0062】
まず、ベローズタンク83a,83b,83c内にそれぞれ溶液原料を注入する。このとき、ピストン84a,84b,84cの制御ガス導入口87a,87b,87c側を大気圧とする。これにより、ベローズタンク83a,83b,83cは溶液原料の注入に伴って伸張し、各ベローズタンク83a,83b,83c内には十分な量の溶液原料が貯蔵される。その後、バルブ64a,64b,64cを閉じておく。
【0063】
次に、バルブ65a,65b,65cを開き、制御ガス導入口87a,87b,87cを介してシリンダー86a,86b,86c内にN2 等の制御ガスを導入する。これにより、制御ガスの圧力で可動部85a,85b,85cは下から上の方向に押し上げられるので、ベローズタンク83a,83b,83cが収縮して、貯蔵容器81a,81b,81cから気化器47へ溶液原料が搬送される。
【0064】
本実施の形態においては、溶液原料がベローズタンク83a,83b,83c内に充填され、ピストン84a,84b,84cにより溶液原料をベローズタンク83a,83b,83cから押し出す。このため、溶液原料中にガスが溶け込むことがなく、配管内で気泡が発生することによる原料供給量の変動が回避される。その結果、基板55上には、組成が均一な強誘電体膜が形成され、良好な強誘電体特性を得ることができる。また、本実施の形態においては、ピストン84a,84b,84cにより溶液原料を貯蔵容器81a,81b,81cから押し出すので、He等の高価なガスを使用する必要がなく、ランニングコストが低減されるという効果も得られる。
【0065】
なお、本実施の形態においては、制御ガスを用いてベローズタンク83a,83b,83cを収縮させたが、ガスの代わりに液体を用いてもよい。
【0066】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部を示す模式図である。なお、第3の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は原料供給部の構成が異なる点にあり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、重複する部分の説明は省略する。
【0067】
原料供給部90には、Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91a、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91b、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91c及び溶液原料の流量を制御するコントローラ97が格納されている。
【0068】
Pb系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91aは、外枠92aと、外枠92aの内側に配置されて上下方向に伸縮可能なベローズタンク93aとの二重構造を有している。ベローズタンク93aは溶液原料に腐食されるおそれがないステンレス又はフッ素樹脂で形成されている。このベローズタンク93a内に溶液原料が貯蔵される。ベローズタンク93aの上部は外枠92aの上部内側に気密的に接続されており、ベローズタンク93a内の溶液原料がタンク92aの外側の気体と接触しないようになっている。ベローズタンク93aには、タンク93a内に溶液原料を補充するための配管63aと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42aが接続されている。配管63aにはバルブ64aが接続されており、配管42aにはバルブ65a及び液体マスフローメータ94aが接続されている。液体マスフローメータ94aではPb系溶液原料の流量を測定して、この流量のデータをコントローラ97に出力する。コントローラ97は、流量設定部(図示せず)から流量設定信号を入力し、この流量設定信号と液体マスフローメータ94aからの流量のデータとに基づいてステップモータ95aへ制御信号を出力する。
【0069】
ステップモータ95aは外枠92aの底部に設置されている。ステップモータ95aには可動部96aが取り付けられており、コントローラ97からの制御信号により可動部96aが移動する。すなわち、ステップモータ95aの回転運動を1軸ボールねじ(図示せず)とギア(図示せず)とを組み合わせて直線運動に変換し、可動部96aを上下方向に移動させる。この可動部96aはベローズタンク93aの底部に取り付けられている。
【0070】
これと同様に、Zr系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91bは、外枠92b、ベローズタンク93b及びステップモータ95bにより構成されている。ベローズタンク93bには溶液原料を補充するための配管63bと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42bとが接続されている。配管63bにはバルブ64bが接続されており、配管42bにはバルブ65b及び液体マスフローメータ94bが接続されている。ステップモータ95bには可動部96bが取り付けられており、可動部96bはベローズタンク93bの底部に接続されている。
【0071】
また、Ti系溶液原料を貯蔵する貯蔵容器91cは、外枠92c、ベローズタンク93c及びステップモータ95cにより構成されている。ベローズタンク93cには溶液原料を補充するための配管63cと、溶液原料を気化器47に供給するための配管42cとが接続されている。配管63cにはバルブ64cが接続されており、配管42cにはバルブ65c及び液体マスフローメータ94cが接続されている。ステップモータ95cには可動部96cが取り付けられており、可動部96cはベローズタンク93cの底部に接続されている。
【0072】
次に、上述した原料供給部90を用いて気化器47に溶液原料を供給する方法を説明する。
【0073】
まず、ベローズタンク93a,93b,93c内にそれぞれ溶液原料を注入する。このとき、ステップモータ95a,95b,95cの電気ブレーキは解除しておく。これにより、ベローズタンク93a,93b,93cは溶液原料の注入に伴って伸張し、各ベローズタンク93a,93b,93c内には十分な量の溶液原料が貯蔵される。その後、バルブ64a,64b,64cを閉じておく。
【0074】
次に、バルブ65a,65b,65cを開く。このとき、ステップモータ95a,95b,95cは停止しており、溶液原料がベローズタンク93a,93b,93cから押し出されないので、液体マスフローメータ94a,94b,94cでは流量をゼロと検出し、その検出結果に基づく信号をコントローラ97に出力する。
【0075】
コントローラ97は、動作を開始すると液体マスフローメータ94a,94b,94cから出力された信号と、各溶液原料の流量設定値とに基づいて、ステップモータ95a,95b,95cの動作を制御する信号を出力する。
【0076】
この制御信号に基づいて、ステップモータ95a,95b,95cは可動部96a,96b,96cを下から上に動作させる。これにより、ベローズタンク93a,93b,93cが収縮して貯蔵容器91a,91b,91cから溶液原料が押し出される。
【0077】
コントローラ97が動作を開始した直後は、流量設定値と実際の流量との差が大きいので、コントローラ97はステップモータ95a,95b,95cを制御して、急激に流量を立ち上げるようにする。そして、実際の流量が流量設定値に近づくと、コントローラ97は流量の立ち上がりを抑えて、一定の流量となるようにステップモータ95a,95b,95cを制御する。このようにして、設定流量値に対して素早く応答し、流量設定値に流量に達すると安定した流量で原料供給部90から気化器47へ溶液原料を搬送する。
【0078】
本実施の形態においても、溶液原料を加圧ガス等を用いずにベローズタンク93a,93b,93cから押し出している。このため、溶液原料中にガスが溶け込むことがなく、配管内で気泡が発生することによる原料供給量の変動が回避される。その結果、基板55上には、組成が均一な強誘電体膜が形成され、良好な強誘電体特性を得ることができる。また、本実施の形態においては、液体マスフローメータ94a,94b,94cからの流量データに基づいてコントローラ97がステップモータ95a,95b,95cを制御している。このように、原料供給部90ではフィードバックループを構成しているので、流量設定値に対し素早く応答し、設定した流量に達すると安定した流量で気化器47へ溶液原料を搬送することができる。
【0079】
なお、本実施の形態においては、原料供給部90にコントローラ97を設けて溶液原料の流量を制御しているが、コントローラはMOCVD装置全体を制御する制御装置に内蔵してもよい。
【0080】
また、上述した実施の形態は本発明のMOCVD装置をPZT膜の形成に適用した場合について説明したが、本発明のMOCVD装置は他の強誘電体膜、高誘電体膜、Ir、Ru又はPt等の金属膜、及びIr又はRuの金属酸化膜等の形成に適用することができる。
【0081】
(付記1)MOCVD装置本体と、有機金属を含む液体原料をガス化して前記MOCVD装置本体に供給する気化器と、前記液体原料を前記気化器に供給する液体原料供給部とを有し、前記液体原料供給部は、伸縮自在の原料容器と、前記原料容器に圧力を加え収縮させて前記液体原料を押し出す加圧手段とにより構成されていることを特徴とするMOCVD装置。
【0082】
(付記2)前記加圧手段が、密閉された貯蔵容器内で前記原料容器にガス又は液体により圧力を加えるものであることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0083】
(付記3)前記加圧手段が、前記原料容器を伸縮するピストンにより構成されていることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0084】
(付記4)前記加圧手段が、電気モータにより構成されていることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0085】
(付記5)更に、前記原料容器から前記気化器に流れる液体原料の流量を検出する流量検出部を有し、前記加圧手段は、前記流量検出部の出力に応じて前記原料容器に加える圧力を調整することを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0086】
(付記6)前記原料容器が、ベローズ状であることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0087】
(付記7)前記原料容器が、ステンレスにより構成されていることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0088】
(付記8)前記原料容器が、フッ素樹脂により構成されていることを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0089】
(付記9)前記原料容器に前記有機金属液体原料を補充する補充容器を有することを特徴とする付記1に記載のMOCVD装置。
【0090】
(付記10)前記補充容器が、前記原料容器と同一の構造を有することを特徴とする付記9に記載のMOCVD装置。
【0091】
(付記11)強誘電体膜の成膜に使用されることを特徴とする付記1乃至10のいずれか1項に記載のMOCVD装置。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のMOCVD装置によれば、有機金属液体原料は伸縮自在な原料容器に貯蔵され、加圧手段により原料容器に圧力を加えて原料容器を収縮させて液体原料を押し出す。このため、液体原料中にガスが溶け込むことがなく、原料容器と気化器との間の配管内で気泡が発生しないので、原料供給部から液体原料を安定した流量で供給できる。その結果、基板上に組成が均一な強誘電体膜等の金属膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態のMOCVD装置を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部をより詳細に示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態の変形例として、Pb系溶液原料の貯蔵容器と補充容器との構成を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態のMOCVD装置の原料供給部を示す模式図である。
【図6】図6は、PZT薄膜の形成に使用されている溶液気化型MOCVD装置の一例を示す模式図である。
【図7】図7は、図6で示したMOCVD装置の原料供給部をより詳細に示す模式図である。
【図8】図8は、従来のMOCVD装置に発生する問題点を示す模式図である。
【符号の説明】
1、40、80、90…原料供給部、
2、47…気化器、
3、50…MOCVD装置本体、
4、59…排気装置、
5a、5b、5c…原料容器、
6a、6b、6c、8a、8b、8c、14、15、18、20、25、42a、42b、42c、44、45、48、49、56、63a、63b、63c、78…配管、
7a、7b、7c、43a、43b、43c…液体マスフローコントローラ、
9a、9b、9c、10a、10b、10c、64a、64b、64c、65a、65b、65c、77、79…バルブ、
17、46…マスフローコントローラ、
19、51…ガス混合室、
21、52…シャワーヘッド、
22、53…反応室、
23、54…台、
24、55…基板、
41a、41b、41c、81a、81b、81c、91a、91b、91c…貯蔵容器、
61a、61b、61c、72、82a、82b、82c、92a、92b、92c…外枠、
62a、62b、62c、83a、83b、83c、93a、93b、93c…ベローズタンク、
66a、66b、66c、74…加圧ガス導入口、
71…補充容器、
84a、84b、84c…ピストン、
85a、85b、85c、96a、96b、96c…可動部、
86a、86b、86c…シリンダー、
87a、87b、87c…制御ガス導入口、
88a、88b、88c…排気口、
94a、94b、94c…液体マスフローメータ、
95a、95b、95c…ステップモータ、
97…コントローラ。
Claims (5)
- MOCVD装置本体と、
有機金属を含む液体原料をガス化して前記MOCVD装置本体に供給する気化器と、
前記液体原料を前記気化器に供給する液体原料供給部とを有し、
前記液体原料供給部は、伸縮自在の原料容器と、
前記原料容器に圧力を加え収縮させて前記液体原料を押し出す加圧手段とにより構成されていることを特徴とするMOCVD装置。 - 前記加圧手段が、密閉された貯蔵容器内で前記原料容器にガス又は液体により圧力を加えるものであることを特徴とする請求項1に記載のMOCVD装置。
- 更に、前記原料容器から前記気化器に流れる液体原料の流量を検出する流量検出部を有し、前記加圧手段は、前記流量検出部の出力に応じて前記原料容器に加える圧力を調整することを特徴とする請求項1に記載のMOCVD装置。
- 前記原料容器に前記有機金属液体原料を補充する補充容器を有することを特徴とする請求項1に記載のMOCVD装置。
- 強誘電体膜の成膜に使用されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のMOCVD装置。
Priority Applications (1)
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JP2002271568A JP2004111621A (ja) | 2002-09-18 | 2002-09-18 | Mocvd装置 |
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JP2002271568A JP2004111621A (ja) | 2002-09-18 | 2002-09-18 | Mocvd装置 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2004111621A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101412507B1 (ko) * | 2013-02-06 | 2014-06-26 | 공주대학교 산학협력단 | 유기금속화합물 가스 공급 장치 |
JP2015065277A (ja) * | 2013-09-25 | 2015-04-09 | 株式会社アルバック | Pzt薄膜製造方法 |
-
2002
- 2002-09-18 JP JP2002271568A patent/JP2004111621A/ja not_active Withdrawn
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KR101412507B1 (ko) * | 2013-02-06 | 2014-06-26 | 공주대학교 산학협력단 | 유기금속화합물 가스 공급 장치 |
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