JP2004111259A - スイッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】接点の接離を確実に行わせ、また接点開離スピードを速めることを可能とする。
【解決手段】スイッチにおいて、接点板13を、ハウジング3側の接点板支持部11に揺動可能に支持すると共に、接点板支持部11を境に接点板13の一側に、可動接点15を設けると共に、同他側に、スチールボール39を落とし込む加速用凹部13bを設け、可動盤23を、スイッチノブにより移動操作を受ける第1可動盤部25とスチールボール39を支持し第1可動盤部25に所定範囲相対移動可能に支持された第2可動盤部27とで形成し、第2可動盤部27の第1可動盤部25に対する相対移動の許容によりスチールボール39が加速用凹部13bに落ち込み接点板13を加速用凹部13b側へ瞬時に揺動変位させ可動接点15を固定接点5から瞬時に離間させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】スイッチにおいて、接点板13を、ハウジング3側の接点板支持部11に揺動可能に支持すると共に、接点板支持部11を境に接点板13の一側に、可動接点15を設けると共に、同他側に、スチールボール39を落とし込む加速用凹部13bを設け、可動盤23を、スイッチノブにより移動操作を受ける第1可動盤部25とスチールボール39を支持し第1可動盤部25に所定範囲相対移動可能に支持された第2可動盤部27とで形成し、第2可動盤部27の第1可動盤部25に対する相対移動の許容によりスチールボール39が加速用凹部13bに落ち込み接点板13を加速用凹部13b側へ瞬時に揺動変位させ可動接点15を固定接点5から瞬時に離間させることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のパワーウインドウ、パワーシート等の電流を断続するため等に用いられるスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスイッチとしては、例えば特開平5−166435号公報や、図4〜図6に記載されたようなものがある。図4は自動車のパワーウインドウスイッチの中立位置における一部切欠側面図、図5は同ダウン動作位置における一部切欠側面図、図6はモジュールスイッチの拡大断面図である。
【0003】
図4、図5のように、パワーウインドウスイッチ101はスイッチノブ103を備え、該スイッチノブ103はケース105に揺動操作可能に支持されている。前記スイッチノブ103は二股の係合足部107,109を備えている。ケース105内にはモジュールスイッチ111が収容されている。モジュールスイッチ111にはアップ動作側の係合部113、ダウン動作側の係合部115が設けられている。アップ動作側の係合部113には前記スイッチノブ103の短い係合足部107が係合可能となっており、ダウン動作側の係合部115には同長い係合足部109が係合可能となっている。
【0004】
従って、スイッチノブ103の押圧操作により該スイッチノブ103を図4の中立位置から図5のダウン動作位置へ揺動させると係合足部109が係合部115に係合して該係合部115を移動させる。これによってパワーウインドウをダウン動作させることができる。スイッチノブ103の引き上げ操作により該スイッチノブ103を図4の中立位置から図5とは逆方向へ揺動させると係合足部107が係合部113に係合して該係合部113を移動させる。これによってパワーウインドウをアップ動作させることができる。
【0005】
前記モジュールスイッチ111の断面をダウン側において示すと図6のようになっている。
【0006】
前記モジュールスイッチ111は、ハウジング117内に常開接点側の固定接点119、常閉接点側の固定接点121が支持されている。またハウジング117内には回路体123から一体に接点板支持部125が立ち上げられている。この接点板支持部125には、接点板127が揺動自在に支持されている。接点板127の端部には、前記固定接点119に接離する常開接点側の可動接点129と、前記固定接点121に接離する常閉接点側の可動接点131が構成されている。
【0007】
前記ハウジング117内には、さらにガイドレール部133が設けられ、可動盤135が移動可能に支持されている。可動盤135には、前記係合部115が一体に設けられ、ハウジング117の窓137から突出している。可動盤135には、ボール支持部139が設けられ、このボール支持部139の先端側に接触部材としてスチールボール141が収容支持されている。ボール支持部139内にはコイルスプリング143が収納され、スチールボール141を突出方向へ付勢している。従って、スチールボール141は前記接点板127に弾接する構成となっている。
【0008】
前記可動盤135とハウジング117との間にもコイルスプリング145が介設されている。コイルスプリング145は、可動盤135を常閉接点である固定接点121及び可動接点131側に付勢している。従って、スイッチノブ103が図6の中立状態にあるときには、コイルスプリング145の付勢力によって可動盤135は接点板支持部125に対し可動接点131側に付勢され、該可動接点131側においてスチールボール141が接点板127に弾接している。この接点板127に対するスチールボール141の弾接により可動接点131が固定接点121に接触する。固定接点121はアース接続されているため、パワーウインドウモータの駆動回路は開となっている。
【0009】
次に、スイッチノブ103を押し込めて、図5のダウン動作側に操作すると、スイッチノブ103の係合足部109が係合部115に係合して、可動盤135がコイルスプリング145の付勢力に抗しガイドレール133に沿って移動する。この移動によりスチールボール141が接点板127に対する弾接位置を変える。スチールボール141の接点板127に対する弾接位置が、接点板支持部125を越えて常開接点の可動接点129側へ移動すると、接点板127が揺動変位し、可動接点129が固定接点119に接触する。この接触により固定接点119、可動接点129、接点板127、接点板支持部125、回路体123の閉回路が形成され、パワーウインドウモータに電流が供給される。この電流の供給によって、パワーウインドウモータが回転し、パワーウインドウがダウン動作する。
【0010】
前記スイッチノブ103の押し込めを解除すると、コイルスプリング145の付勢力によって可動盤135が図6の位置へ復帰し、可動接点129が固定接点119から離間し、可動接点131が固定接点121に再び接触する。従って、パワーウインドモータのダウン動作側の駆動回路は開となり、パワーウインドウのダウン動作が停止する。
【0011】
前記スイッチノブ103を引き上げたときは、係合足部107が係合部113に係合して移動させ、スイッチノブ103の引き上げを解除したときには係合部113がコイルスプリングの付勢力によって元の位置に復帰する。従って、ダウン動作側と同様にパワーウインドウをアップ動作させることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなスイッチでは、可動盤135と接点板127に弾接するスチールボール141との相対位置が弾接方向にのみ変位可能な構成となっているため、可動盤135の変位とスチールボール141の接点板127に対する弾接ポイントの変位とが1対1となっている。従って、固定接点119に対する可動接点129の接点開離スピード、すなわち可動接点129が固定接点119に接触している状態から離れるときのスピードは、スイッチノブ103による可動盤135の操作スピードによって決まることになる。このためスイッチノブ103による可動盤135の操作スピードが遅くなったり、可動接点129と固定接点119との間隔が狭くなった状態で可動盤135の操作が停止されることによって、近接する可動接点129と固定接点119との間にアーク放電が発生し、接点を消耗させて耐久性が低下するという問題を招く恐れがあった。このため接点開離スピードをより速め、或いはスイッチノブの操作を操作初期に途中で停止しても接点を大きく離間させるようにすることが課題となっていた。
【0013】
本発明は、接点を確実に離間させると共に接点開離スピードを速め、アーク放電を抑制して、耐久性の高いスイッチの提供を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ハウジング側に設けられた固定接点と、前記固定接点に対し接離して電流の給断を行う可動接点と、前記ハウジング側に設けられた接点板支持部に揺動変位可能に支持され前記可動接点が設けられた接点板と、前記ハウジング側に支持され前記接点板に弾接する接触部材と、前記ハウジング側に移動可能に支持され前記接触部材を支持しながらスイッチノブの操作に基づき移動し前記接触部材の前記接点板に対する弾接位置を変える可動盤とを備え、前記スイッチノブの操作に基づき前記可動盤を移動させ前記接触部材が前記接点板に対して弾接位置を変え該接点板を揺動変位させて前記可動接点を前記固定接点に接離させるスイッチにおいて、前記接点板支持部を境に前記接点板の一側に、前記可動接点を設けると共に、同他側に、前記接触部材を落とし込む加速用凹部を設け、前記可動盤を、前記スイッチノブにより移動操作を受ける第1可動盤部と前記接触部材を支持し前記第1可動盤部に所定範囲相対移動可能に支持された第2可動盤部とで形成し、前記スイッチノブの操作に基づき前記第1可動盤部を介して第2可動盤部を移動させ前記接触部材が前記接点板に対し前記接点板支持部を越え前記可動接点側へ移動することで前記接点板を前記可動接点側へ揺動変位させて前記可動接点を前記固定接点に接触させ、前記第1可動盤部を介して第2可動盤部の前記移動が戻され前記接点板に対し前記接点板支持部を越えて前記接触部材の移動が戻るとき前記第2可動盤部の前記第1可動盤部に対する相対移動の許容により前記接触部材が前記加速用凹部に落ち込み前記接点板を前記加速用凹部側へ瞬時に揺動変位させ前記可動接点を前記固定接点から瞬時に離間させることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載のスイッチであって、前記接点板は、前記接点板支持部を境に前記可動接点側に前記接触部材を落とし込む他の加速用凹部を設けたことを特徴とする。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明では、ハウジング側に設けられた固定接点と、前記固定接点に対し接離して電流の給断を行う可動接点と、前記ハウジング側に設けられた接点板支持部に揺動変位可能に支持され前記可動接点が設けられた接点板と、前記ハウジング側に支持され前記接点板に弾接する接触部材と、前記ハウジング側に移動可能に支持され前記接触部材を支持しながらスイッチノブの操作に基づき移動し前記接触部材の前記接点板に対する弾接位置を変える可動盤とを備え、前記スイッチノブの操作に基づき前記可動盤を移動させ前記接触部材が前記接点板に対して弾接位置を変え該接点板を揺動変位させて前記可動接点を前記固定接点に接離させることができる。
【0017】
しかも、前記接点板支持部を境に前記接点板の一側に、前記可動接点を設けると共に、同他側に、前記接触部材を落とし込む加速用凹部を設け、前記可動盤を、前記スイッチノブにより移動操作を受ける第1可動盤部と前記接触部材を支持し前記第1可動盤部に所定範囲相対移動可能に支持された第2可動盤部とで形成したため、前記スイッチノブの操作に基づき前記第1可動盤部を介して第2可動盤部を移動させ前記接触部材が前記接点板に対し前記接点板支持部を越えて移動することで前記接点板を前記可動接点側へ揺動変位させ前記可動接点を前記固定接点に接触させ、前記第1可動盤部を介して第2可動盤部の前記移動が戻され前記接点板に対し前記接点板支持部を越えて前記接触部材の移動が戻るとき前記第2可動盤部の前記第1可動盤部に対する相対移動の許容により前記接触部材が前記加速用凹部に落ち込み前記接点板を前記加速用凹部側へ瞬時に揺動変位させ前記可動接点を前記固定接点から瞬時に離間させることができる。
【0018】
前記可動接点の固定接点に対する接点開離スピードは、スイッチノブの操作スピードに拘わらず、前記第2可動盤部の前記第1可動盤部に対する相対移動の許容により前記接触部材が前記加速用凹部に落ち込む作用に依存するため、スイッチノブの操作により第1可動盤部の移動を操作初期に途中で停止しても固定接点に対する可動接点の離間を確実に行わせることが可能となり、且つスイッチノブの操作により第1可動盤部の移動を遅くしても接点開離スピードを速くすることができる。従って、接点間のアーク放電が抑制され、接点消耗を抑制し、耐久性を高めることができる。
【0019】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、前記接点板は、前記接点板支持部を境に前記可動接点側に前記接触部材を落とし込む他の加速用凹部を設けたため、接触部材が接点板支持部を越えて移動すると第2可動盤部の第1可動盤部に対する相対移動の許容により、前記接触部材が前記他の加速用凹部内に落ち込み、前記接点板を前記可動接点側へ揺動変位させることができる。このため前記可動接点を固定接点に瞬時に接触させ、接点間のアーク放電が抑制され、接点消耗を抑制し、耐久性を高めることができる。また、加速用凹部が位置決め凹部としても機能し、前記可動接点の固定接点に対する接触を確実に保持させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は本発明の一実施形態に係り、図1は常開接点離間状態におけるモジュールスイッチの断面図、図2は常開接点接触状態におけるモジュールスイッチの断面図、図3は常開接点が接触状態から離間状態へ移行する直前の中立状態におけるモジュールスイッチの断面図である。
【0021】
まず図1のように、本発明実施形態のモジュールスイッチ1も基本的には図6と同様な構成となっており、図4,図5のようにして用いられ、例えばパワーウインドウスイッチとして構成されている。但し、スイッチとしてはパワーウインドウスイッチに限らず、パワーシートの操作スイッチなど他の種々のスイッチとして構成することも可能である。
【0022】
図1のモジュールスイッチ1も、図6のモジュールスイッチ111と同様に、ハウジング3内に固定接点5,7が設けられ、固定接点5,7間の中央部に回路体9と一体の接点板支持部11が設けられている。前記接点板支持部11には、接点板13が揺動自在に支持され、該接点板13に前記接点板支持部11を境に一側の一端部に可動接点15が設けられ、他側の他端部に他の可動接点17が設けられている。
【0023】
前記固定接点5及び可動接点15は、常開接点として設けられ、可動接点15が固定接点5に対し接離し、例えばパワーウインドウモータに対し電流の給断を行う構成となっている。前記固定接点7及び可動接点17は、常閉接点として設けられ、固定接点7はアース接続されている。
【0024】
前記接点板13には中央部に揺動係合部13aが突出形成されている。接点板13はこの揺動係合部13aにおいて前記接点板支持部11に揺動可能に支持されている。前記接点板支持部11を境にして前記接点板13の他側である前記可動接点17側には後述するスチールボールを落とし込む加速用凹部13bが設けられている。また前記接点板支持部11を境にして前記接点板13の一側である前記可動接点15側には後述するスチールボールを落とし込む他の加速用凹部13cが設けられている。これら前記加速用凹部13b及び他の加速用凹部13cは前記揺動係合部13aを挟んで隣接し、加速用凹部13b、揺動係合部13a、及び他の加速用凹部13c間の断面はほぼW形状となっている。
【0025】
また前記モジュールスイッチ1は、図9のモジュールスイッチ111と同様にハウジング3内に形成されたガイドレール部21に可動盤23が移動可能に支持されている。この可動盤23は、第1可動盤部25と第2可動盤部27とから形成されている。
【0026】
前記第1可動盤部25には係合部28が突設され、図4,図5と同様にスイッチノブの係合足部に係合可能となっている。また第1可動盤部25には、遊動空間部29が設けられている。遊動空間部29は前記接点板13側に開口し、ガイドレール部21に沿った方向において前記係合部28の中心振り分けで前記常閉接点の可動接点17側に若干長くなるように設定されている。この第1可動盤部25とハウジング3との間には、コイルスプリング31が介設されている。従って、可動盤23は第1可動盤部25がコイルスプリング31の付勢力を受けることにより常閉接点である固定接点7及び可動接点17側に図1のように位置決められている。
【0027】
前記第2可動盤部27は遊動部33及びボール支持部35からなっている。前記遊動部33は可動盤23の移動方向に対し前記第1可動盤部25の遊動空間部29の長さよりも短く形成されている。第2可動盤部27は前記遊動部33が前記第1可動盤部25の遊動空間部29に支持され、可動盤23の移動方向で第2可動盤部27が第1可動盤部25に所定範囲相対移動可能に支持された構成となっている。
【0028】
前記第2可動盤部27はボール支持部35から遊動部33にかけて収容孔37を有している。第2可動盤部27のボール支持部27には接触部材としてのスチールボール39が支持されている。スチールボール39は前記収容孔37内に収容されたコイルスプリング41により接点板13側へ突出するように付勢されている。これによりスチールボール39は接点板13に弾接し、可動盤23の移動と共に接点板13に対する弾接位置を変える構成となっている。すなわち、スイッチノブの操作で可動盤23の第1可動盤部25がガイドレール部21に沿って移動すると、第1可動盤部25と共に第2可動盤部27もガイドレール部21に沿って移動し、スチールボール39が前記接点板13に弾接しながら接点板13に対して移動する。
【0029】
次に作用を説明する。スイッチ操作前の中立状態において、可動盤23は第1可動盤部25がコイルスプリング31の付勢力を受けることにより常閉接点である固定接点7及び可動接点17側に図1のように位置決められている。このときスチールボール39は加速用凹部13b内に位置決められ、第2可動盤部27は第1可動盤部25の遊動空間部29内で偏って位置し、遊動空間部29の一側の壁面29aに突き当たって位置決められている。この状態でスチールボール39の中心は、接点板支持部11及び第1可動盤部25の係合部28の中心(図1において可動盤23の原位置の中心N)よりも可動接点17側に位置し、図1のように可動接点17が固定接点7に接触した状態となっている。この状態では、パワーウインドウモータの駆動回路は開となっている。
【0030】
次に図5と同様のスイッチノブの操作で、スイッチノブの係合足部が第1可動盤部25の係合部28に係合すると、第1可動盤部25がガイドレール部21に沿ってコイルスプリング33の付勢力に抗し移動する。同時に第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の壁面29aに押され、第2可動盤部27が第1可動盤部25と共にガイドレール部21に沿って移動する。この移動によって、スチールボール39は図3のように接点板支持部11上で揺動係合部13aに乗り上げる。但し、接点板13は、図3の二点鎖線で示すように図1と同じ状態を維持している。スチールボール39が揺動係合部13aを乗り越えるとコイルスプリング41の付勢力によりスチールボール39は加速用凹部13cに瞬時に落ち込む。このとき第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の遊動空間部29に対しその相対移動が許容されて先行し、遊動部33は遊動空間部29内の他の壁部29bに突き当たる。
【0031】
そして、接点板13は瞬時に揺動変位し、常開接点側の可動接点15が固定接点に図2のように瞬時に接触する。この接触はスチールボール39が他の加速用凹部13c内に位置することで位置決められ、固定接点5、可動接点15、接点板13、接点板支持部11、回路体9の閉回路形成によってパワーウインドウモータに電流が供給される。
【0032】
次にスイッチノブの操作から手を放すと、可動盤23の第1可動盤部25がコイルスプリング31の付勢力によってガイドレール21上を復帰移動する。この第1可動盤部25の復帰移動によって第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の壁面29bに押され、第2可動盤部27が第1可動盤部25と共にガイドレール部21に沿って移動する。この移動途中において、スチールボール39は図3のように接点板支持部11上で揺動係合部13aに乗り上げる。この図3の状態では常開接点側の可動接点15は固定接点5に接触した状態となっている。
【0033】
前記可動盤23がさらに移動してスチールボール39が揺動係合部13aを乗り越え加速用凹部13b側に至るとコイルスプリング41の付勢力によりスチールボール39が加速用凹部13b内に瞬時に落ち込む。このとき第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の遊動空間部29内に対しその相対移動が許容されて復帰方向へ先行し、第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の遊動空間部29内の壁部29aに突き当たる。
【0034】
そして、接点板13は瞬時に揺動変位し、図3の状態から図1の状態のように可動接点15が固定接点5から瞬時に離間し、可動接点17が固定接点7に接触する。
【0035】
このときの接点開離スピードは、スチールボール31が接点板13に対し移動することによる接点板13の単なる揺動ではなく、前記第2可動盤部27の前記第1可動盤部25に対する相対移動の許容により前記スチールボール39が前記加速用凹部13bに落ち込む作用に依存するため、スイッチノブの操作により第1可動盤部25の移動を遅くしても接点開離スピードを速くすることができる。またスイッチノブの操作により第1可動盤部25の移動を操作初期に途中で停止しても固定接点5に対する可動接点15の離間を確実に行わせることが可能となる。従って、接点間のアーク放電が抑制され、接点消耗を抑制し、耐久性を高めることができる。
【0036】
また本実施形態では、前記接点板13は、前記接点板支持部11を境に前記可動接点15側に前記スチールボール39を落とし込む他の加速用凹部13cが設けられているため、可動接点15が固定接点5に接触する際にも接点接触スピードを速めることができ、スイッチノブの操作により第1可動盤部25の移動を遅くしても接点接触スピードを速くすることができる。またスイッチノブの操作により第1可動盤部25の移動を操作初期に途中で停止しても固定接点5に対する可動接点15の接触を確実に行わせることが可能となる。従って、かかる点においても接点間のアーク放電が抑制され、接点消耗を抑制し、耐久性を高めることができる。なお、前記他の加速用凹部13cは省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る常開接点離間状態におけるモジュールスイッチの断面図である。
【図2】一実施形態に係り、常開接点接触状態におけるモジュールスイッチの断面図である。
【図3】一実施形態に係り、中立状態におけるモジュールスイッチの断面図である。
【図4】従来のパワーウインドウスイッチの中立状態の一部切欠断面図である。
【図5】従来のパワーウインドウスイッチのダウン動作位置における一部切欠側面図である。
【図6】従来のモジュールスイッチの常開接点離間状態における断面図である。
【符号の説明】
3 ハウジング
5,7 固定接点
11 接点板支持部
13 接点板
13b 加速用凹部
13c 他の加速用凹部
15,17 可動接点
31 スチールボール(接触部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のパワーウインドウ、パワーシート等の電流を断続するため等に用いられるスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスイッチとしては、例えば特開平5−166435号公報や、図4〜図6に記載されたようなものがある。図4は自動車のパワーウインドウスイッチの中立位置における一部切欠側面図、図5は同ダウン動作位置における一部切欠側面図、図6はモジュールスイッチの拡大断面図である。
【0003】
図4、図5のように、パワーウインドウスイッチ101はスイッチノブ103を備え、該スイッチノブ103はケース105に揺動操作可能に支持されている。前記スイッチノブ103は二股の係合足部107,109を備えている。ケース105内にはモジュールスイッチ111が収容されている。モジュールスイッチ111にはアップ動作側の係合部113、ダウン動作側の係合部115が設けられている。アップ動作側の係合部113には前記スイッチノブ103の短い係合足部107が係合可能となっており、ダウン動作側の係合部115には同長い係合足部109が係合可能となっている。
【0004】
従って、スイッチノブ103の押圧操作により該スイッチノブ103を図4の中立位置から図5のダウン動作位置へ揺動させると係合足部109が係合部115に係合して該係合部115を移動させる。これによってパワーウインドウをダウン動作させることができる。スイッチノブ103の引き上げ操作により該スイッチノブ103を図4の中立位置から図5とは逆方向へ揺動させると係合足部107が係合部113に係合して該係合部113を移動させる。これによってパワーウインドウをアップ動作させることができる。
【0005】
前記モジュールスイッチ111の断面をダウン側において示すと図6のようになっている。
【0006】
前記モジュールスイッチ111は、ハウジング117内に常開接点側の固定接点119、常閉接点側の固定接点121が支持されている。またハウジング117内には回路体123から一体に接点板支持部125が立ち上げられている。この接点板支持部125には、接点板127が揺動自在に支持されている。接点板127の端部には、前記固定接点119に接離する常開接点側の可動接点129と、前記固定接点121に接離する常閉接点側の可動接点131が構成されている。
【0007】
前記ハウジング117内には、さらにガイドレール部133が設けられ、可動盤135が移動可能に支持されている。可動盤135には、前記係合部115が一体に設けられ、ハウジング117の窓137から突出している。可動盤135には、ボール支持部139が設けられ、このボール支持部139の先端側に接触部材としてスチールボール141が収容支持されている。ボール支持部139内にはコイルスプリング143が収納され、スチールボール141を突出方向へ付勢している。従って、スチールボール141は前記接点板127に弾接する構成となっている。
【0008】
前記可動盤135とハウジング117との間にもコイルスプリング145が介設されている。コイルスプリング145は、可動盤135を常閉接点である固定接点121及び可動接点131側に付勢している。従って、スイッチノブ103が図6の中立状態にあるときには、コイルスプリング145の付勢力によって可動盤135は接点板支持部125に対し可動接点131側に付勢され、該可動接点131側においてスチールボール141が接点板127に弾接している。この接点板127に対するスチールボール141の弾接により可動接点131が固定接点121に接触する。固定接点121はアース接続されているため、パワーウインドウモータの駆動回路は開となっている。
【0009】
次に、スイッチノブ103を押し込めて、図5のダウン動作側に操作すると、スイッチノブ103の係合足部109が係合部115に係合して、可動盤135がコイルスプリング145の付勢力に抗しガイドレール133に沿って移動する。この移動によりスチールボール141が接点板127に対する弾接位置を変える。スチールボール141の接点板127に対する弾接位置が、接点板支持部125を越えて常開接点の可動接点129側へ移動すると、接点板127が揺動変位し、可動接点129が固定接点119に接触する。この接触により固定接点119、可動接点129、接点板127、接点板支持部125、回路体123の閉回路が形成され、パワーウインドウモータに電流が供給される。この電流の供給によって、パワーウインドウモータが回転し、パワーウインドウがダウン動作する。
【0010】
前記スイッチノブ103の押し込めを解除すると、コイルスプリング145の付勢力によって可動盤135が図6の位置へ復帰し、可動接点129が固定接点119から離間し、可動接点131が固定接点121に再び接触する。従って、パワーウインドモータのダウン動作側の駆動回路は開となり、パワーウインドウのダウン動作が停止する。
【0011】
前記スイッチノブ103を引き上げたときは、係合足部107が係合部113に係合して移動させ、スイッチノブ103の引き上げを解除したときには係合部113がコイルスプリングの付勢力によって元の位置に復帰する。従って、ダウン動作側と同様にパワーウインドウをアップ動作させることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなスイッチでは、可動盤135と接点板127に弾接するスチールボール141との相対位置が弾接方向にのみ変位可能な構成となっているため、可動盤135の変位とスチールボール141の接点板127に対する弾接ポイントの変位とが1対1となっている。従って、固定接点119に対する可動接点129の接点開離スピード、すなわち可動接点129が固定接点119に接触している状態から離れるときのスピードは、スイッチノブ103による可動盤135の操作スピードによって決まることになる。このためスイッチノブ103による可動盤135の操作スピードが遅くなったり、可動接点129と固定接点119との間隔が狭くなった状態で可動盤135の操作が停止されることによって、近接する可動接点129と固定接点119との間にアーク放電が発生し、接点を消耗させて耐久性が低下するという問題を招く恐れがあった。このため接点開離スピードをより速め、或いはスイッチノブの操作を操作初期に途中で停止しても接点を大きく離間させるようにすることが課題となっていた。
【0013】
本発明は、接点を確実に離間させると共に接点開離スピードを速め、アーク放電を抑制して、耐久性の高いスイッチの提供を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ハウジング側に設けられた固定接点と、前記固定接点に対し接離して電流の給断を行う可動接点と、前記ハウジング側に設けられた接点板支持部に揺動変位可能に支持され前記可動接点が設けられた接点板と、前記ハウジング側に支持され前記接点板に弾接する接触部材と、前記ハウジング側に移動可能に支持され前記接触部材を支持しながらスイッチノブの操作に基づき移動し前記接触部材の前記接点板に対する弾接位置を変える可動盤とを備え、前記スイッチノブの操作に基づき前記可動盤を移動させ前記接触部材が前記接点板に対して弾接位置を変え該接点板を揺動変位させて前記可動接点を前記固定接点に接離させるスイッチにおいて、前記接点板支持部を境に前記接点板の一側に、前記可動接点を設けると共に、同他側に、前記接触部材を落とし込む加速用凹部を設け、前記可動盤を、前記スイッチノブにより移動操作を受ける第1可動盤部と前記接触部材を支持し前記第1可動盤部に所定範囲相対移動可能に支持された第2可動盤部とで形成し、前記スイッチノブの操作に基づき前記第1可動盤部を介して第2可動盤部を移動させ前記接触部材が前記接点板に対し前記接点板支持部を越え前記可動接点側へ移動することで前記接点板を前記可動接点側へ揺動変位させて前記可動接点を前記固定接点に接触させ、前記第1可動盤部を介して第2可動盤部の前記移動が戻され前記接点板に対し前記接点板支持部を越えて前記接触部材の移動が戻るとき前記第2可動盤部の前記第1可動盤部に対する相対移動の許容により前記接触部材が前記加速用凹部に落ち込み前記接点板を前記加速用凹部側へ瞬時に揺動変位させ前記可動接点を前記固定接点から瞬時に離間させることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載のスイッチであって、前記接点板は、前記接点板支持部を境に前記可動接点側に前記接触部材を落とし込む他の加速用凹部を設けたことを特徴とする。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明では、ハウジング側に設けられた固定接点と、前記固定接点に対し接離して電流の給断を行う可動接点と、前記ハウジング側に設けられた接点板支持部に揺動変位可能に支持され前記可動接点が設けられた接点板と、前記ハウジング側に支持され前記接点板に弾接する接触部材と、前記ハウジング側に移動可能に支持され前記接触部材を支持しながらスイッチノブの操作に基づき移動し前記接触部材の前記接点板に対する弾接位置を変える可動盤とを備え、前記スイッチノブの操作に基づき前記可動盤を移動させ前記接触部材が前記接点板に対して弾接位置を変え該接点板を揺動変位させて前記可動接点を前記固定接点に接離させることができる。
【0017】
しかも、前記接点板支持部を境に前記接点板の一側に、前記可動接点を設けると共に、同他側に、前記接触部材を落とし込む加速用凹部を設け、前記可動盤を、前記スイッチノブにより移動操作を受ける第1可動盤部と前記接触部材を支持し前記第1可動盤部に所定範囲相対移動可能に支持された第2可動盤部とで形成したため、前記スイッチノブの操作に基づき前記第1可動盤部を介して第2可動盤部を移動させ前記接触部材が前記接点板に対し前記接点板支持部を越えて移動することで前記接点板を前記可動接点側へ揺動変位させ前記可動接点を前記固定接点に接触させ、前記第1可動盤部を介して第2可動盤部の前記移動が戻され前記接点板に対し前記接点板支持部を越えて前記接触部材の移動が戻るとき前記第2可動盤部の前記第1可動盤部に対する相対移動の許容により前記接触部材が前記加速用凹部に落ち込み前記接点板を前記加速用凹部側へ瞬時に揺動変位させ前記可動接点を前記固定接点から瞬時に離間させることができる。
【0018】
前記可動接点の固定接点に対する接点開離スピードは、スイッチノブの操作スピードに拘わらず、前記第2可動盤部の前記第1可動盤部に対する相対移動の許容により前記接触部材が前記加速用凹部に落ち込む作用に依存するため、スイッチノブの操作により第1可動盤部の移動を操作初期に途中で停止しても固定接点に対する可動接点の離間を確実に行わせることが可能となり、且つスイッチノブの操作により第1可動盤部の移動を遅くしても接点開離スピードを速くすることができる。従って、接点間のアーク放電が抑制され、接点消耗を抑制し、耐久性を高めることができる。
【0019】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、前記接点板は、前記接点板支持部を境に前記可動接点側に前記接触部材を落とし込む他の加速用凹部を設けたため、接触部材が接点板支持部を越えて移動すると第2可動盤部の第1可動盤部に対する相対移動の許容により、前記接触部材が前記他の加速用凹部内に落ち込み、前記接点板を前記可動接点側へ揺動変位させることができる。このため前記可動接点を固定接点に瞬時に接触させ、接点間のアーク放電が抑制され、接点消耗を抑制し、耐久性を高めることができる。また、加速用凹部が位置決め凹部としても機能し、前記可動接点の固定接点に対する接触を確実に保持させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は本発明の一実施形態に係り、図1は常開接点離間状態におけるモジュールスイッチの断面図、図2は常開接点接触状態におけるモジュールスイッチの断面図、図3は常開接点が接触状態から離間状態へ移行する直前の中立状態におけるモジュールスイッチの断面図である。
【0021】
まず図1のように、本発明実施形態のモジュールスイッチ1も基本的には図6と同様な構成となっており、図4,図5のようにして用いられ、例えばパワーウインドウスイッチとして構成されている。但し、スイッチとしてはパワーウインドウスイッチに限らず、パワーシートの操作スイッチなど他の種々のスイッチとして構成することも可能である。
【0022】
図1のモジュールスイッチ1も、図6のモジュールスイッチ111と同様に、ハウジング3内に固定接点5,7が設けられ、固定接点5,7間の中央部に回路体9と一体の接点板支持部11が設けられている。前記接点板支持部11には、接点板13が揺動自在に支持され、該接点板13に前記接点板支持部11を境に一側の一端部に可動接点15が設けられ、他側の他端部に他の可動接点17が設けられている。
【0023】
前記固定接点5及び可動接点15は、常開接点として設けられ、可動接点15が固定接点5に対し接離し、例えばパワーウインドウモータに対し電流の給断を行う構成となっている。前記固定接点7及び可動接点17は、常閉接点として設けられ、固定接点7はアース接続されている。
【0024】
前記接点板13には中央部に揺動係合部13aが突出形成されている。接点板13はこの揺動係合部13aにおいて前記接点板支持部11に揺動可能に支持されている。前記接点板支持部11を境にして前記接点板13の他側である前記可動接点17側には後述するスチールボールを落とし込む加速用凹部13bが設けられている。また前記接点板支持部11を境にして前記接点板13の一側である前記可動接点15側には後述するスチールボールを落とし込む他の加速用凹部13cが設けられている。これら前記加速用凹部13b及び他の加速用凹部13cは前記揺動係合部13aを挟んで隣接し、加速用凹部13b、揺動係合部13a、及び他の加速用凹部13c間の断面はほぼW形状となっている。
【0025】
また前記モジュールスイッチ1は、図9のモジュールスイッチ111と同様にハウジング3内に形成されたガイドレール部21に可動盤23が移動可能に支持されている。この可動盤23は、第1可動盤部25と第2可動盤部27とから形成されている。
【0026】
前記第1可動盤部25には係合部28が突設され、図4,図5と同様にスイッチノブの係合足部に係合可能となっている。また第1可動盤部25には、遊動空間部29が設けられている。遊動空間部29は前記接点板13側に開口し、ガイドレール部21に沿った方向において前記係合部28の中心振り分けで前記常閉接点の可動接点17側に若干長くなるように設定されている。この第1可動盤部25とハウジング3との間には、コイルスプリング31が介設されている。従って、可動盤23は第1可動盤部25がコイルスプリング31の付勢力を受けることにより常閉接点である固定接点7及び可動接点17側に図1のように位置決められている。
【0027】
前記第2可動盤部27は遊動部33及びボール支持部35からなっている。前記遊動部33は可動盤23の移動方向に対し前記第1可動盤部25の遊動空間部29の長さよりも短く形成されている。第2可動盤部27は前記遊動部33が前記第1可動盤部25の遊動空間部29に支持され、可動盤23の移動方向で第2可動盤部27が第1可動盤部25に所定範囲相対移動可能に支持された構成となっている。
【0028】
前記第2可動盤部27はボール支持部35から遊動部33にかけて収容孔37を有している。第2可動盤部27のボール支持部27には接触部材としてのスチールボール39が支持されている。スチールボール39は前記収容孔37内に収容されたコイルスプリング41により接点板13側へ突出するように付勢されている。これによりスチールボール39は接点板13に弾接し、可動盤23の移動と共に接点板13に対する弾接位置を変える構成となっている。すなわち、スイッチノブの操作で可動盤23の第1可動盤部25がガイドレール部21に沿って移動すると、第1可動盤部25と共に第2可動盤部27もガイドレール部21に沿って移動し、スチールボール39が前記接点板13に弾接しながら接点板13に対して移動する。
【0029】
次に作用を説明する。スイッチ操作前の中立状態において、可動盤23は第1可動盤部25がコイルスプリング31の付勢力を受けることにより常閉接点である固定接点7及び可動接点17側に図1のように位置決められている。このときスチールボール39は加速用凹部13b内に位置決められ、第2可動盤部27は第1可動盤部25の遊動空間部29内で偏って位置し、遊動空間部29の一側の壁面29aに突き当たって位置決められている。この状態でスチールボール39の中心は、接点板支持部11及び第1可動盤部25の係合部28の中心(図1において可動盤23の原位置の中心N)よりも可動接点17側に位置し、図1のように可動接点17が固定接点7に接触した状態となっている。この状態では、パワーウインドウモータの駆動回路は開となっている。
【0030】
次に図5と同様のスイッチノブの操作で、スイッチノブの係合足部が第1可動盤部25の係合部28に係合すると、第1可動盤部25がガイドレール部21に沿ってコイルスプリング33の付勢力に抗し移動する。同時に第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の壁面29aに押され、第2可動盤部27が第1可動盤部25と共にガイドレール部21に沿って移動する。この移動によって、スチールボール39は図3のように接点板支持部11上で揺動係合部13aに乗り上げる。但し、接点板13は、図3の二点鎖線で示すように図1と同じ状態を維持している。スチールボール39が揺動係合部13aを乗り越えるとコイルスプリング41の付勢力によりスチールボール39は加速用凹部13cに瞬時に落ち込む。このとき第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の遊動空間部29に対しその相対移動が許容されて先行し、遊動部33は遊動空間部29内の他の壁部29bに突き当たる。
【0031】
そして、接点板13は瞬時に揺動変位し、常開接点側の可動接点15が固定接点に図2のように瞬時に接触する。この接触はスチールボール39が他の加速用凹部13c内に位置することで位置決められ、固定接点5、可動接点15、接点板13、接点板支持部11、回路体9の閉回路形成によってパワーウインドウモータに電流が供給される。
【0032】
次にスイッチノブの操作から手を放すと、可動盤23の第1可動盤部25がコイルスプリング31の付勢力によってガイドレール21上を復帰移動する。この第1可動盤部25の復帰移動によって第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の壁面29bに押され、第2可動盤部27が第1可動盤部25と共にガイドレール部21に沿って移動する。この移動途中において、スチールボール39は図3のように接点板支持部11上で揺動係合部13aに乗り上げる。この図3の状態では常開接点側の可動接点15は固定接点5に接触した状態となっている。
【0033】
前記可動盤23がさらに移動してスチールボール39が揺動係合部13aを乗り越え加速用凹部13b側に至るとコイルスプリング41の付勢力によりスチールボール39が加速用凹部13b内に瞬時に落ち込む。このとき第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の遊動空間部29内に対しその相対移動が許容されて復帰方向へ先行し、第2可動盤部27の遊動部33が第1可動盤部25の遊動空間部29内の壁部29aに突き当たる。
【0034】
そして、接点板13は瞬時に揺動変位し、図3の状態から図1の状態のように可動接点15が固定接点5から瞬時に離間し、可動接点17が固定接点7に接触する。
【0035】
このときの接点開離スピードは、スチールボール31が接点板13に対し移動することによる接点板13の単なる揺動ではなく、前記第2可動盤部27の前記第1可動盤部25に対する相対移動の許容により前記スチールボール39が前記加速用凹部13bに落ち込む作用に依存するため、スイッチノブの操作により第1可動盤部25の移動を遅くしても接点開離スピードを速くすることができる。またスイッチノブの操作により第1可動盤部25の移動を操作初期に途中で停止しても固定接点5に対する可動接点15の離間を確実に行わせることが可能となる。従って、接点間のアーク放電が抑制され、接点消耗を抑制し、耐久性を高めることができる。
【0036】
また本実施形態では、前記接点板13は、前記接点板支持部11を境に前記可動接点15側に前記スチールボール39を落とし込む他の加速用凹部13cが設けられているため、可動接点15が固定接点5に接触する際にも接点接触スピードを速めることができ、スイッチノブの操作により第1可動盤部25の移動を遅くしても接点接触スピードを速くすることができる。またスイッチノブの操作により第1可動盤部25の移動を操作初期に途中で停止しても固定接点5に対する可動接点15の接触を確実に行わせることが可能となる。従って、かかる点においても接点間のアーク放電が抑制され、接点消耗を抑制し、耐久性を高めることができる。なお、前記他の加速用凹部13cは省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る常開接点離間状態におけるモジュールスイッチの断面図である。
【図2】一実施形態に係り、常開接点接触状態におけるモジュールスイッチの断面図である。
【図3】一実施形態に係り、中立状態におけるモジュールスイッチの断面図である。
【図4】従来のパワーウインドウスイッチの中立状態の一部切欠断面図である。
【図5】従来のパワーウインドウスイッチのダウン動作位置における一部切欠側面図である。
【図6】従来のモジュールスイッチの常開接点離間状態における断面図である。
【符号の説明】
3 ハウジング
5,7 固定接点
11 接点板支持部
13 接点板
13b 加速用凹部
13c 他の加速用凹部
15,17 可動接点
31 スチールボール(接触部材)
Claims (2)
- ハウジング側に設けられた固定接点と、
前記固定接点に対し接離して電流の給断を行う可動接点と、
前記ハウジング側に設けられた接点板支持部に揺動変位可能に支持され前記可動接点が設けられた接点板と、
前記ハウジング側に支持され前記接点板に弾接する接触部材と、
前記ハウジング側に移動可能に支持され前記接触部材を支持しながらスイッチノブの操作に基づき移動し前記接触部材の前記接点板に対する弾接位置を変える可動盤とを備え、
前記スイッチノブの操作に基づき前記可動盤を移動させ前記接触部材が前記接点板に対して弾接位置を変え該接点板を揺動変位させて前記可動接点を前記固定接点に接離させるスイッチにおいて、
前記接点板支持部を境に前記接点板の一側に、前記可動接点を設けると共に、同他側に、前記接触部材を落とし込む加速用凹部を設け、
前記可動盤を、前記スイッチノブにより移動操作を受ける第1可動盤部と前記接触部材を支持し前記第1可動盤部に所定範囲相対移動可能に支持された第2可動盤部とで形成し、
前記スイッチノブの操作に基づき前記第1可動盤部を介して第2可動盤部を移動させ前記接触部材が前記接点板に対し前記接点板支持部を越えて移動することで前記接点板を前記可動接点側へ揺動変位させて前記可動接点を前記固定接点に接触させ、前記第1可動盤部を介して第2可動盤部の前記移動が戻され前記接点板に対し前記接点板支持部を越えて前記接触部材の移動が戻るとき前記第2可動盤部の前記第1可動盤部に対する相対移動の許容により前記接触部材が前記加速用凹部に落ち込み前記接点板を前記加速用凹部側へ瞬時に揺動変位させ前記可動接点を前記固定接点から瞬時に離間させることを特徴とするスイッチ。 - 請求項1記載のスイッチであって、
前記接点板は、前記接点板支持部を境に前記可動接点側に前記接触部材を落とし込む他の加速用凹部を設けたことを特徴とするスイッチ。
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Cited By (1)
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WO2011037282A1 (ko) * | 2009-09-24 | 2011-03-31 | 주식회사 케이원 코퍼레이션 | 고데기용 슬라이드 스위치 |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002273487A patent/JP2004111259A/ja not_active Abandoned
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011037282A1 (ko) * | 2009-09-24 | 2011-03-31 | 주식회사 케이원 코퍼레이션 | 고데기용 슬라이드 스위치 |
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