JP2004111070A - 偏向ヨーク及び偏向ヨーク付陰極線管 - Google Patents
偏向ヨーク及び偏向ヨーク付陰極線管 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】画面の大形化、平坦化、高精細化、広偏向角化等によって偏向周波数が高く設定されるようになってきているが、特に垂直偏向周波数を高く設定することにより、垂直偏向コイルからの漏洩磁界が強くなって、コマフリーコイルのコア脚部が垂直周期毎に吸引されてコイルセパレータの鍔部外側面を叩き異音を発生させたり、コマフリーコイルの磁歪振動が鍔部に伝達されて異音を発生していたが、この異音の発生を抑制した偏向ヨーク及びこの偏向ヨークを装着した偏向ヨーク付陰極線管を提供する。
【解決手段】コイルセパレータ21の径小側鍔部24外側面から固定片38を突設し、この固定片38にコマフリーコイル29を固定することによって、コマフリーコイル29全体を鍔部24外側面から離間して配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】コイルセパレータ21の径小側鍔部24外側面から固定片38を突設し、この固定片38にコマフリーコイル29を固定することによって、コマフリーコイル29全体を鍔部24外側面から離間して配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーテレビジョン受像機やカラー端末ディスプレイ等に使用される偏向ヨーク、並びにこの偏向ヨークを装着した偏向ヨーク付陰極線管に係り、特にコマフリーコイルにて発生する異音を抑制した偏向ヨーク及び偏向ヨーク付陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラーテレビジョン受像機等に使用されているカラー陰極線管は、図6に示すように、略矩形状の有効部を有するフェースパネル61と、このフェースパネル61に連接された漏斗状のファンネル62と、このファンネル62の径小部に連接された円筒状のネック63からなるガラス製の真空外囲器を備えている。このフェースパネル61の有効部内面には、青、緑、赤に発光するドット状またはストライプ状の3色蛍光体層及び黒色遮光層からなる蛍光体スクリーン64が形成されている。
【0003】
更に、この蛍光体スクリーン64に対向してフェースパネル61内には、多数の電子ビーム通過孔を有したシャドウマスク65がマスクフレーム66を介して配置され、このマスクフレーム66は弾性支持体67とスタッドピン68を介してフェースパネル61に取着されている。また、マスクフレーム66には磁気シールド69が取着されており、このシャドウマスク65に対向するようにネック63内には、3電子ビーム70B,70G,70Rを放出するインライン型の電子銃71が配設されるとともに、ネック63外周からファンネル62の外周面にかけて位置する偏向ヨーク装着部に偏向ヨーク72が装着されている。
【0004】
この電子銃71から放出された3電子ビーム70B,70G,70Rを偏向ヨーク72の発生する水平、垂直偏向磁界によって水平、垂直方向に偏向し、シャドウマスク65を介して蛍光体スクリーン64を水平、垂直走査することによって、蛍光体スクリーン64上にカラー画像を表示している。
【0005】
一方、このようなカラー陰極線管に装着される偏向ヨーク72は、図7に示すように構成されている。
【0006】
即ち、合成樹脂によって円錐台状に成形されたコイルセパレータ本体73と、このセパレータ本体73のフェースパネル61側の径大部分に形成された径大側鍔部74と、ネック63側の径小部分に形成された径小側鍔部75を備え、この径小側鍔部75に連接する締付部76から構成されたコイルセパレータ77を備えている。
【0007】
このコイルセパレータ77の内面には、サドル形に形成された一対の水平偏向コイル78が装着され、コイルセパレータ本体73外周面には一対のサドル形の垂直偏向コイル79が装着され、更に、この垂直偏向コイル79の外側に円錐台状のコア80が配置される。この垂直偏向コイル79は、2分割されたフェライトからなる一対のコア80に巻回されたトロイダル形として構成されている場合もある。そして、上記締付部76を締付バンド(図示せず)によって締付けることで、偏向ヨーク72を陰極線管の外周面に固定するように構成されている。
【0008】
このようなカラー陰極線管においては、電子銃71として同一平面上を通る一列配置の3電子ビーム70B,70G,70Rを放出するインライン型として構成され、また偏向ヨーク72では、ピンクッション形の水平偏向磁界及びバレル形の垂直偏向磁界を発生させることで、電子銃71から放出された一列配置の3電子ビーム70B,70G,70Rを、これら水平、垂直偏向磁界によって偏向することにより、電気的な補正回路を要することなく、画面全体にわたり一列配置の3電子ビーム70B,70G,70Rを集中することができるセルフコンバーゼンス・インライン型カラー陰極線管として広く実用化されている。
【0009】
しかしながら、このセルフコンバーゼンス・インライン型カラー陰極線管では、非斉一偏向磁界によって電子ビーム70B,70G,70Rに歪みが生じ、特に画面周辺部のビームスポット横潰れによる解像度劣化やモアレ発生の原因となっている。
【0010】
更に、これとは別に蛍光体スクリーン64周辺では、蛍光体スクリーン64に対する電子ビーム70B,70G,70Rの入射角が大きくなるので、ビームスポットが放射方向に延びる形状に歪むこともある。この歪みの作用も画面の平坦化または広角度偏向化によって更に増長される結果となっているが、蛍光体スクリーン64の垂直端では、バレル形の垂直偏向磁界が及ぼすビームスポットへの影響と、蛍光体スクリーン64に入射する電子ビーム70B,70G,70Rの入射角度による影響が互いに相反する方向であるために、ビームスポットの歪みは緩和される。
【0011】
これに対して、蛍光体スクリーン64の水平端では、ピンクッション形の水平偏向磁界と蛍光体スクリーン64に入射する電子ビーム70B,70G,70Rの入射角度の影響が、互いに強め合う方向であるために、ビームスポット歪みは増長される結果となる。
【0012】
このために、水平偏向磁界の磁界分布であるピンクッション形を斉一(バレル)方向に修正し、これに伴って蛍光体スクリーン64左右端で生じるオーバーコンバーゼンスをコイルセパレータ77の径小側鍔部75の上下端に配置した一対のコマフリーコイル81にて補正している。
【0013】
即ち、コイルセパレータ77のネック63側に4極磁界を発生する一対のコマフリーコイル81を対向させて配置し、このコマフリーコイル81に夫々水平偏向周期のパラボラ電流を通電し、蛍光体スクリーン64左右端でアンダーコンバーゼンス補正を行うようになされている。
【0014】
このコマフリーコイル81は、図8及び図9に示すように、両側脚部82とこの脚部82を連結する連結部83とでコ字状のコア84を形成し、この連結部83と脚部82の一部を覆うように合成樹脂からなる被覆部材85がモールド成形されている。この被覆部材85の連結部84両側に鍔部86が形成され、この鍔部86間の連結部83外周を巻枠として巻線87が巻回され、各コア84の開放端を互いに対向するように、ネック63の外周に配置されるように構成されている。このコマフリーコイル81は、コイルセパレータ77の径小側鍔部75に形成した鉤状の舌片88によって鍔部75との間で挟持され、また、脚部82を支持するために鍔部75側面から脚部82方向に突出する突部89も設けられている。
【0015】
なお、必要に応じてコイルセパレータ77の径大側鍔部74には、ピンクッション歪を補正するためのNSマグネット90を、夫々管軸を挟んで対向する位置に取着されている。
【0016】
このようにコマフリーコイル81を配置することによって、ビームスポットの水平方向の潰れが改善され、解像度等を向上させることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このようなカラー陰極線管においては、大画面化、平坦化され陰極線管の管軸方向の長さを短くするために広偏向角化も採り入れられている。更に、高解像度及び視認性の高度化が要求される高品位テレビジョン(HDTV)やパーソナルコンピュータ等のOA機器に対応するために、必然的に偏向周波数を上げざるを得ず、このために高い偏向周波数を使用する設計がなされている。特に画面を静止画として見た場合のフリッカーを軽減する目的で、垂直偏向周波数も高く設定している。
【0018】
しかしながら、フリッカーを軽減するために垂直偏向周波数を高くすると、コイルスペーサ77の径小側鍔部75を介して互いに対向配置されている垂直偏向コイル79とコマフリーコイル81とが影響し合うことになる。このコマフリーコイル81は垂直偏向コイル79の径小側ベンド部からの漏洩磁束に影響され、垂直偏向コイル79にて発生される磁界がコマフリーコイル81の脚部82と鎖交すると、垂直偏向周波数の周期毎に、図10に示すように、この脚部82が垂直偏向コイル79側に図中矢印で示す力Fによって引寄せられるようになる。このため図中実線で示す状態から破線で示す状態に周期的に振動させられて、この振動する脚部82が鍔部75側面を叩くことにより、異音が発生していた。
【0019】
この垂直偏向周波数による磁界の変化は、可聴領域の50Hz〜150Hz付近で変化しており、この異音が騒音となって視聴者に感知されてしまう問題が発生している。特に広角化に伴なって広偏向角化を進めるためには、より多くの偏向電流を必要とし、この偏向電流の増大に伴なって垂直偏向コイル79から漏洩する漏れ磁界も大きくなるので、より一層コマフリーコイル81を振動させることとなり、異音がより強調される事態となっていた。更に、このコマフリーコイル81は磁歪振動が発生するが、実際には、この鍔部75は蓋体を備えており、鍔部75全体として箱状を形成しているので、この蓋体に取着されているコマフリーコイル81の磁歪振動によって共鳴現象が発生し、この結果、より大きな振動音が発生することとなり、この振動音も異音となって視聴者が感知することになる。
【0020】
このように、特に高い偏向周波数を採用したことによって異音の発生が顕著なものとなり、視聴者にとって耳障りな状態になってきているので、一刻も早い改善が要望されていた。
【0021】
本発明は、このような課題に対処してなされたものであり、高い偏向周波数を採用した場合においても、コマフリーコイルに起因する異音の発生を確実且つ効率良く抑制することが可能な偏向ヨーク及び偏向ヨーク付陰極線管を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、陰極線管のネックからファンネル外周にかけての偏向ヨーク装着部に配置され、水平及び垂直偏向コイルを有し、電子ビームを偏向して陰極線管の蛍光体スクリーン上に画像を表示するための偏向ヨークであって、ネック部側からファンネル側に向かって拡大するように円もしくは角錐台状に形成されたコイルセパレータと、このコイルセパレータの内側面に配置された一対のサドル形の水平偏向コイルと、コイルセパレータの外側面に配置される円もしくは角錐台状のコアと、このコアに巻回されたトロイダル形もしくはコアの内側に配置されたサドル形の一対の垂直偏向コイルと、コイルセパレータの径小側側面に対向して配置された一対のコマフリーコイルとを具備し、このコマフリーコイルをコイルセパレータの径小側側面から離間して配置させた偏向ヨークである。
【0023】
また、略矩形状のフェースパネルと、このフェースパネルに連接して形成された漏斗状のファンネルと、このファンネルの径小部側に連接されたネックと、このネック内に配置され電子ビームを放出する電子銃と、この電子銃と対向するフェースパネル内面に形成された蛍光体スクリーンと、ファンネル外周部分に装着される偏向ヨークとを具備し、偏向ヨークは、ネック側からファンネル側に向かって拡大するように円もしくは角錐台状に形成されたコイルセパレータと、このコイルセパレータの内側面に配置された一対のサドル形の水平偏向コイルと、コイルセパレータの外側面に配置される円もしくは角錐台状のコアと、このコアに巻回もしくは内側に配置された一対の垂直偏向コイルと、コイルセパレータの径小側側面に対向し当該側面から離間して配置された一対のコマフリーコイルから構成された偏向ヨーク付陰極線管である。
【0024】
このように構成することにより、例え偏向周波数を高く設定したとしても、コマフリーコイルはコイルセパレータの径小側側面からは離間して配置されているために、脚部の振動によるコイルセパレータへの打音やコマフリーコイル全体での磁歪振動に伴なう視聴者に騒音として感知される異音の発生を抑制することが可能となる偏向ヨーク、及びこの偏向ヨークを装着した偏向ヨーク付陰極線管を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
まず、本発明に係るカラー陰極線管は、図1に示すように、管軸(Z軸)を通り互いに直交する水平軸(X軸)と垂直軸(Y軸)を持つ外面を平坦状に形成された略矩形状のフェースパネル11と、このフェースパネル11に連接された漏斗状のファンネル12、及びこのファンネル12の径小部端に連接された円筒状のネック13からなる真空外囲器を有している。
【0027】
このフェースパネル11の内面には、青、緑、赤に発光するドット状もしくはストライプ状の3色蛍光体層及び黒色の光吸収層を有する蛍光体スクリーン14が設けられ、更に、この蛍光体スクリーン14から離間且つ対向して、その対向面に多数の電子ビーム通過孔15が所定の配列ピッチで形成されたシャドウマスク16が配置されている。
【0028】
また、ネック13内には、同一水平面上を通るセンタービーム17G及び一対のサイドビーム17B,17Rからなる一列配置の3電子ビーム17B,17G,17Rを放出する電子銃18が配置され、そして、このネック12のファンネル12側からファンネル12の径小部にかけて角錐状の偏向ヨーク装着部19が設けられて、カラー陰極線管が構成されている。
【0029】
この偏向ヨーク装着部19は、蛍光体スクリーン14上に矩形状のラスターを描く場合には、後述する偏向ヨークの装着される偏向ヨーク装着部19内側における電子ビーム17B,17G,17Rの通過領域も相似形の略矩形状を呈するので、偏向ヨーク装着部19の形状を、ネック13側からフェースパネル11方向に向かって、円形から次第に略矩形状に変化するような角錐台形状に構成している。
【0030】
このように、偏向ヨーク装着部19を略角錐台形状とすることによって、偏向ヨークのX軸及びY軸方向の径を小さくすることが可能となり、そのために偏向ヨークを構成する水平偏向コイルを、電子ビーム17B,17G,17Rに近づけて配置することが可能となり、電子ビーム17B,17G,17Rを効率良く偏向して、偏向電力の低減を図ることが可能となる。
【0031】
一方、このように構成された偏向ヨーク装着部19に装着される偏向ヨークは、図2にも示すように、電子ビーム17B,17G,17RをX軸方向に偏向するための磁界を発生する一対のサドル形の水平偏向コイル20を有し、この一対の水平偏向コイル20は、略角錐台形状を呈するように組合せて構成されている。この水平偏向コイル20は、合成樹脂等によって偏向ヨーク装着部19に対応した略角錐台状に成形されたコイルセパレータ21の内周面に沿って取付けられている。
【0032】
このコイルセパレータ21は、セパレータ本体22と、セパレータ本体22の一端側のフェースパネル11側に配置される径大側の鍔部23と、その反対側のネック13側に配置される径小側の鍔部24、及びこの鍔部24からネック13方向に突出するように形成された筒状の締付部25から構成されている。この締付部25にはスリット(図示せず)を設けて、締付バンド(図示せず)等で締付けることによって、ネック13外周に固定されるように構成されている。
【0033】
従って、上記水平偏向コイル20は、水平偏向コイル20の両端に形成したベンド部が夫々の鍔部23,24内に位置するようにセパレータ本体22の内側に装着され、接着剤やテープ等の固定手段によって固定されている。
【0034】
このコイルセパレータ21のセパレータ本体22部分の外側には、中心軸を含む平面に沿って2分割されたフェライト等の磁性体からなる一対の円錐台形状のコア26が装着される。このコア26には複数の巻線群を形成するようにトロイダル巻きに巻回され、電子ビーム17B,17G,17RをY軸方向に偏向するための磁界を発生する一対の垂直偏向コイル27を備えており、このコア26は垂直偏向コイル27の巻回後に、弾性金属片からなる係止片28によって、コイルセパレータ21のセパレータ本体22外周に固定装着されている。
【0035】
また、この垂直偏向コイル27とコア26とは、左右一対のサドル形の垂直偏向コイル27と、これら水平及び垂直偏向コイル20,27の外側に配置された角錐状の磁性体コア26で構成することも可能である。
【0036】
このように、略角錐台状に形成された偏向ヨーク装着部19に合致するように偏向ヨークを構成すると、カラー陰極線管の最も偏向角が大きい対角方向の径はそのままに、偏向ヨークの水平軸(X軸)及び垂直軸(Y軸)方向の径を小さくすることが可能となる。このため偏向ヨークの水平、垂直偏向コイル20,27を電子ビーム17B,17G,17R側に更に近づけて効率良く偏向することができるので、偏向電力を低減することが可能となる。
【0037】
このための偏向ヨークとしては、水平、垂直偏向コイル20,27が両者ともにサドル形からなるサドル−サドル形形態の偏向ヨーク、あるいは水平偏向コイル20がサドル形で垂直偏向コイル27がトロイダル形からなるセミトロイダル形偏向ヨークを使用することが好適である。
【0038】
更に、上記コイルセパレータ21のネック13側の径小側鍔部24外側面には、上下一対のコマフリーコイル29が、この鍔部24からコマフリーコイル29全体が離間して配設され、また、必要に応じてコイルセパレータ21の蛍光体スクリーン14側の径大側鍔部23の外側面に、上下一対のNSマグネット(図示せず)を配置したり、あるいはコイルセパレータ21の径小側に設けた締付部25にスタティックコンバーゼンスマグネット(図示せず)等を配置することも可能である。
【0039】
このように、コイルセパレータ21のネック13側の径小側鍔部24外側面に4極磁界を発生する一対のコマフリーコイル29を対向させて配置し、このコマフリーコイル29に夫々水平偏向周期のパラボラ電流を通電することにより、蛍光体スクリーン14左右端でアンダーコンバーゼンス補正を行うようになされている。
【0040】
このコマフリーコイル29は、図3及び図4に示すように、両側脚部30と、この脚部30を連結する連結部31とでコ字状のコア32を形成し、この連結部31と脚部30の一部を覆うように合成樹脂からなる被覆部材33がモールド成形されている。この被覆部材33の連結部31両側に鍔部34が形成され、この鍔部34間の連結部31外周を巻枠として、水平偏向周期のパラボラ電流が供給される巻線35が巻回されている。更に、この被覆部材33の脚部30側の端部を脚部30開放端側とは反対方向に延長し、その先端に鉤部36を形成した舌片37が形成されている。
【0041】
このように構成されたコマフリーコイル29は、コイルセパレータ21の径小側鍔部24の外側面から略直角にネック13と平行に突出形成された固定片38に穿設された透孔39に鉤部36を挿通させて、鍔部24とコマフリーコイル29全体を離間させた状態で固定し、且つ、各コア32の開放端が互いに対向するように、ネック13の外周に配置されるように構成されている。
【0042】
このように、コマフリーコイル29全体がコイルセパレータ21の径小側鍔部24の外側面と接触しないように十分な間隔をおいて配置することで、例え垂直偏向コイル27に大きな垂直偏向電流が流れて発生する強い垂直偏向磁界がコア32の脚部30と鎖交し、周期的に吸引する大きな力が作用したとしても、コマフリーコイル29全体を鍔部24から離間させて配置しているので、脚部30が鍔部24外側面を叩くことがなく、このため異音が発生することを防止することが可能となる。
【0043】
また、コマフリーコイル29の全体が、鍔部24から外方に突出する固定片38によって固定保持されているので、コマフリーコイル29自体が鍔部24と直接的に接触はしておらず、コマフリーコイル29の磁歪振動が鍔部24に伝達し難くなるので、コマフリーコイル29の伝達振動による共鳴現象も軽減することができ、異音の発生を抑制することが可能となる。
【0044】
このような異音の抑制効果は、コマフリーコイル29のコア32を鍔部24に固定させたり、脚部30の先端を突部にて支持させたり、あるいはコマフリーコイル29の上下端を固定したりした場合と比較しても、最も効果的に異音の発生を抑制することができることが確認された。
【0045】
また、図5に示すように、鍔部24とコマフリーコイル29との間隙部分に、ラバー(ゴム)シート等からなる弾性緩衝材40を鍔部24外側面に貼付して、弾性緩衝材40を両者の間に介在させることによって、脚部30が鍔部24外側面に当接することを完全に防止でき、例え脚部30が弾性緩衝材40に当接したとしても異音の発生を抑制できるばかりでなく、この弾性緩衝材40によって磁歪振動による振動分も吸収することが可能となり、異音発生の抑止効果を更に向上させることが可能となる。この弾性緩衝材40は、コマフリーコイル29に沿って全面的に貼着させてもよいが、脚部30との対向面部分に貼着させるように構成することも可能である。
【0046】
なお、本発明は、上述の実施の形態のみに限定されることなく、例えば偏向ヨーク装着部を丸型に構成したカラー陰極線管にも、コア及び水平、垂直偏向コイルをそれに対応させて丸型にした偏向ヨークと組合わせて使用することも可能であり、また、水平、垂直偏向コイルは、ベンドアップやベンドレス構成とすることも可能であり、更に、コマフリーコイルを鉤部を有する舌片を使用することなく接着等の手段で固定片に固定させたり、透孔を被膜部材側に形成し、これに嵌合する鉤付舌片を固定片側に設けて固定する等、その他にも種々の応用や変形が可能なことは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、コマフリーコイルをコイルセパレータの鍔部外側面から離間して配置することにより、偏向磁界によるコマフリーコイルの脚部の吸引作用による脚部と鍔部との接触を防止し、またコマフリーコイルの磁歪振動による振動の伝達を抑制することによって、偏向ヨークにて発生する異音を抑制することが可能となり、視聴者にこの異音に起因する不快感を与えることがない、製品性に優れた偏向ヨーク及び偏向ヨーク付陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る偏向ヨーク及びこの偏向ヨークを装着する偏向ヨーク付陰極線管を示す一部切欠斜視図。
【図2】同じく偏向ヨークを示す斜視図。
【図3】同じく偏向ヨークを構成するコマフリーコイルの構成を示す斜視図。
【図4】同じくコマフリーコイルの取付け状態を示す一部切欠側面図。
【図5】同じく偏向ヨークの他の構成を示す一部拡大側面図。
【図6】従来の偏向ヨーク付陰極線管を示す断面図。
【図7】従来の偏向ヨークを示す斜視図。
【図8】同じく偏向ヨークを構成するコマフリーコイルの構成を示す斜視図。
【図9】同じくコマフリーコイルの取付け状態を示す一部切欠側面図。
【図10】同じく偏向ヨークによる異音の発生状態を説明するための説明図。
【符号の説明】
11:フェースパネル
12:ファンネル
13:ネック
14:蛍光体スクリーン
16:シャドウマスク
17G,17R,17B:電子ビーム
18:電子銃
19:偏向ヨーク装着部
20:水平偏向コイル
21:コイルセパレータ
24:径小側鍔部
26:コア
27:垂直偏向コイル
29:コマフリーコイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーテレビジョン受像機やカラー端末ディスプレイ等に使用される偏向ヨーク、並びにこの偏向ヨークを装着した偏向ヨーク付陰極線管に係り、特にコマフリーコイルにて発生する異音を抑制した偏向ヨーク及び偏向ヨーク付陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラーテレビジョン受像機等に使用されているカラー陰極線管は、図6に示すように、略矩形状の有効部を有するフェースパネル61と、このフェースパネル61に連接された漏斗状のファンネル62と、このファンネル62の径小部に連接された円筒状のネック63からなるガラス製の真空外囲器を備えている。このフェースパネル61の有効部内面には、青、緑、赤に発光するドット状またはストライプ状の3色蛍光体層及び黒色遮光層からなる蛍光体スクリーン64が形成されている。
【0003】
更に、この蛍光体スクリーン64に対向してフェースパネル61内には、多数の電子ビーム通過孔を有したシャドウマスク65がマスクフレーム66を介して配置され、このマスクフレーム66は弾性支持体67とスタッドピン68を介してフェースパネル61に取着されている。また、マスクフレーム66には磁気シールド69が取着されており、このシャドウマスク65に対向するようにネック63内には、3電子ビーム70B,70G,70Rを放出するインライン型の電子銃71が配設されるとともに、ネック63外周からファンネル62の外周面にかけて位置する偏向ヨーク装着部に偏向ヨーク72が装着されている。
【0004】
この電子銃71から放出された3電子ビーム70B,70G,70Rを偏向ヨーク72の発生する水平、垂直偏向磁界によって水平、垂直方向に偏向し、シャドウマスク65を介して蛍光体スクリーン64を水平、垂直走査することによって、蛍光体スクリーン64上にカラー画像を表示している。
【0005】
一方、このようなカラー陰極線管に装着される偏向ヨーク72は、図7に示すように構成されている。
【0006】
即ち、合成樹脂によって円錐台状に成形されたコイルセパレータ本体73と、このセパレータ本体73のフェースパネル61側の径大部分に形成された径大側鍔部74と、ネック63側の径小部分に形成された径小側鍔部75を備え、この径小側鍔部75に連接する締付部76から構成されたコイルセパレータ77を備えている。
【0007】
このコイルセパレータ77の内面には、サドル形に形成された一対の水平偏向コイル78が装着され、コイルセパレータ本体73外周面には一対のサドル形の垂直偏向コイル79が装着され、更に、この垂直偏向コイル79の外側に円錐台状のコア80が配置される。この垂直偏向コイル79は、2分割されたフェライトからなる一対のコア80に巻回されたトロイダル形として構成されている場合もある。そして、上記締付部76を締付バンド(図示せず)によって締付けることで、偏向ヨーク72を陰極線管の外周面に固定するように構成されている。
【0008】
このようなカラー陰極線管においては、電子銃71として同一平面上を通る一列配置の3電子ビーム70B,70G,70Rを放出するインライン型として構成され、また偏向ヨーク72では、ピンクッション形の水平偏向磁界及びバレル形の垂直偏向磁界を発生させることで、電子銃71から放出された一列配置の3電子ビーム70B,70G,70Rを、これら水平、垂直偏向磁界によって偏向することにより、電気的な補正回路を要することなく、画面全体にわたり一列配置の3電子ビーム70B,70G,70Rを集中することができるセルフコンバーゼンス・インライン型カラー陰極線管として広く実用化されている。
【0009】
しかしながら、このセルフコンバーゼンス・インライン型カラー陰極線管では、非斉一偏向磁界によって電子ビーム70B,70G,70Rに歪みが生じ、特に画面周辺部のビームスポット横潰れによる解像度劣化やモアレ発生の原因となっている。
【0010】
更に、これとは別に蛍光体スクリーン64周辺では、蛍光体スクリーン64に対する電子ビーム70B,70G,70Rの入射角が大きくなるので、ビームスポットが放射方向に延びる形状に歪むこともある。この歪みの作用も画面の平坦化または広角度偏向化によって更に増長される結果となっているが、蛍光体スクリーン64の垂直端では、バレル形の垂直偏向磁界が及ぼすビームスポットへの影響と、蛍光体スクリーン64に入射する電子ビーム70B,70G,70Rの入射角度による影響が互いに相反する方向であるために、ビームスポットの歪みは緩和される。
【0011】
これに対して、蛍光体スクリーン64の水平端では、ピンクッション形の水平偏向磁界と蛍光体スクリーン64に入射する電子ビーム70B,70G,70Rの入射角度の影響が、互いに強め合う方向であるために、ビームスポット歪みは増長される結果となる。
【0012】
このために、水平偏向磁界の磁界分布であるピンクッション形を斉一(バレル)方向に修正し、これに伴って蛍光体スクリーン64左右端で生じるオーバーコンバーゼンスをコイルセパレータ77の径小側鍔部75の上下端に配置した一対のコマフリーコイル81にて補正している。
【0013】
即ち、コイルセパレータ77のネック63側に4極磁界を発生する一対のコマフリーコイル81を対向させて配置し、このコマフリーコイル81に夫々水平偏向周期のパラボラ電流を通電し、蛍光体スクリーン64左右端でアンダーコンバーゼンス補正を行うようになされている。
【0014】
このコマフリーコイル81は、図8及び図9に示すように、両側脚部82とこの脚部82を連結する連結部83とでコ字状のコア84を形成し、この連結部83と脚部82の一部を覆うように合成樹脂からなる被覆部材85がモールド成形されている。この被覆部材85の連結部84両側に鍔部86が形成され、この鍔部86間の連結部83外周を巻枠として巻線87が巻回され、各コア84の開放端を互いに対向するように、ネック63の外周に配置されるように構成されている。このコマフリーコイル81は、コイルセパレータ77の径小側鍔部75に形成した鉤状の舌片88によって鍔部75との間で挟持され、また、脚部82を支持するために鍔部75側面から脚部82方向に突出する突部89も設けられている。
【0015】
なお、必要に応じてコイルセパレータ77の径大側鍔部74には、ピンクッション歪を補正するためのNSマグネット90を、夫々管軸を挟んで対向する位置に取着されている。
【0016】
このようにコマフリーコイル81を配置することによって、ビームスポットの水平方向の潰れが改善され、解像度等を向上させることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このようなカラー陰極線管においては、大画面化、平坦化され陰極線管の管軸方向の長さを短くするために広偏向角化も採り入れられている。更に、高解像度及び視認性の高度化が要求される高品位テレビジョン(HDTV)やパーソナルコンピュータ等のOA機器に対応するために、必然的に偏向周波数を上げざるを得ず、このために高い偏向周波数を使用する設計がなされている。特に画面を静止画として見た場合のフリッカーを軽減する目的で、垂直偏向周波数も高く設定している。
【0018】
しかしながら、フリッカーを軽減するために垂直偏向周波数を高くすると、コイルスペーサ77の径小側鍔部75を介して互いに対向配置されている垂直偏向コイル79とコマフリーコイル81とが影響し合うことになる。このコマフリーコイル81は垂直偏向コイル79の径小側ベンド部からの漏洩磁束に影響され、垂直偏向コイル79にて発生される磁界がコマフリーコイル81の脚部82と鎖交すると、垂直偏向周波数の周期毎に、図10に示すように、この脚部82が垂直偏向コイル79側に図中矢印で示す力Fによって引寄せられるようになる。このため図中実線で示す状態から破線で示す状態に周期的に振動させられて、この振動する脚部82が鍔部75側面を叩くことにより、異音が発生していた。
【0019】
この垂直偏向周波数による磁界の変化は、可聴領域の50Hz〜150Hz付近で変化しており、この異音が騒音となって視聴者に感知されてしまう問題が発生している。特に広角化に伴なって広偏向角化を進めるためには、より多くの偏向電流を必要とし、この偏向電流の増大に伴なって垂直偏向コイル79から漏洩する漏れ磁界も大きくなるので、より一層コマフリーコイル81を振動させることとなり、異音がより強調される事態となっていた。更に、このコマフリーコイル81は磁歪振動が発生するが、実際には、この鍔部75は蓋体を備えており、鍔部75全体として箱状を形成しているので、この蓋体に取着されているコマフリーコイル81の磁歪振動によって共鳴現象が発生し、この結果、より大きな振動音が発生することとなり、この振動音も異音となって視聴者が感知することになる。
【0020】
このように、特に高い偏向周波数を採用したことによって異音の発生が顕著なものとなり、視聴者にとって耳障りな状態になってきているので、一刻も早い改善が要望されていた。
【0021】
本発明は、このような課題に対処してなされたものであり、高い偏向周波数を採用した場合においても、コマフリーコイルに起因する異音の発生を確実且つ効率良く抑制することが可能な偏向ヨーク及び偏向ヨーク付陰極線管を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、陰極線管のネックからファンネル外周にかけての偏向ヨーク装着部に配置され、水平及び垂直偏向コイルを有し、電子ビームを偏向して陰極線管の蛍光体スクリーン上に画像を表示するための偏向ヨークであって、ネック部側からファンネル側に向かって拡大するように円もしくは角錐台状に形成されたコイルセパレータと、このコイルセパレータの内側面に配置された一対のサドル形の水平偏向コイルと、コイルセパレータの外側面に配置される円もしくは角錐台状のコアと、このコアに巻回されたトロイダル形もしくはコアの内側に配置されたサドル形の一対の垂直偏向コイルと、コイルセパレータの径小側側面に対向して配置された一対のコマフリーコイルとを具備し、このコマフリーコイルをコイルセパレータの径小側側面から離間して配置させた偏向ヨークである。
【0023】
また、略矩形状のフェースパネルと、このフェースパネルに連接して形成された漏斗状のファンネルと、このファンネルの径小部側に連接されたネックと、このネック内に配置され電子ビームを放出する電子銃と、この電子銃と対向するフェースパネル内面に形成された蛍光体スクリーンと、ファンネル外周部分に装着される偏向ヨークとを具備し、偏向ヨークは、ネック側からファンネル側に向かって拡大するように円もしくは角錐台状に形成されたコイルセパレータと、このコイルセパレータの内側面に配置された一対のサドル形の水平偏向コイルと、コイルセパレータの外側面に配置される円もしくは角錐台状のコアと、このコアに巻回もしくは内側に配置された一対の垂直偏向コイルと、コイルセパレータの径小側側面に対向し当該側面から離間して配置された一対のコマフリーコイルから構成された偏向ヨーク付陰極線管である。
【0024】
このように構成することにより、例え偏向周波数を高く設定したとしても、コマフリーコイルはコイルセパレータの径小側側面からは離間して配置されているために、脚部の振動によるコイルセパレータへの打音やコマフリーコイル全体での磁歪振動に伴なう視聴者に騒音として感知される異音の発生を抑制することが可能となる偏向ヨーク、及びこの偏向ヨークを装着した偏向ヨーク付陰極線管を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
まず、本発明に係るカラー陰極線管は、図1に示すように、管軸(Z軸)を通り互いに直交する水平軸(X軸)と垂直軸(Y軸)を持つ外面を平坦状に形成された略矩形状のフェースパネル11と、このフェースパネル11に連接された漏斗状のファンネル12、及びこのファンネル12の径小部端に連接された円筒状のネック13からなる真空外囲器を有している。
【0027】
このフェースパネル11の内面には、青、緑、赤に発光するドット状もしくはストライプ状の3色蛍光体層及び黒色の光吸収層を有する蛍光体スクリーン14が設けられ、更に、この蛍光体スクリーン14から離間且つ対向して、その対向面に多数の電子ビーム通過孔15が所定の配列ピッチで形成されたシャドウマスク16が配置されている。
【0028】
また、ネック13内には、同一水平面上を通るセンタービーム17G及び一対のサイドビーム17B,17Rからなる一列配置の3電子ビーム17B,17G,17Rを放出する電子銃18が配置され、そして、このネック12のファンネル12側からファンネル12の径小部にかけて角錐状の偏向ヨーク装着部19が設けられて、カラー陰極線管が構成されている。
【0029】
この偏向ヨーク装着部19は、蛍光体スクリーン14上に矩形状のラスターを描く場合には、後述する偏向ヨークの装着される偏向ヨーク装着部19内側における電子ビーム17B,17G,17Rの通過領域も相似形の略矩形状を呈するので、偏向ヨーク装着部19の形状を、ネック13側からフェースパネル11方向に向かって、円形から次第に略矩形状に変化するような角錐台形状に構成している。
【0030】
このように、偏向ヨーク装着部19を略角錐台形状とすることによって、偏向ヨークのX軸及びY軸方向の径を小さくすることが可能となり、そのために偏向ヨークを構成する水平偏向コイルを、電子ビーム17B,17G,17Rに近づけて配置することが可能となり、電子ビーム17B,17G,17Rを効率良く偏向して、偏向電力の低減を図ることが可能となる。
【0031】
一方、このように構成された偏向ヨーク装着部19に装着される偏向ヨークは、図2にも示すように、電子ビーム17B,17G,17RをX軸方向に偏向するための磁界を発生する一対のサドル形の水平偏向コイル20を有し、この一対の水平偏向コイル20は、略角錐台形状を呈するように組合せて構成されている。この水平偏向コイル20は、合成樹脂等によって偏向ヨーク装着部19に対応した略角錐台状に成形されたコイルセパレータ21の内周面に沿って取付けられている。
【0032】
このコイルセパレータ21は、セパレータ本体22と、セパレータ本体22の一端側のフェースパネル11側に配置される径大側の鍔部23と、その反対側のネック13側に配置される径小側の鍔部24、及びこの鍔部24からネック13方向に突出するように形成された筒状の締付部25から構成されている。この締付部25にはスリット(図示せず)を設けて、締付バンド(図示せず)等で締付けることによって、ネック13外周に固定されるように構成されている。
【0033】
従って、上記水平偏向コイル20は、水平偏向コイル20の両端に形成したベンド部が夫々の鍔部23,24内に位置するようにセパレータ本体22の内側に装着され、接着剤やテープ等の固定手段によって固定されている。
【0034】
このコイルセパレータ21のセパレータ本体22部分の外側には、中心軸を含む平面に沿って2分割されたフェライト等の磁性体からなる一対の円錐台形状のコア26が装着される。このコア26には複数の巻線群を形成するようにトロイダル巻きに巻回され、電子ビーム17B,17G,17RをY軸方向に偏向するための磁界を発生する一対の垂直偏向コイル27を備えており、このコア26は垂直偏向コイル27の巻回後に、弾性金属片からなる係止片28によって、コイルセパレータ21のセパレータ本体22外周に固定装着されている。
【0035】
また、この垂直偏向コイル27とコア26とは、左右一対のサドル形の垂直偏向コイル27と、これら水平及び垂直偏向コイル20,27の外側に配置された角錐状の磁性体コア26で構成することも可能である。
【0036】
このように、略角錐台状に形成された偏向ヨーク装着部19に合致するように偏向ヨークを構成すると、カラー陰極線管の最も偏向角が大きい対角方向の径はそのままに、偏向ヨークの水平軸(X軸)及び垂直軸(Y軸)方向の径を小さくすることが可能となる。このため偏向ヨークの水平、垂直偏向コイル20,27を電子ビーム17B,17G,17R側に更に近づけて効率良く偏向することができるので、偏向電力を低減することが可能となる。
【0037】
このための偏向ヨークとしては、水平、垂直偏向コイル20,27が両者ともにサドル形からなるサドル−サドル形形態の偏向ヨーク、あるいは水平偏向コイル20がサドル形で垂直偏向コイル27がトロイダル形からなるセミトロイダル形偏向ヨークを使用することが好適である。
【0038】
更に、上記コイルセパレータ21のネック13側の径小側鍔部24外側面には、上下一対のコマフリーコイル29が、この鍔部24からコマフリーコイル29全体が離間して配設され、また、必要に応じてコイルセパレータ21の蛍光体スクリーン14側の径大側鍔部23の外側面に、上下一対のNSマグネット(図示せず)を配置したり、あるいはコイルセパレータ21の径小側に設けた締付部25にスタティックコンバーゼンスマグネット(図示せず)等を配置することも可能である。
【0039】
このように、コイルセパレータ21のネック13側の径小側鍔部24外側面に4極磁界を発生する一対のコマフリーコイル29を対向させて配置し、このコマフリーコイル29に夫々水平偏向周期のパラボラ電流を通電することにより、蛍光体スクリーン14左右端でアンダーコンバーゼンス補正を行うようになされている。
【0040】
このコマフリーコイル29は、図3及び図4に示すように、両側脚部30と、この脚部30を連結する連結部31とでコ字状のコア32を形成し、この連結部31と脚部30の一部を覆うように合成樹脂からなる被覆部材33がモールド成形されている。この被覆部材33の連結部31両側に鍔部34が形成され、この鍔部34間の連結部31外周を巻枠として、水平偏向周期のパラボラ電流が供給される巻線35が巻回されている。更に、この被覆部材33の脚部30側の端部を脚部30開放端側とは反対方向に延長し、その先端に鉤部36を形成した舌片37が形成されている。
【0041】
このように構成されたコマフリーコイル29は、コイルセパレータ21の径小側鍔部24の外側面から略直角にネック13と平行に突出形成された固定片38に穿設された透孔39に鉤部36を挿通させて、鍔部24とコマフリーコイル29全体を離間させた状態で固定し、且つ、各コア32の開放端が互いに対向するように、ネック13の外周に配置されるように構成されている。
【0042】
このように、コマフリーコイル29全体がコイルセパレータ21の径小側鍔部24の外側面と接触しないように十分な間隔をおいて配置することで、例え垂直偏向コイル27に大きな垂直偏向電流が流れて発生する強い垂直偏向磁界がコア32の脚部30と鎖交し、周期的に吸引する大きな力が作用したとしても、コマフリーコイル29全体を鍔部24から離間させて配置しているので、脚部30が鍔部24外側面を叩くことがなく、このため異音が発生することを防止することが可能となる。
【0043】
また、コマフリーコイル29の全体が、鍔部24から外方に突出する固定片38によって固定保持されているので、コマフリーコイル29自体が鍔部24と直接的に接触はしておらず、コマフリーコイル29の磁歪振動が鍔部24に伝達し難くなるので、コマフリーコイル29の伝達振動による共鳴現象も軽減することができ、異音の発生を抑制することが可能となる。
【0044】
このような異音の抑制効果は、コマフリーコイル29のコア32を鍔部24に固定させたり、脚部30の先端を突部にて支持させたり、あるいはコマフリーコイル29の上下端を固定したりした場合と比較しても、最も効果的に異音の発生を抑制することができることが確認された。
【0045】
また、図5に示すように、鍔部24とコマフリーコイル29との間隙部分に、ラバー(ゴム)シート等からなる弾性緩衝材40を鍔部24外側面に貼付して、弾性緩衝材40を両者の間に介在させることによって、脚部30が鍔部24外側面に当接することを完全に防止でき、例え脚部30が弾性緩衝材40に当接したとしても異音の発生を抑制できるばかりでなく、この弾性緩衝材40によって磁歪振動による振動分も吸収することが可能となり、異音発生の抑止効果を更に向上させることが可能となる。この弾性緩衝材40は、コマフリーコイル29に沿って全面的に貼着させてもよいが、脚部30との対向面部分に貼着させるように構成することも可能である。
【0046】
なお、本発明は、上述の実施の形態のみに限定されることなく、例えば偏向ヨーク装着部を丸型に構成したカラー陰極線管にも、コア及び水平、垂直偏向コイルをそれに対応させて丸型にした偏向ヨークと組合わせて使用することも可能であり、また、水平、垂直偏向コイルは、ベンドアップやベンドレス構成とすることも可能であり、更に、コマフリーコイルを鉤部を有する舌片を使用することなく接着等の手段で固定片に固定させたり、透孔を被膜部材側に形成し、これに嵌合する鉤付舌片を固定片側に設けて固定する等、その他にも種々の応用や変形が可能なことは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、コマフリーコイルをコイルセパレータの鍔部外側面から離間して配置することにより、偏向磁界によるコマフリーコイルの脚部の吸引作用による脚部と鍔部との接触を防止し、またコマフリーコイルの磁歪振動による振動の伝達を抑制することによって、偏向ヨークにて発生する異音を抑制することが可能となり、視聴者にこの異音に起因する不快感を与えることがない、製品性に優れた偏向ヨーク及び偏向ヨーク付陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る偏向ヨーク及びこの偏向ヨークを装着する偏向ヨーク付陰極線管を示す一部切欠斜視図。
【図2】同じく偏向ヨークを示す斜視図。
【図3】同じく偏向ヨークを構成するコマフリーコイルの構成を示す斜視図。
【図4】同じくコマフリーコイルの取付け状態を示す一部切欠側面図。
【図5】同じく偏向ヨークの他の構成を示す一部拡大側面図。
【図6】従来の偏向ヨーク付陰極線管を示す断面図。
【図7】従来の偏向ヨークを示す斜視図。
【図8】同じく偏向ヨークを構成するコマフリーコイルの構成を示す斜視図。
【図9】同じくコマフリーコイルの取付け状態を示す一部切欠側面図。
【図10】同じく偏向ヨークによる異音の発生状態を説明するための説明図。
【符号の説明】
11:フェースパネル
12:ファンネル
13:ネック
14:蛍光体スクリーン
16:シャドウマスク
17G,17R,17B:電子ビーム
18:電子銃
19:偏向ヨーク装着部
20:水平偏向コイル
21:コイルセパレータ
24:径小側鍔部
26:コア
27:垂直偏向コイル
29:コマフリーコイル
Claims (4)
- 陰極線管のネックからファンネル外周にかけての偏向ヨーク装着部に配置され、水平及び垂直偏向コイルを有し、電子ビームを偏向して陰極線管の蛍光体スクリーン上に画像を表示するための偏向ヨークであって、
ネック部側からファンネル側に向かって拡大するように円もしくは角錐台状に形成されたコイルセパレータと、
このコイルセパレータの内側面に配置された一対のサドル形の水平偏向コイルと、
前記コイルセパレータの外側面に配置される円もしくは角錐台状のコアと、
このコアに巻回されたトロイダル形もしくはコアの内側に配置されたサドル形の一対の垂直偏向コイルと、
前記コイルセパレータの径小側側面に対向して配置された一対のコマフリーコイルとを具備し、
前記コマフリーコイルを前記コイルセパレータの径小側側面から離間して配置したことを特徴とする偏向ヨーク。 - 前記コマフリーコイルと前記径小側側面間に弾性緩衝材を介在させたことを特徴とする請求項1記載の偏向ヨーク。
- 略矩形状のフェースパネルと、
このフェースパネルに連接して形成された漏斗状のファンネルと、
このファンネルの径小部側に連接されたネックと、
このネック内に配置され電子ビームを放出する電子銃と、
この電子銃と対向する前記フェースパネル内面に形成された蛍光体スクリーンと、
前記ファンネル外周部分に装着される偏向ヨークとを具備し、
前記偏向ヨークは、ネック側からファンネル側に向かって拡大するように円もしくは角錐台状に形成されたコイルセパレータと、
このコイルセパレータの内側面に配置された一対のサドル形の水平偏向コイルと、
前記コイルセパレータの外側面に配置される円もしくは角錐台状のコアと、
このコアに巻回もしくは内側に配置された一対の垂直偏向コイルと、
前記コイルセパレータの径小側側面に対向し当該側面から離間して配置された一対のコマフリーコイルとを有することを特徴とする偏向ヨーク付陰極線管。 - 前記コマフリーコイルと前記コイルセパレータの径小側側面間に弾性緩衝材を介在させたことを特徴とする請求項3記載の偏向ヨーク付陰極線管。
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