JP2004110058A - 液晶パネルの駆動方法、セグメントドライバ、表示コントローラ及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶パネルの駆動方法、セグメントドライバ、表示コントローラ及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 電圧レベル数の増加やコントラストなどの表示特性の劣化を最小限に抑えながら、MLS駆動法におけるPWMによる階調表示を実現すること。
【解決手段】複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により、走査電極と信号電極を有する液晶パネルを駆動する駆動方法であって、同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データに基づいて仮想データを発生し、前記階調データ及び前記仮想データと、走査電極に与える信号を規定する直交関数とに基づいて所与の演算を行い、前記所与の演算により得られたデータに基づいて、選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調し、前記複数の階調データをバイナリ表現した場合の各ビットについての1及び0のいずれかの個数と、前記仮想データをバイナリ表現した場合の対応する各ビットについての1及び0のいずれかの個数との和が偶数になるように前記仮想データを発生する。
【選択図】   図9

Description

 本発明は、階調表示を実現できるマルチライン駆動法に関する。更に詳しくは、マルチライン駆動法による液晶パネルの駆動を行うためのセグメントドライバ、表示コントローラ及び液晶表示装置に関する。
 単純マトリクス型の液晶パネルでは、動画表示に対応するために応答速度の速い液晶材料を採用することが望まれる。しかしながら、液晶の応答速度を速くすると、いわゆるフレーム応答と呼ばれる現象が生じ、フリッカやコントラストの低下などの問題を招く。このような問題を解決するものとして、複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法(MLS)と呼ばれる従来技術が知られている。
 さてMLS駆動法における階調表示は、一般的に、フレーム間引き法(FRC)により実現されている。しかしながら、このフレーム間引き法には、フリッカーが生じやすいという問題がある。そこで、この問題を解決するために、パルス幅変調法(特開平5−100642号、特開平7−199863等)や電圧変調法による階調表示の実現が試みられている。以下、MLSにおける従来のパルス幅変調法(PWM)について図1(A)〜図4を用いて説明する。
 まず2ライン同時選択で4階調の場合について説明する。4階調は2ビットの階調データで表せる。そして図1(A)に示すように、走査電極131と信号電極132の交点の画素133、134の階調データが(01)である場合を考える。ここで液晶のOFFを1、液晶のONを−1と表すと、階調データ(01)の上位ビットである0は1と表され、下位ビットである1は−1と表されることになる。そして、この従来例では、図1(B)に示すように、階調データを上位、下位に分割し階調データと直交関数(例えば1、−1で表される行列)との行列演算を行っている。即ち、画素133、134の階調データは135に示すように上位、下位に分割され、これらの上位、下位の各々と直交関数136との行列演算が行われる。行列演算の結果137は2つ得られるが、これらを第1フィールド(以下1fとする)、第2フィールド(以下2fとする)に分けて出力する。行列演算の結果は2、0、−2のいずれかの値をとるが、各々をVx、0、−Vxの電圧レベルに対応させてセグメント(信号電極)に出力する。この場合のセグメント出力の電圧波形を図2に示す。141はセグメント出力の電圧レベル、142は時間軸を表す。143、144はフィールドを表す。図2に示すように145に示す区間aは146に示す区間bの2倍の長さになっている。即ち階調データの上位ビットに対応するパルスの幅は、下位ビットに対応するパルスの幅の2倍になっている。
 なお図2では、図面を見やすくするために、1fの下位ビットに対応するパルスと2fの上位ビットに対応するパルスが連続しているように示しているが、実際にはこれらは離れている。
 次に4ライン同時選択で4階調の場合について説明する。図3に、その場合の演算結果過程を示す。4ライン同時選択駆動の場合、直交関数136との行列演算の結果137は4、2、0、−2、−4のいずれかの値をとるが、各々を2Vx、Vx、0、−Vx、−2Vxの電圧レベルに対応させてセグメントに出力する。この場合のセグメント出力の電圧波形を図4に示す。上記同様、図面を見やすくするために、1fの下位ビットに対応するパルスと2fの上位ビットに対応するパルスが連続しているように示している。
 しかし、この従来例の手法により階調数及び同時選択ライン数を増加させてゆくと以下のような問題が生ずる。即ち階調数が増えると図4の変化点C1〜C7の数が増える。また変化点C1〜C7におけるセグメント波形の変動の電圧レベル差や変動の向きは、変化点C1〜C7によって様々になる。したがって、セグメント波形の歪みや、セグメント波形の変動時にコモン(走査電極)に重畳されるノイズの大きさや向きも様々になる。このノイズはクロストークの原因になり、表示品位を著しく低下させてしまう。このようなクロストークを解消する手法として、特開昭62−183434の考えを応用して、PWMにおけるパルス刻み位置を例えばフレーム毎に前後に変化させることでノイズを相殺する手法が考えられる。しかしながら、この従来例では変化点の位置、変化点での波形の変動の電圧レベル差、変動の向きが様々であるため、この手法を従来例に適用することは困難である。
 またこの従来例では、同時選択ライン数が増加すると電圧レベル数が増加する。例えば4ライン同時選択では5つ、5ライン同時選択では6つの電圧レベルが必要になる。電圧レベル数が増加すると、システムが必要とする電源の数も増加する。またセグメントドライバの出力トランジスタの素子数の増加を招き、各出力トランジスタの制御回路も必要になり、コストアップを招く。
 本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電圧レベル数の増加やコントラストなどの表示特性の劣化を最小限に抑えながら、MLS駆動法におけるPWMによる階調表示を実現できる液晶パネルの駆動方法、セグメントドライバ、表示コントローラ及び液晶表示装置を提供することにある。
 上記課題を解決するために本発明は、複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により、走査電極と信号電極を有する液晶パネルを駆動する駆動方法であって、同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データに基づいて仮想データを発生し、前記階調データ及び前記仮想データと、走査電極に与える信号を規定する直交関数とに基づいて所与の演算を行い、前記所与の演算により得られたデータに基づいて、選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調することを特徴とする。
 本発明によれば、階調データに基づいて仮想データを得る。そして階調データと仮想データと直交関数とに基づいて所与の演算を行い、得られたデータに基づいてパルス幅変調(PWM)を行う。このようにすることで、MLS駆動法におけるPWMによる階調表示を実現できる。これにより、使用する電圧レベル数の増加を最小限に抑えながら、MLS駆動法による階調表示を実現できるようになる。そして仮想データの概念を導入することで、このような電圧レベル数の少ないPWMによる階調表示を実現しながら、コントラスト等の表示特性の劣化を最小限に抑えることができると共に、適切で再現性のあるPWM用データを得ることができるようになる。
 また本発明は、前記複数の階調データをバイナリ表現した場合の各ビットについての1及び0のいずれかの個数と、前記仮想データをバイナリ表現した場合の対応する各ビットについての1及び0のいずれかの個数との和が偶数になるように、前記仮想データを発生することを特徴とする。このように仮想データを生成することで、全ての階調データについて適切で再現性のあるPWM用データを生成できるようになる。
 また本発明は、前記所与の演算により得られるデータが、前記階調データ及び前記仮想データを0を中心に対称となるデータに変換し、変換されたデータとI行j列(I、jは正の整数)の直交関数とに基づき行列演算を行い、行列演算の結果を正の整数のみで表されるデータに変換することで得られるデータであることを特徴とする。このようにすることで、階調データに対応した適切なPWM用データを得ることができる。但し、このような変換そのものを回路等を用いて実際に行う必要は必ずしもなく、所与の演算により得られるデータが、このような変換により得られるデータと同じものであればよい。
 なお、前記階調データ及び前記仮想データを0を中心に対称となるデータにする変換としては、例えば、階調数をN、走査電極の同時選択数に仮想データ数を加算した数をLとした場合に、前記階調データ及び前記仮想データを2×L倍し、得られた値から(N−1)×Lを減ずる変換を考えることができる。また、行列演算の結果を正の整数のみで表されるデータにする変換としては、例えば、階調数をN、走査電極の同時選択数に仮想データ数を加算した数をLとした場合に、行列演算の結果にL×(N−1)×L/2を加算し、得られた結果をLで除する変換を考えることができる。
 また本発明は、前記所与の演算が、前記階調データ及び前記仮想データとi行j列(i、jは正の整数)の直交関数とに基づく行列演算と、行列演算の結果と直交関数の行の要素の総和に応じた定数とに基づく加算演算とを含むことを特徴とする。このようにすることで、小規模で簡易な構成の回路等で所与の演算を実現できるようになる。
 なお、直交関数の行の要素の総和に応じた前記定数として、例えば、直交関数の行の要素の総和をSとし階調数をNとした場合に、−(N−1)×S+(N−1)×L/2を考えることができる。
 また本発明は、階調数をN、走査電極の同時選択数に仮想データ数を加算した数Lを4とした場合に、パルス幅変調における前記選択期間の時分割数を(N−1)にすることを特徴とする。本発明によれば、L=4の場合に、得られるPWM用データを4の倍数にできる。そして、PWM用データを4で約分したデータを用いることで、選択期間の時分割数を、(N−1)×L=(N−1)×4から(N−1)に減らすことが可能になる。この結果、選択期間を時分割するための刻み用クロックの周波数を減らすことが可能になり、セグメントドライバ等の動作速度の低速化や低省電力化を図ることが可能になる。
 また本発明は、複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により信号電極を駆動するセグメントドライバであって、同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データに基づいて仮想データを発生する手段と、前記階調データ及び前記仮想データと、走査電極に与える信号を規定する直交関数とに基づいて所与の演算を行う手段と、前記所与の演算により得られたデータに基づいて、選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調する手段とを含むことを特徴とする。
 本発明によれば、MLS駆動法におけるPWMによる階調表示を、電圧レベル数の増加や表示特性の劣化を抑えながら実現できるセグメントドライバを提供できるようになる。
 なお、この場合、セグメントドライバが、走査電極の同時選択数をLMとした場合に、LMの2倍以上分のラインの階調データを保持するラインメモリを含むことが望ましい。このようにすることで、ラインメモリへの階調データの書き込み動作とラインメモリからの階調データの読み出し動作を並列に行うことが可能になる。
 また本発明は、前記仮想データを発生する手段が、前記ラインメモリの読み出しタイミングに対して一定の期間遅れたパルス信号と前記ラインメモリの出力信号とのAND演算を行う論理回路と、前記直交関数による行列演算の開始前にイニシャライズされ、前記論理回路の出力がクロック端子に入力され、前記仮想データを出力端子に出力するトグルフリップフロップとを含むことを特徴とする。このようにすることで、階調データの各ビットの1又は0の個数と仮想データの各ビットの1又は0の個数との和が偶数になるような仮想データを、簡易な回路構成で生成できるようになる。
 また本発明は、複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により信号電極と走査電極を各々駆動するセグメントドライバとコモンドライバに信号を供給する表示コントローラであって、階調データを取り込む手段と、走査電極の同時選択数の2倍以上分のラインの階調データを保持可能なラインメモリに、取り込んだ階調データを書き込む手段と、前記ラインメモリに書き込まれた階調データを読み出す手段と、同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データに基づいて仮想データを発生する手段と、前記階調データ及び前記仮想データと、走査電極に与える信号を規定する直交関数とに基づいて所与の演算を行う手段と、前記所与の演算により得られたデータを、該データに基づいて選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調するセグメントドライバに供給する手段と、直交関数をコモンドライバに供給する手段とを含むことを特徴とする。
 本発明によれば、MLS駆動法におけるPWMによる階調表示を、電圧レベル数の増加や表示特性の劣化を抑えながら実現できる表示コントローラを提供できるようになる。
 また本発明は、走査電極の同時選択数をLM、LMに仮想データ数を加算した数をL、前記ラインメモリへの階調データ書き込みサイクル時間をT1、セグメントドライバへのデータ出力サイクル時間をT2とした場合に、T2=m×(LM/L)×T1(mは正の整数)であることを特徴とする。このようにすることで、ラインメモリへ階調データを書き込む処理と、ラインメモリから階調データを読み出し所与の演算を行いセグメントドライバへPWM用データを出力する処理とを、処理の無駄を生じることなく実現できるようになる。
 また本発明は、複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により液晶パネルを駆動する液晶表示装置であって、走査電極と信号電極を有する液晶パネルと、信号電極を駆動する上記のセグメントドライバと、走査電極を駆動するコモンドライバとを含むことを特徴とする。このようなシステム構成にすることで、従来の表示コントローラからの階調データをそのまま上記セグメントドライバに入力して、MLS駆動法におけるPWMによる階調表示を実現できるようになる。
 また本発明は、複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により液晶パネルを駆動する液晶表示装置であって、走査電極と信号電極を有する液晶パネルと、パルス幅変調により信号電極を駆動するセグメントドライバと、走査電極を駆動するコモンドライバと、前記セグメントドライバ及び前記コモンドライバに信号を供給する上記の表示コントローラとを含むことを特徴とする。このようにシステム構成することで、例えば完全分散や半分散駆動に最適な液晶表示装置を提供できるようになる。
 以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
 1.比較例
 さて本発明者は、電圧レベル数を2レベル(表示OFF時の中間レベルを加えると3レベル)に抑えながら、MLS駆動でPWMによる階調表示を実現できる駆動方法を開発している(特願平8−288772)。以下、この駆動方法を比較例として図5、図6を用いて説明する。
 同時選択数をL、階調数をN、直交関数をF、階調データをDとすると、図5に示す計算式にしたがえば、階調データDを、2レベルのPWMによる駆動を可能にするデータに変換できる。以下、2ライン同時選択で4階調の場合(L=2、N=4)について説明する。また階調データを0、1、2、3と表すとする。
 図5の計算式の第1項の中のL×D−(N−1)×L/2の項は、階調データを、0を中心に対称となるデータに変換するためのものである。この項により、階調データである0、1、2、3は、各々、0を中心に対称となるデータである−3、−1、1、3に変換される。第1項の中のΣは、L×D−(N−1)×L/2の項により得られるデータと直交関数Fとの行列演算の際における各行毎の総和を意味する。
 図5の計算式の第2項の中の(N−1)×L/2の項は、第1項で階調データをマイナス側にずらした分をプラス側に戻し、正の整数のデータを得るためのものである。またこの項にLが乗じてあるのは、第1項でΣによりL回の加算を行っているため、この加算回数分だけデータをプラス側に戻す必要があるからである。また図5の計算式で分子をLで除してあるのは、第1項で階調データをL倍した分を補正するためである。なおこの比較例では、選択期間(1回の信号電極印加時間)の時分割数は(N−1)×Lとなっている。
 この図5の計算式により得られたデータに基づいてPWM変換を行うことで、MLS駆動において2レベルのPWMによる階調表示が可能になる。
 しかしながら、この比較例には、液晶に加わるON時の実効電圧とOFF時の実効電圧の比であるON/OFF比を満足できる値にできないという問題点がある。
 図6に、図5の計算式で得られたデータに基づいて、4ライン同時選択で4階調の表示を行った場合のセグメント波形、コモン波形の例を示す。黒丸、2斜線付きの丸、1斜線付きの丸及び白丸は表示する画素の階調の状態を表すものである。2斜線付きの丸は黒に近い灰色を、1斜線付きの丸は白に近い灰色を示す。21はコモン(走査電極)、22はセグメント(信号電極)を示す。56は各画素の階調データが0、1、2、3である表示パターンを、57は各画素の階調データが0、3、0、3である場合の表示パターンを示す。23は各フィールドについての図5の計算式の結果を示す。40はセグメントの電圧レベル、41はコモンの電圧レベルを示す。42、43、52、53の細線はコモン波形、44の太線はセグメント波形を示す。コモン波形とセグメント波形の差が液晶に加わる実効値を決める。コモンの電圧レベルをVy、0、−Vyとし、セグメントの電圧レベルをVx、−Vxとすると、図6の49が液晶をONさせる電圧(Vy+Vx)、50が液晶をOFFさせる電圧(Vy−Vx)とみなすことができる。
 この比較例では、選択期間の時分割数は(N−1)×L=12となる。そして選択期間を時分割数12で割ったものを1分割単位とすると、選択期間の長さは12分割単位になり、1f、2f、3f、4fの選択期間の合計の長さは48分割単位になる。そして、階調は、液晶のONに寄与する期間(コモン波形とセグメント波形の差が電圧(Vy+Vx)になる期間)の合計を分割単位数で表したNeで表すことができる。このNeの計算結果を図6の各波形の右側に示す。例えば図6の45に示すように、1行目の波形では、液晶のONに寄与する期間は分割単位数で表すと3、5、7、3になる。したがって、これらの合計であるNeは47に示すように3+5+7+3=18になる。同様に、48、54、55に示すように、2行目の波形ではNe=9+5+5+3=22、3行目の波形ではNe=9+7+7+3=26、4行目の波形ではNe=9+5+7+9=30になる。即ち、階調が0となる1行目の波形では、48分割単位の中で18分割単位が液晶のONに寄与する。同様に、階調が1、2、3となる2行目、3行目、4行目の波形では、各々、22、26、30分割単位が液晶のONに寄与する。
 図6から明らかなように、各画素の階調データの大きさに応じてNeが変化している。例えば階調3(黒丸)の時のNeは30であり、これは、階調0(白丸の時)の時のNeである18よりも大きくなる。また同一階調の画素においては、表示パターンに依存せずに常に同一のNeが得られる。例えば、図6の56に示す表示パターンでも57に示す表示パターンでも、階調3(黒丸)の時のNeは常に30になり、階調0(白丸の時)の時のNeは常に18になる。
 さて、階調3の時にONに寄与する期間はNe=30分割単位でありOFFに寄与する期間は48−Ne=18分割単位になる。一方、階調0の時にONに寄与する期間はNe=18分割単位でありOFFに寄与する期間は48−Ne=30分割単位になる。従来のレベル変化による、4ラインのマルチライン駆動(以下、4MLS駆動)のON/OFF比とほぼ同等のON/OFF比を実現するためには、この30を36に、18を12にする必要がある。
 図7の191、192、193に、各々、通常のマルチプレクス駆動のON/OFF比計算式、従来のレベル変化による4MLS駆動のON/OFF比計算式、比較例のON/OFF比計算式を示す。計算式の中のaは、コモン側の駆動電圧とセグメント側の駆動電圧との比(以下バイアス比)を表す。また(n−4)及び(n−1)は非選択期間において液晶に加わる実効値に相当する。
 図8に、走査線数が240ライン(n=240)の場合のON/OFF比の特性を表すグラフを示す。203、204、205は、各々、通常マルチプレクス駆動の特性、レベル変化による4MLS駆動の特性、比較例の駆動の特性を示すものである。グラフより、通常マルチプレクス駆動ではバイアス比が15〜16の時にON/OFF比が最大値1.067になる。また、レベル変化による4MLS駆動ではバイアス比が7〜8の時にON/OFF比が最大値1.067になる。また比較例の駆動ではバイアス比が7〜8の時にON/OFF比が最大値になるが、この時の最大値は1.034にしかならない。1.034のON/OFF比では、液晶パネルのコントラストが極端に低下してしまう。実際にコントラストを評価した結果、通常マルチプレクス駆動で31.7であったものが、比較例では10.8にまで低下してしまう。
 そこで本発明者は、比較例が有するコントラストの低下の問題を解決すべく、以下に示す駆動方法を考案した。
 2.計算式
 図9に、本実施形態の駆動方法を実現する計算式を示す。ここで同時選択数(LM)+仮想データ数をL、階調数をN、直交関数をF、階調データをDとする。以下、同時選択数が3、仮想データ数が1で、4階調の場合(L=4、N=4)について説明する。また階調データを0、1、2、3と表すとする。
 図9の計算式の第1項の中の2×L×D−(N−1)×Lの項は、階調データを、0を中心に対称となるデータに変換するためのものである。この項により、階調データである0、1、2、3は、各々、0を中心に対称となるデータである−12、−4、4、12に変換される。図5の比較例では−3、−1、1、3に変換されていたが、図9ではこのように−12、−4、4、12に変換される。第1項の中のΣは、2×L×D−(N−1)×Lの項により得られるデータと直交関数Fとの行列演算の際における各行毎の総和を意味する。
 図9の計算式の第2項の中の(N−1)×L/2の項は、第1項で階調データをマイナス側にずらした分をプラス側に戻し、正の整数のデータを得るためのものである。またこの項にLが乗じてあるのは、第1項でΣによりL回の加算を行っているため、この加算回数分だけデータをプラス側に戻す必要があるからである。また図9の計算式で分子をLで除してあるのは、第1項で階調データをL倍した分を補正するためである。
 図10に、図9の計算式にしたがった演算過程の一例を示す。まず仮想データを利用しなかった場合の例である図10のE1について説明する。
 221は階調データを示す。222は、図9の計算式の2×L×D−(N−1)×Lの項の計算結果である。L=4、N=4とすると、階調データは8倍され、次に12だけマイナスされる。これにより階調データは0を中心に対称となるデータに変換される。223は直交関数を示す。224は行列演算の結果を示す。225は、行列演算の結果224に図9の第2項のL×(N−1)×L/2=24を加算し、その加算結果をL=4で除した結果を示す。226は、液晶のONに寄与する期間の合計に相当するNeを示す。
 221の階調データを上から順に0、1、2、3とした場合に、演算結果225は12、4、8、0となる。また液晶のONに寄与する期間の合計に相当するNeは、上から順に12、20、28、36となる。即ち、階調データ0、1、2、3が、各々、12、20、28、36に相当するようになる。このように本実施形態では、比較例で18(図6の47参照)であったものが12に改善され、比較例で30(図6の55参照)であったものが36に改善される。したがって、従来のレベル変化による4MLS駆動のON/OFF比とほぼ同等のON/OFF比を得ることを期待でき、コントラストの改善を期待できるようになる。
 同様に、仮想データを利用しない例である図10のE2について説明する。階調データを3、1、3、3とした場合に、演算結果225は8、8、16、8となる。しかしながら選択期間の分割単位数は(N−1)×L=12となっている。したがって、演算結果225として得られた16を、PWM用のデータに変換できないという問題が生じる。また図10のE1では、階調データ3に対応する演算結果225は0であるが、図10のE2では、階調データ3に対応する演算結果225は8になってしまう。即ち、同一階調の画素であっても、表示パターンに依存して演算結果225が異なったものになってしまう。
 3.仮想データ
 上記のような問題を解決するために本実施形態では仮想データという概念を導入している。即ち、液晶パネルを例えば3MLS(3ライン同時選択)で駆動する一方で、行列演算は4MLSと同等の計算で行う。即ち、同時選択される3ライン分の階調データに仮想データを加えて行列演算を行う。
 仮想データの発生手法について図11を用いて説明する。301は階調データ、302は階調データのバイナリ表現、304は仮想データ、303は仮想データのバイナリ表現を示す。仮想データ304は、階調データ301に基づいて発生させる。階調データが3、1、3である場合に、これらはバイナリー表現は(11)、(01)、(11)になる。図11に示すように、上位ビット、下位ビットの各々について、階調データの各ビットの1(又は0)の個数と仮想データの各ビットの1(又は0)の個数との和が偶数になるように仮想データを発生させる。305に上位ビットの1の個数の和を、306に下位ビットの1の個数の和を示す。図11に示すようにこの場合の仮想データはバイナリ表現で(01)になる。即ち仮想データは1になる。
 図10のE3に、3ライン分の階調データ3、1、3に、上記の仮想データ1を加えて計算を行った場合について示す。演算結果225は4、4、12、12となる。液晶のONに寄与する期間の合計に相当するNeは36、20、36、20となる。図10のE2では、演算結果225としてPWM用データに変換できない値が出るという問題が生じたが、図10のE3ではこのような問題が生じない。また同一階調の画素においては、表示パターンに依存せずに常に同一のNeを得ることができる。
 図12に、様々な階調データに対する仮想データの発生過程を示す。241は階調データ、242は仮想データ、243は階調データのバイナリ表現、244は仮想データのバイナリ表現、245は演算結果(図10の225)、246はNeを示す。243及び244のバイナリ表現を見ればわかるように、各ビットの1(又は0)の個数の和が常に偶数になるように仮想データが生成されている。また、階調データ3、2、1、0に対応するNeは、各々、常に36、28、20、12になっており、再現性がある。
 また図12に示すように演算結果245は常に4の倍数になっている。したがって、選択期間の時分割数が(N−1)×L=12である必要は必ずしもなく、12/4=3でもよいことがわかる。即ちL=4の場合、選択期間の時分割数は(N−1)×L/4=N−1でよいことになる。このように時分割数を4で除することは、図9の計算式の分母であるLを4×Lにすることに相当する。選択期間の時分割数を減らすことで、PWMに使用する刻み用クロックの周波数を低くできるようになる。これにより装置の低消費電力化、低コスト化を図ることができる。なお図9の計算式の分母を4×Lにしなかった理由は、図5の比較例との比較を説明しやすくするためである。
 4.波形例
 図13に、本実施形態により3ライン同時選択で4階調の表示を行った場合のセグメント波形、コモン波形の例を示す。521はコモン、522はセグメントを示す。556は各画素の階調データが0、1、2である表示パターンを、557は各画素の階調データが3、1、3である表示パターンを示す。523は各フィールドについての計算式の結果を示す。540はセグメントの電圧レベル、541はコモンの電圧レベルを示す。542、543、552の細線はコモン波形、544の太線はセグメント波形を示す。
 本実施形態では、選択期間の時分割数は(N−1)=3となる。液晶のONに寄与する期間の合計に相当するNeの計算結果を図13の各波形の右側に示す。例えば図13の547、548、554に示すように、1行目、2行目、3行目の波形では、Ne=12、20、28になる。即ち階調が0、1、2となる1行目、2行目、3行目の波形では、12、20、28分割単位が液晶のONに寄与する。
 図13から明らかなように、各画素の階調データの大きさに応じてNeが変化している。例えば階調3(黒丸)の時のNeは36であり、これは階調0(白丸の時)の時のNeである12よりも大きくなっている。また同一階調の画素においては、表示パターンに依存せずに常に同一のNeを得られる。例えば、図13の556に示す表示パターンでも557に示す表示パターンでも、階調1の時のNeは常に20になる。
 5.仮想データ発生回路
 図14に仮想データ発生回路の構成例を示し、図15に、この仮想データ発生回路の動作を説明するためのタイミング波形を示す。説明を簡単にするために図14では1ビット分の回路構成のみを示している。251は階調データを保持するメモリ、254は遅延回路、255はAND回路、256はリセット付きのトグルフリップフロップ(以下TFR)である。また253はメモリ読み出し信号、252はメモリ出力信号、259は遅延回路の出力信号、257はTFRのリセット信号、260はAND回路の出力信号、258はTFR256の出力信号(仮想データ)である。
 リセット信号257は、TFR256をイニシャライズする信号であり、1フィールド毎にアクティブになる。このようにすることで、直交関数による行列演算の開始前にTFR256を必ずイニシャライズできるようになる。なおフィールドとは、液晶への1回のセグメント電圧印加時間を表す。3MLS+仮想データの駆動方法では4回のフィールドに分けて液晶にセグメント電圧を印加することで階調表示を実現する。
 メモリ読み出し信号253により、1フィールドのなかで3つの階調データがメモリ251から読み出される。メモリ出力信号252は、メモリ読み出し信号253に同期して出力される。遅延回路251の出力信号259は、メモリ読み出し信号253の立ち上がりエッジから所与の期間遅れて出力されるパルス信号である。この遅れは、素子遅延又はクロックを用いて実現できる。AND回路255の出力信号260は、安定状態にあるメモリ出力信号252と遅延回路254からの出力信号259とのANDをとることにより生成される。AND回路255の出力信号260は、メモリ出力信号252が1(Highレベル)の場合にはパルス信号になり、メモリ出力信号252が0(Lowレベル)の場合には0に固定される。したがって、TFR256の出力信号258は、メモリ出力信号252が1の時にはトグルし、0の時はトグルしないようになる。したがって、メモリ出力信号252が1となる回数が1回又は3回であればTFR256の出力は1になり、Hとなる回数が0回又は2回であれば0になる。いいかえれば、メモリ出力の1の個数が奇数の場合にTFR256の出力は1になり、偶数の場合に0になる。したがって、TFR256の出力の1の個数とメモリ251の出力の1の個数の和を偶数にすることができる。したがって、このTFR256の出力を仮想データにすることができる。
 6.計算式の簡略化
 次に、L(同時選択数+仮想データ数)、N(階調数)を固定し、図9の計算式を簡略化する手法について図16を用いて説明する。以下、具体的にLを4(同時選択数3+仮想データ1)に、Nを64(64階調)に固定した場合について説明する。
 図16において、D1、D2、D3は、各々、選択されたコモンの1行目〜3行目の階調データを表す。K4は仮想データを表す。F1〜F4は直交関数の行要素を表す。例えば第1フィールドでは、F1〜F4として図10の直交関数223の1行目の−1、1、1、1が計算に使用される。第2フィールドではF1〜F4として2行目の1、1、−1、1が使用され、第3フィールドでは3行目の1、−1、1、1が使用され、第4フィールドでは4行目の1、1、1、−1が使用される。
 直交関数の要素(F1〜F4)は1か−1の値しかとらない。したがって、D1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4の項は、階調データどうしを加算又は減算した値になる。また(F1+F2+F3+F4)の項は+2か0か−2になる(ほとんどの場合、0にはならない)。そして、(F1+F2+F3+F4)が+2の場合には、−63×(F1+F2+F3+F4)+126の項(直交関数の行の要素の総和に応じた定数)は0になる。したがって、この場合に簡略化により得られる計算式は図16に示すように2(D1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4)になる。一方、(F1+F2+F3+F4)が−2の場合には、−63×(F1+F2+F3+F4)+126の項は252になる。したがって、この場合に簡略化により得られる計算式は2{(D1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4)+126}になる。
 以上のような簡略化により得られる計算式の値は必ず4の倍数になる。したがって下位2ビットのデータを切り捨ててPWM用のデータとすることが可能になる。
 なお以上ではL=4、N=64に固定した場合について説明した。しかしながら、直交関数の行の要素の総和(S=F1+F2+F3+F4)に応じた定数である−63×(F1+F2+F3+F4)+126の項は、より一般的には、−(N−1)×S+(N−1)×L/2と表すことができる。
 7.セグメントドライバ
 図17に、図16で簡略化された計算式にしたがった演算を実現できるセグメントドライバのブロック図を示す。このセグメントドライバは6ライン分の階調データを記憶するメモリを内蔵する。なお説明を簡略化するために出力1ビット分に対応するブロック図のみを示す。
 ラッチ71は、階調データをメモリ72に書き込むためのデータ取り込み回路としての機能とラインラッチとしての機能を有する。ラッチ71には、階調データ取り込み用のクロックとなるCK85、階調データであるDATA86、ラッチパルスであるLP87が入力される。メモリ72は、6ライン分の階調データを記憶するものである。仮想データ発生回路70は階調データに基づいて仮想データを発生するものであり、例えば図14に示すような構成のものを採用できる。アドレス制御回路73は、メモリ72、仮想データ発生回路70及び定数ROM74のアドレスを制御する。定数ROM74は、定数0及び定数126を記憶するROMである。
 加減算制御回路75は、加算を行うか減算を行うかを制御するものであり、入力される直交関数に基づいて1又は0を出力する。この例では直交関数の要素が−1の場合に1を、直交関数の要素が1の場合に0を出力する。直交関数行加算回路76は、直交関数のF1〜F4の加算結果である(F1+F2+F3+F4)を出力するものであり、加算結果が2の時に1を、加算結果が−2の時0を出力する。通常、直交関数の各要素は固定値であるため、加減算制御回路75及び直交関数行加算回路76はデコーダで構成できる。
 正転・反転回路77は、入力信号を反転又は正転するものであり、加減算制御回路75の出力が1の場合(直交関数の要素が−1の場合)に入力信号を反転する。加算回路78は8ビットの加算演算を行うものであり、正転・反転回路77及び8ビットのラッチ79(リセット付きフリップフロップで構成)の出力を入力とし、ラッチ79に加算結果を出力する。ラッチ79には、タイミング発生回路81からのリセット信号96及びクロック91が入力される。タイミング発生回路81は、CK85、LP87及び初期化信号であるRES88に基づいて種々のタイミング信号を生成し、73、76、75などの各ブロックに出力する。ラッチ80は、最終的な演算結果を保持するものであり、LP81により制御される。
 PWM変換回路82は、ラッチ80に保持された演算結果に基づいてPWM変換を行うものである。PWM変換回路82は既存のPWMドライバの構成で実現できるため詳しい説明は省略する。PWM制御回路83は、PWM変換回路82を制御するものであり、パルス幅刻み用のクロックであるGCP89が入力される。
 図18に、図17のセグメントドライバの動作を説明するためのタイミング波形を示す。RES88は、表示画面の1行目のデータが入力される前にアクティブになっている。LP87は、1水平期間(1H)毎にアクティブになる。図18では、LP87は、RES88がアクティブになった直後にアクティブになっているが、1行目のデータが揃ってからアクティブになるようにしてもよい。CK85は、階調データを取り込むためのクロックであるが、簡単のため詳細な波形を省略している。通常、消費電流を少なくするためにセグメントドライバをイネーブルチェーンで接続して動作させる。したがって、CK85は、各セグメントドライバがデータを入力している期間にのみ動作し、それ以外の期間では所与のレベルに固定される。なおイネーブルチェーンを実現する回路は既存の技術であるため図17では省略している。
 図18において、93はメモリ72の出力信号、94は仮想データ発生回路70の出力信号、95は定数ROM74の出力信号である。CK85は、残りの3ライン分のメモリに、次に表示する3ライン分のデータを取り込むためにラッチ71に入力される。タイミング発生回路81が出力するクロック91はこのCK85を分周することで得られる。クロック91は、図17のラッチ79のクロック端子に入力される。92はラッチ79の出力信号である。
 演算結果である出力信号92の生成過程について説明する。まず図17のラッチ79に入力されるリセット信号96が、RES88又はLP87に同期してアクティブになり、ラッチ79の記憶内容がクリアされる。これによりラッチ79の出力信号92が0になる。次に、タイミング発生回路81からのタイミング信号に基づき動作するアドレス制御回路73の制御により、メモリ72が1行目のデータD1を出力する。同時に、タイミング発生回路81からのタイミング信号に基づき動作する加減算制御回路75が、1番目の演算が加算か減算かを決定する。減算の場合には、加減算制御回路75は、正転・反転回路77にメモリ72からの出力を反転させると共に、加算回路78のキャリー入力CAに1を出力する。これによりデータが1の補数に変換される。加算回路78は、ラッチ79の出力(0)と正転・反転回路77の出力とキャリー入力CAの状態とに基づき加算演算を行い、その結果がラッチ79に保持される。これにより、図18に示すように、クロック91の第1番目の立ち下がりタイミングでラッチ79がD1×F1(D1又は−D1)を出力することになる。
 次にアドレス制御回路73の制御により、メモリ72が2行目のデータD2を出力する。そして上記と同様の処理が行われ、ラッチ79は、クロック91の2番目の立ち下がりタイミングでD1×F1+D2×F2を出力する。同様にして、ラッチ79は、クロック91の3番目の立ち下がりタイミングでD1×F1+D2×F2+D3×F3を出力する。
 クロック91の4番目の立ち下がりタイミングでは、メモリ72からのデータではなく仮想データ発生回路70からの仮想データK4が使用され、ラッチ79は、D1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4を出力する。
 次に、アドレス制御回路73の制御により、定数ROM74が0又は126を出力する。ここで0、126のどちらを出力するかは、直交関数行加算回路76からの出力に基づきアドレス制御回路73が決定する。即ちF1+F2+F3+F4=2の場合には定数ROM74は0を出力し、F1+F2+F3+F4=−2の場合には126を出力する(図16参照)。定数ROM74の出力は正転・反転回路77で反転されることなく正転・反転回路77を介して加算回路78に入力される。したがって、クロック92の5番目の立ち下がりタイミングでは、ラッチ79は、D1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4+0又は+126を出力することになる。
 ここで、ラッチ79の出力を1ビット桁上げすれば、図16に示すような2×(D1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4+0又は+126)を得ることができる。しかしながら図16の計算式の最終演算結果は前述のように必ず4の倍数になり、最終演算結果の下位2ビットは0になる。したがって、ラッチ79の出力の桁上げは不要で、逆にラッチ79の出力の桁下げ(下位1ビットを削除)を行う。そしてLP87に基づきラッチ80にデータを保持する。そして、PWM変換回路82が、ラッチ80からのデータにしたがったパルス幅変調を行う。
 以上のようにして、図16の計算式にしたがったパルス幅変調が可能になる。
 8.表示コントローラ
 図19に、図16で簡略化された計算式にしたがった演算を実現できる表示コントローラのブロック図を示す。この表示コントローラの外部には、6ライン分以上の階調データを保持するメモリ427〜432が設けられる。表示コントローラは、メモリに記憶されるデータの中の3ライン分のデータをPWM用のデータに変換するために読み出す。それと同時に、メモリの残りの3ライン分の記憶領域に、TFT等の駆動のために開発された従来表示コントローラからの階調データを書き込む(図24参照)。
 さて本実施形態の駆動方法では、3ライン分の表示を行うために4ライン分のデータをセグメントドライバに出力する必要がある。このため、3ライン分の階調データをメモリに書き込むサイクルを4等分したサイクルで、セグメントドライバにPWM用のデータを出力するようにしている。より具体的には、図20に示すように、メモリへのデータ書き込みサイクル時間をT1、セグメントドライバへのデータ出力サイクル時間をT2とした場合に、T2=(LM/L)×T1=(3/4)×T1(LMは同時選択ライン数、LはLMに仮想データ数を加算した数)となるようにしている。このようにすることで、仮想データを用いた3MLS駆動を実現できるようになる。
 なお、より一般的には、T2=m×(LM/L)×T1(mは正の整数)となる。例えば後述するように上画面用のデータと下画面用のデータを別々に生成、出力する場合には、T2=2×(LM/L)×T1になる。
 また64階調の場合、階調データは6ビット×RGBで18ビットのデータになる。しかしながら、通常、メモリは16ビットのデータしか扱えない。そこで、表示コントローラは、6ビットのR、G、Bデータの各々を、5、6、5ビットのデータに変換し、メモリに書き込まれるデータが16ビットになるようにしている。
 図19に示すように、外部には6個のメモリ427〜432が設けられる。そしてメモリ427〜429は上半画面用に、メモリ430〜432は下半画面用に使用される。メモリ427及び430、428及び431、429及び432は、各々、ライン1用、ライン2用、ライン3用のメモリとして使用される。そして本実施形態の表示コントローラは、従来表示コントローラから送られてくる階調データを各メモリに振り分けて書き込む。そして階調データを振り分けると同時に、6ビットのR、G、Bデータの各々を5、6、5ビットのデータに変換する処理を行う。表示コントローラは、メモリから階調データを読み込む際には各々のメモリから同時に3ドット(同時選択される3ラインに対応する同一列の階調データ)分の階調データを取り込む。そして瞬時に仮想データを発生させ、一括演算を行いPWM用データを生成し、外部のセグメントドライバに出力する。
 図19において、411は階調データ、412は階調データ取り込み回路、413、410はメモリ書き込み回路、414はメモリ読み出し回路である。415は仮想データ発生回路で、各ドットの階調データがバイナリ表現で(100)、(010)、(001)、(111)の場合に1を発生させるゲート回路で構成できる。416は正転・反転回路、417、418、419、420、421は加算回路である。433は直交関数を外部に出力する出力回路、422は直交関数発生回路、423はF1+F2+F3+F4の加算を行う直交関数行加算回路、424は定数発生回路である。425はラッチ、426はPWM用データを外部のセグメントドライバに出力する出力回路である。
 427、428、429、430、431、432は外部に設けられるメモリである。これらのメモリは2ポートのメモリであり、読み出しの最中に別のアドレスに書き込み動作を行うことができる。メモリのアドレスライン、データライン、リードライン、ライトラインなどは簡単化のため省略してある。メモリ427、430は、同時選択されるラインの中の1ライン目の階調データを保持し、メモリ428、431は2ライン目の階調データを保持し、メモリ429、432は3ライン目の階調データを保持する。
 なおR、G、Bのデータを一括で処理し、上画面用のデータと下画面用のデータとを別々に生成、出力するために、表示コントローラは、434、435、437、436、438、439の6つの演算回路を含む。ここで演算回路434、435、437は上画面用であり、その各々がR用、G用、B用になっている。また演算回路436、438、439は下画面用であり、その各々がR用、G用、B用になっている。
 次に表示コントローラの動作について説明する。階調データ取り込み回路412は、階調データ411を取り込み、同時に18ビットのデータを16ビットのデータに変換する。即ちR、Bのデータの下位ビットを削除する。次にメモリ書き込み回路413、410が階調データをメモリに書き込む。その際、同時選択ラインのライン1、ライン2、ライン3用のメモリに振り分けて階調データを書き込む。メモリ読み出し回路414は、ライン1、ライン2、ライン3用の階調データを一括で読み出す。仮想データ発生回路415は階調データに基づき仮想データを発生させる。直交関数発生回路422はF1〜F4を発生させる。正転・反転回路416は、F1〜F4の値が1ならば入力データを正転し、−1ならば反転する。加算回路417〜421のキャリー入力CAには、F1〜F4の値が1ならば0が入力され、−1ならば1が入力される。このように、正転・反転回路416と加算回路417〜420のキャリー入力CAとをF1〜F4に基づき制御することで、加算回路417〜420に加算を行わせるか減算を行わせるかを制御できるようになる。
 加算回路417はD1×F1を出力する。加算回路418は、加算回路417の出力D1×F1とD2×F2を加算し、D1×F1+D2×F2を出力する。同様に加算回路419はD1×F1+D2×F2+D3×F3を出力し、加算回路420はD1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4を出力する。加算回路421は、加算回路420の出力と定数発生回路424の出力(0又は126)を加算する。したがって加算回路421の出力はD1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4+0又は+126になる。ラッチ425は加算回路421の出力をラッチする。ここで加算回路421の出力を1ビットだけ桁上げをすれば、図16に示すような2×(D1×F1+D2×F2+D3×F3+K4×F4+0又は+126)を得ることができる。しかしながら図16の計算式の最終演算結果は前述のように必ず4の倍数になり、最終演算結果の下位2ビットは0になる。したがって、加算回路421の出力の桁上げは不要で、逆に、加算回路421の出力の桁下げ(下位1ビットを削除)を行い、ラッチ425に格納する。そして出力回路426が、外部のセグメントドライバに対して6ビットのPWM用データを出力する。
 階調データの取り込み周波数は、XGAクラス(1024×768ドット)の液晶パネルでフレーム周波数を60Hzとした場合に、1024×768×60=47.2MHz程度(RGB並列)になる。したがって、外部のメモリへの書き込みサイクル時間は20ns程度になる。図19の表示コントローラは、上画面用のデータと下画面用のデータとを別々に生成、出力しているため、40nsのサイクル時間でデータを読み出せばよいことになる。しかしながら、3ラインの処理の間に4回データを出力する必要があるため、結局、40ns×3/4=30nsのサイクル時間でデータを読み出すことになる。いずれにしても、図19の表示コントローラを利用する場合には高速なメモリが必要となる。
 図21に、階調データを取り込むタイミング、セグメントドライバにデータを出力するタイミング及びコモンドライバの走査タイミングを説明するためのタイミング波形を示す。440は1ライン分の階調データを取り込むための水平同期信号、441は入力される階調データである。442、443、444はメモリへの書き込みタイミング、445は外部のセグメントドライバへのデータ出力タイミング、447はコモンドライバの走査タイミング、448はコモンドライバへのデータの出力タイミングを示す。
 階調データ441は、各ラインに対応したメモリに、442、443、444に示すタイミングで書き込まれる。6ライン分の階調データを書き込む時間を4等分した時間で、1ライン分のデータがセグメントドライバに出力される。即ち図19の表示コントローラでは、上画面用のセグメントドライバ(図23のG1参照)へ供給するPWM用データの生成及び出力は演算回路434、435、437が行い、下画面用のセグメントドライバ(図23のG2参照)へ供給するPWM用データの生成及び出力は演算回路436、438、439が行う。したがって図21では、メモリへのデータ書き込みサイクル時間をT1、セグメントドライバへのデータ出力サイクル時間をT2とした場合に、T2=2×(LM/L)×T1=6/4×T1となる。
 コモンドライバの出力信号448のレベルは、直交関数F1、F2、F3に基づき決定される。コモンドライバの出力信号448の選択期間以外でのレベルは、セグメントドライバの出力の中心電圧となる。表示OFF時にはセグメントドライバの出力も非選択レベルの電圧になる。コモンドライバに入力されるF1、F2、F3は、図19の表示コントローラが含む出力回路433が出力するが、出力回路433は、現在計算中の値を出力するのではなく、1フィールド前の計算に使用した値を出力する。これは、直交関数発生回路422からのF1、F2、F3を出力回路433が内蔵するフリップフロップのデータ端子に入力し、フリップフロップのクロック端子に走査タイミング信号を入力し、フリップフロップの出力をコモンドライバに送出することで実現できる。
 9.コモンドライバ
 図22に、本実施形態のコモンドライバのブロック図を示す。161は直交関数入力回路、162は走査タイミング信号入力回路である。また160はシフトレジスタ、164は出力イネーブル回路、165はレベルシフタ、163はドライバ、166はドライバ出力である。また169は直交関数信号F1〜F3、167はスタート信号、168は走査タイミング信号である。
 シフトレジスタ160は複数のフリップフロップにより構成され、各フリップフロップが3つのドライバ出力166に対応するようになっている。そしてシフトレジスタ160は、スタート信号167が入力されると、走査タイミング信号に基づいてデータのシフトを開始する。出力イネーブル回路164は、このシフトレジスタ160の出力に基づき、F1、F2、F3の値に応じた電圧レベルをドライバ163に出力させるか否かを決定する。ドライバ出力166は、シフトレジスタ160の出力が0の場合には中間電圧になり、1の場合にはF1、F2、F3の値に応じた電圧レベルになる。即ち、ドライバ出力166は3ライン毎にF1、F2、F3の値に応じた電圧レベルになる。直交関数信号169(F1、F2、F3)、スタート信号167、走査タイミング信号168等は表示コントローラから入力される。
 10.液晶表示装置
 図23に、図17のセグメントドライバと図22のコモンドライバを含む液晶表示装置のブロック図を示す。セグメントドライバ171は液晶パネル173の上下に配置されている。コモンドライバ172は液晶パネル173の左側に配置されている。セグメントドライバ171、コモンドライバ172はTCP(テープキャリアパッケージ)に実装され、液晶パネル173に張り付けられる。174は電源回路、175はタイミング信号発生用のゲートアレイIC、176は従来表示コントローラである。ゲートアレイIC175は、セグメントドライバ171のタイミング信号(階調データの入力タイミングに対して4/3倍の周波数の走査タイミング信号を発生させる)、グレースケールパルス発生用クロック、コモンドライバの走査タイミング信号、スタート信号、F1、F2、F3信号などを出力する。ゲートアレイICの詳細な説明は省略する。
 本実施形態によれば、TFT液晶パネル用の18ビット(RGB各6ビット)の階調データを、従来表示コントローラ176の出力として、直接セグメントドライバ171に入力することが可能になる。したがって、この場合には、図19の表示コントローラや、外部メモリが不要になる。
 図24に、図19の表示コントローラ、図22のコモンドライバ、従来セグメントドライバを含む液晶表示装置のブロック図を示す。181は従来のPWM変換可能なセグメントドライバである。セグメントドライバ181は液晶パネル183の上下に配置されている。コモンドライバ182は液晶パネル183の左側に配置されている。セグメントドライバ181、コモンドライバ182はTCPに実装され、液晶パネル183に張り付けられる。184は電源回路、185は図19の表示コントローラ、186は階調データを記憶するメモリ、187は従来表示コントローラである。
 さて、図23の液晶表示装置は図24の液晶表示装置に比べて回路規模が大きくなる。図23ではセグメントドライバ171がメモリを内蔵する必要があるからである。そして図25(A)に示すような完全分散又は図25(B)に示す半分散でMLS駆動を行った場合、セグメントドライバ171は、1画面分又は半画面分のデータを記憶するメモリを内蔵する必要がある。セグメントドライバの出力数を240とし、XGAの大きさの画面(1024×768ドット)で64階調(6ビット)の完全分散駆動を行うとすると、各セグメントドライバは、1.1Mビット(240×6×768)のメモリを内蔵する必要がある。現在のプロセス技術では、これだけのメモリをセグメントドライバに内蔵すると、セグメントドライバのチップサイズが大きくなり高価な物になってしまう。またセグメントドライバを液晶パネルの上下に13個(3×1024/240)使用し合計で26個使用する液晶表示装置では、コスト的に現実的でない。したがって、完全分散や半分散でMLS駆動を行い、大きなメモリ容量を必要とする場合には、図23のシステム構成よりも図24のシステム構成の方が有利になる。
 ここで完全分散駆動では、図25(A)に模式的に示すように、1フィールド(1f)〜4フィールド(4f)のデータによる駆動を1フレームの中で分けて行う。例えば完全分散駆動の場合、1フィールド目のデータで画面の上から下まで駆動したあと、2フィールド目のデータで画面の上から下まで駆動し、これを4フィールド目まで続ける。また半分散駆動では、図25(B)に模式的に示すように、上画面、下画面の各々で完全分散駆動を行う。また少し分散駆動では、図26(A)に模式的に示すように、3MLSの場合に6ラインの中の上の3ラインと下の3ラインを交互に駆動する。また非分散駆動では、図26(B)に模式的に示すように、初めの3ラインで1フィールド〜4フィールドのデータによる駆動を連続して行い、次の3ラインでもまた1フィールド〜4フィールドのデータによる駆動を連続して行う。
 図23のシステム構成は、どちらかといえば非分散及び少し分散駆動に有利である。一方、図24のシステム構成は、完全分散及び半分散駆動に有利である。但し、将来、半導体プロセス技術の微細化が更に進行し、低コストで超高集積のICが製造できるようになった場合には、図23のシステム構成でも完全分散及び半分散駆動を実現できる。
 11.ON/OFF比
 図27に本実施形態の駆動方法のON/OFF比を表す計算式を示す。計算式の中の(n×4/3−1)の項は、非選択期間において液晶に加わる実効値を表すものである。ここでn×4/3となっているのは、3ラインの表示を行うのに、セグメントデータが4回変化しているためである。
 図28に、図8のグラフに本実施形態の駆動方法でのON/OFF比の特性を追加したグラフを示す。ここで206が、3MLS+仮想データで駆動を行う本実施形態の駆動方法の特性である。
 本実施形態によれば、図5の比較例で1.034であったON/OFF比を、1.057にまで向上できる。通常マルチプレクサ駆動やレベル変化による4MLS駆動のON/OFF比1.067と比べると劣るが、充分使用に耐えうるレベルになっている。コントラストは、通常マルチプレクス駆動で31.7であり、比較例(完全分散)で10.8であったものが、本実施形態の駆動方法(完全分散)では35.9にまで向上した。従来のレベル変化による4MLS駆動(完全分散)の場合にはコントラストは41であり、これに比べると本実施形態により得られるコントラストは約14%だけ低下している。しかしながら、応答速度の速い液晶を使用した場合、レベル変化の分散駆動では、フレーム間引き法やディザ法でしか階調表示を実現できない。そしてフレーム間引き法には、フリッカーが生じやすいという問題がある。またディザ法では面積計算が必要になり、また高精細な表示を実現できない。またレベル変化とPWMを組み合わせた駆動方法では、クロストークが大きすぎ、使用許容レベルではない。これに対して、本実施形態の駆動法では、PWMであるためフリッカが発生しない。したがって、ちらつきの無い目に優しい高精細な表示が可能となる。
 以上説明した通り、本実施形態は以下の効果を奏する。
 従来は、(同時選択数+1)個の電圧レベルが必要であったMLS駆動法において、2値の電圧レベルのみでPWM駆動が可能になる。このため、MLS駆動法で従来の階調表示を行う場合に比較して、波形の変化回数、変化方向及び変化量を表示パターンに依存することなく常に同一にできる。したがって、波形歪みの回数を減らすことができるし、波形の変化の向きも明らかになる。したがって、PWMにおけるパルス刻み位置を例えばフレーム毎に前後に変化させノイズを相殺する手法を採用できるようになる。こうすることクロストークも低減できるようになる。また電圧レベルの数が2個でよいため、電源回路の部品削減も実現でき、セグメントドライバのIC内のドライバトランジスタの個数も削減できる。そして本実施形態によれば、以上のような効果を維持したままON/OFF比の向上、即ちコントラストの向上を図ることができる。これにより、ちらつきの無い目に優しい高精細な表示が可能になる。
 別な言い方をすればSTN液晶パネルにおいて、100ms程度の高速な応答が可能な液晶パネルでクロストークを低減しコントラストの極端な低下を抑制しながら、ジッタ等のないPWMによる階調表示を実現できる。さらに回路構成がシンプルになるため、半導体を集積化しやすくなり、コストダウンを図ること可能になる。
 なお本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
 例えば本実施形態ではメモリが2ライン分の階調データを記憶するとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。またセグメントドライバの演算タイミングを外部信号やGCP信号等で決めてもよい。また画面を2画面に分けないようにしてもよい。また階調データを記憶するメモリを各ライン毎に分けて設けるとして説明したが、これを分けないようにしてもよい。またメモリを表示コントローラ内に設けるようにしてもよい。
 また図9の計算式は、説明をわかりやすくするためのものであり、この計算式に約分等を施して変形させても、4で除したとしても本発明を脱しないことは明白である。また図9の計算式により得られるデータを、例えば図16で簡略化したような他の計算式にしたがった演算により得るようにしてもよい。
 また本発明は、同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データに基づいて仮想データを発生し、階調データ及び仮想データと、走査電極に与える信号を規定する直交関数とに基づいて所与の演算を行い、所与の演算により得られたデータに基づいて、選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調するものであれば、本実施形態での具体例に限らず様々な変形実施が可能である。また仮想データの発生や所与の演算等の処理は、ソフトウェア処理により実現することも可能である。また直交関数は、通常1、−1で表されるが、これに限定されるものではない。例えば、直交関数の各要素を一定の比例倍して演算処理することも可能である。
図1(A)、(B)は、従来例の2ライン同時選択時の演算過程を説明するための図である。 従来例の2ライン同時選択時の駆動波形を示す図である。 従来例の4ライン同時選択時の演算過程を説明するための図である。 従来例の4ライン同時選択時の駆動波形例を示す図である。 比較例の計算式を示す図である。 比較例の4ライン同時選択時の駆動波形を示す図である。 従来例や比較例のON/OFF比の計算式を示す図である。 従来例や比較例のON/OFF比特性を表すグラフを示す図である。 本実施形態の計算式を示す図である。 本実施形態の3ライン同時選択時の演算過程を説明するための図である。 仮想データの発生方法について説明するための図である。 仮想データの発生方法について説明するための図である。 本実施形態の3ライン同時選択時の駆動波形を示す図である。 仮想データ発生回路の構成例を示す図である。 仮想データ発生回路のタイミング波形を示す図である。 計算式の簡略化について説明するための図である。 本実施形態のセグメントドライバのブロック図である。 セグメントドライバのタイミング波形を示す図である。 本実施形態の表示コントローラのブロック図である。 メモリへのデータ書き込みタイミングとセグメントドライバへのデータ出力タイミングとの関係について説明するための図である。 表示コントローラのタイミング波形を示す図である。 本実施形態のコモンドライバのブロック図である。 本実施形態のセグメントドライバ及びコモンドライバを使用した液晶駆動装置のブロック図である。 本実施形態の表示コントローラ及びコモンドライバを使用した液晶駆動装置のブロック図である。 図25(A)、(B)は、完全分散、半分散駆動を模式的に示す図である。 図26(A)、(B)は、少し分散、非分散駆動を模式的に示す図である。 本実施形態の駆動方法のON/OFF比の計算式を示す図である。 従来例、比較例、本実施形態のON/OFF比特性を表すグラフを示す図である。
符号の説明
21 コモン(走査電極)、 22 セグメント(信号電極)、23 計算結果、 40 セグメントの電圧レベル、 41 コモンの電圧レベル、 42、43、50、52 コモン波形、 44 セグメント波形、 45 液晶のONに寄与する期間の分割単位数、 47、48、54、55 液晶のONに寄与する期間の分割単位数の合計、 49 液晶をONさせる電圧、 50 液晶をOFFさせる電圧、 70 仮想データ発生回路、 71 ラッチ、 72 メモリ(RAM)、 73 アドレス制御回路、 74 定数ROM、 75 加減算制御回路、 76 直交関数行加算回路、 77 反転・正転回路、 78 加算回路、 79 ラッチ、 80 ラッチ、 81 タイミング発生回路、 82 PWM変換回路、 83 PWM制御回路、 84 セグメントドライバの出力、 85 CK(クロック)、 86 DATA(階調データ)、 87 LP(ラインラッチ信号)、 88 RES(初期化信号)、 89 GCP(パルス刻み用クロック)、 91 クロック、 92 加算回路の出力信号、 93 メモリの出力信号 94 仮想データ発生回路の出力信号、 95 定数ROMの出力信号、 131 走査電極、 132 信号電極、 133、134 画素、 135 データ、 136 直交関数、 137 行列演算の結果、 141 セグメント出力の電圧レベル、 142 時間軸、 143、144、147、148 フィールド、 145 上位側の区間a、 146 下位側の区間b、 160 シフトレジスタ、 161 直交関数入力回路、 162 走査タイミング信号入力回路、 163 ドライバ(3値)、 164 出力イネーブル回路、 165 レベルシフタ、 166 ドライバ出力、 167 スタート信号、 168 走査タイミング信号、 169 直交関数信号、 171 セグメントドライバ(本実施形態)、 172、182 コモンドライバ(本実施形態)、 173、183 液晶パネル、 174、184 電源回路、 175 ゲートアレイIC、 176、187 従来表示コントローラ、 181 従来のPWM変換可能なセグメントドライバ、 185 表示コントローラ(本実施形態)、 186 メモリ、 191 通常マルチプレクス駆動のON/OFF比の計算式、 192 レベル変化による4MLS駆動のON/OFF比の計算式、 193 比較例のON/OFF比の計算式、 201 バイアス比、 202 ON/OFF比、 203 通常マルチプレクス駆動のON/OFF比の特性、 204 レベル変化による4MLS駆動のON/OFF比の特性、 205 比較例のON/OFF比の特性、 206 本実施形態のON/OFF比の特性、 221、241、301 階調データ、 222、224 計算中間結果、 223 直交関数、 225、245 計算結果、 226、246 Ne(液晶ONに寄与する期間の合計)、 242、304 仮想データ、 243、302 階調データのバイナリ表現、 244、303 仮想データのバイナリ表現、 251 メモリ、 252 メモリ出力信号、 253 メモリ読み出し信号、 254 遅延回路、 255 AND回路、 256 リセット付きトグルフリップフロップ、 257 リセット信号、 258 TFRの出力信号(仮想データ)、 259 遅延回路の出力信号、 260 AND回路の出力信号、 305 上位ビットの1の個数、 306 下位ビットの1の個数、 410 メモリ書き込み回路、 411 階調データ、 412 階調データ取り込み回路、 413 メモリ書き込み回路、 414 メモリ読み出し回路、 415 仮想データ発生回路、 416 正転・反転回路、 417〜421 加算回路、 422 直交関数発生回路、 423 直交関数行加算回路、 424 定数発生回路、 425 ラッチ、 426 出力回路、 427〜432 メモリ、 433 出力回路、 434、435、437 上画面用のR、G、Bの演算回路、 436、438、439 下画面用のR、G、Bの演算回路、 440 従来表示コントローラの送出する水平同期信号、 441 階調データ、 442〜444 メモリへの書き込みタイミング、 445 セグメントドライバへの出力タイミング、 447 表示コントローラが出力する水平同期信号、 448 コモン出力信号

Claims (15)

  1.  複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により、走査電極と信号電極を有する液晶パネルを駆動する駆動方法であって、
     同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データに基づいて仮想データを発生し、
     前記階調データ及び前記仮想データと、走査電極に与える信号を規定する直交関数とに基づいて所与の演算を行い、
     前記所与の演算により得られたデータに基づいて、選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調し、
     前記複数の階調データをバイナリ表現した場合の各ビットについての1及び0のいずれかの個数と、前記仮想データをバイナリ表現した場合の対応する各ビットについての1及び0のいずれかの個数との和が偶数になるように、前記仮想データを発生することを特徴とする液晶パネルの駆動方法。
  2.  請求項1において、
     前記所与の演算により得られるデータが、
     前記階調データ及び前記仮想データを0を中心に対称となるデータに変換し、変換されたデータとI行j列(I、jは正の整数)の直交関数とに基づき行列演算を行い、行列演算の結果を正の整数のみで表されるデータに変換することで得られるデータであることを特徴とする液晶パネルの駆動方法。
  3.  請求項2において、
     前記階調データ及び前記仮想データを0を中心に対称となるデータにする変換が、
     階調数をN、走査電極の同時選択数に仮想データ数を加算した数をLとした場合に、前記階調データ及び前記仮想データを2×L倍し、得られた値から(N−1)×Lを減ずる変換であることを特徴とする液晶パネルの駆動方法。
  4.  請求項2又は3において、
     行列演算の結果を正の整数のみで表されるデータにする変換が、
     階調数をN、走査電極の同時選択数に仮想データ数を加算した数をLとした場合に、行列演算の結果にL×(N−1)×L/2を加算し、得られた結果をLで除する変換であることを特徴とする液晶パネルの駆動方法。
  5.  請求項1乃至4のいずれかにおいて、
     階調数をN、走査電極の同時選択数に仮想データ数を加算した数Lを4とした場合に、パルス幅変調における前記選択期間の時分割数を(N−1)にすることを特徴とする液晶パネルの駆動方法。
  6.  複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により信号電極を駆動するセグメントドライバであって、
     同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データに基づいて仮想データを発生する手段と、
     前記階調データ及び前記仮想データと、走査電極に与える信号を規定する直交関数とに基づいて所与の演算を行う手段と、
     前記所与の演算により得られたデータに基づいて、選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調する手段とを含み、
     前記仮想データを発生する手段が、
     前記複数の階調データをバイナリ表現した場合の各ビットについての1及び0のいずれかの個数と、前記仮想データをバイナリ表現した場合の対応する各ビットについての1及び0のいずれかの個数との和が偶数になるように、前記仮想データを発生することを特徴とするセグメントドライバ。
  7.  請求項6において、
     前記所与の演算により得られるデータが、
     前記階調データ及び前記仮想データを0を中心に対称となるデータに変換し、変換されたデータとI行j列(I、jは正の整数)の直交関数とに基づき行列演算を行い、行列演算の結果を正の整数のみで表されるデータに変換することで得られるデータであることを特徴とするセグメントドライバ。
  8.  請求項6又は7において、
     走査電極の同時選択数をLMとした場合に、LMの2倍以上分のラインの階調データを保持するラインメモリを含むことを特徴とするセグメントドライバ。
  9.  複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により信号電極と走査電極を各々駆動するセグメントドライバとコモンドライバに信号を供給する表示コントローラであって、
     階調データを取り込む手段と、
     走査電極の同時選択数の2倍以上分のラインの階調データを保持可能なラインメモリに、取り込んだ階調データを書き込む手段と、
     前記ラインメモリに書き込まれた階調データを読み出す手段と、
     同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データに基づいて仮想データを発生する手段と、
     前記階調データ及び前記仮想データと、走査電極に与える信号を規定する直交関数とに基づいて所与の演算を行う手段と、
     前記所与の演算により得られたデータを、該データに基づいて選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調するセグメントドライバに供給する手段と、
     直交関数をコモンドライバに供給する手段とを含み、
     前記仮想データを発生する手段が、
     前記複数の階調データをバイナリ表現した場合の各ビットについての1及び0のいずれかの個数と、前記仮想データをバイナリ表現した場合の対応する各ビットについての1及び0のいずれかの個数との和が偶数になるように、前記仮想データを発生することを特徴する表示コントローラ。
  10.  請求項9において、
     前記所与の演算により得られるデータが、
     前記階調データ及び前記仮想データを0を中心に対称となるデータに変換し、変換されたデータとI行j列(I、jは正の整数)の直交関数とに基づき行列演算を行い、行列演算の結果を正の整数のみで表されるデータに変換することで得られるデータであることを特徴とする表示コントローラ。
  11.  請求項9又は10において、
     走査電極の同時選択数をLM、LMに仮想データ数を加算した数をL、前記ラインメモリへの階調データ書き込みサイクル時間をT1、セグメントドライバへのデータ出力サイクル時間をT2とした場合に、T2=m×(LM/L)×T1(mは正の整数)であることを特徴とする表示コントローラ。
  12.  複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により液晶パネルを駆動する液晶表示装置であって、
     走査電極と信号電極を有する液晶パネルと、
     信号電極を駆動する請求項6乃至8のいずれかのセグメントドライバと、
     走査電極を駆動するコマンドライバとを含むことを特徴とする液晶表示装置。
  13.  複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により液晶パネルを駆動する液晶表示装置であって、
     走査電極と信号電極を有する液晶パネルと、
     パルス幅変調により信号電極を駆動するセグメントドライバと、
     走査電極を駆動するコモンドライバと、
     前記セグメントドライバ及び前記コモンドライバに信号を供給する請求項9乃至11のいずれかの表示コントローラとを含むことを特徴とする液晶表示装置。
  14.  所与の演算により得られたデータに基づいて、選択期間に信号電極に与える信号をパルス幅変調し、複数の走査電極を同時選択するマルチライン駆動法により、走査電極と信号電極を有する液晶パネルを駆動する駆動方法であって、
     前記所与の演算により得られたデータが、
     同時選択される複数の走査電極に対応した複数の階調データ及び該複数の階調データに基づく仮想データを0を中心に対称となるデータに変換し、変換されたデータとI行j列(I、jは正の整数)の直交関数とに基づき行列演算を行い、行列演算の結果を正の整数のみで表されるデータに変換することで得られるデータであり、
     前記複数の階調データをバイナリ表現した場合の各ビットについての1及び0のいずれかの個数と、前記仮想データをバイナリ表現した場合の対応する各ビットについての1及び0のいずれかの個数との和が偶数になるように、前記仮想データを発生することを特徴とする液晶パネルの駆動方法。
  15.  請求項14において、
     前記階調データ及び前記仮想データを0を中心に対称となるデータにする変換が、
     階調数をN、走査電極の同時選択数に仮想データ数を加算した数をLとした場合に、前記階調データ及び前記仮想データを2×L倍し、得られた値から(N−1)×Lを減ずる変換であることを特徴とする液晶パネルの駆動方法。
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