JP2004109500A - 画像形成装置及び画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】帯電促進粒子を用いた接触タイプの帯電装置、及び該帯電装置を像担持体の帯電処理手段として使用した画像記録装置において、転写部材の抵抗値変動や、感光体上への付着による画像不良や、耐久に伴う帯電促進粒子やトナー汚れによる転写材汚れ等を改善し、高品位の画像を長期にわたって形成することができる画像形成装置、及び画像記録装置の提供。
【解決手段】被帯電体とニップ部を形成する帯電部材を有し、帯電部材と被帯電体とのニップ部に介在している帯電促進粒子である導電性粒子によって被帯電体の表面を帯電させる帯電装置と、該被帯電体表面上に形成された可視像を転写部材によって転写材に静電転写させる転写装置とを有する画像形成装置であって、転写部材の表面が離型処理されている画像形成装置、及び画像記録装置。
【選択図】 図1
【解決手段】被帯電体とニップ部を形成する帯電部材を有し、帯電部材と被帯電体とのニップ部に介在している帯電促進粒子である導電性粒子によって被帯電体の表面を帯電させる帯電装置と、該被帯電体表面上に形成された可視像を転写部材によって転写材に静電転写させる転写装置とを有する画像形成装置であって、転写部材の表面が離型処理されている画像形成装置、及び画像記録装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に関し、更に詳しくは、被帯電体に接触し、被帯電体表面を帯電する接触タイプの帯電装置を像担持体の帯電処理手段として使用した画像形成装置、及びこれを用いた複写機やプリンタ等の画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、電子写真装置や静電記録装置等の画像記録装置において、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体(被帯電体)を、所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としては、コロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。コロナ帯電器は、非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極等の放電電極と、該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を被帯電体である像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することによって生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面をさらすことで、像担持体面を所定に帯電させるものである。
【0003】
これに対して近時は、特に、中・低速機種の画像記録装置にあっては、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて、低オゾン・低電力等の利点があることから、接触帯電装置が多く提案されており、又、実用化されている。接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して、被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0004】
上記接触帯電の帯電機構には、放電帯電機構と直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより、各々の特性が現れる。即ち、放電帯電では、接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象によって、被帯電体表面が帯電する。この放電帯電機構では、接触帯電部材と被帯電体に、一定の放電閾値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。又、放電帯電の場合は、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども、放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾン等、活性イオンによる弊害は避けられない。
【0005】
一方、直接注入帯電では、接触帯電部材から、被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する。この系は、直接帯電或いは注入帯電、或いは電荷注入帯電とも称される。より詳しくは、半導電性の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり、放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、この系の場合は、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。
【0006】
この直接帯電系は、イオンの発生を伴わないため、先に述べた放電帯電の場合と異なり、放電生成物による弊害は生じない。しかし、直接帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触性が、帯電性に大きく効いてくる。従って、接触帯電部材をより密に構成し、又、被帯電体との速度差を多く持ち、より高い頻度で被帯電体に接触する構成をとる必要がある。以下、具体的な、接触帯電部材毎に特徴を説明する。
【0007】
(ローラ帯電)
接触帯電装置では、接触帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。このローラ帯電における帯電機構は、以下に述べるように、放電帯電が支配的である。ローラ帯電方式に用いる帯電ローラは、一般的に、導電性或いは半導電性のゴム材或いは発泡体を用いて作製される。更に、これらを積層して所望の特性を得たものもある。又、帯電ローラには、被帯電体(以下、感光体と記す)との一定の接触状態を得るために弾性を持たせている。そのため、帯電ローラは、摩擦抵抗が大きく、多くの場合、感光体に従動或いは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下や、接触性の不足や、ローラ状のムラや感光体の付着物による帯電ムラは避けられないため、従来のローラ帯電では、その帯電機構は放電帯電機構が支配的であった。
【0008】
ローラ帯電の場合、凡そ−500Vの放電閾値を過ぎてから帯電が始まる。従って、−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流電圧を印加するか、或いは、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つように、ピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して、感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0009】
より具体的に説明すると、厚さ25μmのOPC感光体に対して帯電ローラを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには、帯電ローラには、(Vd+Vth)という、必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0010】
しかし、DC帯電においては、環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、又、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。又、帯電均一化のためにAC帯電を行なった場合には、更なるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、又、放電による感光体表面の劣化等の問題点が指摘されている。
【0011】
(ファーブラシ帯電)
ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として、導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して、感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。このファーブラシ帯電の場合も、その帯電機構は放電帯電機構が支配的である。
【0012】
ファーブラシ帯電器は、固定タイプとロールタイプが実用化されている。半導電性の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを、電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプのものは、このパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては、100本/mm2程度のものが比較的容易に得られるが、直接帯電により十分均一な帯電を行うには、それでも接触性は不十分であり、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うには、感光体に対し機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要がある。しかし、これは現実的ではない。このため、ファーブラシ帯電においても、上記した固定タイプ、ロールタイプのどちらの場合も、多くは、高い帯電バイアスを印加し、放電現象を用いて帯電を行っている。
【0013】
(磁気ブラシ帯電)
磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として、導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束して、ブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を、被帯電体としての感光体に接触させて、所定の帯電バイアスを印加して、感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。この磁気ブラシ帯電の場合は、その帯電機構は、直接注入帯電が支配的である。
【0014】
磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として、粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一な直接帯電が可能となる。そして、これよって、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能になる。しかしながら、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等、他の弊害もある。
【0015】
(トナーリサイクルプロセス[クリーナレスシステム])
従来の転写方式の画像形成装置においては、転写後の感光体(像担持体)に残存する転写残トナーは、クリーナ(クリーニング装置)によって感光体面から除去されて廃トナーとなる。しかし、この廃トナーは環境保護の面からも出ないことが望ましい。このため、クリーナをなくし、転写後の感光体上の転写残トナーを現像装置によって「現像同時クリーニング」で感光体上から除去し、現像装置に回収・再利用する装置構成にした、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置も出現している。
【0016】
上記した現像同時クリーニングとは、転写後に、感光体上に残留したトナーを次工程以降の現像時、即ち、引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、該潜像の現像時にかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて、次工程以後に再利用されるため、廃トナーをなくし、更に、メンテナンスに手を煩わせることを少なくすることもできる。又、クリーナレスであることで、スペース面での利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになる。
【0017】
トナーリサイクルシステムは、上記のように、転写残トナーを専用のクリーナによって感光体面から除去するのではなく、帯電部を経由させて現像装置に至らせて再度現像プロセスにて利用するものであるため、感光体の帯電手段として接触帯電を用いた場合においては、感光体と接触帯電部材との接触部に絶縁性であるトナーが介在した状態で、如何にして感光体を帯電するかが課題になっている。先に述べたローラ帯電やファーブラシ帯電においては、感光体上の転写残トナーを拡散し、非パターン化するとともに、大きなバイアスを印加し、放電による帯電を用いることが多い。磁気ブラシ帯電においては、接触帯電部材として粉体を用いるため、その粉体である導電性磁性粒子の磁気ブラシ部が感光体に柔軟に接触し、感光体を帯電できる利点がある。しかし、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子の脱落による弊害が大きい。
【0018】
特許文献1等には、感光体表面にあるトラップ準位、又は電荷注入層の導電性粒子等の電荷保持部材に電荷を注入して、接触注入帯電を行なう方法が提案されている。かかる方法は、放電現象を用いないため、帯電に必要とされる電圧は所望する感光体表面電位分のみであり、オゾンの発生もない。更に、AC電圧を印加しないので、帯電音の発生もなく、ローラ帯電方式と比べると、オゾンレス、低電力の優れた帯電方式である。
【0019】
(接触帯電部材に対する粉末塗布)
接触帯電装置について、帯電ムラを防止し、安定した均一帯電を行なうために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。かかる方法では、接触帯電部材(帯電ローラ)が、被帯電体(感光体)に従動回転(速度差駆動なし)するため、コロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は、前述のローラ帯電の場合と同様に、依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためには、DC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するため、放電によるオゾン生成物の発生は、より多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合や、クリーナレスの画像形成装置を長期に使用した場合において、オゾン生成物による画像流れ、等の弊害が現れ易い。
【0020】
又、特許文献3には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちに生じる、トナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着することによる帯電阻害を防止するために、現像剤中に、少なくとも顕画粒子と、該顕画粒子よりも小さい平均粒径を有する導電性粒子とを含有させることが開示されている。しかし、この接触帯電は、放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。このような背景から、帯電部材と被帯電体との間に、帯電促進粒子と称する1012Ω・cm以下の抵抗値の微粒子を介して直接注入帯電を行っている。
【0021】
この帯電促進粒子の役割の第1は、帯電部材と被帯電体表面の摩擦力の低減にある。前述した帯電ローラ等、被帯電体との摩擦力の大きな帯電部材の場合は、帯電部材と被帯電体の周速差を設けることができず、十分な接触機会を得ることができなかった。しかしながら、帯電促進粒子を介在させることにより、前述した帯電ローラと被帯電体の摩擦力を下げ、周速差を持たせることが可能になる。又、第2に、帯電促進粒子は、帯電部材の凹凸を埋め、被帯電体に対する接触性を向上させる。この帯電促進粒子は、帯電動作とともに被帯電体に付着し、帯電部材に存在する帯電促進粒子量は減少し、いずれはなくなっていく。従って、帯電促進粒子は、何らかの方法で帯電器周辺に供給することが必要となる。かかる方法としては、帯電部材に帯電促進粒子を塗布供給する方法、感光ドラムに塗布して帯電部材に供給する方法等がある。その一つとして、上記クリーナレスシステムとの適合を考慮して、帯電促進粒子を現像剤の一部として混合する方法がある。この方法の場合は、現像行程を通して、トナーとともに帯電促進粒子を感光ドラム上に現像し、感光体から帯電部材に帯電促進粒子を供給する。この結果、ドラムクリーナを排除できると同時に、トナーの循環と帯電促進粒子の供給を行える利点を持つ。
【0022】
【特許文献1】
特開平6−3921号公報
【特許文献2】
特公平7−99442号公報
【特許文献3】
特開平5−150539号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この帯電促進粒子を用いた接触タイプの帯電装置においては、帯電促進粒子が転写部材に転移し、転写部材表面が部分的に粒子付着によって抵抗値が変動したり、付着した帯電促進粒子や帯電促進粒子と凝集したトナーや、或いはそれらの付着によってトナーの付着が促進され、堆積したトナーが感光体上に再転移し、感光ドラムの帯電性を低下させ、画像を劣化させたり、又、転写材に付着して定着部材を汚染し、画像の定着不良を引き起こしたりする等、固有の問題があった。
【0024】
従って、本発明の目的は、帯電促進粒子を用いた接触タイプの帯電装置、及び該帯電装置を像担持体の帯電処理手段として使用した画像記録装置において、転写部材の抵抗値変動や、感光体上への付着による画像不良や、耐久に伴う帯電促進粒子やトナー汚れによる転写材汚れ等を改善し、高品位の画像を長期にわたり維持できる画像形成装置及び画像記録装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、(1)被帯電体とニップ部を形成する帯電部材を有し、少なくとも該帯電部材と被帯電体とのニップ部に介在している帯電促進粒子である導電性粒子によって被帯電体の表面を帯電させる帯電装置と、該被帯電体表面上に形成された可視像を転写部材によって転写材に静電転写させる転写装置とを有する画像形成装置であって、上記転写部材の表面が離型処理されていることを特徴とする画像形成装置である。
【0026】
本願発明の好ましい形態としては、下記の(2)〜(9)の構成を有する上記(1)の構成の画像形成装置が挙げられる。
(2)上記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、且つ、その最表面が、電子線照射、電磁波照射及びプラズマ照射のいずれかから選ばれる少なくとも1の手段によって離型処理されている画像形成装置。
(3)上記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、且つ、その最外層が高分子層である画像形成装置。
(4)該高分子層が、少なくともポリカーボネート化合物を含む画像形成装置。
(5)上記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、該転写部材の最外層にシリコーン化合物又はフッ素化合物が含まれる画像形成装置。
(6)上記転写部材が、導電性弾性体を形成材料に含み、且つ、該導電性弾性体が発泡体である画像形成装置。
(7)上記帯電部材の表面が、被帯電体表面に対して速度差を持って移動し、その間に被帯電体表面が帯電される画像形成装置。
(8)上記帯電部材が、エチレン−プロピレン共重合体を主成分とするゴム及び導電材を含有してなる画像形成装置。
(9)被帯電体の最外層に導電性粒子が含有されている画像形成装置。
【0027】
又、本発明の別の実施形態としては、被帯電体と、その周りに配置された、帯電装置、像露光装置、現像装置、転写装置、及び被記録体上の画像を定着する定着装置からなる電子写真方式の画像記録装置において、転写工程後の像担持体表面に残留した現像剤を少なくとも帯電装置に一時担持し、像担持体を通して再度現像装置に回収する像担持体クリーナレス構成を有し、且つ、上記帯電装置が、上記の何れかの帯電装置であることを特徴とする画像記録装置である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来の画像形成方法では、先ず、下記のような問題があることがわかった。
帯電促進粒子やトナーの転写部材への付着要因としては、転写部材の粘着性によって転写ローラ表面に付着した帯電促進粒子やトナー等の粒子が、一旦捕捉されると取れにくくなり、特開昭51−9840号公報や特開平6−242692号公報等に提案されているような、像担持体と転写ローラとの接触部である転写位置に転写材が存在しない時に、転写ローラにトナーと同極性のバイアス電圧を印加し、転写ローラに付着したトナーを像担持体に戻すクリーニング手段では、帯電促進粒子やトナー粒子が十分に戻らず、部材表面に蓄積していく傾向があった。
【0029】
これについて簡単に説明する。先ず、上記のクリーニング手段では、転写位置に転写材が存在しないときに転写ローラにクリーニングバイアス電圧が印加されるが、このとき像担持体と転写ローラとの間の放電による電界によって、転写ローラに付着した一部のトナーは像担持体に戻る。しかし、他のトナーは、放電による空気の電離によって生じたチャージが付着して、通常の帯電極性とは逆極性に帯電し、転写ローラに付着する。
【0030】
次いで、転写位置に転写材が存在する時に転写バイアスを印加すると、クリーニングバイアスの際に逆極性、即ち、転写電圧と同極性に帯電したトナーは、転写電界によってこれが転写ローラから離れる方向の力を受けるので、トナーの飛び散り、裏汚れ等を発生することになる。転写部材の表面が研磨面等凹凸のある面ではその傾向が、特に顕著であり、耐久によって帯電促進粒子やトナー等の粒子が蓄積した後、塊となって感光体上に付着し、帯電部材上に付着したり、潜像形成を妨げたり、再度、転写材上に転写されて画像不良を発生させたりする等の問題を生じる。
【0031】
以上のような問題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、転写部材表面を離型処理し、転写部材からの、付着物の離型を容易とする構成にすれば、上記した問題を解決できることを知見して本発明に至った。
【0032】
<転写部材の構成>
本発明で使用するの転写部材の離型処理方法としては、特に限定されないが、転写部材を少なくとも一層以上から構成し、その最表面を、電子線処理、電磁波処理及びプラズマ処理のいずれかから選ばれる少なくとも1の手段によって離型処理する方法、又、その最外層を高分子層で形成する方法が挙げられる。この場合の高分子層は、少なくともポリカーボネート化合物を含むものとすることが好ましい。更に、転写部材の最外層に、離型性に優れるシリコーン化合物或いはフッ素化合物を含ませる構成とすることが挙げられる。以下、これらについて説明する。
【0033】
転写部材の離型処理方法としては、一般的に、転写部材を形成する材料中に、例えば、シリコーン粒子やフッ素樹脂粒子等の離型粒子を含有させる方法、転写部材の面を、シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤や、反応性のフッ素系界面活性剤等によって表面処理する方法、希塩酸等の塩素系溶剤によって表面洗浄する方法、等が挙げられる。
【0034】
しかしながら、本発明においては、処理の簡易性、効果性の点から、特に、転写部材の最表面を、UV(紫外線)等の電磁波照射、電子線照射、或いはプラズマ照射処理する方法が好ましい。これらの方法によれば、転写部材の形成材料であるゴム表面を酸化したり、転写部材表面に付着している油等の有機物の汚れを直接分解したり、又、紫外線による酸素の分解、更には、これらを照射した場合に反応によって生じるオゾンからの活性酸素が有機物を酸化分解する効果等が挙げられる。これらの反応は、転写部材の最表面を形成している材料が、特に、分子中に炭素間二重結合を含むゴムである場合に有効である。紫外線やプラズマによって水素ラジカルが容易に引き抜かれ、酸素やオゾンと反応し易いためである。又、分子鎖の切断、再結合により、表面を非粘着化する効果もある。更に、上記したUV照射等の方法は、機械的物性や電気的物性等の部材物性への影響が少ないことも、好適な理由である。
【0035】
更に、プラズマ処理をした場合も、上記したと同様に、Ar、N2等の不活性ガスよって生じたラジカルが空気中の酸素と反応して、紫外線を照射した場合と同様な効果が得られる。前記した電磁波照射条件としては、波長は180〜600nmが好ましく、照射強度は10〜100mW/cm2が好ましい。
【0036】
転写部材がローラ形状の場合は、ローラを回転させながら照射すれば、UVや電子線、プラズマを全面に均一照射でき、短時間で効果的な処理ができる。更に、表面を加熱処理によって硬化させることも有効である。上記した方法は、単独でも有効であるが、2つ以上組み合わせても有効である。上記した離型処理によって転写部材表面に高離型性が付与されるため、仮に、トナーや紙粉等が付着したとしても、これらを簡単に除去することができる。
【0037】
本発明においては、転写部材の離型処理方法として、その他に、転写部材の表層に離型層等の機能層を設ける方法も有効である。この様な場合においても、上記したUV等の照射による処理を施すことは有効である。上記離型層としては、非粘着性を有する高分子膜を形成することが好ましい。フッ素化合物が分子鎖中に結合されたものや、フッ素化合物を離型粒子として高分子膜中に分散させることも有効である。離型粒子としては、前記フッ素系化合物に限らず、他の高分子粒子や無機粒子でも有効である。
【0038】
この場合の高分子膜の材質としては、離型効果のあるものであれば特に限定されないが、感光体に摺擦によって電気的影響を与えないものが好ましく、特にポリカーボネート系の化合物が好ましい。又、これら離型粒子を直接転写部材表面に予め付着させてから転写装置に装着しても有効である。特に発泡体を研磨した表面においては、離型粒子の保持性が高く、且つ粒子付着後の表面平滑性からトナー等の付着性を低下させる効果がある。
【0039】
又、転写部材の表面に離型性を付与するために形成する表面層の抵抗は、均一化されている状態が好ましい。これは、表面層を積層させる導電性弾性層が不均一な導電状態であっても、それを表面層によって均一化できるからである。帯電部材が不均一な導電状態の場合、帯電状態が不均一になり良好な画像を得ることが困難である。このような観点から、表面層の抵抗値としては、1×1013〜1×1016Ω・cmとすることが好ましい。1×1013未満では表面層内での過剰導電電流による、下記のような弊害が発生する。例えば、転写ローラに使用した場合、紙等の転写材分離のために除電針等が設置されている。通常、印加される電圧の極性は転写ローラとは逆極性である。従って、表面層の抵抗が低いと放電によって転写ローラから電流が除電針に流れ、電圧損失により転写不良を引き起こす。又、1×1016を超えると絶縁性が高く、転写部材を、帯電するのに必要な導電性が得られない。
【0040】
上記した抵抗域であれば、表面層材料に導電性粒子を分散させてもよい。導電性粒子を分散した効果としては、誘電率の増加がある。特に、直流電圧を印加した場合、チャージアップによる抵抗値の上昇が認められるが、導電性粒子の適度な分散は抵抗値に影響を与えず、誘電率を上昇させることができるため、抵抗値の上昇が抑制される。但し、分散状態が不均一であると導電性粒子の凝集部に電荷が集中し、部分放電による画像不良を起こす。導電性粒子としては適宜なものが用いられるが、その分散性が良好なことから、特にSnO2・Sb2O5等の酸化スズを主成分とする金属酸化物を用いることが好ましい。
【0041】
本発明で使用する好適な転写部材としては、具体的には、芯金上に導電性弾性層が形成されたものを使用することが好ましい。以下、これについて説明する。ここで言う導電性弾性層とは、転写バイアス電圧を、紙やシート等の転写材に印加することができ、且つ均一に転写材に圧接することができる程度の弾性を有するものであればよい。例えば、体積抵抗1×105〜1×1012Ω程度を有するものが好ましい。
【0042】
導電性弾性層を形成する場合に使用される弾性体としては、例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー)、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、SBR(スチレンブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のゴムや、RB(ブタジエン樹脂)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー)等のポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル系樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の高分子材料を用いることができる。
【0043】
これらの弾性材料の使用形態としては、ソリッドでも発泡体でもよいが、特に被帯電体(被転写体)である感光ドラム等とのニップ幅が十分にとれ、良好な転写ができることから、弾性発泡体で形成することが好ましい。又、これらの弾性体を導電化して導電性弾性層とするには、ファーネスブラック、導電性カーボン、サーマルブラック等のカーボンブラックや、グラファイト、TiO2、SnO2、Sb2O5、ZnO等の金属酸化物、Cu、Ag等の金属、或いは、これらを粒子表面に被覆して導電化した粒子等の導電性粒子や、LiClO4、KSCN、NaSCN、LiSCN、LiCF3SO3等のイオン性電解質を、上記した弾性体中に適宜量分散させることによって、所望の抵抗値のものを調整することができる。又、弾性材料のポリマー主鎖中、或いは側鎖に極性を有する分子或いは原子団を導入したり、イオン対を形成する分子又は原子団を導入することによっても導電化することが可能である。
【0044】
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置を更に詳細に説明する。本発明で使用し、本発明を特徴づける転写部材の構成例としては、例えば、ローラ形状の転写部材が挙げられる。図1に例示した転写ローラ6は、金属製等の導電性円柱基材よりなる芯金6aの上に、導電性弾性体層6bが設けられている。ここで、芯金6aは、ステンレス製、鉄製、又は防錆のため表面をニッケル−クロム鍍金等を施した鉄、等によって製造することができる。
【0045】
このような構成を有する転写部材6の製造方法としては、例えば、以下のように形成できる。先ず、導電性弾性体層6bの形成原料は、オープンロール、ニーダー、バンバリー、インターミックス等の混合機を適宜使用して混合される。成形は押出し機でチューブ成形したものを、オーブンや加硫缶、又はUHF等の高周波で、加硫又は加硫発泡し、更にオーブン等の加熱手段で2次加硫したチューブに、前記に挙げたような材料からなる芯金6aを圧入し、必要に応じて表面を研磨する等して外径を整える。この際、芯金6aに導電性弾性体層6bを積層させる場合には、適宜接着剤を使用できる。又、上記した押出しに際して、芯金にゴムを被覆しながら押出す手段も用いられる。又、円筒型金型内に未加硫のゴムと芯金を装着し、加熱加硫又は加硫発泡する手段も用いることができる。本発明においては、更に、導電性弾性体層6b表面を離型処理する。離型処理に際しては、必要に応じて、表面層を形成することができる。
【0046】
導電性弾性体層6bとしては、転写バイアス電圧を紙に印加することができ、且つ均一に紙に圧接することができる程度の電気抵抗を有するものであればよいが、電気抵抗値は、例えば、105Ω〜1012Ωの範囲であることが好ましい。尚、この場合の電気抵抗値は、図4に示すような装置によって測定できる。即ち、図4は、ローラ形状の転写部材として導電性弾性ローラの電気抵抗測定装置の概略図である。図4において、導電性弾性ローラ41は、導電性芯金43の両端部に不図示の押圧手段で加重により円柱状のアルミドラム42に圧接され、アルミドラム42の回転駆動に伴って従動回転する。この状態で、導電性弾性ローラ41の芯金部分43に直流電圧を外部電源を用いて印加し、アルミドラム42に直列に接続した電流計44の読取値より、電気抵抗値を算出する。
【0047】
又、転写部材を構成する導電性弾性体層は、ソリッドでも発泡体でも構わないが、低硬度であることが好ましい。より具体的には、スポンジ硬度(askerC)で20〜80゜とすることが好ましい。asker C硬度が、この範囲内であれば、転写ローラ及び被帯電体とのニップ幅を十分に確保でき、均一な帯電を行うことができる。特に、線画の中央部が抜ける「中抜け」を抑制できる。尚、asker C硬度は、基準規格asker C型SRIS(日本ゴム協会規格)0101に従って作製した試験片を用いて、askerゴム硬度計(高分子計器(株)製)により測定される硬度である。
【0048】
<その他の構成>
以下に、本発明の画像形成装置を構成する転写部材以外の部材について説明する。
1)本発明の画像形成装置においては、感光ドラム1の表面に電荷注入層を設けて、感光体表面の抵抗を調節したものを用いることが好ましい。
負極性の感光体を用いた場合で説明すると、図5は、表面に電荷注入層を設けた感光ドラム1の層構成の模式図である。即ち、該感光ドラム1は、アルミドラム基体(Alドラム基体)11上に、下引き層12、正電荷注入防止層13、電荷発生層14、電荷輸送層15の順に重ねて塗工された一般的な有機感光体ドラムに電荷注入層16を塗布することにより、帯電性能を向上したものである。 電荷注入層16は、バインダーとしての光硬化型のアクリル樹脂に、導電性粒子(導電フィラー)としてのSnO2の超微粒子(径が約0.03μm)、重合開始剤等を混合分散し、塗工後、光硬化法により膜形成したものである。
【0049】
又、加えて四フッ化エチレン樹脂(例えば、テフロン(登録商標))等の滑剤も内包させることにより、ドラム表面の表面エネルギーを抑えて、帯電促進粒子の付着を全般的に抑える効果がある。電荷注入層16として重要な点は、表層の抵抗にある。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体側の抵抗を下げることでより効率よく電荷の授受が行えるようになる。一方、感光体として用いる場合には静電潜像を一定時間保持する必要があるため、電荷注入層16の体積抵抗値としては1×109〜1×1014(Ω・cm)の範囲が適当である。
又、電荷注入層16を用いていない場合でも、例えば電荷輸送層15が上記抵抗範囲にある場合は同等の効果が得られる。更に、表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体等を用いても同様な効果が得られる。
【0050】
2)後述する実施例では、クリーナレスシステムによる構成を示したが、図6のように、ドラムクリーナ9、例えばゴムブレード9aによるクリーニング装置等を配し、帯電ローラ2に直に帯電促進粒子mを塗布する装置8を具備させた装置構成においても、本発明は効果的である。
【0051】
3)接触帯電部材としての帯電ローラ2は、後述する実施例では帯電ローラを用いたが、これに限られるものではない。可撓性の接触帯電部材は弾性帯電ローラの他に、ファーブラシ、フェルト、布等の材質・形状のものも使用可能である。又、これらを積層し、より適切な弾性と導電性を得ることも可能である。
【0052】
4)接触帯電部材2や現像スリーブ5aに対する印加帯電バイアス或いは印加現像バイアスは、直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳してもよい。又、交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。更に、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であってもよい。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0053】
5)静電潜像形成のための画像露光手段としては、実施形態例の様にデジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLED等の他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるもの等、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。像担持体は静電記録誘電体等であってもよい。この場合は、該誘電体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0054】
6)現像手段5は、後述する実施例では一成分磁性トナーによる現像装置を例に説明したが、現像装置構成について特に限定するものではなく任意である。正規現像であってもよい。一般に静電潜像の現像方法は、非磁性トナーについてはブレード等で現像剤担持体上にコーティングし、磁性トナーは磁気力により現像剤担持体上にコーティングして搬送して像担持体に対して非接触状態で現像する方法(一成分非接触現像)と、接触状態で現像する方法(一成分接触現像)と、トナー粒子に対して磁性のキャリアを混合したものを現像剤として用いて磁気力によって現像剤担持体上にコーティングして搬送して像担持体に対して接触状態で現像する方法(二成分接触現像)と、非接触状態で現像する方法(二成分非接触現像)との4種類に大別される。
【0055】
7)転写手段6は、後述する実施例ではローラ形状としたが、これに限らず、ベルト形状等任意である。転写ドラムや転写ベルト等の中間転写体等を用いて、単色画像ばかりでなく、多重転写等により多色やフルカラー画像を形成する画像記録装置であってもよい。
【0056】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
図1は、本発明に従う帯電装置を用いた画像記録装置の概略構成図である。本実施例の画像記録装置は、図1に示した基本構成を有するものであって、転写式電子写真プロセスを利用した、帯電促進粒子を用いた直接注入帯電方式、及びトナーリサイクルプロセス(クリーナレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)である。
【0057】
(1)プリンタの全体的概略構成
1は像担持体であり、本実施例ではφ30mmの回転ドラム型の負極性OPC感光体(ネガ感光体、以下、感光ドラムと記す)である。この感光ドラム1は、矢印の時計方向に、周速度50mm/sec(=プロセススピードPS、印字速度)の一定速度をもって、回転駆動されている。
【0058】
図1中の2は、接触帯電部材としての導電性弾性ローラ(以下、帯電ローラと記す)である。この帯電ローラ2は、芯金2aの両端部を、不図示のローラ軸支持部材(軸受け部材)により回転自由に支持させてある。そして、このローラ軸支持部材を加圧ばねで感光ドラム1方向に加圧付勢することで、帯電ローラ2を感光ドラム1に対して所定の押圧力をもって当接させてある。
【0059】
図1中のnは、感光ドラム1と帯電ローラ2とのニップ部(帯電ニップ部)である。この帯電ローラ2はその外周面に、導電性を有する帯電促進粒子m(帯電促進を目的とした導電性粒子)を保持(担持)しており、感光ドラム1と帯電ローラ2との帯電ニップ部nに、この帯電促進粒子mが介在した状態となっている。
【0060】
帯電ローラ2は、この帯電ニップ部nにおいて、感光ドラム1の回転方向と逆方向(カウンター)に不図示の駆動系で回転駆動され、感光ドラム1面に対して速度差を持って接触している。又、プリンタの画像記録時には、上記で説明した帯電ローラ2に、帯電バイアス印加電源S1から所定の帯電バイアスが印加される。本実施例の装置では、DC電圧−700Vが印加される。これによって、回転感光ドラム1の周面が直接注入帯電方式で所定の極性・電位に、一様に接触帯電処理される。尚、上記の帯電ローラ2、帯電促進粒子m、直接注入帯電については、別項で詳述する。
【0061】
図1中の4は、レーザダイオード・ポリゴンミラー等を含む、レーザビームスキャナ(露光装置)である。このレーザビームスキャナ4は、目的の画像情報の時系列デジタル画像信号に対応して強度変調されたレーザ光Lを出力し、該レーザ光Lで、回転している感光ドラム(回転感光ドラム)1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光によって、目的の画像情報に対応した静電潜像が、回転感光ドラム1の面に形成される。
【0062】
図1中の5は、現像装置(現像器)である。上記のようにして形成された回転感光ドラム1面の静電潜像は、この現像装置5によって、現像部位aにてトナー画像として現像される。現像装置5内には、現像剤(トナー)tに帯電促進粒子mを添加した混合剤(現像前混合剤)t+mが備えられている。
【0063】
図1中の6は、接触転写手段としての半導電性の転写ローラであり、感光ドラム1に所定に圧接させて転写ニップ部bを形成させてある。この転写ニップ部bに、不図示の給紙部から所定のタイミングで被記録体としての転写材Pが給紙され、且つ転写ローラ6に、転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光ドラム1側のトナー像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。このようにして転写ニップ部bに導入された転写材Pは、この転写ニップ部bを挟持搬送されて、この結果、その表面側に、回転感光ドラム1の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0064】
図1中の7は、熱定着方式等の定着装置である。転写ニップ部bに給紙されて感光ドラム1側のトナー画像の転写を受けた転写材Pは、回転感光ドラム1の面から分離されて、この定着装置7に導入されてトナー画像の定着を受け、その後、画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0065】
本実施例のプリンタはクリーナレスであり、転写材Pに対するトナー画像転写後の回転感光ドラム1面に残留した転写残トナーを除去するための専用のクリーナ(クリーニング装置)を有さない。本実施例のプリンタでは、回転感光ドラム1面に残留した転写残トナーは、感光ドラム1の回転に伴って、帯電ニップ部nを経由して現像部位aに至り、現像装置4において、現像同時クリーニングにて回収され、その後、再利用される。
【0066】
(2)帯電ローラ2
本実施例における接触帯電部材としての帯電ローラ2は、芯金2a上にゴム或いは発泡体の2bを形成することで作製される。本実施例では、芯金2a上に、下記のようにして得た発泡体である半導電抵抗層2bを形成したものを用いた。半導電抵抗層2bは、EPDM(EPT9070E、三井化学(株)製)100質量部に対して、酸化亜鉛を5質量部、ステアリン酸を1質量部、カーボンブラック(導電性カーボンHS−500、旭カーボン(株)製)を55質量部、パラフィンオイルを55質量部、加硫促進剤MBT(メルカプトベンゾチアゾール)を2質量部、DPTT(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)を1.5質量部、硫黄を2質量部、更に加硫時に発泡させるために発泡剤として、ADCA(アゾジカルボジアミド)を25質量部添加してなるものである。その後、必要に応じて表面を研磨した。上記のようにして形成したスポンジ(弾性体)は、表面にミクロな凹凸を有し、そのセル径は約100μmである。そして、最終的に、径6mm、長手長さ240mmの芯金2aに、層厚3mmのスポンジ(弾性体)層2bを形成し、外径12mm、スポンジ層の長手長さ220mmの、導電性弾性ローラである帯電ローラ2を作成した。
【0067】
上記のようにして作製した本実施例の装置を構成している帯電ローラ2のローラ抵抗を測定したところ、100kΩであった。ローラ抵抗は、帯電ローラ2の芯金2aに総圧1kg(9.8N)の加重がかかるよう、外径30mmのアルミドラムに帯電ローラ2を圧着した状態で、芯金2aとアルミドラムとの間に100Vを印加して計測した。
【0068】
ここで、接触帯電部材である帯電ローラ2は、電極として機能することが重要である。つまり、弾性を持たせて被帯電体である感光ドラム1との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有する必要がある。その一方で、被帯電体にピンホール等の耐圧欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。本発明者らが検討した結果、被帯電体として電子写真用感光体を用いた場合に、十分な帯電性と耐リーク性を得るためには、帯電ローラとしては、104〜107Ωの抵抗を有するものであることが望ましいことがわかった。
【0069】
又、帯電ローラ2の表面形状は、帯電促進粒子mを保持できるようミクロな凹凸があるものが望ましい。更に、帯電ローラ2の硬度は、硬度が低過ぎると形伏が安定しないために被帯電体との接触牲が悪くなり、高過ぎると被帯電体との間に帯電ニップ部nを確保できないだけでなく、被帯電体表面へのミクロな接触性が悪くなるので、アスカーC硬度で25〜50°が好ましい範囲である。本実施例では、アスカーC硬度で30°のローラを使用した。
【0070】
帯電ローラ2の材質としては、上記した弾性発泡体に限定されず、上記した特性を有する各種弾性体を用いることができる。弾性体の材料としては、本実施例で使用したEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー)に限らず、例えば、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、SBR(スチレンブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のゴムや、RB(ブタジエン樹脂)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー)等のポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル系樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の高分子材料を用いることができる。
【0071】
これらの弾性体を導電化する方法も、本実施例で使用した帯電ローラに限定されるものではない。例えば、ファーネスブラック、導電性カーボン、サーマルブラック等のカーボンブラックや、グラファイト、TiO2、SnO2、Sb2O5、ZnO等の金属酸化物、Cu、Ag等の金属、これらを粒子表面に被覆して導電化した粒子等の導電性粒子や、LiClO4、KSCN、NaSCN、LiSCN、LiCF3SO3等のイオン性電解質を、弾性体中に適宜量分散させることによって、所望の抵抗値に調整することができる。更に、これに限定されずに、例えば、ポリマー主鎖中或いは側鎖に極性を有する分子或いは原子団を導入したり、イオン対を形成する分子又は原子団を導入することによって導電化することも可能である。
【0072】
帯電ローラ2は、被帯電体としての感光ドラム1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設されている。そして、本実施例の装置では、被帯電体と帯電部材とで形成されるニップ部として、幅数mmの帯電ニップ部nを形成させてある。又、本実施例の装置では、該帯電ニップ部nにおいて、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1表面とが互いに逆方向に等速で移動するように、凡そ80rpmで矢印の時計方向に、帯電ローラ2を回転駆動させた。即ち、接触帯電部材としての帯電ローラ2の表面は、被帯電体としての感光ドラム1の面に対して速度差を持たせるようにした。
【0073】
(3)現像装置5
本実施例の装置を構成している現像装置5は、現像剤tとして、一成分磁性トナー(ネガトナー)を用いた反転現像装置である。現像装置5の現像容器5d内には、現像剤(トナー)tと帯電促進粒子mとを含む、現像前混合剤(t+m)が収容されている。
【0074】
図1中の5aは、マグネットロール5bを内包させた、現像剤担持搬送部材としての非磁性回転現像スリーブであり、現像容器5d内に収納されている現像前混合剤(t+m)内のトナーtは、回転現像スリーブ5a上を搬送される過程において、規制ブレード5cで層厚規制及び電荷付与を受ける。回転現像スリーブ5aにコートされた現像前混合剤(t+m)は、現像スリーブ5aの回転によって、感光ドラム1と現像スリーブ5aの対向部である現像部位(現像領域部)aに搬送される。又、現像スリーブ5aには、現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加される。
【0075】
本実施例において現像バイアス電圧は、DC電圧=−500V、AC電圧=ピーク間電圧1600V、周波数1.8kHz、矩形波の、DC・AC重畳電圧とした。これにより、感光ドラム1上に形成されている静電潜像が、トナーtにより反転現像される。以下に、現像前混合剤(t+m)を構成する、現像剤(トナー)tと帯電促進粒子mとについて説明する。
【0076】
a)トナーt:本実施例で使用した現像剤は、一成分磁性トナーtを有するが、該トナーtは、結着樹脂、磁性体粒子、電荷制御剤等の成分を混合して、混練、粉砕、分級の各工程を経て作製される。更に、本実施例で使用する現像前混合剤(t+m)は、上記のようにして得られたトナーtに、帯電促進粒子mや流動化剤等を外添剤として添加して作製される。本実施例で使用したトナーtの平均粒径(D4)は、7μmであった。
【0077】
b)帯電促進粒子m:本実施例では、帯電促進粒子mとして、比抵抗が106Ω・cm、平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛を用いた。そして、帯電促進粒子mとしての酸化亜鉛を、上記で述べた分級工程後に得られるトナーt、100質量部に対して1質量部添加し、混合機により均一に分散させて現像装置内に収容させた。帯電促進粒子mの材料としては、本実施例で使用した酸化亜鉛に限定されず、他の各種金属酸化物等の導電性無機粒子や、これらと有機物との混合物、或いは、これらに表面処理を施したもの等、各種導電性粒子が使用可能である。
【0078】
上記のような材料からなる帯電促進粒子mの粒子抵抗は、粒子を介した電荷の授受が行われるため、比抵抗としては1012Ω・cm以下が必要であるが、より好ましくは1010Ω・cm以下となるように構成することが望ましい。この場合の抵抗値は、錠剤法によって測定し、正規化して求めた。具体的には、底面積2.26cm2の円筒内に凡そ顆粒にする前の促進粒子試料を0.5g入れ、上下電極に15kg(1.48×102N)の加圧を行うと同時に、100Vの電圧を印加して抵抗値を計測し、その後、正規化して比抵抗を算出した。
【0079】
帯電促進粒子mの粒径は、良好な帯電均一性を得るために50μm以下であることが望ましい。本発明では、粒子が凝集体を構成している場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、光学或いは電子顕微鏡による観察から100個以上抽出し、水平方向最大弦長を持って体積粒径分布を算出し、その50%平均粒径をもって決定した。本発明で使用する帯電促進粒子mは、一次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在することもなんら問題はない。即ち、どのような凝集状態であれ、凝集体で帯電促進粒子としての機能が実現できれば、その形態は重要ではない。
【0080】
本発明で使用する帯電促進粒子mは、特に感光体の帯電に用いる場合に、潜像露光の妨げにならないよう、白色又は透明に近いことが望ましい。更に、帯電促進粒子mが、感光ドラム1上から、被記録体Pに一部転写されてしまうことを考えると、特に、カラー記録に用いる場合は、無色或いは白色のものが望ましい。又、画像露光時に粒子による光散乱を防止するためにも、その粒径は、構成画素サイズ以下であることが望ましい。尚、帯電促進粒子mの粒径の下限値としては、粒子として安定に得られるものとして10nmが限界と考えられる。又、帯電促進粒子mは、露光の妨げにならないように非磁性であることが好ましい。
【0081】
(4)帯電促進粒子mの存在量
像担持体としての感光ドラム1と、接触帯電部材としての帯電ローラ2とのニップ部nにおける帯電促進粒子mの介在量は、少な過ぎると、該粒子mによる潤滑効果が十分に得られず、帯電ローラ2と感光ドラム1との摩擦が大きくて、帯電ローラ2を感光ドラム1に速度差を持って回転駆動させることが困難となる。つまり、帯電促進粒子mの介在量が少な過ぎると、駆動トルクが過大となり、無理に回転させると、帯電ローラ2や感光ドラム1の表面が削れてしまう。更に、この場合には、該帯電促進粒子mによる接触機会増加の効果が得られないこともあり、十分な帯電性能が得られない。一方、ニップ部nにおける帯電促進粒子mの介在量が多過ぎると、帯電促進粒子mの帯電ローラ2からの脱落が著しく増加し、作像上に悪影響がでる。
【0082】
本発明者らの検討実験によると、帯電促進粒子mの、帯電部材2と感光ドラム1との間の介在量は、103個/mm2以上とすることが望ましい。103個/mm2より低いと、帯電促進粒子mを介在させたことによる潤滑効果と接触機会増加の効果が、十分には得られず、帯電性能の低下が生じる傾向がある。より望ましくは、介在量を、103〜5×105個/mm2とすることが好ましい。即ち、介在量が5×105個/mm2を超えると、帯電促進粒子mの感光体へ脱落が著しく増加し、粒子自体の光透過性を問わず、感光体への露光量不足を生じる恐れがある。5×105個/mm2以下であれば、脱落する粒子量も低く抑えられるので、帯電促進粒子mが感光体へ脱落することによって生じる悪影響を抑制できる。更に、良好な状態で画像形成が行なわれた場合の帯電後の感光体上に脱落した帯電促進粒子mの存在量を測定したところ、102〜105個/mm2であったことから、作像上弊害がないより好ましい帯電部材2と感光ドラム1との間の介在量としては、105個/mm2以下が望まれる。
【0083】
ここで、上記した帯電部材2と感光ドラム1との間の介在量、及び感光体上の帯電促進粒子mの存在量の測定方法について述べる。先ず、上記介在量としては、帯電ローラと感光体の接触面部を直接測ることが望ましいが、帯電ローラに接触する前に感光体上に存在した粒子の多くは、逆方向に移動しながら接触する帯電ローラに剥ぎ取られることから、本発明では、接触面部に到達する直前の帯電ローラ表面の粒子量をもって該介在量とした。具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で感光体及び帯電ローラの回転を停止し、感光体及び帯電ローラの表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影した。この際、帯電ローラについては、帯電ローラを感光体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて該接触面を1000倍の対物レンズで撮影した。そして、得られたデジタル画像から、個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測した。
【0084】
又、感光体上に脱落した帯電促進粒子mの該存在量についても、感光体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し、上記と同様の処理を行って計測した。更に、上記した介在量の調整は、現像装置5に収容されているトナーtにおける帯電促進粒子mの配合量を適宜に設定することにより行った。一般には、100質量部の現像剤(トナー)tに対して、帯電促進材mが0.01〜20質量部となるように調整することが好ましい。
【0085】
(5)直接注入帯電
上記したような配合量で、現像装置5の現像容器5d内に収容されている現像前混合剤(t+m)の帯電促進粒子mは、現像スリーブ5aによる感光ドラム1上の静電潜像のトナー現像時に、トナーtとともに適当量が感光ドラム1に移行する。感光ドラム1上のトナー画像は、転写ニップ部bにおいて、転写バイアスの影響で転写材P側に引かれて積極的に移行する。しかし、この際に、感光ドラム1上の帯電促進粒子mは、導電性であるので、転写材P側には積極的には移行せず、感光ドラム1上に実質的に付着保持されて残留する。そして、この感光ドラム1面に実質的に付着保持される帯電促進粒子mの存在によって、トナー画像の感光ドラム1側から転写材P側への転写効率が向上する効果が得られる。
【0086】
更に、本実施例の装置は、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置であり、クリーナを用いないため、転写後の感光ドラム1面に残存する転写残トナー及び上記の残存帯電促進粒子mは、感光ドラム1と接触帯電部材である帯電ローラ2の帯電ニップ部nに感光ドラム1の回転でそのまま持ち運ばれ、帯電ローラ2に付着混入することになる。従って、本実施例の装置では、感光ドラム1と帯電ローラ2とのニップ部nに、この帯電促進粒子mが存在した状態で感光ドラム1の接触帯電が行われる。尚、印字初期においては、帯電ローラ2表面に帯電促進粒子mが供給されず帯電が行えないので、帯電ローラ表面には、予め帯電促進粒子mを塗布しておくことが望ましい。
【0087】
この帯電部材2と感光ドラム1との間に介在する帯電促進粒子mの存在によって、帯電ローラ2にトナーtが付着混入した場合でも、帯電ローラ2の感光ドラム1への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材が帯電ローラのような簡易な部材であり、しかも帯電ローラの転写残トナーによる汚染が生じているにもかかわらず、該帯電ローラ2による感光ドラム1への直接注入帯電を行わせることができる。
【0088】
つまり、帯電ローラ2が、帯電促進粒子mを介して密に感光ドラム1に接触して、帯電ローラ2と感光ドラム1とによって形成されているニップ部nに存在する帯電促進粒子mが、感光ドラム1表面を隙間なく摺擦することで、帯電ローラ2による感光ドラム1の帯電は、帯電促進粒子mの存在により放電現象を用いない、安定且つ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来、一般的に用いられているローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、この結果、帯電ローラ2に印加した電圧とほば同等の電位を感光ドラムに与えることができる。
【0089】
又、帯電ローラ2に付着・混入した転写残トナーは、帯電ローラ2から徐々に感光ドラム1上に吐き出されて感光ドラム1面の移動とともに現像部位aに至り、現像装置5において現像同時クリーニング(回収)される(トナーリサイクルプロセス)。
【0090】
現像同時クリーニングは、前述したように、転写後に感光ドラム1上に残留したトナーを、引き続く画像形成行程の現像時、即ち、引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、その潜像の現像時において現像装置のカブリ取りバイアス、即ち、現像装置に印加する直流電圧と感光体表面電位感の電位差であるカブリ取り電位差Vbackによって回収するものである。本実施例におけるプリンタのように反転現像の場合では、この現像同時クリーニングは、感光体の暗部電位から現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位ヘトナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0091】
又、本実施例におけるプリンタでは、帯電ローラ2から帯電促進粒子mが脱落しても、画像形成装置が稼働されることで、前述したように、現像装置5のトナーtに混合させた帯電促進粒子mが現像部位aで感光ドラム1面に移行し、該感光ドラム1の回転により転写ニップ部bを経て帯電ニップ部nに持ち運ばれて帯電ローラ2に逐次に供給され続けるため、帯電促進粒子mの存在による良好な帯電性が安定して維持される。
【0092】
更に、本発明では、被帯電体としての感光ドラム1と帯電部材としての帯電ローラ2の移動方向は、0でないある角度をもって交差する関係にする構成としてもよい。即ち、このように構成すれば、帯電ローラ2と感光ドラム1との離型時の帯電ローラ2の変形形状や量を、長手方向について均一に保つことが可能となる。この結果、帯電ローラ2上に担持した帯電促進粒子mの感光ドラム1への脱落を均一にし、長手方向に均一な帯電を行うことが可能となる。
【0093】
以上のようにして、帯電促進粒子mを用いた直接注入帯電方式、転写方式、及びトナーリサイクルプロセスを有する本実施例の画像形成装置において、接触帯電部材として帯電ローラ2を使用して、しかも該帯電ローラ2の転写残トナーによる汚染にもかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、長手方向に均一な帯電性を与えることができ、オゾン生成物による帯電不良による障害等のない、簡易な構成低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0094】
帯電ローラ2と感光ドラム1とのニップ部nに帯電促進粒子mを介在させることにより、帯電促進粒子mの潤滑効果(摩擦低減効果)によって、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。又、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に速度差を設けることにより、帯電ローラ2と感光ドラム1のニップ部nにおいて、帯電促進粒子mが感光ドラム1に接触する機会が格段に増加されて高い接触性を得ることができ、容易に直接注入帯電をすることが可能となる。
【0095】
上記した速度差を設ける構成として、好ましくはニップ部nに持ち運ばれる感光ドラム1上の転写残トナーを帯電ローラ2に一時的に回収し、ならすために、帯電ローラ2を回転駆動し、更に、その回転方向は、感光ドラム1表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、逆方向回転で感光ドラム1上の転写残トナーを一旦引き離し帯電を行うことにより、優位に直接注入帯電を行うことができる。
【0096】
以下、本実施例の装置を構成する転写部材としての転写ローラ6について説明する。本実施例で使用した転写ローラ6は、少なくとも一層以上から構成された積層構造を有し、具体的には、図1に示したように、芯金6aに半導電発泡層6bが積層されて構成され、更に、該発泡層6bの表面には、高分子層である最表面層が形成されて離型処理されている。
【0097】
この際に形成した半導電性発泡層6bは、半導電性弾性層からなるが、以下の製造方法によって作製した。具体的には、スポンジ(弾性体)の材料にはEPDMを用い、EPDMに、以下の方法によって導電性を付与した。形成材料に、EPDM(EPT−9070E、三井化学(株)製)100質量部に対して、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、ZnO・Al2O3 100質量部、カーボンブラック50質量部及びパラフィンオイル60質量部、加硫促進剤MBT(メルカプトベンゾチアゾール)2質量部、DPTT(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)1.5質量部、硫黄2質量部、更に、加硫時に発泡させるために発泡剤としてADCA(アゾジカルボジアミド)を12質量部添加したものを用いた。そして、先ず、このゴム材料を用いて押し出し成形によってチューブ状に成形し、次に、蒸気加硫による加硫を160℃、30分の条件で行い、更に電気炉によって2次加硫を150℃、30分の条件で行って加硫発泡物を得た。
【0098】
上記のようにして得た弾性体チューブに、接着剤を塗布した芯金6aを圧入して接着し、その後、導電性弾性層表面を研磨処理して直径20mm、長さ230mmのローラ状の帯電部材を作製した。芯金6aには、SUSを用いた。得られた転写部材の電気抵抗値を、図4に示した装置を用いて測定した。その際に、ローラの両端を4.9Nの加重で当接し、アルミ製ドラムを回転させながら測定した。この結果、電気抵抗値は、N/N環境下24時間放置後、直流電圧2kV印加で5×108Ωであった。
【0099】
次に、上記のようにして得た半導電性発泡層6b(図2中では22)上に、更に、下記のようにして高分子層である最表面層21を形成した(図2参照)。表面層21の形成材料には、ポリカーボネート系ポリウレタンの水系の塗料(HUX−380−6、旭電化(株)製)に、導電性粒子としてSnO2・Sb2O5を水中に分散させたスラリーを使用した。導電性粒子の配合量は、上記水系の塗料中の樹脂に対して固形分で5質量%とした。混合方法は、スターラー等で簡単に混ぜ合わせるだけで樹脂中に導電フィラーを均一分散させることが可能であるが、適宜、適当な分散機を用いることも可能である。
【0100】
このように作成した塗料を、先に作製した転写ローラ(スポンジローラ)6表面にコートして最表面層を形成した。本実施例では塗工方法としてディッピング塗工方法を用いたが、この他にも、ロール塗工法ビーム塗工法等適宜用いることができる。形成した最表面層の塗膜としての抵抗値は、1×1015Ω・cmであった。尚、この場合の抵抗値は、次のようにして測定した。表面層を形成するための上記した塗料をアルミニウムシート上に塗布し、加熱乾燥して15〜20μm厚の塗膜を形成する。シートを上下面から直径5mmの電極ではさみ、100Vの直流電圧を印加して抵抗値を測定する。
【0101】
上記で最表面層を形成する際にディッピング塗工を行った条件は、前記塗工液中から転写ローラ6を30mm/sec.の速さで引き上げ、塗工膜厚が20μm程度となるようにした。塗工後、転写ローラ6を120℃で30min.乾燥した。得られた転写ローラ6の抵抗値は6×108Ωであった。
【0102】
上記のようにして得た表面が高分子層21の形成によって離型処理されている転写ローラ6を、図1に示した構成を有する本実施例のプリンタの転写ローラ6として装着し、N/N環境下で普通紙を用いて画像評価を行ったところ、良好な転写性が得られた。次に、連続通紙を3000枚行ったところ、抵抗値の変動もなく、良好な転写画像が得られた。又、転写ローラ6表面の汚れもなく、通紙に伴う紙の裏汚れも発生しなかった。又、同様にして、厚紙、封筒に対しても同様な汚れの確認を行ったが、裏汚れ等の発生がなく、良好な画像が得られた。
【0103】
<実施例2>
本実施例の装置は、下記の転写ローラを用いる以外は実施例1と同様の構成を有する画像記録装置(図1)である。本実施例では、転写ローラ6を構成する半導電性弾性層6bを以下のようにして作製した。弾性材料として、NBRとして日本ゼオン社製DN300(商品名、ニトリル分28%)を80部と、日本ゼオン社製エピクロルヒドリンゴムGechron1000(商品名)を20部と、日本ゼオン社製液状ニトリルゴム1312(商品名)を30部とを用い、これに酸化亜鉛3部と、ステアリン酸2部、炭酸カルシウム40部と、フッ素化アクリレート化合物(ディフェンサMCF−323SF、大日本インキ(株)製)10部を加えて加圧ニーダーにて混合し、更に、これに、硫黄0.5部と、加硫促進剤としてM(メルカプトベンゾチアゾール)2部、TRA(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)1.5部、ハイドロタルサイト3部、及び6−メチルキノキサリン2,3−ジチオカーボネート1部と、発泡剤ADCA(アゾジカルボジアミド)10部をオープンロールにて混合して、導電性弾性体層6bを形成するための原料ゴムを得た。
【0104】
この原料ゴムを押出成形によってチューブ状に成形した。その後、これを、蒸気加硫によって加硫を160℃、30分行い、更に、電気炉によって2次加硫を150℃、30分行い、加硫発泡物を得た。このようにして得られたチューブ上の弾性発泡体に、接着剤を塗布した芯金6aを圧入して接着後、弾性発泡体の表面を研磨して、導電性弾性層6bを有する直径15mmのローラを得た。芯金6aは、実施例1と同様のものを使用した。
【0105】
更に、上記で得られたローラの導電性弾性層6bの表面を紫外線照射装置(185nm、245nmが波長主成分)を用いて40mW/cm2で10分間処理して、表面が紫外線照射によって離型処理されている転写ローラ6を得た。
上記で得られた転写ローラの電気抵抗値を図4に示した装置を用いて測定したところ、電気抵抗値は、N/N環境下24時間放置後、直流電圧2kV印加で、7×108Ωであった。測定の際には、ローラの両端を4.9Nの加重で当接し、アルミ製ドラムを回転させながら測定した。更に、この転写部材のasker
C硬度は35°であった。
【0106】
この転写ローラを実施例1で説明したと同様の構成を有する画像記録装置(図1)に装着し、実施例1と同様にして、2000枚の連続通紙画像評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0107】
<実施例3>
本実施例の装置は、下記のようにして得られる転写ローラを用いる以外は実施例1と同様の構成を有する画像記録装置(図1)である。本実施例では、転写ローラを構成する芯金6a及び半導電性弾性層6bは、実施例1と同様のの処方で作製したものを使用した。この半導電弾性層6b(図3中では32)の表面空孔内に、粒径2μmの真球状シリコーン樹脂粒子31(トスパール120、東芝シリコーン(株)製)を充填して、転写ローラを得た(図3参照)。
【0108】
この転写ローラを実施例1で説明したと同様の構成を有する画像記録装置(図1)に装着し、実施例1と同様にして画像評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0109】
<比較例1>
実施例1で説明したと同様の構成を有する画像記録装置(図1)において、転写ローラ6に、離型層である表面層が形成されていないこと以外は実施例1で作製したと同様の半導電性弾性体層6bのみを有する転写ローラを用いた。その他画像記録装置構成は、いずれも実施例1の画像記録装置と同じである。
この転写ローラを、実施例1で説明したと同様の構成を有する画像記録装置(図1)に装着し、実施例1と同様にして画像評価を行った。この結果、1000枚耐久において普通紙の端部にトナーによる汚れが発生した。又、厚紙の端部にも同様に汚れが発生した。又、封筒では、端部汚れに加えて裏汚れが確認された。
【0110】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、帯電部材と被帯電体とのニップ部に帯電促進粒子である導電性粒子が介在する接触タイプの帯電装置を有する画像形成装置でありながら、転写部材の表面を、電子線、電磁波又はプラズマによる照射処理等や、高分子層からなる表面層を設ける等の離型処理することによって、帯電促進粒子やトナーが転写部材に転移し、転写部材表面が部分的に粒子付着によって抵抗値が変動したり、付着した帯電促進粒子が感光体上に再転移し、感光ドラムの潜像形成を妨げたり、更にその上に堆積したトナーによって転写材を汚したりすることなく、又、転写材に付着して定着部材を汚染し、画像の定着不良等を生じることがなく、高品位の画像を長期にわたって形成することができる画像形成装置が提供される。又、本発明によれば、かかる画像形成装置を用いることで、像担持体クリーナを装備しない小型・低コストの画像記録装置の提供を実現するとともに、帯電均一性、耐久に優れた画像記録装置の提供の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の画像記録装置の概略図である。
【図2】実施例1による転写ローラの表層部の拡大断面図である。
【図3】実施例3による転写ローラの表層部の拡大断面図である。
【図4】半導電性弾性ローラの電気抵抗値測定装置の構成を示した図である。
【図5】電荷注入層を有する感光体例の層構成模式図である。
【図6】その他の実施例の画像記録装置の概略図である。
【符号の説明】
1:感光体(像担持体)
2:帯電ローラ(接触帯電部材)
2a、6a:芯金
2b:半導電抵抗層
4:レーザビームスキャナ(露光装置)
5:現像装置
5a:現像スリーブ
5b:マグネットローラ
5c:現像規制ブレード
5d:現像容器
6:転写ローラ
6b:導電性弾性体層
7:定着装置
a:現像部位
b:転写ニップ部
n:帯電ニップ部
m:帯電促進粒子
t:一成分磁性トナー(現像剤)
P:被記録体
8:帯電促進粒子供給塗布装置
9:クリーニング装置(クリーナ)
9a:ゴムブレード
11:Alドラム基体
12:下引き層
13:正電荷注入防止層
14:電荷発生層
15:電荷輸送層
16:電荷注入層
21:表面層
22:半導電弾性層
31:充填粒子
32:半導電弾性層
41:半導電性弾性ローラ(転写ローラ)
42:アルミドラム
43:導電性芯金
44:電流計
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に関し、更に詳しくは、被帯電体に接触し、被帯電体表面を帯電する接触タイプの帯電装置を像担持体の帯電処理手段として使用した画像形成装置、及びこれを用いた複写機やプリンタ等の画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、電子写真装置や静電記録装置等の画像記録装置において、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体(被帯電体)を、所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としては、コロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。コロナ帯電器は、非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極等の放電電極と、該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を被帯電体である像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することによって生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面をさらすことで、像担持体面を所定に帯電させるものである。
【0003】
これに対して近時は、特に、中・低速機種の画像記録装置にあっては、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて、低オゾン・低電力等の利点があることから、接触帯電装置が多く提案されており、又、実用化されている。接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して、被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0004】
上記接触帯電の帯電機構には、放電帯電機構と直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより、各々の特性が現れる。即ち、放電帯電では、接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象によって、被帯電体表面が帯電する。この放電帯電機構では、接触帯電部材と被帯電体に、一定の放電閾値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。又、放電帯電の場合は、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども、放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾン等、活性イオンによる弊害は避けられない。
【0005】
一方、直接注入帯電では、接触帯電部材から、被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する。この系は、直接帯電或いは注入帯電、或いは電荷注入帯電とも称される。より詳しくは、半導電性の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり、放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、この系の場合は、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。
【0006】
この直接帯電系は、イオンの発生を伴わないため、先に述べた放電帯電の場合と異なり、放電生成物による弊害は生じない。しかし、直接帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触性が、帯電性に大きく効いてくる。従って、接触帯電部材をより密に構成し、又、被帯電体との速度差を多く持ち、より高い頻度で被帯電体に接触する構成をとる必要がある。以下、具体的な、接触帯電部材毎に特徴を説明する。
【0007】
(ローラ帯電)
接触帯電装置では、接触帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。このローラ帯電における帯電機構は、以下に述べるように、放電帯電が支配的である。ローラ帯電方式に用いる帯電ローラは、一般的に、導電性或いは半導電性のゴム材或いは発泡体を用いて作製される。更に、これらを積層して所望の特性を得たものもある。又、帯電ローラには、被帯電体(以下、感光体と記す)との一定の接触状態を得るために弾性を持たせている。そのため、帯電ローラは、摩擦抵抗が大きく、多くの場合、感光体に従動或いは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下や、接触性の不足や、ローラ状のムラや感光体の付着物による帯電ムラは避けられないため、従来のローラ帯電では、その帯電機構は放電帯電機構が支配的であった。
【0008】
ローラ帯電の場合、凡そ−500Vの放電閾値を過ぎてから帯電が始まる。従って、−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流電圧を印加するか、或いは、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つように、ピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して、感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0009】
より具体的に説明すると、厚さ25μmのOPC感光体に対して帯電ローラを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには、帯電ローラには、(Vd+Vth)という、必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0010】
しかし、DC帯電においては、環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、又、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。又、帯電均一化のためにAC帯電を行なった場合には、更なるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、又、放電による感光体表面の劣化等の問題点が指摘されている。
【0011】
(ファーブラシ帯電)
ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として、導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して、感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。このファーブラシ帯電の場合も、その帯電機構は放電帯電機構が支配的である。
【0012】
ファーブラシ帯電器は、固定タイプとロールタイプが実用化されている。半導電性の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを、電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプのものは、このパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては、100本/mm2程度のものが比較的容易に得られるが、直接帯電により十分均一な帯電を行うには、それでも接触性は不十分であり、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うには、感光体に対し機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要がある。しかし、これは現実的ではない。このため、ファーブラシ帯電においても、上記した固定タイプ、ロールタイプのどちらの場合も、多くは、高い帯電バイアスを印加し、放電現象を用いて帯電を行っている。
【0013】
(磁気ブラシ帯電)
磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として、導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束して、ブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を、被帯電体としての感光体に接触させて、所定の帯電バイアスを印加して、感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。この磁気ブラシ帯電の場合は、その帯電機構は、直接注入帯電が支配的である。
【0014】
磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として、粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一な直接帯電が可能となる。そして、これよって、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能になる。しかしながら、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等、他の弊害もある。
【0015】
(トナーリサイクルプロセス[クリーナレスシステム])
従来の転写方式の画像形成装置においては、転写後の感光体(像担持体)に残存する転写残トナーは、クリーナ(クリーニング装置)によって感光体面から除去されて廃トナーとなる。しかし、この廃トナーは環境保護の面からも出ないことが望ましい。このため、クリーナをなくし、転写後の感光体上の転写残トナーを現像装置によって「現像同時クリーニング」で感光体上から除去し、現像装置に回収・再利用する装置構成にした、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置も出現している。
【0016】
上記した現像同時クリーニングとは、転写後に、感光体上に残留したトナーを次工程以降の現像時、即ち、引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、該潜像の現像時にかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて、次工程以後に再利用されるため、廃トナーをなくし、更に、メンテナンスに手を煩わせることを少なくすることもできる。又、クリーナレスであることで、スペース面での利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになる。
【0017】
トナーリサイクルシステムは、上記のように、転写残トナーを専用のクリーナによって感光体面から除去するのではなく、帯電部を経由させて現像装置に至らせて再度現像プロセスにて利用するものであるため、感光体の帯電手段として接触帯電を用いた場合においては、感光体と接触帯電部材との接触部に絶縁性であるトナーが介在した状態で、如何にして感光体を帯電するかが課題になっている。先に述べたローラ帯電やファーブラシ帯電においては、感光体上の転写残トナーを拡散し、非パターン化するとともに、大きなバイアスを印加し、放電による帯電を用いることが多い。磁気ブラシ帯電においては、接触帯電部材として粉体を用いるため、その粉体である導電性磁性粒子の磁気ブラシ部が感光体に柔軟に接触し、感光体を帯電できる利点がある。しかし、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子の脱落による弊害が大きい。
【0018】
特許文献1等には、感光体表面にあるトラップ準位、又は電荷注入層の導電性粒子等の電荷保持部材に電荷を注入して、接触注入帯電を行なう方法が提案されている。かかる方法は、放電現象を用いないため、帯電に必要とされる電圧は所望する感光体表面電位分のみであり、オゾンの発生もない。更に、AC電圧を印加しないので、帯電音の発生もなく、ローラ帯電方式と比べると、オゾンレス、低電力の優れた帯電方式である。
【0019】
(接触帯電部材に対する粉末塗布)
接触帯電装置について、帯電ムラを防止し、安定した均一帯電を行なうために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。かかる方法では、接触帯電部材(帯電ローラ)が、被帯電体(感光体)に従動回転(速度差駆動なし)するため、コロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は、前述のローラ帯電の場合と同様に、依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためには、DC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するため、放電によるオゾン生成物の発生は、より多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合や、クリーナレスの画像形成装置を長期に使用した場合において、オゾン生成物による画像流れ、等の弊害が現れ易い。
【0020】
又、特許文献3には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちに生じる、トナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着することによる帯電阻害を防止するために、現像剤中に、少なくとも顕画粒子と、該顕画粒子よりも小さい平均粒径を有する導電性粒子とを含有させることが開示されている。しかし、この接触帯電は、放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。このような背景から、帯電部材と被帯電体との間に、帯電促進粒子と称する1012Ω・cm以下の抵抗値の微粒子を介して直接注入帯電を行っている。
【0021】
この帯電促進粒子の役割の第1は、帯電部材と被帯電体表面の摩擦力の低減にある。前述した帯電ローラ等、被帯電体との摩擦力の大きな帯電部材の場合は、帯電部材と被帯電体の周速差を設けることができず、十分な接触機会を得ることができなかった。しかしながら、帯電促進粒子を介在させることにより、前述した帯電ローラと被帯電体の摩擦力を下げ、周速差を持たせることが可能になる。又、第2に、帯電促進粒子は、帯電部材の凹凸を埋め、被帯電体に対する接触性を向上させる。この帯電促進粒子は、帯電動作とともに被帯電体に付着し、帯電部材に存在する帯電促進粒子量は減少し、いずれはなくなっていく。従って、帯電促進粒子は、何らかの方法で帯電器周辺に供給することが必要となる。かかる方法としては、帯電部材に帯電促進粒子を塗布供給する方法、感光ドラムに塗布して帯電部材に供給する方法等がある。その一つとして、上記クリーナレスシステムとの適合を考慮して、帯電促進粒子を現像剤の一部として混合する方法がある。この方法の場合は、現像行程を通して、トナーとともに帯電促進粒子を感光ドラム上に現像し、感光体から帯電部材に帯電促進粒子を供給する。この結果、ドラムクリーナを排除できると同時に、トナーの循環と帯電促進粒子の供給を行える利点を持つ。
【0022】
【特許文献1】
特開平6−3921号公報
【特許文献2】
特公平7−99442号公報
【特許文献3】
特開平5−150539号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この帯電促進粒子を用いた接触タイプの帯電装置においては、帯電促進粒子が転写部材に転移し、転写部材表面が部分的に粒子付着によって抵抗値が変動したり、付着した帯電促進粒子や帯電促進粒子と凝集したトナーや、或いはそれらの付着によってトナーの付着が促進され、堆積したトナーが感光体上に再転移し、感光ドラムの帯電性を低下させ、画像を劣化させたり、又、転写材に付着して定着部材を汚染し、画像の定着不良を引き起こしたりする等、固有の問題があった。
【0024】
従って、本発明の目的は、帯電促進粒子を用いた接触タイプの帯電装置、及び該帯電装置を像担持体の帯電処理手段として使用した画像記録装置において、転写部材の抵抗値変動や、感光体上への付着による画像不良や、耐久に伴う帯電促進粒子やトナー汚れによる転写材汚れ等を改善し、高品位の画像を長期にわたり維持できる画像形成装置及び画像記録装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、(1)被帯電体とニップ部を形成する帯電部材を有し、少なくとも該帯電部材と被帯電体とのニップ部に介在している帯電促進粒子である導電性粒子によって被帯電体の表面を帯電させる帯電装置と、該被帯電体表面上に形成された可視像を転写部材によって転写材に静電転写させる転写装置とを有する画像形成装置であって、上記転写部材の表面が離型処理されていることを特徴とする画像形成装置である。
【0026】
本願発明の好ましい形態としては、下記の(2)〜(9)の構成を有する上記(1)の構成の画像形成装置が挙げられる。
(2)上記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、且つ、その最表面が、電子線照射、電磁波照射及びプラズマ照射のいずれかから選ばれる少なくとも1の手段によって離型処理されている画像形成装置。
(3)上記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、且つ、その最外層が高分子層である画像形成装置。
(4)該高分子層が、少なくともポリカーボネート化合物を含む画像形成装置。
(5)上記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、該転写部材の最外層にシリコーン化合物又はフッ素化合物が含まれる画像形成装置。
(6)上記転写部材が、導電性弾性体を形成材料に含み、且つ、該導電性弾性体が発泡体である画像形成装置。
(7)上記帯電部材の表面が、被帯電体表面に対して速度差を持って移動し、その間に被帯電体表面が帯電される画像形成装置。
(8)上記帯電部材が、エチレン−プロピレン共重合体を主成分とするゴム及び導電材を含有してなる画像形成装置。
(9)被帯電体の最外層に導電性粒子が含有されている画像形成装置。
【0027】
又、本発明の別の実施形態としては、被帯電体と、その周りに配置された、帯電装置、像露光装置、現像装置、転写装置、及び被記録体上の画像を定着する定着装置からなる電子写真方式の画像記録装置において、転写工程後の像担持体表面に残留した現像剤を少なくとも帯電装置に一時担持し、像担持体を通して再度現像装置に回収する像担持体クリーナレス構成を有し、且つ、上記帯電装置が、上記の何れかの帯電装置であることを特徴とする画像記録装置である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来の画像形成方法では、先ず、下記のような問題があることがわかった。
帯電促進粒子やトナーの転写部材への付着要因としては、転写部材の粘着性によって転写ローラ表面に付着した帯電促進粒子やトナー等の粒子が、一旦捕捉されると取れにくくなり、特開昭51−9840号公報や特開平6−242692号公報等に提案されているような、像担持体と転写ローラとの接触部である転写位置に転写材が存在しない時に、転写ローラにトナーと同極性のバイアス電圧を印加し、転写ローラに付着したトナーを像担持体に戻すクリーニング手段では、帯電促進粒子やトナー粒子が十分に戻らず、部材表面に蓄積していく傾向があった。
【0029】
これについて簡単に説明する。先ず、上記のクリーニング手段では、転写位置に転写材が存在しないときに転写ローラにクリーニングバイアス電圧が印加されるが、このとき像担持体と転写ローラとの間の放電による電界によって、転写ローラに付着した一部のトナーは像担持体に戻る。しかし、他のトナーは、放電による空気の電離によって生じたチャージが付着して、通常の帯電極性とは逆極性に帯電し、転写ローラに付着する。
【0030】
次いで、転写位置に転写材が存在する時に転写バイアスを印加すると、クリーニングバイアスの際に逆極性、即ち、転写電圧と同極性に帯電したトナーは、転写電界によってこれが転写ローラから離れる方向の力を受けるので、トナーの飛び散り、裏汚れ等を発生することになる。転写部材の表面が研磨面等凹凸のある面ではその傾向が、特に顕著であり、耐久によって帯電促進粒子やトナー等の粒子が蓄積した後、塊となって感光体上に付着し、帯電部材上に付着したり、潜像形成を妨げたり、再度、転写材上に転写されて画像不良を発生させたりする等の問題を生じる。
【0031】
以上のような問題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、転写部材表面を離型処理し、転写部材からの、付着物の離型を容易とする構成にすれば、上記した問題を解決できることを知見して本発明に至った。
【0032】
<転写部材の構成>
本発明で使用するの転写部材の離型処理方法としては、特に限定されないが、転写部材を少なくとも一層以上から構成し、その最表面を、電子線処理、電磁波処理及びプラズマ処理のいずれかから選ばれる少なくとも1の手段によって離型処理する方法、又、その最外層を高分子層で形成する方法が挙げられる。この場合の高分子層は、少なくともポリカーボネート化合物を含むものとすることが好ましい。更に、転写部材の最外層に、離型性に優れるシリコーン化合物或いはフッ素化合物を含ませる構成とすることが挙げられる。以下、これらについて説明する。
【0033】
転写部材の離型処理方法としては、一般的に、転写部材を形成する材料中に、例えば、シリコーン粒子やフッ素樹脂粒子等の離型粒子を含有させる方法、転写部材の面を、シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤や、反応性のフッ素系界面活性剤等によって表面処理する方法、希塩酸等の塩素系溶剤によって表面洗浄する方法、等が挙げられる。
【0034】
しかしながら、本発明においては、処理の簡易性、効果性の点から、特に、転写部材の最表面を、UV(紫外線)等の電磁波照射、電子線照射、或いはプラズマ照射処理する方法が好ましい。これらの方法によれば、転写部材の形成材料であるゴム表面を酸化したり、転写部材表面に付着している油等の有機物の汚れを直接分解したり、又、紫外線による酸素の分解、更には、これらを照射した場合に反応によって生じるオゾンからの活性酸素が有機物を酸化分解する効果等が挙げられる。これらの反応は、転写部材の最表面を形成している材料が、特に、分子中に炭素間二重結合を含むゴムである場合に有効である。紫外線やプラズマによって水素ラジカルが容易に引き抜かれ、酸素やオゾンと反応し易いためである。又、分子鎖の切断、再結合により、表面を非粘着化する効果もある。更に、上記したUV照射等の方法は、機械的物性や電気的物性等の部材物性への影響が少ないことも、好適な理由である。
【0035】
更に、プラズマ処理をした場合も、上記したと同様に、Ar、N2等の不活性ガスよって生じたラジカルが空気中の酸素と反応して、紫外線を照射した場合と同様な効果が得られる。前記した電磁波照射条件としては、波長は180〜600nmが好ましく、照射強度は10〜100mW/cm2が好ましい。
【0036】
転写部材がローラ形状の場合は、ローラを回転させながら照射すれば、UVや電子線、プラズマを全面に均一照射でき、短時間で効果的な処理ができる。更に、表面を加熱処理によって硬化させることも有効である。上記した方法は、単独でも有効であるが、2つ以上組み合わせても有効である。上記した離型処理によって転写部材表面に高離型性が付与されるため、仮に、トナーや紙粉等が付着したとしても、これらを簡単に除去することができる。
【0037】
本発明においては、転写部材の離型処理方法として、その他に、転写部材の表層に離型層等の機能層を設ける方法も有効である。この様な場合においても、上記したUV等の照射による処理を施すことは有効である。上記離型層としては、非粘着性を有する高分子膜を形成することが好ましい。フッ素化合物が分子鎖中に結合されたものや、フッ素化合物を離型粒子として高分子膜中に分散させることも有効である。離型粒子としては、前記フッ素系化合物に限らず、他の高分子粒子や無機粒子でも有効である。
【0038】
この場合の高分子膜の材質としては、離型効果のあるものであれば特に限定されないが、感光体に摺擦によって電気的影響を与えないものが好ましく、特にポリカーボネート系の化合物が好ましい。又、これら離型粒子を直接転写部材表面に予め付着させてから転写装置に装着しても有効である。特に発泡体を研磨した表面においては、離型粒子の保持性が高く、且つ粒子付着後の表面平滑性からトナー等の付着性を低下させる効果がある。
【0039】
又、転写部材の表面に離型性を付与するために形成する表面層の抵抗は、均一化されている状態が好ましい。これは、表面層を積層させる導電性弾性層が不均一な導電状態であっても、それを表面層によって均一化できるからである。帯電部材が不均一な導電状態の場合、帯電状態が不均一になり良好な画像を得ることが困難である。このような観点から、表面層の抵抗値としては、1×1013〜1×1016Ω・cmとすることが好ましい。1×1013未満では表面層内での過剰導電電流による、下記のような弊害が発生する。例えば、転写ローラに使用した場合、紙等の転写材分離のために除電針等が設置されている。通常、印加される電圧の極性は転写ローラとは逆極性である。従って、表面層の抵抗が低いと放電によって転写ローラから電流が除電針に流れ、電圧損失により転写不良を引き起こす。又、1×1016を超えると絶縁性が高く、転写部材を、帯電するのに必要な導電性が得られない。
【0040】
上記した抵抗域であれば、表面層材料に導電性粒子を分散させてもよい。導電性粒子を分散した効果としては、誘電率の増加がある。特に、直流電圧を印加した場合、チャージアップによる抵抗値の上昇が認められるが、導電性粒子の適度な分散は抵抗値に影響を与えず、誘電率を上昇させることができるため、抵抗値の上昇が抑制される。但し、分散状態が不均一であると導電性粒子の凝集部に電荷が集中し、部分放電による画像不良を起こす。導電性粒子としては適宜なものが用いられるが、その分散性が良好なことから、特にSnO2・Sb2O5等の酸化スズを主成分とする金属酸化物を用いることが好ましい。
【0041】
本発明で使用する好適な転写部材としては、具体的には、芯金上に導電性弾性層が形成されたものを使用することが好ましい。以下、これについて説明する。ここで言う導電性弾性層とは、転写バイアス電圧を、紙やシート等の転写材に印加することができ、且つ均一に転写材に圧接することができる程度の弾性を有するものであればよい。例えば、体積抵抗1×105〜1×1012Ω程度を有するものが好ましい。
【0042】
導電性弾性層を形成する場合に使用される弾性体としては、例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー)、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、SBR(スチレンブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のゴムや、RB(ブタジエン樹脂)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー)等のポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル系樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の高分子材料を用いることができる。
【0043】
これらの弾性材料の使用形態としては、ソリッドでも発泡体でもよいが、特に被帯電体(被転写体)である感光ドラム等とのニップ幅が十分にとれ、良好な転写ができることから、弾性発泡体で形成することが好ましい。又、これらの弾性体を導電化して導電性弾性層とするには、ファーネスブラック、導電性カーボン、サーマルブラック等のカーボンブラックや、グラファイト、TiO2、SnO2、Sb2O5、ZnO等の金属酸化物、Cu、Ag等の金属、或いは、これらを粒子表面に被覆して導電化した粒子等の導電性粒子や、LiClO4、KSCN、NaSCN、LiSCN、LiCF3SO3等のイオン性電解質を、上記した弾性体中に適宜量分散させることによって、所望の抵抗値のものを調整することができる。又、弾性材料のポリマー主鎖中、或いは側鎖に極性を有する分子或いは原子団を導入したり、イオン対を形成する分子又は原子団を導入することによっても導電化することが可能である。
【0044】
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置を更に詳細に説明する。本発明で使用し、本発明を特徴づける転写部材の構成例としては、例えば、ローラ形状の転写部材が挙げられる。図1に例示した転写ローラ6は、金属製等の導電性円柱基材よりなる芯金6aの上に、導電性弾性体層6bが設けられている。ここで、芯金6aは、ステンレス製、鉄製、又は防錆のため表面をニッケル−クロム鍍金等を施した鉄、等によって製造することができる。
【0045】
このような構成を有する転写部材6の製造方法としては、例えば、以下のように形成できる。先ず、導電性弾性体層6bの形成原料は、オープンロール、ニーダー、バンバリー、インターミックス等の混合機を適宜使用して混合される。成形は押出し機でチューブ成形したものを、オーブンや加硫缶、又はUHF等の高周波で、加硫又は加硫発泡し、更にオーブン等の加熱手段で2次加硫したチューブに、前記に挙げたような材料からなる芯金6aを圧入し、必要に応じて表面を研磨する等して外径を整える。この際、芯金6aに導電性弾性体層6bを積層させる場合には、適宜接着剤を使用できる。又、上記した押出しに際して、芯金にゴムを被覆しながら押出す手段も用いられる。又、円筒型金型内に未加硫のゴムと芯金を装着し、加熱加硫又は加硫発泡する手段も用いることができる。本発明においては、更に、導電性弾性体層6b表面を離型処理する。離型処理に際しては、必要に応じて、表面層を形成することができる。
【0046】
導電性弾性体層6bとしては、転写バイアス電圧を紙に印加することができ、且つ均一に紙に圧接することができる程度の電気抵抗を有するものであればよいが、電気抵抗値は、例えば、105Ω〜1012Ωの範囲であることが好ましい。尚、この場合の電気抵抗値は、図4に示すような装置によって測定できる。即ち、図4は、ローラ形状の転写部材として導電性弾性ローラの電気抵抗測定装置の概略図である。図4において、導電性弾性ローラ41は、導電性芯金43の両端部に不図示の押圧手段で加重により円柱状のアルミドラム42に圧接され、アルミドラム42の回転駆動に伴って従動回転する。この状態で、導電性弾性ローラ41の芯金部分43に直流電圧を外部電源を用いて印加し、アルミドラム42に直列に接続した電流計44の読取値より、電気抵抗値を算出する。
【0047】
又、転写部材を構成する導電性弾性体層は、ソリッドでも発泡体でも構わないが、低硬度であることが好ましい。より具体的には、スポンジ硬度(askerC)で20〜80゜とすることが好ましい。asker C硬度が、この範囲内であれば、転写ローラ及び被帯電体とのニップ幅を十分に確保でき、均一な帯電を行うことができる。特に、線画の中央部が抜ける「中抜け」を抑制できる。尚、asker C硬度は、基準規格asker C型SRIS(日本ゴム協会規格)0101に従って作製した試験片を用いて、askerゴム硬度計(高分子計器(株)製)により測定される硬度である。
【0048】
<その他の構成>
以下に、本発明の画像形成装置を構成する転写部材以外の部材について説明する。
1)本発明の画像形成装置においては、感光ドラム1の表面に電荷注入層を設けて、感光体表面の抵抗を調節したものを用いることが好ましい。
負極性の感光体を用いた場合で説明すると、図5は、表面に電荷注入層を設けた感光ドラム1の層構成の模式図である。即ち、該感光ドラム1は、アルミドラム基体(Alドラム基体)11上に、下引き層12、正電荷注入防止層13、電荷発生層14、電荷輸送層15の順に重ねて塗工された一般的な有機感光体ドラムに電荷注入層16を塗布することにより、帯電性能を向上したものである。 電荷注入層16は、バインダーとしての光硬化型のアクリル樹脂に、導電性粒子(導電フィラー)としてのSnO2の超微粒子(径が約0.03μm)、重合開始剤等を混合分散し、塗工後、光硬化法により膜形成したものである。
【0049】
又、加えて四フッ化エチレン樹脂(例えば、テフロン(登録商標))等の滑剤も内包させることにより、ドラム表面の表面エネルギーを抑えて、帯電促進粒子の付着を全般的に抑える効果がある。電荷注入層16として重要な点は、表層の抵抗にある。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体側の抵抗を下げることでより効率よく電荷の授受が行えるようになる。一方、感光体として用いる場合には静電潜像を一定時間保持する必要があるため、電荷注入層16の体積抵抗値としては1×109〜1×1014(Ω・cm)の範囲が適当である。
又、電荷注入層16を用いていない場合でも、例えば電荷輸送層15が上記抵抗範囲にある場合は同等の効果が得られる。更に、表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体等を用いても同様な効果が得られる。
【0050】
2)後述する実施例では、クリーナレスシステムによる構成を示したが、図6のように、ドラムクリーナ9、例えばゴムブレード9aによるクリーニング装置等を配し、帯電ローラ2に直に帯電促進粒子mを塗布する装置8を具備させた装置構成においても、本発明は効果的である。
【0051】
3)接触帯電部材としての帯電ローラ2は、後述する実施例では帯電ローラを用いたが、これに限られるものではない。可撓性の接触帯電部材は弾性帯電ローラの他に、ファーブラシ、フェルト、布等の材質・形状のものも使用可能である。又、これらを積層し、より適切な弾性と導電性を得ることも可能である。
【0052】
4)接触帯電部材2や現像スリーブ5aに対する印加帯電バイアス或いは印加現像バイアスは、直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳してもよい。又、交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。更に、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であってもよい。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0053】
5)静電潜像形成のための画像露光手段としては、実施形態例の様にデジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLED等の他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるもの等、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。像担持体は静電記録誘電体等であってもよい。この場合は、該誘電体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0054】
6)現像手段5は、後述する実施例では一成分磁性トナーによる現像装置を例に説明したが、現像装置構成について特に限定するものではなく任意である。正規現像であってもよい。一般に静電潜像の現像方法は、非磁性トナーについてはブレード等で現像剤担持体上にコーティングし、磁性トナーは磁気力により現像剤担持体上にコーティングして搬送して像担持体に対して非接触状態で現像する方法(一成分非接触現像)と、接触状態で現像する方法(一成分接触現像)と、トナー粒子に対して磁性のキャリアを混合したものを現像剤として用いて磁気力によって現像剤担持体上にコーティングして搬送して像担持体に対して接触状態で現像する方法(二成分接触現像)と、非接触状態で現像する方法(二成分非接触現像)との4種類に大別される。
【0055】
7)転写手段6は、後述する実施例ではローラ形状としたが、これに限らず、ベルト形状等任意である。転写ドラムや転写ベルト等の中間転写体等を用いて、単色画像ばかりでなく、多重転写等により多色やフルカラー画像を形成する画像記録装置であってもよい。
【0056】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
図1は、本発明に従う帯電装置を用いた画像記録装置の概略構成図である。本実施例の画像記録装置は、図1に示した基本構成を有するものであって、転写式電子写真プロセスを利用した、帯電促進粒子を用いた直接注入帯電方式、及びトナーリサイクルプロセス(クリーナレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)である。
【0057】
(1)プリンタの全体的概略構成
1は像担持体であり、本実施例ではφ30mmの回転ドラム型の負極性OPC感光体(ネガ感光体、以下、感光ドラムと記す)である。この感光ドラム1は、矢印の時計方向に、周速度50mm/sec(=プロセススピードPS、印字速度)の一定速度をもって、回転駆動されている。
【0058】
図1中の2は、接触帯電部材としての導電性弾性ローラ(以下、帯電ローラと記す)である。この帯電ローラ2は、芯金2aの両端部を、不図示のローラ軸支持部材(軸受け部材)により回転自由に支持させてある。そして、このローラ軸支持部材を加圧ばねで感光ドラム1方向に加圧付勢することで、帯電ローラ2を感光ドラム1に対して所定の押圧力をもって当接させてある。
【0059】
図1中のnは、感光ドラム1と帯電ローラ2とのニップ部(帯電ニップ部)である。この帯電ローラ2はその外周面に、導電性を有する帯電促進粒子m(帯電促進を目的とした導電性粒子)を保持(担持)しており、感光ドラム1と帯電ローラ2との帯電ニップ部nに、この帯電促進粒子mが介在した状態となっている。
【0060】
帯電ローラ2は、この帯電ニップ部nにおいて、感光ドラム1の回転方向と逆方向(カウンター)に不図示の駆動系で回転駆動され、感光ドラム1面に対して速度差を持って接触している。又、プリンタの画像記録時には、上記で説明した帯電ローラ2に、帯電バイアス印加電源S1から所定の帯電バイアスが印加される。本実施例の装置では、DC電圧−700Vが印加される。これによって、回転感光ドラム1の周面が直接注入帯電方式で所定の極性・電位に、一様に接触帯電処理される。尚、上記の帯電ローラ2、帯電促進粒子m、直接注入帯電については、別項で詳述する。
【0061】
図1中の4は、レーザダイオード・ポリゴンミラー等を含む、レーザビームスキャナ(露光装置)である。このレーザビームスキャナ4は、目的の画像情報の時系列デジタル画像信号に対応して強度変調されたレーザ光Lを出力し、該レーザ光Lで、回転している感光ドラム(回転感光ドラム)1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光によって、目的の画像情報に対応した静電潜像が、回転感光ドラム1の面に形成される。
【0062】
図1中の5は、現像装置(現像器)である。上記のようにして形成された回転感光ドラム1面の静電潜像は、この現像装置5によって、現像部位aにてトナー画像として現像される。現像装置5内には、現像剤(トナー)tに帯電促進粒子mを添加した混合剤(現像前混合剤)t+mが備えられている。
【0063】
図1中の6は、接触転写手段としての半導電性の転写ローラであり、感光ドラム1に所定に圧接させて転写ニップ部bを形成させてある。この転写ニップ部bに、不図示の給紙部から所定のタイミングで被記録体としての転写材Pが給紙され、且つ転写ローラ6に、転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光ドラム1側のトナー像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。このようにして転写ニップ部bに導入された転写材Pは、この転写ニップ部bを挟持搬送されて、この結果、その表面側に、回転感光ドラム1の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0064】
図1中の7は、熱定着方式等の定着装置である。転写ニップ部bに給紙されて感光ドラム1側のトナー画像の転写を受けた転写材Pは、回転感光ドラム1の面から分離されて、この定着装置7に導入されてトナー画像の定着を受け、その後、画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0065】
本実施例のプリンタはクリーナレスであり、転写材Pに対するトナー画像転写後の回転感光ドラム1面に残留した転写残トナーを除去するための専用のクリーナ(クリーニング装置)を有さない。本実施例のプリンタでは、回転感光ドラム1面に残留した転写残トナーは、感光ドラム1の回転に伴って、帯電ニップ部nを経由して現像部位aに至り、現像装置4において、現像同時クリーニングにて回収され、その後、再利用される。
【0066】
(2)帯電ローラ2
本実施例における接触帯電部材としての帯電ローラ2は、芯金2a上にゴム或いは発泡体の2bを形成することで作製される。本実施例では、芯金2a上に、下記のようにして得た発泡体である半導電抵抗層2bを形成したものを用いた。半導電抵抗層2bは、EPDM(EPT9070E、三井化学(株)製)100質量部に対して、酸化亜鉛を5質量部、ステアリン酸を1質量部、カーボンブラック(導電性カーボンHS−500、旭カーボン(株)製)を55質量部、パラフィンオイルを55質量部、加硫促進剤MBT(メルカプトベンゾチアゾール)を2質量部、DPTT(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)を1.5質量部、硫黄を2質量部、更に加硫時に発泡させるために発泡剤として、ADCA(アゾジカルボジアミド)を25質量部添加してなるものである。その後、必要に応じて表面を研磨した。上記のようにして形成したスポンジ(弾性体)は、表面にミクロな凹凸を有し、そのセル径は約100μmである。そして、最終的に、径6mm、長手長さ240mmの芯金2aに、層厚3mmのスポンジ(弾性体)層2bを形成し、外径12mm、スポンジ層の長手長さ220mmの、導電性弾性ローラである帯電ローラ2を作成した。
【0067】
上記のようにして作製した本実施例の装置を構成している帯電ローラ2のローラ抵抗を測定したところ、100kΩであった。ローラ抵抗は、帯電ローラ2の芯金2aに総圧1kg(9.8N)の加重がかかるよう、外径30mmのアルミドラムに帯電ローラ2を圧着した状態で、芯金2aとアルミドラムとの間に100Vを印加して計測した。
【0068】
ここで、接触帯電部材である帯電ローラ2は、電極として機能することが重要である。つまり、弾性を持たせて被帯電体である感光ドラム1との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有する必要がある。その一方で、被帯電体にピンホール等の耐圧欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。本発明者らが検討した結果、被帯電体として電子写真用感光体を用いた場合に、十分な帯電性と耐リーク性を得るためには、帯電ローラとしては、104〜107Ωの抵抗を有するものであることが望ましいことがわかった。
【0069】
又、帯電ローラ2の表面形状は、帯電促進粒子mを保持できるようミクロな凹凸があるものが望ましい。更に、帯電ローラ2の硬度は、硬度が低過ぎると形伏が安定しないために被帯電体との接触牲が悪くなり、高過ぎると被帯電体との間に帯電ニップ部nを確保できないだけでなく、被帯電体表面へのミクロな接触性が悪くなるので、アスカーC硬度で25〜50°が好ましい範囲である。本実施例では、アスカーC硬度で30°のローラを使用した。
【0070】
帯電ローラ2の材質としては、上記した弾性発泡体に限定されず、上記した特性を有する各種弾性体を用いることができる。弾性体の材料としては、本実施例で使用したEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー)に限らず、例えば、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、SBR(スチレンブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のゴムや、RB(ブタジエン樹脂)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマー)等のポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル系樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の高分子材料を用いることができる。
【0071】
これらの弾性体を導電化する方法も、本実施例で使用した帯電ローラに限定されるものではない。例えば、ファーネスブラック、導電性カーボン、サーマルブラック等のカーボンブラックや、グラファイト、TiO2、SnO2、Sb2O5、ZnO等の金属酸化物、Cu、Ag等の金属、これらを粒子表面に被覆して導電化した粒子等の導電性粒子や、LiClO4、KSCN、NaSCN、LiSCN、LiCF3SO3等のイオン性電解質を、弾性体中に適宜量分散させることによって、所望の抵抗値に調整することができる。更に、これに限定されずに、例えば、ポリマー主鎖中或いは側鎖に極性を有する分子或いは原子団を導入したり、イオン対を形成する分子又は原子団を導入することによって導電化することも可能である。
【0072】
帯電ローラ2は、被帯電体としての感光ドラム1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設されている。そして、本実施例の装置では、被帯電体と帯電部材とで形成されるニップ部として、幅数mmの帯電ニップ部nを形成させてある。又、本実施例の装置では、該帯電ニップ部nにおいて、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1表面とが互いに逆方向に等速で移動するように、凡そ80rpmで矢印の時計方向に、帯電ローラ2を回転駆動させた。即ち、接触帯電部材としての帯電ローラ2の表面は、被帯電体としての感光ドラム1の面に対して速度差を持たせるようにした。
【0073】
(3)現像装置5
本実施例の装置を構成している現像装置5は、現像剤tとして、一成分磁性トナー(ネガトナー)を用いた反転現像装置である。現像装置5の現像容器5d内には、現像剤(トナー)tと帯電促進粒子mとを含む、現像前混合剤(t+m)が収容されている。
【0074】
図1中の5aは、マグネットロール5bを内包させた、現像剤担持搬送部材としての非磁性回転現像スリーブであり、現像容器5d内に収納されている現像前混合剤(t+m)内のトナーtは、回転現像スリーブ5a上を搬送される過程において、規制ブレード5cで層厚規制及び電荷付与を受ける。回転現像スリーブ5aにコートされた現像前混合剤(t+m)は、現像スリーブ5aの回転によって、感光ドラム1と現像スリーブ5aの対向部である現像部位(現像領域部)aに搬送される。又、現像スリーブ5aには、現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加される。
【0075】
本実施例において現像バイアス電圧は、DC電圧=−500V、AC電圧=ピーク間電圧1600V、周波数1.8kHz、矩形波の、DC・AC重畳電圧とした。これにより、感光ドラム1上に形成されている静電潜像が、トナーtにより反転現像される。以下に、現像前混合剤(t+m)を構成する、現像剤(トナー)tと帯電促進粒子mとについて説明する。
【0076】
a)トナーt:本実施例で使用した現像剤は、一成分磁性トナーtを有するが、該トナーtは、結着樹脂、磁性体粒子、電荷制御剤等の成分を混合して、混練、粉砕、分級の各工程を経て作製される。更に、本実施例で使用する現像前混合剤(t+m)は、上記のようにして得られたトナーtに、帯電促進粒子mや流動化剤等を外添剤として添加して作製される。本実施例で使用したトナーtの平均粒径(D4)は、7μmであった。
【0077】
b)帯電促進粒子m:本実施例では、帯電促進粒子mとして、比抵抗が106Ω・cm、平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛を用いた。そして、帯電促進粒子mとしての酸化亜鉛を、上記で述べた分級工程後に得られるトナーt、100質量部に対して1質量部添加し、混合機により均一に分散させて現像装置内に収容させた。帯電促進粒子mの材料としては、本実施例で使用した酸化亜鉛に限定されず、他の各種金属酸化物等の導電性無機粒子や、これらと有機物との混合物、或いは、これらに表面処理を施したもの等、各種導電性粒子が使用可能である。
【0078】
上記のような材料からなる帯電促進粒子mの粒子抵抗は、粒子を介した電荷の授受が行われるため、比抵抗としては1012Ω・cm以下が必要であるが、より好ましくは1010Ω・cm以下となるように構成することが望ましい。この場合の抵抗値は、錠剤法によって測定し、正規化して求めた。具体的には、底面積2.26cm2の円筒内に凡そ顆粒にする前の促進粒子試料を0.5g入れ、上下電極に15kg(1.48×102N)の加圧を行うと同時に、100Vの電圧を印加して抵抗値を計測し、その後、正規化して比抵抗を算出した。
【0079】
帯電促進粒子mの粒径は、良好な帯電均一性を得るために50μm以下であることが望ましい。本発明では、粒子が凝集体を構成している場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、光学或いは電子顕微鏡による観察から100個以上抽出し、水平方向最大弦長を持って体積粒径分布を算出し、その50%平均粒径をもって決定した。本発明で使用する帯電促進粒子mは、一次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在することもなんら問題はない。即ち、どのような凝集状態であれ、凝集体で帯電促進粒子としての機能が実現できれば、その形態は重要ではない。
【0080】
本発明で使用する帯電促進粒子mは、特に感光体の帯電に用いる場合に、潜像露光の妨げにならないよう、白色又は透明に近いことが望ましい。更に、帯電促進粒子mが、感光ドラム1上から、被記録体Pに一部転写されてしまうことを考えると、特に、カラー記録に用いる場合は、無色或いは白色のものが望ましい。又、画像露光時に粒子による光散乱を防止するためにも、その粒径は、構成画素サイズ以下であることが望ましい。尚、帯電促進粒子mの粒径の下限値としては、粒子として安定に得られるものとして10nmが限界と考えられる。又、帯電促進粒子mは、露光の妨げにならないように非磁性であることが好ましい。
【0081】
(4)帯電促進粒子mの存在量
像担持体としての感光ドラム1と、接触帯電部材としての帯電ローラ2とのニップ部nにおける帯電促進粒子mの介在量は、少な過ぎると、該粒子mによる潤滑効果が十分に得られず、帯電ローラ2と感光ドラム1との摩擦が大きくて、帯電ローラ2を感光ドラム1に速度差を持って回転駆動させることが困難となる。つまり、帯電促進粒子mの介在量が少な過ぎると、駆動トルクが過大となり、無理に回転させると、帯電ローラ2や感光ドラム1の表面が削れてしまう。更に、この場合には、該帯電促進粒子mによる接触機会増加の効果が得られないこともあり、十分な帯電性能が得られない。一方、ニップ部nにおける帯電促進粒子mの介在量が多過ぎると、帯電促進粒子mの帯電ローラ2からの脱落が著しく増加し、作像上に悪影響がでる。
【0082】
本発明者らの検討実験によると、帯電促進粒子mの、帯電部材2と感光ドラム1との間の介在量は、103個/mm2以上とすることが望ましい。103個/mm2より低いと、帯電促進粒子mを介在させたことによる潤滑効果と接触機会増加の効果が、十分には得られず、帯電性能の低下が生じる傾向がある。より望ましくは、介在量を、103〜5×105個/mm2とすることが好ましい。即ち、介在量が5×105個/mm2を超えると、帯電促進粒子mの感光体へ脱落が著しく増加し、粒子自体の光透過性を問わず、感光体への露光量不足を生じる恐れがある。5×105個/mm2以下であれば、脱落する粒子量も低く抑えられるので、帯電促進粒子mが感光体へ脱落することによって生じる悪影響を抑制できる。更に、良好な状態で画像形成が行なわれた場合の帯電後の感光体上に脱落した帯電促進粒子mの存在量を測定したところ、102〜105個/mm2であったことから、作像上弊害がないより好ましい帯電部材2と感光ドラム1との間の介在量としては、105個/mm2以下が望まれる。
【0083】
ここで、上記した帯電部材2と感光ドラム1との間の介在量、及び感光体上の帯電促進粒子mの存在量の測定方法について述べる。先ず、上記介在量としては、帯電ローラと感光体の接触面部を直接測ることが望ましいが、帯電ローラに接触する前に感光体上に存在した粒子の多くは、逆方向に移動しながら接触する帯電ローラに剥ぎ取られることから、本発明では、接触面部に到達する直前の帯電ローラ表面の粒子量をもって該介在量とした。具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で感光体及び帯電ローラの回転を停止し、感光体及び帯電ローラの表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影した。この際、帯電ローラについては、帯電ローラを感光体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて該接触面を1000倍の対物レンズで撮影した。そして、得られたデジタル画像から、個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測した。
【0084】
又、感光体上に脱落した帯電促進粒子mの該存在量についても、感光体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し、上記と同様の処理を行って計測した。更に、上記した介在量の調整は、現像装置5に収容されているトナーtにおける帯電促進粒子mの配合量を適宜に設定することにより行った。一般には、100質量部の現像剤(トナー)tに対して、帯電促進材mが0.01〜20質量部となるように調整することが好ましい。
【0085】
(5)直接注入帯電
上記したような配合量で、現像装置5の現像容器5d内に収容されている現像前混合剤(t+m)の帯電促進粒子mは、現像スリーブ5aによる感光ドラム1上の静電潜像のトナー現像時に、トナーtとともに適当量が感光ドラム1に移行する。感光ドラム1上のトナー画像は、転写ニップ部bにおいて、転写バイアスの影響で転写材P側に引かれて積極的に移行する。しかし、この際に、感光ドラム1上の帯電促進粒子mは、導電性であるので、転写材P側には積極的には移行せず、感光ドラム1上に実質的に付着保持されて残留する。そして、この感光ドラム1面に実質的に付着保持される帯電促進粒子mの存在によって、トナー画像の感光ドラム1側から転写材P側への転写効率が向上する効果が得られる。
【0086】
更に、本実施例の装置は、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置であり、クリーナを用いないため、転写後の感光ドラム1面に残存する転写残トナー及び上記の残存帯電促進粒子mは、感光ドラム1と接触帯電部材である帯電ローラ2の帯電ニップ部nに感光ドラム1の回転でそのまま持ち運ばれ、帯電ローラ2に付着混入することになる。従って、本実施例の装置では、感光ドラム1と帯電ローラ2とのニップ部nに、この帯電促進粒子mが存在した状態で感光ドラム1の接触帯電が行われる。尚、印字初期においては、帯電ローラ2表面に帯電促進粒子mが供給されず帯電が行えないので、帯電ローラ表面には、予め帯電促進粒子mを塗布しておくことが望ましい。
【0087】
この帯電部材2と感光ドラム1との間に介在する帯電促進粒子mの存在によって、帯電ローラ2にトナーtが付着混入した場合でも、帯電ローラ2の感光ドラム1への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材が帯電ローラのような簡易な部材であり、しかも帯電ローラの転写残トナーによる汚染が生じているにもかかわらず、該帯電ローラ2による感光ドラム1への直接注入帯電を行わせることができる。
【0088】
つまり、帯電ローラ2が、帯電促進粒子mを介して密に感光ドラム1に接触して、帯電ローラ2と感光ドラム1とによって形成されているニップ部nに存在する帯電促進粒子mが、感光ドラム1表面を隙間なく摺擦することで、帯電ローラ2による感光ドラム1の帯電は、帯電促進粒子mの存在により放電現象を用いない、安定且つ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来、一般的に用いられているローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、この結果、帯電ローラ2に印加した電圧とほば同等の電位を感光ドラムに与えることができる。
【0089】
又、帯電ローラ2に付着・混入した転写残トナーは、帯電ローラ2から徐々に感光ドラム1上に吐き出されて感光ドラム1面の移動とともに現像部位aに至り、現像装置5において現像同時クリーニング(回収)される(トナーリサイクルプロセス)。
【0090】
現像同時クリーニングは、前述したように、転写後に感光ドラム1上に残留したトナーを、引き続く画像形成行程の現像時、即ち、引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、その潜像の現像時において現像装置のカブリ取りバイアス、即ち、現像装置に印加する直流電圧と感光体表面電位感の電位差であるカブリ取り電位差Vbackによって回収するものである。本実施例におけるプリンタのように反転現像の場合では、この現像同時クリーニングは、感光体の暗部電位から現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位ヘトナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0091】
又、本実施例におけるプリンタでは、帯電ローラ2から帯電促進粒子mが脱落しても、画像形成装置が稼働されることで、前述したように、現像装置5のトナーtに混合させた帯電促進粒子mが現像部位aで感光ドラム1面に移行し、該感光ドラム1の回転により転写ニップ部bを経て帯電ニップ部nに持ち運ばれて帯電ローラ2に逐次に供給され続けるため、帯電促進粒子mの存在による良好な帯電性が安定して維持される。
【0092】
更に、本発明では、被帯電体としての感光ドラム1と帯電部材としての帯電ローラ2の移動方向は、0でないある角度をもって交差する関係にする構成としてもよい。即ち、このように構成すれば、帯電ローラ2と感光ドラム1との離型時の帯電ローラ2の変形形状や量を、長手方向について均一に保つことが可能となる。この結果、帯電ローラ2上に担持した帯電促進粒子mの感光ドラム1への脱落を均一にし、長手方向に均一な帯電を行うことが可能となる。
【0093】
以上のようにして、帯電促進粒子mを用いた直接注入帯電方式、転写方式、及びトナーリサイクルプロセスを有する本実施例の画像形成装置において、接触帯電部材として帯電ローラ2を使用して、しかも該帯電ローラ2の転写残トナーによる汚染にもかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、長手方向に均一な帯電性を与えることができ、オゾン生成物による帯電不良による障害等のない、簡易な構成低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0094】
帯電ローラ2と感光ドラム1とのニップ部nに帯電促進粒子mを介在させることにより、帯電促進粒子mの潤滑効果(摩擦低減効果)によって、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。又、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に速度差を設けることにより、帯電ローラ2と感光ドラム1のニップ部nにおいて、帯電促進粒子mが感光ドラム1に接触する機会が格段に増加されて高い接触性を得ることができ、容易に直接注入帯電をすることが可能となる。
【0095】
上記した速度差を設ける構成として、好ましくはニップ部nに持ち運ばれる感光ドラム1上の転写残トナーを帯電ローラ2に一時的に回収し、ならすために、帯電ローラ2を回転駆動し、更に、その回転方向は、感光ドラム1表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、逆方向回転で感光ドラム1上の転写残トナーを一旦引き離し帯電を行うことにより、優位に直接注入帯電を行うことができる。
【0096】
以下、本実施例の装置を構成する転写部材としての転写ローラ6について説明する。本実施例で使用した転写ローラ6は、少なくとも一層以上から構成された積層構造を有し、具体的には、図1に示したように、芯金6aに半導電発泡層6bが積層されて構成され、更に、該発泡層6bの表面には、高分子層である最表面層が形成されて離型処理されている。
【0097】
この際に形成した半導電性発泡層6bは、半導電性弾性層からなるが、以下の製造方法によって作製した。具体的には、スポンジ(弾性体)の材料にはEPDMを用い、EPDMに、以下の方法によって導電性を付与した。形成材料に、EPDM(EPT−9070E、三井化学(株)製)100質量部に対して、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、ZnO・Al2O3 100質量部、カーボンブラック50質量部及びパラフィンオイル60質量部、加硫促進剤MBT(メルカプトベンゾチアゾール)2質量部、DPTT(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)1.5質量部、硫黄2質量部、更に、加硫時に発泡させるために発泡剤としてADCA(アゾジカルボジアミド)を12質量部添加したものを用いた。そして、先ず、このゴム材料を用いて押し出し成形によってチューブ状に成形し、次に、蒸気加硫による加硫を160℃、30分の条件で行い、更に電気炉によって2次加硫を150℃、30分の条件で行って加硫発泡物を得た。
【0098】
上記のようにして得た弾性体チューブに、接着剤を塗布した芯金6aを圧入して接着し、その後、導電性弾性層表面を研磨処理して直径20mm、長さ230mmのローラ状の帯電部材を作製した。芯金6aには、SUSを用いた。得られた転写部材の電気抵抗値を、図4に示した装置を用いて測定した。その際に、ローラの両端を4.9Nの加重で当接し、アルミ製ドラムを回転させながら測定した。この結果、電気抵抗値は、N/N環境下24時間放置後、直流電圧2kV印加で5×108Ωであった。
【0099】
次に、上記のようにして得た半導電性発泡層6b(図2中では22)上に、更に、下記のようにして高分子層である最表面層21を形成した(図2参照)。表面層21の形成材料には、ポリカーボネート系ポリウレタンの水系の塗料(HUX−380−6、旭電化(株)製)に、導電性粒子としてSnO2・Sb2O5を水中に分散させたスラリーを使用した。導電性粒子の配合量は、上記水系の塗料中の樹脂に対して固形分で5質量%とした。混合方法は、スターラー等で簡単に混ぜ合わせるだけで樹脂中に導電フィラーを均一分散させることが可能であるが、適宜、適当な分散機を用いることも可能である。
【0100】
このように作成した塗料を、先に作製した転写ローラ(スポンジローラ)6表面にコートして最表面層を形成した。本実施例では塗工方法としてディッピング塗工方法を用いたが、この他にも、ロール塗工法ビーム塗工法等適宜用いることができる。形成した最表面層の塗膜としての抵抗値は、1×1015Ω・cmであった。尚、この場合の抵抗値は、次のようにして測定した。表面層を形成するための上記した塗料をアルミニウムシート上に塗布し、加熱乾燥して15〜20μm厚の塗膜を形成する。シートを上下面から直径5mmの電極ではさみ、100Vの直流電圧を印加して抵抗値を測定する。
【0101】
上記で最表面層を形成する際にディッピング塗工を行った条件は、前記塗工液中から転写ローラ6を30mm/sec.の速さで引き上げ、塗工膜厚が20μm程度となるようにした。塗工後、転写ローラ6を120℃で30min.乾燥した。得られた転写ローラ6の抵抗値は6×108Ωであった。
【0102】
上記のようにして得た表面が高分子層21の形成によって離型処理されている転写ローラ6を、図1に示した構成を有する本実施例のプリンタの転写ローラ6として装着し、N/N環境下で普通紙を用いて画像評価を行ったところ、良好な転写性が得られた。次に、連続通紙を3000枚行ったところ、抵抗値の変動もなく、良好な転写画像が得られた。又、転写ローラ6表面の汚れもなく、通紙に伴う紙の裏汚れも発生しなかった。又、同様にして、厚紙、封筒に対しても同様な汚れの確認を行ったが、裏汚れ等の発生がなく、良好な画像が得られた。
【0103】
<実施例2>
本実施例の装置は、下記の転写ローラを用いる以外は実施例1と同様の構成を有する画像記録装置(図1)である。本実施例では、転写ローラ6を構成する半導電性弾性層6bを以下のようにして作製した。弾性材料として、NBRとして日本ゼオン社製DN300(商品名、ニトリル分28%)を80部と、日本ゼオン社製エピクロルヒドリンゴムGechron1000(商品名)を20部と、日本ゼオン社製液状ニトリルゴム1312(商品名)を30部とを用い、これに酸化亜鉛3部と、ステアリン酸2部、炭酸カルシウム40部と、フッ素化アクリレート化合物(ディフェンサMCF−323SF、大日本インキ(株)製)10部を加えて加圧ニーダーにて混合し、更に、これに、硫黄0.5部と、加硫促進剤としてM(メルカプトベンゾチアゾール)2部、TRA(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)1.5部、ハイドロタルサイト3部、及び6−メチルキノキサリン2,3−ジチオカーボネート1部と、発泡剤ADCA(アゾジカルボジアミド)10部をオープンロールにて混合して、導電性弾性体層6bを形成するための原料ゴムを得た。
【0104】
この原料ゴムを押出成形によってチューブ状に成形した。その後、これを、蒸気加硫によって加硫を160℃、30分行い、更に、電気炉によって2次加硫を150℃、30分行い、加硫発泡物を得た。このようにして得られたチューブ上の弾性発泡体に、接着剤を塗布した芯金6aを圧入して接着後、弾性発泡体の表面を研磨して、導電性弾性層6bを有する直径15mmのローラを得た。芯金6aは、実施例1と同様のものを使用した。
【0105】
更に、上記で得られたローラの導電性弾性層6bの表面を紫外線照射装置(185nm、245nmが波長主成分)を用いて40mW/cm2で10分間処理して、表面が紫外線照射によって離型処理されている転写ローラ6を得た。
上記で得られた転写ローラの電気抵抗値を図4に示した装置を用いて測定したところ、電気抵抗値は、N/N環境下24時間放置後、直流電圧2kV印加で、7×108Ωであった。測定の際には、ローラの両端を4.9Nの加重で当接し、アルミ製ドラムを回転させながら測定した。更に、この転写部材のasker
C硬度は35°であった。
【0106】
この転写ローラを実施例1で説明したと同様の構成を有する画像記録装置(図1)に装着し、実施例1と同様にして、2000枚の連続通紙画像評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0107】
<実施例3>
本実施例の装置は、下記のようにして得られる転写ローラを用いる以外は実施例1と同様の構成を有する画像記録装置(図1)である。本実施例では、転写ローラを構成する芯金6a及び半導電性弾性層6bは、実施例1と同様のの処方で作製したものを使用した。この半導電弾性層6b(図3中では32)の表面空孔内に、粒径2μmの真球状シリコーン樹脂粒子31(トスパール120、東芝シリコーン(株)製)を充填して、転写ローラを得た(図3参照)。
【0108】
この転写ローラを実施例1で説明したと同様の構成を有する画像記録装置(図1)に装着し、実施例1と同様にして画像評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0109】
<比較例1>
実施例1で説明したと同様の構成を有する画像記録装置(図1)において、転写ローラ6に、離型層である表面層が形成されていないこと以外は実施例1で作製したと同様の半導電性弾性体層6bのみを有する転写ローラを用いた。その他画像記録装置構成は、いずれも実施例1の画像記録装置と同じである。
この転写ローラを、実施例1で説明したと同様の構成を有する画像記録装置(図1)に装着し、実施例1と同様にして画像評価を行った。この結果、1000枚耐久において普通紙の端部にトナーによる汚れが発生した。又、厚紙の端部にも同様に汚れが発生した。又、封筒では、端部汚れに加えて裏汚れが確認された。
【0110】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、帯電部材と被帯電体とのニップ部に帯電促進粒子である導電性粒子が介在する接触タイプの帯電装置を有する画像形成装置でありながら、転写部材の表面を、電子線、電磁波又はプラズマによる照射処理等や、高分子層からなる表面層を設ける等の離型処理することによって、帯電促進粒子やトナーが転写部材に転移し、転写部材表面が部分的に粒子付着によって抵抗値が変動したり、付着した帯電促進粒子が感光体上に再転移し、感光ドラムの潜像形成を妨げたり、更にその上に堆積したトナーによって転写材を汚したりすることなく、又、転写材に付着して定着部材を汚染し、画像の定着不良等を生じることがなく、高品位の画像を長期にわたって形成することができる画像形成装置が提供される。又、本発明によれば、かかる画像形成装置を用いることで、像担持体クリーナを装備しない小型・低コストの画像記録装置の提供を実現するとともに、帯電均一性、耐久に優れた画像記録装置の提供の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の画像記録装置の概略図である。
【図2】実施例1による転写ローラの表層部の拡大断面図である。
【図3】実施例3による転写ローラの表層部の拡大断面図である。
【図4】半導電性弾性ローラの電気抵抗値測定装置の構成を示した図である。
【図5】電荷注入層を有する感光体例の層構成模式図である。
【図6】その他の実施例の画像記録装置の概略図である。
【符号の説明】
1:感光体(像担持体)
2:帯電ローラ(接触帯電部材)
2a、6a:芯金
2b:半導電抵抗層
4:レーザビームスキャナ(露光装置)
5:現像装置
5a:現像スリーブ
5b:マグネットローラ
5c:現像規制ブレード
5d:現像容器
6:転写ローラ
6b:導電性弾性体層
7:定着装置
a:現像部位
b:転写ニップ部
n:帯電ニップ部
m:帯電促進粒子
t:一成分磁性トナー(現像剤)
P:被記録体
8:帯電促進粒子供給塗布装置
9:クリーニング装置(クリーナ)
9a:ゴムブレード
11:Alドラム基体
12:下引き層
13:正電荷注入防止層
14:電荷発生層
15:電荷輸送層
16:電荷注入層
21:表面層
22:半導電弾性層
31:充填粒子
32:半導電弾性層
41:半導電性弾性ローラ(転写ローラ)
42:アルミドラム
43:導電性芯金
44:電流計
Claims (10)
- 被帯電体とニップ部を形成する帯電部材を有し、少なくとも該帯電部材と被帯電体とのニップ部に介在している帯電促進粒子である導電性粒子によって被帯電体の表面を帯電させる帯電装置と、該被帯電体表面上に形成された可視像を転写部材によって転写材に静電転写させる転写装置とを有する画像形成装置であって、上記転写部材の表面が離型処理されていることを特徴とする画像形成装置。
- 前記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、且つ、その最表面が、電子線照射、電磁波照射及びプラズマ照射のいずれかから選ばれる少なくとも1の手段によって離型処理されている請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、且つ、その最外層が高分子層である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記高分子層が、少なくともポリカーボネート化合物を含む請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記転写部材が、少なくとも一層以上から構成され、該転写部材の最外層に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含む請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記転写部材が、導電性弾性体を形成材料に含み、且つ、該導電性弾性体が発泡体である請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材の表面が、被帯電体表面に対して速度差を持って移動し、その間に被帯電体表面が帯電される請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材が、エチレン−プロピレン共重合体を主成分とするゴム及び導電材を含有してなる請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記被帯電体の最外層に導電性粒子が含有されている請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 被帯電体と、その周りに配置された、帯電装置、像露光装置、現像装置、転写装置、及び被記録体上の画像を定着する定着装置からなる電子写真方式の画像記録装置において、転写工程後の像担持体表面に残留した現像剤を少なくとも帯電装置に一時担持し、像担持体を通して再度現像装置に回収する像担持体クリーナレス構成を有し、且つ、上記帯電装置が、請求項1乃至9の何れか1項に記載の帯電装置であることを特徴とする画像記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002272138A JP2004109500A (ja) | 2002-09-18 | 2002-09-18 | 画像形成装置及び画像記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002272138A JP2004109500A (ja) | 2002-09-18 | 2002-09-18 | 画像形成装置及び画像記録装置 |
Publications (1)
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JP2004109500A true JP2004109500A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32269240
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004109500A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006309128A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-11-09 | Tokai Rubber Ind Ltd | 現像ロール |
JP2019012207A (ja) * | 2017-06-30 | 2019-01-24 | 住友ゴム工業株式会社 | 半導電性ローラ |
-
2002
- 2002-09-18 JP JP2002272138A patent/JP2004109500A/ja not_active Withdrawn
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