JP2004109070A - 放射性物質格納容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質11を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体3を設けた胴本体2と、胴本体2に取り付けられた蓋部6とを備えた放射性物質格納容器1において、前記蓋部6を二重に備え且つ一次蓋7と二次蓋8の間に突起または隙間部材15を設け、前記突起または前記隙間部材15と前記蓋部6を略接触させることにより、前記蓋部6の強度問題を解決し、前記一次蓋7と前記二次蓋8によって作られる空間13に加圧ガスを封入することにより、気密問題を解決できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃焼を終えたリサイクル燃料集合体を収容する圧力容器であって、さらに詳しくは、軽量且つγ線を遮蔽できる放射性物質格納容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
核燃料サイクルの終期にあって燃焼を終えた核燃料集合体を、リサイクル燃料集合体という。リサイクル燃料集合体は、FPなど高放射能物質を含むので熱的に冷却する必要があるため、原子力発電所内の冷却ピットで所定期間(3〜6ヶ月間)冷却される。その後、放射性物質格納容器に収納され、車両または船舶で再処理施設に搬送、貯蔵される。そして、このようなリサイクル燃料集合体は高放射性物質であるため、これを収納した輸送貯蔵容器は放射性物質に対する高い密閉性および遮蔽性を有し、且つ、長期間にわたってその密閉性および遮蔽性を維持することが必要となる。
【0003】
図12は、従来の放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。放射性物質格納容器1は、金属製の胴本体2と、胴本体2の外周に設けられた中性子遮蔽体3と、その外筒4、並びに底部5および蓋部6から構成されている。底部5は、胴本体2と突合せ溶接により接合され、または胴本体2と一体鍛造成形される。一次蓋7と二次蓋8は、胴本体2に対してステンレス製等のボルトにより固定されている。蓋部6と胴本体2との間には、金属製のガスケット9、10が介在し、内部の気密を保持している。リサイクル燃料集合体等の放射性物質11は、胴本体2のキャビティ12内に収められたバスケット(図示せず)に収納されている。
【0004】
ところで、一次蓋7と二次蓋8のそれぞれの気密性を監視するために、通常は特殊なガスを封入して周囲の環境よりも高圧にし、封入ガスの圧力変化の有無から気密性を監視している。そこで、一次蓋7と二次蓋8の間を空けて必要な空間容積を確保していた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、この放射性物質格納容器1は、水の張られたピット内で放射性物質11を装荷し、一次蓋7を胴本体2に取り付けた状態にてピットから取り出され、その後、腐食原因となる内部の水抜きを行う。続いて、キャビティ内の気密を管理するため、ヘリウムのような不活性ガスを注入しその気密性を確認する。このため、一次蓋7には、内部圧力を監視する圧力センサが設けられている(図示省略)。ここで、一次蓋7と胴本体2とのフランジのシール溝18には金属製のガスケット9が設けられ、内部の密閉性を保持している。このフランジのシール溝18に水が残っていることがあり、前記一次蓋7と胴本体2のフランジのシール溝18に密閉部材を入れ、前記シール溝18側からの排水を考慮しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−179699号公報 (第1−3頁、図)
【特許文献2】
特開2001−201594号公報 (第1−5頁、第5図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように一次蓋7と二次蓋8の間を空けて必要な空間容積を確保すると、落下等の衝撃によるキャビティ12内の荷重が直接一次蓋7に加わることになるので、当該一次蓋7は胴本体2に対してガスケットの許容する復元量以上のシール面の隙間やズレに対する追従量以上のズレを生じないように、複数のボルトで胴本体2に対して強固に締め付けられており、さらに一次蓋7に強度を持たせるため、所定の厚みが必要となりそれだけ重量が増す原因となっていた。
【0008】
また、一次蓋7と二次蓋8を接触させる場合、製作精度誤差により胴本体2と二次蓋8との間に間隙ができ、密閉性が問題となることがあった。また、気密性を確認するためには、蓋間の空間容量をある程度大きくして、圧力センサの指示値が過度に触れないように設計する必要があったが、蓋間を接触させる場合、この空間容量を大きくできないという問題があった。しかし、単に蓋間を離すと、それぞれの蓋は単独で所定の荷重に耐えられるものにする必要があって、容器重量を重くするという問題があった。
【0009】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、上記強度問題と気密問題を同時に解決できる放射性物質格納容器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明に係る放射性物質格納容器は、キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、前記蓋を二重に備え且つ当該蓋同士の対向面の片方側に突起を設けると共に、この突起と他方側の蓋の間に所定の間隙を形成し、前記間隙は、一方または双方の蓋が変位したときに、前記突起が前記他方側の蓋に接触する寸法であることを特徴とする。このように、どちらかの蓋あるいは双方の蓋に外力が作用したとき、一方の蓋の突起が他方の蓋に接触することにより、二次蓋の剛性を一次蓋に合力させて、または一次蓋の剛性を二次蓋に合力させて蓋の剛性を確保することができる。よって、二次蓋のみで外力を受ける必要がなくなり、一次蓋の剛性を加味して設計すればよいので、当該二次蓋を厚くする必要がない。また、一次蓋と二次蓋との間に隙間を設けているので、蓋間の空間の真空乾燥が確実に行えると共に、蓋間の空間容量を確保するのが容易である。また、蓋間の隙間を確保するための修正が必要な場合、修正すべき面は突起の先端のみなので、容易に修正できる。
【0011】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、前記蓋を二重に備え且つ当該蓋同士の対向面の両方側に突起を設けると共に、一方側の蓋の突起と他方側の突起を有する蓋との間に所定の間隙を形成し、前記間隙は、一方または双方の蓋が変位したときに、片方側の蓋の突起と他方側の蓋が接触する寸法であることを特徴とする。このように、二重蓋の双方に突起を設けることにより、前述の強度問題および気密問題を解決できる。また、突起を設けることにより、蓋間の熱の放散面積を容易に増大させることができるので、一次蓋から二次蓋への熱伝達性能を向上できる。
【0012】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、前記蓋を二重に備えると共に、それら蓋の間の空間に挿入され且つ部分的に二重蓋を略接触させる隙間部材を設けることを特徴とする。ここで、略接触するとは、二重蓋に外力が作用していない場合、一方の蓋と隙間部材は接触しているが、他方の蓋と隙間部材は接触しておらず、また、どちらかの蓋あるいは双方の蓋に外力が作用した場合、接触していな且つた蓋と隙間部材の一部分もしくは全部が接触することをいう。前記隙間部材に突起を設けることにより、前記突起同士の間に空間ができ、蓋間の空間容量を確保できる。このように二重蓋を略接触させる隙間部材を設けることにより、前述の蓋の強度問題、密閉問題を解決することができる。さらに、蓋単体の自重が軽くなり、取り付け時のハンドリングが容易となる。
【0013】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、突起を有する前記蓋と他方側の前記蓋との間隙、または蓋と二重蓋の一部分に対して略接触させる隙間部材との間隙の大きさが、放射性物質格納容器の軸方向における前記突起または前記隙間部材の大きさより小さいことを特徴とする。突起付き蓋と他方側の蓋、または蓋と二重蓋の一部分に対して略接触させる隙間部材が、略接触するための間隔は微小であることが望ましい。また、密閉性を確認するための加圧ガスが封入される空間はある程度必要である。よって、突起付き蓋と他方側の蓋との間隙、または蓋と二重蓋の一部分に対して略接触させる隙間部材との間隙の大きさが、前記突起または前記隙間部材における貯蔵容器の軸方向の大きさより小さくすることにより、上記略接触状態を担保できる。
【0014】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、突起を有する前記蓋と他方側の前記蓋との間隙、または前記蓋と二重蓋の一部分に対して略接触させる隙間部材との間隙の大きさが、1mm以下であることを特徴とする。ここで、突起を有する蓋と他方側の蓋との間隙、または二重蓋と隙間部材との間隙は0mmが常に荷重が伝達できるという点では理想であるが、製作における精度誤差により、一次蓋の面に対して二次蓋の突起等が先に接触する場合、二次蓋と胴本体との間が密着せずに隙間ができ、キャビティ内の密閉性が損なわれることがある。これに対して、突起を有する蓋と他方側の蓋との間隙、または蓋と二重蓋の一部分に対して略接触させる隙間部材との間隙の大きさが、0mmより大きく、好ましくは、0.01mm以上、さらに好ましくは、0.05mm以上で、1mm以下となるようにすると、前述の蓋の強度問題、密閉問題を同時に解決することができる。ここでは、製作誤差を考慮しているが、より良く荷重の伝達を行うには突起を有する蓋と他方側の蓋との間隙、または二重蓋と隙間部材との間隙は狭いほど良く、0mmより大きく、好ましくは、0.01mm以上、さらに好ましくは、0.05mm以上で、0.5mm以下とするのが好ましい。
【0015】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記突起または前記隙間部材が、前記二重蓋の間隙に対し、マイナス公差で製作されることを特徴とする。このようにすると、前述の蓋の強度問題、密閉問題を解決することができる。上記のように製作誤差によっては、二次蓋と胴本体との間に隙間ができるが、前記突起または前記隙間部材を、二重蓋の間隙に対してマイナス公差で製作することで、必ず二次蓋と胴本体とが先に接触することになる。したがって、これら二次蓋と胴本体が隙間なしで密着し、キャビティ内の密閉性を担保できるようになる。
【0016】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記蓋の中心部分における単位面積当たりの前記突起または前記隙間部材の占める割合が円周部に比べ、多いことを特徴とする。蓋の端部に比べ、変位量の大きい中心部に突起が存在すると、蓋に外力が加わったとき、荷重を他方の蓋に伝えやすい。
【0017】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記突起または前記隙間部材が、蓋の中心を起点とする同心円であることを特徴とする。蓋の突起または隙間部材の形状が同心円状であるので、容易に製作することが可能である。
【0018】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記突起または前記隙間部材が、蓋の中心から外周に向かう渦巻き状であることを特徴とする。一次蓋は水中で胴本体にセットされ、水中から取り出された後に内部の水が取り除かれることになるが、ボルトのネジ部等の間隙にわずかばかりの水が残る場合がある。残留水は腐食等の原因となるため、二次蓋を取り付け後に二次蓋側から真空排気等を行い当該水を除去する必要がある。このとき、前記突起等は、同心円よりも渦巻き状のほうが水を除去する時間を短縮できる。
【0019】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記突起または前記隙間部材に蓋の中心から外周方向に向かう溝が一つ以上設けられることを特徴とする。このように外周方向に溝を設けらることで、外部への積極的な真空排気の通路が確保でき、蓋の間隙に残っている水を除去する時間の短縮にも効果的である。なお、この溝は中心から外周に向かい一直線上に設けても良いし、一直線上に設けなくても良い。
【0020】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記突起または前記隙間部材は、蓋の中心を起点とし、放射状に形成されることを特徴とする。このように放射状に突起または隙間部材を設けると、同心円のものよりも水を除去する時間の短縮に効果がある。また、蓋の中心で前記突起または前記隙間部材がつながっていると、蓋の剛性アップに前記突起または前記隙間部材が寄与できる。
【0021】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記突起または前記隙間部材が、柱状または台状であることを特徴とする。ここで、柱状とは、三角柱、四角柱、円柱、楕円柱等を含み、角柱や円柱の軸方向に、矩形や円等の孔が設けられているものも含まれる(以下同様)。また、柱状の側面は、軸方向に平行な面で構成されているが、台状は、側面の一つ以上が軸方向に平行でない面で構成される(以下同様)。一方の蓋から他方の蓋への伝達荷重が小さくてよいときは、一次蓋と二次蓋が略接触する面積が小さくてよく、前記突起または前記隙間部材の大きさを小さくできる。よって、前記突起または前記隙間部材の体積が、一次蓋と二次蓋の空間の空間体積よりも小さくでき、二重蓋の間隙の空間を大きくとることができる。また、一方の蓋から他方の蓋へ伝達する荷重が大きいときは、一次蓋と二次蓋が略接触する面積を大きくし、前記突起または前記隙間部材の大きさを大きくする。
【0022】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、突起が二次蓋に設けられていることを特徴とする。このように、二次蓋に突起が設けられると、一次蓋に突起が設けられている場合に比べ、プールから出てきたときの一次蓋の表面に残っている水を除去する際、一次蓋が平面であることから、作業性が良いという効果を奏する。
【0023】
また、放射性物質格納容器において、蓋と胴本体との密閉のために前記蓋と前記胴本体のフランジのシール部にガスケットを設けているが、この部分に水が残っていることがある。水を除去するために、送気口と排水口を蓋側に設け排水を行っていたが、シール部全周の水を除去することが困難であった。
【0024】
上記に鑑み、この発明に係る放射性物質格納容器は、キャビティ内にリサイクル燃料集合体を収容するバスケットを備えると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体のフランジ部に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、蓋と胴本体との接合部分にて、蓋または胴本体の一方にシール溝を設け、前記蓋にシール溝と外部を連通する第一の穴を設け、且つ胴本体に前記シール溝と外部を連通する第二の穴を設けたことを特徴とする。前記蓋のフランジのシール溝と外部を連通する穴から気体を送ることで、前記胴本体のフランジのシール溝と外部を連通する穴から排水できる。
【0025】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記蓋と前記胴本体との接合部分にて、蓋または胴本体の一方にシール溝を設け、前記蓋にシール溝と外部を連通する第一の穴を設け、且つ胴本体に前記シール溝と外部を連通する第二の穴を、且つ突起付き蓋と他方の蓋、または部分的に二重蓋を略接触させる隙間部材とを有することを特徴とする。このようにすると、前述の蓋部の強度問題および密閉問題に加え、蓋および胴本体のフランジ部分の排水問題を解決でき、信頼性の高い放射性物質格納容器を供給できる。
【0026】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、前記蓋を二重に備え且つ当該蓋同士の対向面の両方に突起を設けると共に、一方の蓋の突起先端が他方の蓋の隣り合う突起同士の間の溝底に略接触することを特徴とする。前記突起同士の間の溝底とは、突起の凸部の先端部に対して隣り合う突起によって作られる凹部の底部をいう。このようにすると、蓋同士での荷重伝達ができるので、前述の蓋部の強度問題および密閉問題が解決できる放射性物質格納容器を供給できる。さらに、二重蓋の双方の突起がはまり込むことにより、キャビティ内の熱を一次蓋から二次蓋へ伝熱しやすくなり、外へ放熱することができる。よって、長期使用時における前記ガスケットの機械的性能の低下を抑制できる。
【0027】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、前記蓋を二重に備え且つ当該蓋同士の対向面の両方に突起を設けると共に、双方の蓋の突起先端が他方の蓋の隣り合う突起同士の間の溝底に略接触することを特徴とする。このようにすると、一方の蓋の突起先端が他方の蓋の溝底に略接触している状態よりも、略接触している面積が増えるので、外部への放熱を積極的に行うことができる。
【0028】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、前記突起の断面が略台形であることを特徴とする。断面が略台形には、台形のみならず、角部に丸みまたは面取りが設けられているものを含む。このようにすると、温度分布に配慮でき、伝熱性は向上する。
【0029】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、前記蓋を二重に備え且つ当該蓋同士の対向面の両方に突起を設けると共に、双方の蓋における突起同士の一部または全部が軸方向に略平行な面で略接触することを特徴とする。ここで、軸方向に略平行な面には、軸方向に平行な面および軸方向に斜めになっている面も含まれる。このようにすると、加圧ガスを封入する空間を有しているので、気密問題を解決でき、さらに軸方向に略平行な面で略接触している部分からの伝熱が促進される。また、接触した前記面の他方のいずれか一面が、その隣り合う面と空間を有することにより、加圧ガスを封入する空間がより大きく確保できる。
【0030】
また、この発明に係る放射性物質格納容器は、二次蓋の大気側に突起を設けることを特徴とする。このようにすると、二次蓋の大気側の接触面積が拡大され、更なる放熱が期待できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、従来例で述べたものと同一の構成については、説明を省略すると共に、符号を統一して説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。図2は、図1のA部の詳細、つまり、蓋の突起部分の拡大図である。この実施の形態の放射性物質格納容器1には、キャスクやキャニスタ等が含まれる。胴本体2および底部5は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品であり、それぞれを溶接にて取り付けても良いし、一体成形としてもよい。なお、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。胴本体2と外筒4の間には、水素を多く含有する高分子材料である中性子遮蔽体3としてレジンが充填されている。
【0033】
蓋部6は、一次蓋7と二次蓋8により構成される。この一次蓋7および二次蓋8は、γ線を遮蔽するステンレス鋼製または炭素鋼製の円盤形状である。前記二次蓋8には、中性子遮蔽体14であるレジンが封入されており、さらに、前記一次蓋7と面する側に突起15を設けている。前記突起15と一次蓋7は、蓋部6に荷重がか且つたときに前記突起15と前記一次蓋7が接触することのできる間隙16を有している。一次蓋7と二次蓋8は、ステンレス製または炭素鋼製のボルト17によって胴本体2に取り付けられている。さらに、一次蓋7および二次蓋8と胴本体2とのフランジのシール部にはそれぞれ金属製のガスケット9、10が設けられ、内部の密閉性を保持している。
【0034】
上記の放射性物質格納容器1は、水の張られたピット内で放射性物質11をバスケット(図示せず)内に装荷し、一次蓋7を胴本体2に取り付けた状態にてピットから取り出される。水は腐食の原因となるので、キャビティ12内の水を、図示しない一次蓋7の穴から圧縮気体を挿入して一次蓋7の穴から抜く。しかしながら、わずかばかりの水がキャビティ内に残るので、真空乾燥によりキャビティ12内を乾燥させるようにする。そして、キャビティ内の発錆防止のため酸素除去と気密を管理するため、ヘリウムのような不活性ガスを大気よりやや低い圧力まで注入し、キャビティ12内の気密性を確認後に二次蓋8を取り付ける。このとき、一次蓋7のボルト17のネジ部等に水がまだ残っているので、先程と同様、真空乾燥により乾燥させる。二次蓋8には突起15が設けられ、突起15がない部分では空間13がある。気密を管理するために、ヘリウムのような不活性ガスを大気より高圧にして前記空間13に注入する。これにより、二次蓋8に設けたセンサで前記加圧ガスの圧力変化を監視することで、キャビティ12内の気密性を確認できる。放射性物質格納容器1は、この状態にて保管される。
【0035】
また、上記の状態にて放射性物質格納容器1が保管されていて、場所移動するときに落下した場合、キャビティ12内の放射性物質11は落下姿勢によっては、一次蓋7を図の上方向に押し上げようとする。このとき、前記一次蓋7が変位して、二次蓋8の突起15と接触し、前記一次蓋7からの荷重を前記二次蓋8に伝える。これを略接触といい、前記一次蓋7または前記二次蓋8に外力が作用していない時に間隙16を有しているが、前記一次蓋7または前記二次蓋8に外力が作用した時に前記二次蓋8の前記突起15の一部または全部が前記突起15対向する面に接触することを含む。つまり、予め上記のような変位により前記一次蓋7と前記二次蓋8が接触する寸法となるように設計しておく。上記のような前記一次蓋7と前記二次蓋8が略接触する寸法は、例えば、前記突起15が、前記一次蓋7と前記二次蓋8とによって作られる前記間隙16に対し、マイナス公差で設計、製作されることにより実現できる。つまり、前記突起15が、前記一次蓋7と前記二次蓋8の前記間隙16に対し、マイナス公差で製作されると、製作誤差による前記一次蓋7と前記二次蓋8が胴本体2より先に接触することを防止できるからである。
【0036】
従来は、一次蓋7のみでキャビティ内からの荷重を受け持っており、一次蓋7が胴本体2に対してガスケットの許容する復元量以上のシール面の隙間やズレに対する追随量以上のズレを生じないように、ボルト17で胴本体2に強固に締め付けられており、さらに、一次蓋7の剛性を持たせるために厚みが必要であるため、重量が大きくなっていた。また、ボルト17の本数を増やす、または、ネジ径を大きくするなどの対策が必要であった。本発明のようにすると、二次蓋8と一次蓋7とが荷重を分担して受け持つことになり、二次蓋8の強度を少なくする、つまり板厚を薄くすることができる。よって、二次蓋8の自重を軽くすることができる。また、ボルト17の本数を減らすまたはネジ径を小さくすることができる。
【0037】
一次蓋7、二次蓋8の厚みはそれぞれ200〜270mm、45〜100mmである。このとき、一次蓋7と二次蓋8の間隙16の寸法h2は、製作誤差を考慮し、0mmより大きく、好ましくは、0.01mm以上、さらに好ましくは、0.05mm以上で、1mm以下、さらに、よりよく荷重の伝達を行うには0mmより大きく、好ましくは、0.01mm以上、さらに好ましくは、0.05mm以上で、0.5mm以下とするのが好ましい。また、突起15の高さh1は8〜15mmであり、h1≫h2である。
【0038】
ここで、突起15は、二次蓋8と一体加工して製作しても良いし、突起15自体を単品で製作し、溶接、ネジ止めなどの方法にて取り付けても良い。また、突起15の放射性物質格納容器1の軸方向の断面形状は、矩形、台形、多角形、円弧等の形状を含み、角部が丸くなっていたり、面取りされている形状のものをも含む。さらに、突起15は、二次蓋8の一次蓋7と対向する側に取り付けているが、一次蓋7の二次蓋8と対向する側に取り付けても良いし、一次蓋7および二次蓋8のそれぞれが対向する面に取り付けても良い。また、前記のとおり水の張られたピット内から放射性物質格納容器1は一次蓋7を取り付けられて取り出されるので、一次蓋7の上面にある水を除去するのに突起がない場合のほうが、突起がある場合と比べ、作業性が格段に良くなる。よって、二次蓋8側に突起があることが望ましい。また、図3は、隙間部材を用いたときの放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。このように、蓋部6に取り付けられた突起15に代えて、一次蓋7と二次蓋8の間で、容器の軸方向に突起と同じ長さを有する隙間部材を設けても同様の効果が得られ、また、個々の蓋の重量が軽減できるので、蓋取り付け等の作業のハンドリングが容易になる。
【0039】
以上から、この放射性物質格納容器1は、一次蓋7と二次蓋8が略接触し、前記一次蓋7と前記二次蓋8との間において突起または隙間部材15により区画され、気密性を確認する空間13を有しているので、強度問題と気密問題を同時に解決できる構造となる。
【0040】
図4(a)および(b)は、突起または隙間部材の形状が同心円状である平面図および断面図である。突起または隙間部材15の形状が同心円状であるので、加工製作が簡単である。また、全周に渡り突起または隙間部材15があるので、蓋からの荷重伝達がスムーズに行える。また、中心に突起または隙間部材15があっても良いし、中心に突起または隙間部材15がなくても良い。中心に突起または隙間部材15がある場合は、蓋の中心部のほうが端部に比べ変位量が大きいので、蓋に加わった荷重を他方の蓋に伝えやすい効果を奏する。
【0041】
図5(a)は、突起または隙間部材の形状が渦巻き状である平面図である。前記突起または隙間部材15と他方の蓋との間隙16は小さい。突起または隙間部材15を渦巻き状にすると、溝部は内から外へ向且つて円弧を描きながら繋がっているので、真空乾燥させやすい。図5(b)は、別の変形例の突起または隙間部材の平面図である。同心円状の突起または隙間部材15の場合、中心から外周に向かい溝を設けると、真空乾燥する時間が節約できる。中心から外周までを一つの溝と数える場合、この溝を一つ以上設けるのが効果的である。また、溝は、外周方向に一直線状になっていなくても良く、例えばジグザクに並んでいても良い。さらに、蓋の剛性のことを考慮すると、溝の深さは突起の高さまでとするのが好ましい。また、図5(c)は、突起または隙間部材の形状が放射状になっている平面図である。このようにすると、突起または隙間部材15の形状が同心円の場合と比べ、真空乾燥する時間がさらに短縮できる。
【0042】
図6(a)は、突起または隙間部材の形状が柱状または台状であり、前記突起または前記隙間部材の体積が、一次蓋と二次蓋の間隙の空間よりも大きい場合の平面図である。加圧ガスを封入する空間が少しでよければ、このようにすれば、突起または隙間部材15と蓋との接触面積が増え、荷重伝達がさらにスムーズになる。図6(b)は、突起または隙間部材の形状が柱状または台状であり、前記突起または前記隙間部材の体積が、一次蓋と二次蓋の間隙の空間よりも小さい場合の平面図である。突起または隙間部材15と蓋との接触面積が少しでよい場合、例えば、二次蓋に伝達される荷重が小さくてよい場合には、このような構成とすることで、加圧ガスを封入する空間が増える。また、空間が多く取れるので、真空乾燥するのに都合が良い。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2における放射性物質格納容器は、上記実施の形態1に係る放射性物質格納容器と略同一の構成であるが、蓋部と胴本体のフランジのシール溝部に水抜き用穴がある点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略すると共に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0044】
図7は、この発明の実施の形態2に係る放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。この放射性物質格納容器1は、実施の形態1に係る放射性物質格納容器1と同様に、一次蓋7と二次蓋8が略接触し、前記一次蓋7と前記二次蓋8との間において突起または隙間部材15により区画され、気密性を確認する空間13を有しているので、強度問題と気密問題を同時に解決できる構造となっている。
【0045】
また、この放射性物質格納容器1は、水の張られたピット内で放射性物質11を装荷し、一次蓋7を胴本体2に取り付けた状態にてピットから取り出される。水は腐食の原因となるので、キャビティ12内の水を図示しない胴本体2の上方から圧縮気体を給気口19より挿入することで胴本体2の上方に設けた排出口20から抜くようにする。しかしながら、わずかばかりの水がキャビティ内に残るので、真空乾燥によりキャビティ12内を乾燥させる。そして、キャビティ内の気密を管理するため、ヘリウムのような不活性ガスを注入し、キャビティ内の気密性を確認する。ここで、一次蓋7と胴本体2とのフランジの一次蓋7側のシール溝18には金属製のガスケット9が設けられ、内部の密閉性を保持するようにしている。
【0046】
前記ガスケット9は、内外輪の二連構造を有し、腐食や高温に強いインコネル(商標名:クロム16%、鉄7%を含むニッケル系合金)によって製作したコイルスプリングを、同じくインコネルを用いたインナーエンベロープで被覆し、さらにアルミニウム製のアウターエンベロープによって内外輪をまとめて被覆した構成である。また、二次蓋8と胴本体2とのフランジのシール部のガスケット10も同様のものを使用している。このガスケット10としては、例えば、原子力用キャスクに使用実績の多い、日本バルカー工業株式会社製「トライパック」(登録商標)やフランス国のCEFILAC社製「ヘリコフレックスシール」(登録商標)等を用いることができる。
【0047】
このとき、ガスケット9が取り付けられる一次蓋7のシール溝18に水が残ることがある。図示しないが、従来は一次蓋7の上方に設けられた一方の孔からから圧縮気体を前記シール溝18に挿入し、前記シール溝18から一次蓋7の上方に設けられた他方の孔へ水を除去していたが、水の出口付近にて吐き出されずに残る水があった。そこで、一次蓋7の上方からフランジのシール溝、つまり、ガスケット9の取り付け面に向かい圧縮気体の給気口19を設け、胴本体2のガスケット9の取り合い面から胴本体2の側部に水や圧縮気体の排出口20を設ける。給気口19から送られた圧縮気体は、一次蓋のシール溝18を通って前記残留水をシール溝18内から押し出し、圧縮気体と共に排出口20から排出する。一次蓋のシール溝18において、前記給気口19と180°回った位置、すなわち、水がスムーズに排出するには、一次蓋のシール溝18を右から回っても、左から回っても同じ距離にある位置に前記排出口20を設けることが好ましい。ここで、シール溝18は一次蓋7側に設けられているが、胴本体2側に設けられてもよい。
【0048】
図8は、前記実施の形態2の変形例を示し、(a)は、一次蓋7と胴本体2とのフランジのシール部におけるガスケット9付近の断面図、(b)は、(a)のA−A断面図である。図8(b)のB−B断面が図8(a)である。図8(c)は、一次蓋7と胴本体2とのフランジのシール溝付近の鳥瞰図である。図示の構造では、給気口19の近傍で一次蓋のシール溝18にあるガスケット9を塞ぐような部材21を設ける。排出口20は部材21をはさんで給気口19と反対側の位置に設ける。このようにすると、前記給気口19から入った圧縮気体は、部材21がある向き(図8(b)では、右側)には流れないので、部材21の設けられていない側から一次蓋のシール溝18を通り、前記排出口20へと進行する。このとき、残留水も同時に排出される。こうすることにより、圧縮気体および残留水は一方向に流れることになり、排水性の更なる向上が図れる。なお、前記部材21には、金や鉛等の軟質金属または合成樹脂等の密閉部材等を用いることができる。
【0049】
さらに、一次蓋7と胴本体2のフランジのシール部での水の排出を述べてきたが、二次蓋8と胴本体2の間のガスケット10に関しても、上記同様の圧縮気体の給気口および圧縮気体と水の排出口を設けることにより、スムーズな水の排出が可能となる(図示省略)。
【0050】
また、前記給気口19は圧縮気体が通過するので、穴径は1〜3mm程度でよく、さらに好ましくは2mm程度がよい。前記排出口20は、圧縮気体に比べて、粘性のある残留水も圧縮気体と同時に排出されるので、前記給気口19の穴径よりも大きくするのが理想的であるが、ガスケット9のシール面にかからないように、前記排出口20の穴径を3〜6mm程度にすることが好ましい。このとき、圧縮気体の流速は10〜30m/secとするのが好ましい。さらに、前記給気口19の穴径を2mm、圧縮気体の流速を20m/secとした場合、前記排出口20の穴径は5mm程度とするのが好ましい。
【0051】
(実施の形態3)
実施の形態3における放射性物質格納容器は、上記実施の形態1に係る放射性物質格納容器と略同一の構成であるが、一次蓋と二次蓋の突起部がお互いにはまりあっている点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略すると共に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0052】
図9(a)は、この発明の実施の形態3に係る放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。図9(b)は、(a)のA部の詳細、つまり、蓋の突起部分の拡大図である。一次蓋7の上面に、凸部22と凹部23を有し、前記一次蓋7と対向する二次蓋8の下面に凸部24と凹部25を有する。一次蓋7の凸部22と二次蓋8の凹部25および一次蓋7の凹部23と二次蓋8の凸部24がお互いにはまり込み、また、一次蓋7の凹部23の溝底27と二次蓋8の凸部24の先端部28が略接触している。ここで略接触は、一次蓋7または二次蓋8に外力が作用していない時に間隙16を有しているが、一次蓋7または二次蓋8に外力が作用した時に二次蓋8の凸部24の一部または全部が前記凸部24に対向する面(この場合は主に凹部23の底面)に接触することを含む。また、一次蓋7と二次蓋8は空間13を有している。よって、実施の形態1と同様に、強度問題と気密問題を同時に解決できる構造となっている。
【0053】
さらに、一次蓋7と二次蓋8のそれぞれの突起がはまり合って略接触しているので、放射性物質11から発生する熱を一次蓋7の凹部23の溝底27から二次蓋8の凸部24の先端部28へ伝熱するだけでなく、一次蓋7の凹部23の側面29から二次蓋8の凸部24の側面30へも伝達する。また、一次蓋7と二次蓋8には凹凸22〜25が設けられているので、平面のときに比べ、伝熱面積が拡大でき、放熱性が向上する。よって、放熱効果が高い放射性物質格納容器1を提供できる。また、一次蓋7の凸部22の先端部と二次蓋8の凹部25の溝底が略接触している場合でも、同様の効果が得られる。この場合の略接触状態においては、熱伝導性の観点から接触状態に近い状態で互いに近接していることが好ましい。
【0054】
また、図示しないが、中心から外周に向かい溝を設けると、一次蓋7と二次蓋8との間に熱が対流できるようになり、個々に区切られて放熱するよりも効率的に放熱できる。中心から外周までを一つの溝と数える場合、当該溝が一つ以上あると効果的である。また、溝は一直線状に並んでなくても良く、ジグザクに並んでいても良い。さらに、蓋の剛性のことを考慮すると、溝の深さは突起の高さまでとするのが好ましい。
【0055】
図10は、実施の形態3における蓋部の変形例を示す。図10(a)は、一次蓋7の凸部22と二次蓋8の凹部25および一次蓋7の凹部23と二次蓋8の凸部24がそれぞれ略接触している。このようにすれば、さらに伝熱効果が上がり、放熱性が良くなる。
【0056】
図10(b)は、一次蓋7と二次蓋8の突起を台形状としている。気密性の確認のため加圧ガスを封入する空間を一次蓋7と二次蓋8の凸凹部の間隙にて確保する。このようにすれば、熱伝導効率がさらに向上し、放熱性が向上する。また、角部に丸みまたは面取りが設けられているものでも、同様の効果を奏する。
【0057】
図11(a)は、一次蓋7と二次蓋8が凹凸部を有し、一次蓋7の凹部23と二次蓋8の凸部24先端部が略接触している点では、図9(a)の放射性物質格納容器1と同様であるが、一次蓋7の凹部23と二次蓋8の凸部24が放射性物質格納容器1の軸方向に平行な面において、略接触している点で異なる。一次蓋7と二次蓋8が軸方向に平行な面で接触することにより、前記一次蓋7と前記二次蓋8に設けられた空間13に封入された加圧ガスを介さず伝熱できるため、放熱効果がさらに向上する。また、一次蓋7の凸部22と二次蓋8の凹部25が放射性物質格納容器1の軸方向に平行な面において略接触していても、上記同様の効果がある。さらに、この面接触は軸方向に対し、傾斜している面においても有効である。また、接触した前記面の他方のいずれか一面が、その隣り合う面と空間を有することにより、加圧ガスの封入空間をより大きく確保できる。また、凹凸の側面で略接触しているので、一次蓋7か二次蓋8のいずれかにズレ方向の外力が働く場合、一次蓋7と二次蓋8とで外力を支えあうことができる。
【0058】
図11(b)は、図9または図10(a)、(b)、図11(a)の放射性物質格納容器1において、二次蓋8の外表面側に凸部26を設けている。二次蓋8の外表面の表面積が凸部26により、平面のときに比べ、拡大する。よって、蓋部での放熱効果がさらに拡大する。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る放射性物質格納容器では、二重蓋の対向する片方側または両方側に突起を設け、この突起と他方側の蓋とが略接触する、または、二重蓋の間隙に、二重蓋の一部分または全部に略接触する隙間部材を設けることにより、一次蓋と二次蓋の強度を合力させられる。このため、従来よりも軽量な蓋を提供できる。また、一次蓋と二次蓋の間に空間を確保し、そこに加圧ガスを封入できるので気密性の監視を確実に行える。
【0060】
また、この発明に係る放射性物質格納容器では、蓋と胴本体との接合部分において、蓋または胴本体の一方にシール溝を設け、前記蓋にシール溝と外部を連通する第一の穴を設け、且つ胴本体に前記シール溝と外部を連通する第二の穴を設けたので、蓋部または胴本体のフランジのシール溝において、スムーズに排水が行える。
【0061】
さらに、この発明に係る放射性物質格納容器では、二重蓋の突起部が設けられ、略接触しているので、放熱性に優れた放射性物質格納容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に示す放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。
【図2】蓋の突起部分の拡大図である。
【図3】隙間部材を用いたときの放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。
【図4】突起または隙間部材の形状を示す平面図、断面図である。
【図5】突起または隙間部材の形状を示す変形例を示す説明図である。
【図6】突起または隙間部材の形状を示す変形例を示す説明図である。
【図7】実施の形態2に示す放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。
【図8】実施の形態2の変形例を示す説明図である。
【図9】実施の形態3に示す放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。
【図10】実施の形態3の変形例を示す説明図である。
【図11】実施の形態3の変形例を示す説明図である。
【図12】従来の放射性物質格納容器の軸方向の断面図である。
【符号の説明】
1 放射性物質格納容器
2 胴本体
3 中性子遮蔽体
6 蓋部
7 一次蓋
8 二次蓋
9 ガスケット
11 放射性物質
13 空間
15 突起または隙間部材
16 間隙
Claims (20)
- キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、
前記蓋を二重に備え且つ当該蓋同士の対向面の片方側に突起を設けると共に、この突起と他方側の蓋の間に所定の間隙を形成し、
前記間隙は、一方または双方の蓋が変位したときに、前記突起が前記他方側の蓋に接触する寸法である、
ことを特徴とする放射性物質格納容器。 - キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、
前記蓋を二重に備え且つ当該蓋同士の対向面の両方側に突起を設けると共に、一方側の蓋の突起と他方側の突起を有する蓋との間に所定の間隙を形成し、
前記間隙は、一方または双方の蓋が変位したときに、片方側の蓋の突起と他方側の突起を有する蓋が接触する寸法である、
ことを特徴とする放射性物質格納容器。 - キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、
前記蓋を二重に備えると共に、それら蓋の間の空間に挿入され且つ二重蓋の一部分に対して略接触させる隙間部材を設ける、
ことを特徴とする放射性物質格納容器。 - 突起を有する前記蓋と他方側の前記蓋との間隙、または前記蓋と二重蓋の一部分に対して略接触させる隙間部材との間隙の大きさが、放射性物質格納容器の軸方向における前記突起または前記隙間部材の大きさより小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 突起を有する前記蓋と他方側の前記蓋との間隙、または前記蓋と二重蓋の一部分に対して略接触させる隙間部材との間隙の大きさが、1mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 前記突起または前記隙間部材が、前記二重蓋の間隙に対し、マイナス公差で製作されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 前記蓋の中心部分における単位面積当たりの前記突起または前記隙間部材の占める割合が円周部に比べ、多いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 前記突起または前記隙間部材は、蓋の中心を起点とする同心円であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 前記突起または前記隙間部材は、蓋の中心から外周に向かう渦巻き状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 前記突起または前記隙間部材に蓋の中心から外周方向に向かう溝が一つ以上設けられることを特徴とする請求項8または9に記載の放射性物質格納容器。
- 前記突起または前記隙間部材は、蓋の中心を起点とし、放射状に形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 前記突起または前記隙間部材は、柱状または台状であることを特徴とする請求項1〜7、10、11のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 突起が二次蓋に設けられていることを特徴とする請求項1、2、4〜12のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- キャビティ内にリサイクル燃料集合体を収容するバスケットを備えると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体のフランジ部に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、
蓋と胴本体との接合部分にて、蓋または胴本体の一方にシール溝を設け、前記蓋にシール溝と外部を連通する第一の穴を設け、且つ胴本体に前記シール溝と外部を連通する第二の穴を設けたことを特徴とする放射性物質格納容器。 - 蓋と胴本体との接合部分にて、蓋または胴本体の一方にシール溝を設け、前記蓋にシール溝と外部を連通する第一の穴を設け、且つ胴本体に前記シール溝と外部を連通する第二の穴を設けたことを特徴とする請求項1〜13にいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 一方の蓋の突起先端が他方の蓋の隣り合う突起同士の間の溝底に略接触することを特徴とする請求項2、4〜15のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 双方の蓋の突起先端が他方の蓋の隣り合う突起同士の間の溝底に略接触することを特徴とする請求項2、4〜15のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。
- 前記突起の断面が略台形であることを特徴とする請求項16または17のいずれかに記載の放射性物質格納容器。
- キャビティ内にリサイクル燃料集合体その他の放射性物質を収容すると共にその周囲に中性子遮蔽体を設けた胴本体と、胴本体に取り付けられた蓋とを備えた放射性物質格納容器において、
前記蓋を二重に備え且つ当該蓋同士の対向面の両方に突起を設けると共に、双方の蓋における突起同士の一部または全部が軸方向に略平行な面で略接触する、ことを特徴とする請求項2、4〜18のいずれか一つに記載の放射性物質格納容器。 - 二次蓋の大気側に突起を設けることを特徴とする請求項1〜19に記載の放射性物質格納容器。
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JP2010181344A (ja) * | 2009-02-06 | 2010-08-19 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 廃棄物容器および廃棄物収納方法 |
KR102175876B1 (ko) * | 2019-06-10 | 2020-11-06 | 한국원자력연구원 | 원자로 수조문의 압축공기 주입장치 및 압축공기 주입 조립체 |
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