JP2004108596A - 非共沸混合冷媒を用いる冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷凍サイクルと、冷媒精留器と、冷媒精留器で分離された低沸点冷媒成分を冷却する第1冷却器と、冷媒貯留器とを備え、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、該第3減圧装置の冷媒精留器側に、冷媒精留器から出る冷媒を過冷却する第2冷却器を設けた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒として非共沸混合冷媒を用いる冷凍サイクル装置に関するものであり、特に冷凍サイクル内を循環する冷媒組成を変更する冷凍サイクル装置の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電動機の回転数が変更できない圧縮機を搭載した空調機の容量制御やヒートポンプ式給湯器による高温出湯時の高圧圧力低減のため、冷凍サイクル内を循環する冷媒の組成を変更する冷媒組成変更手段を搭載した冷凍サイクル装置が提案されている。
これらの冷凍サイクル装置は、圧縮機の電動機の回転数を変更するインバータを用いずに高効率で幅広い能力制御幅を得ることを目的とするものであり、圧縮機、熱源側熱交換器、減圧装置、利用側熱交換器等を備えた冷凍サイクルと、低沸点冷媒と高沸点冷媒とからなる非共沸混合冷媒と、低沸点成分に富んだ冷媒を生成する冷媒精留器と、冷媒精留器から出た低沸点成分に富んだ冷媒を貯留する第1の冷媒貯留器と、高沸点成分に富んだ冷媒を貯留する第2の冷媒貯留器とを備え、第1の冷媒貯留器と第2の冷媒貯留器の液冷媒量を調整することにより冷凍サイクル内を循環する組成を連続的に変更し、常に負荷に応じた能力を発揮させることができるというものである。
【0003】
以下冷凍サイクル装置の例である。
圧縮機の出口部と冷媒精留器の下部は、電磁弁を介して配管で接続されており、またこの配管の途中には、圧縮機の吸入配管と熱交換する冷却器が設けられている。さらに、冷媒精留器の下部とアキュムレータは、毛細管と電磁弁を介して配管で接続されている。
冷媒精留器の上部には、冷却器と第1の冷媒貯留器が環状に接続されており、冷却器は、圧縮機の吸入冷媒の一部が電磁弁を介して流入できるように構成されている。
【0004】
圧縮機、四方弁、熱源側熱交換器、アキュムレータ、冷媒精留器、第1の冷媒貯留器、冷却器、冷却器、電磁弁、毛細管及びこれらの接続配管は室外機内に納められている。
【0005】
また、室内機は、第1減圧装置である電子式膨張弁と利用側熱交換器で構成されている。
これらの室外機と室内機は、2本の配管で接続されており、冷凍サイクルを形成している。この冷凍サイクル内には高沸点成分と低沸点成分からなる非共沸混合冷媒が充填されている。熱源側熱交換器は、暖房運転時には蒸発器として動作し、冷房運転時には凝縮器として動作する。また利用側熱交換器は、暖房運転時には凝縮器として動作し、冷房運転時には蒸発器として動作する。
【0006】
例えば、暖房運転時には、冷凍サイクル内の余剰な冷媒は、アキュムレータ内に貯留される。このアキュムレータ内の冷媒は、高沸点成分に富んだ液冷媒と、低沸点成分に富んだ蒸気冷媒に分離される。このため、アキュムレータ内に液冷媒が貯留されると、サイクル内を循環する冷媒組成は、充填組成に比べて低沸点成分が増加する。
【0007】
一方、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成の高沸点成分を増加させる場合には、圧縮機を出た高温高圧の蒸気冷媒の一部を電磁弁を開いて冷却器に流入させ、この高温の冷媒蒸気は、冷却器内で低温低圧の圧縮機吸入冷媒によって冷却され、飽和蒸気あるいは気液二相状態まで冷却される。冷却器を出た高圧の気液二相冷媒は冷媒精留器の下部へ流入し、このうち冷媒蒸気は冷媒精留器内を上昇する。
また、冷媒精留器の上部では、上昇した冷媒蒸気が冷却器に流入し、電磁弁を通って流入した低温の圧縮機への吸入冷媒によって冷却され、凝縮液化する。この液冷媒は冷媒貯留器に流入し、貯留される。
冷媒貯留器内から液冷媒が冷媒精留器の環流液として冷媒精留器へ上部より流入する。
【0008】
即ち、冷媒精留器内では、上昇する蒸気冷媒と、下降する液冷媒とが気液接触を行い、熱および物質移動が行われ、冷媒精留器内を上昇する蒸気冷媒は徐々に低沸点成分が増加し、低沸点成分に富んだ液冷媒が冷媒貯留器内に貯留される。
【0009】
冷媒貯留器に貯留される液冷媒の増加とともに、アキュムレータ内の液冷媒は減少し、アキュムレータ内に貯留されていた高沸点成分に富んだ液冷媒が、サイクル内へ放出され、低沸点成分に富んだ液冷媒が冷媒貯留器内に貯留されることになる。この結果、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成を高沸点成分に富んだものにすることができる。
例えば、R32を23%、R125を25%、R134aを52%の重量割合で混合した冷媒(R407C)を充填した冷凍サイクルにおいて、低沸点成分であるR32の組成を45%から5%の範囲で制御することにより、能力は充填組成(R32の組成が23%)での能力を100%とすると130%から70%の範囲で制御することができる。
【0010】
以上のように、従来の発明においては、冷媒貯留器に貯留する低沸点成分に富んだ液冷媒量とアキュムレータに貯留する高沸点成分に富んだ液冷媒量を調整することにより、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成を変更できるため、インバータによる電動機の回転数制御を行う場合に比べ、冷媒組成変更により低コストで広範囲な能力制御が可能になるというものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−267436号公報(第4頁〜第7頁、図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の冷凍サイクル装置では、冷媒精留器の構造によって冷媒精留器下部から流出する冷媒状態が気液二相となる場合があり、そのため下流の毛細管入口部に流入する冷媒が気液二相状態と液相状態を交互に繰り返す脈動が生じ、冷媒精留器内の冷媒流量が不安定となるという課題があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、非共沸混合冷媒を用い、冷凍サイクル内の冷媒組成を変化させ運転する冷凍サイクル装置の冷媒精留器内の冷媒流量を安定化できる、または、冷凍サイクル内の冷媒循環組成を変化させる際、低沸点成分を早く増加させることができる等、冷凍サイクル装置の性能を向上することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷凍サイクル装置は、冷凍サイクルと、冷媒精留器と、冷媒精留器で分離された低沸点冷媒成分を冷却する第1冷却器と、冷媒貯留器とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの圧縮機の出口側とを接続する配管の冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、該第3減圧装置の冷媒精留器側に、冷媒精留器から出る冷媒を過冷却する第2冷却器を設けたものである。
【0014】
また、本発明の冷凍サイクル装置は、冷凍サイクルと、冷媒精留器と、第1冷却器と、冷媒貯留器とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの圧縮機の出口側とを接続する配管の冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、また、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、冷媒貯留器の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁及び減圧装置を介して配管接続したものである。
【0015】
また、本発明の冷凍サイクル装置は、冷凍サイクルと、冷媒精留器と第1冷却器と冷媒貯留器とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの圧縮機の出口側とを接続する配管の冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、また、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、第1冷却器の出口側と冷凍サイクルの利用側熱交換器及び熱源側熱交換器のうち、高圧側の熱交換器の出口側とを開閉弁を介して配管接続したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1の冷凍サイクル装置について説明する。
図1は本実施の形態に係わる冷凍サイクル装置を示す構成図である。図において、冷凍サイクルは圧縮機1、利用側熱交換器3、第1減圧装置である膨張弁4、熱源側熱交換器5、アキュムレータ6を配管接続して構成され、これらは冷凍サイクルユニット62内に収納されている。
また、組成分離回路は組成分離手段である冷媒精留器11、冷媒を貯留するための冷媒貯留器14、第1冷却器13、第2冷却器12、第2減圧装置である毛細管31、第3減圧装置である毛細管32、第1開閉弁である電磁弁21及び第2開閉弁である電磁弁22で構成され、第1冷却器13と冷媒貯留器14は冷媒精留器11の上部に環状に接続されている。なお、これらは組成分離ユニット63内に収納されている。
【0017】
これら冷凍サイクルユニット62及び組成分離ユニット63は、第1配管25及び第2配管26である2本の配管で接続され、冷媒回路内を循環する冷媒組成が変更可能な冷凍サイクル装置を形成している。この冷凍サイクル装置内には、例えば高沸点成分(R134a)と低沸点成分(R32+R125)からなる3成分非共沸混合冷媒R407C(標準組成;R32:R125:R134a=23:25:52wt%)が充填されている。
【0018】
さらに、冷媒精留器11には、その内部に気液の接触面積を増大させるための充填材が封入されている。
また、圧縮機1の出口側、即ち、圧縮機からの吐出冷媒が吐出する配管で、圧縮機と利用側熱交換器3とを接続する配管(後述の実施の形態2では、圧縮機と四方弁2を接続する配管)と冷媒精留器11の下部は、第1開閉弁である電磁弁21と毛細管31を介して第1配管25で接続されている。即ち、第1配管25は第1開閉弁21入口部と、圧縮機1と利用側熱交換器3間の配管とを接続する(後述の実施の形態2では、第1開閉弁21入口部と、圧縮機1と四方弁2間の配管とを接続する)。
【0019】
また、冷媒精留器11の下部から流出した中間圧力の気液二相冷媒は、第2冷却器12に入り液化され、毛細管32を経て減圧されたのち、低圧の気液二相冷媒となり、第2冷却器12に戻り、第2冷却器12で冷媒精留器11の下部から流出した気液二相冷媒を完全に液化させ、即ち、過冷却状態とさせ、自身は低圧蒸気冷媒となり、さらに第1冷却器13に入り、冷媒精留器11から出た低沸点成分の冷媒蒸気を冷却し、液化させ、第2開閉弁26、第2配管26を通って、アキュームレータ6の入口部に流入する。ここに、第2配管26は、第2開閉弁22入口部とアキュームレータ6の入口部の配管とを接続する。但し、第2配管26は、第2開閉弁22入口部と冷凍サイクルの低圧側の配管、即ち、第1減圧装置4とアキュームレータ6間の配管とを接続するようにしてもよい(後述の実施の形態2では、第1減圧装置4とアキュームレータ6間の配管で、第1減圧装置4の下流側の低圧配管とを接続する)。
即ち、冷凍サイクルと組成分離回路とは、第1配管25及び第2配管26によって接続されている。
【0020】
また、冷凍サイクルユニット62と組成分離ユニット63とは、それぞれに収容される冷凍サイクルと組成分離回路とを第1配管25及び第2配管26によって接続しているので、既存の冷凍サイクルユニット62へ組成分離ユニット63を接続できる。また、接続の際、既存の冷凍サイクルユニット62を大幅に変更することなく、接続点数も少なくでき、接続が容易である。
さらに、組成分離回路において、冷媒精留器11に第2減圧装置である毛細管31と第3減圧装置である毛細管32とが接続しており、前者は圧縮機1の吐出側と、後者は同じく吸入側と接続されているため、冷媒精留器11は中間圧で動作する。そこで、高圧で動作する場合に比べて、液組成とガス組成との差が大きくなり(非共沸性が大きくなり)、高圧で動作する場合に比べて分離効率(液・ガスの濃度差に比例)が高くなる。
【0021】
次に、上記のように構成された本実施の形態の冷凍サイクル装置の動作について説明する。本実施の形態では、冷凍サイクル装置を利用側熱交換器3に水熱交換器を用い、熱源側熱交換器5に空気熱交換器を用いる空冷式給湯器とし、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成を変更し、例えば、高沸点成分を増やして、高圧圧力上昇を抑制し、高温給湯を可能とする。この場合、熱源側熱交換器5は蒸発器として動作し、利用側熱交換器3は凝縮器として動作する。
【0022】
給湯器では、夜間に冷凍サイクル装置を稼働し、水道水を給水した貯湯タンク(図示省略)からポンプ(図示省略)により利用側熱交換器3の水熱交換器に水を流し、吸熱により貯湯タンク内の水を沸き上げる。この際、初めは早く温度を上げるため、冷凍サイクルの循環冷媒の組成を低沸点成分を増加させた組成とし、または標準組成とし、加熱能力を上げる。そして、ある程度温度が上がったら(例えば、65℃)、循環冷媒の組成を高沸点成分を増加させた組成とし、高温(例えば、70℃)とする。
その後は、温度維持を行うが、高温(例えば、70℃)からの温度低下(例えば、65℃)に伴う放熱ロス分を補うため、高沸点増加組成で運転する。
利用者は、沸き上がった貯湯タンクからの温水と水道水の給水とを混合し、適切温度で使用する。
利用量が増えるにつれ、貯湯タンクの湯量は減少するが、渇水状態にならない限り、昼間の補給(給水)は行わない。渇水状態になれば、貯湯タンクに、低沸点成分増加組成で、55℃程度の温水を貯める、または高沸点成分増加組成で少しづつ貯湯する等、適宜選択する。
【0023】
冷媒組成を変更しない場合は、第1開閉弁21及び第2開閉弁22を閉とする。圧縮機1から吐出された高温高圧の蒸気冷媒は、凝縮器として動作する利用側熱交換器3で凝縮液化して中温高圧の液冷媒となり、膨張弁4で減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となって蒸発器として動作する熱源側熱交換器5に流入する。この冷媒は、熱源側熱交換器5で蒸発気化し、アキュムレータ6を経て再び圧縮機1へ戻る。このとき、利用側熱交換器3に流入する被加熱媒体である冷水は冷媒の凝縮潜熱によって加熱されて温水となり、貯湯タンクなどに供給される。
また、熱源側熱交換器5に流入する被冷却媒体である空気は冷媒の蒸発潜熱によって冷却された後、外気などへ放出される。
【0024】
次に、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成を変更する場合の動作について説明する。
上述した給湯運転時において、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成の高沸点成分を増加させる場合には、電磁弁21、22を開状態とする。この時、圧縮機1を出た高温高圧の蒸気冷媒の一部は、電磁弁21を通って、冷媒精留器11の下部の入口側に設けられた毛細管31で中間圧力まで減圧された後、冷媒精留器11の下部へ流入し、蒸気冷媒の一部が冷媒精留器11内を上昇する。
ここで、毛細管31、毛細管32の仕様は、組成分離回路内の圧力および組成分離回路を流れる冷媒流量が適正となるように決定されている。
【0025】
また、冷媒精留器11の上部では、上昇した冷媒蒸気が第1冷却器13に流入し、第2冷却器を流出した低圧気液二相冷媒によって冷却され、凝縮液化する。
凝縮液化した冷媒は冷媒貯留器14に流入し、貯留される。冷媒貯留器14内では流入した液冷媒が徐々に蓄積され、冷媒貯留器14が満液状態となると、オーバーフローした液冷媒が冷媒精留器11の環流液として冷媒精留器11の上部より流入する。この際、冷媒貯留器14を含んだ精留回路内は、中間圧で釣り合うため、冷媒は冷媒貯留器14から冷媒精留器11へはオーバーフローで流れる。
この状態において、冷媒精留器11内では、上昇する蒸気冷媒と、下降する液冷媒とが気液接触を行い、熱及び物質移動が行われ、いわゆる精留作用により、冷媒精留器11内を上昇する蒸気冷媒は徐々に低沸点成分が増加し、冷媒貯留器14内に貯留された液冷媒は徐々に低沸点成分に富んだ状態となる。
【0026】
以上により、冷凍サイクル装置に充填した充填冷媒組成より低沸点成分に富んだ液冷媒が冷媒貯留器14内に貯留され、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成を高沸点成分に富んだものとすることができる。そこで、冷媒組成を所定の高沸点成分組成とすることにより、高温給湯時の高圧圧力上昇を抑制でき、高温給湯が可能となる。
また、冷媒精留器11の下部から流出した中間圧力の気液二相冷媒は、第2冷却器12に入り液化され、第3減圧装置である毛細管32を経て減圧されたのち、低圧の気液二相冷媒となり、第2冷却器12で冷媒精留器11の下部から流出した気液二相冷媒を完全に液化させ、即ち、過冷却状態とさせ、液単相状態にするので、毛細管32入口部が気液二相状態であることによって生じる組成分離回路内の流量不安定現象を抑えることが可能となる。
【0027】
一方、給湯器の使用開始時等、低温の水を温める場合は、大きな能力が要求される。この場合は、冷凍サイクル内の冷媒組成を充填冷媒組成より低沸点成分に富んだ組成とする。即ち、電磁弁21を閉とし、電磁弁22を開とし、冷媒貯留器14の低沸点成分に富んだ冷媒を冷凍サイクルに流し、冷凍サイクルのアキュムレータ6内に高沸点冷媒成分を余剰液冷媒として溜める。
【0028】
ここで、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成の目標値と目標値への制御方法について図2および図3を用いて説明する。図2は、R407Cにおいて、所望の給湯温度(例えば70℃)が得られる場合の低沸点成分(R32+R125)の組成と高圧圧力の関係を示したものである。図2において、アは低沸点成分の組成と高圧圧力の関係を示しており、イは圧縮機の高圧圧力の使用限界を示している。また、Aは低沸点成分が48wt%に相当する高圧圧力を、Bは低沸点成分の組成を低下させた場合の高圧圧力の変化を、Cは高圧圧力をイ(圧縮機の高圧圧力の使用限界)以下とする場合の低沸点成分の組成(22wt%)を示している。
【0029】
図2より、R407Cの標準組成における低沸点成分の組成(48wt%)では、所望の給湯温度を得るための高圧圧力が圧縮機の使用限界値を超えるため、実際には所望の給湯温度を得る運転は実現できないことを示している。ところが、R407Cが非共沸混合冷媒であることを利用し、低沸点成分の組成を48wt%から22wt%へ低下させることで圧縮機の使用限界以内で所望の給湯温度を得ることができる。従って、高圧圧力を圧縮機の使用限界値以下に抑制し、かつ所定の給湯温度を得ることが可能な冷媒組成の目標値は、低沸点成分(R32+R125)の組成が22wt%以下となる。即ち、実際の目標値は、所定の給湯温度等によりこの範囲から決定する。
【0030】
さらに、冷媒組成の目標値への制御方法について図3を用いて説明する。図3は、電磁弁21、22を開放状態としてからの経過時間(組成変化運転時間)に対する冷凍サイクル内を循環する低沸点成分の冷媒407Cの標準組成からの組成変化を示している。
図3より、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成を目標値とするためには、電磁弁21、22をTo時間(例えば、1時間)以上開放する必要があることがわかる。すなわち、電磁弁21、22の開放時間を所定時間以上とすることにより、冷媒組成の所定の目標値への制御が可能となる。
なお、冷凍サイクルの冷媒組成が標準組成でない場合は、後述の組成値を検知後、同じく図3の組成変化図から検知組成値と目標値までの電磁弁21、22の開放時間を算出し開放する。
また、標準組成のR407C冷媒充填された冷凍サイクルの電磁弁21、22の開放時間による制御方法以外に、利用側熱交換器3の水熱交換器の温水入口温度を検知し、その検知値に基づいて冷媒組成を制御することも可能である。
【0031】
冷凍サイクルの冷媒組成は、次のようにして検知できる。
図4に示すように毛細管32入口部が過冷却液単相であることから、毛細管32入口部に温度検出器T2、出口部に圧力検出器P1と温度検知器T1を設置し、検出した圧力P1、温度T1およびT2の信号を用いて組成を演算する組成演算手段であるマイコン41を備えることにより、特開平11−63747号公報に開示のように冷凍サイクルの循環組成を演算・検知することが可能となり、より正確な循環組成の変更が可能となる。
【0032】
また、電磁弁21、22の開閉操作により、冷凍サイクル内を循環する冷媒組成を所望の濃度に変更する場合、開閉操作は、前記循環組成演算・検知結果あるいは前記図3で説明したように、予め実験およびシミュレーションにて測定してある時間と冷凍サイクル内循環組成の関係により循環組成がわかるので、それを元に冷凍サイクル循環組成が所望の濃度となるように行われる。
【0033】
次に、冷凍サイクルの冷媒組成を高沸点成分の多い組成から標準組成に戻す、または低沸点成分を増加させる別の方法を説明する。
先に、電磁弁21を閉とし、電磁弁22を開とし、冷媒貯留器14の低沸点成分に富んだ冷媒を冷凍サイクルに流し、低沸点成分を増加させる方法を説明したが、以下に記載(図5、図6、図7)のように、開閉弁、減圧装置(図7はなし)付きの配管を設けることに、より早く低沸点成分を増加させることができる。
当然ながら、冷媒精留器11による精留を行うときは、新たに設けた開閉弁は閉じる。
図5に示すように冷媒貯留器14の出口側と第2配管26とを第3開閉弁である電磁弁23及び第4減圧装置である毛細管33を介して、第3配管27で接続することによって、冷凍サイクル循環組成を高沸点成分の多い状態から標準組成に戻そうとする(または、低沸点成分を増やす)際に、電磁弁21を閉じ、電磁弁22、23を開くことで組成分離回路内圧力と圧縮機1の吸入圧力との圧力差を利用して前記第3配管27から冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を冷凍サイクルへ戻すことができるので、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増やす)ことが可能となる。
【0034】
また、次のようにしてもよい。
図6に示すように冷媒貯留器14の出口側と、冷凍サイクルの低圧側の熱交換器である熱源側熱交換器5の入口側とを第4開閉弁である電磁弁24及び第5減圧装置である毛細管34を介した第4配管28で接続することによって、冷凍サイクル循環組成を高沸点成分の多い組成から標準組成に戻そうとする(または、低沸点成分を増加させる)際に、電磁弁21を閉じ、電磁弁22、電磁弁24を開くことで組成分離回路内圧力と圧縮機1の吸入圧力との圧力差を利用して前記第4配管28から冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を冷凍サイクルへ戻すことができ、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増加させる)ことができる。また、冷媒貯留器14内の液冷媒が熱源側熱交換器5内で蒸発するため、圧縮機1の液戻りを防止することができる。但し、電磁弁22は閉じてもよい。
前記図5、図6に示すように、冷媒貯留器14の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁及び減圧装置を介して配管接続することにより、早く冷凍サイクルに低沸点成分を増加させることができる。
【0035】
また、次のようにしてもよい。
図7に示すように、第1冷却器13の出口側と、冷凍サイクルの高圧側の熱交換器である利用側熱交換器3の出口側とを第5開閉弁である電磁弁37を介して第5配管29で接続することによって、冷凍サイクル循環組成を高沸点成分多い状態から標準組成に戻そうとする(または、低沸点成分を増加させる)際に、電磁弁21を閉じ、電磁弁22、電磁弁37を開くことで圧縮機1の吐出圧力と圧縮機1の吸入圧力との圧力差を利用して、即ち、圧縮機1の吐出圧力により冷媒貯留器14上部から高圧をかけて下部から冷媒をおしだし、冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を冷凍サイクルへ戻すことができるので、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増加させる)ことができる。
【0036】
本実施の形態では第1冷却器13及び第2冷却器12で冷却する冷媒は、第3減圧装置32で減圧された冷媒を使用し、第2冷却器12、第1冷却器13の順に流入させて冷却しているが、これらの冷却器12、13の冷却は圧縮機1に吸入される低圧の冷媒を使用してもよい。
【0037】
また、本実施の形態1の冷凍サイクル装置によれば、第3減圧装置32の入口側に第1温度検出手段T2を、出口側に第1圧力検出手段P1と第2温度検出手段T1を設け、第1圧力検出手段P1により検出した圧力、第1温度検出手段T2および第2温度検出手段T1により検出したそれぞれの温度を用いて冷凍サイクルの冷媒組成を演算する組成演算手段を備えたので、冷凍サイクルの冷媒循環組成を検知することができ、この検知した冷媒組成に基づいて、所望の冷媒組成に変更が可能となる。
【0038】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2の冷凍サイクル装置について説明する。
図8は本実施の形態に係わる冷凍サイクル装置を示す構成図であり、本実施の形態では、圧縮機1と利用側熱交換器3、熱源側熱交換器5との間に冷媒流路切換手段である四方弁2を設け、両熱交換器3、5の一方に流路切換え可能としている。その他の構成は実施の形態1と同じである。
そこで、四方弁2を切換えることにより、給湯運転(温水供給運転)とチラー運転(冷水供給運転)が可能となり、熱源側熱交換器5は、給湯運転(温水供給運転)時には蒸発器として動作し、チラー運転(冷水供給運転)時には凝縮器として動作する。また、利用側熱交換器3は、給湯運転時には凝縮器として動作し、チラー運転時には蒸発器として動作する。
【0039】
まず、給湯(温水供給)運転の場合について説明する。冷凍サイクル内の冷媒の流れを図8に実線矢印で示す。給湯運転の場合、四方弁2は実線のように接続され、圧縮機1の出口側と利用側熱交換器3の入口部が接続されるとともに、アキュムレータ6の入口部と熱源側熱交換器5の出口部がそれぞれ接続される。
圧縮機1から吐出された高温高圧の蒸気冷媒は、四方弁2を経て凝縮器として動作する利用側熱交換器3で凝縮液化して中温高圧の液冷媒となり、膨張弁4で減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となって蒸発器として動作する熱源側熱交換器5に流入する。
この冷媒は、熱源側熱交換器5で蒸発気化し、四方弁2、アキュムレータ6を経て再び圧縮機1へ戻る。このとき、利用側熱交換器3に流入する被加熱媒体である冷水は冷媒の凝縮潜熱によって加熱されて温水となり、貯湯タンクなどに供給される。また、熱源側熱交換器5に流入する被冷却媒体である空気は冷媒の蒸発潜熱によって冷却された後、外気などへ放出される。
なお、給湯運転時の冷凍サイクル内の循環組成の変更動作は、先に説明した実施の形態1と同様であるため省略する。
【0040】
また、四方弁2を設けたことで、低外気温時に熱源側熱交換器5表面に霜がついた場合、四方弁2を点線のように繋いで高温冷媒を熱源側熱交換器5に流し、付着した霜を溶かす霜取り運転が可能となる。
【0041】
また、冷凍サイクル循環組成を高沸点成分の多い組成から標準組成に戻そうとする(または、低沸点成分を増加する)動作も同じである。
即ち、図9に示すように冷媒貯留器14の出口側と第2配管26とを第3開閉弁である電磁弁23及び第4減圧装置である毛細管33を介した第3配管27で接続することによって、冷凍サイクル循環組成を高沸点成分の多い組成から標準組成に戻そうとする(または、低沸点成分を増加する)際に、電磁弁21を閉じ、電磁弁22、電磁弁23を開くことで組成分離回路内の圧力と圧縮機1の吸入圧力との圧力差を利用して第3配管27から冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を冷凍サイクルへ戻すことができるので、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増加する)ことが可能となる。
【0042】
また、同様に、図10に示すように冷媒貯留器14の出口側と、冷凍サイクルの低圧側の熱交換器である熱源側熱交換器5の入口側とを第4開閉弁である電磁弁24及び第5減圧装置である毛細管34を介して第4配管28で接続することによって、冷凍サイクル循環組成を標準組成に戻そうとする(または、低沸点成分を増加する)際に、電磁弁21を閉じ、電磁弁22、電磁弁24を開くことで組成分離回路内の圧力と圧縮機1の吸入圧力との圧力差を利用して前記第4配管28から冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を冷凍サイクルへ戻すことができ、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増加する)ことができる。また、冷媒貯留器14内の液冷媒が熱源側熱交換器5内で蒸発するため、圧縮機1の液戻りを防止することができる。但し、電磁弁22は閉じてもよい。
前記のように、冷凍サイクルに低沸点成分を増加させるには、図9、図10に示すように、冷媒貯留器14の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁、減圧装置を介して配管接続すればよい。
【0043】
また、同様に、図11に示すように第1冷却器13の出口側と、冷凍サイクルの高圧側熱交換器である利用側熱交換器3の出口側とを第5開閉弁である電磁弁37を介して第5配管29で接続することによって、冷凍サイクル循環組成を標準組成に戻そうとする(または、低沸点成分を増加する)際に、電磁弁21を閉じ、電磁弁22、電磁弁37を開くことで圧縮機1の吐出圧力と圧縮機1の吸入圧力との圧力差を利用して冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を主冷凍サイクルへ戻すことができるので、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増加する)ことができる。
【0044】
次に、チラー(冷水供給)運転時の動作について説明する。チラー運転の場合、四方弁2は点線のように接続され、圧縮機1の出口側と熱源側熱交換器5が、アキュムレータ6の入口部と利用側熱交換器3がそれぞれ接続される。図8で冷凍サイクル内の冷媒の流れを点線矢印で示す。
チラー運転時には、圧縮機1で圧縮された高温高圧の蒸気冷媒は、四方弁2を経て凝縮器として動作する熱源側熱交換器5で凝縮液化し、膨張弁4で減圧され、低圧の気液二相冷媒となって蒸発器として動作する利用側熱交換器3に流入する。この冷媒は利用側熱交換器3で蒸発し、四方弁2、アキュムレータ6を経て再び圧縮機1へ戻る。膨張弁4は、熱源側熱交換器5出口の冷媒過冷却度が適正(例えば10℃)となるようにその開度が制御されており、冷凍サイクル内の余剰な冷媒は、アキュムレータ6内に貯留される。
なお、チラー運転時の冷凍サイクル内の循環組成変更の動作は、先に説明した給湯運転時と同様であるため省略する。
【0045】
また、チラー運転の場合も給湯運転時と同様に、図9に示すように冷媒貯留器14の出口側と第2配管26とを第3開閉弁である電磁弁23及び第4減圧装置である毛細管33を介した第3配管27で接続することによって、冷凍サイクル循環組成を高沸点成分の多い組成から標準組成に戻そうとする(または、低沸点成分を増加する)際に、電磁弁21を閉じ、電磁弁22、23を開くことで組成分離回路内圧力と圧縮機1の吸入圧力との圧力差を利用して前記第3配管27から冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を冷凍サイクルへ戻すことができるので、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増加する)ことが可能となる。
【0046】
また、図示していないが、図10において、第4配管28は冷凍サイクル側に、それぞれ開閉弁付きの分岐配管(または、流路切換弁付きの分岐配管)を接続し、給湯運転、チラー運転に対応して低圧側となる熱交換器に接続するようにしても、冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を冷凍サイクルへ戻すことができるので、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増加する)ことが可能となる。
【0047】
前記のように、冷凍サイクルに低沸点成分を増加させるには、冷媒貯留器14の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁、減圧装置を介して配管接続すればよい。
【0048】
また、図示していないが、図11において、第5配管29は冷凍サイクル側に、それぞれ開閉弁付きの分岐配管(または、流路切換弁付きの分岐配管)を接続し、給湯運転、チラー運転に対応して高圧側となる熱交換器の出口側に接続するようにしても、冷媒貯留器14に貯留された低沸点成分に富む冷媒を冷凍サイクルへ戻すことができるので、循環組成を早く標準組成に戻す(または、低沸点成分を増加する)ことが可能となる。
【0049】
本実施の形態においても、冷凍サイクルの低沸点成分を増加するには、電磁弁21を閉じ、電磁弁22を開いて行うよりも、前記の方法により、早く冷凍サイクルの低沸点成分を増加することができる。
なお、本実施の形態に記載の冷媒流路切換手段である四方弁2は、前記の実施の形態1の図1に設置して、給湯運転に加えてチラー運転(冷水供給運転)を行うこともできる。
【0050】
なお、実施の形態1、2の冷凍サイクルに冷媒の低沸点成分を増やす構成、即ち、冷媒貯留器14の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁及び減圧装置を介して配管接続した構成、及び第1冷却器13の出口側と冷凍サイクルの高圧側の熱交換器の出口側とを開閉弁を介して配管接続した構成等により、冷凍サイクルに冷媒の低沸点成分を早く増やす効果は、第2冷却器12がなくても同じく得られる。
【0051】
本実施の形態1、2の冷凍サイクル装置によれば、開閉弁24及び減圧装置34を介して、冷媒貯留器14の出口側と配管接続した冷凍サイクルの低圧側が、利用側熱交換器3及び熱源側熱交換器5のうち低圧側となる熱交換器の入口側となるようにしたので、開閉弁24を開いて低沸点成分の冷媒を冷凍サイクルに流入させる際、冷凍サイクルの冷媒組成の低沸点成分を早く増やすことができるとともに、熱交換器で蒸発し、圧縮機1への液戻りを防止できる。
【0052】
また、本実施の形態1、2の冷凍サイクル装置によれば、冷凍サイクルと、冷媒精留器11と、第1冷却器13と、冷媒貯留器14と、第3減圧装置32とを備え、第1開閉弁25、第2開閉弁26を開閉して冷媒組成を変える冷凍サイクル装置で、冷媒貯留器14の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁及び減圧装置を介して配管接続するか、または、第1冷却器13の出口側と冷凍サイクルの高圧側の熱交換器の出口側とを開閉弁を介して配管接続し、第3減圧装置32の冷媒精留器11側に、冷媒精留器11から出る冷媒を過冷却する第2冷却器12を設けたので、早く冷凍サイクルの冷媒の低沸点成分増加できるとともに、第3減圧装置入口は液単相となり、冷媒精留器11及び冷媒精留器11まわりの配管の冷媒の流量が安定し、安定的に循環組成が変更可能となる。
【0053】
また、本実施の形態1、2の冷凍サイクル装置によれば、第2冷却器12は、第3減圧装置32を通過後の冷媒との熱交換で冷却するので、第2冷却器12と第3減圧装置32は近接して設けることができ、配管の設置が容易となる。
【0054】
また、本実施の形態1、2の冷凍サイクル装置によれば、第1冷却器13は、第3減圧装置32を通過後の冷媒との熱交換で冷却するので、第1冷却器13と第3減圧装置32は近接して設けることができ、配管の設置が容易となる。
【0055】
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3の冷凍サイクル装置について説明する。
図12は本実施の形態に係わる冷凍サイクル装置を示す構成図であり、実施の形態2とほぼ同様の構成であるため詳細な説明は省略する。本実施の形態では、実施の形態2の図8における第2減圧装置である毛細管31の手前に、即ち、圧縮機1側に、第3冷却器15を設けている。
【0056】
第3冷却器15には、第3減圧装置32で減圧された冷媒が、第2冷却器12、第1冷却器13の順に流れた後流入する。この流入冷媒が圧縮機1の出口から流出した高温高圧蒸気冷媒を冷却する。つまり、圧縮機1の出口から流出した高温高圧蒸気冷媒は、第3冷却器15で冷却され液単相状態となり、毛細管33で減圧され冷媒精留器11へは乾き度の小さい気液二相冷媒が流入することとなる。このように乾き度が小さい気液二相冷媒が冷媒精留器11へ流入されることによって、冷媒精留器11の下部出口状態は液単相となり、冷媒精留器11の下部の出口側、あるいは毛細管32の入口部における脈動を抑え組成分離回路内の流量を安定させることができる。
【0057】
なお、第3冷却器15で熱交換し、圧縮機1のから流出した高温高圧蒸気冷媒を冷却する冷媒は、圧縮機1に吸入される低圧の冷媒を利用してもよい。
また、本実施の形態の第3冷却器15を設ける構成は、実施の形態1にも適用でき、同様の効果が得られる。
また、本実施の形態においても、冷凍サイクルに冷媒の低沸点成分を増やす構成、即ち、冷媒貯留器14の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁及び減圧装置を介して配管接続した構成、及び第1冷却器13の出口側と冷凍サイクルの高圧側の熱交換器の出口側とを開閉弁を介して配管接続した構成等により、実施の形態1、2に記載と同じ効果が得られる。
【0058】
前記の実施の形態1、2、3では、冷凍サイクル装置を給湯装置(温水給湯、冷水給湯)の例として説明してきたが、本冷凍サイクル装置は空気調和装置、冷凍装置としても利用できる。即ち、温水給湯は空気調和装置の暖房運転に、冷水給湯は空気調和装置の冷房運転または冷凍装置に、それぞれ対応する。また、それぞれ同様な効果が得られる。
その際、空気調和装置においては、冷凍サイクルの利用側熱交換器3が室内機となり、冷凍サイクルのその他構成と組成分離ユニット63は室外機とするのが望ましい。また、冷凍装置では、冷凍サイクルの利用側熱交換器3でショーケースを構成し、冷凍サイクルのその他の構成と組成分離ユニット63は室外機とするのが望ましい。
【0059】
また、本実施の形態3の冷凍サイクル装置によれば、冷媒精留器11の下部と冷凍サイクルの圧縮機1の出口側とを接続する配管の冷媒精留器11の入口側に設けた第2減圧装置31の圧縮機1側に第3冷却器15を設けたので、圧縮機1から出た高温高圧ガス冷媒は第3冷却器15で冷却され、液単相となり、第2減圧装置31で減圧され、冷媒精留器11へは乾き度が小さい気液二相として流入される。そこで、冷媒精留器11の下部出口では液単相となり、冷媒精留器11の出口側の脈動が抑えられ、冷媒の流れが安定する。
【0060】
また、本実施の形態3の冷凍サイクル装置によれば、第1冷却器13、第2冷却器12及び第3冷却器15によるそれぞれの冷媒の冷却は、第3減圧装置32で減圧された冷媒が、第2冷却器、第1冷却器、第3冷却器の順に、それぞれの冷媒と熱交換することにより行われるので、第1冷却器13、第2冷却器12、第3冷却器15及び第3減圧装置32を比較的近接して設置でき、これらをまとめてユニット化でき設置、取扱いが容易になる。
【0061】
本実施の形態2、3の冷凍サイクル装置によれば、冷凍サイクルの圧縮機1の出口側に、利用側熱交換器3または熱源側熱交換器5に冷媒流路を切換える冷媒流路切換手段2を設けたので、冷媒流路切換手段2を切換えることにより、冷凍サイクル装置を温水給湯と冷水給湯可能な給湯装置、及び、暖房と冷房可能な空気調和装置として使用できる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の冷凍サイクル装置は、冷凍サイクルと、冷媒精留器と、冷媒精留器で分離された低沸点冷媒成分を冷却する第1冷却器と、冷媒貯留器とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの圧縮機の出口側とを接続する配管の冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、該第3減圧装置の冷媒精留器側に、冷媒精留器から出る冷媒を過冷却する第2冷却器を設けたものである。
そこで、第3減圧装置入口は必ず液単相となるため、冷媒精留器及び冷媒精留器まわりの配管の冷媒の流量が安定し、安定的に循環組成が変更可能となり、非共沸混合冷媒を用いる冷凍サイクル装置の性能が向上する。
【0063】
また、本発明の冷凍サイクル装置は、冷凍サイクルと、冷媒精留器と、第1冷却器と、冷媒貯留器とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの圧縮機の出口側とを接続する配管の冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、また、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、冷媒貯留器の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁及び減圧装置を介して配管接続したものである。
そこで、冷凍サイクルの冷媒循環組成を低沸点成分が増加するように変化させる際、冷媒貯留器の出口側と冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管の開閉弁を開くことにより、早く冷凍サイクルの冷媒の低沸点成分を増加することができ、非共沸混合冷媒を用いる冷凍サイクル装置の性能が向上する。
【0064】
また、本発明の冷凍サイクル装置は、冷凍サイクルと、冷媒精留器と第1冷却器と冷媒貯留器とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの圧縮機の出口側とを接続する配管の冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、また、冷媒精留器の下部と冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、第1冷却器の出口側と冷凍サイクルの高圧側の熱交換器の出口側とを開閉弁を介して配管接続したものである。
そこで、冷凍サイクルの冷媒循環組成を低沸点成分が増加するように変化させる際、第1冷却器の出口側と冷凍サイクルの利用側熱交換器の出口側とを第5開閉弁を開くことにより、早く冷凍サイクルの冷媒の低沸点成分を増加することができ、非共沸混合冷媒を用いる冷凍サイクル装置の性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる冷凍サイクル装置の冷媒回路構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係わる低沸点成分の組成と高圧圧力の関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係わる組成変化運転時間と低沸点成分の組成の関係を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わる冷凍サイクル装置の冷媒組成の検知方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係わる冷凍サイクル装置の冷凍サイクルの低沸点成分を増加する方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係わる冷凍サイクル装置の冷凍サイクルの低沸点成分を増加する別の方法を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係わる冷凍サイクル装置の冷凍サイクルの低沸点成分を増加するさらに別の方法を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係わる冷凍サイクル装置の冷媒回路構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係わる冷凍サイクル装置の冷凍サイクルの低沸点成分を増加する方法を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係わる冷凍サイクル装置の冷凍サイクルの低沸点成分を増加する別の方法を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係わる冷凍サイクル装置の冷凍サイクルの低沸点成分を増加するさらに別の方法を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係わる冷凍サイクル装置の冷媒回路構成を示す図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、2 冷媒流路切換手段、3 利用側熱交換器、4 第1の減圧装置、5 熱源側熱交換器、11 冷媒精留器、12 第2冷却器、13 第1冷却器、14 冷媒貯留器、15 第3冷却器、21 第1開閉弁、22 第2開閉弁、31 第2減圧装置、32 第3減圧装置。
Claims (11)
- 圧縮機、利用側熱交換器、第1減圧装置、熱源側熱交換器を順次配管で接続してなる冷凍サイクルと、
非共沸混合冷媒を低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分とに分離する冷媒精留器と、
前記冷媒精留器で分離された低沸点冷媒成分を冷却する第1冷却器と、
前記第1冷却器で冷却された冷媒を貯留する冷媒貯留器とを備え、
前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの前記圧縮機の出口側とを接続する配管に設置した第1開閉弁と、前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に設置した第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、
前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの前記圧縮機の出口側とを接続する配管の前記冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、
前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、該第3減圧装置の前記冷媒精留器側に、前記冷媒精留器から出る冷媒を過冷却する第2冷却器を設けたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 圧縮機、利用側熱交換器、第1減圧装置、熱源側熱交換器を順次配管で接続してなる冷凍サイクルと、
非共沸混合冷媒を低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分とに分離する冷媒精留器と、
前記冷媒精留器で分離された低沸点冷媒成分を冷却する第1冷却器と、
前記第1冷却器で冷却された冷媒を貯留する冷媒貯留器とを備え、
前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの前記圧縮機の出口側とを接続する配管に設置した第1開閉弁と、前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に設置した第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、
前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの前記圧縮機の出口側とを接続する配管の前記冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、
また、前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、
前記冷媒貯留器の出口側と前記冷凍サイクルの低圧側とを開閉弁及び減圧装置を介して配管接続したことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記冷媒貯留器の出口側と配管接続した前記冷凍サイクルの低圧側が、前記利用側熱交換器及び前記熱源側熱交換器のうち、低圧側となる熱交換器の入口側であることを特徴とする請求項2記載の冷凍サイクル装置。
- 圧縮機、利用側熱交換器、第1減圧装置、熱源側熱交換器を順次配管で接続してなる冷凍サイクルと、
非共沸混合冷媒を低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分とに分離する冷媒精留器と、
前記冷媒精留器で分離された低沸点冷媒成分を冷却する第1冷却器と、
前記第1冷却器で冷却された冷媒を貯留する冷媒貯留器とを備え、
前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの前記圧縮機の出口側とを接続する配管に設置した第1開閉弁と、前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に設置した第2開閉弁とを開閉することにより、冷凍サイクル内の非共沸混合冷媒の低沸点冷媒成分と高沸点冷媒成分の割合を可変とする冷凍サイクル装置において、
前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの前記圧縮機の出口側とを接続する配管の前記冷媒精留器の入口側に第2減圧装置を設け、
また、前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの低圧側とを接続する配管に第3減圧装置を設置し、
前記第1冷却器の出口側と前記冷凍サイクルの前記利用側熱交換器及び前記熱源側熱交換器のうち、高圧側となる熱交換器の出口側とを開閉弁を介して配管接続したことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記第3減圧装置の前記冷媒精留器側に、前記冷媒精留器から出る冷媒を過冷却する第2冷却器を設けたことを特徴とする請求項2、請求項3又は請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記第2冷却器は、前記第3減圧装置を通過後の冷媒との熱交換で冷却することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記冷媒精留器の下部と前記冷凍サイクルの前記圧縮機の出口側とを接続する配管の前記冷媒精留器の入口側に設けた第2減圧装置の前記圧縮機側に第3冷却器を設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかの請求項に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記第3減圧装置の入口側に第1温度検出手段を、出口側に第1圧力検出手段と第2温度検出手段を設け、第1圧力検出手段により検出した圧力、第1温度検出手段および第2温度検出手段により検出したそれぞれの温度を用いて前記冷凍サイクルの冷媒組成を演算する組成演算手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかの請求項に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記第1冷却器は、前記第3減圧装置を通過後の冷媒との熱交換で冷却することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかの請求項に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記第1冷却器、前記第2冷却器及び前記第3冷却器によるそれぞれの冷媒の冷却は、前記第3減圧装置で減圧された冷媒が、前記第2冷却器、前記第1冷却器、前記第3冷却器の順に、それぞれの冷媒と熱交換することにより行われることを特徴とする請求項9に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記冷凍サイクルの前記圧縮機の出口側に、前記利用側熱交換器または前記熱源側熱交換器に冷媒流路を切換える冷媒流路切換手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかの請求項に記載の冷凍サイクル装置。
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JP2006177581A (ja) * | 2004-12-21 | 2006-07-06 | Mitsubishi Electric Corp | 非共沸混合冷媒を用いた冷凍サイクル装置 |
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