JP2004108485A - スラスト動圧軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】より平坦な高い動圧分布を実現でき、負荷容量を大きくできるスラスト動圧軸受を提供する。
【解決手段】このスラスト動圧軸受は、第1フォイル1の周方向前方縁7Bの後方の部分7Dを第2フォイル2の第1凸状部13が支持し、第4フォイル4の第3凸状部23は第1凸状部13よりも前方で第3フォイル3の周方向前方縁17Bを支持する。作動流体の流体圧によって、第1〜第4フォイル1〜4が弾性変形して、出口31から入口32に向かって下方に凸に湾曲しつつ下り勾配で、かつ、入口32付近で下り勾配が大きくなっている動圧発生面S1が形成される。
【選択図】 図2
【解決手段】このスラスト動圧軸受は、第1フォイル1の周方向前方縁7Bの後方の部分7Dを第2フォイル2の第1凸状部13が支持し、第4フォイル4の第3凸状部23は第1凸状部13よりも前方で第3フォイル3の周方向前方縁17Bを支持する。作動流体の流体圧によって、第1〜第4フォイル1〜4が弾性変形して、出口31から入口32に向かって下方に凸に湾曲しつつ下り勾配で、かつ、入口32付近で下り勾配が大きくなっている動圧発生面S1が形成される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スラスト動圧軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スラスト動圧軸受の減衰特性を向上させるために、薄板を積層した構成の軸受が提案されている。これらのスラスト動圧軸受では、スパイラル溝やくさび形状の隙間でもって、動圧を発生している。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−242816号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのスラスト動圧軸受では、例えば、図5(A)に示すように、エッジがほぼ垂直に切り立った動圧溝101では、被支持体102に加える面圧が、作動流体の入口付近でピーク103を示し、出口にかけて急激に低下している。一方、図5(B)に示すように、ほぼ一定の傾斜角の傾斜面からなる動圧溝105では、被支持体106に加える面圧は、出口付近でピーク107を示し、入口にかけて急低下している。
【0005】
このような図5(A)や図5(B)に示す面圧分布では、ピークの片側で面圧が急激に低下しているため、負荷能力が制限されていた。
【0006】
そこで、この発明の目的は、より平坦な高い動圧分布を実現でき、負荷容量を大きくできるスラスト動圧軸受を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、板状フォイルを積層してなるスラスト動圧軸受であって、
周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリングボーン形状の穴が形成された最上層の第1フォイルと、
上記第1フォイルの直下に配置され、上記第1フォイルの周方向に隣接する上記略ヘリングボーン形状の穴の間に位置する丘部の周方向前方縁に略沿った形状の第1凸状部と、上記丘部の周方向後方縁に略沿った形状の第2凸状部とを有し、上記第1凸状部の上面と上記第2凸状部の上面が上記第1フォイルの対向面に接触する第2フォイルと、
上記第2フォイルの直下に配置され、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリングボーン形状の穴が形成され、隣接する上記略ヘリングボーン形状の穴の間に位置する丘部の周方向前方縁が、上記第2フォイルの第1凸状部よりも周方向前方に形成され、上記丘部の周方向後方縁が、上記第2フォイルの第2凸状部の周方向後方に形成された第3フォイルと、
上記第3フォイルの直下に配置され、上記第3フォイルの上記丘部の周方向前方縁に略沿った形状の第3凸状部と、上記第3フォイルの上記丘部の周方向後方縁に略沿った形状の第4凸状部とを有し、上記第3凸状部の上面と上記第4凸状部の上面が上記第3フォイルの対向面に接触する第4フォイルとを備え、
上記第4フォイルは、基面上に配置されたことを特徴としている。
【0008】
この請求項1の発明では、上から順に、第1フォイル、第2フォイル、第3フォイル、第4フォイルが配置されている。上記第1フォイルの下層の第2フォイルは、第1凸状部と第2凸状部でもって、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁と周方向後方縁を第3フォイルに対して支持する。また、この第3フォイルの周方向前方縁は、第2フォイルの第1凸状部よりも周方向前方に形成され、上記第3フォイルの周方向後方縁は、第2フォイルの第2凸状部の周方向後方に形成されている。また、この第3フォイルの周方向前方縁と周方向後方縁は、第4フォイルの第3凸状部と第4凸状部で基面に対して支持されている。
【0009】
この発明では、第1,第3フォイルに形成された略ヘリングボーン形状の穴が、上記基面上に略ヘリングボーン形状の溝を形成し、上記最上層の第1フォイルの上方に配置される被支持回転体(例えば円盤)が回転すると、上記略ヘリングボーン形状の溝の効果で動圧が発生し、上記被支持回転体が第1〜第4フォイルに被接触で回転する。
【0010】
また、この構成によれば、上記第1フォイル上に所定の動圧隙間を隔てて載置される被支持回転体(例えば、円盤)が回転し、周方向前方から周方向後方に動圧流体が流動する。この流動による流体圧によって、第1フォイルの周方向前方縁が弾性変形して下方に押し下げられ、この第1フォイルの周方向前方縁は、第2フォイルの第1凸状部を下方に押し下げ、この第2フォイルの第1凸状部は第3フォイルの周方向前方縁の後方の部分を下方に湾曲させる。
【0011】
これにより、このスラスト動圧軸受は、作動流体が流出する出口側の高さよりも、作動流体が流入する入口側の高さ寸法が小さなくさび形状になる。さらに、上記第1フォイルは、第2フォイルの第1凸部と第2凸部とで支持されている丘部の周方向前方縁と周方向後方縁との間の部分が、作動流体が発生する動圧によって下方に凸に湾曲する。
【0012】
上述の弾性変形によって、このスラスト動圧軸受は、一例として図5(C)に示す動圧発生面S1のように、出口から入口に向かって下方に凸に湾曲しつつ下り勾配で、かつ、入口付近で下り勾配が大きくなっている動圧発生面が形成される。このような動圧発生面によれば、一例を図5(C)に示すように、被支持回転体50に対して、従来よりフラットな面圧(動圧)分布を実現でき、負荷容量を大きくできる。
【0013】
また、上記第1フォイルの対向面と第2フォイルの第1,第2凸状部の上面との接触摩擦力、および、第3フォイルの対向面と第4フォイルの第3,第4凸状部の上面との接触摩擦力でもって、外乱発生時に各フォイルに自励振動が誘起されるのを抑制し自励振動を減衰させることができる。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のスラスト動圧軸受において、上記第2フォイルが薄板状部材からなり、隣接する上記第1凸状部と第2凸状部との間の部分が貫通孔である構造と、上記第4フォイルが薄板状部材からなり、隣接する上記第3凸状部と第4凸状部との間の部分が貫通孔である構造とのうちの、少なくとも一方の構造を有することを特徴としている。
【0015】
この請求項2の発明では、上記第2フォイルと第4フォイルのうちの少なくとも一方を、打ち抜きによって、容易に製作できる。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載のスラスト動圧軸受において、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁が、作動流体の流動に伴って、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁と被支持回転体の表面との間にくさび状空間を形成するべく、上記第2フォイルの第1凸状部が、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁よりも周方向後方に配置されている構造と、上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁が、作動流体の流動に伴って、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁と被支持回転体の表面との間にくさび状空間を形成するべく、上記第4フォイルの第3凸状部が、上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁よりも周方向後方に配置されている構造とのうちの、少なくとも一方の構造を有することを特徴としている。
【0017】
この請求項3の発明では、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁もしくは上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁のうちの少なくとも一方が、作動流体の流動に伴って、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁と被支持回転体の被支持面との間にくさび状空間を形成する。したがって、上記略ヘリングボーン形状の溝によって集められた作動流体を、入口となる上記周方向前方縁付近から周方向後方の出口に向かって、よりスムーズに流動させることができる。したがって、安定した動圧を発生できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0019】
図1に、この発明のスラスト動圧軸受の実施の形態を中心軸Jの方向から見た平面形状を示し、図2(A)に図1におけるA−A線断面の形状を示す。
【0020】
図1,図2(A)に示すように、この実施形態は、最上層の円板形状の第1フォイル1の直下に、円板形状の第2フォイル2が配置され、この円板形状の第2フォイル2の直下に円板形状の第3フォイル3が配置されている。さらに、この第3フォイル3の直下に円板形状の第4フォイル4が配置され、この第4フォイル4は、下面5Bを有する円板形状の基板5の基面となる上面5A上に配置されている。
【0021】
上記第1フォイル1は、図3(A)に示すように、中心穴9を有し、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリンボーン形状の穴6が形成され、周方向に隣接する穴6の間は、丘部7になっている。この丘部7の径方向外方部7Aには、穴8が形成されている。
【0022】
また、上記第2フォイル2は、図3(B)に示すように、中心穴10を有し、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリンボーン形状の穴11,12が交互に形成されている。上記穴11の周方向前方(つまり、図3(B)において時計回りの方向)に第1凸状部13が位置し、上記穴11の周方向後方(つまり、図3(B)において反時計回りの方向)に第2凸状部14が位置している。
【0023】
図1,図2(A)に示すように、この第2フォイル2の第1凸状部13は、第1フォイル1の丘部7の直下で周方向前方縁7Bに略沿った形状(略ヘリンボーン形状)になっている。また、この第2フォイル2の第2凸状部14は、第1フォイル1の丘部7の直下で周方向後方縁7Cに略沿った形状(略ヘリンボーン形状)になっている。この第1凸状部13の上面13Aおよび第2凸状部14の上面14Aは、上記第1フォイル1の丘部7の対向面7Gに接触している。
【0024】
さらに、図2(A)に示すように、この第2フォイル2の第1凸状部13は、第1フォイル1の丘部7の周方向前方縁7Bよりも周方向後方に配置されている。一方、第2フォイル2の第2凸状部14の後方端面14Bは、第1フォイル1の丘部7の周方向後方縁7Cに略面一になっている。
【0025】
また、上記第3フォイル3は、図3(C)に示すように、中心穴15を有し、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリンボーン形状の穴16が形成され、隣接する穴16の間が丘部17になっている。この丘部17の径方向外方部17Aには、穴18が形成されている。
【0026】
図2(A)に示すように、この第3フォイル3の丘部17の周方向前方縁17Bは、上記第2フォイル2の第1凸状部13よりも周方向前方に形成され、この丘部17の周方向後方縁17Cは、第2フォイル2の第2凸状部14よりも周方向後方に形成されている。
【0027】
また、上記第4フォイル4は、図3(D)に示すように、中心穴20を有し、周方向に所定の間隔を隔てて、複数の略ヘリンボーン形状の穴21,22が交互に形成されている。上記穴21の周方向前方(つまり、図3(D)において時計回りの方向)に第3凸状部23が位置し、穴21の周方向後方(つまり、図3(D)において反時計回りの方向)に第4凸状部24が位置している。
【0028】
図1,図2(A)に示すように、この第4フォイル4の第3凸状部23は、第3フォイル3の丘部17の直下で周方向前方縁17Bに略沿った形状(略ヘリンボーン形状)になっている。また、この第4フォイル4の第4凸状部24は、第3フォイル3の丘部17の直下で周方向後方縁17Cに略沿った形状(略ヘリンボーン形状)になっている。この第3凸状部23の上面23Aおよび上記第4凸状部24の上面24Aは、第3フォイル3の丘部17の対向面17Gに接触している。
【0029】
さらに、図2(A)に示すように、この第4フォイル4の第3凸状部23は、第3フォイル3の丘部17の周方向前方縁17Bよりも周方向後方に配置されている。一方、第4フォイル4の第4凸状部24の後方端面24Bは、第3フォイル3の丘部17の周方向後方縁17Cに略面一になっている。
【0030】
また、図3(E)に示すように、基板5は、中心穴25を有し、径方向外径側の領域R1に周方向に所定の間隔を隔てて複数の空気流入口26が形成され、径方向内径側の領域R2に周方向に所定の間隔を隔てて複数の空気流入口27が形成されている。この径方向外径側の領域R1の空気流入口26は、図1に示すように、第4フォイル4の穴21、第3フォイル3の穴16、第2フォイル2の穴12、第1フォイル1の穴6に連通している。
【0031】
また、上記径方向内径側の領域R2の空気流入口27も、図1に示すように、第4フォイル4の穴21、第3フォイル3の穴16、第2フォイル2の穴12、第1フォイル1の穴6に連通している。
【0032】
上記構成のスラスト動圧軸受によれば、上から順に、第1フォイル1、第2フォイル2、第3フォイル3、第4フォイル4が基板5の上面5A上に配置されている。第1フォイル1の下層の第2フォイル2は、第1凸状部13と第2凸状部14でもって、第1フォイル1の丘部7の周方向前方縁7Bと周方向後方縁7Cの内側を第3フォイル3に対して支持する。また、この第3フォイル3の周方向前方縁17Bは、第2フォイル2の第1凸状部13よりも周方向前方に形成され、第3フォイル3の周方向後方縁17Cは、第2フォイル2の第2凸状部14の周方向後方に形成されている。また、この第3フォイル3の周方向前方縁17Bと周方向後方縁17Cは、第4フォイル4の第3凸状部23と第4凸状部24で基板5の上面5Aに対して支持されている。
【0033】
この実施形態では、第1,第2,第3,第4フォイル1,2,3,4に形成された略ヘリングボーン形状の穴6,12,16,21が、上記基板5の上面5A上に略ヘリングボーン形状の溝を形成し、最上層の第1フォイル1の上方に所定の動圧隙間を隔てて配置される被支持回転体としての円盤30が回転すると、上記略ヘリングボーン形状の溝の効果で動圧が発生し、上記円盤30が第1〜第4フォイル1〜4に非接触で回転する。
【0034】
この円盤30は、図1の矢印K1の方向に回転し、周方向前方から周方向後方に(図1において反時計回り)作動流体としての空気が流動する。すなわち、この空気は、図2(B)に矢印K2で示す方向へ流動し、この空気による流体圧でもって、第1フォイル1の周方向前方縁7Bおよび第3フォイル3の周方向前方縁17Bが弾性変形して下方に押し下げられる。
【0035】
さらに、この第1フォイル1の周方向前方縁7Bの内側(後方)の部分7Dは、第2フォイル2の第1凸状部13を下方に押し下げ、この第2フォイル2の第1凸状部13は第3フォイル3の周方向前方縁17Bの後方の第3凸状部23よりも後方の部分17Dを下方に湾曲させる。さらに、上記第1フォイル1は、第2フォイル2の第1凸部13と第2凸部14とで支持されている丘部7の周方向前方縁7Bと周方向後方縁7Cとの間の部分7Eが、作動流体としての空気が発生する動圧によって下方に凸に湾曲する。
【0036】
上述のごとく、この実施形態のスラスト動圧軸受は、上記作動流体の流体圧によって、第1〜第4フォイル1〜4が弾性変形して、図2(B)に示すように、出口31から入口32に向かって下方に凸に湾曲しつつ下り勾配で、かつ、入口32付近で下り勾配が大きくなっている動圧発生面S1が形成される。この動圧発生面S1によれば、図4に実線41で示すように、図4に破線42で示す従来の面圧分布に比べて、より平坦で全体として高い面圧(動圧)分布を実現でき、負荷容量を大きくできる。
【0037】
また、上述のごとく、円盤30が矢印K1の方向へ回転して作動流体としての空気が図2(B)に示すように矢印K2方向へ流動するのに伴って、第1フォイル1の丘部7の周方向前方縁7Bおよび第3フォイル3の丘部17の周方向前方縁17Bが、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁7B,17Bと円盤30の被支持面30Aとの間にくさび状空間を形成する。したがって、上記略ヘリングボーン形状の溝によって集められた作動流体としての空気を、入口32となる周方向前方縁17B付近から周方向後方の出口31に向かって、よりスムーズに流動させることができる。したがって、安定した動圧を発生できる。
【0038】
また、上記第1フォイル1の丘部7の対向面7Gと第2フォイル2の第1,第2凸状部13,14の上面13A,14Aとの間の接触摩擦力、および、第2フォイル2の第1,第2凸状部13,14と第3フォイル3の丘部17との間の接触摩擦力、および、第3フォイル3の丘部17の対向面17Gと第4フォイル4の第3,第4凸状部23,24の上面23A,24Aとの間の接触摩擦力、および第4フォイル4の第3,第4凸状部23,24と基板5の上面5Aとの間の接触摩擦力でもって、外乱発生時に各フォイル1〜4に自励振動が誘起されるのを抑制できる。また、上記自励振動が誘起された場合でも、上記接触摩擦力でもって、速やかに減衰させることができる。
【0039】
また、上記実施形態のスラスト動圧軸受では、上記第1〜第4フォイル1〜4は、ステンレス系材料としてのインコネル(商標名)からなる薄板状部材からなり、穴6,8、穴11,12、穴16,18、穴21,22は、それぞれ、貫通穴であり、打ち抜き成形でもって形成されている。したがって、上記第1〜第4フォイル1〜4は、製作が容易である。
【0040】
また、上記実施形態では、図3(E)に示すように、基板5が、径方向外径側の領域R1,径方向内径側の領域R2に、空気流入口26,27を有している。したがって、この領域R1とR2の間の動圧発生領域R3へ、空気流入口26,27から図1に矢印M1,M2で示す方向に作動流体としての空気が供給され易い。また、上記空気流入口26,27からの空気の流入による冷却効果も高く、高温用途にも適する。
【0041】
尚、上記実施形態では、第2フォイル2の第1凸状部13と第2凸状部14との間の部分を貫通した穴11および貫通した穴12としたが、これらの穴11,12に替えて、薄肉の凹状部としてもよい。また、上記実施形態では、第4フォイル4の第3凸状部23と第4凸状部24との間の部分を貫通した穴21および22としたが、これらの穴21,22に替えて、薄肉の凹状部としてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、別体の第1〜第4フォイルを積層したが、第1フォイルと第2フォイルを一体物としてもよい。また、第3フォイルと第4フォイルを一体物としてもよい。また、上記実施形態では、第1〜第4フォイルの穴を打ち抜き成形で作製したが、エッチングで形成してもよい。また、上記実施形態では、第1〜第4フォイルをステンレス系のインコネル(商品名)からなる薄板状部材で形成したが、他のステンレス系材料あるいは金属材料で作製してもよく、発生する動圧で弾性変形するような薄板状部材で作製すればよい。また、上記実施形態では、動圧を発生する作動流体が空気である一例を説明したが、上記作動流体は空気以外の気体であってもよく、気体以外の流体であってもよい。また、上記実施形態では、第1〜第4フォイル1〜4および基板5を円板形状としたが、多角形状,楕円形状等であってもよい。さらに、より高速,低損失,高耐久性が要求される用途では、各フォイルに表面処理を施してもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明のスラスト動圧軸受は、作動流体の流体圧によって、第1〜第4フォイルが弾性変形して、出口から入口に向かって下方に凸に湾曲しつつ下り勾配で、かつ、入口付近で下り勾配が大きくなっている動圧発生面が形成される。この動圧発生面によれば、従来の面圧分布に比べて、より平坦で全体として高い面圧(動圧)分布を実現でき、負荷容量を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のスラスト動圧軸受の実施形態の平面図である。
【図2】図2(A)は図1のA−A線断面図であり、図2(B)は動作中の上記実施形態の様子を示す断面図である。
【図3】図3(A),(B),(C),(D)および図3(E)は第1,第2,第3,第4フォイルおよび基板の平面図である。
【図4】上記実施形態における面圧分布および従来例における面圧分布を示す図である。
【図5】図5(A)および(B)は一従来例および他の従来例における動圧発生面と面圧分布を示す模式図であり、図5(C)は本発明における動圧発生面と面圧分布を示す模式図である。
【符号の説明】
1 第1フォイル
2 第2フォイル
3 第3フォイル
4 第4フォイル
5 基板
6,11,12,16 略ヘリンボーン形状の穴
7,17 丘部
7B,17B 周方向前方縁
7C,17C 周方向後方縁
8,18 穴
9,10,15,20,25 中心穴
13 第1凸状部
14 第2凸状部
23 第3凸状部
24 第4凸状部
26,27 空気流入口
30 円盤
S1 動圧発生面
【発明の属する技術分野】
この発明は、スラスト動圧軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スラスト動圧軸受の減衰特性を向上させるために、薄板を積層した構成の軸受が提案されている。これらのスラスト動圧軸受では、スパイラル溝やくさび形状の隙間でもって、動圧を発生している。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−242816号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのスラスト動圧軸受では、例えば、図5(A)に示すように、エッジがほぼ垂直に切り立った動圧溝101では、被支持体102に加える面圧が、作動流体の入口付近でピーク103を示し、出口にかけて急激に低下している。一方、図5(B)に示すように、ほぼ一定の傾斜角の傾斜面からなる動圧溝105では、被支持体106に加える面圧は、出口付近でピーク107を示し、入口にかけて急低下している。
【0005】
このような図5(A)や図5(B)に示す面圧分布では、ピークの片側で面圧が急激に低下しているため、負荷能力が制限されていた。
【0006】
そこで、この発明の目的は、より平坦な高い動圧分布を実現でき、負荷容量を大きくできるスラスト動圧軸受を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、板状フォイルを積層してなるスラスト動圧軸受であって、
周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリングボーン形状の穴が形成された最上層の第1フォイルと、
上記第1フォイルの直下に配置され、上記第1フォイルの周方向に隣接する上記略ヘリングボーン形状の穴の間に位置する丘部の周方向前方縁に略沿った形状の第1凸状部と、上記丘部の周方向後方縁に略沿った形状の第2凸状部とを有し、上記第1凸状部の上面と上記第2凸状部の上面が上記第1フォイルの対向面に接触する第2フォイルと、
上記第2フォイルの直下に配置され、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリングボーン形状の穴が形成され、隣接する上記略ヘリングボーン形状の穴の間に位置する丘部の周方向前方縁が、上記第2フォイルの第1凸状部よりも周方向前方に形成され、上記丘部の周方向後方縁が、上記第2フォイルの第2凸状部の周方向後方に形成された第3フォイルと、
上記第3フォイルの直下に配置され、上記第3フォイルの上記丘部の周方向前方縁に略沿った形状の第3凸状部と、上記第3フォイルの上記丘部の周方向後方縁に略沿った形状の第4凸状部とを有し、上記第3凸状部の上面と上記第4凸状部の上面が上記第3フォイルの対向面に接触する第4フォイルとを備え、
上記第4フォイルは、基面上に配置されたことを特徴としている。
【0008】
この請求項1の発明では、上から順に、第1フォイル、第2フォイル、第3フォイル、第4フォイルが配置されている。上記第1フォイルの下層の第2フォイルは、第1凸状部と第2凸状部でもって、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁と周方向後方縁を第3フォイルに対して支持する。また、この第3フォイルの周方向前方縁は、第2フォイルの第1凸状部よりも周方向前方に形成され、上記第3フォイルの周方向後方縁は、第2フォイルの第2凸状部の周方向後方に形成されている。また、この第3フォイルの周方向前方縁と周方向後方縁は、第4フォイルの第3凸状部と第4凸状部で基面に対して支持されている。
【0009】
この発明では、第1,第3フォイルに形成された略ヘリングボーン形状の穴が、上記基面上に略ヘリングボーン形状の溝を形成し、上記最上層の第1フォイルの上方に配置される被支持回転体(例えば円盤)が回転すると、上記略ヘリングボーン形状の溝の効果で動圧が発生し、上記被支持回転体が第1〜第4フォイルに被接触で回転する。
【0010】
また、この構成によれば、上記第1フォイル上に所定の動圧隙間を隔てて載置される被支持回転体(例えば、円盤)が回転し、周方向前方から周方向後方に動圧流体が流動する。この流動による流体圧によって、第1フォイルの周方向前方縁が弾性変形して下方に押し下げられ、この第1フォイルの周方向前方縁は、第2フォイルの第1凸状部を下方に押し下げ、この第2フォイルの第1凸状部は第3フォイルの周方向前方縁の後方の部分を下方に湾曲させる。
【0011】
これにより、このスラスト動圧軸受は、作動流体が流出する出口側の高さよりも、作動流体が流入する入口側の高さ寸法が小さなくさび形状になる。さらに、上記第1フォイルは、第2フォイルの第1凸部と第2凸部とで支持されている丘部の周方向前方縁と周方向後方縁との間の部分が、作動流体が発生する動圧によって下方に凸に湾曲する。
【0012】
上述の弾性変形によって、このスラスト動圧軸受は、一例として図5(C)に示す動圧発生面S1のように、出口から入口に向かって下方に凸に湾曲しつつ下り勾配で、かつ、入口付近で下り勾配が大きくなっている動圧発生面が形成される。このような動圧発生面によれば、一例を図5(C)に示すように、被支持回転体50に対して、従来よりフラットな面圧(動圧)分布を実現でき、負荷容量を大きくできる。
【0013】
また、上記第1フォイルの対向面と第2フォイルの第1,第2凸状部の上面との接触摩擦力、および、第3フォイルの対向面と第4フォイルの第3,第4凸状部の上面との接触摩擦力でもって、外乱発生時に各フォイルに自励振動が誘起されるのを抑制し自励振動を減衰させることができる。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のスラスト動圧軸受において、上記第2フォイルが薄板状部材からなり、隣接する上記第1凸状部と第2凸状部との間の部分が貫通孔である構造と、上記第4フォイルが薄板状部材からなり、隣接する上記第3凸状部と第4凸状部との間の部分が貫通孔である構造とのうちの、少なくとも一方の構造を有することを特徴としている。
【0015】
この請求項2の発明では、上記第2フォイルと第4フォイルのうちの少なくとも一方を、打ち抜きによって、容易に製作できる。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載のスラスト動圧軸受において、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁が、作動流体の流動に伴って、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁と被支持回転体の表面との間にくさび状空間を形成するべく、上記第2フォイルの第1凸状部が、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁よりも周方向後方に配置されている構造と、上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁が、作動流体の流動に伴って、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁と被支持回転体の表面との間にくさび状空間を形成するべく、上記第4フォイルの第3凸状部が、上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁よりも周方向後方に配置されている構造とのうちの、少なくとも一方の構造を有することを特徴としている。
【0017】
この請求項3の発明では、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁もしくは上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁のうちの少なくとも一方が、作動流体の流動に伴って、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁と被支持回転体の被支持面との間にくさび状空間を形成する。したがって、上記略ヘリングボーン形状の溝によって集められた作動流体を、入口となる上記周方向前方縁付近から周方向後方の出口に向かって、よりスムーズに流動させることができる。したがって、安定した動圧を発生できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0019】
図1に、この発明のスラスト動圧軸受の実施の形態を中心軸Jの方向から見た平面形状を示し、図2(A)に図1におけるA−A線断面の形状を示す。
【0020】
図1,図2(A)に示すように、この実施形態は、最上層の円板形状の第1フォイル1の直下に、円板形状の第2フォイル2が配置され、この円板形状の第2フォイル2の直下に円板形状の第3フォイル3が配置されている。さらに、この第3フォイル3の直下に円板形状の第4フォイル4が配置され、この第4フォイル4は、下面5Bを有する円板形状の基板5の基面となる上面5A上に配置されている。
【0021】
上記第1フォイル1は、図3(A)に示すように、中心穴9を有し、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリンボーン形状の穴6が形成され、周方向に隣接する穴6の間は、丘部7になっている。この丘部7の径方向外方部7Aには、穴8が形成されている。
【0022】
また、上記第2フォイル2は、図3(B)に示すように、中心穴10を有し、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリンボーン形状の穴11,12が交互に形成されている。上記穴11の周方向前方(つまり、図3(B)において時計回りの方向)に第1凸状部13が位置し、上記穴11の周方向後方(つまり、図3(B)において反時計回りの方向)に第2凸状部14が位置している。
【0023】
図1,図2(A)に示すように、この第2フォイル2の第1凸状部13は、第1フォイル1の丘部7の直下で周方向前方縁7Bに略沿った形状(略ヘリンボーン形状)になっている。また、この第2フォイル2の第2凸状部14は、第1フォイル1の丘部7の直下で周方向後方縁7Cに略沿った形状(略ヘリンボーン形状)になっている。この第1凸状部13の上面13Aおよび第2凸状部14の上面14Aは、上記第1フォイル1の丘部7の対向面7Gに接触している。
【0024】
さらに、図2(A)に示すように、この第2フォイル2の第1凸状部13は、第1フォイル1の丘部7の周方向前方縁7Bよりも周方向後方に配置されている。一方、第2フォイル2の第2凸状部14の後方端面14Bは、第1フォイル1の丘部7の周方向後方縁7Cに略面一になっている。
【0025】
また、上記第3フォイル3は、図3(C)に示すように、中心穴15を有し、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリンボーン形状の穴16が形成され、隣接する穴16の間が丘部17になっている。この丘部17の径方向外方部17Aには、穴18が形成されている。
【0026】
図2(A)に示すように、この第3フォイル3の丘部17の周方向前方縁17Bは、上記第2フォイル2の第1凸状部13よりも周方向前方に形成され、この丘部17の周方向後方縁17Cは、第2フォイル2の第2凸状部14よりも周方向後方に形成されている。
【0027】
また、上記第4フォイル4は、図3(D)に示すように、中心穴20を有し、周方向に所定の間隔を隔てて、複数の略ヘリンボーン形状の穴21,22が交互に形成されている。上記穴21の周方向前方(つまり、図3(D)において時計回りの方向)に第3凸状部23が位置し、穴21の周方向後方(つまり、図3(D)において反時計回りの方向)に第4凸状部24が位置している。
【0028】
図1,図2(A)に示すように、この第4フォイル4の第3凸状部23は、第3フォイル3の丘部17の直下で周方向前方縁17Bに略沿った形状(略ヘリンボーン形状)になっている。また、この第4フォイル4の第4凸状部24は、第3フォイル3の丘部17の直下で周方向後方縁17Cに略沿った形状(略ヘリンボーン形状)になっている。この第3凸状部23の上面23Aおよび上記第4凸状部24の上面24Aは、第3フォイル3の丘部17の対向面17Gに接触している。
【0029】
さらに、図2(A)に示すように、この第4フォイル4の第3凸状部23は、第3フォイル3の丘部17の周方向前方縁17Bよりも周方向後方に配置されている。一方、第4フォイル4の第4凸状部24の後方端面24Bは、第3フォイル3の丘部17の周方向後方縁17Cに略面一になっている。
【0030】
また、図3(E)に示すように、基板5は、中心穴25を有し、径方向外径側の領域R1に周方向に所定の間隔を隔てて複数の空気流入口26が形成され、径方向内径側の領域R2に周方向に所定の間隔を隔てて複数の空気流入口27が形成されている。この径方向外径側の領域R1の空気流入口26は、図1に示すように、第4フォイル4の穴21、第3フォイル3の穴16、第2フォイル2の穴12、第1フォイル1の穴6に連通している。
【0031】
また、上記径方向内径側の領域R2の空気流入口27も、図1に示すように、第4フォイル4の穴21、第3フォイル3の穴16、第2フォイル2の穴12、第1フォイル1の穴6に連通している。
【0032】
上記構成のスラスト動圧軸受によれば、上から順に、第1フォイル1、第2フォイル2、第3フォイル3、第4フォイル4が基板5の上面5A上に配置されている。第1フォイル1の下層の第2フォイル2は、第1凸状部13と第2凸状部14でもって、第1フォイル1の丘部7の周方向前方縁7Bと周方向後方縁7Cの内側を第3フォイル3に対して支持する。また、この第3フォイル3の周方向前方縁17Bは、第2フォイル2の第1凸状部13よりも周方向前方に形成され、第3フォイル3の周方向後方縁17Cは、第2フォイル2の第2凸状部14の周方向後方に形成されている。また、この第3フォイル3の周方向前方縁17Bと周方向後方縁17Cは、第4フォイル4の第3凸状部23と第4凸状部24で基板5の上面5Aに対して支持されている。
【0033】
この実施形態では、第1,第2,第3,第4フォイル1,2,3,4に形成された略ヘリングボーン形状の穴6,12,16,21が、上記基板5の上面5A上に略ヘリングボーン形状の溝を形成し、最上層の第1フォイル1の上方に所定の動圧隙間を隔てて配置される被支持回転体としての円盤30が回転すると、上記略ヘリングボーン形状の溝の効果で動圧が発生し、上記円盤30が第1〜第4フォイル1〜4に非接触で回転する。
【0034】
この円盤30は、図1の矢印K1の方向に回転し、周方向前方から周方向後方に(図1において反時計回り)作動流体としての空気が流動する。すなわち、この空気は、図2(B)に矢印K2で示す方向へ流動し、この空気による流体圧でもって、第1フォイル1の周方向前方縁7Bおよび第3フォイル3の周方向前方縁17Bが弾性変形して下方に押し下げられる。
【0035】
さらに、この第1フォイル1の周方向前方縁7Bの内側(後方)の部分7Dは、第2フォイル2の第1凸状部13を下方に押し下げ、この第2フォイル2の第1凸状部13は第3フォイル3の周方向前方縁17Bの後方の第3凸状部23よりも後方の部分17Dを下方に湾曲させる。さらに、上記第1フォイル1は、第2フォイル2の第1凸部13と第2凸部14とで支持されている丘部7の周方向前方縁7Bと周方向後方縁7Cとの間の部分7Eが、作動流体としての空気が発生する動圧によって下方に凸に湾曲する。
【0036】
上述のごとく、この実施形態のスラスト動圧軸受は、上記作動流体の流体圧によって、第1〜第4フォイル1〜4が弾性変形して、図2(B)に示すように、出口31から入口32に向かって下方に凸に湾曲しつつ下り勾配で、かつ、入口32付近で下り勾配が大きくなっている動圧発生面S1が形成される。この動圧発生面S1によれば、図4に実線41で示すように、図4に破線42で示す従来の面圧分布に比べて、より平坦で全体として高い面圧(動圧)分布を実現でき、負荷容量を大きくできる。
【0037】
また、上述のごとく、円盤30が矢印K1の方向へ回転して作動流体としての空気が図2(B)に示すように矢印K2方向へ流動するのに伴って、第1フォイル1の丘部7の周方向前方縁7Bおよび第3フォイル3の丘部17の周方向前方縁17Bが、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁7B,17Bと円盤30の被支持面30Aとの間にくさび状空間を形成する。したがって、上記略ヘリングボーン形状の溝によって集められた作動流体としての空気を、入口32となる周方向前方縁17B付近から周方向後方の出口31に向かって、よりスムーズに流動させることができる。したがって、安定した動圧を発生できる。
【0038】
また、上記第1フォイル1の丘部7の対向面7Gと第2フォイル2の第1,第2凸状部13,14の上面13A,14Aとの間の接触摩擦力、および、第2フォイル2の第1,第2凸状部13,14と第3フォイル3の丘部17との間の接触摩擦力、および、第3フォイル3の丘部17の対向面17Gと第4フォイル4の第3,第4凸状部23,24の上面23A,24Aとの間の接触摩擦力、および第4フォイル4の第3,第4凸状部23,24と基板5の上面5Aとの間の接触摩擦力でもって、外乱発生時に各フォイル1〜4に自励振動が誘起されるのを抑制できる。また、上記自励振動が誘起された場合でも、上記接触摩擦力でもって、速やかに減衰させることができる。
【0039】
また、上記実施形態のスラスト動圧軸受では、上記第1〜第4フォイル1〜4は、ステンレス系材料としてのインコネル(商標名)からなる薄板状部材からなり、穴6,8、穴11,12、穴16,18、穴21,22は、それぞれ、貫通穴であり、打ち抜き成形でもって形成されている。したがって、上記第1〜第4フォイル1〜4は、製作が容易である。
【0040】
また、上記実施形態では、図3(E)に示すように、基板5が、径方向外径側の領域R1,径方向内径側の領域R2に、空気流入口26,27を有している。したがって、この領域R1とR2の間の動圧発生領域R3へ、空気流入口26,27から図1に矢印M1,M2で示す方向に作動流体としての空気が供給され易い。また、上記空気流入口26,27からの空気の流入による冷却効果も高く、高温用途にも適する。
【0041】
尚、上記実施形態では、第2フォイル2の第1凸状部13と第2凸状部14との間の部分を貫通した穴11および貫通した穴12としたが、これらの穴11,12に替えて、薄肉の凹状部としてもよい。また、上記実施形態では、第4フォイル4の第3凸状部23と第4凸状部24との間の部分を貫通した穴21および22としたが、これらの穴21,22に替えて、薄肉の凹状部としてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、別体の第1〜第4フォイルを積層したが、第1フォイルと第2フォイルを一体物としてもよい。また、第3フォイルと第4フォイルを一体物としてもよい。また、上記実施形態では、第1〜第4フォイルの穴を打ち抜き成形で作製したが、エッチングで形成してもよい。また、上記実施形態では、第1〜第4フォイルをステンレス系のインコネル(商品名)からなる薄板状部材で形成したが、他のステンレス系材料あるいは金属材料で作製してもよく、発生する動圧で弾性変形するような薄板状部材で作製すればよい。また、上記実施形態では、動圧を発生する作動流体が空気である一例を説明したが、上記作動流体は空気以外の気体であってもよく、気体以外の流体であってもよい。また、上記実施形態では、第1〜第4フォイル1〜4および基板5を円板形状としたが、多角形状,楕円形状等であってもよい。さらに、より高速,低損失,高耐久性が要求される用途では、各フォイルに表面処理を施してもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明のスラスト動圧軸受は、作動流体の流体圧によって、第1〜第4フォイルが弾性変形して、出口から入口に向かって下方に凸に湾曲しつつ下り勾配で、かつ、入口付近で下り勾配が大きくなっている動圧発生面が形成される。この動圧発生面によれば、従来の面圧分布に比べて、より平坦で全体として高い面圧(動圧)分布を実現でき、負荷容量を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のスラスト動圧軸受の実施形態の平面図である。
【図2】図2(A)は図1のA−A線断面図であり、図2(B)は動作中の上記実施形態の様子を示す断面図である。
【図3】図3(A),(B),(C),(D)および図3(E)は第1,第2,第3,第4フォイルおよび基板の平面図である。
【図4】上記実施形態における面圧分布および従来例における面圧分布を示す図である。
【図5】図5(A)および(B)は一従来例および他の従来例における動圧発生面と面圧分布を示す模式図であり、図5(C)は本発明における動圧発生面と面圧分布を示す模式図である。
【符号の説明】
1 第1フォイル
2 第2フォイル
3 第3フォイル
4 第4フォイル
5 基板
6,11,12,16 略ヘリンボーン形状の穴
7,17 丘部
7B,17B 周方向前方縁
7C,17C 周方向後方縁
8,18 穴
9,10,15,20,25 中心穴
13 第1凸状部
14 第2凸状部
23 第3凸状部
24 第4凸状部
26,27 空気流入口
30 円盤
S1 動圧発生面
Claims (3)
- 板状フォイルを積層してなるスラスト動圧軸受であって、
周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリングボーン形状の穴が形成された最上層の第1フォイルと、
上記第1フォイルの直下に配置され、上記第1フォイルの周方向に隣接する上記略ヘリングボーン形状の穴の間に位置する丘部の周方向前方縁に略沿った形状の第1凸状部と、上記丘部の周方向後方縁に略沿った形状の第2凸状部とを有し、上記第1凸状部の上面と上記第2凸状部の上面が上記第1フォイルの対向面に接触する第2フォイルと、
上記第2フォイルの直下に配置され、周方向に所定の間隔を隔てて複数の略ヘリングボーン形状の穴が形成され、隣接する上記略ヘリングボーン形状の穴の間に位置する丘部の周方向前方縁が、上記第2フォイルの第1凸状部よりも周方向前方に形成され、上記丘部の周方向後方縁が、上記第2フォイルの第2凸状部の周方向後方に形成された第3フォイルと、
上記第3フォイルの直下に配置され、上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁に略沿った形状の第3凸状部と、上記第3フォイルの丘部の周方向後方縁に略沿った形状の第4凸状部とを有し、上記第3凸状部の上面と上記第4凸状部の上面が上記第3フォイルの対向面に接触する第4フォイルとを備え、
上記第4フォイルは基面上に配置されたことを特徴とするスラスト動圧軸受。 - 請求項1に記載のスラスト動圧軸受において、
上記第2フォイルが薄板状部材からなり、隣接する上記第1凸状部と第2凸状部との間の部分が貫通孔である構造と、上記第4フォイルが薄板状部材からなり、隣接する上記第3凸状部と第4凸状部との間の部分が貫通孔である構造とのうちの、少なくとも一方の構造を有することを特徴とするスラスト動圧軸受。 - 請求項1または2に記載のスラスト動圧軸受において、
上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁が、作動流体の流動に伴って、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁と被支持回転体の表面との間にくさび状空間を形成するべく、上記第2フォイルの第1凸状部が、上記第1フォイルの丘部の周方向前方縁よりも周方向後方に配置されている構造と、上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁が、作動流体の流動に伴って、下方に弾性変形して、上記周方向前方縁と被支持回転体の表面との間にくさび状空間を形成するべく、上記第4フォイルの第3凸状部が、上記第3フォイルの丘部の周方向前方縁よりも周方向後方に配置されている構造とのうちの、少なくとも一方の構造を有することを特徴とするスラスト動圧軸受。
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