JP3725548B2 - 柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、柔軟フォイル型流体力学的流体膜式軸受に係り、更に詳細には流体フォイル、スプリングフォイル、支持フォイルを使用して軸受の回転部分を支持し位置決めし、回転部分の振動を減衰させ、回転部分の運動や変位を受け入れるよう改良されたスラスト軸受に係る。
発明の背景
柔軟フォイル型流体力学的流体膜式軸受は種々の高速口の側面を有するスラストディスクである回転要素と、回転要素の軸線方向両側に位置する回転しない柔軟な流体フォイル部材と、流体フォイル部材の軸線方向両側に位置する回転しない柔軟なスプリングフォイル部材と、これらのフォイルの部材の軸線方向両側に位置しこれらのフォイル部材のための取り付け手段を与える回転しないスラストプレート要素及び回転しないハウジング要素とよりなっている。回転要素と軸受の一方の側のスラストプレート要素との間の空間及び回転要素と軸受の他方の側のハウジング要素のスラスト面との間の空間はフォイルを被包する流体(一般には空気)にて充填されている。
回転要素の運動により流体に粘性抗力が与えられ、回転要素の平滑な面と流体フォイルとの間の流体が周方向に流動せしめられる。回転要素と流体フォイルとの間の空間は複数個の流体力学的楔状通路に分割されている。これらの楔状通路は一般に柔軟な凸状に湾曲したフォイルパッドをその下方の支持フォイルに抵抗溶接することによって形成されている。流体の周方向の流れについて見てフォイルパッドのリーディング側の傾斜面及び回転要素の平滑面は先細楔状通路の二つの主要な面を形成している。またフォイルのトレーリング側の傾斜面及び回転要素の平滑面は末広楔状通路の二つの主要な面を形成している。先細楔状通路に沿って周方向に流れる流体は流路面積が漸次減少する領域を流れ、これにより周方向の流速を漸次増大すると共に静圧を漸次増大する。回転要素が非回転要素へ向けて移動すると、楔状通路の先細角度が増大し、これにより楔状通路に沿う圧力の上昇率が増大する。逆に回転要素が非回転要素より離れる方向へ移動すると、楔状通路に沿う圧力上昇率が低下する。かくして楔状通路内の流体は回転要素に対し復元力を与え、その場合の復元力は運転間隙に応じて変動すると共に運転間隙を安定化させ、また軸受の回転要素と非回転要素とが互いに接触することを防止する。フォイルの弾性変形及び摺動により軸受の回転要素の軸線方向の運動及び反り返り運動がクーロン減衰される。
軸受の回転要素は低回転速度域に於いては、プレロードスプリング力や重力に起因して軸受の流体フォイル部材と物理的に接触した状態にある。かかる物理的接触状態により軸受の摩耗が発生する。楔状通路に発生する流体力学的力によって回転要素と非回転要素との間の運転間隙が確保されるのは、ロータの回転速度が所謂リフトオフ/タッチダウン速度よりも高い速度域にある場合のみである。
従来の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受の流体力学的楔状通路の傾斜面は周方向には先細状又は末広状に傾斜しているが、半径方向には傾斜成分を有していない。先細楔状通路の傾斜面は通路の内縁又は外縁に於いて流体が通路より流出することを防止する側壁や他の手段を有していない。先細楔状通路のトレーリングエッジに於いては、流体圧が高いこと及び半径方向の流れを拘束する手段が存在しないことにより半径方向の流れが通路より流出し、そのため流体圧が低下し、軸受の荷重担持能力が低下し、軸受の抗力が増大する。また半径方向の流れが流出するので、先細楔状通路の始端に於いて流体が補充される必要がある。
従来の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受は、単一通路の循環ループである主要な流体流パターンを先細楔状通路に有している。回転するスラストディスクに隣接する先細楔状通路内の流体は、粘性抗力に起因してスラストディスクの運動方向と同一の方向の周方向へ(傾斜面を上昇する方向へ)移動する。一方回転しない流体フォイルに隣接する先細楔状通路内の流体は、該通路に沿う周方向の圧力勾配に起因してスラストディスクの運動方向とは反対の周方向へ(傾斜面を降下する方向へ)移動する。静圧を増大しつつスラストディスク近傍の傾斜面を上昇移動する流体の大部分は、楔状通路の終端に到達する前に方向転換して戻り、圧力を低下しつつ流体フォイル近傍の傾斜面を下降移動する。この流体の殆ど全ては楔状通路の始端に到達する前に再度方向転換し、圧力を上昇しつつ傾斜面を上昇移動する。単一経路の再循環ループの流れパターンにて移動する流体は各ループ毎に実質的に同一の経路を移動し、各ループ毎に同一の圧力上昇及び圧力低下を生じ、一つのループより他の一つのループへの圧力上昇は生じない。これらの軸受は各再生ループを移動する流体の流れが種々の経路を移動しループ毎に流体圧が実際に上昇する複数経路の渦流パターンを使用する軸受よりも低い流体力学的圧力しか発生せず、従って低い荷重担持能力しか有しない。
従来の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受は低い抗力及び動力消費量に比して適度な非常に小さい運転間隙にて作動する。回転しない流体フォイルの先細楔状通路の傾斜面のトレーリング端部と回転するスラストディスクとの間の間隙は、運転状態に於いては一般に50μinch(1inch=2.54cm)である。またスラストディスクに与えられる流体力学的抗力による剪断力を軸受により担持されるスラスト荷重にて除算した値として定義される軸受の無次元の抗力係数は、運転状態に於いては一般に0.0005以上である。
柔軟フォイル型流体力学的流体膜式軸受は、フォイルの位置や当接状態を制御しフォイルの力学的安定性を確保すべく、相対的に運動可能な回転要素(スラストディスク)に対し流体フォイルを付勢するプレロードを与える裏当てスプリングに依存する。軸受の始動トルク(理想的には0である)はこれらのプレロード力に正比例する。またこれらのプレロード力は、楔状通路内の流体力学的効果が軸受の回転要素を回転しない部材と物理的に接触した状態より離脱させるに十分な値になるスラストディスクの回転速度(リフトオフ/タッチダウン速度)を大きく上昇させてしまう。従ってこれらのプレロード力及び高いリフトオフ/タッチダウン速度により、スラストディスクの始動及び停止毎に軸受の高い摩耗が発生される。
従来の多くの柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受は大きい横方向空間を有し、コンプライアンスが高過ぎる。即ち従来の軸受はスプリングの構造に固有のスプリングの撓み公差の制御性が悪いので、スラストディスクの軸線方向の運動や反り返り運動を厳密に抑制することができない。
柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受に於いては、軸受の流体フォイル部材を形成するために支持フォイルに溶接された複数個の凸状に湾曲した被覆された柔軟な流体フォイルパッドが従来より一般に使用されている。これらツーピース型の流体フォイル部材はシングルピース型の流体フォイル部材に比して厚く、厚さ制御性が悪い。またツーピース型の流体フォイル部材はプロセス流体の乱流を発生し、運転速度域に於ける抗力が高く、各フォイルパッドのトレーリングエッジと周方向に隣接する次のパッドの溶接にて取り付けられたエッジとの流れの不連続性に起因して荷重担持能力が低い。
従来の柔軟フォイル型流体膜式スラスト軸受のなかには、フォイル要素の互いに対向する側面に周方向にオフセットされたフライス加工されていない畝部が残されるよう、平坦なフォイル素材の両側面に周方向に互いにオフセットされたリセスをフライス加工(化学的又は他の手段による)することにより形成されたスプリングフォイル要素を使用するものがある。オフセットされた畝部に与えられる圧力によりスプリングフォイル要素がばねの如く弾性変形せしめられる。かくして形成されたスプリングフォイル要素はフライス加工深さの僅かなばらつきに起因してばね定数の大きいばらつきを生じ易い。またフライス加工はそれ以前に行われたフォイルの圧延工程により発生された残留表面圧縮応力を非対称に解放し、そのためフォイルの湾曲変形を誘発する。
また他の軸受に於いては、約1300°F(704℃)にて約20時間に亘りフォイル素材を熱処理しつつ互いに対応する波形を有する二つの成形プレートの間にてそれらのプレート間隔を一定に維持して焼きなましされたインコネル750Xのフォイル素材をプレス成形することにより形成された渦巻き形のスプリングフォイル要素が使用されている。かくして形成されたスプリングフォイルは弾性変形していない状態での厚さのばらつきが大きくなり易い。
場合によっては流体フォイルは溶接又はろう付けによりスプリングフォイルに取り付けられ、或いはフォイル部材を形成するために種々のスプリングフォイル要素が互いに溶接又はろう付けされる。一方のフォイル要素を他方のフォイル要素に取り付けるために溶接又はろう付けが行われるこれらのスラスト軸受は、特に接合部に於いてフォイルの歪みやフォイルの疲労破損を生じ易い。
軸受の回転要素に面する流体フォイルの側面は、回転要素の回転速度がリフトオフ/タッチダウン速度以下である場合に於ける軸受の摩耗を低減すべく減摩被覆にて被覆される場合がある。しかしこれらの被覆は大きい厚さの交差を有し、かかる交差によりフォイルパックの厚さの公差が悪影響を受けることがある。
従来の何れの柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受もフォイルパックの厚さのばらつきを補償する自己厚さ調整能力を有してはいない。従って従来の軸受に於いてはプレロード力、始動トルク、リフトオフ/タッチダウン速度、摩耗量、コンプライアンス(軸受及びロータの最大許容相対運動)のばらつきが大きく、或いは各フォイルパック毎に厚さが適合するようフォイルを選定する必要がある。
従来の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受が多数の従来の特許に記載されている。例えば米国特許第4,082,375号、同第4,208,076号、同第4,223,958号、同第4,277,111号、同第4,277,112号、同第4,277,113号、同第4,597,677号には、互いに隔置され且つ下方の支持ディスク上に(一般には溶接により)取り付けられた複数個の周方向に湾曲し又は平坦なフォイルであって、互いに隔置された各フォイルの下方に補強材又は裏当てスプリングが取り付けられたフォイルが記載されている。各強化部材や裏当てスプリングは上述の米国特許に於いて多数の種々の形状や形態をなしている。
上述の軸受の一つの変形例が米国特許第4,462,700号、同第4,621,930号、同第4,668,106号、同第4,682,900号、同第5,110,220号に記載されており、これらの米国特許に於いては補強材又は裏当てフォイルが使用され或いは支持ディスクの下方に裏当てスプリング又は補強ディスクが使用されている。また米国特許第4,348,066号には個別に取り付けられ互いにオーバラップするフォイルが記載されていおり、米国特許第4,767,221号にはそれぞれ可撓性を有するフォイルが固定されたパッドを有する複数個のスプリング要素が記載されている。
また米国特許第3,809,443号、同第4,116,503号、同第4,213,657号、同第4,227,753号、同第4,247,155号、同第4,300,806号、同第4,624,583号、同第4,871,267号には、一体的なフォイルディスクの下方に裏当てスプリングディスク又はスプリングパッド支持体が設けられた一体的なフォイルディスクが記載されている。また米国特許第4,247,155号、同第4,624,583号、同第4,871,267号に於いては、一体的なフォイルディスク上の各フォイル要素の間にプロセス流体を補充するための溝又は孔が一体的なフォイルディスクに設けられている。この軸受の一つの変形例が米国特許第4,225,196号及び同第4,315,359号に記載されており、これらの米国特許には互いに重ね合わされ且つ互いに溶接された一対のスタンピング加工されたシートより形成された複数個のフォイル要素が記載されている。
更に米国特許第3,957.317号には、ジャーナル軸受フォイルのための矢はず形又は山形のトレーリングエッジが開示されている。しかしこの米国は個々の互いにオーバラップするフォイルに限定され、またフォイルのトレーリングエッジを所定の形状にすることの利点が認識されてはいるが、トレーリングエッジ以外の部分の形状を工夫するものでもなければ、側方への傾斜によって流体の漏洩を抑制せんとするものでもない。
かくして上述の従来の何れの特許も、流体フォイルの作動面に渦流通路を形成すると共に内径部及び外径部の両方に於ける流体の漏洩を防止するための所定形状のスコップ状傾斜面を有する流体フォイルを個別に又は全体として開示してはいない。同様にフォイルやスプリングの厚さに拘らず一定のフォイル間隙を設定する一体的な自己厚さ調整リングや構造を有する流体フォイル、スプリングフォイル、支持フォイルは開示されていない。
発明の概要
本発明に於いては、柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受は、二つの側面を有するスラストディスクロータと、流体フォイルと、スプリングフォイルと、支持フォイルと、スラストプレートと、フォイル保持用ハウジングと、スペーサリングとを含んでいる。回転しないが柔軟な流体フォイルは回転可能なディスクロータの二つのスラスト面に隣接して配置される。流体フォイルは開口面を備えた通路を有し、該通路はプロセス流体中に再生可能な渦流パターンを発生する。これらの渦流パターンは流体間隙検出システム、流体増幅器システム、流体力発生サーボシステムとして機能する。流れが制御されるプロセス流体を介してスラストディスクにより流体フォイルに与えられる力は、流体フォイルとスラストディスクとの間の間隙に反比例して変化し、またスラストディスクの撓みに比例して変化する。
スプリングフォイルは流体フォイルを支持するが、流体フォイルがスラストディスクの軸線方向の運動及び反り返り運動に従動することを許す。インナ支持フォイルは流体フォイルとスプリングフォイルとの間に配置され、スラストディスク及び流体フォイルが運動する際に平坦なスプリングフォイルを弾性変形させる押圧点を与える。一方アウタ支持フォイルは軸受の一方の側に於いてはスプリングフォイルとハウジングとの間に配置され、軸受の他方の側に於いてはスプリングフォイルとスラストプレートとの間に配置される。またアウタ支持フォイルもスプリングフォイルを弾性変形させる押圧点を与える。
三種類のフォイル、即ち流体フォイル、スプリングフォイル、支持フォイルはそれぞれ柔軟なウェブ構造体及びピンによりフォイル保持用ハウジングに取り付けられる。各フォイルは薄い平坦な環状のシートとして形成され、外周縁に一体的な厚さ調整リングを有し、また各フォイルに固有の所定形状の打ち抜きパターンを有する。
成形工程の一部として、流体フォイル素材は一方の側面に於いて柔軟な耐摩耗性材料にて被覆され、しかる後形成ツールにてスタンピング加工されることにより流体通路が形成される。スラストプレートは一体的なプレロードスプリングによりフォイル保持用ハウジングのスラスト面に対し付勢するプレロードを受け、フォイルの厚さ調整リングの合計の厚さとスペーサリングの厚さとの和の分だけハウジングより隔置された状態に維持される。このことにより軸受は実質的に自動的に厚さ調整を行い、フォイルの厚さやフォイル被覆の厚さの通常のばらつきによっては影響を受けない小さい間隙が流体フォイルとスラストディスクとの間に形成される。
本発明の軸受はプレロード力を有しておらず、従ってロータの回転軸線が重量の方向に対し90°の方向に設定されると始動トルクが0になる。プロセス流体の渦流パターンにより、軸受の運転間隙及び荷重担持能力が大きく改善され、しかもリフトオフ速度が大きく低減される。更に良好な減衰、低い運転トルク、小さい横方向の空間が達成される。これらのすべては低廉な製造コスト及び少ない部品点数にて達成される。
本発明の主要な目的は、改良された柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、軸線方向荷重及び反り返り荷重の担持能力の高い柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、圧縮膜及びクーロン減衰機能を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、軸受及びディスクの振れを厳しく制限すべく小さい横方向空間間隙しか有しない柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、作動トルクが非常に低い柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、流体フォイル要素とスラストディスクとの間に大きい回転間隙を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、速度が0の場合にもスラストディスクに対するばね力によりプレロードが与えられることのない流体フォイル部材を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、重力に起因するプレロード力が存在しない場合には始動トルクが0である柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、プレロード力が0であることに対応する非常に低いリフトオフ/タッチダウン速度を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、プレロード力が0であること及び低いリフトオフ/タッチダウン速度に対応して始動時及び停止時の摩耗が非常に低い柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、流体フォイル要素の表面に形成された先細楔状通路であって、それらの通路の半径方向外縁及び半径方向内縁に於いて通路より流体が流出することを制限するよう構成された先細楔状通路を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、半径方向について凹状に湾曲し、周方向について速度が0のときには平坦に傾斜し、流体力学的力及びばね力が流体フォイル要素に与えられる運転速度域に於いては凸状に湾曲する複合的な曲面形状を有する先細楔状通路の傾斜面が流体フォイル要素の表面に形成された柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。この場合複合的な曲面形状は、半径方向に幅の広い流体入口と、周方向の流体通路に沿って延在し半径方向に幅が漸次減少する通路幅と、丸みを帯びた周方向のトレーリングエッジとを有するスコップの如き形状に形成され、スコップとして機能する。
本発明の他の一つの目的は、流体フォイル要素に近接して傾斜面を下降する方向(実質的にスラストディスクの回転方向とは反対の周方向)へプロセス流体が移動する際の流体の圧損を防止する流体流パターンを有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、各再生可能な流れループ毎に異なる流路にて再生可能な流体流パターンを有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、渦流パターンを有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、光学的にマスキングされる化学エッチング法により製造される流体フォイル要素、スプリングフォイル要素、支持フォイル要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、フォイル金属を圧延し熱処理するために使用されるプロセス及びフォイル素材やフォイル要素を形成するために使用されるプロセス(例えばエッチング)に起因して非常に平坦なフォイル要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、厚さの公差が厳密に維持されたフォイル要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、単一部品の流体フォイル要素である流体フォイル部材を軸受の両側に一つずつ有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、急峻に傾斜したジョグル、即ち傾斜面が末広楔状通路として機能し、先細楔状通路の徐々に狭まる傾斜面がジョグルの間を直線的に接続する部分として塑性変形することなく形成されるよう、急峻に傾斜したジョグルをプレス成形することによって素材より形成された流体フォイル要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、室温にてプレス成形することによりインコネル750Xの如きニッケル鋼の焼なましされた素材より形成された流体フォイル要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、スプリングフォイル部材の局部領域に隣接する先細楔状通路内の流体圧の変動を受け入れるよう、半径方向位置に応じて局部的ばね定数が変動するスプリングフォイル部材を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、柔軟な弾性変形される一定厚さのスプリングフォイル要素と、一定厚さのインナ支持フォイル要素と、弾性変形されない一定厚さのアウタ支持フォイル要素とよりなるスプリングフォイル部材を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。二つのパターンの支持フォイル要素は、インナ支持フォイルとアウタ支持フォイルとの間に力が与えられると、平坦なスプリングフォイル要素を押圧して弾性変形させスプリングとして機能させるためのオフセットされた支点として機能する。
本発明の他の一つの目的は、アウタ支持要素に於ける支点支持線の数と同一の数の支点支持線をインナ支持要素に使用するスプリングフォイル部材を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、流体フォイルのための傾斜パッド型の支持体を与えるようアウタ支持要素に於ける支点支持線の数の二倍の支点支持線をインナ支持要素に使用するスプリングフォイル部材を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、焼なましされた金属(典型的にはインコネル750X)のフォイル素材より室温にて成形され、スプリングとして機能するに必要な高い降伏強さを得るべく熱処理された単一のスプリングフォイル要素よりなるスプリングフォイル部材を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、スプリングフォイルの内方領域の局部的ばね定数を設定すべく長さ及び幅が徐々に変化する周方向の溝を使用し、スプリングフォイルの外方領域の局部的ばね定数を設定すべく徐々に変化する片持ち梁の長さを使用する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、フォイル部材組立体を形成するために溶接又はろう付けされないフォイル要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、軸受のハウジングに剛固に取り付けられフォイル要素を位置決めしその回転を抑制するピンを有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、軸受の軸線に垂直な方向及び軸線周りの回転方向のプレートの撓みを抑制するが、軸線に沿うプレートの軸線方向の撓み及びプレートの反り返りの撓みを許す撓み部材であって、ディスクに軸線方向のプレロード力を与える撓み部材により軸受ハウジングに柔軟に取り付けられた非回転スラストプレート要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、スラストディスクの速度が0であるときには弾性的に取り付けられ且つプレロードが与えられたスラストプレート要素が流体フォイル要素にプレロード力を与えることを防止すると共に、(フォイルの外周縁の自己厚さ調整リング、即ち、スラストプレートとハウジングとの間の厚さを自動的に調整するための周縁リングと共働して)スラストディスクが如何なる速度にあるときにも(スプリングフォイルが撓み始める前の)軸受の軸線方向の遊び及び軸受の最大の振れを制御し一定に維持するスペーサリング要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、弾性的に取り付けられたスラストプレートとハウジングのスラスト面との間の軸線方向距離又は厚さを(スペーサリングと共働して)制御する自己厚さ調整リングが周縁部に設けられたフォイルを有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、スラストディスク、スペーサリング、フォイルの自己厚さ調整リングの弾性取り付け特性及びプレロード特性を使用して、フォイルの厚さ及びフォイル被覆の厚さのばらつきに起因する軸受の軸線方向の遊び及び横方向空間のばらつきを防止する自己厚さ調整機能を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、スラスト軸受内に迅速に且つ容易に組み込み可能な流体フォイル要素、スペーサリング要素、スラストディスク要素、スラストプレート要素を有する柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を提供することである。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明による柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を有するターボ機械の断面図である。
図2は本発明による柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受のスラストプレート及びスペーサの領域を示す図1の線2−2の部分の拡大部分断面図である。
図3は本発明による柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受のスプリングフォイル部材のためのアウタ支持フォイルを示す平面図である。
図4は本発明による柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受のスプリングフォイル部材のためのスプリングフォイル要素を示す平面図である。
図5は本発明による柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受のスプリングフォイル部材のためのインナ支持フォイルを示す平面図である。
図6は図3のアウタ支持フォイル、図4のスプリングフォイル要素、図5のインナ支持フォイルを有する本発明によるスプリングフォイル部材を一部破断して示す平面図である。
図7は本発明による柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受のスプリングフォイル部材のためのアウタ支持フォイルの他の一つの実施形態を示す部分平面図である。
図8は各アウタ支持ラインのための二つのインナ支持ラインを有する本発明によるスプリングフォイル部材の他の一つの実施形態を示す部分平面図である。
図9は本発明による柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受の流体フォイル要素を示す平面図である。
図10は図9の線10−10に沿う流体フォイル要素の拡大断面図である。
図11は図9の線11−11に沿う流体フォイル要素の拡大断面図である。
図12は等高線を示す図9の流体フォイル要素の拡大平面図である。
図13はプロセス流体の流入及び流出を示す図9の流体フォイル要素の一つの流体力学的先細楔状通路の平面図である。
図14は流体フォイル要素を横切る単純化された渦巻き流体流パターンを示す図9の流体フォイル要素の一つの流体力学的先細楔状通路の平面図である。
図15は速度が0の場合に流体フォイル要素を横切る等高線を示す図9の流体フォイル要素の一つの流体力学的先細楔状通路の平面図である。
図16は周方向及び半径方向の等高線を示す図9の流体フォイル要素の一つの流体力学的先細楔状通路の斜視図である。
図17は図8のスプリングフォイル部材により支持された図9の流体フォイル要素を示す断面図である。
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受を使用するターボ機械が図1に示されている。ターボ機械10は共通のシャフト16の両端に配置されたタービンロータ12とコンプレッサホイール14とを含んでいる。タービンロータ12とコンプレッサホイール14との間にて共通のシャフト16の周りにはスラスト及びラジアル軸受シャフト18が配置されている。センタ軸受ハウジング22内に配置されたジャーナル軸受カートリッジ20が軸受シャフト18の細長いタービン端部を回転可能に支持している。
軸受シャフト18のコンプレッサ端部は半径方向に延在するロータ、即ちスラストディスク24を含み、スラストディスク24はセンタ軸受ハウジング22のコンプレッサ端部に設けられたリセス26内へ延在している。スラスト軸受プレート28が軸受シャフトのディスク24の一方の側に配置されている。センタ軸受ハウジング22のコンプレッサ端部の外周部はコンプレッサハウジング30に係合している。
図2に最もよく示されている如く、スラスト軸受スペーサ32が軸受シャフト18のディスク24より半径方向外方に配置され、複数個の周方向に互いに隔置されたピン34により半径方向に位置決めされており、ピン34はセンタ軸受ハウジング22のリセス26に設けられた孔に固定され、スラスト軸受プレート28に設けられた孔38内に延在している。スラスト軸受の流体フォイル部材40及びスプリングフォイル部材42がディスク24及びスペーサ32の両側に配置されている。一方の側に於いては、流体フォイル部材40及びスプリングフォイル部材42はセンタ軸受ハウジング22のリセス26内に配置され、他方の側に於いては二つのフォイル部材はスラスト軸受プレート28に隣接している。流体フォイル部材40及びスプリングフォイル部材42はピン34により半径方向及び周方向の所定の位置に保持されており、ピン34はセンタ軸受ハウジング22より一方のスプリングフォイル部材42に設けられた孔、一方の流体フォイル部材40に設けられた孔、スペーサ32の孔、他方の流体フォイル部材40に設けられた孔、他方のスプリングフォイル部材42に設けられた孔を貫通してスラスト軸受プレート28に設けられた孔38内まで延在している。
スラスト軸受プレート28の半径方向の外端は平坦に形成された薄い半径方向に延在するスプリング29である。このスプリング29の外端は組み立て時にコンプレッサハウジング30に設けられたリップにより図2に示された位置までセンタ軸受ハウジング22へ向けて弾性変形される。スプリング29がかくして弾性変形されることによりスラストプレート28がセンタ軸受ハウジング22へ向けて効果的に押し付けられ、その運動がスペーサ32、流体フォイル部材40、スプリングフォイル部材42により拘束される。スペーサ32の厚さはディスク24の厚さよりも千分の2〜8inch(1inch=2.54cm)大きい。フォイル部材自体及びその被覆の厚さのばらつきによるスラストプレート28とハウジング22との間の間隔のばらつきは、スペーサ32によって補償される。かくしてフォイル部材の厚さの寸法公差に起因する軸受の横方向の空間及び軸受のコンプライアンスのばらつきが防止される。
図3乃至図5に示されている如く、スプリングフォイル部材42はアウタ支持フォイル要素44とスプリングフォイル要素46とインナ支持フォイル要素48とを含んでいる。図3に示されたアウタ支持フォイル要素44はインナコネクタリング52とアウタ自己厚さ調整リング54とこれらのリングの間に延在する複数個(12個図示されている)の隔離スプリングフォイル50とを含んでいる。隔離スプリングフォイル50は前方へ傾斜した角度にてインナコネクタリング52より外方へ延在するインナ湾曲フォイル部56と、前方へ傾斜した角度にて自己厚さ調整リング54より内方へ延在するアウタ湾曲フォイル部58とよりなっている。フォイル部56及び58はそれらの全長に亘り周方向に対し実質的に40°傾斜している。またフォイル部56及び58はノーズ形のフォイル部59にて互いに接続されている。フォイル部58は半径方向に延在するコネクタウェブ、即ち支持ウェブ60によりアウタ自己厚さ調整リング54に接続されている。隔離スプリングフォイル50の幅はインナコネクタリング52に接続された部分に於いて最も小さく、ノーズ部の先端まで徐々に増大し、アウタフォイル部58に於いてもコネクタウェブ60まで徐々に増大している。弾性変形しないコネクタウェブ60は更に一層大きい一定の幅を有している。アウタ支持フォイル要素44をスプリングフォイル部材42の他の要素と正確に整合させ得るよう、複数個(4個図示されている)の割出しタブがアウタ自己厚さ調整リング54より内方へ延在している。
図5はインナ支持フォイル要素48を示しており、このフォイル要素48はアウタ支持フォイル要素44に於ける対応する部分と同一であり且つこれらに整合されたインナコネクタリング66とアウタ自己厚さ調整リング68と割出しタブ69とを含んでいる。複数個(12個図示されている)の実質的にノーズ形をなす支持パッドフォイル70がインナコネクタリング66とアウタ自己厚さ調整リング68との間に延在している。支持パッドフォイル70の幅はインナコネクタリング66に接続されたインナ支持パッドフォイル部72に於いて最も小さく、幅の広いアウタフォイル部73に接続されたノーズ部の先端まで徐々に増大しており、アウタフォイル部73は幾分か幅の狭いコネクタウェブ74まで逆方向に延在している。アウタ支持フォイル要素44の幅の広いコネクタウェブ60と異なり、インナ支持フォイル要素48のコネクタウェブ74は弾性変形する。インナ支持パッドフォイル部72とアウタフォイル部73との間の内角は実質的に80°である。インナ支持フォイル要素48は弾性変形するので、コネクタウェブ74は幅が狭く、半径方向には延在しておらず、幅の広いアウタフォイル部73と実質的に同一の角度にて傾斜している。
図4はスプリングフォイル要素46を示しており、スプリングフォイル要素46はアウタ支持フォイル要素44及びインナ支持フォイル要素48に於ける対応する部分と同一であり且つこれらに整合されたアウタ自己厚さ調整リング76及び割出しタブ77を含んでいる。環状スプリングマトリックス78が複数個(12個図示されている)の傾斜したコネクタウェブ、即ち支持ウェブ80により位置決めされている。環状スプリングマトリックス78の内径はインナコネクタリング52及び66の内径よりも僅かに大きい。
環状スプリングマトリックス78は傾斜した支持ウェブ80より環状スプリングマトリックス78の内径部まで延在する複数個の実質的にノーズ形をなす流体フォイル支持パッド82と、それらの間に配置された同様の数の実質的にノーズ形をなす隔離パッド83とを含んでいる。複数列(11列図示されている)の互いに隔置された円弧溝84が環状スプリングマトリックス78の内径部よりその外径部まで延在している。各列の円弧溝84の半径方向の幅は内径部より外径部まで漸次減少している。各列の円弧溝84は24個のノーズ形の溝の列が形成されるよう互いに隣接する流体フォイル支持パッド82と隔離パッド83との間に延在する実質的にノーズ形の列を形成している。
図6に最もよく示されている如く、スプリングフォイル部材42はアウタ支持フォイル要素44とインナ支持フォイル要素48との間にサンドイッチ状に挟まれたスプリングフォイル要素46を含んでいる。インナ支持フォイル要素48の支持パッドフォイル70はスプリングフォイル要素46の支持ウェブ80及び流体フォイル支持パッド82の上に重なり合って延在している。アウタ支持フォイル要素44の隔離スプリングフォイル50はスプリングフォイル要素46の隔離パッド83の下に重なり合って延在している。
アウタ支持フォイル要素44のための他の一つの隔離スプリングフォイル86が図7に示されている。この実施形態に於いては、インナフォイル部87及びアウタフォイル部88は球状のノーズ形をなすよう互いに接続され、コネクタウェブ89がアウタ自己厚さ調整リング54′より傾斜した方向に延在し、アウタフォイル部88に接続されている。二つの隔離スプリングフォイルの間にスプリングマトリックス95の一部が図示されている。スプリングマトリックス95は互いに隣接するインナフォイル部87の間にのみ周方向の溝96を有し、溝96の周方向の長さ及び半径方向の幅はスプリングマトリックス95の内径部へ向けて漸次増大している。
図8は他の一つのスプリングフォイル部材100を示しており、この実施形態に於いては、各隔離スプリングフォイル103に対し二つの支持パッドフォイル102が設けられており、支持パッドフォイル102は隔離スプリングフォイル103の両側に配置されている。トレーリングエッジ側の支持パッドフォイル102と隔離スプリングフォイル103との間の周方向の距離は、隔離スプリングフォイル103とリーディングエッジ側の支持パッドフォイル102との間の周方向の距離よりも小さい。かかるグルーピングにより、柔軟な流体フォイル部材のための傾斜パッド型の支持体が与えられている。図示の目的で、スプリングマトリックス110には二つの支持パッドフォイル102と一つの隔離スプリングフォイル103とよりなる一つのグループのみが図示されている。この実施形態に於いては、スプリングマトリックス110に設けられた溝111は支持パッドフォイルのインナ部分と隔離フォイルのインナ部分との間の空間にのみ限定されている。
図17は図8のスプリングフォイル部材100が図9の流体フォイル要素154を支持している状態を示している。実線はスラスト軸受の静止状態に於けるスプリングフォイル部材100及び流体フォイル要素154の位置を示しており、破線は運転速度域に於いて流体力学的荷重を受けた状態に於けるそれらの相対的位置関係を示しており、また運転速度域に於いて流体フォイル要素154の表面に如何に周方向の凸状面が形成されるかを示している。
スプリングフォイル部材42の各要素は光学的にマスキングされる化学エッチング法により平坦なシートより形成されてよい。約0.004inch(0.10mm)の厚さを有するスプリングフォイル要素の場合には、インコネル750Xの如きニッケル鋼が好適な材料である。スプリングフォイル要素は1300°F(704℃)にて約20時間に亘り真空炉内にて十分な硬さになるよう熱処理される。スプリングフォイル部材42の三つの各要素はスプリングフォイル及び二つの支持フォイルを互いに接合することなく積層することによって組み立てられる。使用中にこれらのフォイルが相対的に微小運動することによりクーロン減衰効果が発揮される。
図9は一つの平坦なディスクより一体的に形成された流体フォイル要素154を示している。各流体力学的フォイル155は、急峻に傾斜したジョグルが末広楔状通路として機能し、先細楔状通路の傾斜面がジョグルの間を直線的に接続する部分として塑性変化することなく形成されるよう、急峻に傾斜したジョグルを室温にてプレス成形することにより、インコネル750Xの如きニッケル鋼の平坦なシートより形成されている。流体フォイル要素は一般に成形中及び使用中の両方に於いて焼なましされ、ジョグルを形成する前に多数の低摩擦被覆材料や減摩被覆材料にて被覆され、被覆は始動時及び停止時の摩耗より金属を保護すると共に突然に発生することがある高速でのタッチダウンより金属を保護する。また被覆は不純物粒子をある程度埋込む作用をなす。
各流体力学的フォイル155(12個図示されている)は実質的に山形をなし、支持ウェブ159によりアウタ自己厚さ調整リング158に接続されている。互いに隣接する支持ウェブ159の間には流体通路160が形成されている。四つ目毎の流体通路160は割出しタブ162を含んでいる。各流体力学的フォイル155は丸みを帯びたトレーリングポイント165を有するトレーリングエッジ164及びリーデイングエッジ166と、リーディングエッジ166よりトレーリングエッジ164まで実質的に直線的に傾斜した形状の部分と、トレーリングエッジ164の丸みを帯びたトレーリングポイント165を通る周方向の線より流体力学的フォイル155の外径部及び内径部まで延在する丸みを帯びた凹状の形状部分とを有している。かかる構成により、図10及び図11の二つの断面図に最もよく示されている如く、フォイル155に実質的にスコップ形の形状が与えられている。
図12は図11に示された記号により同定される対応する点についての等高線を示している。A乃至Dの等高線は急峻な末広楔状通路を示しており、等高線D乃至Iは傾斜角の緩やかな先細楔状通路を示している。
流体力学的フォイル155の形状、即ち開口面を有する通路は、図14に全体的に示されている如く、フォイルを横切ってプロセス流体中に再生可能な渦流パターンを発生する。図13に最もよく示されている如く、プロセス流体は先行するフォイルのトレーリングエッジよりフォイル155のリーディングエッジ166の面に流入する(矢印M参照)。また矢印N及びOにて示されている如く、補充されるプロセス流体はリーディングエッジの内径及び外径部より供給される。それぞれトレーリングエッジ164の内径部及び外径部に示された矢印P及びQはこれらの領域より限られた量の流体が漏洩することを示している。
図15は速度が0である場合に於ける等高線を破線169にて示している。周方向及び半径方向の等高線が図16に於いて斜視図として示されており、周方向の等高線は符号170にて示されており、半径方向の等高線は符号171にて示されている。周方向の等高線170は速度が0の場合には直線であるが、運転速度域に於いては流体力学的力の影響を受けて凸状になる。
柔軟な流体フォイル部材40はスラストディスク24の二つのスラスト面に隣接して配置されている。スプリングフォイル部材42は流体フォイル部材40を支持するが、流体フォイル部材がディスク24の軸線方向の運動及び反り返り運動に従動することを許す。流れが制御されるプロセス流体を介して流体フォイル部材よりスラストディスクに与えられる力は、フォイル部材とディスクとの間の間隙に反比例して変化し、またディスクの振れに比例して変化する。スプリングフォイル部材42のインナ支持フォイル要素48は、ディスク24及び流体フォイル部材40が運動する際には平坦なスプリングフォイル要素46を弾性変形させる押圧点又は押圧線を与える。また弾性変形せずセンタ軸受ハウジングのリセス26又はスラストプレート28に当接するスプリングフォイル部材42のアウタ支持フォイル要素44も流体フォイル要素を弾性変形させる押圧点又は押圧線を与える。
スラストプレート28は一体的なプレロードスプリングによりセンタ軸ハウジング22のスラスト面へ向けて付勢するプレロードが与えられ、流体フォイル部材40及びスプリングフォイル部材42のアウタ自己厚さ調整リングの厚さ及びスラスト軸受スペーサ32の厚さの合計の距離だけセンタ軸受ハウジング22より隔置された状態に維持される。スラスト軸受スペーサ32はディスク24よりも僅かに厚く、従ってフォイルの厚さやフォイル被覆の厚さの通常のばらつきによっては影響を受けない小さい間隙が流体フォイル部材40とディスク24との間に存在する。軸受はプレロード力を有しておらず、従ってディスクの回転軸線が重力の方向に対し90°の方向に設定されると始動トルクは0になる。流体フォイル要素の形状により再生可能な渦流パターンが形成されるので、軸受の運転間隙は従来の場合に比して十倍に改善(増大)され、リフトオフ速度は従来に比してかなり低い。
流体フォイル要素の表面に形成される先細楔状通路の傾斜面は、半径方向に凹状に湾曲し、周方向について、速度が0のときには平坦に傾斜しており、流体力学的力やばね力がフォイル要素に与えられる運転速度域に於いては凸状に湾曲する複合的な曲面形状を有する。この形状は半径方向に幅の広い流体入口と、周方向の流体通路に沿う通路幅であって半径方向に漸次狭くなる通路幅と、丸みを帯びた周方向のトレーリングエッジとを有するスコップを形成しスコップとして機能する。この複数通路の再生可能な渦流パターンは、流体フォイル部材に隣接するスラストディスクの回転方向とは反対の周方向にプロセス流体が傾斜面を下降して移動する際の流体の圧損を防止する。
スプリングフォイル要素は、スプリングフォイル部材の局部領域に隣接する先細楔状通路内の流体圧の変動を受け入れるよう半径方向の位置に応じて変化する局部的なばね定数を発生する。二つのパターンの支持フォイル要素、即ちインナ支持フォイル要素及びアウタ支持フォイル要素は、それらの間に力が与えられるときには平坦なスプリングフォイル要素を強制的に弾性変形させてスプリングとして機能させるオフセットされた支点として機能する。内側の支点支持線が2倍であれば流体フォイル部材に傾斜パッド型の支持が与えられる。このことが図17に最もよく図示されており、破線は荷重が作用している状況に於ける位置を示している。
環状スプリングマトリックスは、徐々に変化する長さ及び幅を有する周方向又は円弧状の溝を使用してスプリングフォイル部材のインナ領域の局部的なばね定数を設定し、また徐々に変化する片持梁の長さを使用してスプリングフォイル部材のアウタ領域の局部的なばね定数を設定している。スプリングマトリックスの溝は歪み線を強制的に周方向へ移動させる。プロセス流体の速度は周縁ほど高いので、半径方向のばね定数は一般に径方向外側ほど高い。しかし内径部及び大径部の近傍に於いて流体が漏洩するので、ばね定数は内径部及び外径部の近傍に於いて低減されなければならない。ばね定数は片持梁の長さが低減されることにより外径部よりノーズまで僅かに増大している。またばね定数は片持梁の長さが低減されているにも拘らず梁が半径方向に配向され梁の幅が低減されていることによりノーズ部より内径部まで減少している。
流体フォイル要素の表面に形成されるスコップ形の先細楔状通路は渦流パターンを発生し、フォイルの半径方向内縁及び外縁に於いて通路よりプロセス流体が漏洩することを制限する。このこと及び自己厚さ調整構造及び本発明の他の特徴により、高い荷重担持能力を有し、良好な減衰効果を有し、横方向間隙が小さく、運転トルクが低く、運転時のフォイルとディスクとの間の間隙が大きく、プレロード力が0であり、始動トルクが低く、リフトオフ/タッチダウン速度が低く、摩耗量の小さいスラスト軸受が得られる。更にこれらの特徴の全ては少ない部品点数、低廉な製造コスト、容易な組み立てにて達成される。
以上に於いては本発明の特定の実施形態について図示し説明したが、これらの実施形態は例示のためのものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。

Claims (44)

  1. 柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、
    スラスト軸受面を有する軸受ハウジング及び前記スラスト軸受面に対向するスラスト軸受プレートと、
    前記軸受ハウジング内に回転可能に支持されたシャフトであって、前記スラスト軸受面と前記スラスト軸受プレートとの間にて半径方向に延在するスラストディスクを含むシャフトと、
    前記スラストディスクの両側に一つずつ配置された一対の柔軟な環状の流体フォイル部材と、
    一方の流体フォイル部材と前記スラスト軸受面との間及び他方の流体フォイル部材と前記スラスト軸受プレートとの間にそれぞれ一つずつ配置された一対の環状のスプリングフォイル部材と、
    前記スラストディスクの半径方向外側にて前記一対の流体フォイル部材の間に配置され、前記スラストディスクの軸線方向厚さよりも僅かに大きい軸線方向厚さを有する軸受スペーサと
    を含み、
    前記一対の流体フォイル部材と前記一対のスプリングフォイル部材と前記軸受スペーサとが互いに係合して前記スラスト軸受面と前記スラスト軸受プレートとの間に挟まれ、これにより、前記流体フォイル部材と前記スラストディスクとの間に間隙が設けられることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  2. 請求項1に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記スラスト軸受プレートを前記軸受ハウジングの前記スラスト軸受面へ向けて付勢するプレロードを与える手段を含んでいることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  3. 請求項1に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記軸受スペーサの軸線方向厚さは前記スラストディスクよりも0.002〜0.008inch(0.05〜0.20mm)大きいことを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  4. 請求項2に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記スラスト軸受プレートは半径方向外方へ延在する弾性スプリングを含み、該弾性スプリングは前記スラスト軸受が組み立てられた状態にあるときには前記スラスト軸受プレートを前記軸受ハウジングの前記スラスト軸受面へ向けて付勢するプレロードを与えることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  5. 請求項1に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材及び前記一対のスプリングフォイル部材の外周縁は周縁リングを含み、該周縁リングの厚さ及び前記軸受スペーサの厚さは互いに共働して前記流体フォイル要素と前記スラストディスクとの間の間隙を設定することを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  6. 請求項5に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材及び前記一対のスプリングフォイル部材はそれぞれ割出し孔を有する複数個の周縁タブを含み、前記軸受は更に同様の複数個のピンを含み、各ピンは前記軸受ハウジングより前記流体フォイル部材、前記スプリングフォイル部材、前記軸受スペーサを貫通して前記スラスト軸受プレート内まで延在していることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  7. 請求項1に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材はそれぞれ前記スラストディスクへ向けて配置された複数個のスコップ状のフォイルを含んでいることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  8. 請求項5に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材はそれぞれ平坦なシートより形成され、冷間プレス加工により成形されていることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  9. 請求項8に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材はそれぞれ成形前に減摩材にて均一に被覆されていることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  10. 請求項8に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材はそれぞれ均一な材料厚さを有することを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  11. 請求項5に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材は、それぞれの表面に交互に配置され、該流体フォイル部材の表面に沿う周方向のプロセス流体の流れの方向に沿って狭くなる先細楔状通路を形成する前記プロセス流体の流れの方向に沿って前記スラストディスクに近付くよう形成された複数個の先細楔状通路傾斜面と前記プロセス流体の流れの方向に沿って広くなる末広楔状通路を形成する前記プロセス流体の流れの方向に沿って前記スラストディスクから離れるよう形成された複数個の末広楔状通路傾斜面とを含み、前記末広楔状通路は比較的急峻であり、前記先細楔状通路は該通路の側部よりプロセス流体が漏洩することを制限すべく実質的にスコップ形をなしていることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  12. 請求項5に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材が、該流体フォイル部材の表面に沿う周方向のプロセス流体の流れの方向に沿って狭くなる先細楔状通路をそれぞれ形成する複数個の傾斜面を含み、前記傾斜面の各々は、半径方向について凹状をなし、周方向について静止状態にあるときには傾斜する平坦であり且流体力学的力やばね力が前記流体フォイル部材に与えられる運転速度域に於いては凸状に湾曲する曲面形状を有し、柔軟な流体フォイルを形成することを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  13. 請求項12に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記流体フォイル部材の前記傾斜面の曲面形状はプロセス流体中に再生可能な渦流パターンを発生することを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  14. 請求項12に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記流体フォイル部材の前記傾斜面の曲面形状は流体間隙検出手段、流体増幅手段、流体力発生サーボ手段として機能することを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  15. 請求項1に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記流体フォイル部材は半径方向に変化するばね定数を有することを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  16. 請求項5に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対の流体フォイル部材はそれぞれ化学エッチング法により平坦なシートより完成品に形成されることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  17. 請求項5に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対のスプリングフォイル部材は複数個の互いに隔置された支持パッドフォイルを有する平坦に形成されたインナ支持フォイル要素と、同様の複数個のオフセットして互いに隔置された隔離スプリングフォイルを有する平坦に形成されたアウタ支持フォイル要素と、前記インナ支持フォイル要素と前記アウタ支持フォイル要素との間に配置された平坦に形成されたスプリングフォイル要素とを含んでいることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  18. 請求項15に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対のスプリングフォイル部材のばね定数の半径方向の変化は前記スプリングフォイル要素に設けられた周方向の溝の長さ、間隔、幅を変化させることにより達成されていることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  19. 請求項15に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記一対のスプリングフォイル部材のばね定数の半径方向の変化は前記スプリングフォイル要素の片持梁の長さを変化させることにより達成されていることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  20. 請求項18に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記スプリングフォイル要素に設けられた前記周方向の溝の周方向の幅は前記スプリングフォイル部材の内径部より外径部へ向けて減少していることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  21. 請求項17に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記インナ支持フォイル要素はそれぞれ前記アウタ支持フォイル要素の各隔離スプリングパッドに対し二つの互いに隔置された支持パッドを含んでいることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  22. 請求項21に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、トレーリングエッジ側の前記支持パッドと前記隔離スプリングパッドとの間の周方向の距離はリーディングエッジ側の前記支持パッドと前記隔離スプリングパッドとの間の周方向の距離よりも小さいことを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  23. 柔軟な環状フォイルディスクを含み、前記フォイルディスクはその表面に交互に配列され、該フォイルディスクの表面に沿う周方向のプロセス流体の流れの方向に沿って狭くなる先細楔状通路をそれぞれ形成する複数個の傾斜面と前記プロセス流体の流れの方向に沿って広くなる末広楔状通路をそれぞれ形成する複数個の傾斜面とを含み、前記末広楔状通路は比較的急峻であり、前記先細楔状通路は該通路の側部よりプロセス流体が漏洩することを制限すべく実質的にスコップ形をなしていることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受用の柔軟な環状流体フォイル要素。
  24. 柔軟な環状フォイルディスクを含み、前記フォイルディスクは該フォイルディスクの表面に沿う周方向のプロセス流体の流れの方向に沿って狭くなる先細楔状通路をそれぞれ形成する複数個の傾斜面を含み、前記傾斜面の各々は、半径方向について凹状をなし、周方向について静止状態にあるときには傾斜する平坦であり且流体力学的力やばね力が前記流体フォイル部材に与えられる運転速度域に於いては凸状に湾曲する曲面形状を有し、柔軟な流体フォイルを形成することを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受用の柔軟な環状流体フォイル要素。
  25. 請求項24に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記傾斜面の曲面形状は半径方向に幅の広い流体入り口と、周方向の流体通路に沿う通路幅であって、半径方向に漸次狭くなる通路幅と、丸みを帯びた周方向のトレーニングエッジとを有するスコップとして機能することを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  26. 請求項23に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは平坦なシートより冷間成形により形成されることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  27. 請求項24に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは平坦なシートより冷間成形により形成されることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  28. 請求項23に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは、急峻に傾斜した傾斜面前記末広楔状通路として機能し、前記先細楔状通路の徐々に狭まる傾斜面が前記末広楔状通路の傾斜面の間を直線的に接続する部分として塑性変形することなく形成されるよう、前記急峻に傾斜した傾斜面をプレス成形することにより形成されていることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  29. 請求項23に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクの外周縁は前記フォイルディスクの厚さを定める周縁リングを含んでいることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  30. 請求項23に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクの外周縁はそれぞれ割出し孔を有する複数個の周縁タブを含んでいることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  31. 請求項23に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは複数個のスコップ形のフォイルを含んでいることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  32. 請求項27に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは成形前に減摩材にて均一に被覆されていることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  33. 請求項32に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは均一な材料厚さを有することを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  34. 請求項24に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクの外周縁は前記フォイルディスクの厚さを定める周縁リングを含んでいることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  35. 請求項24に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクの外周縁はそれぞれ割出し孔を有する複数個の周縁タブを含んでいることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  36. 請求項24に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは複数個のスコップ形のフォイルを含んでいることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  37. 請求項24に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは平坦なシートより形成され、冷間プレス加工により成形されていることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  38. 請求項37に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは成形前に減摩材にて均一に被覆されていることを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  39. 請求項37に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記フォイルディスクは均一な材料厚さを有することを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  40. 請求項24に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記傾斜面の曲面形状は前記プロセス流体中に再生可能な渦流パターンを発生することを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  41. 請求項24に記載の柔軟な環状流体フォイル要素であって、前記傾斜面の曲面形状は流体間隙検出手段、流体増幅手段、流体力発生サーボ手段として機能することを特徴とする柔軟な環状流体フォイル要素。
  42. スラスト軸受面を有する軸受ハウジング及び前記スラスト軸受面に対向するスラスト軸受プレートであって、スラスト軸受プレートは半径方向外方へ延在する弾性スプリングを含み、該弾性スプリングは前記スラスト軸受が組み立てられた状態にあるときには前記スラスト軸受プレートを前記軸受ハウジングの前記スラスト軸受面へ向けて付勢するプレロードを与える軸受ハウジング及びスラスト軸受プレートと、
    前記軸受ハウジング内に回転可能に支持されたシャフトであって、前記スラスト軸受面と前記スラスト軸受プレートとの間にて半径方向に延在するスラストディスクを含むシャフトと、
    前記スラストディスクの両側に一つずつ配置された一対の柔軟な環状の流体フォイル部材にして、外周縁に該環状の流体フォイル部材の厚さを定める周縁リングを含む一対の柔軟な環状の流体フォイル部材と、
    一方の流体フォイル部材と前記スラスト軸受面との間及び他方の流体フォイル部材と前記スラスト軸受プレートとの間にそれぞれ一つずつ配置された一対の環状のスプリングフォイル部材にして、外周縁に該環状のスプリングフォイル部材の厚さを定める周縁リングを含む一対の環状のスプリングフォイル部材と、
    前記スラストディスクの半径方向外側にて前記一対の流体フォイル部材の間に配置され、前記スラストディスクの軸線方向厚さよりも僅かに大きい軸線方向厚さを有する軸受スペーサと
    を含み、
    前記スラストプレートと前記スラスト軸受面との間で前記一対の流体フォイル部材の前記周縁リングと前記一対のスプリングフォイル部材の前記周縁リングと前記軸受スペーサとを係合することにより、前記一対の流体フォイル部材の前記周縁リングの厚さ、前記一対のスプリングフォイル部材の前記周縁リングの厚さ、前記軸受スペーサの厚さによって前記流体フォイル部材と前記スラストディスクとの間に間隙が設けられていること
    を特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  43. スラスト軸受面を有する軸受ハウジング及び前記スラスト軸受面に対向するスラスト軸受プレートであって、スラスト軸受プレートは半径方向外方へ延在する弾性スプリングを含み、該弾性スプリングは前記スラスト軸受が組み立てられた状態にあるときには前記スラスト軸受プレートを前記軸受ハウジングの前記スラスト軸受面へ向けて付勢するプレロードを与える軸受ハウジング及びスラスト軸受プレートと、
    前記軸受ハウジング内に回転可能に支持されたシャフトであって、前記スラスト軸受面と前記スラスト軸受プレートとの間にて半径方向に延在するスラストディスクを含むシャフトと、
    前記スラストディスクの両側に一つずつ配置され、外周縁に周縁リングを含む一対の柔軟な環状の流体フォイル部材であって、それぞれの表面に交互に配列され、該流体フォイル部材の表面に沿う周方向のプロセス流体の流れの方向に沿って狭くなる先細楔状通路をそれぞれ形成する前記プロセス流体の流れの方向に沿って前記スラストディスクに近付くよう形成された複数個の先細楔状通路傾斜面と、前記プロセス流体の流れの方向に沿って広くなる末広楔状通路をそれぞれ形成する前記プロセス流体の流れの方向に沿って前記スラストディスクから離れるよう形成された複数個の末広楔状通路傾斜面とを含み、前記末広楔状通路は比較的急峻であり、前記先細楔状通路は該通路の側部よりプロセス流体が漏洩することを制限すべく実質的にスコップ形をなす一対の柔軟な環状の流体フォイル部材と、
    一方の流体フォイル部材と前記スラスト軸受面との間及び他方の流体フォイル部材と前記スラスト軸受プレートとの間にそれぞれ一つずつ配置され、外周縁に周縁リングを含む一対の環状のスプリングフォイル部材であって、複数個の互いに隔置された支持パッドフォイルを有する平坦に形成されたインナ支持フォイル要素と、同様の複数個のオフセットして互いに隔置された隔離スプリングフォイルを有する平坦に形成されたアウタ支持フォイル要素と、前記インナ支持フォイル要素と前記アウタ支持フォイル要素との間に配置された平坦に形成されたスプリングフォイル要素とを含み、前記スプリングフォイル要素に設けられた周方向の溝の長さ、間隔、幅を変化させることによりばね定数が半径方向に変化する一対の環状スプリングフォイル部材と、
    前記スラストディスクの半径方向外側にて前記一対の流体フォイル部材の間に配置され、前記スラストディスクの軸線方向厚さよりも0.002〜0.008inch(0.05〜0.20mm)大きい軸線方向厚さを有する軸受スペーサと
    を含み、
    前記一対の流体フォイル部材及び前記一対のスプリングフォイル部材の各々周縁リングと割出し孔を有する複数個の周縁タブとを含
    複数個のピンがそれぞれ前記軸受ハウジングより前記流体フォイル部材の前記割出し孔、前記スプリングフォイル部材の前記割出し孔、前記軸受スペーサを貫通して前記スラスト軸受プレート内まで延在
    前記スラストプレートと前記スラスト軸受面との間にて前記一対の流体フォイル部材の前記周縁リングと前記一対のスプリングフォイル部材の前記周縁リングと前記軸受スペーサとを互いに係合することにより、前記一対の流体フォイル部材の前記周縁リングの厚さ、前記一対のスプリングフォイル部材の前記周縁リングの厚さ、前記軸受スペーサの厚さによって前記流体フォイル部材と前記スラストディスクとの間に間隙が設けられていること
    を含んでいることを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
  44. 請求項43に記載の柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受であって、前記インナ支持フォイル要素はそれぞれ前記アウタ支持フォイル要素の各隔離スプリングパッドに対しトレーリングエッジ側及びリーディングエッジ側の二つの支持パッドを含んでおり、前記トレーリングエッジ側の支持パッドと前記隔離スプリングパッドとの間の周方向の距離はリーディングエッジ側の支持パッドと前記隔離スプリングパッドとの間の周方向の距離よりも小さいことを特徴とする柔軟フォイル型流体力学的流体膜式スラスト軸受。
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