JP2004107379A - スルホン化有機多孔質体の製造方法 - Google Patents

スルホン化有機多孔質体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特定構造を有する有機多孔質体に多量のスルホン酸基を、短時間で均一に導入することが可能なスルホン化有機多孔質体の製造方法を提供すること。
【解決手段】互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.01〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、全細孔容積が1〜50ml/gである有機多孔質体を、無水硫酸を含有するガス状物と接触させ、少なくとも0.5mg当量/g乾燥多孔質体のスルホン酸基が均一に導入された有機多孔質体を得るスルホン化有機多孔質体の製造方法。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定構造の有機多孔質体にスルホン酸基を均一に導入することができるスルホン化有機多孔質体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内にメソポアを有する連続気泡構造を有する多孔質体としては、シリカ等で構成された無機多孔質体が知られている(特許文献1の米国特許第5624875号)。そして、該無機多孔質体はクロマトグラフィー用充填剤として活発な用途開発がなされている。しかし、この無機多孔質体は親水性であるため、吸着剤として用いるためには、表面の疎水処理等の繁雑かつコストアップを伴う操作が必要であった。また、この無機多孔質体を水中に長時間保持すると、シリカの加水分解によって生じるシリケートイオンが水中に溶出するため、純水や超純水を製造するためのイオン交換体として用いることは、不可能であった。一方、上記無機多孔質体をクロマトグラフィー用充填剤として用いると、従来の粒状充填剤を用いた場合に比べ格段に性能の向上が達成できることが報告されているが、その製法上、メソポアは最大で50μmであるため、低圧で大流量の処理を行う際に制約を受けていた。
【0003】
これに対して、連続孔を有する有機多孔質体としては、粒子凝集型構造を有する多孔質体が非特許文献1のF.Svec,Science,273,205〜211(1996)等に開示されている。しかし、この方法で得られた多孔質体は粒子凝集型構造のため、細孔容積が小さく、メソポアも大きくできないため、低圧で大流量の処理を行う際に制約を受けていた。また、従来の有機多孔質体やそれにイオン交換基を導入した多孔質イオン交換体は、内部に多くの構造欠陥を有するものであり、強度が低く、膨潤・収縮に対する耐久性が低いため、上記有機多孔質体をクロマトグラフィー用充填剤に用いた際に分離能が不十分であるといった欠点を有していた。このため、細孔容積が大きく、物理的強度が高く、細孔径が大きくとれ且つ細孔径が均一に揃ったもので、マクロボイドなどの内部構造欠陥がない連続気泡構造を有する有機多孔質体の開発が望まれていた。
【0004】
一方、有機高分子化合物をスルホン化する方法としては、発煙硫酸やクロロ硫酸や濃硫酸を用いて液相中で行う方法が一般的である。特許文献2の特公平4−49562号公報には、有機多孔質体へのイオン交換基導入方法が開示されている。この方法は、連続気泡構造を有する有機多孔質体中に導入されたクロロメチル基や四級アンモニウム基を官能基変換反応によりスルホン酸基とするものであるが、この方法は液状のスルホン化剤を気泡構造内部に均一に浸透させるのにかなりの長時間を要するため、スルホン化反応工程に多大の時間を要するといった欠点を有していた。
【0005】
また、特許文献3の特開平3−269160号公報には、ポリオレフィン系不織布を無水硫酸ガスで処理し、連続的にスルホン化する方法が開示されている。この方法によれば、比較的短時間でシート状物質をスルホン化することが可能であるが、被スルホン化物の形態はシート、織布、不織布に限定されており、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内にメソポアを有する連続気泡構造を有している有機多孔質体をスルホン化することについては記載がない。また、上記スルホン化方法においては、ポリオレフィン製不織布の表面のみをスルホン化するため、スルホン酸基の導入量は極めて少ない量に限定されていた。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第5624875号明細書(サマリー、請求項1、実施例7)
【非特許文献1】
エフ.スベク,サイエンス,1996年、第273巻,第205〜第211頁
【特許文献2】
特公平4−49562号公報(実施例5)
【特許文献3】
特開平3−269160号公報(請求項1、第5頁左下欄)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来の技術の問題点を解消した、特定構造を有する有機多孔質体に多量のスルホン酸基を、短時間で均一に導入することが可能なスルホン化有機多孔質体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、無水硫酸を含有するガス状物と特定構造の有機多孔質体を接触させ、該有機多孔質体に特定量のスルホン酸基を均一に導入すれば、該有機多孔質体に多量のスルホン酸基を短時間で導入することができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.01〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、全細孔容積が1〜50ml/gである有機多孔質体を、無水硫酸を含有するガス状物と接触させ、少なくとも0.5mg当量/g乾燥多孔質体のスルホン酸基が均一に導入された有機多孔質体を得ることを特徴とするスルホン化有機多孔質体の製造方法を提供するものである。本発明の製造方法によれば、上記特定の有機多孔質体に多量のスルホン酸基を短時間で導入することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる有機多孔質体および本発明のスルホン化有機多孔質体の基本構造は、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.01〜100μm、好ましくは0.1〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造である。即ち、該連続気泡構造は、通常、半径0.2〜500μmのマクロポアとマクロポアが重なり合い、この重なる部分が共通の開口となるメソポアを有するもので、その部分がオープンポア構造のものである。オープンポア構造は、液体や気体を流せば該マクロポアと該メソポアで形成される気泡構造内が流路となる。マクロポアとマクロポアの重なりは、1個のマクロポアで1〜12個、多くのものは3〜10個である。メソポアの半径が0.01μm未満であると、液体および/または気体透過時の圧力損失が非常に大きくなってしまうため好ましくない。一方、メソポアの半径が100μmを超えると、液体または気体と有機多孔質イオン交換体との接触が不十分となり、その結果、吸着特性やイオン交換特性が低下してしまうため好ましくない。有機多孔質体およびスルホン化有機多孔質体の構造が上記のような連続気泡構造をとることにより、マクロポア群やメソポア群を均一に形成できると共に、F.Svec,Science,273,205〜211(1996)等に記載されているような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積を格段に大きくすることができる。
【0011】
また、必ずしも必須ではないが、上記メソポアの分布をシャープにすることは、吸着特性や分離特性が向上するとともに、マクロボイドがなくなるため、構造欠陥サイトの消失に伴う物理的強度の向上や、膨潤・収縮に対する耐久性の向上が認められる等、高性能化・高機能化が達成されるため好ましい。メソポアの分布を定量化する指標として、細孔分布曲線の半値幅をピークの半径で除した値を用いる場合、その値が0.5以下であることが好ましい。細孔分布曲線を得るための測定方法には特に制限はないが、水銀圧入法を用いることが測定の簡便性や、対象とするメソポアのサイズの点で好ましい。
【0012】
また、該有機多孔質体およびスルホン化有機多孔質体は、1ml/g〜50ml/gの全細孔容積を有するものである。全細孔容積が1ml/g未満であると、単位断面積当りの透過液体または気体量が小さくなってしまい、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が50ml/gを超えると、該有機多孔質体およびスルホン化有機多孔質体の強度が著しく低下してしまうため好ましくない。全細孔容積は、従来の多孔質状合成吸着剤やイオン交換樹脂では、せいぜい0.1〜0.9ml/gであるから、それを超える従来にはない1〜50ml/gの高細孔容積のものである。また、該有機多孔質体およびスルホン化有機多孔質体の液体および気体の透過性は、液体の代表として水を、気体の代表として空気を用い、該有機多孔質体およびスルホン化有機多孔質体の厚みを10mmとした時の透過速度が、それぞれ100〜100000L/分・m・MPa、100〜50000m/分・m・MPaの範囲にあることが好ましい。全細孔容積および透過速度が上記範囲にあれば、これを吸着剤やイオン交換体やクロマトグラフィー用充填剤として用いた場合、液体または気体との接触面積が大きく、かつ液体または気体の円滑な流通が可能となる上に、十分な機械的強度を有しているため優れた性能が発揮できる。
【0013】
連続気泡構造を形成する骨格部分の材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料を用い、該ポリマー材料はポリマー材料を構成する全構成単位に対して、5〜90モル%の架橋構造単位を含むことが好ましい。架橋構造単位が5モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、90モル%を越えると、イオン交換基の導入が困難となり、イオン交換容量が低下してしまうため好ましくない。該ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルベンジルクロライド等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー;スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。上記ポリマーは、単独のモノマーを重合させて得られるホモポリマーでも、複数のモノマーを重合させて得られるコポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さから、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。本発明の多孔質体の連続気泡構造は、SEMで容易に観察できる。
【0014】
次に、上記スルホン化有機多孔質体の製造方法について説明する。当該有機多孔質体は、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水および必要に応じて重合開始剤とをミキサーを用いて混合し、油中水滴型エマルジョンを調製し、これを重合させて製造する。イオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、カルボン酸基、スルホン酸基等のイオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーを指すものである。これらモノマーの若干の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は2種類以上を組合わせて用いることができる。ただし、本発明においては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくともモノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、1〜90モル%、好ましくは3〜80モル%とすることが、後の工程でスルホン酸量を多く導入するに際して必要な機械的強度が得られる点で好ましい。
【0015】
界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は、1種単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量は、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。
【0016】
また、必ずしも必須ではないが、多孔質ポリマーの気泡形状やサイズを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン等の炭化水素化合物を系内に共存させることもできる。重合開始剤としては、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であっても良く、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤の添加は不要である。
【0017】
イオン交換基を含まない油溶性モノマー、沈殿剤、界面活性剤、水および重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合順序としては特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法;油溶性モノマー、沈殿剤、界面活性剤および油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法等が使用できる。
【0018】
エマルジョンを形成させるためのミキサーとしては、特に制限はなく、通常のミキサーや遊星式攪拌装置、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
【0019】
このようにして得られた油中水滴型エマルジョンを重合させる重合条件は、モノマーの種類、重合開始剤系により様々な条件が選択できる。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよく、重合開始剤として過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、0〜30℃で1〜48時間重合させれば良い。油溶性モノマーの重合転化率は特に限定されるわけではないが、有機多孔質体の形状を安定に保持するためには、約70%以上とすることが好ましい。重合終了後、内容物を取り出し、必要であれば、未反応モノマーと界面活性剤除去を目的に、イソプロパノール等の溶剤で抽出して有機多孔質体を得る。
【0020】
本発明のスルホン化有機多孔質体は、無水硫酸を含有するガス状物と前記有機多孔質体を接触させることにより得ることができる。ガス状物に含まれる無水硫酸は、三酸化硫黄(SO)とも称されるもので、例えば市販品を使用することができる。ガス状物に含まれる無水硫酸以外のガス成分としては、スルホン化反応に不活性な気体であれば特に制限はなく、例えば乾燥空気、窒素及びアルゴン等が挙げられる。ガス状物に含まれる無水硫酸の濃度としては、接触条件、有機多孔質体の気泡構造や形状及びスルホン酸基導入量により大きく変動するため一概には言えないが、概ね1〜50%が好ましい。無水硫酸の濃度が1%未満ではスルホン化反応が進まず少なくとも0.5mg当量/g乾燥多孔質体のスルホン酸基を導入しようとすると、反応時間が無用に長くなる。また、50%を超えると腐食性が高くなる等取り扱いが難しくなる。
【0021】
無水硫酸を含有するガス状物と前記有機多孔質体を接触させる方法としては、特に制限されず、連続式接触方法やバッチ式接触方法を挙げることができる。このうち、バッチ式接触方法が、多様な形状の有機多孔質体をスルホン化できる点で好ましい。このようなスルホン化反応を行なう反応条件としては、有機多孔質体の気泡構造や形状及びスルホン酸基導入量により大きく変動するため一概には言えないが、反応時間10分〜10時間、反応温度20〜100℃の範囲で適宜決定される。ガス状物に含まれる無水硫酸の濃度、反応時間及び反応温度を上記範囲内で適宜選択することにより、少なくとも0.5mg当量/g乾燥多孔質体のスルホン酸基が均一に導入されたスルホン化有機多孔質体を得ることができる。反応終了後、反応生成物は多量の水中に投入し、水洗される。
【0022】
本発明の製造方法で得られたスルホン化有機多孔質体は、少なくとも0.5mg当量/g乾燥多孔質体、好ましくは1.0mg当量/g乾燥多孔質体以上のスルホン酸基が均一に導入されたものである。スルホン酸基導入量が0.5mg等量/g乾燥多孔質体未満であると、イオン交換能が低下してしまうため好ましくない。また、スルホン酸基の分布が不均一であると、イオン交換反応にばらつきが生じ、イオンの捕捉率が低下したり、イオン交換処理を高速で行うことが困難になるため好ましくない。なお、ここで言う「スルホン酸基が多孔質体に均一に導入された」とは、スルホン酸基の分布が少なくともμmオーダーで均一であることを言う。スルホン酸基の分布状況は、EPMA等を用いることで、簡単に確認することができる。
【0023】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0024】
実施例1
(有機多孔質体の製造)
スチレン16.2g、ジビニルベンゼン4.1g、ソルビタンモノオレエート1.1gおよびアゾビスイソブチロニトリル0.24gを混合し、均一に溶解させた。次に当該スチレン/ジビニルベンゼン/ソルビタンモノオレエート/アゾビスイソブチロニトリル混合物を180gの純水に添加し、遊星式攪拌装置である真空攪拌脱泡ミキサー(株式会社EME製)を用いて13.3kPaの減圧下、公転回転数1600回転/分、自転回転数530回転/分で4分間攪拌し、油中水滴型エマルジョンを得た。乳化終了後、系を窒素で十分置換した後密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで18時間ソックスレー抽出し、未反応モノマー、水およびソルビタンモノオレエートを除去した後、85℃で一昼夜減圧乾燥した。このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を14モル%含有した有機多孔質体の内部構造を、SEMにより観察した結果を図1に示す。図1から明らかなように、当該有機多孔質体は連続気泡構造を有しており、マクロポアおよびメソポアの大きさが均一であることがわかる。
【0025】
(スルホン化有機多孔質体の製造)
前記方法で得られた有機多孔質体を50mm×50mm×10mmの大きさに切り出しこれを容量1リットルのオートクレーブに入れ、予め調製した無水硫酸(アルドリッチ社製)8%及び乾燥空気92%からなる80℃の混合ガスをオートクレーブに導入し、導入量500ml/分を保持しつつ30分間接触させた。反応終了後、生成物を多量の水中に投入し、水洗してスルホン化有機多孔質体を得た。このスルホン化有機多孔質体のイオン交換容量は、乾燥多孔質体換算で2.7mg当量/gであり、EPMAを用いた硫黄原子のマッピングにより、スルホン酸基が多孔質体に均一に導入されていることを確認した。
【0026】
実施例2
有機多孔質体と無水硫酸ガスを含有するガス状物との接触時間30分間に代えて、2時間とした以外は、実施例1と同様の方法によりスルホン化有機多孔質体を得た。このスルホン化有機多孔質体のイオン交換容量は、乾燥多孔質体換算で4.5mg当量/gであり、スルホン酸基の分布も均一であった。
【0027】
比較例1
(液相反応によるスルホン化有機多孔質体の製造)
実施例1で製造した有機多孔質体を50mm×50mm×10mmの大きさに切り出し、ジクロロエタン800mlを加え60℃で30分加熱した後、室温まで冷却し、クロロ硫酸35.0gを徐々に加え、室温で24時間反応させた。その後、酢酸を加え、多量の水中に反応物を投入し、水洗してスルホン化有機多孔質体を得た。このスルホン化有機多孔質体のイオン交換容量は、乾燥多孔質体換算で3.8mg当量/gであった。
【0028】
上記の結果から、実施例1、2と比較例1とを比較すると、ほぼ同様のイオン交換容量を得るためには、実施例1、2の接触時間は比較例1の約1/20程度とはるかに短い時間で済むことが判る。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のスルホン化有機多孔質体の製造方法は、従来法に比べてスルホン酸基を短時間で均一に有機多孔質体に導入することが可能であり、生産効率の大幅な改善が達成できる。また、導入できるスルホン酸基の量も従来法より多くすることができるため、有機多孔質体の特有構造と相俟って、フィルターや吸着剤、既存のイオン交換樹脂の代替、EDI充填剤、イオンクロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、順相液体クロマトグラフィー用充填剤、固体酸/塩基触媒として用いた際に、高い性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた有機多孔質体のSEM写真である。

Claims (1)

  1. 互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に半径が0.01〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造を有し、全細孔容積が1〜50ml/gである有機多孔質体を、無水硫酸を含有するガス状物と接触させ、少なくとも0.5mg当量/g乾燥多孔質体のスルホン酸基が均一に導入された有機多孔質体を得ることを特徴とするスルホン化有機多孔質体の製造方法。
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