JP2004107143A - 熱可塑性樹脂シート及び積層体 - Google Patents

熱可塑性樹脂シート及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】合わせガラス用中間膜として使用する際にオートクレーブによる加熱加圧が不要であって、得られる合わせガラスは常温のみならず高温において優れた耐貫通性能を発現し得る熱可塑性樹脂シート、及び、この熱可塑性樹脂シートを用いた積層体を提供する。
【解決手段】ブチラール化度50〜80モル%であって平均重合度200〜1000のポリビニルブチラール(a)及びブチラール化度50〜80モル%であって平均重合度1000〜5000のポリビニルブチラール(b)からなる異種混合のポリビニルブチラール(c)と、可塑剤とを含有する熱可塑性樹脂シートを使用する。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂シート及び積層体に関し、さらに詳しくは、合わせガラス用中間膜に用いられる熱可塑性樹脂シート及びこの熱可塑性樹脂シートを用いた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルブチラール(以下、PVBという)中間膜を使用した合わせガラスは、自動車、航空機、建築物の窓等に長年にわたり使用されている。
ところが近年、PVB中間膜が全世界に普及するに伴い、問題点が顕在化してきた。特に、高温の地域で使用される場合には従来のPVB樹脂が有する耐貫通性能は極端に低下する。例えば、JIS R 3212に規定されている合わせガラスの耐貫通性能試験方法で5LBの落球衝撃試験を高温下で実施した場合、20℃での落球高さが、30℃では25〜35%、40℃では35〜45%低下してしまい、安全性が大幅に損なわれてしまう。もちろん、高温地域でなくても夏場の自動車内の温度上昇を考えると、フロントガラスの温度は容易に40℃以上になることが想像され、安全性は必ずしも十分とは言えない。
【0003】
従来の合わせガラスはPVB中間膜として単層のシートを使用しているが、合わせガラス作製時の加工性を向上させるために、PVB樹脂の重合度を低くすると高温で中間膜が柔らかくなり、耐貫通性が低下し安全面より問題があった。
また、高温下での耐貫通性を向上させるために、PVB樹脂の重合度を高くすると合わせガラス作製時に、高温・高圧下で処理しなければ外観良好な合わせガラスが作製できないという問題点があった。
合わせガラス用中間膜としては、低温から高温までの広い温度範囲で耐貫通性能に優れたものが要求されている。
【0004】
このような問題点を改善する手段として、例えば、▲1▼中間膜に用いるPVBシートの流動性を向上させ、従来より低い加熱温度でシート表面に形成された凹凸パターンからなるエンボスを流動し易くし、かつ、▲2▼中間膜に用いるPVBシートの高温での耐貫通性能を確保する。しかしながら、▲1▼と▲2▼とは相反する性能であるため、単一の組成のPVB樹脂からなる中間膜では達成できない。
【0005】
このため、例えば、特開平3−124440号公報、特開平3−124441号公報、特開平5−85782号公報等では、構造の異なるPVB樹脂からなる中間膜や可塑剤部数の異なるPVBシートを、複数枚積層することによって耐貫通性能を向上させる方法が提案されている。
しかし、この方法では、複数枚を合わせガラスに積層することによる作業性の低下と共に、PVBシート同士の界面の平滑性の悪さからくる光学歪みや、屈折率の異なるPVBシートの積層によって、合わせガラスを透かして見た像がひずむ等の問題点があった。
【0006】
また、上記合わせガラスは、例えば、PVB中間膜を少なくとも一対(2枚)のガラス板間に挟み込み、この合わせガラス積層体をゴムバッグのような真空バッグに入れて減圧吸引する方法等で予備接着し、次いで、オートクレーブ内で加熱加圧して、本接着を行うことにより製造されている。
しかしながら、オートクレーブを設置するために多額の設備投資を必要とする、オートクレーブによる本接着はバッチ工程となるため、合わせガラスの生産効率が低下するという問題点があった。
【0007】
このようなオートクレーブ使用に伴う問題点を解消するために、オートクレーブを使用しない合わせガラスの製造方法(非オートクレーブ法)が検討されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、合わせガラス用中間膜として使用する際にオートクレーブによる加熱加圧が不要であって、得られる合わせガラスは常温のみならず高温において優れた耐貫通性能を発現し得る熱可塑性樹脂シート、及び、この熱可塑性樹脂シートを用いた積層体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱可塑性樹脂シートは、ブチラール化度50〜80モル%であって平均重合度200〜1000のポリビニルブチラール(a)10〜90重量%及びブチラール化度50〜80モル%であって平均重合度1000〜5000のポリビニルブチラール(b)90〜10重量%からなる異種混合のポリビニルブチラール(c)100重量部と、可塑剤20〜60重量部とを含有することを特徴とする。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂シートは、ポリビニルブチラール(a)及び(b)からなる異種混合のポリビニルブチラール(c)100重量部に対して可塑剤20〜60重量部を含有する。
上記異種混合のポリビニルブチラール(以下、PVBという)(c)は、ブチラール化度50〜80モル%であって重合度200〜1000のPVB(a)を10〜90重量%、及び、ブチラール化度50〜80モル%であって重合度1000〜5000のPVB(b)を90〜10重量%の範囲内でブレンドしたものが用いられる。
【0011】
上記PVB(a)のブチラール化度が50モル%未満になると、後述する可塑剤との相溶性が悪くなり、合わせガラス化したのちに可塑剤がブリードし、中間膜とガラスの接着力の低下などの影響がでるため好ましくなく、80モル%を超えると、合わせガラス用中間膜が柔らかくなり、十分な耐貫通性能を発現しなくなる。また、重合度が200未満になると耐貫通性能を含む力学物性が低下し、1000を超えると押出成形性が極端に低下するため好ましくない。
さらに、配合量が10重量%未満では成形性能が低下し、90重量%を超えると成形性が低下し好ましくない。
【0012】
一方、PVB(b)のブチラール化度が50モル%未満では押出成形性が低下し好ましくない。また、80モル%を超えると、水酸基の疑似架橋点の数が減少し、耐貫通性能が低下するため好ましくない。
さらに重合度が1000未満では耐貫通性能を向上させる効果が発現せず、5000を超えると成形性が極端に低下するため好ましくない。
また、配合量が10重量%未満では耐貫通性能の向上効果がないため好ましくなく、90重量%を超えると成形性が低下し好ましくない。
【0013】
上記ブチラール化度は、JIS K 6728に準拠して測定することができる。
【0014】
上記可塑剤としては、例えば、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,2−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキソエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペントエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキソエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、トリエチレングリコールジカプリエート等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0015】
これら可塑剤の添加量は、PVB(c)100重量部に対して20〜60重量部の範囲である。可塑剤の部数が20重量部未満であるとPVB(c)の可塑化効果が不十分のため成形ができなくなり、60重量部を超えると相溶しなくなり、可塑剤が分離してしまうため好ましくない。
【0016】
特に、本発明において、上記PVB(a)10〜90重量%及びPVB(b)90〜10重量%からなる異種混合のPVB(c)100重量部と、可塑剤20〜60重量部とを含有する熱可塑性樹脂シートは、得られる合わせガラスの高温における耐貫通性能が従来のものより向上するので、安全性が一層高くなる。
【0017】
このように異種のPVBの配合量及び可塑剤の添加量を限定する理由は、次の通りである。即ち、PVB(a)の配合量が10重量%未満では、真空プレスでの合わせガラス作製時に、中間膜の流動性が低いために外観良好な合わせガラスを作製するのに高温が必要になるからである。一方、PVB(b)の配合量が10重量%未満では耐貫通性能の向上効果がなく、逆に90重量%を超えると耐貫通性能の向上効果が小さくなることと、真空プレスでの合わせガラス作製時に、中間膜の流動性が低いために外観良好な合わせガラスを作製するのに高温が必要になるからである。
また、この際、可塑剤の添加量が20重量部未満であるとPVB樹脂の可塑化効果が不十分のため成形ができなくなり、60重量部を超えると高温での耐貫通性能の向上効果が小さくなるからである。
【0018】
上記熱可塑性樹脂シートには、上記必須成分の他に、ガラスとの接着力を調整する目的で、カルボン酸金属塩、変性シリコンオイル等を添加することができる。
【0019】
上記カルボン酸金属塩としては、炭素数が12以下の脂肪族モノまたはジカルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましく用いられる。
金属成分としては、例えば、Mg、Na、K等、また、カルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、オクタン酸、こはく酸、アジピン酸等が挙げられる。好ましいカルボン酸金属塩の例としては、例えば、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム、カプロン酸マグネシウム、カプロン酸ナトリウム、2−エチルカプロン酸マグネシウム、2−エチルカプロン酸ナトリウム、カプリル酸マグネシウム、カプリル酸ナトリウム、オクタン酸マグネシウム、こはく酸マグネシウム、こはく酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらの中でも酢酸カリウム、酢酸マグネシウムがより好ましい。
【0020】
また、上記変性シリコンオイルとしては、例えば、エーテル変性シリコンオイル、エポキシ変性シリコンオイル、エステル変性シリコンオイル、アミン変性シリコンオイル、α−メチルスチレン変性シリコンオイル、α−オレフィン変性シリコンオイル、アルコール変性シリコンオイル、フッ素変性シリコンオイル、メルカプト変性シリコンオイル、カルボキシル変性シリコンオイル及びその共変性タイプ(例えば、エーテルエポキシ変性シリコンオイル)等が挙げられ、これらは一般にはポリシロキサンに変性すべき化合物を反応せしめて得られる粘調な液体である。
【0021】
上記熱可塑性樹脂シートは、上述の添加剤以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、染料等の各種添加剤を含有しても良く、これらは従来公知のものが使用可能である。
【0022】
上記熱可塑性樹脂シートは、上述のPVB樹脂、可塑剤及び添加剤等を混合し、従来公知の方法でシート状に押出成形することより得られる。
【0023】
上記熱可塑性樹脂シートの両面に、微細な凹凸模様からなる多数の脱気用エンボスが設けられていることが好ましい。このようなエンボスを形成することにより、合わせガラス作製時に少なくとも一対のガラス板と熱可塑性樹脂シートとからなる合わせガラス積層体の中央部及びその近傍に存在する空気まで十分に脱気され易くなるので、得られる合わせガラス作の気泡の発生による不良がない高品質なものとなる。
【0024】
上記エンボスを形成する方法としては、例えば、エンボスロール法、カレンダーロール法、異形押出法等が挙げられ、いずれの方法も採用可能であるが、中でも定量的に一定の凹凸模様からなる多数のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法の採用が好ましい。
【0025】
上記エンボスの凹凸模様は、特に限定されず、例えば、刻線状、格子状、放射状、半球状等のいずれであってもよい。
また、上記エンボスの凹凸模様の配置(分布)は、特に限定されるものではなく、整然と規則的に配置してもよく、雑然と不規則的に配置してもよいが、一般的には凹凸模様が規則的に配置している方が好ましい。
また、上記エンボス凸部の高さは、全て同一の高さであってもよく、異なる高さであってもよく、凸部に対応する凹部の深さも全て同一の深さであってもよく、異なる深さであってもよい。
【0026】
上記凸部及び凹部の形状も、特に限定されず、例えば、三角錐、四角錐、円錐等の錐体;截頭三角錐、截頭四角錐、截頭円錐等の截頭錐体であってもよく、頭部が山型や半球状となった疑錐体等からなる多数の凸部と、これらの凸部に対応する多数の凹部とからなる凹凸模様であってもよい。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂シートは、合わせガラス用中間膜として使用することができ、従来公知の方法によって、少なくとも一対(2枚)のガラス板間に介在させ一体化することにより、積層体(合わせガラス)が得られる。
【0028】
上記合わせガラスの構成は、例えば、ガラス板/中間膜/ガラス板の三層構成であってもよく、ガラス板/中間膜/ガラス板/中間膜/ガラス板のような多層構成であってもよい。
【0029】
上記合わせガラスの製造方法は、従来より行われている真空脱気法又は扱き脱気法による脱気及び予備接着工程と、オートクレーブによる本接着工程とからなる通常の製造方法とは異なり、オートクレーブを必要とせず、例えば、真空バッグによる真空プレス法のみで、脱気、予備接着及び本接着を一貫して行うことにより、所望 の合わせガラスを製造することができる。
【0030】
真空プレス法のみで合わせガラスを製造する具体的手順としては、特に限定されるものではないが、例えば、2枚の透明な無機ガラス板の間に本発明の熱可塑性樹脂シートを挟み、この合わせガラス構成体を、前記真空バッグ方式やスペーサー方式により、真空バッグ(ゴムバッグ)の中に入れ、この真空バッグ(ゴムバッグ)を排気系に接続して、真空バッグ(ゴムバッグ)内の圧力が約−65〜−100kPaの減圧度(絶対圧力約36〜1kPa)となるように吸引減圧しながら温度を上げ、温度100℃程度で脱気、予備接着および本接着を一貫して連続的に行うことにより、合わせガラスを得ることができる。
【0031】
即ち、このような合わせガラスの製造方法は、多額の設備投資費用を要するオートクレーブが不要であり、かつ、製造工程も一段法の簡便なものであって、生産性に優れるものである。
【0032】
(作用)
本発明の熱可塑性樹脂シートが、合わせガラス用中間膜として使用された際に合わせガラスの耐貫通性能を向上する理由を説明する。
従来のPVB中間膜の耐貫通性能は、その構造に有する水酸基同士の類似架橋点によって発現される。この架橋点が多いほど、分子同士が強く結合され、優れた力学物性を有する。しかし、水酸基が多くブチラール化度が小さいと可塑剤との相溶性が低下し、可塑化され難くなるため成形ができなくなるという欠点を有する。このため、従来技術では中間膜の耐貫通性能を向上するには限界が存在した。
【0033】
ところが、本発明では、高重合度のPVBを配合することによって、分子間の疑似架橋点に加え分子同士の絡み合い点が増加する。この絡み合い点が疑似架橋点と同様の機能を有するため、力学物性が向上すると考えられる。
尚、重合度が大きいPVBは成形性が極端に悪いために、単独では使用することができない。本発明では、高重合度のPVBのブチラール化度を上げ、水酸基の数を減らし、なおかつ低重合度のPVBと混合することによって、成形性を付与することができた。このように、PVBの構造、組成を最適化し、成形性を損なわずに、耐貫通性能を向上させた中間膜として使用可能な熱可塑性樹脂シートが得られるわけである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0035】
(実施例1〜4、比較例1〜5)
表1に示す重合度及びブチラール化度を有するPVBに、可塑剤としてトリエチレングリコール−2−エチルブチレート(3GO)を、表1に記載の割合で配合し、さらに添加剤として酢酸マグネシウム0.04重量部(16.7%水溶液にて投入)、変性シリコンオイル(信越化学工業社製「F−328S」)0.05重量部を添加し、ドライブレンダーで5分間撹拌した。
次いで、ブラベンダープラストグラフで加熱混練した。得られた混合物を0.76mmの厚みを持つ400mm×400mm角の膜金型に入れ、プレスにて180℃、15MPaの条件下で20分加熱加圧し、冷却後金型から切り離して、合わせガラス用PVB中間膜を得た。
【0036】
得られた合わせガラス用PVB中間膜の両面にエンボス加工を施して、両面に微細な凹凸からなる多数の刻線状エンボスが形成された単層構成の中間膜を作製した。
【0037】
上記実施例及び比較例で得られた中間膜につき下記の評価を行い、その結果を表1に示した。
(1)合わせ加工性評価
表面に凹凸の付与された中間膜を20〜25℃、25〜30%RHの雰囲気下で2時間放置して調温調湿した後、中間膜を2枚の2.5mm厚、30.5cm×30.5cmのガラス板の間に挟み、スペーサー方式により、この合わせガラス構成体をゴムバッグの中に入れ、ゴムバッグ内の圧力が−53.2kPa(絶対圧力47.8kPa)となるように、合わせガラス構成体の端部から吸引減圧しながら温度を100℃まで昇温した。100℃で20分間保持して脱気、予備圧着及び本接着を一貫して連続的に行うことにより、合わせガラスを作製した。各中間膜についてそれぞれ10枚の合わせガラスを作製し、得られた合わせガラスの外観を目視観察して、各10枚の合わせガラス中におけるシール先行現象の有無及びエンボス刻線の痕跡の残存の有無を確認することにより、合わせ加工性を評価した。尚、10枚の合わせガラス中、シール先行現象及びエンボス刻線の痕跡のない枚数を、表中に記載した。
【0038】
(2)耐貫通性能評価
表面に凹凸の付与された中間膜を、20〜25℃、25〜30%RHの雰囲気下で2時間放置して調温調湿した後、この中間膜を2枚の2.5mm厚、30.5cm×30.5cmのガラス板の間に挟み、プレスにて130℃、1.27MPaの条件下で5分間加圧することにより、合わせガラスサンプルを作製し、所定の温度に設定したオーブン中に1時間放置し、耐貫通性能をJIS R 3212に従い、5LB鉄球にて評価した。尚、耐貫通性として、鉄球が50%貫通しない高さを合格とし、その高さを、耐貫通性能として記した。
【0039】
【表1】
Figure 2004107143
【0040】
表1に示した結果より、本発明の中間膜は合わせ加工性が優れ、得られる合わせガラスも、常温のみならず高温においても優れた耐貫通性を有することが分かる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂シートは、上述の構成であるので、合わせガラス用中間膜として使用することができ、合わせガラスを製造する際に、オートクレーブを必要とせず、真空プレス法のみで製造することができるので、製造が容易で生産性に優れる。また、得られた合わせガラスは、常温のみならず高温において従来より優れた耐貫通性能を発現する。これにより、さらに安全な合わせガラスを供給することが可能となった。

Claims (3)

  1. ブチラール化度50〜80モル%であって平均重合度200〜1000のポリビニルブチラール(a)10〜90重量%及びブチラール化度50〜80モル%であって平均重合度1000〜5000のポリビニルブチラール(b)90〜10重量%からなる異種混合のポリビニルブチラール(c)100重量部と、可塑剤20〜60重量部とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂シート。
  2. 熱可塑性樹脂シートの両面に、微細な凹凸模様からなる多数の脱気用エンボスが設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  3. 請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂シートが積層されてなることを特徴とする積層体。
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