JP5081398B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアセタール樹脂を含有する合わせガラス用中間膜に関し、より詳細には、合わせガラス作成時のノンオートクレーブ工程への適合性が高く、耐貫通性に優れた合わせガラスを構成し得る合わせガラス用中間膜及び該中間膜を用いた合わせガラスに関する。
合わせガラスは、例えば外部衝撃を受けて破損した場合にガラス破片の飛散量が少なく、安全性に優れているため、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、建築物等の窓ガラスとして広く使用されている。
合わせガラスとしては、少なくとも一対の板ガラスの間に、合わせガラス用中間膜を介在させ、これらを一体化させたもの等が挙げられる。合わせガラス用中間膜としては、通常、可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜、硫黄元素を含むポリウレタン樹脂膜、ポリビニルアルコール樹脂膜等が用いられている。
上記のような合わせガラス用中間膜として、下記の特許文献1には、ヒドロキシル基2〜4個を有するアルコールと酸分子に結合したヒドロキシル基を有するC16〜C20不飽和脂肪酸とのマルチエステルによって可塑化された可塑化ポリビニルブチラールシートが開示されている。特許文献1では、上記マルチエステル成分と組合わせて、グリコールと酸分子に結合したヒドロキシル基を有するC16〜C20不飽和脂肪酸とのモノエステル成分がさらに包含されている。なお、特許文献1では、積層中間膜の中に使用される混合可塑剤の量は、PVB樹脂100部当り10〜55部(phr)にすべきである旨が記載されている。
特許文献1に記載の可塑化ポリビニルブチラールシートを用いて例えば防護ガラス積層板を構成すると、該防護ガラス積層板では、広範囲の温度にわたって剥離接着力や耐貫通性等が改善するとされている。
特開昭60−60149号公報
合わせガラス用中間膜には、従来上記のようなC16〜C20不飽和脂肪酸エステルやトリアルキレングリコールアルキルエステル等が可塑剤として用いられている。これらの可塑剤を用いた場合には、耐貫通性に優れた合わせガラスを構成することができる。しかしながら、これらの可塑剤を用いた場合と同程度の、もしくはそれ以上の耐貫通性能を有する合わせガラスを構成し得る別の可塑剤が求められていた。
ところで、合わせガラスを作製する際には、透明な合わせガラスを得るために、高温・高圧下で処理が行われるオートクレーブ工程が通常用いられている。オートクレーブ工程により、特許文献1に記載のC16〜C20不飽和脂肪酸エステルを可塑剤として用いた中間膜やトリアルキレングリコールアルキルエステル等を可塑剤として用いた中間膜をガラスに接着させると、合わせガラスを構成ことができる。
しかしながら、特許文献1に記載のC16〜C20不飽和脂肪酸エステルを可塑剤として用いた中間膜やトリアルキレングリコールアルキルエステル等を可塑剤として用いた中間膜をガラスに接着させて透明な合わせガラスを得るためには、上述のように、高温・高圧下で処理するオートクレーブ工程を行わなければならなかった。オートクレーブ工程では、例えば1.5MPaの高圧下、140℃で20分間、中間膜とガラスとを圧着する過酷な処理をする必要があった。このような処理を行うためには、大型で高価な設備が必要であり、製造コストが高くならざるを得なかった。
そこで、大型で高価な設備を必要とせずノンオートクレーブ工程によっても、ガラスと容易に接着させることができ、かつ透明な合わせガラスを得ることを可能とする中間膜が求められていた。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、ポリビニルアセタール樹脂を含有する合わせガラス用中間膜であって、耐貫通性に優れた合わせガラスを構成し得る合わせガラス用中間膜及び該中間膜を用いた合わせガラスを提供することにある。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部と、可塑剤25〜100重量部とからなり、可塑剤として、炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステルを含有し、前記可塑剤として、前記飽和脂肪酸エステルのみが単独で用いられているか、又は前記可塑剤の1重量%以上が前記飽和脂肪酸エステルであることを特徴とする。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、可塑剤の1重量%以上、(20/45×100)重量%以下が炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステルである。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステルは、イソステアリン酸エステルである。
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、飽和脂肪酸エステルは飽和脂肪酸のマルチエステルである。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、飽和脂肪酸エステルは、下記式(1)で表される、エステル部分にポリオキシアルキレン鎖を含有する飽和脂肪酸エステルである。
Figure 0005081398
上述した式(1)中、Rは炭素数16〜20の分岐構造を有する飽和アルキル基であり、Rは水素又は有機基であり、Rは−CH−CH−基、−CH−CH(CH)−基、−CH−CH−CH−基又は−CH−CH−CH−CH−基であり、nは1〜20の整数である。
本発明に係る合わせガラスは、少なくとも2枚の透明ガラス板の間に、本発明に従って構成された合わせガラス用中間膜が接着されていることを特徴とする。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部と、可塑剤25〜100重量部とからなる。本発明に係る合わせガラス用中間膜は、可塑剤として、炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステルを含有するため、該中間膜を用いると、耐貫通性に優れた合わせガラスを構成することができる。すなわち、可塑剤として炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステルを用いることにより、従来可塑剤として用いられていたC16〜C20不飽和脂肪酸エステルやトリアルキレングリコールアルキルエステルと同等以上の、耐貫通性能を有する合わせガラスを構成することができる。
また、本発明に係る合わせガラス用中間膜を用いれば、合わせガラスを構成するときに、従来合わせガラスの製造時に行われていた上記オートクレーブ工程を必ずしも行う必要がなく、ノンオートクレーブ工程によっても、中間膜とガラスとを容易に接着させることができ、かつ中間膜とガラスとの接着界面に気泡などの残留のない透明な合わせガラスを得ることができる。よって、高温・高圧下で中間膜とガラスとを圧着する必要がないので、大型で高価な設備が不要となり、製造コストも安くなる。
可塑剤の1〜40重量%が、炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステルである場合には、より一層穏やかな条件で中間膜とガラスとを接着させることができ、耐貫通性に優れた合わせガラスを構成することができる。
炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステルがイソステアリン酸エステルである場合には、中間膜とガラスとの接着をより一層穏やかな条件で行うことができ、かつ耐貫通性により一層優れた合わせガラスを得ることができる。
本発明に係る合わせガラスでは、少なくとも2枚の透明ガラス板の間に、本発明に従って構成された合わせガラス用中間膜が接着されている。よって、合わせガラスでは、ガラスと中間膜とが強固に接着しており、かつ透明性に優れている。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とからなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)をアルデヒドでアセタール化して得られる樹脂である。
ポリビニルアセタール樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール樹脂を温水もしくは熱水に溶解し、得られた水溶液を0〜95℃程度の所定の温度に保持した状態で、アルデヒド及び酸触媒を添加し、攪拌しながらアセタール化反応を進行させ、次いで、反応温度を上げて熟成することにより反応を完結させ、その後、中和、水洗及び乾燥の諸工程を経て、粉末状のポリビニルアセタール樹脂を得る方法が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の製造に用いられる上記ポリビニルアルコール樹脂としては、特に限定されないが、平均重合度が500〜5000のものが好ましく、より好ましくは1000〜3000である。平均重合度が500未満であると、得られる中間膜の強度が弱くなりすぎて、合わせガラスとしたときに耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性に劣ることがあり、平均重合度が5000を超えると、中間膜の製膜が困難なことがあり、さらに得られる中間膜の強度が強くなりすぎて、合わせガラスとしたときに耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性に劣ることがある。
なお、ポリビニルアルコール樹脂の平均重合度は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
ポリビニルアセタール樹脂の製造に用いられる上記アルデヒドとしては、特に限定されず、例えば、炭素数が1〜10のアルデヒド等が挙げられる。より具体的には、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒド等が好ましく、より好ましくは、炭素数が4のブチルアルデヒドである。
上記ポリビニルアセタール樹脂としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール樹脂とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂とアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂とn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。これらのポリビニルアセタール樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)が好適に用いられる。ポリビニルブチラール樹脂を用いることにより、中間膜の透明性、耐候性、ガラスに対する接着性等がより一層優れたものとなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、60〜85モル%であることが好ましく、63〜70モル%であることがより好ましい。アセタール化度が60モル%未満であると、後述する可塑剤とポリビニルアセタール樹脂との相溶性に劣り、得られる中間膜のガラス転移温度が十分に低下せず、従ってノンオートクレーブ工程適合性に劣ることがある。アセタール化度が85モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂を製造する際に、合成反応に長時間を要し、製造効率に劣ることがある。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は、0.5〜30モル%であることが好ましく、0.5〜25モル%であることがより好ましく、0.5〜20モル%であることがさらに好ましい。
上記アセチル基量が0.5モル%未満であると、後述する可塑剤とポリビニルアセタール樹脂との相溶性に劣り、また、得られるポリビニルアセタール樹脂のガラス転移温度が十分に低下せず、従ってノンオートクレーブ工程適合性が十分に向上しないことがある。アセチル基量が30モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂を製造しようとすると、例えばポリビニルアルコール樹脂とアルデヒドとの反応性が著しく低下することがある。
上記ポリビニルアセタール樹脂では、上記アセタール化度と上記アセチル基量との合計が63モル%以上であることが好ましく、66モル%以上であることがより好ましい。アセタール化度とアセチル基量との合計が63モル%未満であると、後述する可塑剤との相溶性に劣ることがあり、得られるポリビニルアセタール樹脂のガラス転移温度が十分に低下せず、従ってノンオートクレーブ工程適合性が十分に向上しないことがある。
ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合、上記アセタール化度(ブチラール化度)およびアセチル基量は、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」、赤外線吸収スペクトル(IR)や核磁気共鳴法(NMR)により測定することができる。
また、ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂以外のポリビニルアセタール樹脂である場合、そのアセタール化度は、JIS K 6728や核磁気共鳴法に準拠してアセチル基量とビニルアルコール量とを測定し、100から上記両成分量を差し引くことにより算出することができる。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部と、可塑剤25〜100重量部とからなる。
ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、上記可塑剤が25重量部未満であると、合わせガラスを構成したときに耐貫通性に劣ることがあり、100重量部を超えるとブリードアウトが生じ易くなる。
本発明の特徴は、可塑剤として、炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステル(A)を含有することにある。すなわち、本発明に係る合わせガラス用中間膜では、可塑剤として、飽和脂肪酸エステル(A)のみが単独で用いられるか、若しくは飽和脂肪酸エステル(A)が後述する従来より用いられている可塑剤(X)と組み合わせて用いられる。
上記飽和脂肪酸エステル(A)を構成する飽和脂肪酸の炭素数が16未満であると、合わせガラスを構成したときに耐貫通性に劣り、飽和脂肪酸の炭素数が20を超えると、飽和脂肪酸エステル(A)と、ポリビニルアセタール樹脂との相溶性が低下することがある。
本発明では、可塑剤の1〜40重量%が上記飽和脂肪酸エステル(A)であることが好ましい。上記飽和脂肪酸エステル(A)が可塑剤の1重量%未満であると、合わせガラスを構成するときに、中間膜とガラスとの接着性を高めるためにより一層高温・高圧下で中間膜とガラスとを圧着する必要がある。
上記飽和脂肪酸エステル(A)としては、炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化したものであり、かつ油状の性状を有するものであれば特に限定されない。上記飽和脂肪酸エステル(A)としては、分岐構造を有する飽和脂肪酸のエステルであれば、特に限定されず、具体的には、イソステアリン酸メチルやイソステアリン酸エチル等のイソステアリン酸モノエステル、エチレングリコールジイソステアレート、プロピレングリコールジイソステアレート、グリセリンジイソステアレート、グリセリントリイソステアレート、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等のイソステアリン酸マルチエステル等が挙げられる。本発明においては、上述の様なイソステアリン酸エステルが好ましく用いられる。また、飽和脂肪酸のマルチエステルが好ましく用いられ、分岐構造を有する飽和脂肪酸ユニットを分子内に2以上有する飽和脂肪酸のマルチエステルがより好ましく用いられる。
また、ポリアセタール樹脂との相溶性を調整するために、下記式(1)で表される、エステル部分にポリオキシアルキレン鎖を含有する飽和脂肪酸のエステルも好適に用いられる。
Figure 0005081398
前記式(1)中、Rは炭素数16〜20の分岐構造を有する飽和アルキル基であり、Rは水素又は有機基であり、Rは−CH−CH−基、−CH−CH(CH)−基、−CH−CH−CH−基又は−CH−CH−CH−CH−基であり、nは1〜20の整数である。上記nが1未満であると、飽和脂肪酸エステルとポリアセタール樹脂との相溶性に劣ることがあり、20を超えると、飽和脂肪酸エステルの粘度が高くなり、取扱性に劣ることがある。
イソステアリン酸エステルを上記割合で含有する中間膜では、中間膜と合わせガラスとの接着をより一層穏やかな条件で行うことができ、かつ耐貫通性により一層優れた合わせガラスを得ることができる。
上記飽和脂肪酸エステル(A)以外の従来より用いられている可塑剤(X)としては特に限定されず、ポリビニルアセタール樹脂の可塑剤として一般的に用いられている公知の可塑剤が挙げられ、特に限定されないが、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機系可塑剤、有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が好適に用いられる。これらの可塑剤(X)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、ポリビニルアセタール樹脂の種類に応じて相溶性等を考慮して使い分けられる。
上記一塩基性有機酸エステルとしては特に限定されず、例えば、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)又はデシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられる。なかでも、トリエチレングリコールジカプロン酸エステル、トリエチレングリコールジ2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコールジn−オクチル酸エステル、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキシル酸エステル等のトリエチレングリコールの一塩基性有機酸エステルが好適に用いられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸又はアゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖状又は分枝状アルコールとの反応によって得られるエステル等が挙げられ、なかでも、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適に用いられる。
上記有機リン酸系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリエチレングリコールジエチルブチラート、トリエチレングリコールジエチルヘキソエート、トリエチレングリコールジブチルセバケート、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。なかでも、トリエチレングリコールジエチルブチラート、トリエチレングリコールジエチルヘキソエート、トリエチレングリコールジブチルセバケート等が好ましい。
本発明においては、可塑剤として、上記飽和脂肪酸エステル(A)に上記可塑剤(X)が混合された混合可塑剤を用いることが好ましい。上記混合可塑剤中の上記飽和脂肪酸エステル(A)の含有比率としては、1〜40重量%の範囲にあることが特に好ましい。含有比率が1重量%未満の場合には、ノンオートクレーブ工程への適合性が劣ることがあり、40重量%を超えると、原料コストが上がり、製造コスト面で不利となることがある。
本発明では、必須成分であるポリビニルアセタール樹脂および可塑剤以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、接着性付与剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されてもよい。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、必須成分であるポリビニルアセタール樹脂および可塑剤と必要に応じて添加される各種添加剤とからなるポリビニルアセタール樹脂組成物を常法により成形(製膜)して得られる。
合わせガラス用中間膜では、110℃における溶融粘度が10000Pa・s以上であり、かつ、140℃における溶融粘度が100000Pa・s以下であることが好ましい。110℃における溶融粘度が10000Pa・s以上であり、かつ140℃における溶融粘度が100000Pa・s以下である中間膜は、より優れた接着性能を発現する。
合わせガラス用中間膜の110℃における溶融粘度が10000Pa・s未満であると、合わせガラスに加工する際に、ガラス板のずれや発泡が生じて取扱性に劣ったり、中間膜の強度が弱くなりすぎて、合わせガラスとしたときに耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性に劣ることがある。また、合わせガラス用中間膜の140℃における溶融粘度が100000Pa・sを超えると、安定した成形(製膜)を行うことが困難となったり、合わせガラス用中間膜の強度が強くなりすぎて、合わせガラスとしたときに耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性に劣ることがある。
合わせガラス用中間膜の厚みは、特に限定されないが、0.3〜1.6mmであることが好ましい。中間膜の厚みが厚くなりすぎると合わせガラスとしたときに耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が低下することがあるので、上記範囲の厚みであることが好ましい。
本発明の合わせガラスは、少なくとも2枚の透明ガラス板の間に上述した本発明の中間膜を介在させ、一体化させることにより作製される。
上記透明ガラス板には、通常の無機透明ガラス板のみならず、例えばポリカーボネート板やポリメチルメタクリレート板などのような有機透明ガラス板も包含される。
上記ガラス板の種類としては、特に限定されないが、例えばフロート板ガラス、磨き板ガラス、平板ガラス、曲板ガラス、並板ガラス、型板ガラス、金網入り型板ガラス、着色されたガラス板などの各種無機ガラス板や有機ガラス板等が挙げられる。これらのガラス1種類のみが用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。また、上記ガラス板の厚みは、用途や目的によって適宜選択されればよく、特に限定されない。
合わせガラスの製造は、通常以下のようにして行われる。
例えば、2枚の透明ガラス板の間に、本発明に係る合わせガラス用中間膜を挟み、これをゴムバッグに入れて減圧下で吸引脱気しながら温度70〜110℃程度で予備接着した後、オートクレーブを用いて、温度140〜150℃程度、圧力0.98〜1.47MPa程度の条件で、例えば20分間加熱加圧するオートクレーブ工程により本接着を行い、所望の合わせガラスを得ることができる。
本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記飽和脂肪酸エステル(A)が上記特定の割合で含有されているため、従来合わせガラスの製造時に行われていた上記オートクレーブ工程を必ずしも行う必要がなく、ノンオートクレーブ工程によっても、中間膜とガラスと接着させることができ、かつ中間膜とガラスとの接着界面に気泡などの残留のない透明な合わせガラスを得ることができる。もっとも、本発明に係る合わせガラス用中間膜を用いれば、上記オートクレーブ工程によっても、合わせガラスを構成することができる。
上記オートクレーブ工程では、高温・高圧下、中間膜とガラスとを圧着する過酷な処理をする必要があった。このような処理を行うためには、大型で高価な設備が必要であり、また製造コストが高くならざるを得なかった。他方、本発明に係る合わせガラス用中間膜では、高温・高圧下で中間膜とガラスとを圧着する必要がない。
本発明に係る合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスを製造する場合には、例えば例えば、中間膜とガラスとを積層してゴムパックに入れて吸引脱気しながら0.016〜0.020MPa程度の減圧下で温度70〜110℃程度で予備接着した後、0.016〜0.020MPaの減圧下、温度120〜140℃で、15〜60分間静置して合わせガラスを得ることができる。すなわち、高温・高圧下で中間膜とガラスとを圧着する必要がないので、大型で高価な設備が不要となり、製造コストも安くなる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を説明することにより本発明を明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)
アセタール化度69.0モル%、アセチル基量0.6モル%、平均重合度1700
ポリビニルブチラール樹脂(PVB2)
アセタール化度68.0モル%、アセチル基量12.5モル%、平均重合度1900
(可塑剤)
・飽和脂肪酸エステル(A)
(A−1)イソステアリン酸エチル(高級アルコール工業製、製品名;EIS)
(A−2)トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(高級アルコール工業製、製品名;KAK TTI)
(A−3)プロピレングリコールジイソステアレート(日本エマルジョン製、製品名;EMALEX PG−di−IS)
(A−4)トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(日本エマルジョン製、製品名;EMALEX GWIS−303)
(A−5)トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン水添ひまし油(日本エマルジョン製、製品名;EMALEX RWIS−305)
・飽和脂肪酸エステル(A)以外の可塑剤
トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートであるジエステル化合物(3GO)
(実施例1)
上記ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)100重量部に、可塑剤として上記飽和脂肪酸エステル(A−1)20重量部とジエステル化合物(3GO)25重量部とを添加し、ミキシングロールで均一に溶融混練した後、プレス成形機を用いて、150℃で30分間プレス成形を行って、厚み0.75mmの合わせガラス用中間膜を作製した。
(実施例2−5及び比較例1、2)
ポリビニルアセタール樹脂の種類、可塑剤の種類及びその配合割合を下記表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜を作製した。
(気泡の残留の有無及びエンボス刻線の痕跡の有無の評価)
実施例及び比較例で得られた合わせガラス用中間膜を2枚の透明ガラス板(厚み2.5mm)の間に挟持し、ゴムパックに入れて吸引脱気しながら0.016MPa〜0.020MPa程度の減圧下で温度90℃程度で予備接着した後、0.016MPa〜0.020MPaの減圧下、温度130℃で10分間静置して合わせガラスを作製した。なお、各実施例及び比較例について、それぞれ3枚の合わせガラスを作製した。
得られた3枚の合わせガラスについて、中間膜とガラスとの接着界面における気泡の残留の有無、及びエンボス刻線の痕跡の有無をそれぞれ目視により下記評価基準で評価した。
○:3枚の合わせガラスのいずれにも気泡の残留がなく透明であった、または3枚の合わせガラスのいずれにもエンボス刻線の痕跡がなく透明であった。
△:3枚の合わせガラスのうちのいずれかにわずかに気泡の残留が見られた、または3枚の合わせガラスのうちのいずれかにわずかにエンボス刻線の痕跡が見られた。
×:3枚の合わせガラスのうち1枚以上にはっきりとした気泡の残留が見られた、または3枚の合わせガラスのうちのいずれかにはっきりとしたエンボス刻線の痕跡が見られた。
(合わせガラスの耐貫通性評価)
上記のようにして得られた合わせガラスを、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿の暗室にて48時間状態調節した。その後、JIS R 3212(1998)「自動車用安全ガラス試験方法」に準拠して、質量が2260gで直径が82mmの剛球を、所定の高さから合わせガラスに落下させ、衝撃後5秒以内に剛球が貫通するか否かを確認した。貫通しなかった最も高い落下高さ(mm)を評価結果とした。
結果を下記表1に示す。
Figure 0005081398

Claims (6)

  1. ポリビニルアセタール樹脂100重量部と、可塑剤25〜100重量部とからなり、
    前記可塑剤として、炭素数が16〜20の分岐構造を有する飽和脂肪酸をエステル化した油状の飽和脂肪酸エステルを含有し、
    前記可塑剤として、前記飽和脂肪酸エステルのみが単独で用いられているか、又は前記可塑剤の1重量%以上が前記飽和脂肪酸エステルである、合わせガラス用中間膜。
  2. 前記可塑剤の1重量%以上、(20/45×100)重量%以下が前記飽和脂肪酸エステルである、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 前記飽和脂肪酸エステルがイソステアリン酸エステルである、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 前記飽和脂肪酸エステルが飽和脂肪酸マルチエステルである、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 前記飽和脂肪酸エステルが、下記式(1)で表される、エステル部分にポリオキシアルキレン鎖を含有する飽和脂肪酸エステルである、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜。
    Figure 0005081398
    前記式(1)中、Rは炭素数16〜20の分岐構造を有する飽和アルキル基であり、Rは水素又は有機基であり、Rは−CH−CH−基、−CH−CH(CH)−基、−CH−CH−CH−基又は−CH−CH−CH−CH−基であり、nは1〜20の整数である。
  6. 少なくとも2枚の透明ガラス板の間に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜が接着されていることを特徴とする、合わせガラス。
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