JP2004105217A - ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブ - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、容易にヘッドの重心位置を所望の位置に調節することが可能なゴルフクラブヘッドおよび該ヘッドを備えたゴルフクラブを提供する。
【解決手段】ゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッド1と、シャフト2と、グリップとを備える。ゴルフクラブヘッド1は、ソール部3におけるトウ部側に位置する第2の部分3bに開口を有するヘッド本体と、該ヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成され開口を閉じるようにヘッド本体に取り付けられるプレート10とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】ゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッド1と、シャフト2と、グリップとを備える。ゴルフクラブヘッド1は、ソール部3におけるトウ部側に位置する第2の部分3bに開口を有するヘッド本体と、該ヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成され開口を閉じるようにヘッド本体に取り付けられるプレート10とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブに関し、特に、大型(300ml以上)の金属製ゴルフクラブヘッドおよび該ヘッドを備えたゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
中空の金属製ゴルフクラブヘッドは、チタンやマグネシウムといった軽くて強い材料で製造することが可能となり、体積が300ml以上の大型のヘッドが多く開発されている。ところが、ヘッドが大きくなるとヘッドのコントロール性が低下し易くなることから、ヘッドのコントロール性を向上するための開発もなされている。
【0003】
ヘッドのコントロール性を向上する一手法として、ゴルフクラブヘッドの重心位置をシャフトの軸線に近い位置にずらせる手法がある。このようにヘッドの重心位置をシャフトの軸線側にずらせることにより、いわゆるボールの捕まりがよくなり、またスイング時におけるヘッドコントロールが容易となる。
【0004】
たとえば、特開平11−47318号公報には、シャフト差込み孔の先端部にヘッド本体よりも比重の大きいウェイトを装着し、ヘッドの重心位置をヒール側に移動させたゴルフクラブヘッドが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−47318号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平11−47318号公報に記載のゴルフクラブヘッドでは、ヘッド本体よりも比重の大きいウェイトを装着しているので、ヘッドの質量が大きくなる。そのため、次のような種々の問題が生じる。
【0007】
ヘッドの質量が大きくなることから、ゴルフクラブのスイング調整が難しくなり、ヘッドの重心位置をヒール側にずらせたとしても充分にヘッドコントロール性を向上することができない。
【0008】
また、ヘッドの質量が大きくなるので、ヘッドの大型化に際し不利となる。さらに、ウェイトをヘッド内部に装着しているので、ウェイトを装着すること自体も煩雑となる。
【0009】
そこで、本発明は、ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、容易にヘッドの重心位置を調節することが可能なゴルフクラブヘッドおよび該ヘッドを備えたゴルフクラブを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るゴルフクラブヘッドは、ソール部におけるトウ部側に位置する部分に開口を有する金属製のヘッド本体と、ヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成され、開口を閉じるようにヘッド本体に取り付けられる閉塞部材とを備える。
【0011】
このようにヘッド本体のトウ部側に開口を設け、該開口を閉じるようにヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成される閉塞部材を取り付けることにより、ヘッドのトウ部側の質量を減じることができる。それにより、結果的にヘッドの重心位置をヒール側、すなわちシャフトの軸心側にずらせることができる。
【0012】
上記ソール部は、好ましくは、アドレス時に接地される第1の部分と、該第1の部分からトウ部側に向かって立ち上がる第2の部分とを有する。この場合、第2の部分に開口を設ける。なお、第1の部分は、平坦な地面(下地)上で通常にアドレスした場合に地面(下地)と接する部分のことであり、地面の起伏が大きい等の特殊な条件下でアドレスした場合を意図するものではない。
【0013】
上記開口の面積は、好ましくは、5cm2以上40cm2以下である。より好ましくは、開口の面積は15cm2以上30cm2以下である。
【0014】
ヘッド本体の開口の面積が5cm2未満の場合には、ヘッド本体のトウ部側の質量を減じて重心位置をシャフトの軸心側に近づける効果が小さくなる。他方、開口の面積が40cm2よりも大きくなると、ヘッドの強度が低下し、ヘッドの信頼性および性能が低下することが懸念される。そこで、開口面積を上記の範囲とすることにより、ヘッドの信頼性および性能を確保しながらヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることができる。
【0015】
上記閉塞部材の厚みは、好ましくは、0.5mm以上3.0mm以下である。閉塞部材の厚みが0.5mm未満であると、閉塞部材自体の強度が低くなる。そのため、ボールを打撃した時の衝撃に耐えることが困難となる。他方、閉塞部材の厚みが3.0mmよりも大きくなると、閉塞部材の質量が大きくなり、ヘッドの重心位置を制御することが困難となる。そこで、閉塞部材の厚みを上記範囲とすることにより、閉塞部材自体の強度を確保しながらヘッドの重心位置を制御することが可能となる。
【0016】
ヘッド本体は、好ましくは、上記開口の周囲に位置するヘッド本体表面を凹ませて形成した閉塞部材の受け部を備える。この場合、閉塞部材は、開口内に挿入され上記受け部の内周に沿って延在する凸部を有する。
【0017】
上記のようにヘッド本体の表面を凹ませて閉塞部材の受け部を設けることにより、閉塞部材をヘッド本体に組み込むことができ、閉塞部材がヘッド本体から離脱するのを効果的に抑制することができる。また、閉塞部材が上記のような凸部を有することにより、たとえば接着剤を用いて閉塞部材をヘッド本体に取り付けた場合に、接着剤がヘッド内部に流れ込むのを抑制することができる。それにより、閉塞部材を強固にヘッド本体に取り付けることができる。
【0018】
本発明のゴルフクラブは、上述のゴルフクラブヘッドを備える。当該ゴルフクラブでは、ヘッドの重心位置がシャフトの軸心側に近づいているので、スイングした時にヘッドコントロールが容易となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明では、ヘッド本体のトウ部側に開口を設け、ヘッド本体よりも比重の小さい部材で上記開口を閉塞することにより、ゴルフクラブヘッドのトウ部側の質量を減じ、結果的にゴルフクラブヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることを重要な特徴とする。つまり、ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、ゴルフクラブヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることを重要な特徴とする。
【0020】
上記開口はヘッド本体のトウ部近傍に設ければよい。たとえば、クラウン部におけるトウ部近傍、サイド部におけるトウ部近傍あるいはソール部におけるトウ部側に位置する部分に開口を設けることが考えられる。
【0021】
しかし、ヘッドの強度を確保するとともに外観をも損なわず、またアドレス時に目障りとならないように、ソール部におけるトウ部側に位置する部分に上記開口を設けることが好ましい。
【0022】
ソール部に上記開口を設ける場合、ソール部の形状を次のような形状とすることが考えられる。たとえば、ソール部の形状を、ヒール部側に位置する第1の部分と、トウ部側に位置する第2の部分を含む形状とする。
【0023】
第1の部分は、アドレス時、すなわち平坦な地面(下地)上にボールをセットしてヘッドを地面の上においた状態でゴルフクラブを持ったプレイヤーが構えた時に地面と接する部分であり、ヘッド本体の底部を構成する。第2の部分は、該第1の部分からトウ部側に向かって立ち上がる部分であり、典型的には、第1の部分から斜め上方に立ち上がり、平坦な地面(下地)上で通常にアドレスした場合に地面と接しない。
【0024】
ソール部に上記開口を設ける場合、第2の部分に該開口を設けることが好ましい。それにより、開口を閉じるようにヘッド本体に後述するプレート等の閉塞部材を取り付けた場合に、スイング時やアドレス時に地面等に該閉塞部材が当たって閉塞部材がヘッド本体から離脱する等の不具合を回避することができる。また、アドレス時に閉塞部材が見えて目障りとなることがなく、プレーに集中することができる。
【0025】
上記開口の面積は、好ましくは、5cm2以上40cm2以下である。より好ましくは、開口の面積は15cm2以上30cm2以下である。開口面積をかかる範囲とすることにより、ヘッドの信頼性および性能を確保しながらヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることができる。特に、開口面積を15cm2以上30cm2以下とすることにより、ヘッド本体のトウ部側の質量を適切に減じて重心位置をヒール側、すなわちシャフトの軸心側に近づけることができ、かつヘッドの強度低下も効果的に抑制することができる。
【0026】
上記開口の数は、単数でも複数でもよい。開口を複数形成する場合には次のような態様が考えられる。すなわち、クラウン部におけるトウ部近傍、サイド部におけるトウ部近傍、ソール部におけるトウ部側に位置する部分の2箇所以上の部分にそれぞれ1つの開口を設ける場合と、各部に2つ以上の開口を設ける場合とが考えられる。開口を複数形成する場合には、開口の合計面積が上記範囲内にあればよい。
【0027】
上記の開口を閉じるようにヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成されるプレート等の閉塞部材をヘッド本体に取り付ける。このようにヘッド本体に開口を設け、かつ該開口を閉じるように閉塞部材を取り付けることにより、たとえばヘッドのトウ部側の質量を2〜10g程度(好ましくは5g前後)減少させることができる。それにより、ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、ヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることができる。また、閉塞部材をヘッド本体に取り付けることにより、上記開口からヘッド内部に水や異物が入るのを阻止することができる。さらに、閉塞部材の表面に絵柄の印刷をしたり、浮き出しのマーク等を表示することにより、美観に優れたヘッドとすることもできる。
【0028】
ヘッド本体の材料としては、たとえばSUS630等のステンレス鋼、純チタン、Ti−6Al−4V等のチタン合金を挙げることができる。他方、閉塞部材の材料としては、合成樹脂等の比重が小さく、柔らかくかつ弾性変形可能な材料を挙げることができる。たとえば、ポリウレタン樹脂、ABS(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene)樹脂、ポリカーボネイト樹脂等からなる樹脂プレート、これらの樹脂を用いたFRP(Fiber−Reinforced Plastics)プレートを、閉塞部材として使用可能である。またヘッド本体よりも比重の小さいものであれば、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属プレートを閉塞部材として使用することもできる。
【0029】
閉塞部材は、両面に粘着剤が塗布された粘着テープや接着剤等によりヘッド本体に取り付けることができる。たとえば、ヘッド本体において開口の周囲に位置する部分に閉塞部材を受ける受け部を設け、該受け部の表面に上記粘着テープを貼付したり、接着剤を塗布し、その上に閉塞部材の周縁部を押し付ければよい。このように、外部からヘッド本体に押付けるだけで閉塞部材をヘッド本体に取り付けることができるので、閉塞部材をヘッド本体に容易に取り付けることができる。
【0030】
上記受け部は、ヘッド本体の開口の周囲に位置するヘッド本体の表面を凹ませて形成することができる。たとえば上記開口の周囲に位置するヘッド本体の一部をヘッドの内方側に凹ませるとともに開口の内方側に突き出すように成形し、当該部分を略L字状の断面形状とすることにより、上記受け部を形成することができる。
【0031】
このような受け部を設けることにより、閉塞部材をヘッド本体に取り付けた際に、少なくとも閉塞部材の周縁部がヘッドの表面に突出するのを抑制することができる。したがって、閉塞部材が何らかの部材に当たる等してヘッド本体から離脱するのを効果的に抑制することができる。また、閉塞部材の接着面積を確保することができるので、閉塞部材を強固にヘッド本体に取り付けることができる。
【0032】
上記受け部は、ヘッド本体の上記開口の全周に沿って形成してもよく、該開口に沿って選択的に形成してもよい。このように受け部を開口に沿って選択的に形成することにより、ヘッド本体のトウ部をさらに軽量化することができる。
【0033】
閉塞部材の大きさは、ヘッドの体積によって異なるが、ヘッドの体積が大きくなるにつれて、閉塞部材の大きさも大きくすればよい。閉塞部材の厚みは、0.5mm以上3.0mm以下である。より好ましくは、閉塞部材の厚みは1mm以上2mm以下である。閉塞部材の厚みを上記範囲とすることにより、閉塞部材自体の強度を確保しながらヘッドの重心位置を調節することが可能となる。
【0034】
閉塞部材は、好ましくは、開口内に挿入され上記受け部の内周に沿って延びる凸部を有する。このような凸部を設けることにより、たとえば接着剤を用いて閉塞部材をヘッド本体に取り付けた場合には接着剤がヘッド内部に流れ込むのを抑制することができる。このことも、ヘッド本体への閉塞部材の強固な固定に寄与し得る。
【0035】
上記凸部としては、たとえば閉塞部材の中央部に一体の凸部を設けてもよく、ヘッド本体の開口に沿う壁部を設けるようにしてもよい。該凸部の突出高さは、1.0mm以上5.0mm以下であることが好ましい。それにより、上述の効果が得られる。
【0036】
閉塞部材に係止脚を形成し、当該係止脚によって閉塞部材を上記受け部の裏面に係止するようにしてもよい。それにより、閉塞部材をヘッド本体により強固に固定することができる。
【0037】
係止脚は、閉塞部材をヘッド本体に取り付けた際に上記受け部の内周に接するように設けられ、先端に断面形状が略三角形である係止爪を有する。この係止爪を上記受け部に係止することにより、閉塞部材をヘッド本体に固定する。係止脚は、典型的には、上記受け部全体と係止するように形成すればよいが、閉塞部材の取付け易さや軽量化の観点から、上記受け部の任意の複数箇所に係止するように選択的に形成してもよい。
【0038】
係止脚を有する閉塞部材をヘッド本体に取り付けるには、ヘッド本体の開口の上方より閉塞部材の係止脚を開口内部に圧入すればよい。このとき、まず係止爪の外側の斜面が上記受け部の内周に沿って摺動し、その際に当該受け部に係止爪が押されて係止脚が開口の内側に倒れるように弾性変形する。この状態からさらに係止脚を押圧すると、係止爪全体が上記受け部よりもヘッド本体の内側に圧入され、係止爪の外側の斜面と上記受け部の内周との摺動状態が解消され、係止脚が元の形状に戻る。それにより、係止爪の底面が上記受け部の裏面(ヘッドの内部空間に面する側の表面)に係止され、閉塞部材をヘッド本体に取り付けることができる。
【0039】
本発明のゴルフクラブは、上述のゴルフクラブヘッド、シャフトおよびグリップを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用できるので、シャフトおよびグリップに関する記述は省略する。ゴルフクラブヘッドの体積は、好ましくは、300ml以上500ml以下である。
【0040】
本発明のゴルフクラブでは、上述のようにヘッドの重心位置がシャフトの軸心側に近づいているので、スイング時にヘッドコントロールが容易となる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図を参照して説明する。図1〜図3に示すように、本実施例のゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッド1と、シャフト2と、図示しないグリップとを備える。
【0042】
ゴルフクラブヘッド1は、チタン合金(Ti−6Al−4V)製のヘッド本体と、ABS樹脂製のプレート10とを備える。ヘッド本体は、中空外殻構造を有し、図1〜図3に示すように、ソール部3、サイド部4、ホーゼル部5、フェース部6、トウ部7およびクラウン部8を含む。
【0043】
図1〜図3に示す例では、ソール部3は、アドレス時に地面(下地)と接し、ヘッド本体の底部を構成する第1の部分3aと、この第1の部分3aから斜め上方(トウ部側)に立ち上がりアドレスした場合に地面(下地)と接しない第2の部分3bとを含む。
【0044】
図2および図3に示すように、ソール部3の第2の部分3bとトウ部7との間にはサイド部4が存在する。図3に示すように、サイド部4の立ち上がり角度(図3における第1の部分3aの底面の接線とのなす角度)は、ソール部3の第2の部分3bの立ち上がり角度よりも大きくなっている。
【0045】
図4に示すように、第2の部分3bに開口9を設け、該開口9を閉じるようにプレート10をヘッド本体に取り付ける。開口9の面積は18cm2程度である。開口9の周囲にはプレート受け部11を設ける。プレート受け部11は、少なくともプレート10の厚み分だけその周囲に位置するヘッド本体の表面よりもヘッド本体の内方側に凹むように凹状に設けられる。このプレート受け部11上に、両面に粘着剤が塗布された粘着テープを貼り付け、該粘着テープ上からプレート受け部11にプレート10の周縁部を押し付け、プレート10をヘッド本体に接着する。
【0046】
図5(a),(b)にプレート10の形態例を示す。図5(a)の例では、プレート10は、中央に一体の凸部15と、周縁部に接着面12とを有する。プレート10の最大長さは、70〜80mm程度であり、プレート10の最大幅は、35〜40mm程度である。またプレート10の厚みtは、1.5mmであり、プレート10の表面からの凸部15の突出高さは、1.5mm〜2.0mm程度である。
【0047】
図5(b)の例では、プレート10は、接着面12と、壁部(凸部)13と、係止爪14とを有する。プレート10の外形寸法と厚みは、図5(a)の場合と同様である。プレート10の表面からの壁部13の突出高さは、1.5mm〜2.0mm程度であり、壁部13からの係止爪14は、2.0mm程度である。
【0048】
接着面12は、プレート受け部11上に載置される部分であり、この接着面12とプレート受け部11とを上述の粘着テープを介して接着することにより、プレート10をヘッド本体に接着する。この接着面12は、図5(a),(b)に示すように、凸部15あるいは壁部13を取り囲むようにプレート10の外周に沿って設けられ、3.0mm程度の幅を有する。
【0049】
凸部15と壁部13の外形は、開口9の形状と略同形状であり、この凸部15や壁部13は、プレート10をヘッド本体に取り付けた際に開口9内に受け入れられる。このとき、凸部15や壁部13の外周は、開口9を規定するプレート受け部11の内周に沿って延在することが好ましい。
【0050】
図5(b)の例では係止爪14の断面形状は略三角形であり、壁部13上に選択的に突設されている。しかし、該係止爪14を、壁部13上の全体にわたって形成してもよい。
【0051】
この係止爪14および壁部13を有するプレート10をヘッド本体に取り付けるには、プレート受け部11上に上述の粘着テープを貼り付けた後、図6(a)に示すように開口9の上方から係止爪14および壁部13を開口9内に圧入すればよい。
【0052】
このとき、まず係止爪14の外側の傾斜面がプレート受け部11の内周に当接しながら摺動し、それにより係止爪14および壁部13が開口9の内方側に倒れるように弾性変形する。その後、さらにプレート10を押圧することにより、係止爪14がヘッド本体の内部に入り込み、それに伴い係止爪14および壁部13が外方側に復元する。その結果、図6(b)に示すように、係止爪14の底面がプレート受け部11の裏面と係合し、係止爪14がプレート受け部11に係止される。
【0053】
次に、図7および図8を用いて他の実施例について説明する。図7に示すように、プレート10を取り付けるための開口を複数設けてもよい。図7の例では、2つの開口9a,9bを設けているが、3つ以上の開口を設けてもよい。また、ソール部3の第2の部分3bと、トウ部7の近傍であって該第2の部分3b以外の部分とに開口を設けてもよく、第2の部分3b以外の部分に複数の開口を設けてもよい。
【0054】
図8に、本実施例で使用可能なプレート10の形態例を示す。図8に示すように、本実施例では2つの開口9a,9bに対し共通のプレート10を設ける。この場合、開口9a,9b間に位置するヘッド本体の一部が、プレート受け部11となる。
【0055】
プレート10は、開口9a,9bに対応して2箇所に係止爪14および壁部13をそれぞれ設け、壁部13間にも接着面12を設ける。本実施例の場合には、上述の実施例の場合よりも接着面12の面積を増大することができ、プレート10を強固にヘッド本体に取り付けることができる。また、開口9a,9b間のプレート受け部11によってプレート10の中央部を支持することができるので、プレート10の設置箇所を補強することもできる。
【0056】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示した実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴルフクラブヘッドにウェイトを取り付けることなくゴルフクラブヘッドの重心位置をヒール側、すなわちシャフトの軸心側に近づけることができる。また、ヘッド本体の外部から閉塞部材をヘッド本体に取り付けるだけでよいので、その作業は容易に行なえる。したがって、ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、容易にゴルフクラブヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施例におけるゴルフクラブヘッドをソール部側から見た斜視図である。
【図2】本発明の1つの実施例におけるゴルフクラブヘッドをトウ部側から見た図である。
【図3】本発明の1つの実施例におけるゴルフクラブヘッドをバック部側から見た図である。
【図4】本発明の1つの実施例におけるゴルフクラブヘッドからプレートを外した状態の斜視図である。
【図5】(a)および(b)は本発明のプレートの形状例を示す斜視図である。
【図6】(a)は、図5(b)のタイプのプレートをヘッド本体に取り付けている様子を示す断面図であり、(b)は、図5(b)のタイプのプレートをヘッド本体に取り付けた場合のゴルフクラブヘッドの部分断面図である。
【図7】本発明の他の実施例におけるゴルフクラブヘッドをソール部側から見た斜視図である。
【図8】本発明のプレートの他の形状例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ゴルフクラブヘッド、2 シャフト、3 ソール部、3a 第1の部分、3b 第2の部分、4 サイド部、5 ホーゼル部、6 フェース部、7 トウ部、8 クラウン部、9,9a,9b 開口、10 プレート、11 プレート受け部、12 接着面、13 壁部、14 係止爪、15 凸部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブに関し、特に、大型(300ml以上)の金属製ゴルフクラブヘッドおよび該ヘッドを備えたゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
中空の金属製ゴルフクラブヘッドは、チタンやマグネシウムといった軽くて強い材料で製造することが可能となり、体積が300ml以上の大型のヘッドが多く開発されている。ところが、ヘッドが大きくなるとヘッドのコントロール性が低下し易くなることから、ヘッドのコントロール性を向上するための開発もなされている。
【0003】
ヘッドのコントロール性を向上する一手法として、ゴルフクラブヘッドの重心位置をシャフトの軸線に近い位置にずらせる手法がある。このようにヘッドの重心位置をシャフトの軸線側にずらせることにより、いわゆるボールの捕まりがよくなり、またスイング時におけるヘッドコントロールが容易となる。
【0004】
たとえば、特開平11−47318号公報には、シャフト差込み孔の先端部にヘッド本体よりも比重の大きいウェイトを装着し、ヘッドの重心位置をヒール側に移動させたゴルフクラブヘッドが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−47318号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平11−47318号公報に記載のゴルフクラブヘッドでは、ヘッド本体よりも比重の大きいウェイトを装着しているので、ヘッドの質量が大きくなる。そのため、次のような種々の問題が生じる。
【0007】
ヘッドの質量が大きくなることから、ゴルフクラブのスイング調整が難しくなり、ヘッドの重心位置をヒール側にずらせたとしても充分にヘッドコントロール性を向上することができない。
【0008】
また、ヘッドの質量が大きくなるので、ヘッドの大型化に際し不利となる。さらに、ウェイトをヘッド内部に装着しているので、ウェイトを装着すること自体も煩雑となる。
【0009】
そこで、本発明は、ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、容易にヘッドの重心位置を調節することが可能なゴルフクラブヘッドおよび該ヘッドを備えたゴルフクラブを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るゴルフクラブヘッドは、ソール部におけるトウ部側に位置する部分に開口を有する金属製のヘッド本体と、ヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成され、開口を閉じるようにヘッド本体に取り付けられる閉塞部材とを備える。
【0011】
このようにヘッド本体のトウ部側に開口を設け、該開口を閉じるようにヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成される閉塞部材を取り付けることにより、ヘッドのトウ部側の質量を減じることができる。それにより、結果的にヘッドの重心位置をヒール側、すなわちシャフトの軸心側にずらせることができる。
【0012】
上記ソール部は、好ましくは、アドレス時に接地される第1の部分と、該第1の部分からトウ部側に向かって立ち上がる第2の部分とを有する。この場合、第2の部分に開口を設ける。なお、第1の部分は、平坦な地面(下地)上で通常にアドレスした場合に地面(下地)と接する部分のことであり、地面の起伏が大きい等の特殊な条件下でアドレスした場合を意図するものではない。
【0013】
上記開口の面積は、好ましくは、5cm2以上40cm2以下である。より好ましくは、開口の面積は15cm2以上30cm2以下である。
【0014】
ヘッド本体の開口の面積が5cm2未満の場合には、ヘッド本体のトウ部側の質量を減じて重心位置をシャフトの軸心側に近づける効果が小さくなる。他方、開口の面積が40cm2よりも大きくなると、ヘッドの強度が低下し、ヘッドの信頼性および性能が低下することが懸念される。そこで、開口面積を上記の範囲とすることにより、ヘッドの信頼性および性能を確保しながらヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることができる。
【0015】
上記閉塞部材の厚みは、好ましくは、0.5mm以上3.0mm以下である。閉塞部材の厚みが0.5mm未満であると、閉塞部材自体の強度が低くなる。そのため、ボールを打撃した時の衝撃に耐えることが困難となる。他方、閉塞部材の厚みが3.0mmよりも大きくなると、閉塞部材の質量が大きくなり、ヘッドの重心位置を制御することが困難となる。そこで、閉塞部材の厚みを上記範囲とすることにより、閉塞部材自体の強度を確保しながらヘッドの重心位置を制御することが可能となる。
【0016】
ヘッド本体は、好ましくは、上記開口の周囲に位置するヘッド本体表面を凹ませて形成した閉塞部材の受け部を備える。この場合、閉塞部材は、開口内に挿入され上記受け部の内周に沿って延在する凸部を有する。
【0017】
上記のようにヘッド本体の表面を凹ませて閉塞部材の受け部を設けることにより、閉塞部材をヘッド本体に組み込むことができ、閉塞部材がヘッド本体から離脱するのを効果的に抑制することができる。また、閉塞部材が上記のような凸部を有することにより、たとえば接着剤を用いて閉塞部材をヘッド本体に取り付けた場合に、接着剤がヘッド内部に流れ込むのを抑制することができる。それにより、閉塞部材を強固にヘッド本体に取り付けることができる。
【0018】
本発明のゴルフクラブは、上述のゴルフクラブヘッドを備える。当該ゴルフクラブでは、ヘッドの重心位置がシャフトの軸心側に近づいているので、スイングした時にヘッドコントロールが容易となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明では、ヘッド本体のトウ部側に開口を設け、ヘッド本体よりも比重の小さい部材で上記開口を閉塞することにより、ゴルフクラブヘッドのトウ部側の質量を減じ、結果的にゴルフクラブヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることを重要な特徴とする。つまり、ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、ゴルフクラブヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることを重要な特徴とする。
【0020】
上記開口はヘッド本体のトウ部近傍に設ければよい。たとえば、クラウン部におけるトウ部近傍、サイド部におけるトウ部近傍あるいはソール部におけるトウ部側に位置する部分に開口を設けることが考えられる。
【0021】
しかし、ヘッドの強度を確保するとともに外観をも損なわず、またアドレス時に目障りとならないように、ソール部におけるトウ部側に位置する部分に上記開口を設けることが好ましい。
【0022】
ソール部に上記開口を設ける場合、ソール部の形状を次のような形状とすることが考えられる。たとえば、ソール部の形状を、ヒール部側に位置する第1の部分と、トウ部側に位置する第2の部分を含む形状とする。
【0023】
第1の部分は、アドレス時、すなわち平坦な地面(下地)上にボールをセットしてヘッドを地面の上においた状態でゴルフクラブを持ったプレイヤーが構えた時に地面と接する部分であり、ヘッド本体の底部を構成する。第2の部分は、該第1の部分からトウ部側に向かって立ち上がる部分であり、典型的には、第1の部分から斜め上方に立ち上がり、平坦な地面(下地)上で通常にアドレスした場合に地面と接しない。
【0024】
ソール部に上記開口を設ける場合、第2の部分に該開口を設けることが好ましい。それにより、開口を閉じるようにヘッド本体に後述するプレート等の閉塞部材を取り付けた場合に、スイング時やアドレス時に地面等に該閉塞部材が当たって閉塞部材がヘッド本体から離脱する等の不具合を回避することができる。また、アドレス時に閉塞部材が見えて目障りとなることがなく、プレーに集中することができる。
【0025】
上記開口の面積は、好ましくは、5cm2以上40cm2以下である。より好ましくは、開口の面積は15cm2以上30cm2以下である。開口面積をかかる範囲とすることにより、ヘッドの信頼性および性能を確保しながらヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることができる。特に、開口面積を15cm2以上30cm2以下とすることにより、ヘッド本体のトウ部側の質量を適切に減じて重心位置をヒール側、すなわちシャフトの軸心側に近づけることができ、かつヘッドの強度低下も効果的に抑制することができる。
【0026】
上記開口の数は、単数でも複数でもよい。開口を複数形成する場合には次のような態様が考えられる。すなわち、クラウン部におけるトウ部近傍、サイド部におけるトウ部近傍、ソール部におけるトウ部側に位置する部分の2箇所以上の部分にそれぞれ1つの開口を設ける場合と、各部に2つ以上の開口を設ける場合とが考えられる。開口を複数形成する場合には、開口の合計面積が上記範囲内にあればよい。
【0027】
上記の開口を閉じるようにヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成されるプレート等の閉塞部材をヘッド本体に取り付ける。このようにヘッド本体に開口を設け、かつ該開口を閉じるように閉塞部材を取り付けることにより、たとえばヘッドのトウ部側の質量を2〜10g程度(好ましくは5g前後)減少させることができる。それにより、ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、ヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることができる。また、閉塞部材をヘッド本体に取り付けることにより、上記開口からヘッド内部に水や異物が入るのを阻止することができる。さらに、閉塞部材の表面に絵柄の印刷をしたり、浮き出しのマーク等を表示することにより、美観に優れたヘッドとすることもできる。
【0028】
ヘッド本体の材料としては、たとえばSUS630等のステンレス鋼、純チタン、Ti−6Al−4V等のチタン合金を挙げることができる。他方、閉塞部材の材料としては、合成樹脂等の比重が小さく、柔らかくかつ弾性変形可能な材料を挙げることができる。たとえば、ポリウレタン樹脂、ABS(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene)樹脂、ポリカーボネイト樹脂等からなる樹脂プレート、これらの樹脂を用いたFRP(Fiber−Reinforced Plastics)プレートを、閉塞部材として使用可能である。またヘッド本体よりも比重の小さいものであれば、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属プレートを閉塞部材として使用することもできる。
【0029】
閉塞部材は、両面に粘着剤が塗布された粘着テープや接着剤等によりヘッド本体に取り付けることができる。たとえば、ヘッド本体において開口の周囲に位置する部分に閉塞部材を受ける受け部を設け、該受け部の表面に上記粘着テープを貼付したり、接着剤を塗布し、その上に閉塞部材の周縁部を押し付ければよい。このように、外部からヘッド本体に押付けるだけで閉塞部材をヘッド本体に取り付けることができるので、閉塞部材をヘッド本体に容易に取り付けることができる。
【0030】
上記受け部は、ヘッド本体の開口の周囲に位置するヘッド本体の表面を凹ませて形成することができる。たとえば上記開口の周囲に位置するヘッド本体の一部をヘッドの内方側に凹ませるとともに開口の内方側に突き出すように成形し、当該部分を略L字状の断面形状とすることにより、上記受け部を形成することができる。
【0031】
このような受け部を設けることにより、閉塞部材をヘッド本体に取り付けた際に、少なくとも閉塞部材の周縁部がヘッドの表面に突出するのを抑制することができる。したがって、閉塞部材が何らかの部材に当たる等してヘッド本体から離脱するのを効果的に抑制することができる。また、閉塞部材の接着面積を確保することができるので、閉塞部材を強固にヘッド本体に取り付けることができる。
【0032】
上記受け部は、ヘッド本体の上記開口の全周に沿って形成してもよく、該開口に沿って選択的に形成してもよい。このように受け部を開口に沿って選択的に形成することにより、ヘッド本体のトウ部をさらに軽量化することができる。
【0033】
閉塞部材の大きさは、ヘッドの体積によって異なるが、ヘッドの体積が大きくなるにつれて、閉塞部材の大きさも大きくすればよい。閉塞部材の厚みは、0.5mm以上3.0mm以下である。より好ましくは、閉塞部材の厚みは1mm以上2mm以下である。閉塞部材の厚みを上記範囲とすることにより、閉塞部材自体の強度を確保しながらヘッドの重心位置を調節することが可能となる。
【0034】
閉塞部材は、好ましくは、開口内に挿入され上記受け部の内周に沿って延びる凸部を有する。このような凸部を設けることにより、たとえば接着剤を用いて閉塞部材をヘッド本体に取り付けた場合には接着剤がヘッド内部に流れ込むのを抑制することができる。このことも、ヘッド本体への閉塞部材の強固な固定に寄与し得る。
【0035】
上記凸部としては、たとえば閉塞部材の中央部に一体の凸部を設けてもよく、ヘッド本体の開口に沿う壁部を設けるようにしてもよい。該凸部の突出高さは、1.0mm以上5.0mm以下であることが好ましい。それにより、上述の効果が得られる。
【0036】
閉塞部材に係止脚を形成し、当該係止脚によって閉塞部材を上記受け部の裏面に係止するようにしてもよい。それにより、閉塞部材をヘッド本体により強固に固定することができる。
【0037】
係止脚は、閉塞部材をヘッド本体に取り付けた際に上記受け部の内周に接するように設けられ、先端に断面形状が略三角形である係止爪を有する。この係止爪を上記受け部に係止することにより、閉塞部材をヘッド本体に固定する。係止脚は、典型的には、上記受け部全体と係止するように形成すればよいが、閉塞部材の取付け易さや軽量化の観点から、上記受け部の任意の複数箇所に係止するように選択的に形成してもよい。
【0038】
係止脚を有する閉塞部材をヘッド本体に取り付けるには、ヘッド本体の開口の上方より閉塞部材の係止脚を開口内部に圧入すればよい。このとき、まず係止爪の外側の斜面が上記受け部の内周に沿って摺動し、その際に当該受け部に係止爪が押されて係止脚が開口の内側に倒れるように弾性変形する。この状態からさらに係止脚を押圧すると、係止爪全体が上記受け部よりもヘッド本体の内側に圧入され、係止爪の外側の斜面と上記受け部の内周との摺動状態が解消され、係止脚が元の形状に戻る。それにより、係止爪の底面が上記受け部の裏面(ヘッドの内部空間に面する側の表面)に係止され、閉塞部材をヘッド本体に取り付けることができる。
【0039】
本発明のゴルフクラブは、上述のゴルフクラブヘッド、シャフトおよびグリップを備える。シャフトおよびグリップとしては周知のものを採用できるので、シャフトおよびグリップに関する記述は省略する。ゴルフクラブヘッドの体積は、好ましくは、300ml以上500ml以下である。
【0040】
本発明のゴルフクラブでは、上述のようにヘッドの重心位置がシャフトの軸心側に近づいているので、スイング時にヘッドコントロールが容易となる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図を参照して説明する。図1〜図3に示すように、本実施例のゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッド1と、シャフト2と、図示しないグリップとを備える。
【0042】
ゴルフクラブヘッド1は、チタン合金(Ti−6Al−4V)製のヘッド本体と、ABS樹脂製のプレート10とを備える。ヘッド本体は、中空外殻構造を有し、図1〜図3に示すように、ソール部3、サイド部4、ホーゼル部5、フェース部6、トウ部7およびクラウン部8を含む。
【0043】
図1〜図3に示す例では、ソール部3は、アドレス時に地面(下地)と接し、ヘッド本体の底部を構成する第1の部分3aと、この第1の部分3aから斜め上方(トウ部側)に立ち上がりアドレスした場合に地面(下地)と接しない第2の部分3bとを含む。
【0044】
図2および図3に示すように、ソール部3の第2の部分3bとトウ部7との間にはサイド部4が存在する。図3に示すように、サイド部4の立ち上がり角度(図3における第1の部分3aの底面の接線とのなす角度)は、ソール部3の第2の部分3bの立ち上がり角度よりも大きくなっている。
【0045】
図4に示すように、第2の部分3bに開口9を設け、該開口9を閉じるようにプレート10をヘッド本体に取り付ける。開口9の面積は18cm2程度である。開口9の周囲にはプレート受け部11を設ける。プレート受け部11は、少なくともプレート10の厚み分だけその周囲に位置するヘッド本体の表面よりもヘッド本体の内方側に凹むように凹状に設けられる。このプレート受け部11上に、両面に粘着剤が塗布された粘着テープを貼り付け、該粘着テープ上からプレート受け部11にプレート10の周縁部を押し付け、プレート10をヘッド本体に接着する。
【0046】
図5(a),(b)にプレート10の形態例を示す。図5(a)の例では、プレート10は、中央に一体の凸部15と、周縁部に接着面12とを有する。プレート10の最大長さは、70〜80mm程度であり、プレート10の最大幅は、35〜40mm程度である。またプレート10の厚みtは、1.5mmであり、プレート10の表面からの凸部15の突出高さは、1.5mm〜2.0mm程度である。
【0047】
図5(b)の例では、プレート10は、接着面12と、壁部(凸部)13と、係止爪14とを有する。プレート10の外形寸法と厚みは、図5(a)の場合と同様である。プレート10の表面からの壁部13の突出高さは、1.5mm〜2.0mm程度であり、壁部13からの係止爪14は、2.0mm程度である。
【0048】
接着面12は、プレート受け部11上に載置される部分であり、この接着面12とプレート受け部11とを上述の粘着テープを介して接着することにより、プレート10をヘッド本体に接着する。この接着面12は、図5(a),(b)に示すように、凸部15あるいは壁部13を取り囲むようにプレート10の外周に沿って設けられ、3.0mm程度の幅を有する。
【0049】
凸部15と壁部13の外形は、開口9の形状と略同形状であり、この凸部15や壁部13は、プレート10をヘッド本体に取り付けた際に開口9内に受け入れられる。このとき、凸部15や壁部13の外周は、開口9を規定するプレート受け部11の内周に沿って延在することが好ましい。
【0050】
図5(b)の例では係止爪14の断面形状は略三角形であり、壁部13上に選択的に突設されている。しかし、該係止爪14を、壁部13上の全体にわたって形成してもよい。
【0051】
この係止爪14および壁部13を有するプレート10をヘッド本体に取り付けるには、プレート受け部11上に上述の粘着テープを貼り付けた後、図6(a)に示すように開口9の上方から係止爪14および壁部13を開口9内に圧入すればよい。
【0052】
このとき、まず係止爪14の外側の傾斜面がプレート受け部11の内周に当接しながら摺動し、それにより係止爪14および壁部13が開口9の内方側に倒れるように弾性変形する。その後、さらにプレート10を押圧することにより、係止爪14がヘッド本体の内部に入り込み、それに伴い係止爪14および壁部13が外方側に復元する。その結果、図6(b)に示すように、係止爪14の底面がプレート受け部11の裏面と係合し、係止爪14がプレート受け部11に係止される。
【0053】
次に、図7および図8を用いて他の実施例について説明する。図7に示すように、プレート10を取り付けるための開口を複数設けてもよい。図7の例では、2つの開口9a,9bを設けているが、3つ以上の開口を設けてもよい。また、ソール部3の第2の部分3bと、トウ部7の近傍であって該第2の部分3b以外の部分とに開口を設けてもよく、第2の部分3b以外の部分に複数の開口を設けてもよい。
【0054】
図8に、本実施例で使用可能なプレート10の形態例を示す。図8に示すように、本実施例では2つの開口9a,9bに対し共通のプレート10を設ける。この場合、開口9a,9b間に位置するヘッド本体の一部が、プレート受け部11となる。
【0055】
プレート10は、開口9a,9bに対応して2箇所に係止爪14および壁部13をそれぞれ設け、壁部13間にも接着面12を設ける。本実施例の場合には、上述の実施例の場合よりも接着面12の面積を増大することができ、プレート10を強固にヘッド本体に取り付けることができる。また、開口9a,9b間のプレート受け部11によってプレート10の中央部を支持することができるので、プレート10の設置箇所を補強することもできる。
【0056】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示した実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴルフクラブヘッドにウェイトを取り付けることなくゴルフクラブヘッドの重心位置をヒール側、すなわちシャフトの軸心側に近づけることができる。また、ヘッド本体の外部から閉塞部材をヘッド本体に取り付けるだけでよいので、その作業は容易に行なえる。したがって、ゴルフクラブヘッドの質量を増大することなく、容易にゴルフクラブヘッドの重心位置をシャフトの軸心側に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施例におけるゴルフクラブヘッドをソール部側から見た斜視図である。
【図2】本発明の1つの実施例におけるゴルフクラブヘッドをトウ部側から見た図である。
【図3】本発明の1つの実施例におけるゴルフクラブヘッドをバック部側から見た図である。
【図4】本発明の1つの実施例におけるゴルフクラブヘッドからプレートを外した状態の斜視図である。
【図5】(a)および(b)は本発明のプレートの形状例を示す斜視図である。
【図6】(a)は、図5(b)のタイプのプレートをヘッド本体に取り付けている様子を示す断面図であり、(b)は、図5(b)のタイプのプレートをヘッド本体に取り付けた場合のゴルフクラブヘッドの部分断面図である。
【図7】本発明の他の実施例におけるゴルフクラブヘッドをソール部側から見た斜視図である。
【図8】本発明のプレートの他の形状例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ゴルフクラブヘッド、2 シャフト、3 ソール部、3a 第1の部分、3b 第2の部分、4 サイド部、5 ホーゼル部、6 フェース部、7 トウ部、8 クラウン部、9,9a,9b 開口、10 プレート、11 プレート受け部、12 接着面、13 壁部、14 係止爪、15 凸部。
Claims (6)
- ソール部(3)におけるトウ部(7)側に位置する部分に開口(9)を有する金属製のヘッド本体と、
前記ヘッド本体よりも比重の小さい材料で構成され、前記開口(9)を閉じるように前記ヘッド本体に取り付けられる閉塞部材(10)とを備えた、ゴルフクラブヘッド。 - 前記ソール部(3)は、アドレス時に接地される第1の部分(3a)と、該第1の部分(3a)から前記トウ部(7)側に向かって立ち上がる第2の部分(3b)とを有し、
前記第2の部分(3b)に前記開口(9)を設けた、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。 - 前記開口(9)の面積は5cm2以上40cm2以下である、請求項1または請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
- 前記閉塞部材(10)の厚み(t)は、0.5mm以上3.0mm以下である、請求項1から請求項3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
- 前記開口(9)の周囲に位置する前記ヘッド本体表面を凹ませて形成した前記閉塞部材(10)の受け部(11)を備え、
前記閉塞部材(10)は、前記開口(9)内に挿入され前記受け部(11)の内周に沿って延在する凸部(15,13)を有する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドを備えたゴルフクラブ。
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