JP2004102253A - 投写型画像ディスプレイ装置及びそれに用いるスクリーン - Google Patents

投写型画像ディスプレイ装置及びそれに用いるスクリーン Download PDF

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Abstract

【課題】コントラスト低下が少なく、モアレによる画質劣化が軽減される投写型デイスプレイ装置及びスクリーンを提供する。
【解決手段】スクリーンとして、第1の構成要素の画像観視側面のレンチキュラーレンズの焦点近傍には開口部を設け、該開口部が相互の境界部分には有限幅の光吸層を設け、また、第2の構成要素の画像観視側面には反射防止処理を施し、前記第1の構成要素と前記第2の構成要素とを結合した構成とする。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投写型テレビジョン装置等の投写型画像ディスプレイ装置及びそれに用いるスクリーンに係り、特に、画像発生源として画素がマトリックス状に配列された構造を持つ光学素子(例えば、液晶パネルやDMD(Digital Micro mirror Device)素子等が用いた装置において、外光の映り込みが小さくコントラスト低下を最小限に押さえかつ、モアレによる画質の低下が軽減された投写型デイスプレイ装置及びそれに用いられるスクリーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
映像ソースの多様化に伴い、大画面の投写光学装置として軽量、低価格、コンパクトと言う市場性から投写型画像ディスプレイ装置が、市場に広く普及している。こうしたなかで、液晶パネルの精細度と開口率の大幅な向上により、近年投写型画像ディスプレイ装置に使用する映像発生源として液晶パネルを用いたセットが上市され始めている。この投写型画像ディスプレイ装置は、液晶パネルに表示された原画像を投写用レンズ装置によりスクリーン上に拡大してフルカラーの映像を表示する構成となっている。
【0003】
この投写型画像ディスプレイ装置の光学系は、特開平9−96759号公報の図19に示されたように液晶パネルを3枚使用する3板方式と、特開平4−60538号公報の図1に示されたように液晶パネルを1枚のみを使用する単板方式がある。まず、単板式(液晶パネル1枚使用)光学系の構成を図1を用いて説明する。図1に示したようにメタルハライドランプ(他にキセノン、ハロゲン、高圧水銀ランプ)等の白色光源28から発した光束を反射ミラー29により、集光レンズ27に効率良く入射させ、コリメータレンズ26によってほぼ平行な白色光とする。コリメータレンズ26の前方には3種類のダイクロイックミラー23、24、25が配置されている。各ダイクロイックミラー23、24、25はそれぞれ緑、赤、青の各波長の光を選択的に反射し他を透過させる特性を有している。図中のR、G、Bはそれぞれダイクロイックミラーにより分離された赤、緑、青の光を表す。本従来例では、赤色光線を基準に青色光線と緑色光線が斜め方向から液晶パネル22に入射する構成となっている。
【0004】
液晶パネル22には、赤、緑、青の3原色に対応した画素が設けられ、それぞれの画素は、映像信号の輝度信号のレベルに対応した光透過率が得られるように設定されている。このため、映像信号のレベルに合わせて赤、緑、青の光が変調され液晶パネル上に所望の映像を得ることが出来る。この液晶パネル22上に表示された画像を投写用レンズ装置21によってスクリーン20上に拡大投写する。
【0005】
液晶パネル22から出射する映像光を効率良く投写レンズ装置21に取り込むために、液晶パネル22と投写レンズ装置21の間に集光作用のある凸レンズを設けた光学系も存在する(図1には図示せず)。
【0006】
白色光源28は、自身の発熱により、また液晶パネル(偏光板も含め)は、入射した光の吸収により発熱し、それぞれ破損の原因になる。そこで、温度上昇を軽減する為に、冷却ファン(図示せず)により、強制冷却することで所望の温度範囲で使用することが可能となっている。
【0007】
図2は、従来の3板式(液晶パネル3枚使用)光学系の実施例を示したものである。図1に示した光学系と同じ構成部品には同一番号が付してある。メタルハライドランプ(他にキセノン、ハロゲン、高圧水銀ランプ)等の白色光源28から発した光束を反射ミラー29により、略平行光束として、コリメートされ前方の2種類のダイクロイックミラー31、32により色分離され、対応する液晶パネル33、34、35に入射する構成となっている。それぞれの液晶パネルに映出された映像を色合成プリズムにて合成し、投写用レンズ装置21によりスクリーン20上に拡大投写する構成となっている。図1の従来例と同様の働きをするために説明は省略する。
【0008】
また、白色光源28と液晶パネル(偏光板も含め)の強制冷却についても図1と同様である。また近年光の利用効率を向上するため、光源から発した光を偏光ビームスプリッタによりP偏光とS偏光を合成する偏光合成機能を有した照明系が主流となっている。
【0009】
以上説明した光学系を使用した背面投写型画像ディスプレイ装置を図3、図4に示す。11は光源を含む照明系、12は投写レンズ、13は光路折り返しミラー14はスクリーン、15は筐体を示す。投写レンズの投写距離(投写レンズからスクリーンまでの間隔)を短くすることで、折り返しミラー1枚でもコンパクトなセットが実現できる。またスクリーンとしては、図10に示したブラウン管43を使用した投写型画像ディスプレイ装置で使用しているレンチキュラーレンズシート52とフレネルレンズシート51から成る2枚構成のものが一般的である。
【0010】
詳細を図12及び図13に示す。図12に示したスクリーンと図13に示したスクリーンの違いはフレネルシート51の映像光入斜面に画面水平方向を長手方向としたレンチキュラーレンズ58を設けてあるか否かである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の投写型ブラウン管を使用した背面投写型画像ディスプレイ装置で使用しているレンチキュラーレンズシート52とフレネルレンズシート51から成る2枚構成のスクリーンにおいて、レンチキュラーレンズシート52の映像観視側に設けた光吸収層57の画面水平方向の幅はレンチキュラーレンズ部の幅に比べて大きく出来ないため、外光の映り込みを一定量より小さくできずコントラスト低下を一定量以上に押さ込めないという解決すべき第1の問題点が存在する。
【0012】
以下その理由につき説明する。
【0013】
図11は従来の投写型ブラウン管を使用した背面投写型画像ディスプレイ装置の一般的であるの投写光学系を水平面上展開した時の概略を示す平面図である。
【0014】
図11において7R、7G,7Bはそれぞれ赤、緑、青投写型ブラウン管、8R、8G,8Bはそれぞれそれぞれ赤、緑、青投写型ブラウン管7R、7G,7B用の投写レンズ、10R、10G,10Bはそれぞれ赤、緑、青の投写光束である。背面投写型画像ディスプレイ装置の投写光学系には、本来、投写光束10R、10G,10Bを折り返す為の反射鏡が存在するが、図34ではこの反射鏡は省略している。また、13R、13G,13Bはそれぞれ投写レンズ8R、8G、8Bの光軸であり、スクリーン40の中心付近の一点S0において、光軸集中角θで交わっている。
【0015】
図11において、投写光束10R、10G,10Bは広がりながらスクリーン40に入射している。これに伴い特定の一色、例えば、赤の投写光束についてみると投写レンズ8Rからスクリーン40上の各画素に至る主光線は相互に平行ではなく、スクリーン40上の中心画素に至る主光線から遠ざかっている。このとき、スクリーン40上の各画素については、それぞれの画素の主光線の方向が最も光の強度が強い方向となるため、一定位置にいる観視者にとっては、画像の一部分のみ明るく、その周囲は非常に暗く見えることになる。この現象はカラーシフトと呼ばれている。このカラーシフトを低減するために図12及び図13に示した従来技術によるスクリーンにおいてはフレネルレンズシート51が入斜面全面に広がって入射する映像光束が、赤、緑、青の色ごとにほぼ平行光束となるように、出射面53のフレネル凸レンズにより変換し、レンチキュラーレンズシート52に入射させる機能を有している。
【0016】
図14及び、図15はレンチキュラーレンズの画面水平方向断面図である。
【0017】
これらの図において、54は映像光入射面に設けたレンチキュラーレンズ面、56は映像光出射面に設けたレンチキュラーレンズ面である。
【0018】
特開昭58−59436号公報により開示された従来技術によれば、入射面のレンチキュラーレンズ54は楕円柱面の一部であり、その楕円は入射面54と出射面56の厚さ方向(図面中l、l’により示す)を長軸方向とし、楕円の2焦点のうち1焦点が基材20の内部に位置し、他の1焦点が出射面22付近に位置するように構成されている。また、楕円の離心率eは基材の屈折率nのほぼ逆数となるように選ばれている。
【0019】
こうすることで、楕円の長軸に平行に入射面レンチキュラーレンズに入射した光線は、全て出斜面 56付近の焦点に収束し、この焦点からスクリーン画面水平方向に拡散される。
【0020】
一方、出射面に設けたレンチキュラーレンズ56は出射面の表面において入射面の楕円柱面とほぼ対称な楕円柱面としている。この出射面のレンチキュラーレンズ面は図14に示す緑の入射光束60に対し、出射光の指向特性をほぼ光軸(図面中l、l’)と平行にする機能を有している。さらに図15に示すように赤、青の斜め方向から入射する光束62に対しても、出射光の指向特性をほぼ光軸(図面中l、l’)と平行にする機能を有している。また、この時出射面近傍では発生するコマ収差のため光束が一点に集光せず、画面水平方向に広がりを持つ。
【0021】
実際のレンチキュラーレンズシート52は図12及び図13に示したように内部に拡散材58が存在するため実際には光束はさらに広がる。このため原理的に光吸収層57の画面水平方向の幅をレンズ面の幅に対して大きくできないので、外光の映り込みによる反射光を小さくできずコントラスト低下を一定量以上に押さ込めない。
【0022】
また、上述したように赤、青の斜め方向から入射する光束62は出射面近傍で発生するコマ収差のため光束が一点に集光せず、画面水平方向に広がりを持つためレンチキュラーレンズ面の幅も小さくできない。このため、入射面と出射面の両面にレンチキュラーレンズを設けた従来方式のレンチキュラーレンズシートでは画面水平方向のレンチキュラーレンズピッチを小さく出来ない。(最小で0.5mm程度)という第2の問題点がある。このため従来の背面投写型画像ディスプレイ装置の総合的なフォーカス性能(水平解像度)は投写型ブラウン管と投写レンズの性能に比べて劣るレンチキュラーレンズのレンズピッチにより支配されていた。
【0023】
さらに、レンチキュラーレンズのピッチを小さくできないため、画像発生源として画素がマトリックス状に配列された構造を持つ光学素子(例えば、液晶パネルやDMD(Digital Micro mirror Device)素子等が用いた装置に使用すると、スクリーン上に拡大投写された画素とレンチキュラーレンズシートに設けたレンチキュラーレンズとフレネルレンズの3者によって生じる画面全面に生じるモアレにより画質が低下するという第3の問題点がある。
【0024】
本発明の目的は、上述した従来技術における問題点を解決し、画像発生源として画素がマトリックス状に配列された構造を持つ光学素子(例えば、液晶パネルやDMD(Digital Micro mirror Device)素子等を用い、投写レンズによりスクリーン上に拡大投写する構成としても、外光の映り込みが小さくコントラスト低下を最小限に押さえかつ、モアレによる画質の低下が軽減された投写型デイスプレイ装置及びそれに用いられるスクリーンを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
画像発生源として画素がマトリックス状に配列された構造を持つ光学素子(例えば、液晶パネルやDMD(Digital Micro mirror Device)素子等を用いた投写型デイスプレイ装置の光学系は、図1及び図2に示すように投写レンズ21が1本の構成である。このため、スクリーンにおいて緑映像光に対して、赤、青の映像光は斜め方向入射しないのでコマ収差が発生しない。
【0026】
このためレンチキュラーシートの映像光出射面に設けたのレンチキュラーレンズの幅を小さくし、光吸収層の幅を相対的に大きく出来るので外光の映り込みによるコントラスト性能の低下を押さえることが出来る。
【0027】
また、レンチキュラーレンズシート入射面に設けたレンズ形状を楕円柱面または、高次の非球面柱の一部とし、(以下では楕円柱面について説明)その楕円は入射面と出射面の厚さ方向を長軸方向とし、楕円の2焦点のうち1焦点が基材の内部に位置し、他の1焦点が出射面付近に位置するように構成する。この時、楕円の離心率eは基材の屈折率nのほぼ逆数となるように選定する。
【0028】
こうすることで、楕円の長軸に平行に入射面レンチキュラーレンズに入射した光線は、全て出斜面 56付近の焦点に収束し、この焦点からスクリーン画面水平方向に拡散される。このため、出射面に設けたレンチキュラーレンズの画面水平方向の幅を小さくできる。この時、レンチキュラーレンズシート入射面に設けたレンズ形状を高次非球面形状として集光の効率を更に高めても良い。
【0029】
以上述べた理由によりレンチキュラーレンズシート出射面に設けたレンチキュラーレンズの画面水平方向の幅を小さくできるので、レンチキュラーレンズのレンズピッチを小さくできるので、このスクリーンを用いた背面投写型画像ディスプレイ装置の総合的なフォーカス性能(水平解像度)を向上させることが可能となる。
【0030】
また、本願発明のスクリーンにおいては、レンチキュラーレンズのレンズピッチを小さくできるので、画像発生源として画素がマトリックス状に配列された構造を持つ光学素子(例えば、液晶パネルやDMD(Digital Micro mirror Device)素子等が用いた装置に本願発明のスクリーンを使用しても、スクリーン上に拡大投写された画素とレンチキュラーレンズシートに設けたレンチキュラーレンズとフレネルレンズの3者によって生じる画面全面に生じるモアレは充分目立たなくなる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例についてを用いて説明する。図5は本発明の第1の実施例としての透過型スクリーンの要部を示す斜視図である。図5において77はスクリーン、76はフレネルレンズシート(第3の構成要素)、75は前面板により構成されている。このフレネルレンズシート76と前面板75それぞれ端部(図示せず)で相互に固定されている。75、76の基材はいずれもほぼ透明な熱可塑性樹脂材料からなる。79はフレネルレンズシートの映像光入射面であり本実施例ではスクリーン画面水平方向を長手方向とするレンチキュラーレンズ80を画面垂直方向に連続して並べた形状となっている。映像光出射面はフレネル凸レンズ78になっている。このフレネル凸レンズを得る方法としてコンプレッション成形を行ってもよいが、UV樹脂を基材の熱可塑成樹脂に積層することで大幅なコスト削減を実現する。また、UV樹脂によりフレネル凸レンズを形成する場合には、マスターとなる金型は1個でよく、フレネルレンズのピッチを細かくしてもコストアップを招かないので実用上120ミクロンから60ミクロンピッチ程度まで微細加工が可能となっている。74は第1の構成要素1の入射面に設けたレンチキュラーレンズ面で、スクリーン画面垂直方向を長手方向とするレンチキュラーレンズ74を画面水平方向に連続して並べた形状となっている。それぞれのレンチキュラーレンズの焦点近傍には映像光束が通過するための光通過窓81が設けてある。さらに、隣あった光通過窓の間には光吸収層72を設け外光の影響によるコントラスト性能低下を防止している。
【0032】
一方、第1の構成要素の光軸方向の厚さtは、レンズ形状が楕円の場合はレンズピッチの1.5倍程度であり、仮に非球面を使って焦点位置をずらしても5倍程度である。このため、レンズピッチを細かくした場合には、厚さも薄くなり強度が低下する。そこで本願発明においては、第2の構成要素(コスト面から熱可塑成樹脂を用いるのが一般的である。)に前記第1の構成要素を接着または、粘着することで実用上問題にならない強度を得る。例えば、対角50インチのスクリーンの場合には厚さが1mm以上であれば実用上問題が無い強度が得られる。)またこの時、第1の構成要素と第2の構成要素の間に空気界面が無くなり不要な反射光によるコントラスト低下を軽減できる。さらに、第2の構成要素の観視側面には反射防止膜を設けて外光の反射による画質低下を軽減する。この反射防止膜として日本油脂(株)製の特殊低反射フィルム(商品名:リアルック)等を第2の構成要素の観視側面に接着又は粘着させると可視光の波長領域での反射率が1%以下と成り外光の映り込みによる画質の低下を大幅に軽減できる。
【0033】
以上、本発明のスクリーンの一実施例について説明したが、フレネルレンズシートの映像光入射面が平面または、マット面等であってもその他のスクリーン構成が同一であれば本発明に抵触することは言うまでも無い。
【0034】
図6及び図7は本発明の図5に示した構成のスクリーンの画面水平方向断面図で、同一の構成部品には同じ番号を付してある。図6においてフレネルレンズシートの映像源側(入射)面79から入射した映像光81はフレネル凸レンズ78のレンズ作用によって略平行光となってレンチキュラーレンズシート75の入射面に設けたレンチキュラーレンズ74に入射する。そして、レンチキュラーレンズのレンズ作用によって、光吸収層に入らずに光通過窓81を通過する。第1の構成要素73と第2の構成要素の間には拡散材82を含んだ拡散層を設けそれぞれを接着または粘着して固定する構造とする。この拡散層は、画面の垂直方向及び水平方向への映像光の拡散の一部を分担している。この拡散層で拡散した映像光は第2の構成要素中を観視側に向かって進み、反射防止膜を通過して観視側に出射する。
【0035】
図7の他の実施例は、図6のように拡散層を設けず、第2の構成要素中に拡散材を混入した構成としているほかは、図6の実施例と同じである。
【0036】
以上述べた構成のスクリ―ンとすることで外光の映り込みによる画質低下を大幅に低減できる。また、レンチキュラーレンズのピッチを細かくしてもスクリーン強度を充分に維持できるのでファインピッチ化が可能となり、水平解像度の低下を招くことが少なくなる。
【0037】
次にモアレの解決手段について説明する。
【0038】
投射型画像ディスプレイ装置の光学系においてマトリックス構造を持つ光学素子を画像発生源とした場合に生じるモアレ軽減技術について以下述べる。説明の都合上液晶ライトバルブを挙げて説明するが、他の素子(例えばDigital Micro mirror Device)などについても同様の効果があることは言うまでもない。
【0039】
図8は、液晶パネル3枚を用いた3板式の光学系を用いてスクリーン上に画像を拡大投写した場合の拡大された画素とレンチキュラーレンズスクリーンの関係を示した平面図である。説明の都合上フレネルレンズについては省略している。
【0040】
また、実際には3枚の液晶パネル上の画素が画面全体で全て重なることは考えられ無いがここでは、説明の都合上一致するものとした。
【0041】
72はレンチキュラーレンズシートの第1の構成要素に設けた光吸収層、83は液晶パネルの遮光領域、84は液晶パネルの画素(有効部)である。フレネルレンズについては、図面を簡略化するために省略してある。
【0042】
スクリーンの開発は歴史が長く、フレネルレンズとレンチキュラーレンズにより発生するモアレの低減については国内ですでに特許化されたものがあり、その特許を回避できる条件を見出す必要がある。まず第1として特公平3−72972号公報がある。この特許では、フレネルレンズのピッチLpとレンチキュラーレンズのピッチFpの比率を    Lp/Fp=N+α   但しNは1〜12の自然数
α=0.35〜0.43
としている。また第2の特許として特公平5−63781号公報には、
Lp/Fp=5.525〜5.682  または  6.472〜6.645
としている。さらに第3の特許として、特公平7−117818号公報には、
Ip/ Lp=N+0.5      但しNは自然数
としている。
【0043】
ここで、液晶画素の縦サイズをH、横サイズをWとし液晶画素有効部の縦サイズをHA、横サイズをWAとし、水平方向の画素ピッチをIph、垂直平方向の画素ピッチをIpv、レンチキュラーレンズシートの第1の構成要素に設けた光吸収層のピッチをLp、フレネルレンズ(図示せず)のピッチをFpとする。また、LpとFpにより生じるモアレピッチをMp1、LpとIpによるモアレピッチをMp2(水平方向Mp2h、垂直方向Mp2v)、Mp1とIpによるモアレのピッチをMp3(水平方向Mp3h、垂直方向Mp3v)としてモアレの発生が少ない範囲をまず計算により求め、実機においては、現時点で入手可能なファインピッチのフレネルレンズシートとファインピッチのレンチキュラーシートを基にして投写サイズ(画素の投写倍率)をパラメータにして最適条件を求め実際に試作して確認した。
【0044】
モアレの周波数Fm(k、l)(cycle / mm)の計算は下記の近似式により行った。
【0045】
Fm(k、l)=  k/Fp−l/Lp    但しkはフレネル高調波次数
この時、Fmが正極性の場合は楕円のモアレが発生
負極性の場合は双曲のモアレが発生する。
【0046】
確認実験を行った光学系は以下の通り、
Figure 2004102253
水平方向に生じるモアレの計算評価を40.3インチ投写時について行った。
【0047】
LpとFpにより生じるモアレピッチをMp1hをFpをパラメータとして変化させ 1.55〜1.65まで0.025刻みで評価した。その結果、 Mp1hとIphによるモアレのピッチMp3hは40.3インチ投写時には、約1.02mmとなり、スクリーン上の水平方向の画素ピッチをIphとほぼ等しい値となった。この組み合わせを実機にて確認したところ実用上問題(画質が大幅に低下する。)となるモアレがほとんど発生していなかった。この時、 LpとFpにより生じるモアレピッチをMp1hは1.575〜1.625までの範囲であれば良好な性能が得られることを実機にて確認した。この時のフレネルピッチは、0.0984mm、0.0969mm、0.0954mmである。また、垂直平方向の画素ピッチをIpv、の比率(Ipv/Fp)が4倍近くあるためとレンチキュラーレンズシートの拡散層の光拡散効果によってほとんど識別できなかった。
【0048】
同様に、水平方向に生じるモアレの計算評価を52.5インチ投写時について行った。LpとFpにより生じるモアレピッチをMp1hをFpをパラメータとして変化させ 1.55、1.558、1.600、1.649と変化させ評価した。その結果、 Mp1hとIphによるモアレのピッチMp3hは52.5インチ投写時には、約1.334mmとなり、スクリーン上の水平方向の画素ピッチをIphと一致した。この組み合わせを実機にて確認したところ実用上問題(画質が大幅に低下する)となるようなモアレがほとんど発生しなかった。この時、 LpとFpにより生じるモアレピッチをMp1hは1.558〜1.649までの範囲であればほぼ良好な性能が得られることを実機にて確認した。この時のフレネルピッチは、0.0995mm、0.0969mm、0.0940mmである。また垂直平方向の画素ピッチをIpv、の比率(Ipv/Fp)が4倍近くあるためとレンチキュラーレンズシートの拡散層の光拡散効果によってほとんど識別できなかった。
【0049】
以上述べたように、画素がマトリックス状に配列された素子に映し出された源画像を投写レンズによりスクリーン上に拡大投写しても、拡大された画素のピッチIp(水平、垂直両方向を考慮)とレンチキュラーレンズのピッチLpとフレネルレンズのピッチFpにより生じるモアレを低減するには、レンチキュラーレンズシートの第1の構成要素に設けた光吸収層のピッチLpと、フレネルレンズ(図示せず)のピッチFpの比率(Lp/Fp)を1.6近傍とし、かつ、LpとFpにより生じるモアレピッチをMp1を拡大された画素のピッチIpの水平成分Iphとほぼ等しくし、さらに拡大された画素のピッチIpの垂直成分IpvとフレネルレンズのピッチFpの比率(Ipv/Fp)が2倍以上あれば、スクリーン上の投写画面全体について、画質を大幅に低下させるモアレは発生しない。
【0050】
次に、フレネルレンズのピッチを60μmとして同様の評価を行ったところ更に次数の高いモアレまで識別できなくなりより優れた性能が得られることを実機において確認した。
【0051】
以上、液晶パネル3枚を用いた3板式の光学系を用いてスクリーン上に画像を拡大投写した場合について述べたが、図9に示したような、液晶パネルを1枚のみ使用した単板方式においては、画素1トリオピッチ(3つの画素を1ペアと考える)が前述の3板式の画素ピッチと同じとして取り扱えることを実機において確認した。
【0052】
以上述べた構成のスクリーンを用いれば、画像発生源として画素がマトリックス状に配列された構造を持つ光学素子(例えば、液晶パネルやDMD(Digital Micro mirror Device)素子等を用い、投写レンズによりスクリーン上に拡大投写する構成の投写型デイスプレイ装置としても、外光の映り込みが小さくコントラスト低下を最小限に押さえかつ、解像度低下が少なくモアレによる画質の低下が軽減された良好な性能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単板式の液晶パネルを用いた投写光学系の配置を示す断面図である。
【図2】3板式の液晶パネルを用いた投写光学系の配置を示す断面図投写レンズ装置の配置を示す断面図である。
【図3】投写光学系を搭載した背面投写型画像ディスプレイ装置の主要部を示す垂直方向断面図である。
【図4】投写光学系を搭載した背面投写型画像ディスプレイ装置の主要部を示す垂直方向断面図である。
【図5】本発明のスクリーンの配置を示す断面図である。
【図6】本発明のスクリーンの作用を説明するための断面図である。
【図7】本発明のスクリーンの作用を説明するための断面図である。
【図8】本発明のスクリーンの作用を説明するための平面図である。
【図9】本発明のスクリーンの作用を説明するための平面図である。
【図10】投写型ブラウン管を用いた背面投写型画像ディスプレイ装置の主要部を示す垂直方向断面図である。
【図11】投写型ブラウン管を用いた背面投写型画像ディスプレイ装置の投写光学系を水平面上に展開した時の概略を示す平面図である。
【図12】従来技術によるスクリーンの一例の要部を示す斜視図である。
【図13】従来技術によるスクリーンの他の例の要部を示す斜視図である。
【図14】従来技術によるスクリーンに用いる水平レンチキュラーレンズシートの要部断面図と光線追跡結果を示す図である。
【図15】従来技術によるスクリーンに用いる水平レンチキュラーレンズシートの要部断面図と光線追跡結果を示す図である。
【符号の説明】
11…光学ユニット、12…投写用レンズ、13…折り返しミラー、14…スクリーン、15…キャビネット、20…スクリーン、21…投写用レンズ、2233、34、35…液晶パネル、23、24、25、31、32…ダイクロイックミラー、26…コンデンサーレンズ、27…集光レンズ、28…白色光源、29…反射ミラー、30…反射ミラー、40…スクリーン、51…フレネルレンズシート、52…レンチキュラーレンズシート、53…フレネルレンズ、54…レンチキュラーレンズ(入射面)、55…突起部、56…レンチキュラーレンズ(出射面)、57…光吸収層、58…拡散材、60…緑映像光束、62…赤または青映像光束、43…投写型ブラウン管、42…ブラケット、41…投写用レンズ、45…折り返しミラー、40…スクリーン、46…キャビネット、7B,7G,7R…投写型ブラウン管、8B,8G,8R…投写用レンズ、10B、10G,10R…投射光束、13B,13G,13R…光軸、θ…集中角、77…スクリーン、76…フレネルレンズシート、75…前面板、78…フレネルレンズ、74…レンチキュラーレンズ(入射面)、55…突起部、56…レンチキュラーレンズ(出射面)、70…反射防止膜71…第2の構成要素、72…光吸収層、73…第1の構成要素、81…光通過窓、79…入射面、80…垂直レンチキュラーレンズ、82…拡散材、83…遮光領域、84、85、86、87…画素。

Claims (8)

  1. 光源と、前記光源からの光強度を変調する手段を有する画素をマトリックス状に配置した画像表示素子と、前記画像表示素子上の表示画像を投写する投写光学手段と、前記投写光学手段によって画像が拡大投写されるスクリーンとからなる投写型画像ディスプレイ装置において、前記スクリーンは複数枚の構成要素から構成され、画像表示素子側にはスクリーン画面垂直方向を長手方向とした第1のレンチキュラーレンズを複数個、スクリーン画面水平方向に連続して配置した形状を成し、画像観視側には該レンチキュラーレンズの焦点近傍に開口部を設け、それぞれ隣接する開口部との境界部分には有限幅の光吸層を設けた厚さtの第1の構成要素と、画像観視側に可視光に対して反射防止処理を施した第2の構成要素とを接着または粘着した構成を成し、前記開口部のピッチを前記画像表示素子のスクリーン上への拡大像の画素ピッチに比べて小さくし、両者の干渉によって生じる干渉縞のピッチを、前記画像表示素子のスクリーン上への拡大像の画素ピッチに比べてほぼ同等以下としたことを特徴とするスクリーン。
  2. 請求項1に記載のスクリーンにおいて、前記スクリーンを構成する第2の構成要素の内部に光拡散材を混入したことを特徴とするスクリーン。
  3. 請求項1に記載のスクリーンにおいて、前記スクリーンを構成する第1の構成要素と第2の構成要素との間に光拡散層を設けたことを特徴とするスクリーン。
  4. 請求項1に記載のスクリーンにおいて、前記スクリーンには画像観視側面にレンズピッチFpのフレネルレンズを設けた第3の構成要素を含み、該フレネルレンズのピッチと前記第1の構成要素の画像観視側に設けた開口部の画面水平方向のピッチLpの比(Lp/Fp)を1.558から1.649の範囲とし両者の干渉により生じるモアレ縞のピッチMp1を、前記画像表示素子のスクリーン上への拡大像の画面水平方向の画素ピッチIphに比べて小さくし、両者の干渉によって生じる干渉縞のピッチを、前記画像表示素子のスクリーン上への拡大像の画素ピッチに比べてほぼ同等以下としたことを特徴とするスクリーン。
  5. 光源と、前記光源からの光強度を変調する手段を有する画素をマトリックス状に配置した画像表示素子と、前記画像表示素子上の表示画像を投写する投写光学手段と、前記投写光学手段によって画像が拡大投写されるスクリーンとからなり、前記スクリーンは複数枚の構成要素から構成され、第1の構成要素の画像表示素子側面にはスクリーン画面垂直方向を長手方向とした第1のレンチキュラーレンズを複数個、スクリーン画面水平方向に連続して配置した形状を成し、画像観視側面には該レンチキュラーレンズの焦点近傍に開口部を設け、それぞれ隣接する開口部との境界部分には有限幅の光吸層を設け、第2の構成要素の画像観視側面に可視光に対して反射防止処理を施し、前記第1の構成要素と前記第2の構成要素を接着または粘着して構成し、前記開口部のピッチを前記画像表示素子のスクリーン上への拡大像の画素ピッチに比べて小さくし、両者の干渉によって生じる干渉縞のピッチを、前記画像表示素子のスクリーン上への拡大像の画素ピッチに比べてほぼ同等以下としたスクリーンを備えたことを特徴とする投写型画像ディスプレイ装置。
  6. 請求項5に記載の投写型画像ディスプレイ装置において、前記スクリーンを構成する第2の構成要素の内部に光拡散材を混入したスクリーンを備えたことを特徴とする投写型画像ディスプレイ装置。
  7. 請求項5に記載の投写型画像ディスプレイ装置において、前記スクリーンを構成する第1の構成要素と第2の構成要素との間に光拡散層を設けたスクリーンを備えたことを特徴とする投写型画像ディスプレイ装置。
  8. 請求項5に記載の投写型画像ディスプレイ装置において、前記スクリーンには画像観視側面にレンズピッチFpのフレネルレンズを設けた第3の構成要素を含み、該フレネルレンズのピッチと前記第1の構成要素の画像観視側に設けた開口部の画面水平方向のピッチLpの比(Lp/Fp)を1.558から1.649の範囲とし、両者の干渉により生じるモアレ縞のピッチMp1を、前記画像表示素子のスクリーン上への拡大像の画面水平方向の画素ピッチIphに比べて小さくし、両者の干渉によって生じる干渉縞のピッチを、前記画像表示素子のスクリーン上への拡大像の画素ピッチに比べてほぼ同等以下としたスクリーンを備えたことを特徴とする投写型画像ディスプレイ装置。
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