JP2004100626A - エンジンの排気ガス浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リッチ状態におけるNOx吸収触媒の活性を高め、リッチスパイク運転時の燃費を低減する。
【解決手段】排気ガス通路に配置され、RhとNOx吸収材とを含むNOx吸収触媒層16が被覆されたNOx吸収触媒14と、排気ガスの酸素濃度が高い酸素過剰状態でNOx吸収材のNOx吸収が過剰になったときに、触媒上流の排気ガスの酸素濃度を低下させる等の制御手段15とを備えた排気ガス浄化装置において、上記NOx吸収触媒層16は、セリウムを含有する酸化物の担持量が10g/L以下であり、上記制御手段15は、上記NOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、酸素濃度等をNOx吸収材の再生可能な濃度で略一定に制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに使用される排気ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンの排気通路に排気ガスの酸素濃度が高い酸素過剰雰囲気(リーン燃焼運転時)では排気ガス中のNOx(窒素酸化物)をBa等のNOx吸収材に吸収し、排気ガスの酸素濃度の低下(理論空燃比運転時又はリッチ燃焼運転時)によって吸収していたNOxを放出して触媒中の貴金属上に移動させ、これを排気ガス中の還元剤(HC、CO及びH)と反応させてNに還元浄化するとともに、還元剤であるHC、COを酸化浄化する、いわゆるリーンNOx浄化触媒が知られている。
【0003】
また、このようなリーンNOx浄化触媒には酸化数が変化して酸素の貯蔵及び放出を行なうセリア(CeO)等の酸素吸蔵材を含ませることも知られている。この酸素吸蔵材は、主として、排気ガスに大量に含まれるNOをNOx吸収材に吸収されやすいNOに酸化するための酸素供給源として利用されている。
【0004】
例えば、NOx浄化触媒の耐熱性の向上等を目的として、酸化セリウム等を含む酸素吸蔵放出特性を持つ酸化物を含む担体と、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選択されるNOx吸蔵材と白金とを含む第一層と、酸化セリウム、酸化ジルコニウム又はセリウム−ジルコニウム複合酸化物とロジウムとを含む第二層を有する排気ガス浄化用触媒が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
更に、排気ガス中の硫黄化合物による上記NOx吸収材の被毒を低減することを目的として、担体に、上記NOx吸収材を含有する触媒層と、排気ガス中のSOxを酸素の存在下で吸収し酸素濃度が低下するとSOxを放出するSOx吸収材を含有する触媒層とを、前者が内側になり後者が外側になるよう層状に形成する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−169712号公報
【特許文献2】
特開平11−156159号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術により、NOx浄化用触媒の耐熱性の問題、及び排気ガス中の硫黄化合物によりNOx吸収材の被毒の問題は改善されている。
【0008】
しかし、上記従来技術を用いたNOx浄化用触媒について以下の問題があった。
【0009】
即ち、NOx浄化用触媒は、排気ガス中の酸素濃度が高い状態でNOx吸収材でNOxを吸収した後、一時的に排気ガス中の酸素濃度を低下させることにより、NOx吸収材からNOxを放出させるとともに、触媒層中に担持されたNOx還元触媒で放出されたNOxをNに還元するものである。
【0010】
このようなNOx浄化触媒には、主に触媒の低温活性を向上させる目的で酸素吸収材であるセリア(CeO)が添加される場合がある。
【0011】
上記触媒中にセリアを含むNOx浄化用触媒においては、酸素濃度が高い状態(リーン状態)から酸素濃度の低い状態(リッチ状態)に切り換わったとき(リッチスパイク時)、NOx吸収材から一挙にNOxが放出されて排気ガス中のNOx濃度が急激に上昇するとともに、セリアに吸蔵されていた酸素が放出される。
【0012】
従って、触媒中に多量のセリアが担持されている場合、セリアから多量の酸素が放出され、その酸化作用によりNOx還元触媒によるNOxの還元が妨げられてしまう。その結果、未還元のNOxが大気中へ放出されてしまうおそれがあった。そこで、未還元のNOxを低減するためには、酸素濃度の低い状態に切り換わった直後は、排気ガス中の酸素濃度を大幅に低下させるか、又は排気ガス中に混入される還元剤の濃度を大幅に上昇させてNOxの還元を促進必要がある。しかし、排気ガス中の酸素濃度の低下や還元剤濃度の上昇は、エンジンの燃費の低下を招くという問題があった。
【0013】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、NOx浄化触媒中のセリウムを含有する酸化物の担持量をできる限り少なくし、リッチスパイク時にセリウムを含有する酸化物から放出されるO量を抑制する。それによって、触媒層中のRhによるリッチ状態におけるNOx浄化性能を向上させ、リッチスパイク時に排気ガスの酸素濃度や還元剤濃度を所定値で略一定に保つことによりエンジンの燃費の低下を防止することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、エンジンの排気ガス通路に配置され、RhとNOx吸収材とを含む触媒層が担体に形成されたNOx吸収触媒と、排気ガスの酸素濃度が高い酸素過剰状態で上記NOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、上記触媒に流入する排気ガスの酸素濃度を低下させるか、或いは上記排気ガスの還元剤濃度を上昇させる濃度制御手段とを備えたエンジンの排気ガス浄化装置において、上記触媒層は、セリウムを含有する酸化物の上記担体1L当たりの担持量が10g以下であり、上記濃度制御手段は、上記所定期間は上記酸素濃度或いは還元剤濃度をNOx吸収材の再生可能な濃度で略一定に制御することを特徴とする。
【0015】
従って、空燃比が16以上である場合、排気ガス中の酸素濃度は高く、酸素過剰状態にある。この酸素過剰状態でNOx吸収材は、排気ガス中のNOxを吸収してゆく。また、触媒中に含まれるRhは酸素過剰状態で酸化されており、触媒活性が低い状態にある。
【0016】
本発明において、NOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったとき、上記濃度制御手段で排気ガスの酸素濃度を低下させるか、或いは還元剤濃度を上昇させるように所定の制御を行なう。酸素濃度の低下した、或いは還元剤濃度の上昇した排気ガスは、触媒層に接すると酸化状態にあるRhを瞬時に金属状態に還元し、高い触媒活性を賦活する。
【0017】
上記濃度制御手段による制御を行なうと、NOx吸収材からは吸収されていたNOxが一挙に放出されてくる。しかし、これらNOxは、高い触媒活性を得たRhにより確実に還元浄化される。
【0018】
一方、上記濃度制御手段による制御を行なうと、触媒層のセリウムを含有する酸化物からは、吸収されていた酸素が放出される。しかし、本発明においてセリウムを含有する酸化物の担持量は、担体1L当たり10g以下と少量であるため、放出される酸素も少量である。そのため、本発明によれば、放出酸素の酸化作用によりRhの金属化が阻害されたり、NOxの還元が阻害されることもなく、酸素濃度が切り換えられた直後から高いNOx浄化率を得ることができる。
【0019】
従って、本発明によれば、酸素濃度を切り換えた直後に、酸素濃度を過度に引き下げたり、或いは還元剤濃度を過度に引き上げたりする必要がなく、NOx吸収材の再生が完了するまでの所定期間に亘って、酸素濃度、或いは還元剤濃度を略一定に制御することで燃費の悪化を回避することができる。
【0020】
本発明において上記セリウムを含有する酸化物の担持量を0とすることもできる。セリウムを含有する酸化物の担持量が0であれば、酸素濃度を切り換えたときに触媒構成物質から酸素が放出されないため、Rhの金属化を促進し、NOx浄化率を更に向上させることができる。
【0021】
本発明において、NOx吸収触媒層にセリウムを含有する酸化物が少量含まれている場合、コールドスタートから早期に触媒の低温活性を向上させることが可能となる。
【0022】
請求項2に係る発明は、エンジンの排気ガス通路に配置され、RhとNOx吸収材とを含む触媒層が担体に形成されたNOx吸収触媒と、排気ガスの酸素濃度が高い酸素過剰状態で上記NOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、エンジンの燃焼室内の空燃比をリーン状態からリッチ状態に切り換える空燃比制御手段とを備えているエンジンの排気ガス浄化装置において、上記触媒層は、セリウムを含有する酸化物の担体1L当たりの担持量が10g以下であり、上記空燃比制御手段は、上記所定期間は上記空燃比を13.5以上、14.7以下の範囲で略一定に制御することを特徴とする。
【0023】
従って、本発明において、空燃比がリーン状態からリッチ状態に切り換わるリッチスパイク時に、請求項1に係る発明と同様、Rhの金属化が促進されとともに、NOxの還元が阻害されることもない。
【0024】
従って、本発明によれば、リッチスパイク時に、NOx吸収材から一挙に放出されるNOxは、高い触媒活性を有するRhによって確実に還元浄化される。そのため、リッチスパイク時に、空燃比を極端に下げる必要がない。よって、NOx吸収材の再生が完了するまでの所定期間に亘って、空燃比を14以上、15以下の範囲で略一定に制御することで燃費の悪化を回避することができる。
【0025】
請求項3に係る発明は、エンジンの排気ガス通路に配置され、RhとNOx吸収材とを含む触媒層が担体に形成されたNOx吸収触媒と、上記NOx吸収触媒よりも上流側の排気ガス通路内に配置され、酸化触媒層が担体に形成された上流側触媒と、排気ガスの酸素濃度が高い酸素過剰状態でNOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、上記触媒に流入する排気ガスの酸素濃度を低下させるか、或いは上記排気ガスの還元剤濃度を上昇させる濃度制御手段とを備えたエンジンの排気ガス浄化装置において、上記触媒層は、セリウムを含有する酸化物の担体1L当たりの担持量が10g以下であり、上記酸化触媒層は、触媒金属とセリウムを含有する酸化物とを含み、セリウムを含有する酸化物の担体1L当たりの担持量が20g以上、180g以下であるとともに、上記濃度制御手段は、上記NOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、酸素濃度或いは還元剤濃度をNOx吸収材の再生可能な濃度で略一定に制御することを特徴とする。
【0026】
本発明では、排気ガス通路の上流側と下流側に2つの触媒が配置されている。
【0027】
上流側に配置される上流側触媒は、排気ガス中のHCやCOを酸化してCOとHOに浄化する。また、理論空燃比近傍でエンジンが運転されているとき、上流側触媒は、三元触媒として作用しNOxを還元浄化することも可能である。
下流側に設置されるNOx吸収触媒は、上記発明と同様排気ガス中のNOxを効果的に浄化する。
【0028】
該上流側触媒の酸化触媒層に含まれる触媒金属は、主にPtやPdの単体、又はPtとPdを所定の比率で組み合わせたものなどである。また、酸化触媒層に含まれるセリウムを含有する酸化物は、酸素吸収材として機能し、酸化触媒の低温活性を向上させる作用を発揮する。
【0029】
上記上流側触媒のセリウムを含有する酸化物の担持量は、担体1L当たり20g未満であると充分な低温活性の向上が得られず、180gより多いと酸素濃度を切り換えたときに放出される酸素が多くなり、下流側のNOx吸収触媒のNOx浄化率に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、上流側触媒に含まれるセリウムを含有する酸化物の担体1L当たりの担持量は、20g以上、180g以下が好適である。
【0030】
一方、排気ガス通路の下流側に設置されるNOx吸収触媒には、RhとNOx吸収材とを含むNOx吸収触媒層が被覆されている。このNOx吸収触媒層は、排気ガス中の酸素濃度が高い状態では、NOx吸収材が排気ガス中のNOxを吸収してゆく。つまり、NOx吸収触媒中のセリウムを含有する酸化物は、排気ガス中の酸素を吸収し、排気ガス中に大量に含まれるNOに酸素を供給する。セリウムを含有する酸化物から酸素の供給を受けたNOは、NOx吸収材に吸収されやすいNOに酸化されNOx吸収材に吸収される。
【0031】
このようにNOx吸収触媒がNOxを吸収し、NOx吸収量が過剰になったとき、吸収されたNOxを放出して還元浄化する必要がある。そこで、上記濃度制御手段で排気ガスの酸素濃度を低下させるか、或いは還元剤濃度を上昇させる制御を行なう。このように濃度を制御された排気ガスは、NOx吸収触媒に接触すると、触媒層中で酸化状態にあるRhを速やかに金属状態に還元する。
【0032】
このとき、NOx吸収材からはNOxが一挙に放出されるが、金属化されて高い触媒活性を有するRhに確実に還元浄化される。
【0033】
また、NOx吸収触媒に含まれるセリウムを含有する酸化物からは酸素が放出されるが、その担持量が10g/L以下と少量であるため、NOxの還元を阻害することがない。
【0034】
従って、酸素濃度の低い状態に切り換えた直後に、酸素濃度を過度に引き下げたり、或いは還元剤濃度を過度に引き上げたりする必要がなく、NOx吸収材の再生が完了するまでの所定期間に亘って、酸素濃度、或いは還元剤濃度を略一定に制御することができ、エンジンの燃費の悪化を招くおそれがない。
【0035】
本発明においても、上記NOx吸収触媒層のセリウムを含有する酸化物の担持量を0とすることもできる。セリウムを含有する酸化物の担持量が0であれば、酸素濃度を切り換えたときに触媒構成物質から酸素の放出がないため、Rhの金属化及びNOxの還元を更に促進することができる。
【0036】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンジンの排気ガス浄化装置において、上記触媒層は、セリアゾルをバインダに用いて形成されることを特徴とする。
【0037】
一般にセリウムを含有する酸化物は、SOxやHSといった硫黄化合物を吸収し、NOx吸収材の硫黄被毒を防止する効果を奏する。しかし、セリウムを含有する酸化物が多量に含まれると、酸素濃度を低下させたときにセリウムを含有する酸化物から多量の酸素が放出されることにより、NOxの還元が阻害されるといった問題がある。
【0038】
本発明において、バインダとしてセリアゾルを用いることにより、セリウムを含有する酸化物を少量でも高分散させることができる。従って、NOxの還元に悪影響を及ぼすことなく、NOx吸収材の硫黄化合物による被毒を低減することができる。
【0039】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンジンの排気ガス浄化装置であって、上記NOx吸収触媒は、上記触媒層の下層に重ねられた第2触媒層を備え、第2触媒層は、貴金属とNOx吸収材とセリウムを含有する酸化物を含み、セリウムを含有する酸化物の担体1L当たりの担持量が10gよりも多いことを特徴とする。
【0040】
従って、排気ガスの酸素濃度が低い状態に切り替わったとき、NOx吸収触媒に接する排気ガスは、触媒層の上層側からRhを速やかに金属状態に還元する。
【0041】
触媒層の上層側は、セリウムを含有する酸化物の担持量が担体1L当たり10gと少量であるため、セリウムを含有する酸化物からの酸素の放出は僅かである。そのため、放出された酸素が酸化状態にあるRhの金属化を阻害するおそれがない。
【0042】
一方、NOx吸収触媒層の下層には、形成された第2触媒層には、セリウムを含有する酸化物が担体1L当たり10gよりも多く含まれている。そのため、排気ガスの酸素濃度が高い状態において、セリウムを含有する酸化物は酸素を吸収し、吸収した酸素を排気ガス中に存在するNOに供給することでNOx吸収材へのNOxの吸収を促進する。排気ガスの酸素濃度が高い状態から低い状態に切り換わると、NOx吸収材に吸収されていたNOxが放出される。放出されたNOxは高い活性を有する上層のRhによって速やかに還元浄化される。
【0043】
上記貴金属は、Pt、Rh、及びPd等であって、NOxを還元浄化するための触媒である。これらは、それぞれ担体で使用される他、例えば、PtとRhを所定の割合で混合したもの等、混合したものであっても良い。
【0044】
【発明の効果】
本発明に係るエンジンの排気ガス浄化装置によれば、排気ガスの酸素濃度を低下させてNOx吸収材に吸収されたNOxを還元浄化する際、触媒金属であるRhの触媒活性を高く維持することができる。そのため、リッチスパイク状態に切り換えた直後に酸素濃度を大幅に低下させたりする必要がなく、酸素濃度を一定に制御した状態でNOxを浄化できるため、エンジンの燃費を向上させることができる。
【0045】
更に、本発明において、NOx吸収触媒の上流側に酸化触媒を担持させた上流側触媒を配置した場合、該酸化触媒は三元触媒として排気ガスを浄化する。該酸化触媒には、活性セリアが担持されているため、リッチ状態における酸化触媒の低温活性を向上させることができ、NOx浄化率を向上させることができる。更に、排気ガス中に含まれるHCやCOをも効果的に浄化することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
−全体構成−
図1に示す筒内直噴式エンジンの排気ガス浄化装置において、1はエンジン本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は吸気ポート、7は排気ポート、8は吸気バルブ、9は排気バルブである。シリンダヘッド3に、燃焼室5の中央部に臨む点火プラグ10が設けられているとともに、シリンダヘッド3の燃焼室側壁に燃焼室5の上記点火プラグ10の下側に向かって燃料を側方から噴射する燃料噴射弁11が設けられている。ピストン4の頂部にはキャビティ12が形成されていて、このキャビティ12は燃料噴射弁11から噴射された燃料を点火プラグ10の近傍に反射させる。排気ポート7より延びる排気通路13には、上流側に上流側触媒20が、下流側にはNOx吸収触媒14がそれぞれ設けられている。また、吸気ポート6より通じる吸気通路には、スロットル弁(図示せず)が設けられている。
【0047】
上記燃料噴射弁11は、酸素濃度変更手段として空燃比変更手段(燃料噴射制御装置)15によって作動が制御され、エンジン運転状態に応じて燃料噴射量が変更され、従って、混合気の空燃比λが、λ>1のリーン状態とλ≦1のリッチ状態とに変更される。そのため、空燃比変更手段15には、エンジン回転数、吸入空気量等の各センサからの信号が入力される。
【0048】
−NOx吸収触媒−
本実施形態に係るNOx吸収触媒14は、図2に示すように、ハニカム担体17の孔壁面にNOx吸収触媒層16が形成されている。NOx吸収触媒層16には、下層側(孔壁面側)に第2触媒層26が形成されている。
【0049】
本実施形態に係るNOx吸収触媒14は、以下のように形成される。
先ず、母材であるγ−アルミナ(Al)と、酸素吸収材であるCe−Pr複酸化物と、バインダであるアルミナバインダをそれぞれ所定量混合し、これに水を加えてスラリーを形成する。このスラリーにハニカム担体17を浸漬して引き上げ、余分なスラリーををエアブローによって除いた後、これに乾燥(150℃で1時間)及び焼成(540℃で2時間)を施すことにより第2触媒層26の多孔質層を得る。
【0050】
次にγ−アルミナにRhを担持させてなるRh/Al触媒粉とセリアバインダ(セリアゾル)とを混合し、これに水及び硝酸を加えてなるスラリーに、上記第2触媒層11が形成されたハニカム担体を浸漬して引上げ、余分なスラリーをエアブローによって除いた後、これに乾燥(150℃で1時間)及び焼成(540℃で2時間)を施すことにより触媒層16の多孔質層を得る。ここで、セリアバインダの組成はCe(OH)x(NO)y・nHO(但し、x+y=3〜4)であり、CeOが87質量%含まれている。
【0051】
そうして、Pt、Rh、Ba、Mg、Sr及びKを含む溶液を上記触媒層16及び第2触媒層26に含浸させ、乾燥(150℃で1時間)及び焼成(540℃で2時間)を施すことにより二層構造を有するNOx吸収触媒14を得る。
【0052】
上記Rh/Al触媒粉は、硝酸ロジウム溶液をγ−アルミナと混合し、乾燥(150℃で1時間)及び焼成(540℃で2時間)を施して得ることができる。
(実施例)
上記製法によって本発明に係る実施例触媒を調製した。触媒構成は次の通りである。
【0053】
触媒層16;Rh/Al触媒粉50.2g/L(Rh;0.2g/Lγ−アルミナ50g/L),セリアバインダ5g/L
第2触媒層26;γ−アルミナ135g/L,Ce−Pr複酸化物135g/L,アルミナバインダ27g/L
含浸材;Pt3.5g/L,Rh0.3g/L
NOx吸収材;Ba30g/L,Mg10g/L,Sr10g/L,K6g
/L
なお、「g/L」は担体1L当たりの担持量を表す。
【0054】
このNOx吸収触媒14は、円筒状等所定形状のケーシングに装填され、上記エンジンの排気ポート7から通じる排気通路に設置される。
【0055】
本実施形態に係るNOx吸収触媒14の特性について説明する。
【0056】
図3は、本実施形態に係るNOx吸収触媒について、NOxの浄化特性を母材の種類ごとに示したグラフである。
【0057】
試験片として、母材50gにRhを0.2g担持させたものを用いる。
【0058】
各サンプルに使用した母材は以下の通りである。
【0059】
▲1▼Al
▲2▼Ce−Pr系複酸化物
▲3▼Ce−Zr−Sr系複酸化物
▲4▼Ce−Zr−Nd系複酸化物
▲5▼ZrO
エージング条件:900℃×24時間
評価温度条件:300℃
模擬排気ガスの組成:
リーン状態/CO=1000ppm、NO=1000ppm、O=5%
リッチ状態/CO=1000ppm、NO=1000ppm
図3のグラフからわかるように、各サンプルともリーン状態からリッチ状態に切り替わった直後排気ガス中の濃度が上昇し手いることが判る。これは、リッチ状態に切り替わったときにNOx吸収材から一挙にNOxが放出されるためである。その際、触媒層中に含まれる触媒金属の活性度やNOxの還元を阻害する酸素の放出量などにより、その後のNOxの浄化率が左右される。
【0060】
ZrOを用いたサンプル▲5▼では、切り換えた直後にNOx濃度が極端に高くなっている。これは、触媒金属であるRhの一部が母材であるZrOに埋もれてしまい、充分な触媒作用を発揮できないためであると考えられる。
【0061】
Ce系複酸化物を用いたサンプル▲2▼〜▲4▼は、切り換えた直後のNOx濃度の上昇は比較的小さくなっている。しかし、これらCe系複酸化物を用いたサンプルは、ピークを過ぎた後のNOx濃度の減少が緩やかであるのに対し、アルミナを用いたサンプル▲1▼の場合、ピークを過ぎた後のNOx濃度が急激に減少していることが判る。これはCe系酸化物が、リーン状態で酸素を吸収し、リッチ状態に切り替わったときに吸収していた酸素を放出するためである。
【0062】
このように酸素が放出されると、リーン状態で酸化されていたRhの金属化を阻害したり、NOxの還元を阻害することになる。
【0063】
一方、アルミナを用いたサンプルでは、触媒層中に酸素吸収物質を含まないため、リッチ状態に切り替わると瞬時にRhが還元されて、高い活性を発揮する。
【0064】
その後も、本発明に係るサンプルではNOxの還元を阻害する酸素が存在しないため、排気ガス中のNOx濃度を急速に低下させることができ、短時間で排気ガス中のNOxを完了することができる。
【0065】
このような結果から、触媒金属であるRhを担持する母材としては、酸素吸収性を持たないアルミナが有利なことが判る。
【0066】
本実施形態に係るNOx吸収触媒14は、上層側にバインダとしてごく少量のセリアを含むが、母材にアルミナを用いている。従って、排気ガスがリーン状態からリッチ状態に切り替わると瞬時にRhの金属化が完了し、高い触媒活性を発揮することができる。
【0067】
そのため、リッチ状態に切り替わった直後に急増するNOxを吸収するために空燃比を極端に下げる必要がなくなる。また、母材からの酸素の放出がないため、NOxの還元が阻害されることもない。そのため、後に詳しく説明する空燃比制御において、リッチスパイク状態において空燃比を理論空燃比近傍で一定値に制御することができ、しかも短時間でNOx吸収材の再生を完了することができる。
【0068】
−上流側触媒−
図1に示すように、本実施形態に係る排気ガス浄化装置は、排気ガス中のHC、CO及びNOxの浄化を目的とする上流側触媒20を備える。本実施形態に係る上流側触媒20は、図示はしないが、耐熱性に優れた担体材料であるコージェライトからなるモノリス状のハニカム担体の表面(孔壁面)に酸化触媒層が被覆されている。酸化触媒層は、触媒金属であるPt、Rh、或いはPdといった貴金属と、酸素吸収材であるセリウムを含有する酸化物と、母材であるアルミナと、バインダを含有している。本実施形態では、セリウムを含有する酸化物としてCe−Pr複酸化物を用いた。
【0069】
本実施形態に係る上流側触媒20は、母材であるアルミナと、バインダと、Ce−Pr複酸化物をそれぞれ所定量混合し、これに水を加えてスラリーを調製する。このスラリーをハニカム担体の表面にコーティングして乾燥及び焼成を行なう。しかる後に上記触媒金属成分を担体の母材層に含浸させ、再び乾燥及び焼成を行なうことにより形成することができる。本実施形態において、Ce−Pr複酸化物の担持量は、20g/L以上、180g/L以下、好ましくは20g/L以上、160g/L以下、更に好ましくは40g/L以上、120g/L以下であることが好適である。
【0070】
このように形成された上流側触媒20は、円筒状等所定形状のケーシングに装填され、図1に示す上記エンジンの排気ポート7から通じる排気通路の上記NOx吸収触媒14の上流側に設置される。
【0071】
本実施形態に係る上流側触媒20は、排気ガス中のHCやCOを酸化してCOとHOに浄化する。また、理論空燃比近傍でエンジンが運転されているとき、上流側触媒は、三元触媒として作用しNOxを還元浄化することも可能である。
【0072】
このNOx浄化性能に関し、上流側触媒は、Ce−Pr複酸化物を含むため排気ガス温度が250〜300℃程度である場合の低温活性にも優れている。さらに、セリアバインダを用いることにより、SOx(硫黄酸化物)やHS等の硫黄化合物による触媒金属の被毒を低減することができる。
【0073】
−空燃比制御方法−
本実施形態に係る空燃比変更手段15は、エンジンの運転状態に応じて燃料噴射弁11による燃料噴射量を変更することによって、燃焼すべき混合気の空燃比、つまり、該燃焼で得られる排気ガスの酸素濃度を変えるものである。
【0074】
図4に示す空燃比変更制御の流れを示すフローチャート図を用いて空燃比の変更方法を説明する。先ず、所定のクランク角度毎にエンジン回転数N及びエンジン負荷Cを読込み(S1)、前回のNOx放出制御から現在までのエンジン運転状態に基づいてNOx吸収触媒14のNOx吸収量NOeを推定する(S2)。
推定されたNOx吸収量NOeを所定のNOx飽和量NOeと比較する(S3)。
【0075】
NOx吸収量NOeがNOx飽和量NOeを越えていなければ、タイマの作動状態を確認する(S13)。タイマが作動していなければ、エンジンの要求される運転状態に基づき燃料噴射Qset及びスロットル弁の開度Tvsetを設定し、スロットル弁を駆動し燃料噴射を実行する(S14〜S9)。タイマが作動しておれば、空燃比変更手段15はリッチスパイク制御中であるから、リッチスパイク制御を継続する。
【0076】
NOx吸収量NOeがNOx飽和量NOeを越えているとき、リッチスパイク状態を維持するためのタイマ時間Tをセットし、タイマ時間Tのインクリメントを行なう。(S4)。空燃比変更手段15は、カウントが設定値Tに達していない期間中(S5)、燃料噴射量をQλに設定するとともに(S6)、燃料噴射弁の開度をTvλに設定して燃料噴射を行なう(S7〜S9)。所定値Tは排気ガスのリッチ度を若干高めるための期間である。
【0077】
Qλ、Tvλは空燃比を13.5〜14.7に設定するための噴射量及びスロットル弁の開度である。ここで、燃焼室の空燃比を13.5〜14.7の水準に設定するのは、上記図3で説明したとおり、リーン状態からリッチ状態に切り換わった当初は、NOx放出量が多いので若干リッチ度を高くしてNOx還元性を向上するためである。本発明では、触媒中のセリアの量が少ないため、このときの空燃比A/Fを13.5より大きく設定することで燃費を向上させる効果もある。この水準の空燃比を維持する時間Tは、0.5秒程度と極めて短時間に設定される。
【0078】
タイマのカウントがTを経過すると(S5)、空燃比変更手段15は、カウントがTに到るまでの期間中、燃料噴射量をQλに設定する。Qλは、上記Qλより若干小さい値であるが、巨視的にはQλ=Qλとみることもできる。
【0079】
このとき、エンジンの燃焼室の空燃比は、ほぼ理論空燃比14.7程度で一定の水準で制御される。この値の空燃比を維持する時間Tは、1.5秒程度であって、好ましくは0.5〜1.5秒の範囲に設定される。タイマのカウントがTを越えると、タイマがリセットされる(S12)。それとともに空燃比変更手段15は、エンジンの燃料噴射量を通常運転時の噴射量Qsetに設定し、燃料噴射弁の開度もTvsetに戻してエンジンに要求される運転状態に基づき燃料噴射量Qset及びスロットル弁の開度Tvsetを設定し、リーン状態の運転を再開する(S12,S14〜S9)。
【0080】
なお、図3のフローチャート図では、Tの期間と、T〜Tの期間でA/Fの設定を変更したが、これら双方の期間中、空燃比A/FをA/F=13.5〜14.7、好ましくはA/F=14.0〜14.5の間で一律に一定として燃費を向上させることも可能である。
【0081】
本実施形態では、リッチスパイク状態を2段階に分け、空燃比制御をリッチ状態に切り換わった直後のNOx放出量の微増を補償する設定としているが、空燃比の制御を1段階のみとし、一定の空燃比に制御することも可能である。
【0082】
−本実施形態の評価−
図5に本実施形態に係るNOx吸収触媒14と従来例及び比較例のNOx吸収触媒のリッチ状態におけるNOx浄化率を示す。
【0083】
上記製法によって各触媒を調製した。触媒構成は次の通りである。
(実施例)
本実施例に係るNOx吸収触媒は、上層の触媒層と下層の第2触媒層からなる。
【0084】
触媒層16;Rh/Al触媒粉50.2g/L(Rh;0.2g/Lγ−アルミナ50g/L),セリアバインダ5g/L
第2触媒層26;γ−アルミナ135g/L,Ce−Pr複酸化物135g/L,アルミナバインダ27g/L
含浸材;Pt3.5g/L,Rh0.3g/L
NOx吸収材;Ba30g/L,Mg10g/L,Sr10g/L,K6g/L
(比較例)
本比較例に係るNOx吸収触媒は、触媒層全体が均質に構成されている。
【0085】
触媒層;Rh/Al触媒粉50.2g/L(Rh;0.2g/L,γ−アルミナ50g/L),γ−アルミナ135g/L,Ce−Pr複酸化物135g/L,アルミナバインダ27g/L
含浸材;Pt3.5g/L,Rh0.3g/L
NOx吸収材;Ba30g/L,Mg10g/L,Sr10g/L,K6g/L
(従来例)
本従来例に係るNOx吸収触媒は、触媒層全体が均質に構成されている。
【0086】
触媒層;γ−アルミナ160g/L,Ce−Pr複酸化物160g/Lアルミナバインダ27g/L
含浸材;Pt3.5g/L,Rh0.3g/L
NOx吸収材;Ba30g/L,Mg10g/L,Sr10g/L,K6g/L
上記触媒について、大気雰囲気において900℃で24時間のエージングを施した後の各々におけるリッチNOx浄化率(%)をリグテストで調べた。
【0087】
上記触媒に対して空燃比リーンの模擬排気ガス(ガス組成A)を60秒間流し、次にガス組成を切り換えて空燃比リッチの模擬排気ガス(ガス組成B)を60秒間流す、というサイクルを5回繰り返した後、空燃比リッチの模擬排気ガスに切り換えた時点から60秒間のNOx浄化率を測定し、これをリッチNOx浄化率とした。触媒温度及び模擬排気ガス温度は300℃、そのガス組成は表1に示す通りであり、空間速度SVは25000h−1とした。
【0088】
【表1】
Figure 2004100626
【0089】
図5から判るように、従来のNOx吸収触媒ではNOx浄化率は85%である。それに対して、比較例に係るNOx吸収触媒ではNOx浄化率は88%に向上している。さらに、本実施例に係るNOx吸収触媒を用いた場合、NOx浄化率は92.5%にまで向上していることが判る。
【0090】
ここで、本実施形態に係るNOx吸収触媒のNOx浄化率が、比較例に係るNOx吸収触媒のそれよりも優れているのは、本実施形態に係るNOx吸収触媒層の上層には、セリウムを含有する酸化物が担持されていないため、リッチスパイク時に上層のRhの金属化が促進されること、及びNOxの還元が阻害されないことにより、NOxを効率よく浄化できるためであると考えられる。
【0091】
図6に上流側触媒20のNOx浄化率とセリウムを含有する酸化物の担持量との関係を示す。
【0092】
上記製法によって各触媒を調製した。触媒構成は表2に示す通りである。
【0093】
【表2】
Figure 2004100626
【0094】
含浸材;Pt3.5g/L,Rh0.3g/L
NOx吸収材;Ba30g/L,Mg10g/L,Sr10g/L,K6g/L
上記上流側触媒を900℃で24時間エージングの後、空燃比を周期1Hzで13.8と15.6で切り換え浄化率を測定した。
【0095】
触媒温度及び模擬排気ガス温度は300℃とした。本実施形態において、セリウムを含有する酸化物としてCe−Zr−Sr系複酸化物を用いた。
【0096】
図6から判るように、上流側触媒20に対するCe−Zr−Sr系複酸化物の添加量は20g/L以上になるとNOx浄化率が60%を越えることが判る。一方、Ce−Zr−Sr系複酸化物の担持量を180g/L以上にするとNOx浄化率は60%を下回る。従って、Ce−Pr複酸化物の担持量は、20g/L以上、180g/L以下であって、好ましくは20g/L以上、160g/L以下であること、更に好ましくは40g/L以上、120g/L以下であることが望ましい。
【0097】
図7は、本実施形態に係るNOx吸収触媒14にバインダとしてセリアゾルを適用して硫黄被毒後の浄化性能を比較例、従来例と比較したものである。
【0098】
上記製法によって各触媒を調製した。触媒構成は次の通りである。
(実施例)
本実施例に係るNOx吸収触媒は、上層の触媒層と下層の第2触媒層からなる。
【0099】
触媒層16;Rh/Al触媒粉50.2g/L(Rh;0.2g/Lγ−アルミナ50g/L),セリアゾルバインダ5g/L
第2触媒層26;γ−アルミナ135g/L,Ce−Pr複酸化物135g/L,アルミナバインダ27g/L
含浸材;Pt3.5g/L,Rh0.3g/L
NOx吸収材;Ba30g/L,Mg10g/L,Sr10g/L,K6g/L
(比較例)
上記実施例の触媒層16に適用したセリアゾルをアルミナゾルに置き換えたものであり、他の成分は実施例と同じである。
(従来例)
本従来例に係るNOx吸収触媒は、触媒層全体が均質に構成されている。
【0100】
触媒層;γ−アルミナ160g/L,Ce−Pr複酸化物160g/L,アルミナバインダ27g/L
含浸材;Pt3.5g/L,Rh0.3g/L
NOx吸収材;Ba30g/L,Mg10g/L,Sr10g/L,K6g/L
上記触媒について、大気雰囲気において900℃で24時間のエージングを施した後の各々におけるNOx浄化率(%)を調べた。
【0101】
上記触媒に対して上記表1に示す空燃比リーンの模擬排気ガス(ガス組成A)を60秒間流し、次にガス組成を切り換えて空燃比リッチの模擬排気ガス(ガス組成B)を60秒間流す、というサイクルを5回繰り返した後、空燃比リーンの模擬排気ガスに切り換えた時点から60秒間のNOx浄化率を測定し、これを硫黄被毒前のリーンNOx浄化率とした。
【0102】
次に、SO濃度を50ppm、酸素20%、残余を窒素とした模擬排気ガスを用い、反応温度350℃で1時間各サンプルを硫黄被毒させた後、表1に示す模擬排気ガスを用いた上記試験を行ない、その結果を被毒後のリーンNOx浄化率とした。
【0103】
図8から判るように、硫黄が被毒する前、セリアゾルをバインダとして使用した本実施形態に係るNOx吸収触媒、アルミナゾルをバインダとして使用した従来のNOx吸収触媒、通常のアルミナバインダを用いたNOx吸収触媒を比較してみると、硫黄被毒前は、各NOx吸収触媒ともに90%を越えるNOx浄化率を示している。しかし、硫黄被毒後は、本実施形態に係るセリアゾルをバインダとして使用したNOx吸収触媒のNOx浄化率が90%であるのに対し、アルミナゾルをバインダとして使用したものは83%に、アルミナをバインダとして使用したものは80%にまでNOx浄化率が低下していることが判る。
【0104】
これは、本実施形態に係るNOx吸収触媒は、硫黄化合物吸収能力を有するセリアをゾル状態で添加し、焼結されて形成されているため、セリアが微粒子状になって他の触媒材を一様に被覆しているためと考えられる。
【0105】
図9は、セリアゾルとアルミナゾルをそれぞれバインダとして用いたNOx吸収触媒層の硫黄被毒処理後のEMPA分析結果を示す。各写真は、触媒層の断面を表わしている。写真上の白い点が硫黄化合物を示すが、(b)アルミナゾルバインダの場合、硫黄化合物が触媒層に下層にまで達しているのに対し、(a)セリアゾルバインダの場合、ほとんどの硫黄化合物が上層部分に保持されているのが判る。
【0106】
このように触媒層の上層部で保持された硫黄化合物は、リッチスパイク時に放出されやすく、NOx吸収材の被毒による劣化を低減することができる。
【0107】
また、NOx吸収材であるBaは、硫黄化合物と不可逆的に反応するため、一度被毒すると失活してしまう。しかし、セリアは、硫黄化合物と可逆的に反応する。従って、本発明に係るNOx吸収触媒は、リッチスパイク制御を行なうことにより、セリアの硫黄化合物吸収能力を回復することができる。
【0108】
また、本実施形態では、セリアゾルを使用することにより、少量でも均一に分散したセリアが硫黄吸収性能を発揮することで、NOx吸収材のS被毒を効果的に防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る排気ガス浄化装置の全体構成図。
【図2】実施の形態に係るNOx吸収触媒の要部断面図。
【図3】母材の変化によるNOxの浄化特性とを示したグラフ。
【図4】空燃比変更制御のフローチャート図。
【図5】リッチ状態におけるNOx浄化率の比較結果を示すグラフ。
【図6】上流側触媒のリッチ状態におけるCe−Zr−St系複酸化物の担持量とNOx浄化率との関係を示すグラフ。
【図7】バインダの違いによる硫黄被毒の影響を比較するグラフ。
【図8】バインダの違いによる触媒層の硫黄被毒の状態を示すEMPA分析結果。
【符号の説明】
1  エンジン本体
11 燃料噴射弁
13 排気通路
14 NOx吸収触媒
15 空燃比変更手段
20 上流側触媒

Claims (5)

  1. エンジンの排気ガス通路に配置され、RhとNOx吸収材とを含む触媒層が担体に形成されたNOx吸収触媒と、
    排気ガスの酸素濃度が高い酸素過剰状態で上記NOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、上記触媒に流入する排気ガスの酸素濃度を低下させるか、或いは上記排気ガスの還元剤濃度を上昇させる濃度制御手段とを備えたエンジンの排気ガス浄化装置において、
    上記触媒層は、セリウムを含有する酸化物の上記担体1L当たりの担持量が10g以下であり、
    上記濃度制御手段は、上記所定期間は上記酸素濃度或いは還元剤濃度をNOx吸収材の再生可能な濃度で略一定に制御することを特徴とするエンジンの排気ガス浄化装置。
  2. エンジンの排気ガス通路に配置され、RhとNOx吸収材とを含む触媒層が担体に形成されたNOx吸収触媒と、
    排気ガスの酸素濃度が高い酸素過剰状態で上記NOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、エンジンの燃焼室内の空燃比をリーン状態からリッチ状態に切り換える空燃比制御手段とを備えているエンジンの排気ガス浄化装置において、
    上記触媒層は、セリウムを含有する酸化物の担体1L当たりの担持量が10g以下であり、
    上記空燃比制御手段は、上記所定期間は上記空燃比を13.5以上、14.7以下の範囲で略一定に制御することを特徴とするエンジンの排気ガス浄化装置。
  3. エンジンの排気ガス通路に配置され、RhとNOx吸収材とを含む触媒層が担体に形成されたNOx吸収触媒と、
    上記NOx吸収触媒よりも上流側の排気ガス通路内に配置され、酸化触媒層が担体に形成された上流側触媒と、
    排気ガスの酸素濃度が高い酸素過剰状態でNOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、上記触媒に流入する排気ガスの酸素濃度を低下させるか、或いは上記排気ガスの還元剤濃度を上昇させる濃度制御手段とを備えたエンジンの排気ガス浄化装置において、
    上記触媒層は、上記担体1L当たりのセリウムを含有する酸化物の担持量が10g以下であり、
    上記酸化触媒層は、触媒金属とセリウムを含有する酸化物とを含み、セリウムを含有する酸化物の担体1L当たりの担持量が20g以上、180g以下であるとともに、
    上記濃度制御手段は、上記NOx吸収材のNOx吸収量が過剰になったときに、所定期間に亘って、酸素濃度或いは還元剤濃度をNOx吸収材の再生可能な濃度で略一定に制御することを特徴とするエンジンの排気ガス浄化装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンジンの排気ガス浄化装置において、
    上記触媒層は、セリアゾルをバインダに用いて形成されることを特徴とするエンジンの排気ガス浄化装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンジンの排気ガス浄化装置であって、
    上記NOx吸収触媒は、上記触媒層の下層に重ねられた第2触媒層を備え、
    第2触媒層は、触媒金属とNOx吸収材とセリウムを含有する酸化物を含み、セリウムを含有する酸化物の担体1L当たりの担持量が10gよりも多いことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化装置。
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