JP2004100501A - 混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法 - Google Patents

混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004100501A
JP2004100501A JP2002260820A JP2002260820A JP2004100501A JP 2004100501 A JP2004100501 A JP 2004100501A JP 2002260820 A JP2002260820 A JP 2002260820A JP 2002260820 A JP2002260820 A JP 2002260820A JP 2004100501 A JP2004100501 A JP 2004100501A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
fuel mixture
internal combustion
combustion engine
combustion chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002260820A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4045904B2 (ja
Inventor
Tomohiro Shinagawa
品川 知広
Tatsuo Kobayashi
小林 辰夫
Fumito Chiba
千葉 史人
Takahiro Hayashi
林 高弘
Masahiko Sugiyama
杉山 雅彦
Hiroshi Suzuki
鈴木 寛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2002260820A priority Critical patent/JP4045904B2/ja
Publication of JP2004100501A publication Critical patent/JP2004100501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4045904B2 publication Critical patent/JP4045904B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/0025Controlling engines characterised by use of non-liquid fuels, pluralities of fuels, or non-fuel substances added to the combustible mixtures
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B1/00Engines characterised by fuel-air mixture compression
    • F02B1/12Engines characterised by fuel-air mixture compression with compression ignition
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/3011Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion
    • F02D41/3017Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used
    • F02D41/3035Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used a mode being the premixed charge compression-ignition mode
    • F02D41/3041Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used a mode being the premixed charge compression-ignition mode with means for triggering compression ignition, e.g. spark plug
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】混合気を予混合圧縮自着火させて運転する内燃機関のノックを確実に回避する。
【解決手段】燃焼室内で圧縮されるだけでは自着火しない割合でガソリンと空気とが混合した第1の混合気を、該燃焼室内に形成する。次いで、水素ガスを該燃焼室内の一部の領域に噴射することにより、第2の混合気を形成する。水素ガスは有機ハイドレートを分解して発生させる。こうして形成した第2の混合気に点火することにより、該第2の混合気を燃焼させて該第1の混合気を圧縮自着火させる。水素ガスはオクタン価が高いので、点火前に自着火することはなく、第1の混合気の自着火時期を確実に制御して、ノックの発生を回避することができる。また、有機ハイドレートを分解すれば少量の原料から多量の水素を発生させることができるので、実用的なシステムを構成することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃焼室内で燃料と空気との混合気を圧縮し、自着火させることによって動力を取り出す技術に関し、より詳しくは、混合気の自着火を制御することで、燃焼により生じる大気汚染物質の発生を抑制しつつ、高い効率で動力を取り出す技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は、比較的小型でありながら大きな動力を発生させることができるので、自動車や、船舶、航空機など種々の移動手段の動力源として、あるいは工場などの定置式の動力発生源として広く使用されている。これら内燃機関はいずれも、燃焼室内で燃料を燃焼させ、このときに発生する圧力を、機械的仕事に変換して出力することを動作原理としている。
【0003】
近年では、地球環境を保護するために、内燃機関から排出される大気汚染物質の排出量を低減させることが、強く要請されるようになってきた。また、地球の温暖化要因となる二酸化炭素の排出量を低減する観点から、あるいは内燃機関の運転コストを低減させるために、燃料消費量の更なる低減が強く要請されるようになってきた。
【0004】
これらの要請に応えるべく、混合気を燃焼室内で圧縮自着火させる燃焼方式(本明細書では、この燃焼方式を「予混合圧縮自着火燃焼方式」と呼ぶ)の内燃機関が注目されている。詳細には後述するが、予混合圧縮自着火燃焼方式を採用した内燃機関は、排気ガス中に含まれる大気汚染物質の排出量と燃料消費量とを同時に、しかも大幅に低減することが可能である。しかし、かかる燃焼方式は混合気を圧縮自着火させている関係上、内燃機関の運転条件によっては混合気が自着火する時期が早過ぎて圧縮中に自着火し、強いノックが発生することがある。
【0005】
そこで、燃焼室内で燃料濃度が次第に小さくなるような混合気を形成しておき、燃料濃度が大きい側の一部の混合気に点火することで、残余の混合気の自着火時期を制御可能とする技術が提案されている(特許文献1)。かかる技術においては、一部の混合気に点火して燃焼させることで燃焼室内の圧力を上昇させ、これにより残余の混合気を圧縮して自着火させる。ここで、圧縮された混合気が自着火するまでの遅れ時間(自着火遅れ時間)は、燃料濃度が小さくなるほど長くなるので、圧縮された残余の混合気は、一度に自着火することなく、燃料濃度の大きい領域から次々と自着火していく。こうすれば、混合気に点火する時期を制御することで、一連の自着火が開始される時期を制御することができ、ノックの発生を回避することが可能である。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−254660号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際には、こうした技術を適用した場合でも、混合気の自着火時期を確実に制御してノックの発生を回避することは、必ずしも容易なことではない。何故なら、混合気に点火するためには、燃料が空気と混じり合って混合気を形成していなければならず、従って、燃焼室内に燃料を噴射してから点火するまでの間には、燃料が空気と混じり合うためのある程度の時間を確保しておく必要がある。ところが、内燃機関の運転条件によっては、燃料と空気とが混じり合う間に自着火してしまうことがあり、この様な場合は点火前に混合気が自着火してしまうので、点火時期によって自着火時期を制御することはできない。
【0008】
こうした課題を解決するべく、本願の出願人は、燃焼室内に少量の水素ガスを供給することで、混合気の自着火時期を制御する技術を開発して既に出願済みである(特願2002−196291号)。もっとも、かかる技術においては自着火時期の制御は可能となるものの、水素ガスの搭載方法については十分な考慮がされておらず、内燃機関全体としては依然、改良の余地が残されている。すなわち、水素ガスを高圧タンクに充填して搭載したのでは、搭載するために大きなスペースが必要となるだけでなく、ガス漏れなどに対して安全上の観点から十分な配慮を行わなければならず、更に、水素ガスの補充もガソリンのようには容易では無いなどの課題が存在し、内燃機関全体として見たときに、実用性の観点から更なる改良が望まれていた。
【0009】
この発明は従来技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、予混合圧縮自着火燃焼方式を適用した内燃機関において、混合気の自着火時期を確実に制御可能で、しかも実用的な技術の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の内燃機関は次の構成を採用した。すなわち、
燃料と空気との混合気を燃焼室内で圧縮し、該圧縮した混合気を燃焼させて動力を出力する内燃機関であって、
前記燃焼室内で前記混合気を圧縮する混合気圧縮機構と、
前記燃焼室内に前記燃料としてガソリンを噴射することにより、該ガソリンと空気とが前記混合気圧縮機構による圧縮では自着火しない割合で混合した第1の混合気を、該燃焼室内に形成する第1の混合気形成手段と、
有機ハイドレートを分解することによって水素ガスを発生させる水素ガス発生手段と、
前記発生させた水素ガスを前記燃焼室内に噴射することにより、該水素ガスと空気とが混合した第2の混合気を該燃焼室内の一部の領域に形成する第2の混合気形成手段と、
前記第2の混合気を燃焼させて前記第1の混合気を圧縮し自着火に至らしめるべく、該第2の混合気に点火する点火手段と
を備えることを要旨とする。
【0011】
また、上記の内燃機関に対応する本発明の制御方法は、
燃料と空気との混合気を燃焼室内で混合気圧縮機構を用いて圧縮し、該圧縮した混合気を燃焼させて動力を出力する内燃機関の制御方法であって、
前記燃焼室内に前記燃料としてガソリンを噴射することにより、該ガソリンと空気とが前記混合気圧縮機構による圧縮では自着火しない割合で混合した第1の混合気を、該燃焼室内に形成する第1の工程と、
有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させる第2の工程と、
前記発生させた水素ガスを前記燃焼室内に噴射することにより、該水素ガスと空気とが混合した第2の混合気を該燃焼室内の一部の領域に形成する第3の工程と、
前記第2の混合気を燃焼させて前記第1の混合気を圧縮し自着火に至らしめるべく、該第2の混合気に点火する第4の工程と
を備えることを要旨とする。
【0012】
かかる本発明の内燃機関および内燃機関の制御方法においては、燃焼室内で圧縮されただけでは自着火しない割合でガソリンと空気とが混合した第1の混合気を、該燃焼室内に形成する。次いで、該燃焼室に水素ガスを供給することにより、該燃焼室内の一部の領域に第2の混合気を形成する。水素ガスは有機ハイドレートを分解することによって発生させる。こうして形成した第2の混合気に点火することによって、該燃焼室内の圧力を上昇させ、第1の混合気を圧縮して自着火に至らしめる。
【0013】
第1の混合気は燃焼室内で圧縮されただけでは自着火することはなく、また、水素ガスは、自着火し難い性質を有しているため、燃焼室内で圧縮された混合気中に噴射しても水素ガスが直ちに自着火することはない。その一方で水素ガスは、点火により容易に着火する性質を有しているため、第2の混合気に点火することで燃焼が開始され、かかる燃焼によって第1の混合気を圧縮し自着火に至らしめることができる。こうすれば、第2の混合気に点火する時期を制御することで、第1の混合気を所望の時期に自着火させることができる。その結果、内燃機関がどのような条件で運転されている場合でも、内燃機関をノックさせることなく、混合気を圧縮自着火させながら運転することが可能となる。詳細には後述するが、混合気を圧縮自着火させながら内燃機関を運転した場合、該内燃機関から排出される大気汚染物質の排出量および燃料消費量を同時に且つ大幅に減少可能なことが知られている。従って、こうして内燃機関の運転条件に関わらず混合気を圧縮自着火させながら運転することができれば、大気汚染物質の排出量および燃料消費量をより一層減少させることが可能となって好ましい。
【0014】
更に、燃焼室内に噴射する水素ガスは、有機ハイドレートを分解することにより発生させている。詳細な理由は後述するが、こうして水素ガスを発生させれば、水素ガスを発生させるために大きなスペースを必要とせず、また、ガス漏れなどに対しても安全性が高く、しかも原料の補充も容易であり、従って、内燃機関全体として十分に実用性の高いシステムを構成することが可能となる。加えて、極めて少量の水素ガスを燃焼させただけで、第1の混合気を圧縮して自着火に至らしめることが可能であり、従って燃焼室内に噴射する水素ガスは、着火可能な最小限の分量でよい。このため、水素ガスの原料となる有機ハイドレートも僅かな分量で足りるので、こうした点からも、実用性の高いシステムを構成することができる。
【0015】
こうした内燃機関および制御方法においては、有機ハイドレートとしてデカリン(デカヒドロナフタレン)を用いることとしてもよい。
【0016】
デカリンは液体であり、しかもデカリン1mol から5mol の水素ガスを発生させることができる。すなわち、少量のデカリンから多量の水素ガスを発生させることができるので、水素ガスを発生させるために大きなスペースを要しないので好ましい。また、デカリンを分解して水素ガスを発生させる際に副生成物として生じるナフタレンは、比較的安定で配管類を劣化させることもない。
【0017】
デカリンを分解して水素ガスを発生させる際には、加熱条件下でデカリンと触媒とを接触させることとしてもよい。こうすれば、デカリンを速やかに分解して水素ガスを発生させることが可能である。
【0018】
デカリンを分解して水素ガスを発生させると、副生成物としてナフタレンが生じるが、このナフタレンを、前記第1の混合気に添加して、ガソリンとともに燃焼させることとしてもよい。もちろん、有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させた場合は、これによって生じた炭化水素系化合物をガソリンとともに燃焼させることとしてもよい。
【0019】
水素ガスとともに副生成物として生じるナフタレンなどの炭化水素系の化合物は、ガソリンとともに燃焼させることができる。従って、こうすれば副生成物を処理することができるので好適である。更に、ナフタレンなどのこうした副生成物はガソリンに比べてオクタン価が高いので、ガソリンとともに燃やせば、ノックの発生を抑制して内燃機関の性能を向上させることができるので好適である。
【0020】
水素ガスを発生させる際の副生成物として生じたナフタレンは、燃焼室内に直接噴射することとしてもよい。ナフタレンは温度が低くなると固化する性質があるが、燃焼室内に直接噴射してやれば、ナフタレンを確実に燃焼室内に供給し、前記第1の混合気とともに燃焼させることができるので好ましい。
【0021】
あるいはナフタレンを、前記燃焼室に流入する空気中に噴射し、該空気とともに該燃焼室に供給することによって、前記第1の混合気に添加することとしてもよい。空気が燃焼室に流入する前に該空気中にナフタレンを噴射することとすれば、噴射圧力をさほど高めずともナフタレンを噴射することができるので、噴射系を簡素なものとすることが可能である。
【0022】
更には、前記燃焼室内に噴射されるガソリンを蓄えておくガソリン容器に、前記ナフタレンを添加することとしてもよい。ナフタレンはガソリンに溶解するので、こうすればナフタレンをガソリンとともに燃焼室内に噴射することができる。従って、ナフタレンを第1の混合気に簡便に添加して燃焼させることが可能となるので好ましい。
【0023】
ナフタレンを第1の混合気に添加するこうした方法では、ナフタレンを添加するための通路の少なくとも一部で、該ナフタレンを加熱することとしてもよい。ナフタレンは温度が低くなると固化する性質があるので、こうしてナフタレンを加熱してやれば、ナフタレンの固化を防いで燃焼室に確実に供給することが可能となるので好ましい。
【0024】
燃焼室内に水素ガスを噴射するこうした内燃機関においては、該燃焼室内に噴射される水素ガスを水素容器に蓄えておき、該水素容器内の圧力を検出して、該検出した圧力に基づいて、前記有機ハイドレートの分解量を制御することとしてもよい。
【0025】
例えば、水素容器内の圧力が低下した場合は有機ハイドレートの分解量を増やし、逆に水素容器内の圧力が上昇した場合は分解量を減らしてやることで、水素容器内の圧力を一定に保つことができる。こうして圧力を一定に保ってやれば、燃焼室内に安定して水素ガスを噴射することが可能となるので好ましい。
【0026】
あるいはこうした内燃機関においては、該内燃機関が発生させるべき要求トルクを検出し、該検出した要求トルクが所定の第1の閾値よりも小さい場合には、次のようにして混合気を燃焼させても良い。先ず、ガソリンと空気とが前記混合気圧縮機構による圧縮で自着火する割合で混合した第3の混合気を、前記燃焼室内に形成する。また、水素ガスの噴射は休止して前記第2の混合気の形成は行わない。これに伴って、該第2の混合気に対する点火も休止する。そして、前記混合気圧縮機構により、前記第3の混合気を圧縮して自着火させることとしてもよい。
【0027】
燃焼室内で混合気を圧縮自着火させる内燃機関では、負荷が低い場合はノックが発生し難いので、前述したように燃焼室内に噴射した水素ガスに点火せずとも、混合気を圧縮することで適切な時期に自着火させることができる。従って、第1の閾値として適切な値を予め設定しておき、要求トルクがかかる第1の閾値より小さい場合に、前記第3の混合気を圧縮して自着火させることとすれば、水素ガスを節約しながら効率よく使用することができるので好適である。
【0028】
こうした内燃機関において、要求トルクが更に小さい場合、すなわち、前記第1の閾値よりも小さな所定の第2の閾値より、該要求トルクが小さい場合には、次のようにして混合気を燃焼させることとしてもよい。すなわち、前記第1の混合気よりもガソリン濃度の高い混合気を前記燃焼室内に形成し、更に水素ガスを噴射することにより、ガソリンと水素ガスと空気との混合気を形成する。こうして形成したガソリンと水素ガスと空気との混合気に点火して燃焼させることとしても良い。
【0029】
負荷が極端に低くなると混合気を圧縮して自着火させ難くなるので、この様な条件では混合気に点火して燃焼させることが好ましい。もっとも、こうした場合は混合気を圧縮自着火させたときのメリット、すなわち燃料消費効率の向上および大気汚染物質の排出量が減少するというメリットは得られなくなってしまう。しかし、水素ガスは着火範囲がたいへんに広いので、混合気に水素ガスを添加することで、燃料濃度の極めて低い混合気を燃焼させることが可能である。従って、混合気に水素ガスを添加して、燃料濃度の極めて低い混合気を燃焼させてやれば、負荷の極端に低い条件においても、燃料消費効率を向上させ、大気汚染物質の排出量を減少させることが可能となるので好適である。
【0030】
あるいはこうした内燃機関においては、検出した要求トルクが大きい場合、すなわち、前記第1の閾値よりも大きな所定の第3の閾値を要求トルクが上回っている場合は、次のようにして混合気を燃焼させることとしても良い。ガソリンと空気とが理論混合比で混合した混合気(理論混合気)を燃焼室内に形成し、この理論混合気に点火して燃焼させる。また、内燃機関の回転速度を検出して、検出した回転速度が所定の閾値速度よりも大きい場合にも、同様に、燃焼室内にガソリンと空気との理論混合気を形成し、この理論混合気に点火して燃焼させることとしても良い。
【0031】
内燃機関に対する要求トルクが大きい場合は、大きな動力を出力しなければならないので、混合気を圧縮して自着火させるよりも理論混合気に点火して燃焼させる方が適している。また、理論混合気は容易に着火し、且つ速やかに燃焼することから、内燃機関を高速回転させるためにも適している。従って、内燃機関に対する要求トルクが大きい場合や回転速度が高い場合には、燃焼室内に理論混合気を形成し、この混合気に点火してやることで、内燃機関を適切に運転することが可能となる。
【0032】
あるいは、上述した内燃機関の燃焼室内に、所定温度以上に加熱された加熱表面を設けておき、水素ガスを含んだ前記第2の混合気を、この加熱表面で熱面着火させることとしても良い。
【0033】
水素ガスは加熱表面に接触すると容易に熱面着火する性質がある。従って、水素ガスのこの性質を利用すれば、第2の混合気を簡便に且つ確実に着火することが可能となる。
【0034】
こうした加熱表面としてはグロープラグを用いることとしても良い。グロープラグは、いわゆるディーゼルエンジンなど拡散燃焼方式の内燃機関で広く使用されているので、入手が容易であり、しかも十分な信頼性を有している。従って、グロープラグを用いれば、燃焼室内に加熱表面を簡便に且つ確実に設けることができる。
【0035】
あるいは、ピストン表面に蓄熱部材を設けておき、この蓄熱部材の表面を加熱表面として利用することもできる。ピストン表面は、燃焼室内での混合気の燃焼に晒されているので、ピストン表面に蓄熱部材を設けておけば、燃焼熱が蓄熱部材に蓄えられ、簡便に加熱表面を形成することが可能である。
【0036】
更には、前記ピストンの表面に凹部を設けておき、この凹部に向かって水素ガスを噴射することで前記第2の混合気を形成することとして、凹部の少なくとも一部をこの蓄熱部材を用いて形成することとしても良い。
【0037】
こうすれば噴射された水素ガスは凹部内に留まるので、第2の混合気を凹部内に確実に形成することができるとともに、蓄熱部材に蓄えられた熱で第2の混合気を確実に熱面着火させることができるので好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明の作用・効果をより明確に説明するために、次の順序に従って、本発明の実施例について説明する。
A.第1実施例:
A−1.装置構成:
A−2.エンジン制御の概要:
A−3.燃焼制御の概要:
A−4.変形例:
B.第2実施例:
【0039】
A.第1実施例:
A−1.装置構成:
図1は、第1実施例のエンジン10の構造を概念的に示した説明図である。第1実施例のエンジン10は、吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程を繰り返しながら燃焼室内で混合気を燃焼させることによって動力を出力する4サイクル式のエンジンである。図1に示すようにエンジン10は、シリンダヘッド130およびシリンダブロック140などから成るエンジン本体100と、水素ガスを発生させてエンジン本体100に供給する水素ガス発生装置200などから構成されている。尚、エンジン本体100は、その構造を示すために、燃焼室のほぼ中央位置で断面を取った状態を表示している。
【0040】
図示されているように、エンジン本体100の基本構造は、シリンダブロック140の上部にシリンダヘッド130が組み付けられた構造となっている。シリンダブロック140の内部には、円筒形のシリンダ142が設けられており、このシリンダ142の内部をピストン144が上下に摺動する。シリンダ142とピストン144とシリンダヘッド130の下面とで囲まれた空間が燃焼室となる。
【0041】
ピストン144は、コネクティングロッド146を介してクランクシャフト148に接続されており、ピストン144はクランクシャフト148の回転にともなってシリンダ142内を上下に摺動する。
【0042】
シリンダヘッド130には、燃焼室に吸入空気を取り入れるための吸気通路12と、燃焼室内の混合気に点火するための点火プラグ136と、燃焼室内で発生した燃焼ガスを排出するための排気通路16などが接続されている。また、シリンダヘッド130には、吸気バルブ132と排気バルブ134とが設けられている。吸気バルブ132および排気バルブ134は、それぞれに電動アクチュエータ162、164によって駆動される。電動アクチュエータ162,164は、ピエゾ素子などの電歪素子を複数積層して構成されており、印加される電圧に応じて極めて高速に変形することにより、吸気バルブ132、排気バルブ134を開閉することができる。電動アクチュエータ162,164は、後述するECUの制御の下で、印加される電圧に応じて吸気バルブ132および排気バルブ134を駆動することにより、吸気通路12および排気通路16を開閉する。
【0043】
吸気通路12の上流側にはエアクリーナ20が設けられており、エアクリーナ20には空気中の異物を除去するためのフィルタが内蔵されている。エンジンに吸入される空気は、エアクリーナ20を通過する際にフィルタで異物を除去された後、燃焼室内に吸入される。また、吸気通路12には、スロットル弁22が設けられており、電動アクチュエータ24を駆動してスロットル弁22を適切な開度に制御することで、燃焼室内に吸入される空気量を制御することができる。
【0044】
シリンダヘッド130には、燃料噴射弁15および水素噴射弁14が設けられている。また、吸気通路12には、ナフタレン噴射弁19が設けられている。水素噴射弁14は、水素ガス発生装置200から水素ガスの供給を受けて燃焼室内に水素ガスを噴射する。燃料噴射弁15は、図示しない燃料ポンプから圧送されたガソリンを燃焼室内に噴射する。水素ガス発生装置200の詳細については後述する。ナフタレン噴射弁19は、水素ガス発生装置200が水素ガスを発生させる際に生じる副生成物(本実施例ではナフタレン)を噴射する。こうすることにより、噴射されたナフタレンは、ガソリンとともに燃焼室内で燃焼することになる。
【0045】
排気通路16の下流には、排気ガスに含まれる大気汚染物質を浄化するための触媒26が設けられている。こうして排気通路に触媒26を設けておけば、排気ガス中に僅かに含まれる大気汚染物質も完全に浄化することが可能となる。
【0046】
エンジン本体100の動作は、エンジン制御用ユニット(以下、ECU)30によって制御されている。更にECU30は、水素ガス発生装置200の制御も行う。ECU30は、CPUや、RAM、ROM、A/D変換素子、D/A変換素子などをバスで相互に接続して構成された周知のマイクロコンピュータである。ECU30は、エンジン回転速度Ne やアクセル開度θacを検出し、これらに基づいてスロットル弁22を適切な開度に制御する。エンジン回転速度Ne は、クランクシャフト148の先端に設けたクランク角センサ32によって検出することができる。アクセル開度θacは、アクセルペダルに内蔵されたアクセル開度センサ34によって検出することができる。ECU30は、水素噴射弁14や、燃料噴射弁15、点火プラグ136、ナフタレン噴射弁19などを駆動する制御も行う。
【0047】
水素ガス発生装置200は、水素ガスの原料となる有機ハイドレートを脱水素反応させることによって水素ガスを発生させる。本実施例では、有機ハイドレートとしてデカリン(デカヒドロナフタレン)を用いているが、もちろん、これに限らず、どのような有機ハイドレートも原料として用いることができる。
【0048】
本実施例の水素ガス発生装置200の構造について説明する。水素ガス発生装置200は、有機ハイドレートを蓄える原料タンク202と、原料タンク202から有機ハイドレートを汲み上げる原料ポンプ204と、供給された有機ハイドレートを脱水素反応させる脱水素反応器206と、脱水素反応に使われる触媒を暖める触媒ヒータ208と、脱水素反応器206から排出された水素ガスと脱水素反応の副生成物(本実施例ではナフタレン)とを分離する水素分離容器210と、発生させた水素ガスを蓄えておく水素タンク212と、副生成物のナフタレンを蓄えておくナフタレンタンク214と、ナフタレンタンク214からナフタレン噴射弁19に供給する間にナフタレンが固化してしまうことを避けるため、通路を介してナフタレンを暖めるナフタレンヒータ218などから構成されている。
【0049】
脱水素反応器206では、デカリンを白金触媒と接触させる。こうすればデカリンは、次の反応式に従って水素ガスとナフタレンとに分解する。
1018 → C108  + 5H2 
ここで白金触媒は、触媒ヒータ208によって250℃以上の温度に保たれており、上式によるデカリンの脱水素反応は速やかに進行する。尚、触媒は、必ずしも白金触媒に限られるものではなく、他の周知の触媒の中から適切なものを選択して用いることも可能である。
【0050】
水素タンク212には圧力センサ216が設けられており、これによって検出されたタンク内圧はECU30に出力される。ナフタレンタンク214には、ポンプなどの加圧機構が内蔵されており、タンク内のナフタレンをナフタレン噴射弁19に向かって圧送する。また、ナフタレンタンク214にもナフタレンの蓄積量を検出するセンサが設けられており、ナフタレンの蓄積量が許容値を超えた場合にはECU30に向かって警報を出力して、タンク内に堆積したナフタレンを取り除くよう促すようになっている。
【0051】
ナフタレンヒータ218は、本実施例では排気ガスの一部を循環させることにより、排熱を有効利用して暖める方式のヒータを採用している。こうすれば、ナフタレンを暖めるためのエネルギが不要となる。もちろん、電力など他の方法を用いて暖めることとしても良い。電力などを用いてやれば、加熱量をきめ細かく制御することが可能となる。
【0052】
図2は、エンジン本体100の内部に設けられている燃焼室の構造を示す説明図である。図2(a)は燃焼室のほぼ中央位置で断面を取ったときの側断面図である。図示するように、ピストン144の頂面には、水素噴射弁14から噴射された水素ガスを点火プラグ136に導くための凹部143が設けられている。図2(b)は燃焼室の一部を構成するピストン頂面を、上方(すなわちシリンダヘッド130側)から見たピストン144の上面図である。ピストン頂面に設けられた凹部143と、シリンダヘッド130に設けられた水素噴射弁14や点火プラグ136等との位置関係を明確にするために、図2(b)では、水素噴射弁14や、燃料噴射弁15、点火プラグ136、吸気バルブ132,排気バルブ134を細い破線で表示している。図示するように、本実施例では凹部143は水素噴射弁14のほぼ先端付近から、ピストン頂面の点火プラグ136と対向する位置に亘って設けられている。
【0053】
A−2.エンジン制御の概要:
以上のような構成を有するエンジン10は、ECU30の制御の下で、ガソリンを燃焼させて動力を発生する。図3は、ECU30が行うエンジン運転制御ルーチンの流れを示したフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
【0054】
エンジン制御ルーチンを開始すると、先ず初めにECU30は、エンジン10が発生させるべき目標出力トルクを算出する処理を行う(ステップS100)。目標出力トルクは、アクセル開度センサ34で検出したアクセル開度θacに基づいて算出する。すなわち、エンジンの操作者は、エンジンの出力トルクを増やしたいと思った場合はアクセルペダルを踏み増す操作を行う。また、エンジンからトルクを発生させる必要がないと考えた場合は、アクセルペダルを全閉状態とする。従って、アクセルペダルの操作量はエンジン操作者が要求しているトルクを代表していると考えることができる。ステップS100では、こうした原理に基づいて、アクセル開度θacからエンジンが出力すべき目標出力トルクを算出する。
【0055】
次いで、ECU30はエンジン回転速度Ne を検出する(ステップS102)。エンジン回転速度Ne は、クランク角センサ32の出力に基づいて算出することができる。
【0056】
目標出力トルクおよびエンジン回転速度を検出したら、制御方式を設定する処理を行う(ステップS104)。これは、次のような処理である。混合気の燃焼方式として予混合圧縮自着火燃焼方式を採用した場合は、大気汚染物質の排出量が少なく、燃料消費量も少ないという優れた特性を得ることができるが、エンジンの負荷が高くなるとノックを起こし易くなる。詳細には後述するが、こうした問題を解決するために第1実施例のエンジン10は、エンジンの負荷が高い条件では、圧縮上死点付近のタイミングで燃焼室内に水素ガスを噴射し、水素ガスに点火して燃焼室内の混合気を自着火させることにより、ノックの発生を回避している。また、混合気を圧縮自着火させることが困難となる極低負荷域や、大きな出力が必要となる極高負荷域あるいは高回転域では、更にこれとは異なる燃焼方式を採用している。
【0057】
そこで、ステップS104では、エンジンの現在の運転条件が、「極低負荷条件」、「低負荷条件」、「高負荷条件」、「極高負荷・高回転条件」のいずれに該当するかを検出し、それぞれの条件に応じて適切な制御方式を設定する処理を行う。具体的には、ECU30に内蔵されたROMには、エンジン回転速度と目標出力トルクとの組合せに応じて該当する運転条件が、図4に概念的に示すようなマップの形式で予め記憶されている。ステップS104では、かかるマップを参照することにより、それぞれの運転条件に応じた適切な制御方式を設定する。
【0058】
制御方式を設定したら、続いて燃焼室内に噴射する燃料量および吸入空気量を算出する処理を行う(ステップS106)。また、極低負荷条件および高負荷条件では、ステップS106において水素ガスの噴射量を算出する処理も行う。これらの燃料噴射量および吸入空気量(必要な場合は水素ガス噴射量)は、「極低負荷条件」、「低負荷条件」、「高負荷条件」、「極高負荷・高回転条件」の各条件毎に用意されているマップを参照することによって算出する。
【0059】
図5は、ECU30のROM内に、各条件毎に必要なマップがそれぞれ記憶されている様子を概念的に表した説明図である。極低負荷条件用には、吸入空気量のマップと燃料噴射量のマップと水素ガス噴射量のマップが記憶されている。また、低負荷条件用には吸入空気量のマップと燃料噴射量のマップが、高負荷条件用には吸入空気量のマップと燃料噴射量のマップと水素ガス噴射量のマップが、極高負荷・高速回転条件用には吸入空気量と燃料噴射量のマップが、それぞれ記憶されており、各マップにはそれぞれ、実験的な手法によって求められた適切な値が記憶されている。
【0060】
ここで、予混合圧縮自着火燃焼方式において、図5のマップに示すような吸入空気量および燃料噴射量を設定するための基本的な考え方について簡単に説明しておく。予混合圧縮自着火燃焼方式においても、吸入空気量および燃料噴射量を設定するためには、先ず初めに内燃機関に要求されているトルク(要求トルク)を決めてやらなければならない。要求トルクを決めると、この値に応じて、自ずから燃料量はほぼ決まってしまう。すなわち、内燃機関は燃料を燃焼させて燃焼室内の圧力を上昇させ、この圧力をトルクに変換して出力しているので、トルクの発生量と燃料量とはほぼ一対一に対応しており、要求トルクが決まれば、これに応じて必要な燃料量を決めることができる。燃料量を決定したら、次に空気量を決定する。混合気を圧縮して自着火させるためには、空気と燃料とが所定の割合で混合していることが必要である。従って、燃料量を決めると、この燃料と混合すべき空気量は自ずからある範囲内に決まってしまう。そこで、この範囲の中から良好な燃焼状態が得られる空気量を実験的に決定する。ガソリンとともに水素ガスを噴射する場合は、上述したようにして決定した燃料の一部を、水素ガスに置き換えてやる。置き換えに際しては、ガソリンと水素ガスとの発熱量に応じて定まる所定の比率で置き換える。尚、ガソリンを水素ガスに置き換える分量は、できるだけ水素ガスの消費量が少なくなるように、実験的な手法を用いて決定する。
【0061】
また、本実施例ではデカリンと呼ばれる有機ハイドレートを分解することによって水素ガスを発生させており、水素ガスの発生に伴ってナフタリンが副生成物として生成される。このナフタレンの一部は、燃焼室内でガソリンとともに燃料として燃焼させることによって処理される。従って、上述した方法により決定した燃料量は、更に一部がナフタレンに置き換えられる。ナフタレンはガソリンに比べて燃え難いので、ナフタレンの割合をあまり多くしたのでは混合気の燃焼状態に悪影響を与えるおそれがある。そこで、本実施例では、ガソリンに対してナフタレンは、運転条件に関わらず常に同じ比率となるように設定されている。以下では、説明が煩雑となることを避けるために、ガソリンとナフタレンとを合わせて燃料と呼ぶことがあるものとする。尚、ここでは、ガソリンとナフタレンとは常に同じ比率に設定されているものとして説明するが、もちろん、この比率を運転条件に応じて最適化してもよい。
【0062】
図3のステップS106において、以上のようにして設定されたマップを参照しながら吸入空気量および燃料噴射量(必要な場合は、更に水素噴射量)を算出したら、続いて、算出した分量の空気が各燃焼室に吸入されるように、スロットル弁22の開度を制御する処理を行う(ステップS108)。スロットル弁の開度の制御は周知の種々の方法で行うことができる。例えば、吸気通路12に設けたエアフローセンサで吸入空気量を計測し、適切な空気量となるようにスロットル弁22の開度を制御してやればよい。あるいは、エアフローセンサを用いるのではなく、スロットル弁22の下流側の吸気通路内圧力を計測して、吸入空気量を算出してもよい。簡便には、エンジン回転数に応じて適切な空気量が得られるようなスロットル開度を予めマップに設定しておき、このマップを参照してスロットル開度を設定することとしてもよい。
【0063】
ECU30は、スロットル制御に続いて燃料噴射制御を行う(ステップS110)。燃料噴射制御では、ステップS106で算出した燃料噴射量に基づいて燃料噴射弁15およびナフタレン噴射弁19を駆動することにより、ピストン144の動きに合わせて、適切なタイミングで適切な量の燃料を燃焼室内に供給する。燃料噴射制御の詳細については、別図を用いて後述する。
【0064】
燃料噴射制御を行ったらECU30は、現在の運転条件が、高負荷条件あるいは極低負荷条件のいずれかに該当するか否かを判断する(ステップS112)。いずれかの運転条件である場合は(ステップS112:yes)、水素噴射弁14から適切なタイミングで燃焼室内に水素ガスを噴射する制御を行う(ステップS114)。また、いずれの条件にも該当しない場合は(ステップS112:no)、水素ガス噴射制御は行わずに制御をスキップする。
【0065】
次いで、エンジンの運転条件が低負荷条件に該当するか否かを判断する(ステップS116)。そして今度は、低負荷条件に該当していない場合にだけ点火制御を行う(ステップS118)。点火制御とは、点火プラグ136から適切なタイミングで火花を飛ばして、燃焼室内の混合気に点火する制御である。点火時期は、低負荷条件を除いた各条件毎に、エンジン回転速度と要求トルクとに対するマップの形式で予め適切なタイミングが記憶されている。ステップS118においては、ECU30は、このマップを参照することにより、適切なタイミングで点火プラグ136を駆動する処理を行う。また、現在の運転条件が低負荷条件に該当する場合は、ピストンを上昇させて圧縮するだけで混合気を自着火させることができるので、点火プラグから火花を飛ばすための制御はスキップする。
【0066】
こうして混合気を燃焼させると、燃焼室内の圧力が急激に上昇してピストン144を下方向に押し下げようとする。この力は、コネクティングロッド146を介してクランクシャフト148に伝えられ、クランクシャフト148でトルクに変換されて動力として出力される。
【0067】
次いで、ECU30は、エンジンを停止する旨が設定されたか否かを確認し(ステップS120)、停止する旨が設定されていなければステップS100に戻って続く一連の処理を繰り返す。エンジンを停止する旨が設定された場合は、そのままエンジン運転制御ルーチンを終了する。このようにしてエンジン10は、ECU30の制御の下で、図3の制御ルーチンに従って運転され、操作者の設定に応じたトルクを出力する。
【0068】
A−3.燃焼制御の概要:
上述したエンジン運転制御ルーチンにおいて、燃料噴射制御、水素ガス噴射制御、点火制御などを行うことにより、燃焼室内で混合気を燃焼させる制御内容について説明する。前述したようにエンジン10は、現在の運転条件が、「極低負荷条件」、「低負荷条件」、「高負荷条件」、「極高負荷・高回転条件」のいずれに該当するかに応じて、制御内容が異なっている。以下では、それぞれの運転条件での制御内容について順番に説明する。
【0069】
(1)極低負荷条件時:
図6は、極低負荷条件において、吸気バルブ132や、排気バルブ134、燃料噴射弁15、ナフタレン噴射弁19、水素噴射弁14、点火プラグ136の駆動タイミングを示した説明図である。図中でTDCとは、ピストン144が上死点の位置となるタイミングを示し、BDCとは、ピストン144が下死点の位置となるタイミングを示している。
【0070】
図示されているように、極低負荷条件では、TDCの少し前のタイミングで吸気バルブ132を開いた後、ピストン144を降下させる。吸気バルブ132を開いたままピストン144を降下させれば、燃焼室内に空気が吸入される。空気の吸入量は、スロットル弁22の開度によって決定される。吸気の開始後、TDCを少し過ぎた辺りの所定のタイミングで燃料噴射弁15から燃焼室内にガソリンを噴射し、続いて水素噴射弁14から水素ガスを、そしてナフタレン噴射弁19から吸気通路12にナフタレンを噴射する。これらの噴射期間は、図中ではハッチングを付すことによって表示している。ガソリン、ナフタレン、および水素ガスの噴射量は噴射期間を変更することによって制御することができる。これらの噴射期間は、図3のステップS106で予め算出しておいた燃料噴射量および水素ガス噴射量に基づいて決定される。また、ナフタレン噴射弁19の噴射期間は、燃料噴射弁15に対して常に一定の比率に設定される。こうして燃焼室内に噴射されたガソリンおよび水素ガス、更に、吸気通路12に噴射されて空気とともに燃焼室内に流入したナフタレンは、ピストン144の動きにつれて燃焼室内で攪拌され、燃料(ガソリンおよびナフタレン)と水素ガスと空気とが均一に混ざり合った混合気を形成する。
【0071】
ピストン144がBDCを超えた辺りで吸気バルブ132を閉じてやる。ピストン144の動きは、BDCを境として降下から上昇に転じるので、BDC後に吸気バルブ132を閉じてやれば、ピストン144の上昇とともに燃焼室内の混合気が圧縮される。そして、ピストン144が再びTDCに達した付近で、点火プラグ136から火花を飛ばすことにより、燃焼室内で圧縮された混合気に点火してやる。図中では、点火のタイミングを星印で表示している。その結果、混合気は速やかに燃焼して燃焼室内の圧力が上昇し、ピストン144を押し下げようとする。こうしてピストン144は燃焼室側からの圧力を受けながら降下し、このとき受けた圧力を機械的仕事に変換して動力として出力する。
【0072】
その後、ピストン144がほぼ下がりきってBDCに達する辺りで、今度は排気バルブ134を開いてやる。すると、ピストン144が上昇するに伴って燃焼室内の排気ガスが排気バルブ134から排出される。こうして、ピストン144がほぼTDCに達するころには、燃焼室内の排気ガスがほぼ排出されるので、排気バルブ134を閉じ、代わりに吸気バルブ132を開いてやる。そして、再びピストン144を降下させ、空気の吸入を開始する。
【0073】
本実施例のエンジン10では、こうして極低負荷条件においては、燃料(ガソリンおよびナフタレン)とともに水素ガスを噴射することにより、水素ガスを含んだ混合気を燃焼室内に形成して燃焼させる。混合気に水素ガスを添加してやれば、以下に述べる理由から、エンジン10の燃料消費効率を改善すると同時に、大気汚染物質の排出量を減少させることができる。また、ナフタレンを添加している効果については後述する。
【0074】
一般に、混合気は、空気に対する燃料の割合が少な過ぎても、逆に多すぎても燃焼せず、燃料と空気との混合比が所定の範囲内になければ着火しない性質がある。本明細書では、この様な範囲を着火範囲と呼ぶことにする。また、燃料と空気との混合比は、燃料に対する空気の重量比を取った空燃比と呼ばれる指標を用いて表すことが多い。水素ガスは、ガソリンなどの他の燃料に比べて着火範囲が広いという特長がある。従って、ガソリンでは着火しないような薄い混合気(空燃比の大きな混合気)であっても、混合気に少量の水素ガスを添加しておけば、先ず水素ガスが着火し、これが火種となってガソリンを燃焼させるので、最終的には混合気を燃焼させることができる。すなわち、ガソリンの混合気に少量の水素ガスを添加してやれば、ガソリン単独では着火しないような薄い混合気でも燃焼させることが可能となる。このため、燃料消費効率を改善するとともに、大気汚染物質の排出量も減少させることが可能となるのである。
【0075】
(2)低負荷条件時:
次に、低負荷条件における燃焼制御について説明する。図7は、低負荷条件において、吸気バルブ132や、排気バルブ134、燃料噴射弁15、ナフタレン噴射弁19、点火プラグ136の駆動タイミングを示した説明図である。図に示されるように、低負荷条件時は、ピストン144がTDCを過ぎて少し降下したタイミングで吸気バルブ132を開いてやる。図6と比較すれば明らかなように、低負荷条件では極低負荷条件に比べて、吸気バルブ132を開くタイミングが遅くなっている。このように遅くする理由については後述する。低負荷条件時は、燃料としては、ピストン144がTDCを過ぎて吸気バルブ132が開く前の所定のタイミングで、先ず始めにガソリンのみを噴射する。その後、吸気バルブ132を開いた後の所定のタイミングでナフタレンを噴射する。こうすれば、ナフタレンは空気の流入に合わせて燃料室内に流入する。空気とともに流入したナフタレンは、予め噴射されていたガソリンとともに燃焼室内を旋回して均一な混合気を形成する。尚、図7では、ガソリンは吸気バルブ132を開く前に噴射するものとしたが、吸気バルブ132を開いた後に噴射することとしてもよい。この場合は、ガソリンはナフタレンとともに空気の流れにのって燃焼室内に流入し、燃焼室内を旋回しながら均一な混合気を形成する。
【0076】
ピストン144は、BDCを境として降下から上昇に転じるので、BDCを過ぎた辺りのタイミングで吸気バルブ132を閉じてやる。こうすることで燃焼室内から混合気が逆流することを回避するとともに、混合気の圧縮を開始する。混合気はピストン144が上昇するとともに断熱圧縮されて混合気温度が上昇し、ピストン144がほぼTDCに達するタイミングで発火点に達する。その結果、燃焼室内の混合気がほぼ同時に自着火して予混合圧縮自着火燃焼が行われる。
【0077】
ここで、混合気は適切なタイミングで自着火しなければならず、自着火のタイミングが早過ぎても遅すぎてもエンジン10を円滑に運転することができない。そこで、混合気を適切なタイミングで自着火させるため、吸入空気量および燃料噴射量は、予め適切な値に設定されている。これについて若干補足して説明すると、先ず、吸入空気量については多くなるほど混合気の温度が上昇し易くなるので、混合気が着火し易くなる。また、空燃比には着火し易い最適値が存在しており、空燃比がこの最適値から離れるほど混合気は着火し難くなる。従って、吸入空気量と燃料噴射量とを適切な値に設定しておくことで、所望のタイミングで混合気を自着火させることができるのである。図5に概念的に示した低負荷条件時のマップには、このような適切な吸入空気量および燃料噴射量が設定されている。本実施例のエンジン10は、低負荷条件時にはこうして予混合圧縮自着火燃焼を行うことにより、燃料消費効率の改善と大気汚染物質の排出量の低減とを同時に実現している。予混合圧縮自着火燃焼を行うことで、こうしたことが可能となる理由については後述する。
【0078】
TDC付近で混合気が自着火すると燃焼室内圧力が上昇し、ピストン144を押し下げようとする。この力を受けながらピストン144は降下して、圧力を動力に変換する。ピストン144がBDCに達する辺りで、排気バルブ134を開いてやると、ピストン144の上昇に伴って燃焼室内から排気ガスが排出される。低負荷条件時は、図7に示されているように、ピストン144がTDCに達する前に排気バルブ134を閉じてやる。こうすることで、燃焼室内に排気ガスの一部を閉じ込めることができる。排気ガスは高温になっているので、ここに空気と燃料とを供給してやれば、混合気温度を高くすることができ、従って混合気を確実に自着火させることが可能となる。
【0079】
また、こうして排気バルブ134を早めに閉じる結果、燃焼室内には排気ガスの一部が閉じ込められているので、TDC付近で吸気バルブ132を開くと、閉じ込められていた排気ガスが燃焼室内から逆流してしまう。この様なことを避けるためには、ピストン144が少し下がって燃焼室内の圧力が下がったタイミングで、吸気バルブ132を開いてやればよい。前述したように、低負荷条件時は極低負荷条件時に比べて、吸気バルブ132を開くタイミングが遅くなっているのは、燃焼室内から排気ガスが逆流することを避けるためである。また、図7に示すように、ガソリンを噴射するタイミングを吸気バルブ132が開く前に設定しておけば、高温の排気ガス中に噴射することになるので、ガソリンの気化が促進され、均一な混合気を形成することが可能となる。
【0080】
図8は、低負荷条件において混合気を圧縮自着火させて燃焼させる様子を概念的に示した説明図である。図8(a)は、ピストン144の降下中にガソリンを噴射し、その後、吸気バルブ132を開いて空気を吸入している様子を概念的に示している。図中に示された細かいハッチングは、燃焼室内に噴射されたガソリンの噴霧を表しており、実線の矢印は、吸気バルブ132から流入する空気の流れを表している。吸気通路12内に噴射されたナフタレンは、空気とともに燃焼室に流入する。ガソリン噴霧は、こうして流入するナフタレンを含んだ空気とともに、燃焼室内で攪拌されて均一な混合気を形成する。
【0081】
図8(b)は、ピストン144を上昇させて燃焼室内の混合気を圧縮している様子を概念的に示している。このタイミングでは、燃料(ガソリンおよびナフタレン)は空気と完全に混合して均一な混合気を形成している。図中で燃焼室内全体にハッチングを付すことによって、このことを表現している。
【0082】
図8(c)は、ピストン144がほぼTDCに達した辺りで、燃焼室内の混合気がほぼ同時に自着火している様子を概念的に示している。図中で燃焼室内に示された小さな星印は、混合気が自着火している様子を概念的に表したものである。このように、予混合圧縮自着火燃焼方式では燃焼室内で混合気がほぼ同時に自着火するので、大気汚染物質の排出量と燃料消費量とを同時に且つ大幅に改善することが可能となっている。以下、この理由について簡単に説明する。
【0083】
予混合圧縮自着火燃焼させることで、こうしたことが可能となる理由は、「等容度の向上」と、「空気過剰率の増加」、および「比熱の増加」の3つの要因によるものと考えられる。先ず、第1の要因である「等容度の向上」について説明する。内燃機関に関するサイクル論の教えるところによれば、ガソリンエンジンの効率は、ピストンが圧縮上死点のタイミングで、燃焼室内の全ての混合気が瞬間的に(すなわち無限小の時間で)燃焼した時に最高値が得られる。もっとも、実際には燃焼室内の混合気を瞬間的に燃焼させることはできないが、燃焼室内の混合気を短時間で燃焼させる程、エンジンの効率を向上させることができる。等容度とは、全ての混合気の燃焼を如何に短時間で完了させたかを示す指標と考えることができる。等容度が高くなるほど、エンジンの効率は高くなる。
【0084】
予混合圧縮自着火燃焼方式では、混合気を圧縮して自着火させることにより、燃焼室内の混合気の燃焼をほぼ同時に開始することができる。その結果、全ての混合気の燃焼がほぼ同時に完了することになり、等容度を大きく向上させることができる。こうして等容度を向上させることができるので、エンジンの効率が改善されて、燃料消費量を大きく減少させることが可能となるのである。
【0085】
次に、第2の要因である「空気過剰率の増加」について説明する。予混合圧縮自着火燃焼方式では薄い(空燃比の大きな)混合気を燃焼させるので、大気汚染物質の排出量を低減させることができる。すなわち、エンジンから排出される主な大気汚染物質は、窒素酸化物と、炭化水素、一酸化炭素の3つであるが、混合気の空燃比を大きくするほど、窒素酸化物の生成量を減少させることができる。これは、空燃比が大きくなったことで火炎温度が低下することによる効果である。また、炭化水素と一酸化炭素は、いずれも燃料に対して酸素が不足した状態で燃焼させることによって生じるものである。従って、混合気の空燃比を大きくして、燃料に対する空気量を多くしてやれば、原理的には炭化水素および一酸化炭素の排出量も減少させることができる。もっとも実際には、燃焼室内の潤滑油膜によって燃料が補足されたり、燃焼が完結しないといった現象が発生して、却って炭化水素などの排出量が増加する場合もある。しかし、この様な場合でも、混合気の空燃比が小さければ、炭化水素や一酸化炭素などは排気通路16に設けた触媒26で効率よく浄化することが可能であり、結局、これらの排出量についても大幅に減少することができるのである。
【0086】
最後に、予混合圧縮自着火燃焼方式が優れた特性を示す第3の要因である「比熱の増加」について説明する。この要因も、薄い混合気を燃焼させていることに密接に関係している。濃い混合気を燃焼させた場合、燃料に対して十分な酸素が存在しないために、燃料は二酸化炭素や水の状態まで酸化されずに、一酸化炭素あるいは水素の状態で反応が止まってしまう。これに対して予混合圧縮自着火燃焼方式では、薄い混合気を燃焼させているので、燃料は二酸化炭素および水蒸気の状態まで酸化される。ここで、二酸化炭素や水蒸気は3つの原子が集まって形成された三原子分子であるのに対し、一酸化炭素や水素分子は2つの原子が集まって形成された二原子分子である。統計熱力学の教えるところによれば、三原子分子は二原子分子よりも比熱の値が大きく、従って、三原子分子の方が温度が上昇し難いと言える。このことから、予混合圧縮自着火燃焼方式では、薄い混合気を燃焼させるので、三原子分子である二酸化炭素や水蒸気の割合が高い分だけ比熱が大きくなる。その結果、火炎温度が抑制されて、窒素酸化物の排出量を大きく減少させることができるのである。
【0087】
(3)高負荷条件時:
予混合圧縮自着火燃焼方式では、このように燃焼室内の混合気を圧縮して自着火させているので、エンジンの負荷が高くなると(大きなトルクを出力しようとすると)強いノックが発生してしまう。すなわち、大きなトルクを出力するために、燃焼室内に吸入される燃料量と空気量とを増加させると、それに伴って吸入完了時の燃焼室内の圧力は高くなる。この状態で吸気バルブ132を閉じてピストンを上昇させると、混合気は高い圧力から圧縮されることになるので、混合気の圧力および温度は、エンジンの負荷が低い場合よりも速やかに上昇し、圧縮行程中に自着火して強いノックが発生するのである。そこで、高負荷条件時においてもノックを発生させることなく予混合圧縮自着火燃焼させるために、エンジン10は、高負荷条件では次のような制御を行う。
【0088】
図9は、高負荷条件において、吸気バルブ132や、排気バルブ134、燃料噴射弁15、ナフタレン噴射弁19、水素噴射弁14、点火プラグ136を駆動するタイミングを示した説明図である。図7に示した低負荷条件時に対して、水素ガスを噴射している点が大きく異なっており、他はほぼ同様である。以下では、低負荷条件時との相違点を中心に説明する。
【0089】
高負荷条件時も低負荷条件時と同様に、ピストン144がTDCを過ぎて少し降下したタイミングで吸気バルブ132を開いてやる。また、ガソリンはTDC後の吸気バルブ132を開く前の所定のタイミングで噴射し、ナフタレンは吸気バルブ132を開いた後に噴射する。こうして燃料(ガソリンおよびナフタレン)を噴射してピストン144を降下させると、燃焼室内にはこれら燃料の均一な混合気が形成される。尚、ガソリンの噴射時期は、高負荷条件時においても、吸気バルブ132を開いた後に設定しても良い。
【0090】
ここで、前述したように高負荷条件時は混合気が自着火し易いので、圧縮中に混合気が自着火してしまうことを避けるために、低負荷条件時よりも混合気の空燃比が大きな値となるように設定されている。また、本実施例ではガソリンとともにナフタレンが添加されており、このことも圧縮中に混合気が自着火することを抑制する方向に作用する。すなわち、ナフタレンはガソリンに比べて安定でオクタン価が高いので、ガソリン中にナフタレンを添加してやれば混合気のノックを抑制することができる。
【0091】
ピストン144がBDCを過ぎた辺りのタイミングで吸気バルブ132を閉じてピストン144を上昇させると、燃焼室内で混合気が圧縮される。圧縮とともに混合気の温度は上昇していくが、空燃比が大きな値に設定されているので、単にピストン144で圧縮しただけでは自着火に至ることはない。ナフタレンが添加されていることも自着火を抑制する方向に作用する。そして、TDC前の所定のタイミングで、水素噴射弁14から燃焼室内に少量の水素ガスを噴射する。水素ガスは、燃焼室内に既に形成されている混合気と混合しつつ、点火プラグ136の周辺に混合気を形成する。この混合気は、水素ガスが添加されている分だけ、燃焼室内の残余の領域を占める混合気よりは空燃比が小さくなっている。次いで、TDC近傍の所定のタイミングで点火プラグ136から火花を飛ばすことによって、水素ガスを含んだ混合気に点火してやる。すると、この混合気は速やかに燃焼して、その周辺にあるガソリンおよびナフタレンの混合気を圧縮する。
【0092】
図10はこの様子を概念的に示している。図中に示した大きな円は、燃焼室を概念的に表したものであり、燃焼室内に付された粗いハッチングはガソリンとナフタレンと空気との混合気が形成されている領域を表し、細かいハッチングは水素ガスを含んだ混合気が形成されている領域を表している。水素ガスを含んだ混合気は、水素ガスが添加されている分だけ濃い混合気となっているので、点火プラグ136で点火してやると速やかに燃焼し、図中に黒い矢印で示すように周囲の混合気を圧縮する。ガソリンの混合気は、ピストンで圧縮されただけでは自着火することはないが、こうして混合気の燃焼により更に圧縮されることで、ついに発火点を超えて自着火に至る。また、水素ガスを含んだ混合気が燃えると、燃焼室全体の圧力を上昇させることから明らかなように、図10で粗いハッチングを付した領域の混合気は一様に圧縮され、混合気がほぼ同時に自着火することになる。
【0093】
図9中のTDC近傍に示した星印は点火プラグ136から火花を飛ばすタイミングを示している。点火後は、図10を用いて説明したように、水素ガスを含んだ混合気が速やかに燃焼して周囲のガソリン混合気を圧縮し、これにより自着火に至らしめる。すなわち、こうすれば点火プラグ136から火花を飛ばすタイミングで、燃焼室内の混合気を自着火させるタイミングをコントロールすることが可能となる。
【0094】
こうして混合気を燃焼させると燃焼室内圧力が上昇して、ピストン144を押し下げようとする。ピストン144は、この圧力を動力に変換して出力する。ピストン144がBDCに達する辺りで、排気バルブ134を開いてやると、ピストン144の上昇に伴って燃焼室内から排気ガスが排出される。高負荷条件時においても低負荷条件時と同様に、排気バルブ134は、ピストン144がTDCに達する前に閉じてやることで、排気ガスの一部を燃焼室内に閉じ込めて、混合気の自着火を容易にしている。
【0095】
図11は、高負荷条件において混合気を圧縮自着火させて燃焼させる様子を概念的に示した説明図である。図11(a)は、ピストン144の降下中にガソリンを噴射し、その後、吸気バルブ132を開いて空気を吸入している様子を概念的に示している。低負荷条件時と同様に、空気とともにナフタレンも燃焼室内に流入する。低負荷条件時の様子を表した図8と同様に図11においても、図中に示された細かいハッチングおよび実線の矢印は、それぞれ燃料噴射弁15から噴射されたガソリン噴霧および、吸気バルブ132から流入する空気の流れを表している。
【0096】
図11(b)は、ピストン144がTDCに達する前の所定のタイミングで、水素噴射弁14から燃焼室内に水素ガスを噴射している様子を概念的に表している。本実施例では、ピストン144の頂面に向かって水素ガスを噴射する。ピストンの頂面には、図2を用いて前述したように、点火プラグ136に対向する位置に凹部143が設けられているので、水素噴射弁14から噴射された水素ガスは、この凹部143に導かれるようにして点火プラグ136の近傍に混合気を形成する。このため、ピストン144がTDCに達する辺りの所定のタイミングで点火プラグ136から火花を飛ばしてやれば、水素ガスを含んだ混合気に確実に点火してやることができる。
【0097】
図11(c)は、ピストン144がほぼTDCに達した辺りで点火プラグ136から火花を飛ばすことにより、水素ガスを含んだ混合気に点火している様子を概念的に示している。図10を用いて前述したように、こうして水素ガスを含んだ混合気に点火してやれば、その周辺にあるガソリンおよびナフタレンの混合気を圧縮して、ほぼ一斉に自着火させることができる。図11(c)において、燃焼室内に示した複数の小さな星印は、ガソリンおよびナフタレンの混合気が一斉に自着火している様子を概念的に表したものである。
【0098】
このように本実施例のエンジン10は、高負荷条件時には、ピストンによる圧縮だけでは自着火しない薄い混合気を燃焼室内に形成し、圧縮行程の後半の所定のタイミングで噴射した燃料に点火して、これによる圧力上昇を利用することにより、燃焼室内に形成しておいた薄い混合気を自着火させている。こうすれば、点火プラグ136から火花を飛ばすタイミングによって、燃焼室内の混合気が自着火するタイミングを制御することができるので、高負荷条件においてもノックを発生させることなく予混合圧縮自着火燃焼を実現することが可能となる。
【0099】
もちろん、点火プラグ136で点火する燃料は、ガソリンを用いることも可能であるが、本実施例では水素ガスを用いることで、次のような種々のメリットを得ることができる。
【0100】
先ず、水素ガスはガソリンに比べてオクタン価が高い(自着火し難い)ので、圧縮上死点付近の高温になった混合気中に噴射しても、簡単には自着火することがない。従って、水素ガスの混合気が燃焼を開始するタイミングは、常に点火プラグ136で点火したタイミングとすることができ、その結果、ガソリンの混合気が圧縮自着火するタイミングを確実に制御することが可能である。
【0101】
また前述したように、点火プラグ136で点火するためには、混合気の空燃比が所定の着火範囲にある必要がある。従って、通常は、火花を飛ばせば何時でも混合気が着火するわけではない。例えば、燃料を噴射した直後は、燃料噴霧が未だ周辺の空気と混合していないので空燃比が小さ過ぎてしまい、火花を飛ばしても混合気に点火することができない。かといって、噴射後あまりに長い時間が経過した後では、燃料噴霧が空気中に拡散してしまい空燃比が大きくなり過ぎてしまうので、やはり点火することができない。このため、噴射した燃料噴霧が周囲に拡散しながら燃焼室内を進行して、ちょうど点火プラグ136の近傍に到達するタイミングで空燃比が着火範囲に入るように、燃料を噴射してやる必要がある。これに対して水素ガスは、ガソリンなどに比べて着火範囲がたいへんに広いので、噴射した水素ガスが周囲に拡散する速度と燃焼室内を進行する速度との関係が多少ずれてしまった場合でも、確実に点火することができる。その結果、ガソリンの混合気を所望のタイミングで確実に自着火させることが可能になる。
【0102】
更に、水素ガスの混合気は、ガソリンの混合気に比べて着火遅れ時間が短いという特長も備えている。着火遅れ時間とは、混合気に点火する際に現れる次のような特性を言う。通常、火花を飛ばして混合気に点火する場合、次のような過程を踏む。先ず、混合気中に火花を飛ばすことにより、火炎核と呼ばれる火種が形成される。火炎核の内部には、活性の高い中間生成物が生成されており、この中間生成物が燃料の分子と反応して新たな中間生成物を生成する反応が進行する。こうして、火炎核の内部である程度の中間生成物が蓄積されると、発熱反応が開始され火炎が発生して周囲の混合気に燃え広がっていく。このように混合気に点火する場合、火花を飛ばしてから火炎が周囲に広がり始めるまでの間には時間の遅れが存在しており、この遅れ時間は着火遅れ時間と呼ばれる。着火遅れ時間は、中間生成物の蓄積のし易さに関係することからも明らかなように、燃料の種類によって異なっている。また、同じ燃料の混合気であっても、僅かな条件の違いによって、着火遅れ時間にはばらつきが発生する。
【0103】
水素ガスは、ガソリンに比べて着火遅れ時間がたいへんに短く、火花を飛ばすと直ちに火炎が周囲に広がっていく。この様に着火遅れ時間が短いので、多少のばらつきが存在していても、点火プラグ136で火花を飛ばしてから火炎が広がり始めるタイミングのばらつきは極めて僅かである。このため、点火プラグで火花を飛ばして点火する混合気を水素ガスを含む混合気とすることで、ガソリンの混合気を自着火させるタイミングを正確に制御することが可能となる。
【0104】
(4)極高負荷・高回転条件時:
最後に、極高負荷条件時あるいは高回転条件時における燃焼制御の内容について説明する。図12は、極高負荷・高回転条件において、吸気バルブ132や、排気バルブ134、燃料噴射弁15、ナフタレン噴射弁19、点火プラグ136の駆動タイミングを示した説明図である。極高負荷・高回転条件時は、前述した極低負荷条件時とよく似ているが、極高負荷・高回転条件時では水素ガスを噴射していない部分が大きく異なっている。以下では、この相違点を中心として簡単に説明する。
【0105】
極高負荷・高回転条件時においては、極低負荷条件と同様に、吸気バルブ132はTDCの少し前のタイミングで開いてピストン144を降下させることにより、燃焼室内に空気を吸入する。また、空気の吸入に合わせて燃料噴射弁15からガソリンを噴射することによって、燃焼室内にガソリンの混合気を形成する。更に、吸気バルブ132を開いた後の所定のタイミングで、ナフタレン噴射弁19からナフタレンを噴射することによってナフタレンを添加してやる。次いで、ピストン144がBDCに達した辺りの所定のタイミングで吸気バルブ132を閉じ、燃焼室内に形成した混合気を圧縮する。そしてTDC近傍の所定のタイミングで点火プラグ136から火花を飛ばして混合気を燃焼させる。
【0106】
燃焼による圧力を受けながらピストン144を降下させることによって、動力を出力する。ピストン144がほぼ下がりきった辺りで排気バルブ134を開いてやると、ピストン144の上昇とともに燃焼室内の排気ガスが排出される。こうしてピストン144が上死点に達したら、排気バルブ134を閉じ、再び吸気バルブ132を開いて吸入行程に戻る。
【0107】
本実施例のエンジン10では、図4に示したマップに従って制御方式を切り替えている。そして、以上に説明したように、低負荷条件、高負荷条件では予混合圧縮自着火燃焼させることで、燃料消費効率の向上と大気汚染物質の排出量低減とを同時に実現している。また、予混合圧縮自着火燃焼が困難な極低負荷条件では、混合気に火花を飛ばして点火する火花点火燃焼を行う。このとき本実施例のエンジン10では、混合気に水素ガスを添加することで極薄い混合気の燃焼を可能とし、これにより、極低負荷条件においても、燃料消費効率の向上と大気汚染物質の排出量低減とを実現している。また、極高負荷・高回転条件では通常の火花点火燃焼を行っているので、十分に大きな動力を出力することが可能となっている。
【0108】
もちろん、極低負荷条件あるいは高負荷条件で使用する水素ガスは何らかの方法でエンジンに供給してやる必要がある。こうした水素ガスを高圧タンクに充填しておいて高圧タンクから供給したのでは、タンクの搭載スペースや安全上の問題、更に水素ガスの補充など、種々の点で改良の余地が必要となる。しかし本実施例では、図1を用いて説明したように、水素ガス発生装置200を用いて、有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させる。このため、搭載スペースや安全上の問題、原料の補充といった点が改良され、実用性の高いエンジンシステムを構成することが可能である。以下では、この理由について説明する。
【0109】
先ず、本実施例の水素ガス発生装置200は、有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させている。こうすれば、僅かな体積の有機ハイドレートから多量の水素ガスを発生させることができるので、装置全体を小型化することができる。例えば、有機ハイドレートとしてデカリンを用いた場合、1mol のデカリンから5mol の水素が発生する。しかも、水素ガスが気体であるのに対してデカリンは液体であることから、ごく少量のデカリンからきわめて多量の水素ガスを発生させることができる。このため、本実施例の水素ガス発生装置200は、水素ガスを高圧タンクに充填するといった方法に比べて装置を小型化することができ、搭載のために大きなスペースを必要としない。
【0110】
また、有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させることとすれば、水素ガスを高圧タンクに充填する場合に比べて遙かに安全なシステムとすることができる。すなわち、高圧タンクに水素ガスを充填した場合は、水素ガスが漏れ出す危険が付きまとう。例えば、エンジンの振動などの影響で配管の接続部分に緩みが発生すると、そこからガス漏れが生じる。特に水素ガスは分子が小さく、僅かに緩んだだけでもガス漏れに結びつくおそれがある。前述したように、水素ガスは着火範囲が広いので、こうしたガス漏れが生じると危険である。
【0111】
これに対して、本実施例のように有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させる場合、高圧タンクのように高圧となる部分は存在しない。しかも、有機ハイドレートは水素ガスに比べて遙かに分子が大きく、配管の接続部分などが僅かに緩んだとしても、このことが直ちに漏れに繋がるわけではない。その上、例え有機ハイドレートが漏れてしまった場合でも、直ちに水素ガスが発生するわけではない。例えば、デカリンの場合は、250℃以上の高温下でなければ水素ガスは発生しない。更に、例え何らかの熱面で加熱されたとしても、触媒が存在しなければ急激に水素ガスを発生させることはない。このように、本実施例では、有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させているので、高圧タンクに水素ガスを充填する場合に比べて、安全性が大きく改良されている。
【0112】
また、有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させる方法では、原料の補充が容易であるという利点もある。すなわち、有機ハイドレートは液体であるため、ガソリン用の社会的施設(いわゆるインフラ)を、そのまま流用することができる。例えば、ガソリンスタンドには、通常いくつかのガソリンタンクが設けられているが、その内の1つのタンクに有機ハイドレートを入れておけば、ガソリンスタンドで有機ハイドレートを補充することが可能となる。
【0113】
もちろん、有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させた場合、水素ガスの他に副生成物が生じるので、この副生成物の処理が必要となる。しかし、上述したように、水素ガスは、極低負荷条件時および高負荷条件時に添加するだけなので、副生成物の発生量はそれほど多くはない。すなわち、極低負荷条件時は、燃料消費量そのものが少ないので、極少量の水素ガスを添加するだけでよく、また、高負荷条件時は火種として水素ガスを添加するだけなので、これも僅かな分量の水素ガスを添加すればよい。このように、本実施例では水素ガスの添加量は決して多くはないので、ナフタレンなどの副生成物の発生量も僅かである。
【0114】
また、水素ガスを発生させる際に生じる副生成物は炭化水素なので、ガソリンに添加して燃焼させることで、これを処理することが可能である。例えば、有機ハイドレートとしてデカリンを用いた場合は、副生成物としてナフタレンが発生するが、ナフタレンはガソリンとともに燃焼させることができる。加えて、ナフタレンなど、有機ハイドレートの副生成物は、通常はガソリンよりもオクタン価が高いので、ガソリンとともに燃焼させればノックが抑制され、これによってエンジン性能を改善することもできる。更に、予混合圧縮自着火燃焼させる場合、前述したように負荷が高くなるほどノックし易くなるが、ガソリンにナフタレンなどの副生成物を添加しておけば、ノックを抑制することが可能となる。
【0115】
A−4.変形例:
上述した第1実施例には各種の変形例が存在する。以下では、これら変形例について簡単に説明する。
【0116】
(1)第1の変形例:
上述した第1実施例では、ナフタレン噴射弁19は吸気通路12に設けられているものとして説明した。これに対して、図13に示すように、ナフタレン噴射弁19から、燃焼室内にナフタレンを直接噴射することとしてもよい。ナフタレンは温度が下がると固化する性質があり、固化を避けるためにナフタレンヒータ218を用いてナフタレンを暖めている(図1参照)。しかし、ナフタレンを燃焼室に直接噴射してやれば、吸気通路12内でナフタレンが冷やされて固化してしまって吸気バルブ132の上流に堆積するおそれが無いという利点がある。
【0117】
もっとも、ナフタレンを吸気通路12内に噴射する場合には、燃焼室内に噴射する場合に比べて低い圧力で噴射することができるので、噴射系を簡素な構成とすることができるという利点が得られる。
【0118】
(2)第2の変形例:
上述した各種実施例では、吸気通路12あるいは燃焼室にナフタレン噴射弁19からナフタレンを噴射して燃焼させることによってナフタレンを処理するものとして説明した。しかし、ナフタレンをガソリンに溶かしておくこととしてもよい。例えば図14に示すように、ガソリンを蓄えておくガソリンタンク220に、所定分量ずつナフタレンを供給することとしてもよい。ナフタレンはガソリンに溶けるので、このガソリンを燃料ポンプ222で燃料噴射弁15に圧送してやれば、通常のガソリンを噴射する場合と同様に噴射することができるので、ナフタレンを簡便に処理することができる。
【0119】
あるいは、ガソリンタンク220に直接ナフタレンを供給して溶かすのではなく、ナフタレンを溶かすためのタンクを別途設けることとしてもよい。図15は、こうしたナフタレンを溶かすためのタンクを有する構成を例示する説明図である。ガソリンタンク220内のガソリンは、ポンプ224で汲み上げられて、混合用タンク226に供給され、ナフタレンは、この混合用タンク226に供給されてガソリンに溶かされる。燃料ポンプ222は、ナフタレンが溶けたガソリンを燃料噴射弁15に圧送する。燃料ポンプ222から燃料噴射弁15にガソリンが圧送されると、その分のガソリンがガソリンタンク220から汲み上げられて補充される。また、こうして補充されるガソリンに対応する分量だけ、ナフタレンが混合用タンク226に供給される。
【0120】
こうすれば、ガソリンを補充するなどしてガソリンタンク220内のガソリン量が大きく変動した場合でも、混合用タンク226のガソリン量は一定に保たれているので、ガソリンに溶解しているナフタレンの濃度を一定に保つことができ、この結果、混合気の燃焼状態を安定させることが可能である。
【0121】
B.第2実施例:
上述した第1実施例では、点火プラグ136から火花を飛ばすことによって、水素ガスを含んだ混合気に点火している。しかし、水素ガスは熱面着火し易いという性質があるので、この性質を利用し、次のようにして混合気を燃焼させることもできる。
【0122】
図16は、第2実施例としてのエンジン本体100の構造を示す断面図である。前述した第1実施例に対して、点火プラグ136の代わりにグロープラグ138が設けられている点が大きく異なっている。グロープラグ138は、一種のセラミックスヒータであって、電力を供給することにより、セラミックスで形成された先端部分の表面を高温に加熱することができる。
【0123】
第1実施例では、図11を用いて前述したように、ピストン頂面に形成した凹部143に向けて水素ガスを噴射し、噴射した水素ガスが点火プラグ136の近傍に到達する頃を見計らって火花を飛ばして点火した。これに対して、第2実施例では、あらかじめグロープラグ138を加熱しておき、そして、図16に示すように水素噴射弁14からグロープラグ138に向かって水素ガスを直接噴射する。水素ガスは熱面着火し易く、しかも前述したように着火範囲が広いので、グロープラグ138の先端の加熱表面に接触させることで容易に着火させることができる。
【0124】
第1実施例では水素ガスを噴射したタイミングに合わせて適切なタイミングで点火プラグから火花を飛ばす必要があったのに対し、第2実施例では、噴射した水素ガスがグロープラグ138の先端に接触すれば着火するので、確実に着火させることができ、延いては混合気を確実に燃焼させることが可能となる。
【0125】
あるいは、グロープラグ138に代えて、ピストンの頂面に蓄熱部材を埋め込んでおき、この蓄熱部材の表面を加熱表面として用いることにより、水素ガスを熱面着火させることとしてもよい。図17は、こうした変形例のエンジン本体100の構造を示す断面図である。
【0126】
変形例においては、ピストン頂面の一部が蓄熱部材150によって形成されている。本変形例においては、この蓄熱部材150は、ピストン144に鋳ぐるまれたチタン合金で形成されている。こうした変形例のエンジン10においては、高負荷条件時に点火プラグ136で火花を飛ばす代わりに、水素噴射弁14からピストン頂面の蓄熱部材150に向かって水素ガスを噴射してやる。蓄熱部材150は、燃焼室内で燃焼する混合気に晒されるので、燃焼熱を蓄えて高温になっている。従って、この蓄熱部材150に向かって水素ガスを噴射してやれば、水素ガスが熱面着火して、燃焼室内の混合気を圧縮自着火させることができる。
【0127】
こうした変形例のエンジン10においても、水素ガスを蓄熱部材150に向けて噴射してやれば、いつでも確実に水素ガスを着火させることができるので、ガソリンおよびナフタレンの混合気を確実に圧縮自着火させることが可能となる。
【0128】
以上、各種の実施例について説明してきたが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】予混合圧縮自着火燃焼方式を適用したエンジンの構造を概念的に示した説明図である。
【図2】第1実施例においてエンジン本体の燃焼室の構造を概念的に示す説明図である。
【図3】エンジン運転制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図4】エンジン回転速度と目標出力トルクとの組合せに応じて、エンジンの適切な制御方法が設定されている様子を概念的に示した説明図である。
【図5】各種の運転条件に応じて、それぞれのマップが記憶されている様子を概念的に示した説明図である。
【図6】極低負荷条件において、各種燃料の噴射タイミング、バルブタイミング、および点火タイミングを示した説明図である。
【図7】低負荷条件において、各種燃料の噴射タイミング、およびバルブタイミングを示した説明図である。
【図8】低負荷条件において混合気を圧縮自着火させて燃焼させる様子を概念的に示した説明図である。
【図9】高負荷条件において、各種燃料の噴射タイミング、バルブタイミング、および点火タイミングを示した説明図である。
【図10】水素ガスを含む混合気が燃焼して周囲の混合気を圧縮している様子を概念的に示した説明図である。
【図11】高負荷条件において混合気を圧縮自着火させて燃焼させる様子を概念的に示した説明図である。
【図12】極高負荷・高回転条件において、各種燃料の噴射タイミング、バルブタイミング、および点火タイミングを示した説明図である。
【図13】第1実施例の第1の変形例におけるエンジン本体の構造を概念的に示した断面図である。
【図14】第1実施例の第2の変形例において、ナフタレンをガソリンタンクに添加するための構造を概念的に示した説明図である。
【図15】第1実施例の第2の変形例において、混合用タンクを用いてナフタレンをガソリンに混合するための構造を概念的に示した説明図である。
【図16】第2実施例におけるエンジン本体の燃焼室の構造を概念的に示す説明図である。
【図17】第2実施例の変形例におけるエンジン本体の燃焼室の構造を概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
10…エンジン
12…吸気通路
14…水素噴射弁
15…燃料噴射弁
16…排気通路
19…ナフタレン噴射弁
20…エアクリーナ
22…スロットル弁
24…電動アクチュエータ
26…触媒
30…ECU
32…クランク角センサ
34…アクセル開度センサ
100…エンジン本体
130…シリンダヘッド
132…吸気バルブ
134…排気バルブ
136…点火プラグ
138…グロープラグ
140…シリンダブロック
142…シリンダ
143…凹部
144…ピストン
146…コネクティングロッド
148…クランクシャフト
150…蓄熱部材
162,164…電動アクチュエータ
200…水素ガス発生装置
202…原料タンク
204…原料ポンプ
206…脱水素反応器
208…触媒ヒータ
210…水素分離容器
212…水素タンク
214…ナフタレンタンク
216…圧力センサ
218…ナフタレンヒータ
220…ガソリンタンク
222…燃料ポンプ
224…ポンプ
226…混合用タンク

Claims (20)

  1. 燃料と空気との混合気を燃焼室内で圧縮し、該圧縮した混合気を燃焼させて動力を出力する内燃機関であって、
    前記燃焼室内で前記混合気を圧縮する混合気圧縮機構と、
    前記燃焼室内に前記燃料としてガソリンを噴射することにより、該ガソリンと空気とが前記混合気圧縮機構による圧縮では自着火しない割合で混合した第1の混合気を、該燃焼室内に形成する第1の混合気形成手段と、
    有機ハイドレートを分解することによって水素ガスを発生させる水素ガス発生手段と、
    前記発生させた水素ガスを前記燃焼室内に噴射することにより、該水素ガスと空気とが混合した第2の混合気を該燃焼室内の一部の領域に形成する第2の混合気形成手段と、
    前記第2の混合気を燃焼させて前記第1の混合気を圧縮し自着火に至らしめるべく、該第2の混合気に点火する点火手段と
    を備える内燃機関。
  2. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記水素ガス発生手段は、有機ハイドレートとしてデカリンを分解することにより水素ガスを発生させる手段である内燃機関。
  3. 請求項2記載の内燃機関であって、
    前記水素ガス発生手段は、加熱条件の下でデカリンと触媒とを接触させることにより水素ガスを発生させる手段である内燃機関。
  4. 請求項2記載の内燃機関であって、
    デカリンの分解に伴って生成するナフタレンを前記第1の混合気に添加するナフタレン添加手段を備える内燃機関。
  5. 請求項4記載の内燃機関であって、
    前記ナフタレン添加手段は、前記生成したナフタレンを前記燃焼室内に直接噴射することによって、前記第1の混合気に添加する手段である内燃機関。
  6. 請求項4記載の内燃機関であって、
    前記ナフタレン添加手段は、前記生成したナフタレンを前記燃焼室に流入する前の空気に向けて噴射し、該空気とともに該燃焼室に供給することによって、前記第1の混合気に添加する手段である内燃機関。
  7. 請求項4記載の内燃機関であって、
    前記燃焼室内に噴射されるガソリンを蓄えておくガソリン容器を備え、
    前記ナフタレン添加手段は、前記生成したナフタレンを前記ガソリン容器内に供給することによって、前記第1の混合気に添加する手段である内燃機関。
  8. 請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の内燃機関であって、
    前記生成したナフタレンを添加するための通路の少なくとも一部に、該ナフタレンの加熱手段を備えている内燃機関。
  9. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記有機ハイドレートの分解に伴って発生する炭化水素系化合物を前記第1の混合気に添加する炭化水素化合物添加手段を備える内燃機関。
  10. 請求項1または請求項2記載の内燃機関であって、
    前記水素ガス発生手段は、
    前記燃焼室内に噴射される水素ガスを蓄えておく水素容器と、
    前記水素容器内の圧力を検出する検出手段と、
    前記有機ハイドレートの分解量を、前記検出した圧力に基づいて制御するハイドレート分解量制御手段と
    を備えている内燃機関。
  11. 請求項1または請求項2記載の内燃機関であって、
    前記内燃機関が発生させるべき要求トルクを検出する要求トルク検出手段を備え、
    前記第1の混合気形成手段は、前記検出した要求トルクが所定の第1の閾値よりも小さい場合には、ガソリンと空気とが前記混合気圧縮機構による圧縮で自着火する割合で混合した第3の混合気を、前記燃焼室内に形成する手段であり、
    前記第2の混合気形成手段および前記点火手段は、前記検出した要求トルクが前記第1の閾値よりも小さい場合には、それぞれの動作を休止する手段である内燃機関。
  12. 請求項11記載の内燃機関であって、
    前記第1の混合気形成手段は、前記検出した要求トルクが、前記第1の閾値よりも小さい所定の第2の閾値に満たない場合には、前記第1の混合気よりもガソリン濃度の高い混合気を、前記燃焼室内に形成する手段であり、
    前記第2の混合気形成手段は、前記検出した要求トルクが前記第2の閾値に満たない場合には、前記発生させた水素ガスを前記燃焼室内に噴射することにより、ガソリンと水素ガスと空気との混合気を形成する手段であり、
    前記点火手段は、前記検出した要求トルクが前記第2の閾値に満たない場合には、前記ガソリンと水素ガスと空気との混合気に点火する手段である内燃機関。
  13. 請求項11または請求項12記載の内燃機関であって、
    前記第1の混合気形成手段は、前記検出した要求トルクが、前記第1の閾値よりも大きい所定の第3の閾値を超える場合には、ガソリンと空気とが理論混合比で混合した理論混合気を、前記燃焼室内に形成する手段であり、
    前記第2の混合気形成手段は、前記検出した要求トルクが前記第3の閾値を超える場合には、動作を休止する手段であり、
    前記点火手段は、前記検出した要求トルクが前記第3の閾値を超える場合には、前記理論混合気に点火する手段である内燃機関。
  14. 請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の内燃機関であって、
    前記内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
    前記第1の混合気形成手段は、前記検出した回転速度が、所定の閾値速度よりも大きい場合には、ガソリンと空気とが理論混合比で混合した理論混合気を、前記燃焼室内に形成する手段であり、
    前記第2の混合気形成手段は、前記検出した回転速度が前記閾値速度を超える場合には、動作を休止する手段であり、
    前記点火手段は、前記検出した回転速度が前記閾値速度を超える場合には、前記理論混合気に点火する手段である内燃機関。
  15. 請求項1または請求項2記載の内燃機関であって、
    前記点火手段は、所定温度以上に加熱された加熱表面を備えるとともに、該加熱表面で前記第2の混合気を熱面着火させる手段である内燃機関。
  16. 前記加熱表面がグロープラグである請求項15記載の内燃機関。
  17. 請求項15記載の内燃機関であって、
    前記混合気圧縮機構は、前記燃焼室内でピストンを上昇させることによって該燃焼室内の混合気を圧縮する機構であり、
    前記第2の混合気形成手段は、前記発生させた水素ガスを、前記ピストンの頂面に向かって噴射することにより、前記第2の混合気を形成する手段であり、
    前記点火手段は、前記ピストン頂面に設けられた蓄熱部材である内燃機関。
  18. 請求項17記載の内燃機関であって、
    前記ピストンには、前記頂面に凹部が設けられており、
    前記第2の混合気形成手段は、前記発生させた水素ガスを、前記凹部に向かって噴射する手段であり、
    前記点火手段は、前記凹部の少なくとも一部を形成する前記蓄熱部材である内燃機関。
  19. 燃料と空気との混合気を燃焼室内で混合気圧縮機構により圧縮し、該圧縮した混合気を燃焼させて動力を出力する内燃機関の制御方法であって、
    前記燃焼室内に前記燃料としてガソリンを噴射することにより、該ガソリンと空気とが前記混合気圧縮機構による圧縮では自着火しない割合で混合した第1の混合気を、該燃焼室内に形成する第1の工程と、
    有機ハイドレートを分解して水素ガスを発生させる第2の工程と、
    前記発生させた水素ガスを前記燃焼室内に噴射することにより、該水素ガスと空気とが混合した第2の混合気を該燃焼室内の一部の領域に形成する第3の工程と、
    前記第2の混合気を燃焼させて前記第1の混合気を圧縮し自着火に至らしめるべく、該第2の混合気に点火する第4の工程と
    を備える制御方法。
  20. 請求項19記載の制御方法であって、
    前記第2の工程は、有機ハイドレートとしてデカリンを分解することにより水素ガスを発生させる工程である制御方法。
JP2002260820A 2002-09-06 2002-09-06 混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法 Expired - Fee Related JP4045904B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002260820A JP4045904B2 (ja) 2002-09-06 2002-09-06 混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002260820A JP4045904B2 (ja) 2002-09-06 2002-09-06 混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004100501A true JP2004100501A (ja) 2004-04-02
JP4045904B2 JP4045904B2 (ja) 2008-02-13

Family

ID=32261351

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002260820A Expired - Fee Related JP4045904B2 (ja) 2002-09-06 2002-09-06 混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4045904B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005100766A1 (en) * 2004-04-12 2005-10-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Internal combustion engine system with hydrogen generation capability
JP2006104994A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Toyota Motor Corp 水素利用内燃機関システム
WO2006126341A2 (en) 2005-05-24 2006-11-30 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Hydrogen-fueled internal combustion engine
JP2007239671A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Hitachi Ltd エンジンシステム
CN100356050C (zh) * 2004-04-12 2007-12-19 丰田自动车株式会社 使用氢的内燃机
JP2008196349A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Toyota Motor Corp 水素利用内燃機関
JP2010038012A (ja) * 2008-08-04 2010-02-18 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置
JP2012021530A (ja) * 2010-07-13 2012-02-02 IFP Energies Nouvelles 火花点火過給式内燃機関の燃料混合物の燃焼相を制御する方法
US8118012B2 (en) 2005-09-15 2012-02-21 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Internal combustion engine using hydrogen
KR101121453B1 (ko) * 2009-08-31 2012-03-16 삼성중공업 주식회사 혼소 엔진

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100794943B1 (ko) * 2004-04-12 2008-01-15 도요다 지도샤 가부시끼가이샤 수소 생성 기능을 구비한 내연기관 시스템
WO2005100766A1 (en) * 2004-04-12 2005-10-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Internal combustion engine system with hydrogen generation capability
US7412947B2 (en) 2004-04-12 2008-08-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Internal combustion engine system with hydrogen generation capability
CN100356050C (zh) * 2004-04-12 2007-12-19 丰田自动车株式会社 使用氢的内燃机
JP2006104994A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Toyota Motor Corp 水素利用内燃機関システム
US7789047B2 (en) 2005-05-24 2010-09-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Hydrogen-fueled internal combustion engine
WO2006126341A2 (en) 2005-05-24 2006-11-30 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Hydrogen-fueled internal combustion engine
US8118012B2 (en) 2005-09-15 2012-02-21 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Internal combustion engine using hydrogen
JP2007239671A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Hitachi Ltd エンジンシステム
JP2008196349A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Toyota Motor Corp 水素利用内燃機関
JP4677996B2 (ja) * 2007-02-09 2011-04-27 トヨタ自動車株式会社 水素利用内燃機関
JP2010038012A (ja) * 2008-08-04 2010-02-18 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置
KR101121453B1 (ko) * 2009-08-31 2012-03-16 삼성중공업 주식회사 혼소 엔진
JP2012021530A (ja) * 2010-07-13 2012-02-02 IFP Energies Nouvelles 火花点火過給式内燃機関の燃料混合物の燃焼相を制御する方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4045904B2 (ja) 2008-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3991789B2 (ja) 混合気を圧縮自着火させる内燃機関
JP4033160B2 (ja) 予混合圧縮自着火運転が可能な内燃機関の制御装置
KR101693895B1 (ko) 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소엔진과 그 제어방법 및 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소시스템
US5979398A (en) Compression-ignition type engine
KR100476780B1 (ko) 다단식연소엔진을위한연소방법
KR101704064B1 (ko) 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소엔진과 그 제어방법 및 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소시스템
JP4126971B2 (ja) 混合気を圧縮自着火させて運転する内燃機関、および内燃機関の制御方法
US20080257304A1 (en) Internal combustion engine and combustion method of the same
EP2412961A1 (en) Controller for internal combustion engine
KR20120009451A (ko) 내연 기관의 제어 장치
JP4045904B2 (ja) 混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法
JP2009085169A (ja) 内燃機関の制御装置
CN114616386A (zh) 带有预燃室的内燃机和点火系统
JP2000213444A (ja) エンジンの着火時期制御装置および方法
JP4155069B2 (ja) 圧縮比を変更可能な内燃機関における運転開始時の制御
JP4123898B2 (ja) 圧縮自着火燃焼と火花点火燃焼とを切り替えながら運転する内燃機関
JP2004245171A (ja) 混合気を圧縮自着火させる自着火運転が可能な内燃機関
JP2006220038A (ja) 内燃機関の吸気制御装置
JP6634774B2 (ja) 天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法
JP4493593B2 (ja) 自己着火式エンジン
JP4023239B2 (ja) 混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法
US20100288226A1 (en) High efficiency reciprocating internal combustion engine
JP3931752B2 (ja) 混合気を圧縮自着火させる内燃機関、および内燃機関の制御方法
JP2011157861A (ja) 圧縮着火内燃機関
JP5528141B2 (ja) 圧縮着火内燃機関

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070731

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071112

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131130

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees