JP2004100106A - 炭素質繊維織布の製造方法 - Google Patents

炭素質繊維織布の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004100106A
JP2004100106A JP2002265531A JP2002265531A JP2004100106A JP 2004100106 A JP2004100106 A JP 2004100106A JP 2002265531 A JP2002265531 A JP 2002265531A JP 2002265531 A JP2002265531 A JP 2002265531A JP 2004100106 A JP2004100106 A JP 2004100106A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
woven fabric
carbonaceous
fiber
treatment
carbonized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002265531A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4333106B2 (ja
Inventor
Satoshi Hirahara
平原 聡
Mitsuo Suzuki
鈴木 光雄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2002265531A priority Critical patent/JP4333106B2/ja
Publication of JP2004100106A publication Critical patent/JP2004100106A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4333106B2 publication Critical patent/JP4333106B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】ガス透過性、導電性、保水性、排水性等の性質がバランスし、厚さむらが小さく、かつ適度な剛性を有し、固体高分子型燃料電池用ガス拡散層材料として好適な炭素質繊維織布を製造する方法を提供する。
【解決手段】炭素質前駆体繊維又は1400℃を超えない温度で炭素化処理された炭素質繊維で構成された織布をプレス加工し、次いで織布を構成する繊維のプレス加工以前の熱履歴よりも高くかつ該繊維の炭素化処理に必要な温度以上の温度での熱処理を行って炭素質繊維織布を製造するに当たり、上記織布を作製するための製織よりも後の段階で織布に剛性付与処理を行い、最終的に面方向の体積固有抵抗が0.2Ωcm以下の炭素質繊維織布を製造する炭素質繊維織布の製造方法。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素質繊維織布の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃料電池の開発に多大な努力が注がれている。
燃料電池は、用いる電解質の種類により、アルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型などに分類されるが、これらの中でも、低温で運転することができ、扱いやすく、かつ出力密度も高い固体高分子型燃料電池が、電気自動車用或いは家庭用電源などの用途に注目されている。固体高分子型燃料電池は、発電の際に発生する熱を暖房、給湯などに利用することで、総合的に熱効率を向上させるコージェネレーションシステムへの展開が検討されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池用の単セルの主要構成部材は、通常、膜電極体と溝付セパレータである。膜電極体の基本構造は、高分子固体電解質膜(イオン交換膜)の両面に、触媒層、ガス拡散層及び集電体を順次接合したものである。触媒層は主に触媒とカーボンブラックとの混合物からなっている。また、ガス拡散層に集電体の機能を兼ねさせることもある。この膜電極体の両面に溝付セパレータを接合することで、固体高分子型燃料電池の単セルが形成される。
【0004】
固体高分子型燃料電池は、溝付セパレータの溝を経てアノード側触媒層に燃料(水素ガス)、カソード側触媒層に酸化剤(酸素含有ガス)をそれぞれ供給して電池反応を生起させ、このとき膜電極体を介して発生する電子の流れを電気エネルギーとして外部に取り出す仕組みになっている。従って、ガス拡散層材料としては、次のようなことが望まれる。
▲1▼ この仕組みを効率よく作動させるために、膜電極接合体に燃料と酸化剤を円滑かつ均等に供給すること、
▲2▼ 電気エネルギーの取り出し効率を出来るだけ低下させないために、十分な導電性を有する(即ち体積固有抵抗が低い)こと、
▲3▼ 膜電極体の中央の固体電解質膜がプロトン伝導性を発現できるように、適度の水分を保持していること(保水性)、
▲4▼ 電池反応に伴って生成する水を円滑に排出することができること(排水性)。
【0005】
しかしながら、保水性と排水性とは相反するものであり、両者を同時に満足させることは一般的には困難である。
ガス拡散層(これは集電体を兼ねることもある)の材料としては、主にカーボンペーパーが用いられているが、炭素質繊維を製織してなる炭素質繊維織布を用いることが最近検討されてきている。
【0006】
炭素質繊維織布は、カーボンペーパーに比べて、通気性が大きく、燃料を円滑、均等に膜電極接合体に供給しやすく、体積固有抵抗を低くしやすいこと、材料や製織方法によっては、厚み方向に弾性を持たせることができて機械的脆さがなく、保水性や排水性もコントロールしやすいことから、カーボンペーパーにない利点がある。
【0007】
しかしながら、炭素質繊維織布では織布の縦糸と横糸とが交差するため、カーボンペーパーと比べて微少な厚さムラが発生しやすい。したがって、セパレータとガス拡散層材料としてのカーボンクロスとの接触状態には微少レベルで差異が発生することにより、その部分での電気抵抗が安定せず、結果として織布全体の電気抵抗も不安定となり易いという問題がある。
【0008】
炭素質繊維織布のこのような問題を解決する方法もいくつか提案されている。例えば特開昭58−165254号公報には、フッ素樹脂とカーボンブラックとの混合物を炭素質繊維織布の空隙部に充填することが記載されている(特許文献1参照)。また特開平10−261421号公報には、フッ素樹脂とカーボンブラックとから成る層を炭素質繊維織布の表面に形成することが記載されている(特許文献2参照)。これらの方法は、フッ素樹脂/カーボンブラックの混合相をクロス表面に形成することにより厚さムラを低減する効果が期待される。
【0009】
しかしながら、これらの方法は、炭素質繊維織布にフッ素樹脂、カーボンブラック等を充填することにより、ガス拡散層の保水性、排水性、ガス透過性等を調整しようとするものであるため、電気抵抗が増大して電池特性が低下したり、炭素質繊維織布の利点であるガス透過性を低下させる欠点を伴っている。
また、炭素質繊維織布はしなやかなので、これをガス拡散層に用いた膜電極体を溝付きセパレーターと組合せて燃料電池を形成しようとすると、炭素質繊維織布が溝付きセパレーターの溝に入り込み、溝内のガスの流通を阻害するという問題がある。さらに、炭素質繊維織布においては繊維相互の接触点は固定されていないので、この部分における電気抵抗が安定せず、結果として織布全体の電気抵抗も不安定となり易いという問題がある。
【0010】
【特許文献1】
特開昭58−165254号公報
【特許文献2】
特開平10−261421号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、ガス透過性、導電性(低抵抗)、保水性、排水性等のガス拡散層材料として望まれる性質がバランスしており、また、均一で、特に厚さムラが小さいために、セパレータとガス拡散層との間の微少レベルでの接触抵抗の差異が減少し、結果として出力特性等の電池特性を安定させることのできる炭素質繊維織布の製造方法を提供することであり、さらに、炭素質繊維織布の剛性が高いために、セパレータの溝への垂れ込みが殆ど起こらず、その結果、燃料電池内のガス拡散性が均一となり、安定した発電特性を発現することが可能なガス拡散増材料として好適な炭素質繊維織布を製造する方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、製織、プレス加工、炭素化/黒鉛化及び剛性付与処理を、特定の順序で組み合わせることにより、剛性があり、厚さムラが少ない炭素質繊維織布が得られることを見出し、それに基づいて本発明を完成した。
【0013】
即ち本発明の要旨は、炭素質前駆体繊維又は1400℃を超えない温度で炭素化処理された炭素質繊維で構成された織布をプレス加工し、次いで織布を構成する繊維のプレス加工以前の熱履歴よりも高くかつ該繊維の炭素化処理に必要な温度以上の温度での熱処理を行って炭素質繊維織布を製造するに当たり、上記織布を作製するための製織よりも後の段階で織布に剛性付与処理を行い、最終的に面方向の体積固有抵抗が0.2Ωcm以下の炭素質繊維織布を製造することを特徴とする炭素質繊維織布の製造方法、に存する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の炭素質繊維織布の製造方法は、炭素質前駆体繊維糸又は黒鉛化処理温度での熱処理を受けていない炭素質繊維糸で構成された織布をプレス加工し、次いで該織布を構成する繊維のプレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理を行うこと、並びに上記の織布を作製するための製織よりも後の段階で織布に剛性付与処理を行い、最終的に面方向の体積固有抵抗が0.2Ωcm以下の炭素質繊維織布を製造すること、を大きな特徴としている。
【0015】
本発明の炭素質繊維織布の製造方法は、プレス加工に供される織布が炭素質前駆体繊維糸で構成されている場合と、プレス加工に供される織布が炭素質繊維糸で構成されている場合と、に分けられる。
プレス加工に供される織布が炭素質前駆体繊維糸で構成されている場合には、炭素質前駆体繊維で構成された織布をプレス加工し、次いで炭素化処理することによって、炭素質繊維織布が製造される。上記炭素質前駆体繊維糸としては、好ましくは耐炎化処理された炭素質前駆体繊維糸を使用する。また、上記の炭素化処理された織布をさらに黒鉛化処理するのも好ましい。
【0016】
プレス加工に供される織布が炭素質繊維糸で構成されている場合には、黒鉛化処理温度での熱処理を受けていない炭素質繊維糸、即ち、通常、1400℃を超えない温度で炭素化処理された炭素質繊維で構成された織布をプレス加工し、次いでプレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理を行うことによって、炭素質繊維織布が製造される。上記のプレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理は、黒鉛化処理であるのが好ましい。
【0017】
特に上記のプレス加工に供される織布が炭素質繊維糸で構成されている場合には、様々な態様が包含される。代表的な態様としては次のような方法が挙げられる。
(i)耐炎化処理された炭素質前駆体繊維の紡績糸を製織して得られた炭素質前駆体繊維の織布を400〜1400℃の温度で炭素化処理して得られた炭素質繊維の織布をプレス加工し、次いでプレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理を行う方法。
(ii)耐炎化処理された炭素質前駆体繊維の紡績糸を400〜1400℃の温度で炭素化処理して得られた糸を製織して得られた炭素質繊維の織布をプレス加工し、次いでプレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理を行う方法。
(iii)耐炎化処理された炭素質前駆体繊維を400〜1400℃の温度で炭素化処理したのち紡績して得られた糸を製織して得られた炭素質繊維の織布をプレス加工し、次いでプレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理を行う方法。
【0018】
上記の種々の方法において、一般にはプレス加工以前の熱履歴がより低い温度である方が、本発明の効果がより十分に達成される。従ってプレス加工に供される織布が炭素質前駆体繊維糸で構成されている場合が最も好ましい。
以下、これらの製造方法について説明する。
(炭素質前駆体繊維)
基本的な出発材料である炭素質前駆体繊維としては、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、ポリノジック系、フェノール樹脂系、あるいは、これらの混合物など、公知の任意の炭素質前駆体繊維を用いることができる。通常はピッチ系又はポリアクリロニトリル系を用いる。なかでもポリアクリロニトリル系の炭素質前駆体繊維を用いるのが好ましい。ポリアクリロニトリル系の炭素質前駆体繊維には、アクリロニトリル単位の含有比率により、アクリロニトリルほぼ100%のポリアクリロニトルを原料とするもの、アクリロニトリルが50%以上のアクリロニトリルを主体とするアクリロニトリル系共重合体を原料とするもの、更にはアクリロニトリルが20〜50%のアクリロニトリルを含むアクリロニトリル系共重合体を原料とするものなど各種のものがあるが、これらのいずれを原料とする炭素質前駆体繊維も用いることができる。
【0019】
(耐炎化処理)
上記炭素質前駆体繊維は、製織して織布とするのに先だって、耐炎化処理をしておくことができる。
耐炎化処理(不融化処理)はピッチやポリアクリロニトリルの分子構造中に酸素原子が導入される化学反応であり、通常は200〜300℃、高くても400℃未満の温度で、酸素と数十分間接触させることにより行われる。そして、一般に分子構造中への酸素の導入量が多いほど後続する炭素化処理に際しての融着防止効果が大きいとされている。その指標としては、一般にLOI値という繊維を燃焼させるのに必要な限界酸素濃度が用いられている。通常の炭素質繊維の製造の場合のように融着を起させないためには、LOI値が35〜60となるように耐炎化処理すべきものとされている。本発明の炭素質繊維織布の製造においても、炭素質前駆体のLOI値が35〜60となるように耐炎化処理するのが好ましい。
【0020】
即ち、織布を構成する炭素質繊維を融着させない場合には、LOI値が35〜60となるように耐炎化処理すればよい。逆に繊維を融着させて剛性を有する織布とすることにより、燃料電池の特性を改善したい場合などには、LOI値が35未満、特に33以下となるように耐炎化処理してもよい。なお、LOI値が小さすぎると後続する炭素化処理に際して融着が激しくなりすぎて、得られる炭素質繊維織布が脆くなるので、LOI値が20以上、特に25以上となるように耐炎化処理を行うのが好ましい。LOI値は、耐炎化処理時の酸素との接触温度や接触時間を変化させることにより調節できる。
【0021】
例えば好ましい方法の一つでは、ポリアクリロニトリル系繊維を空気中で200〜300℃で耐炎化処理して得た耐炎化繊維を用いる。耐炎化処理に供するポリアクリロニトリル系繊維としては長繊維でも短繊維を紡績したもののいずれでもよく、また糸も単糸及び双糸のいずれでもよい。また耐炎化処理に際して繊維に延伸を施して、繊維の靭性を向上させることもできる。
【0022】
(炭素質前駆体繊維糸)
製織に用いるための糸は、フィラメント糸、紡績糸のいずれでもよいが、緻密かつ均一な織布組織が得られ、かつ糸の生産性が高い等の理由から紡績糸が好適である。紡績糸(spun yarn)を得るための紡績方法としては公知のいずれの手法も適用でき、例えば綿紡績、2インチ紡績、梳毛紡績、紡毛紡績、直紡績等の紡績方法が挙げられる。ポリアクリロニトリル系耐炎化繊維の場合、ポリアクリロニトリルの連続フィラメントトウを牽切して得たスライバーを梳毛紡績で紡績して得られる紡績糸を用いることが好ましい。
【0023】
(糸の種類)
上記製織に用いるための糸は、単糸、双糸、3本撚糸、フィラメント糸、更には原料の異なる炭素質前駆体繊維から成る複合糸のいずれでもよい。
紡績糸は双糸、単糸のいずれであってもよいが、一般に双糸の方が、、単糸より、糸の引張強度が大きくなるため、均一な厚さの織布を作製することができるので好ましい。
【0024】
(糸の繊度(番手))
糸の繊度は、メートル番手で、通常14番手以上、好ましくは16番手以上、より好ましくは18番手以上であり、また、通常50番手以下、好ましくは45番手以下である。
単糸の場合、メートル番手で、通常1/14Nm以上、好ましくは1/16Nm以上、より好ましくは1/18Nm以上であり、また、通常1/50Nm以下、好ましくは1/45Nm以下である。双糸の場合は、メートル番手で、通常2/28Nm以上、好ましくは2/32Nm以上、より好ましくは2/36Nm以上であり、また、通常2/100Nm以下、好ましくは2/90Nm以下である。
【0025】
1/14Nm又は2/28Nmより太番手の場合、単位長さあたりの毛羽数が多くなる傾向がある。また、1/50Nm又は2/100Nmより細番手の場合、糸の引張強度が低くなる傾向がある。
(糸の撚り数)
糸の撚り数は、JIS L 1095(一般紡績糸試験方法)により測定される。
【0026】
単糸の場合の撚り数は、糸長1m当たりで、通常300回/m以上、好ましくは500回/m以上であり、また、通常800回/m以下、好ましくは700回/m以下である。好適な撚り数は、糸番手により若干異なるが、300回未満の場合、糸の毛羽数が多くなりやすい。また、撚り数が大きすぎると、加撚時に糸切れが発生しやすくなる。撚り数を増やすと、毛羽数が低減するが、700回以上では撚数増による毛羽低減の効果はほぼ飽和する。
【0027】
双糸の場合、上撚り数は、糸長1m当たりで、通常300回/m以上、好ましくは400回/m以上であり、また、通常800回/m以下、好ましくは750回/m以下である。上撚り数が小さいと、毛羽数が大きくなりやすい。また、上撚り数が大きいと、加撚時に糸切れ発生確率が増加し、太さむらが増加する場合もある。また、下撚り数は、通常500回/m以上、好ましくは600回/m以上であり、また、通常900回/m以下、好ましくは850回/m以下である。下撚り数が小さいと、毛羽数が大きくなりやすい。また、下撚り数が大きいと、加撚時に糸切れ発生確率が増加しやすい。
【0028】
(製織)
上記のポリアクリロニトリル系耐炎化繊維等の、耐炎化処理した炭素質前駆体繊維を製織して耐炎化織布としてもよいし、ポリアクリロニトリル系繊維そのもの等の、耐炎化処理していない炭素質前駆体繊維を製織して織布とし、これに耐炎化処理を施して耐炎化織布としてもよい。この場合には、織布を空気、オゾン、酸化窒素などの酸化性ガスや、硫酸、硝酸などに接触させて、好適なLOI値を有する耐炎化織布とすればよい。
【0029】
(織り方)
織布の組織は、平織、斜文織、朱子織、その他任意の組織であってよいが、平織が、縦糸、横糸の単位面積あたりの交差数が最も多いので、織布の体積固有抵抗が小さくなるため好ましい。
(経緯密度)
平織の場合の経緯密度(単位長さ当たりの縦糸及び横糸の本数)は、一般的には1インチ当り20〜60本であるが、具体的には単糸、双糸の別や糸の太さに応じて適宜選択する。
【0030】
(炭素質前駆体繊維織布)
炭素質前駆体繊維織布の目付量、即ち単位面積当りの質量は、通常50g/m以上、好ましくは60g/m以上、より好ましくは80g/m以上であり、また、通常350g/m2 以下、好ましくは250g/m以下である。目付量が小さすぎると剛性や引張強度が小さくなり、目付量が大きすぎると、目が詰まりすぎてガス拡散性が低下する。
【0031】
織布の厚さは、通常0.05mm以上、好ましくは0.10mm以上、より好ましくは0.20mm以上であり、また、通常5mm以下、好ましくは3mm以下である。厚さが小さすぎると引張強度が低下し、また、大きすぎると、目が詰まり過ぎてガス透過性が低下する。
織布の嵩密度は、通常0.2g/cc以上、好ましくは0.25g/cc以上であり、また、通常0.8g/cc以下、好ましくは0.7g/cc以下である。嵩密度が小さすぎると引張強度が低下し、嵩密度が大きすぎると目が詰まり過ぎてガス透過性が低下する。
【0032】
織布の幅は、通常5cm以上、好ましくは10cm以上であり、また、通常250cm以下、好ましくは200cm以下、さらに好ましくは100cm以下である。幅が小さすぎると織布の幅方向の収縮が大きくなる場合があり、その結果、皺が発生し、厚さムラが生じる。また、幅が大きすぎると均一に炭素化処理及び黒鉛化処理をすることが困難となり、特に、炭素化処理時に不均一に収縮するため厚さムラが発生しやすい。
【0033】
織布の長さは、通常50cm以上、好ましくは100cm以上であり、また、通常300m以下、好ましくは200m以下である。長さが短すぎると長さ方向(長尺方向)の収縮が大きくなる場合があり、皺が発生し厚さムラが生じやすい。また、長さは、長いほうが、ガス拡散層材料に利用する場合(織布へカーボンブラックを主成分とするペーストを塗布することにより目止め加工処理を連続的に行う際)に、織布どうしの接続回数(織布の端と端をつなぐ回数)が減るために好ましいが、実際的には300m以上の長尺物の捲回物を、厚さムラの発生を防ぐために、巻取張力を制御して巻き始めから巻き終わりまで安定して捲回できるような巻き取り設備は実質的に存在しない。
【0034】
(プレス加工)
上記の炭素質前駆体繊維織布の厚さムラを低減するためにプレス加工を行う。
通常、プレス加工としては炭素化(黒鉛化)後の織布をプレス加工すれば厚みむらを抑制することができると発想しがちであるが、繊維形状を保持しようと穏和なプレス条件でプレスすると厚みむらが大きくなる。一方、厚みむらをなくそうと強いプレス条件にすると繊維自体が本来の形状を維持できなくなる。従って特定のプレス加工処理を行うことによって、特定の物性を有する織布を得ることができる。
【0035】
プレス加工を施すべき織布は、炭素質前駆体繊維織布ばかりでなく、炭素化後の炭素質繊維織布であってもよいが、炭素質前駆体繊維織布をプレス加工するのがより好ましい。
炭素質前駆体繊維織布を炭素化処理して得られる炭素質繊維織布をプレス加工すると、厚さムラは低減するものの、プレス加工後に比較的短い時間で、プレス前の形態に戻る場合がある。このプレス加工の効果が持続しない点は、プレス加工後に、プレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理を行うことによって改善されるが、プレス加工以前の熱履歴がより高くなるに従ってさらに高い温度での熱処理が必要となる。また、炭素質繊維織布中の炭素質繊維は、炭素質前駆体繊維と比較して脆いので、プレス圧、プレス時間等により異なるが、プレス加工により炭素質繊維織布の繊維の一部が圧縮破壊され、その結果、織布の強度が低下する場合がある。
【0036】
一方、炭素質前駆体繊維織布は、炭素質繊維織布と比較して、高い圧力でプレス加工を施しても繊維の破壊が起こりにくい。また、プレス加工により変形した炭素質前駆体繊維織布を炭素化処理、さらには黒鉛化処理した後の形状はプレス加工後の形状をほぼ維持しており、これは時間経過後も殆ど変化しない。
【0037】
(プレス器の種類)
プレス加工を行うためのプレス器としては、プレス面が平板の平板型プレス器、ロールでプレス加工を行うロール型プレス器等が挙げられ、いずれでもよいが、長尺の炭素質前駆体繊維織布又は炭素質繊維織布を連続的にプレス加工することができることから、ロール型プレス器が好ましい。また、プレス器の加圧方式としては、油圧式、空気圧式、スプリング圧式等が挙げられ、いずれでもよいが、一般に高圧のプレスが可能な油圧式が好ましい。
【0038】
(ロール型プレス器)
ロール型プレス器では、一般に、回転する金属製の上段ロールと下段ロールとの間に織布を挟みこんで連続的にプレス加工を行う。ロール型プレス器のロールの直径は通常10〜80cm程度であり、ロール径により異なるがロールと織布との接触部分の幅は2〜10mm程度である。またロールの有効長さは均一な圧力でプレス加工を行うために、50〜200cm程度が好ましい。油圧等により加圧してかかる総加重を有効ロール長で除して得られる、ロール単位長さ当たりの圧力は50〜500kg/cm、好ましくは100〜400kg/cmである。50kg/cm未満では厚さムラは低減するもののその低減量は小さい。一方、500kg/cmを越えるとプレス前の織布の厚さ、厚さムラ、糸の太さ、織布の経緯密度等により若干異なるが、織布の繊維が部分的に圧縮破壊されて織布の強度が著しく低下する場合がある。プレス用ロール間への織布の通過速度は、プレス圧力により異なるが、通常2〜20m/分程度が好ましい。この範囲以外では、均一なプレス加工がなされない場合もある。
プレス加工処理の回数は、1回だけでなく、2〜10回程度繰り返してもよい。
【0039】
(平板型プレス器)
平板型プレス器の場合、プレス加工時のプレス圧力は面圧で20〜2000kg/cmが好ましい。20kg/cm未満でも厚さムラは低減するものの、その低減量は少ない。また、2000kg/cmを超えると、プレス前の織布の厚さ、厚さムラ、糸の太さ、織布の経緯密度等により若干異なるが、織布の繊維が部分的に圧縮破壊されて織布の強度が著しく低下する場合がある。
【0040】
所定の圧力で加圧する時間は通常10秒間〜10分間が好ましい。10秒間未満では厚さムラの低減効果は少ない。他方、10分間を超える長時間でプレス加工しても効果は小さい。
いずれの場合においても、プレス器でプレス加工する織布の枚数は通常1枚づつであるが、生産性を上げるために、2〜20枚を重ねてプレス加工してもよい。ただし、20枚以上では、プレス加工後の織布に厚さムラの低減効果が見られない場合がある。
【0041】
また、厚さムラの低減効果を高めるために、プレス加工前の織布に、ポリビニルアルコール、でんぷん糊等の糊剤、またはフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を有機溶剤等で溶解させたもの、またはこれらの樹脂の微粉砕物を、添着させてもよい。
【0042】
また、プレス加工時に、プレス面の温度を室温より高い温度(例えば50〜500℃、好ましくは100〜300℃程度)に昇温してプレス加工してもよい。この場合、上述の樹脂を溶融・硬化させたり、織布に含まれる水分等が除去されることなどから、より均一なプレス加工ができる。
上記のようにプレス加工することにより、厚さムラが低減するだけでなく、燃料電池の電圧低下の要因の1つとなりうる、炭素質繊維織布の表面に存在する長さ数mm程度の毛羽の毛羽立ちが低減される効果も期待できる。
【0043】
(炭素化処理)
炭素質前駆体繊維糸で構成された織布をプレス加工した場合には、炭素化処理は、該プレス加工に引き続いて行われ、炭素質前駆体繊維糸を炭素化すると共に、プレス加工の効果を定着させる役割を有する。
また、炭素化された炭素質繊維糸で構成された織布をプレス加工する場合には、炭素化処理は、プレス加工に先だって、炭素質前駆体繊維、炭素質前駆体繊維糸、又は炭素質前駆体繊維織布に対して行われ、炭素質前駆体繊維を炭素化する役割を有する。このプレス加工前の炭素化処理により得られた炭素質繊維の結晶化度が高くなればなるほど、その後にプレス加工をし、さらにプレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理を行うことによりプレス加工の効果を定着させるのが難しくなる。従ってプレス加工前に炭素質前駆体繊維を炭素化処理する温度は低い方が好ましく、通常、1000℃以下が好ましい。
【0044】
炭素化処理の条件は、当該処理が上記のいかなる段階で行われるかにも依存するが、通常、不活性ガス中で400℃以上、好ましくは600℃以上で、1400℃以下、好ましくは1300℃以下、より好ましくは1000℃以下に加熱すればよい。織布の導電性の点からは700℃以上、さらには800℃以上に加熱するのが好ましく、900℃以上に加熱するのが更に好ましい。
【0045】
炭素化処理においては、300〜750℃程度の熱分解温度を経由して、通常、800〜1400℃で炭素化を行う。熱分解過程の昇温速度は5〜300℃/分、炭素化過程での温度保持時間は1分以上4時間以内が好ましい。また、熱処理炉の熱容量及び原料織布の炉内への搬送速度にもよるが、750℃以下の熱分解ゾーンを設けずに、最初から一定温度の炭素化ゾーンへ織布を投入し、織布が炭素化ゾーンから受ける熱により、なりゆきで織布の温度が上昇して熱分解が起こり、その後、炭素化が進行するようにしてもよい。また、炉内のガス雰囲気はいずれの場合でも酸素濃度100ppm以下の不活性雰囲気が好ましい。
【0046】
炭素化処理を行うための炭素化炉は、バッチ式熱処理炉または連続式熱処理炉のいずれでもよいが、長尺の織布を連続的にかつ均一に炭素化処理が行える利点から連続式炉が好ましい。
連続式熱処理炉とは、複数段の加熱手段を備えた横型連続加熱炉又は縦型連続加熱炉によるものであり、縦型より横型の方が、織布の自重による変形、不均一化が起こりにくいために好ましい。被処理物の炉内搬送は、金属製(スチール、ステンレス等)のメッシュまたはメッシュなしのベルト上に、通常は直接載置し、ベルトの外部コントロールによる一定速度の移動によって搬送されていくものが好ましい。
【0047】
(黒鉛化処理)
黒鉛化処理は、炭素化された炭素質繊維織布をさらに黒鉛化する処理であり、炭素化された炭素質繊維織布をプレス加工した場合には、炭素質繊維糸を黒鉛化すると共に、プレス加工の効果を定着させる役割を有する。
黒鉛化処理の温度は、通常1400℃以上、好ましくは1600℃以上であり、また、通常3000℃以下、好ましくは2500℃以下である。温度が1400℃以上であればさらに織布の体積固有抵抗が減少し、ガス拡散層材料としてより好ましい。なお、3000℃程度までの処理で熱処理後の体積固有抵抗はガス拡散層材料として使用上問題がないものとなる。
【0048】
黒鉛化処理の時間は、通常10分以上、好ましくは20分以上であり、また、通常4時間以下、好ましくは2時間以下である。処理時間が10分未満では黒鉛化が均一に完了しない場合がある。他方、処理時間が長い場合は生産性及び熱効率が低く、また黒鉛化炉の断熱材、発熱体等から発生する不純物で織布が汚染される場合がある。
【0049】
(剛性付与処理)
本発明方法においては、上記の各処理工程の内、織布を作製するための製織工程よりも後の段階で織布に剛性付与処理を行い、最終的に得られる炭素質繊維織布の面方向の体積固有抵抗が0.2Ωcm以下となるようにする。
剛性付与処理は製織工程よりも後の任意の段階で行うことができるが、織布の熱処理の最終段階(通常は黒鉛化処理)よりも前の段階で剛性付与処理のためのバインダー付着を行った場合は、その後、織布の熱処理(炭素化・黒鉛化)とバインダーの熱処理(炭素化)とが同時に進行することになり、その結果、織布の収縮とバインダーの収縮とが同時に生起して、厚さむら発生の原因となることもある。従って剛性付与処理は、織布の熱処理の最終段階(通常は黒鉛化処理)よりも後の段階で行うのが好ましい。
【0050】
剛性付与処理においては、織布を構成する炭素質繊維にバインダー又はその炭素化物を付着させて炭素質繊維を互に結着させる。
具体的には、例えば適当な処理段階にある織布に、バインダー、好ましくは樹脂やピッチなどの有機質バインダーを付着させて、織布を構成する炭素質繊維を互に結着させることにより、剛性付与処理を行う。有機質バインダーの付着は、例えば、有機質バインダーの溶液中に織布を浸漬するか又は織布にこの溶液を塗布すればよい。
【0051】
例えば有機質バインダーを、水、メタノール、アセトン、トルエン、キシレン、キノリン、N,N−ジメチルホルムアミドなど適宜の溶媒に溶解した溶液に織布を浸漬して織布に有機質バインダーを付着させ、次いで乾燥したのち、ホットプレス、カレンダーロール、オーブン等で加熱して有機質バインダーを硬化させる手法によることができる。織布の浸漬に用いる有機質バインダー溶液としては、通常は濃度が0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%程度のものを用いればよい。また、有機質バインダーを単に硬化させるだけでなく、有機質バインダーを付着させた織布を更に窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気中で加熱して、有機質バインダーを炭素化、更には黒鉛化してもよい。
【0052】
有機質バインダーとしては、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、アセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ビスマレイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ABS樹脂、AAS樹脂、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−1−ブテン、アクリロニトリル−スチレン系樹脂、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、セルロース、エポキシ樹脂、ポリエステル、コールタールピッチ、石油ピッチ、メソフェーズピッチなどを用いればよい。
【0053】
さらに、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリジエン、ポリウレタンゴム、天然ゴム等のゴム様物質、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレンコポリマー、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム等のフッ素系ゴム、フルオロエチレン−ビニルエーテル共重合体(例えば、旭ガラス(株)製「ルミフロン」)、非晶質パーフルオロ樹脂(例えば、旭硝子(株)製「サイトップ」)、熱可塑性フッ素ゴム(例えば、ダイキン工業(株)製「ダイエルサーモプラスチック」)、軟質フッ素樹脂(例えば、セントラル硝子(株)製「セフラルソフト」)などのフッ素を含有する樹脂も使用し得る。これらのなかでも熱硬化性のものを用いるのが好ましい。特に織布に付着させた後に炭素化させる場合には、炭素化処理に際してその形状を維持し得るように熱硬化性のものを用いるべきであり、熱可塑性のものを用いる場合には炭素化処理に先立って耐炎化処理などの前処理をすべきである。
【0054】
本発明において、バインダーやその炭素化物で織布を構成する炭素質繊維を互に結着させる際には、バインダーやその炭素化物が織布の空隙を塞いで織布のガス拡散性を低下させないようにすることが重要である。
そのためには、下記の2つの手法が好適である。
即ち、▲1▼低濃度のバインダー溶液に織布を浸漬するか又はこの溶液を織布全面に塗布することにより、比較的少量のバインダー又はその炭素化物で炭素質繊維の表面を被覆して繊維を互いに結着させること、或いは、▲2▼高濃度のバインダー溶液を織布に散布して織布にバインダーを点状に付着させることにより、比較的多量のバインダー又はその炭素化物で炭素質繊維を不連続的に結着させることがあげられる。
【0055】
なお、この炭素質繊維表面のバインダー又はその炭素化物による結着の状態は、透過型電子顕微鏡写真により織布を観察することによって容易に確認することができる。
まず、上記▲1▼としては、通常、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%程度の比較的低濃度のバインダー溶液に織布を浸漬して織布に有機質バインダーを付着させ、次いで乾燥したのち、ホットプレス、カレンダーロール、オーブン等で加熱して有機質バインダーを硬化させる手法によることができる。従って有機質バインダーを多量に付着させた場合には、付着後に有機質バインダーを炭素化させるべきである。なお、織布に付着させた有機質バインダーを炭素化させる場合には、有機質バインダーとしては、炭素化後の残存率が20%以上、特に40〜65%のものを用いるのが好ましい。また、バインダー中に、粉末状活性炭、活性炭素繊維、ケッチェンブラックのような多孔質カーボンブラックなどを混合して織布に付着させてもよい。これらはバインダーに対して10〜90重量%、特に30〜80重量%程度混合するのが好ましく、これにより一般に最終的に得られる炭素質繊維織布の剛性を高めることができる。この場合に、得られる炭素質繊維織布における、バインダーないしその炭素化物の含有量は、通常は0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上である。また、通常は30重量%以下であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらには10重量%以下が好ましい。
【0056】
バインダーないしはその炭素化物の含有量が多いと織布のガス透過性が損なわれ易いので、剛性などが満足される限り、これらの含有量は少ない方が好ましいともいえる。かかる観点からはバインダーないしはその炭素化物の含有量は16重量%以下が好ましく、さらには10重量%以下、特に5重量%以下であれば更に好ましい。
【0057】
次に、上記▲2▼の、バインダー又はその炭素化物で炭素質繊維を不連続的に結着させる方法としては、次のようなものがあげられる。まず、バインダー又はその炭素化物の種類としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂等熱硬化性樹脂を選択することが好ましい。この熱硬化性樹脂を、通常、平均粒径3μm以上、好ましくは平均粒径10μm以上、また、通常、平均粒径50μm以下、好ましくは平均粒径30μm以下(最大粒径は、通常、200μm以下、好ましくは150μm以下、最小粒径は、通常、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上)の半硬化樹脂微粒子の分散液として、織布に噴霧又は塗布し、適宜、乾燥、プレスし、加熱して完全硬化することにより作製することができる。
【0058】
なお、半硬化樹脂とは、該樹脂を大過剰のメタノールで煮沸したとき、溶解量が30〜97重量%、中でも70〜95重量%程度のものを指す。熱硬化性樹脂が完全硬化していれば、大過剰のメタノール中でも実質的に溶解しないが、完全硬化に至らない場合は一部溶解するので、溶解量によって硬化度を表すことが出来る。
【0059】
乾燥は、通常、50〜170℃、好ましくは90〜160℃で行えばよく、完全硬化は、用いる熱硬化性樹脂の硬化温度以上であり、通常、120〜400℃、好ましくは180〜330℃で行えばよい。
なお熱硬化性樹脂としては、耐熱性、化学的安定性、導電性等を考慮した場合、特に、フェノール樹脂及び変性フェノール樹脂の半硬化物が好ましい。
【0060】
有機質バインダーを多量に付着させた場合には、付着後に有機質バインダーを炭素化させるべきである。なお、織布に付着させた有機質バインダーを炭素化させる場合には、有機質バインダーとしては、炭素化後の残存率が20%以上、特に40〜65%のものを用いるのが好ましい。また、バインダー中に、粉末状活性炭、活性炭素繊維、ケッチェンブラックのような多孔質カーボンブラックなどを混合して織布に付着させてもよい。これらはバインダーに対して10〜90重量%、特に30〜80重量%程度混合するのが好ましく、これにより一般に最終的に得られる炭素質繊維織布の剛性を高めることができる。この場合に、得られる炭素質繊維織布における、バインダーないしその炭素化物の含有量は、通常は10重量%以上、好ましくは20重量%以上で、通常、40重量%以下、好ましくは35重量%以下、更に好ましくは、30重量%以下である。
【0061】
このような熱硬化性樹脂の半硬化物をバインダーとして剛性を高めた織布は、炭素質繊維間を半硬化物が点接触して結着させることができるので、例えば液体状のフェノール樹脂を用いた場合のように、炭素質繊維同志の接着だけでなく該繊維の表面を樹脂が覆うために発生する電気抵抗増加が少なく、好ましい。
なお、耐炎化繊維を製織して得た織布を炭素化、さらには黒鉛化する際に繊維を相互に融着させると、バインダーを用いずとも剛性の付与された炭素質繊維織布を製造することができるが、このようにして得られた織布に、前記と同様にして、バインダーを付着させて、織布を構成する炭素質繊維を互に結着させることもできる。また炭素化処理する前の耐炎化繊維織布に有機質バインダーを付着させて、織布の炭素化と有機質バインダーの炭素化とを同時に行うこともできる。有機質バインダーとしては前記したもののなかから適宜選択して用いればよい。
【0062】
なお、上述の樹脂バインダーの炭素化の条件は、通常、400〜2200℃、好ましくは700〜1600℃、より好ましくは800〜1200℃で、通常、1分〜5時間、好ましくは10〜30分である。
【0063】
(その他の処理)
上記で得られた炭素質繊維織布は実質的に炭素質繊維よりなるものであるが、上記のバインダー又はその炭素化物を含有しており、更に、これに、粉末活性炭、導電性カーボンブラック、各種ピッチの炭素化物などの導電性物質を含有させることもできる。例えば、ピッチを有機溶媒に溶解させてピッチ溶液とし、これに粉末活性炭や導電性カーボンブラックを懸濁させたものを上記で得られた織布に塗布し、次いで不活性ガス中で加熱してピッチを炭素化させたものが挙げられる。その場合でも、織布に占める炭素質繊維の割合は60重量%以上であり、好ましくは80重量%以上である。
【0064】
上記により得られた炭素質繊維織布は、そのままでも燃料電池のガス拡散層の材料として用いることができるが、これを更に加工してガス拡散層の材料として用いることもできる。例えば電池を構成する膜電極体に適度の水分を保持させたり、電池に供給される燃料や酸化剤に含まれる不純物を吸着除去して電池特性の低下を防止するために、上記で得られた炭素質繊維織布に、800〜1200℃程度の水蒸気や二酸化炭素、または300〜500℃程度の空気を接触させ、炭素質の一部をガス化して炭素質繊維に微細な孔を生成させ、多孔性の炭素質繊維からなる織布とすることができる。
【0065】
(炭素質繊維織布の物性)
得られる剛性付与処理された炭素質繊維織布の目付量は、通常50g/m以上、好ましくは60g/m以上であり、また、通常200g/m以下、好ましくは180g/m以下である。目付量が小さすぎると引張強度が小さくなり、ガス拡散層材料として使用できない。目付量が大きすぎるとガス透過性が小さくなりすぎる。
【0066】
炭素質繊維織布の嵩密度(g/cc)は、織布の目付量を織布の厚さで除すことにより得られる。織布の嵩密度は、通常0.2g/cc以上、好ましくは、0.25g/cc以上であり、また、通常0.6g/cc以下、好ましくは、0.55g/cc以下である。嵩密度が0.2g/cc未満では織布の引張強度が弱く実用的でない。また、嵩密度が大きすぎるとガス拡散性が低下する。
【0067】
炭素質繊維織布の面方向の体積固有抵抗は、通常0.2Ωcm以下、好ましくは0.15Ωcm以下、より好ましくは0.10Ωcm以下である。この値は低いほど好ましいが、0.05Ωcm程度以下であればガス拡散層材料として十分に低い体積固有抵抗である。
織布を構成する糸の繊度は、メートル番手で、通常16番手以上、好ましくは18番手以上、より好ましくは20番手以上であり、また、通常60番手以下、好ましくは55番手以下である。
【0068】
単糸の場合、メートル番手で、通常1/16Nm以上、好ましくは1/18Nm以上、より好ましくは1/20Nm以上であり、また、通常1/60Nm以下、好ましくは1/55Nm以下である。双糸の場合、メートル番手で、通常2/32Nm以上、好ましくは2/36Nm以上、より好ましくは2/40Nm以上であり、また、通常2/120Nm以下、好ましくは2/110Nm以下である。
【0069】
1/16Nm又は2/32Nmより太番手の場合、単位長さあたりの毛羽数が多くなる傾向がある。また、1/60Nm又は2/120Nmより細番手の場合、糸の引張強度が低くなる傾向がある。
なお、炭素質繊維は、紡糸−耐炎化−炭素化−(黒鉛化)という工程を経て得られるが、耐炎化糸を炭素化、さらには黒鉛化する工程で、繊度は約10〜20%程度減少する。本発明において織布を構成する糸の繊度は、最終的に得られた織布の糸についてのものであり、織布から糸を抜き出して計測することにより測定できる。
【0070】
平織の場合の炭素質繊維織布の経緯密度(単位長さ当たりの縦糸及び横糸の本数)は、織布を構成する糸(耐炎化糸)が炭素化、黒鉛化する工程で繊度が約10%程度減少するため、一般的には1インチ当り30〜70本であるが、具体的には単糸、双糸の別や糸の太さに応じて適宜選択する。例えば、2/40Nmの紡績糸の双糸を縦糸及び横糸に用いた場合の経緯密度は、織布の長さ10cm当たり、通常は縦糸、横糸とも100〜300本/10cmであり、好ましくは180〜250本/10cmである。また、縦糸と横糸の糸間の空隙が、走査型電子顕微鏡で観察した場合、その糸間の空隙に該当する孔径が10〜150μmであることが、燃料電池のガス拡散層に用いたときの保水性・排水性を確保するために好ましい。
【0071】
好ましい織布の1例は、直径が7〜10μmの単繊維から成る40〜60番手糸の双糸を、1インチ当り縦糸、横糸とも30〜70本の密度で平織して得られるものである。
炭素質繊維織布の厚さ(平均値)及び厚みムラ(変動係数)は次のようにして求める。織布からその縦糸方向及び横糸方向を辺とする正方形を、端から5mmまで、好ましくは10mmまでの部分は含まないように、切り出し、その対角線2本をそれぞれ11等分した合計20個の分割点の織布の厚さを測定する。測定値から平均値及び厚さの変動係数(織布厚さの標準偏差/織布厚さの平均値x100%)を求める。切り出す織布のサイズは、織布の幅によって異なるが、端部を除く40〜98%の布幅で、中でも70〜90%程度の布幅で、正方形に切り出すのが標準的であり、特に限定しないが、10〜40cm角の正方形が好ましい。
【0072】
厚さの測定は、直径が5mmの円盤型の端子を約10g/cmの加重で織布表面に接触させて厚さを測定する。上記の測定を、織布の長さ方向に、端から5mmまで、好ましくは10mmまでの部分は含まないように、5〜50mおきに実施するが、織布長さが5m未満のときは、任意の部分1点を正方形に切り出して測定した値から炭素質繊維織布の厚さ及び厚さの変動係数を求める。長さが5m以上の場合は、長さ方向に5等分し、それぞれから任意の部分1点を正方形に切り出した計5点について厚さ及び厚さの変動係数を求め、それらの平均値を長尺炭素質繊維織布の厚さ及び厚さの変動係数とする。
【0073】
炭素質繊維織布の厚さは、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、また、通常2mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.35mm以下である。厚さが0.05mm未満では引張強度が小さく、ガス拡散層材料として不十分であり、他方、厚さが2mmを越えるとガス透過性が低下し、ガス拡散層材料として不十分である。
【0074】
炭素質繊維織布の厚さの変動係数は、通常3.2%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは2.8%以下である。本発明方法においては、織布の縦糸と横糸とが交差し、微妙な厚さムラが発生している箇所に、剛性付与処理により付着したバインダー又はその炭素化物が入り込んで変動係数が改善されるので、通常、2.5%以下、好ましくは2.3%以下、より好ましくは2%以下となる。変動係数は小さいほどよいが、1%程度なら十分である。
【0075】
(織布を構成する縦糸及び横糸の断面形状)
プレス加工を行っていない通常の織布においては、製織後の糸の全体断面形状は、ほぼ真円形、または長径/短径の比が1に近い楕円形で近似することができる。これに対し、プレス加工後の織布の糸の断面形状は、面方向が長径、厚さ方向が短径で長径/短径の比が通常2以上の楕円形で近似することができる。
【0076】
織布中の糸の断面形状の観察方法は、特に限定されないが、例えば、織布の破断面を縦糸または横糸に平行に切断し、切断した断面を走査電子顕微鏡等の顕微鏡で撮影した写真から求めることができる。織布の切断は刃の鋭利なハサミを使用することが可能であるが、それ以外に、織布を硬化後の寸法変化の小さい熱硬化性樹脂中に埋設し、完全硬化した後、破断面を切削器具で切り出して観察対象試料としてもよい。
【0077】
織布を構成する縦糸及び横糸の断面の長径/短径の比の好適な値は、糸の太さ(糸番手)、糸の撚り数、双糸か単糸か、或いは織布の経緯密度により若干異なるが、通常2以上、好ましくは2.5以上、より好ましくは3以上である。長径/短径の比が2未満では厚さムラの低減効果が小さい。なお、長径/短径の比は通常10以下であり、好ましくは8以下である。該比が10を越える場合には、極度に織布の厚さが薄くなる部分が発生し、厚さムラが大きくなる場合がある。
【0078】
なお上記長径及び短径の実測値は、糸の太さ(糸番手)、糸の撚り数、双糸か単糸か、或いは織布の経緯密度により若干異なるが、長径が通常200〜800μmであり、短径が通常80〜200μmである。
(ガス透過性)
ガス透過性は、JIS L 1096(一般織物試験法)の通気性試験(フラジール形法)により測定する。この評価法により得られたガス透過性の測定値は、燃料電池用ガス拡散層材料としての炭素質繊維を使用する場合のガス透過性及び保水性の程度を反映する。
【0079】
織布のガス透過性は、通常、200cm/cm・sec以下であり、好ましくは150cm/cm・sec以下である。ガス透過性は低いほど保水性が向上するため好ましいが、ガス拡散層材料として使用するためには、30cm/cm・sec以上、自動車用の固体高分子型燃料電池のような瞬時に大電流の発生を必要とする高出力用途で使用する場合は、50cm/cm・sec以上が好ましい。
【0080】
(炭素質繊維の単繊維のサイズ)
炭素質繊維の単繊維の直径は通常6〜50μm、好ましくは6〜30μmの範囲である。特に直径7〜15μmの単繊維からなる紡績糸から得られた織布は、上記の炭素化処理、黒鉛化処理により厚さムラが発生しにくいため好ましい。
【0081】
(剛軟性指数値)
本発明方法によって製造される炭素質繊維織布は、45°カンチレバー法に準拠した剛軟性指数値(L)が、通常6cm以上である。45°カンチレバー法による剛軟性指数値(L)は、JIS L 1096に規定された、織布のしなやかさ(剛軟性)の指標である。
【0082】
45°カンチレバー法による剛軟性指数値の測定では、2cm×約15cmの寸法で採取した試験片を、その一端に45度の傾斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置く。次に、試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて、試験片の一端の中央点が上記の傾斜面と接したときに、他端の位置をスケールによって読む。剛軟度は、かくして得られた試験片が異動した長さで示される。
【0083】
通常の炭素質繊維織布はしなやかであり、厚さが0.05〜1mmの織布の指数値(L)は通常5cm以下である。本発明方法によって製造される炭素質繊維織布では、織布を形成する繊維を互に融着又は結着させることにより、指数値(L)が6以上となっている。指数値(L)は8cm以上であることが好ましい。
なお、45°カンチレバー法による剛軟性指数値(L)は、JIS規格において、最大値は約15cmであるが、試験片の長さを15cmよりも長くすることにより、より剛性の大きいものの指数値も測定することができるので、剛軟性指数値(L)が30cm以下であれば、JIS規格準拠の剛性の指標として一般的に許容されている。本発明方法によって製造される炭素質繊維織布は、45°カンチレバー法に準拠する剛軟性指数値(L)が25cm以下であるのが好ましい。
【0084】
なお、JIS L 1096には、45°カンチレバー法よりも高剛性の試料の剛性評価向けに、クラーク法が記載されている。
クラーク法では、2cm×15cm〜25cmの寸法で採取した試験片をクラーク形試験機の2個のローラ間に挟み、ハンドルを左右に回し、試験片が左右に倒れるときの角度目盛り板に指示される左右の角度の和が90°±2°となるようにローラから張り出す長さを加減し、その時の長さを測る。
【0085】
クラーク法についても、45°カンチレバー法と同様に、剛軟性指数値(L)の最大値は約25cmであるが、40cm以下であれば、JIS規格準拠の剛性の指標として一般的に許容されている。本発明方法によって製造される炭素質繊維織布の剛軟性指数値の好ましい上限値の25cmを、クラーク法に準拠する剛軟性指数値(L)で表すと、約35cmとなる。
【0086】
炭素質繊維織布を燃料電池のガス拡散層材料として用いる場合、あまりに剛性が強すぎると、織布を巻回状にしづらく、取り扱いが困難となる。クラーク法よりも更に高剛性の(硬い)試料の剛性を評価する指標として、オルゼン型試験機を用いた曲げこわさ試験による曲げ弾性率による数値化も可能である。厚さにより若干の違いがあるが、この曲げ弾性率で、1×10kgf/cmを越えると、ロール径にもよるものの、捲回することによる破壊が生じるため、燃料電池に用いるには適さない。例えば、外径10cmのロールに巻き付けた際に、ヒビ・割れが生じるような織布は、実質的に燃料電池用ガス拡散層材料としての使用ができない。しかしながら、45°カンチレバー法に準拠する剛軟性指数値(L)で25cm、クラーク法に準拠する剛軟性指数値(L)で表せば約35cm迄の剛性であれば、3インチ(76mm)直径の巻き芯にも捲回出来る捲回性を有するので、実用上好適である。
【0087】
(炭素質繊維織布の毛羽立ちの度合い)
炭素質繊維織布は、毛羽立ちが少ないものの方が、電気的特性上好ましい。この毛羽立ちの度合いは、以下に述べる毛羽付着試験法(QTECセロテープ(R)法)により測定することができる。
即ち、幅18mmのセロハンテープを、表面が平滑なプラスチック板に40gf/cmの荷重で接着した場合に、JIS L 1089試験法による剥離強さが、350±25gfであるセロハンテープ(例えば、幅18mmのニチバン(株)のセロテープ(R)、品番CT−18又はLP−18が挙げられる。)を、被測定試料である織布にはり、40gf/cmの荷重をのせ、5秒間放置し、剥がす操作を、同じテープで、織布の縦又は横の同方向の5ヶ所で繰り返す。セロハンテープに付着した毛羽の量を財団法人日本繊維製品品質技術センター(略称QTEC)の定める、毛羽付着試験判定スケール(1〜5級)と比べて判定する。
【0088】
この評価法では、1級が繊維織布の毛羽量が最も多く、級数が高くなるほど毛羽量は少ない。5級が、毛羽が最も少ない。評価の級数は、整数の級数間、例えば、2級と3級の間の場合、2−3級(2.5級)と表記する。
本発明方法によって製造される炭素質繊維織布は、この毛羽付着試験法において、毛羽立ち度が、2級以上であるのが好ましい。なかでも好ましいのは3級以上、特に3−4級(3.5級)以上のものである。毛羽立ち度が2級に達成しないものは、炭素質繊維が、炭素質繊維織布の表面から多量に突出しているので、燃料電池のガス拡散層に用いた場合に、短絡を起こしやすくなる。
【0089】
(炭素質繊維織布中の金属不純物)
織布中の金属不純物は、燃料電池の作動時に生成水の電気分解反応により電池特性の低下要因となるため、極力少なくするのが好ましい。例えば鉄は50μg/g以下、ニッケルは50μg/g以下、ナトリウムは100μg/g以下であるのが好ましい。織布中の金属不純物は、織布ないしはその原料の炭素質繊維、更にはその原料糸などを、塩酸、酢酸などの酸で洗浄することにより、その含有量を低減させることができる。
【0090】
(固体高分子型燃料電池用ガス拡散層材料)
本発明方法によって製造される炭素質繊維織布は、燃料電池のガス拡散層として好適に用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレンの分散液と触媒及びカーボンブラックとを混合して得たペーストを高分子固体電解質膜に塗布して高分子固体電解質膜と触媒層との接合体を形成し、これに本発明方法で得られた炭素質繊維織布をガス拡散層として接合することにより膜電極体を形成することができる。高分子固体電解質膜と触媒層との接合体の形成は、離型シート上にポリテトラフロオロエチレンの分散液と触媒及びカーボンブラックとのペーストを塗布して触媒層を形成し、これと高分子固体電解質膜とをホットプレスで接合することにより形成することもできる。また逆に本発明方法で得られた炭素質繊維織布に触媒ペーストを塗布してガス拡散層と触媒層との接合体を形成し、これと高分子固体電解質膜とをホットプレスで接合することにより膜電極体を形成することもできる。いずれの方法による場合でも、本発明方法で得られた炭素質繊維織布は適度の剛性を有しているので、取扱いが容易である。
【0091】
本発明方法で得られた炭素質繊維織布を用いた固体高分子型燃料電池は、自動車用電源やコージェネレーション発電システム用電源として好適に用いられるものである。
【0092】
【実施例】
次に本発明の具体的態様を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
[比較例1]
(炭素質前駆体繊維織布)
メートル番手40番手双糸(2/40Nm)のLOI値50のポリアクリロニトリル耐炎化紡績糸を平織とした。織布のサイズは幅100cm、長さ150mであり、厚さは0.318mm(平均値)、目付量は171g/m(平均値)、嵩密度は0.538g/ccであった。
【0093】
(プレス加工処理)
上記炭素質前駆体繊維織布を、ロール型プレス器の上段ロールと下段ロールとの隙間に、接触圧力300kg/cmで接触させ、10m/分の搬送速度で織布を1回通過させてプレス加工を行った。
プレス加工後の織布の厚さは0.299mm(平均値)、目付量は171g/m(平均値)、嵩密度は0.572g/ccであった。
【0094】
(炭素化処理)
プレス加工後の炭素質前駆体繊維織布を幅50cmで切り出し、窒素雰囲気下の横型連続式炭素化炉で950℃で炭素化処理を行った。
(炭素化後の炭素質繊維織布の物性)
炭素化後の炭素質繊維織布の物性を前記の方法に従って測定した。ただし、織布の厚さの測定のために織布の縦糸方向及び横糸方向を辺として切り出す正方形のサイズは40cm四方とした。
【0095】
炭素化後の炭素質繊維織布の厚さは0.234mm、厚さの変動係数は2.6%、目付量は112g/m、嵩密度は0.479g/cc、体積固有抵抗は0.12Ωcm、ガス透過性は98cm/cm・sec、糸の長径/短径の比は縦糸5.5、横糸5.7であった。
【0096】
(黒鉛化処理)
巻き取った炭素化後の炭素質繊維織布を真空黒鉛化炉で2000℃以上で黒鉛化処理して黒鉛化処理された織布を得た。
【0097】
(黒鉛化後の炭素質繊維織布の物性)
黒鉛化後の炭素質繊維織布の物性を前記の方法に従って測定した。ただし、織布の厚さの測定のために織布の縦糸方向及び横糸方向を辺として切り出す正方形のサイズは40cm四方とした。
黒鉛化後の炭素質繊維織布の厚さは0.208mm、厚さの変動係数は2.6%、目付量は96g/m、嵩密度は0.462g/cc、体積固有抵抗は0.02Ωcm、ガス透過性は92cm/cm・sec、糸の長径/短径の比は縦糸5.0、横糸5.2であり、剛軟性指数値(L)は4cm、毛羽立ち度は2級であった。
【0098】
[実施例1]
黒鉛化処理まで比較例1と同様にして黒鉛化後の炭素質繊維織布を得た。
(剛性付与処理)
得られた黒鉛化後の炭素質繊維織布を、濃度8重量%のフェノール樹脂(レゾール型)のエタノール溶液に浸漬した。130℃で乾燥したのち、330℃でホットプレスし、樹脂を硬化させて炭素質繊維織布を得た。
【0099】
(剛性付与処理後の炭素質繊維織布の物性)
剛性付与処理後の炭素質繊維織布の厚さは0.226mm、厚さの変動係数は2%、目付量は110g/m、嵩密度は0.487g/cc、体積固有抵抗は0.07Ωcm、ガス透過性は80cm/cm・sec、糸の長径/短径の比は縦糸、横糸ともに5.0であり、剛軟性指数値(L)は10cm、毛羽立ち度は3−4級、バインダーの付着量は15重量%であった。なお、フェノール樹脂を含浸させたのち、乾燥・硬化すると、炭素質繊維織布は若干収縮するので、製品の単位面積当りのフェノール樹脂付着量は、ホットプレス前の付着量よりも多い。
【0100】
[実施例2]
(剛性付与処理)
実施例1で得られた樹脂硬化後の炭素質繊維織布を用い、窒素ガス雰囲気下の横型連続炉にて、980℃で炭素化処理を行ない、炭素質繊維織布を得た。
(剛性付与処理した炭素質繊維織布の物性)
剛性付与処理後の炭素質繊維織布の厚さは0.221mm、厚さの変動係数は1.9%、目付量は104g/m、嵩密度は0.471g/cc、体積固有抵抗は0.03Ωcm、ガス透過性は85cm/cm・sec、糸の長径/短径の比は縦糸4.9、横糸5.1、剛軟性指数値は9cm、毛羽立ち度は3−4級、バインダーの炭素化物の付着量は8重量%であった。
【0101】
[実施例3]
黒鉛化処理までは実施例1と同様にして黒鉛化後の炭素質繊維織布を得た。
(剛性付与処理)
得られた黒鉛化後の炭素質繊維織布を、濃度15重量%のフェノール樹脂(レゾール型)のエタノール溶液に浸漬したこと以外は、実施例1と同様にして剛性付与処理をした樹脂硬化後の炭素質繊維織布を得た。さらに、得られた樹脂硬化後の炭素質織布を、実施例2と同様にして980℃で炭素化処理を行い、炭素質繊維織布を得た。
【0102】
(剛性付与処理した炭素質繊維織布の物性)
剛性付与処理後の炭素質繊維織布の厚さは0.225mm、厚さの変動係数は1.4%、目付量は115g/m、嵩密度は0.511g/cc、体積固有抵抗は0.02Ωcm、ガス透過性は85cm/cm・sec、糸の長径/短径の比は縦糸、横糸ともに5.1、剛軟性指数値は12cm、毛羽立ち度は3−4級、バインダーの炭素化物の付着量は19重量%であった。
【0103】
[実施例4]
黒鉛化処理までは実施例1と同様にして黒鉛化後の炭素質繊維織布を得た。
(剛性付与処理)
得られた黒鉛化後の炭素質繊維織布を、濃度10重量%の平均粒径20μmのフェノール樹脂半硬化物(フェノール樹脂半硬化物のメタノール煮沸時の溶解率が95%)水分散液に浸漬した。100℃で60分間乾燥した後、300℃でホットプレスし、樹脂を硬化させて炭素質繊維織布を得た。
【0104】
(剛性付与処理した炭素質繊維織布の物性)
剛性付与処理後の炭素質繊維織布の厚さは0.220mm、厚さの変動係数は1.4%、目付量は105g/m、嵩密度は0.477g/cc、体積固有抵抗は0.05Ωcm、ガス透過性は85cm/cm・sec、糸の長径/短径の比は縦糸5.0、横糸5.2、剛軟性指数値は12cm、毛羽立ち度は3−4級、バインダーの炭素化物の付着量は10重量%であった。
【0105】
得られた炭素質繊維織布から5mm×5mm角の大きさのものを切り出し、走査型電子顕微鏡写真を撮影して、観察したところ、樹脂成分の大部分の形状は約1〜10μm程度の球状であり、これらの大部分が炭素質繊維間を点接触するような形で存在していた。また、炭素質繊維の表面が樹脂で被覆された様子は観察されなかった。
【0106】
[実施例5]
(剛性付与処理)
実施例4で得られた樹脂硬化後の炭素質繊維織布を用い、窒素ガス雰囲気下の横型連続炉にて、980℃で炭素化処理を行ない、炭素質繊維織布を得た。
(剛性付与処理した炭素質繊維織布の物性)
剛性付与処理後の炭素質繊維織布の厚さは0.215mm、厚さの変動係数は1.5%、目付量は101g/m、嵩密度は0.470g/cc、体積固有抵抗は0.02Ωcm、ガス透過性は90cm/cm・sec、糸の長径/短径の比は縦糸4.8、横糸4.9、剛軟性指数値は10cm、毛羽立ち度は3級、バインダーの炭素化物の付着量は5重量%であった。
【0107】
[比較例2]
黒鉛化処理までは実施例1と同様にして黒鉛化後の炭素質繊維織布を得た。
(剛性付与処理)
得られた黒鉛化後の炭素質繊維織布を、濃度40重量%のフェノール樹脂(レゾール型)のエタノール溶液に浸漬したこと以外は、実施例1と同様にして剛性付与処理をした炭素質繊維織布を得た。
【0108】
(剛性付与処理した炭素質繊維織布の物性)
剛性付与処理後の炭素質繊維織布の厚さは0.265mm、厚さの変動係数は3.1%、目付量は170g/m、嵩密度は0.641g/cc、体積固有抵抗は0.21Ωcm、ガス透過性は25cm/cm・sec、糸の長径/短径の比は縦糸、横糸ともに4.2、剛軟性指数値は15cm、毛羽立ち度は3−4級、バインダーの炭素化物の付着量は78重量%であった。
【0109】
[比較例3]
プレス加工処理及び剛性付与処理をしなかったこと以外は実施例1と同様にして黒鉛化処理された炭素質繊維織布を得た。
(黒鉛化後の炭素質繊維織布の物性)
黒鉛化後の炭素質繊維織布の厚さは0.246mm、厚さの変動係数は3.5%、目付量:101g/m、嵩密度は0.411g/cc、体積固有抵抗0.02Ωcm、ガス透過性は105cm/cm・sec、体積固有抵抗は0.02Ωcm、糸の長径/短径の比は縦糸1.8、横糸1.9、剛軟性指数値は4cm、毛羽立ち度は1−2級であった。
【0110】
【発明の効果】
本発明により、ガス透過性、導電性、保水性、排水性等の性質がバランスし、厚さむらが小さく、かつ適度な剛性を有し、固体高分子型燃料電池用ガス拡散層材料として好適な炭素質繊維織布を製造する方法が提供される。

Claims (14)

  1. 炭素質前駆体繊維又は1400℃を超えない温度で炭素化処理された炭素質繊維で構成された織布をプレス加工し、次いで織布を構成する繊維のプレス加工以前の熱履歴よりも高くかつ該繊維の炭素化処理に必要な温度以上の温度での熱処理を行って炭素質繊維織布を製造するに当たり、上記織布を作製するための製織よりも後の段階で織布に剛性付与処理を行い、最終的に面方向の体積固有抵抗が0.2Ωcm以下の炭素質繊維織布を製造することを特徴とする炭素質繊維織布の製造方法。
  2. 剛性付与処理が、バインダー又はその炭素化物で炭素質繊維の表面を被覆して繊維を互いに結着させることである、請求項1に記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  3. 剛性付与処理が、バインダー又はその炭素化物を炭素質繊維に点状に付着させて繊維を互いに結着させることである、請求項1に記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  4. 炭素質前駆体繊維で構成された織布をプレス加工し、次いで炭素化処理する、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  5. 炭素化処理された織布をさらに黒鉛化処理する、請求項4に記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  6. 剛性付与処理を、黒鉛化処理の後に行う、請求項5に記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  7. 炭素質前駆体繊維は耐炎化処理されたものである、請求項4〜6のいずれかに記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  8. 炭素質前駆体繊維で構成された織布は、耐炎化処理された炭素質前駆体繊維の紡績糸を製織して得られたものである、請求項7に記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  9. 1400℃を超えない温度で炭素化処理された炭素質繊維で構成された織布をプレス加工し、次いでプレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理を行う、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  10. プレス加工以前の熱履歴よりも高い温度での熱処理は、黒鉛化処理である、請求項9に記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  11. 剛性付与処理を、黒鉛化処理の後に行う、請求項10に記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  12. 1400℃を超えない温度で炭素化処理された炭素質繊維で構成された織布は、耐炎化処理された炭素質前駆体繊維の紡績糸を製織して得られた炭素質前駆体繊維の織布を400〜1400℃の温度で炭素化処理して得られたものである、請求項9〜11のいずれかに記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  13. 1400℃を超えない温度で炭素化処理された炭素質繊維で構成された織布は、耐炎化処理された炭素質前駆体繊維の紡績糸を400〜1400℃の温度で炭素化処理して得られた糸を製織して得られたものである、請求項9〜11のいずれかに記載の炭素質繊維織布の製造方法。
  14. 1400℃を超えない温度で炭素化処理された炭素質繊維で構成された織布は、耐炎化処理された炭素質前駆体繊維を400〜1400℃の温度で炭素化処理したのち紡績して得られた糸を製織して得られたものである、請求項9〜11のいずれかに記載の炭素質繊維織布の製造方法。
JP2002265531A 2002-09-11 2002-09-11 炭素質繊維織布の製造方法 Expired - Lifetime JP4333106B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002265531A JP4333106B2 (ja) 2002-09-11 2002-09-11 炭素質繊維織布の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002265531A JP4333106B2 (ja) 2002-09-11 2002-09-11 炭素質繊維織布の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004100106A true JP2004100106A (ja) 2004-04-02
JP4333106B2 JP4333106B2 (ja) 2009-09-16

Family

ID=32264648

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002265531A Expired - Lifetime JP4333106B2 (ja) 2002-09-11 2002-09-11 炭素質繊維織布の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4333106B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009043484A (ja) * 2007-08-07 2009-02-26 Toyota Motor Corp ガス拡散層の製造方法、膜電極接合体の製造方法、燃料電池の製造方法、および、ガス拡散層
JP2011192653A (ja) * 2006-03-17 2011-09-29 Gm Global Technology Operations Inc ガス拡散媒体及び燃料電池

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63233073A (ja) * 1987-03-23 1988-09-28 東レ株式会社 導電性基材の製造方法
JP2002194650A (ja) * 2000-12-19 2002-07-10 Toho Tenax Co Ltd 酸化繊維シート、圧縮酸化繊維シート、それらの製造方法、及び炭素繊維シートの製造方法
JP2002249984A (ja) * 2001-02-23 2002-09-06 Mitsubishi Rayon Co Ltd 補強繊維布帛巻物およびその製造方法ならびに製造装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63233073A (ja) * 1987-03-23 1988-09-28 東レ株式会社 導電性基材の製造方法
JP2002194650A (ja) * 2000-12-19 2002-07-10 Toho Tenax Co Ltd 酸化繊維シート、圧縮酸化繊維シート、それらの製造方法、及び炭素繊維シートの製造方法
JP2002249984A (ja) * 2001-02-23 2002-09-06 Mitsubishi Rayon Co Ltd 補強繊維布帛巻物およびその製造方法ならびに製造装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011192653A (ja) * 2006-03-17 2011-09-29 Gm Global Technology Operations Inc ガス拡散媒体及び燃料電池
JP2009043484A (ja) * 2007-08-07 2009-02-26 Toyota Motor Corp ガス拡散層の製造方法、膜電極接合体の製造方法、燃料電池の製造方法、および、ガス拡散層

Also Published As

Publication number Publication date
JP4333106B2 (ja) 2009-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060257720A1 (en) Conductive carbonaceous fiber woven cloth and solid polymer-type fuel cell
EP1237214A2 (en) Conductive carbonaceous-fiber sheet and solid polymer electrolyte fuel cell
US20050260909A1 (en) Carbonic fiber woven fabric, carbonic fiber woven fabric roll, gas diffusion layer material for solid polymer fuel cell, method for producing carbonic fiber woven fabric and method for producing gas diffusion layer material for solid polymer fuel cell
JP3774439B2 (ja) 導電性不織布
JP4329296B2 (ja) 導電性炭素質繊維シート及び固体高分子型燃料電池
JPWO2003034519A1 (ja) 燃料電池用の炭素繊維織物、電極体、燃料電池、移動体、および、燃料電池用の炭素繊維織物の製造方法
JP2002352807A (ja) ガス拡散体及びその製造方法
JP2009283259A (ja) 多孔質炭素電極基材
JP2008201005A (ja) 炭素繊維シート及びその製造方法
JP2007080742A (ja) 固体高分子電解質型燃料電池用炭素繊維シート及びその製造方法
JP4282964B2 (ja) 炭素質繊維織布
JP2008186718A (ja) 燃料電池用ガス拡散層、燃料電池、燃料電池搭載装置
JP4283010B2 (ja) 導電性炭素質繊維織布及びこれを用いた固体高分子型燃料電池
JP4333106B2 (ja) 炭素質繊維織布の製造方法
KR100763548B1 (ko) 연료전지용 가스 확산층의 형성방법
JP2004084147A (ja) 炭素質繊維織布
JP3993151B2 (ja) 炭素質繊維織布の製造方法および固体高分子型燃料電池用ガス拡散層材料の製造方法
JP2004084136A (ja) 炭素質繊維織布の製造方法及び炭素質繊維織布並びに固体高分子型燃料電池用ガス拡散層材料
KR102388815B1 (ko) 고밀도 기체확산층과 이의 제조방법, 및 이를 채용한 전극, 막전극 집합체, 및 연료전지
JP2010047865A (ja) 複合材料用炭素繊維とそれを用いた複合材料
TW202209736A (zh) 具有改善的彎曲特性的用於燃料電池的氣體擴散層
JP2004091947A (ja) 炭素質繊維織布の製造方法
JP2004111341A (ja) 燃料電池ガス拡散層用の炭素繊維織布または不織布の製造方法
JP4002426B2 (ja) 高分子電解質型燃料電池電極材用炭素繊維紡績糸織物構造体、及びその製造方法
JP2012201996A (ja) 炭素繊維紡績糸織物、炭素繊維紡績糸織物の製造方法、燃料電池用ガス拡散電極

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050907

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070528

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090602

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090615

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4333106

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term