JP2004099538A - 神経血流増加剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】糖尿病合併症治療薬に関するものであり、アルドース還元酵素阻害活性および神経血流改善作用を併せ持つ化合物を提供すること。
【解決手段】アルドース還元酵素阻害活性を持つ[5−(3−チエニル)テトラゾール−1−イル] 酢酸・一水和物;[5−(3−thienyl)tetrazol−1−yl] acetic acid monohydrateを有効成分とする神経血流増加剤。本化合物はアルドース還元酵素阻害活性を有するが、著明な坐骨神経血流改善作用を併せ持つことにより糖尿病合併症の治療に有用である。
【選択図】無し
【解決手段】アルドース還元酵素阻害活性を持つ[5−(3−チエニル)テトラゾール−1−イル] 酢酸・一水和物;[5−(3−thienyl)tetrazol−1−yl] acetic acid monohydrateを有効成分とする神経血流増加剤。本化合物はアルドース還元酵素阻害活性を有するが、著明な坐骨神経血流改善作用を併せ持つことにより糖尿病合併症の治療に有用である。
【選択図】無し
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、血流増加剤に関する。更に好ましくは糖尿病患者の低下した神経血流を改善する薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病の合併症には、網膜症、腎症、神経障害などの細小血管症と虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症のような大血管症が知られるが、良好な血糖コントロールにより予防できることが実証されている。しかしながら、良好な血糖コントロールを維持できない患者が少なくなく、網膜症や腎症も増え続け、後天的失明及び血液透析新規導入の原因の第1位である。このような高血糖による合併症を阻害する薬物の開発は従来より期待されていたところである。
【0003】
高血糖による細胞障害の原因として、ミオイノシトールの減少、ポリオール代謝経路の亢進、プロテインキナーゼCの活性化、タンパク質の非酵素的糖化反応の亢進、細胞内酸化ストレスの増加等が考えられている。最近、これらが相互に関連していることが明らかになり、薬物療法を検討するうえにおいても、複数系の抑制の必要性が明らかになりつつある(川上正舒、最新医学 57、7−12、2002)。
【0004】
このような糖尿病の合併症の1つである糖尿病性神経障害治療としてアルドースレダクターゼ(AR)阻害薬が実験的にも臨床的にも研究されている。近年、Greeneらは(Neurology,53:580−591,1999)AR阻害剤zenarestatの臨床試験で神経伝導速度を用量依存的に改善し、神経内ソルビトール量を著明に低下させるとともに有髄神経線維を用量依存的に増加させることを報告している。
また、AR阻害薬フィダレスタットは第III相臨床試験で神経伝導速度などの神経機能やしびれ感などの自覚症状の改善が報告されている(Hotta N, et al;Diabetes Care 24:1776−1782,2001)。しかしながら、有効性、安全性において充分満足するものでない。
【0005】
糖尿病性神経障害のもう一つの発生機序として、神経血流低下の重要性が考えられている。これは神経血流低下により、神経内の虚欠・低酸素を引き起こし、神経機能が低下する。そこで神経血流増加作用を有するプロスタグランディンE1あるいはE2製剤や血小板凝集阻害剤であるシロスタゾールなどが糖尿病ラットモデルでその効果が認められているが、臨床試験での効果は明確でなかった。
【0006】
ところで、生体内でのアルドース還元酵素の働きは十分に解明されていない。最近の研究では、アルドース還元酵素はグルコースからソルビトールへの反応を触媒する以外にも、アルデヒド体の代謝、解毒に関与していることが報告されている(Spycher S et al、Biochem. Biophys. Res. Commun. 26,512−516,1996)。これはアルドース還元酵素がポリオール代謝経路以外にも重要な働きをしていることを示す。従って、治療薬の特徴から長期期間の投与が必須であり、生体内のアルドース還元酵素活性を強力に阻害することは副作用を生じる可能性が考えられる。
【0007】
最近、アルドース還元酵素阻害剤と作用機序の異なる薬剤の併用治療がおこなわれ、通常の薬効発現量よりも低用量で糖尿病性神経障害に対して優れた治療効果を示すことを報告している(Cameron NE, et al;Diabetologia 39:172−182,1996、及び 掘田ら;特開平10−338647)。そのようなことから数種の薬効群の併用投与あるいは複数の薬効を示す薬剤の開発が期待される。
【0008】
[5−(3−thienyl)tetrazol−1−yl] acetic acid monohydrate(TAT)は化1に示す構造を有し優れたAR阻害活性(特公平5−83551)とともに優れた神経伝導度改善作用が報告されている。一方、従来のAR阻害剤は神経内ソルビトールを正常レベルまで強力に阻害しないと神経伝導度改善作用は認められないことが報告され、神経内ソルビトールの阻害効果と神経機能の改善効果とは必ずしも相関していなかった。神経及び赤血球内ソルビトール阻害活性、神経伝導度改善作用及び神経血流改善作用について、本化合物と従来のAR阻害剤と比較することは興味あるところである。
【0009】
【化1】
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、AR阻害活性以外に神経血流改善作用を有する化合物で糖尿病合併症治療薬に関するものである。本発明者らは、糖尿病性神経障害に対し好ましい改善作用を有するアルドース還元酵素剤に関する研究を行った結果、従来のように神経内ソルビトールを正常レベルまで抑制に必要なアルドース還元酵素阻害剤と違って、本発明の化合物は低いアルドース還元酵素阻害活性を示す投与量でも好ましい付加作用として血流改善作用を有することを見出し、より安全性の高いアルドース還元酵素阻害作用と血流改善作用を併せ持つ薬剤を提供する。
【0011】
【発明を解決するための手段】
本発明はAR阻害活性を有しかつ優れた神経血流改善作用を有する化合物に関するもので、糖尿病合併症治療薬に関するものであり、[5−(3−チエニル)テトラゾール−1−イル] 酢酸・一水和物:[5−(3−thienyl)tetrazol−1−yl] acetic acid monohydrateを有効成分とする神経血流増加剤である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明化合物の糖尿病性神経障害治療効果に関する薬理試験結果を示す。SD系雄性ラットにストレプトゾトシン(60mg/kg)を静脈内投与して糖尿病を誘発させた病態モデル動物を作成後、14日目に未処置対照群、本発明化合物投与群(0.625 mg/kg、2.5 mg/kgおよび10 mg/kgの3用量)、比較対照投与群としてフィダレスタット(0.156 mg/kg、0.625 mg/kg、および2.5 mg/kgの3用量)に分類した。各被検薬を1日1回、4週間経口投与して飼育後、坐骨神経および赤血球中のソルビトール量、運動神経伝導速度(m/秒)、坐骨神経血流量(ml/min/100g)を測定した。なお、座骨神経中ソルビトールはClementsら(Science 166, 1007−1008, 1969)の酵素法に準じて行った。赤血球中ソルビトールは水野らの変法(Metabolism 41,1081−1086,1992)に準じたガスクロマトグラフィー法により測定した。ラット尾部神経の運動神経伝導速度の測定は、三好らの方法(Electroenceph Clin Neurophysiol 35, 125−131,1973)に準じて行った。坐骨神経血流量は、園部の方法(糖尿病 33,115−123,1990)に準じたレーザードップラー法により測定した。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
[発明の効果]
高血糖状態下では、神経内のソルビトールの増加による浸透圧が上昇し、神経に障害を起こす。さらに神経血流量に影響する因子として、ポリオール代謝経路の活性亢進による赤血球変形の低下、血小板凝集能の亢進が、AR阻害剤によりいずれも改善することから細胞内のソルビトールの異常蓄積によるものと考えられていた。しかしながら、ソルビトールの阻害、運動神経伝導速度及び神経血流量との相関について十分解明されていなかった。
上述の薬理試験結果に示されるように、本発明化合物およびフィダレスタットは投与量に依存して、両化合物ともに坐骨神経および赤血球内のソルビトール生成量を抑制した。最大投与量において、本発明化合物は坐骨神経および赤血球内のソルビトール阻害率が共に60%程度に対し、フィダレスタットでは両阻害率が100%を超えていた。
【0016】
糖尿病ラットの低下した運動神経伝導速度に対して、両化合物ともに投与量に依存して改善を示したが、フィダレスタットでは坐骨神経内のソルビトール阻害率が約80%以上でないと有意な改善が認められなかった。一方、本発明化合物は坐骨神経内のソルビトール阻害率が約14.7%でも有意に改善し、63.2%の阻害率において正常レベルまで改善した。
【0017】
一方、糖尿病ラットの低下した坐骨神経血流量に対し、本発明化合物は赤血球内のソルビトール阻害率が34.2%で有意な改善を示したが、フィダレスタットでは赤血球内のソルビトールの阻害率が55.9〜81.4%でも神経血流量の改善率は低いものであった。
以上の結果より、低下した神経機能の改善するためには、フィダレスタットは従来のAR阻害剤と同様に細胞内のソルビトールを正常レベルまで阻害する必要がある。一方、本発明化合物は神経内のソルビトール阻害率が60%レベルで神経機能を正常レベルまで改善することが示された。このことは明らかにソルビトールの阻害と神経血流改善が分離されていることを示している。
【0018】
これらの結果より、本発明化合物は神経内のソルビトール阻害作用に加えて神経血流量の改善作用の両者あるいはこれらの相乗効果によるものと考えられる。なお、神経血流量の改善作用については、赤血球内のソルビトール阻害と相関していない。即ち、フィダレスタットが本発明化合物に比べて赤血球内のソルビトールを強く阻害する条件にもかかわらず神経血流量の改善効果が弱いことから、本発明化合物の神経血流量の改善効果は一部ポリオール代謝経路以外の機序によるものと考えられる。
【0019】
本発明の化合物の投与量は患者の症状に応じて適宜定められるが、通常成人1人あたり1日1〜1000mgであり、これを1回で、あるいは数回に分けて投与する。投与経路は経口、皮下注射、静脈注射、局所投与などいずれでも良い。製剤は通常、薬学的に許容される担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて錠剤等の剤型に調製される。
【0020】
また本発明の化合物は特公平5−83551に記載の方法で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のTATの効果に関するものである。
【図2】フィダレスタットの効果に関するものである。
【発明が属する技術分野】
本発明は、血流増加剤に関する。更に好ましくは糖尿病患者の低下した神経血流を改善する薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病の合併症には、網膜症、腎症、神経障害などの細小血管症と虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症のような大血管症が知られるが、良好な血糖コントロールにより予防できることが実証されている。しかしながら、良好な血糖コントロールを維持できない患者が少なくなく、網膜症や腎症も増え続け、後天的失明及び血液透析新規導入の原因の第1位である。このような高血糖による合併症を阻害する薬物の開発は従来より期待されていたところである。
【0003】
高血糖による細胞障害の原因として、ミオイノシトールの減少、ポリオール代謝経路の亢進、プロテインキナーゼCの活性化、タンパク質の非酵素的糖化反応の亢進、細胞内酸化ストレスの増加等が考えられている。最近、これらが相互に関連していることが明らかになり、薬物療法を検討するうえにおいても、複数系の抑制の必要性が明らかになりつつある(川上正舒、最新医学 57、7−12、2002)。
【0004】
このような糖尿病の合併症の1つである糖尿病性神経障害治療としてアルドースレダクターゼ(AR)阻害薬が実験的にも臨床的にも研究されている。近年、Greeneらは(Neurology,53:580−591,1999)AR阻害剤zenarestatの臨床試験で神経伝導速度を用量依存的に改善し、神経内ソルビトール量を著明に低下させるとともに有髄神経線維を用量依存的に増加させることを報告している。
また、AR阻害薬フィダレスタットは第III相臨床試験で神経伝導速度などの神経機能やしびれ感などの自覚症状の改善が報告されている(Hotta N, et al;Diabetes Care 24:1776−1782,2001)。しかしながら、有効性、安全性において充分満足するものでない。
【0005】
糖尿病性神経障害のもう一つの発生機序として、神経血流低下の重要性が考えられている。これは神経血流低下により、神経内の虚欠・低酸素を引き起こし、神経機能が低下する。そこで神経血流増加作用を有するプロスタグランディンE1あるいはE2製剤や血小板凝集阻害剤であるシロスタゾールなどが糖尿病ラットモデルでその効果が認められているが、臨床試験での効果は明確でなかった。
【0006】
ところで、生体内でのアルドース還元酵素の働きは十分に解明されていない。最近の研究では、アルドース還元酵素はグルコースからソルビトールへの反応を触媒する以外にも、アルデヒド体の代謝、解毒に関与していることが報告されている(Spycher S et al、Biochem. Biophys. Res. Commun. 26,512−516,1996)。これはアルドース還元酵素がポリオール代謝経路以外にも重要な働きをしていることを示す。従って、治療薬の特徴から長期期間の投与が必須であり、生体内のアルドース還元酵素活性を強力に阻害することは副作用を生じる可能性が考えられる。
【0007】
最近、アルドース還元酵素阻害剤と作用機序の異なる薬剤の併用治療がおこなわれ、通常の薬効発現量よりも低用量で糖尿病性神経障害に対して優れた治療効果を示すことを報告している(Cameron NE, et al;Diabetologia 39:172−182,1996、及び 掘田ら;特開平10−338647)。そのようなことから数種の薬効群の併用投与あるいは複数の薬効を示す薬剤の開発が期待される。
【0008】
[5−(3−thienyl)tetrazol−1−yl] acetic acid monohydrate(TAT)は化1に示す構造を有し優れたAR阻害活性(特公平5−83551)とともに優れた神経伝導度改善作用が報告されている。一方、従来のAR阻害剤は神経内ソルビトールを正常レベルまで強力に阻害しないと神経伝導度改善作用は認められないことが報告され、神経内ソルビトールの阻害効果と神経機能の改善効果とは必ずしも相関していなかった。神経及び赤血球内ソルビトール阻害活性、神経伝導度改善作用及び神経血流改善作用について、本化合物と従来のAR阻害剤と比較することは興味あるところである。
【0009】
【化1】
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、AR阻害活性以外に神経血流改善作用を有する化合物で糖尿病合併症治療薬に関するものである。本発明者らは、糖尿病性神経障害に対し好ましい改善作用を有するアルドース還元酵素剤に関する研究を行った結果、従来のように神経内ソルビトールを正常レベルまで抑制に必要なアルドース還元酵素阻害剤と違って、本発明の化合物は低いアルドース還元酵素阻害活性を示す投与量でも好ましい付加作用として血流改善作用を有することを見出し、より安全性の高いアルドース還元酵素阻害作用と血流改善作用を併せ持つ薬剤を提供する。
【0011】
【発明を解決するための手段】
本発明はAR阻害活性を有しかつ優れた神経血流改善作用を有する化合物に関するもので、糖尿病合併症治療薬に関するものであり、[5−(3−チエニル)テトラゾール−1−イル] 酢酸・一水和物:[5−(3−thienyl)tetrazol−1−yl] acetic acid monohydrateを有効成分とする神経血流増加剤である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明化合物の糖尿病性神経障害治療効果に関する薬理試験結果を示す。SD系雄性ラットにストレプトゾトシン(60mg/kg)を静脈内投与して糖尿病を誘発させた病態モデル動物を作成後、14日目に未処置対照群、本発明化合物投与群(0.625 mg/kg、2.5 mg/kgおよび10 mg/kgの3用量)、比較対照投与群としてフィダレスタット(0.156 mg/kg、0.625 mg/kg、および2.5 mg/kgの3用量)に分類した。各被検薬を1日1回、4週間経口投与して飼育後、坐骨神経および赤血球中のソルビトール量、運動神経伝導速度(m/秒)、坐骨神経血流量(ml/min/100g)を測定した。なお、座骨神経中ソルビトールはClementsら(Science 166, 1007−1008, 1969)の酵素法に準じて行った。赤血球中ソルビトールは水野らの変法(Metabolism 41,1081−1086,1992)に準じたガスクロマトグラフィー法により測定した。ラット尾部神経の運動神経伝導速度の測定は、三好らの方法(Electroenceph Clin Neurophysiol 35, 125−131,1973)に準じて行った。坐骨神経血流量は、園部の方法(糖尿病 33,115−123,1990)に準じたレーザードップラー法により測定した。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
[発明の効果]
高血糖状態下では、神経内のソルビトールの増加による浸透圧が上昇し、神経に障害を起こす。さらに神経血流量に影響する因子として、ポリオール代謝経路の活性亢進による赤血球変形の低下、血小板凝集能の亢進が、AR阻害剤によりいずれも改善することから細胞内のソルビトールの異常蓄積によるものと考えられていた。しかしながら、ソルビトールの阻害、運動神経伝導速度及び神経血流量との相関について十分解明されていなかった。
上述の薬理試験結果に示されるように、本発明化合物およびフィダレスタットは投与量に依存して、両化合物ともに坐骨神経および赤血球内のソルビトール生成量を抑制した。最大投与量において、本発明化合物は坐骨神経および赤血球内のソルビトール阻害率が共に60%程度に対し、フィダレスタットでは両阻害率が100%を超えていた。
【0016】
糖尿病ラットの低下した運動神経伝導速度に対して、両化合物ともに投与量に依存して改善を示したが、フィダレスタットでは坐骨神経内のソルビトール阻害率が約80%以上でないと有意な改善が認められなかった。一方、本発明化合物は坐骨神経内のソルビトール阻害率が約14.7%でも有意に改善し、63.2%の阻害率において正常レベルまで改善した。
【0017】
一方、糖尿病ラットの低下した坐骨神経血流量に対し、本発明化合物は赤血球内のソルビトール阻害率が34.2%で有意な改善を示したが、フィダレスタットでは赤血球内のソルビトールの阻害率が55.9〜81.4%でも神経血流量の改善率は低いものであった。
以上の結果より、低下した神経機能の改善するためには、フィダレスタットは従来のAR阻害剤と同様に細胞内のソルビトールを正常レベルまで阻害する必要がある。一方、本発明化合物は神経内のソルビトール阻害率が60%レベルで神経機能を正常レベルまで改善することが示された。このことは明らかにソルビトールの阻害と神経血流改善が分離されていることを示している。
【0018】
これらの結果より、本発明化合物は神経内のソルビトール阻害作用に加えて神経血流量の改善作用の両者あるいはこれらの相乗効果によるものと考えられる。なお、神経血流量の改善作用については、赤血球内のソルビトール阻害と相関していない。即ち、フィダレスタットが本発明化合物に比べて赤血球内のソルビトールを強く阻害する条件にもかかわらず神経血流量の改善効果が弱いことから、本発明化合物の神経血流量の改善効果は一部ポリオール代謝経路以外の機序によるものと考えられる。
【0019】
本発明の化合物の投与量は患者の症状に応じて適宜定められるが、通常成人1人あたり1日1〜1000mgであり、これを1回で、あるいは数回に分けて投与する。投与経路は経口、皮下注射、静脈注射、局所投与などいずれでも良い。製剤は通常、薬学的に許容される担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて錠剤等の剤型に調製される。
【0020】
また本発明の化合物は特公平5−83551に記載の方法で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のTATの効果に関するものである。
【図2】フィダレスタットの効果に関するものである。
Claims (2)
- [5−(3−thienyl)tetrazol−1−yl] acetic acid monohydrateを有効成分とする神経血流増加剤。
- 糖尿病に起因する神経血流を改善することを特徴とする請求項1記載の神経血流増加剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002264424A JP2004099538A (ja) | 2002-09-10 | 2002-09-10 | 神経血流増加剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002264424A JP2004099538A (ja) | 2002-09-10 | 2002-09-10 | 神経血流増加剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004099538A true JP2004099538A (ja) | 2004-04-02 |
Family
ID=32263876
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002264424A Pending JP2004099538A (ja) | 2002-09-10 | 2002-09-10 | 神経血流増加剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004099538A (ja) |
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2002
- 2002-09-10 JP JP2002264424A patent/JP2004099538A/ja active Pending
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