JP2009221217A - 血管透過性亢進抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】血管透過性亢進抑制剤、毛細血管からの白血球遊出抑制剤やそのスクリーニング方法、前記血管透過性亢進抑制剤を有効成分とする脳の炎症や敗血症の発生予防又は症状改善剤、前記血管透過性亢進抑制剤を投与する脳の炎症や敗血症の発生又はその症状を治療又は抑制する方法を提供する。
【解決手段】血液脳関門を通過せず若しくは殆ど通過することのないプランルカストは、毛細血管の管腔及び管腔構造を構成する血管内皮細胞に作用し、毛細血管内の血漿成分や血球等が組織に漏出することを防ぐ作用を有することを見い出した。
【選択図】なし

Description

本発明は、血管透過性亢進抑制剤やそのスクリーニング方法、前記血管透過性亢進抑制剤を有効成分とする脳の炎症や敗血症の発生予防又は症状改善剤、前記血管透過性亢進抑制剤を投与する脳の炎症や敗血症の発生又はその症状を治療又は抑制する方法に関する。
アラキドン酸(AA)は、物理的要因、温度要因、化学的要因、細菌等、数多くの侵害要因に応答して細胞膜のリン脂質から細胞質中に放出され、その産物(エイコサノイド合成物のプロスタグランジン及びロイコトリエン)は、生物学的に多方面において重要であることが解明されている。殆どのエイコサノイド化合物には、炎症、疼痛及び熱に対する応答を悪化させる傾向がみられ、抗炎症剤及び鎮痛剤に関する広範な研究の標的となってきた。例えば、コルチゾン等の抗炎症ステロイドは、膜リン脂質からアラキドン酸を生成するホスホリパーゼ酵素類を抑制することにより作用する。アスピリンやイブプロフェン等の鎮痛剤は、アラキドン酸がエイコサノイド、プロスタグランジン、プロスタサイクリン及びトロンボキサンに転換するサイクロオキシゲナーゼ酵素類を抑制することにより作用する。
また、プロスタグランジン及びロイコトリエンは、末梢及び中枢神経系(CNS)の両方において炎症発生に関与していることが知られている。過去30年以上にわたる研究の成果も空しく、プロスタグランジンがどのようにして炎症に関与しているかについては未だ正確に解明されていない。他方、ロイコトリエン受容体拮抗剤を用いた近年の研究により、ロイコトリエンが、上記の過程において大きな役割を果たしている可能性が示唆されている。
ロイコトリエンは潜在的脂質メヂエイターであり、システイン基の有無に基づき、二分類される。ロイコトリエンB4にはシステイン基がないが、ロイコトリエンC4、D4、E4及びF4は、システイニル−ロイコトリエンである。これらの化合物は、1980年代初頭より炎症剤として認められてきた(非特許文献1〜2参照)。
1990年代に入ると、体内でロイコトリエン活性を抑制・阻害でき、「ロイコトリエン拮抗剤」として知られる種々の薬剤が同定されるようになった。本発明において「ロイコトリエン拮抗剤」なる用語は、自然のロイコトリエンの1若しくは2以上の亜種が有する濃度、活性又は影響を抑制・阻止し、或いは低減し又は対抗する薬剤について言及するにあたり、従来かかる用語がもつ医学上の意味で用いられている。従って、ロイコトリエン拮抗薬は、次のような異なる二つのメカニズムに基づいて分類することが出来る。1)アラキドン酸からのロイコトリエンに代謝する酵素、5−lipoxygenase,を抑制し、ロイコトリエンの生成を阻止する酵素抑制剤。2)ロイコトリエンの受容体に競合的に作用する受容体拮抗薬。そして、プランルカストは特異的にロイコトリエンC4及びD4の受容体に作用する受容体拮抗薬として知られている。
ロイコトリエン拮抗剤が、脳の炎症治療に使用しうることが単に報告されている(例えば、特許文献1〜4参照)が、これまでの常識では、脳の炎症を低減させたり抑制したり、或いは脳の炎症に由来する脳疾患を治療するには、分子が血液脳関門を通過できなければならないとされ、この分野の最も権威のある標準的なテキストブック「Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition(2001)」(非特許文献3参照)によると、上記特許文献1〜4が発行された数年後の2001年8月時点においても、脳の炎症治療に対する有効な治療方法が見い出されていなかったことが記載され(第10頁、右欄、44〜48行)、このことからしても、上記特許文献1〜4の脳の炎症治療に関する開示内容は、当業者において全く信用されていなかったことがわかる。また、脳の炎症の治療若しくは予防にロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が使用されたことは、脳虚血への神経保護作用を調べる実験以外知られていなかった(非特許文献4参照)。ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤は、喘息治療には一般に使用されており、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であるプランルカストは、抗喘息薬として臨床使用されており、副作用が殆ど無いことで知られている。プランルカストは、ザフィルルカストやモンテルカスト等の他のロイコトリエン受容体拮抗剤同様に、血液脳関門を通過しない若しくは通過してもその量は極めて微量である。かかる化合物の上記以外の承認適応症外使用としては、アレルギー性疾患の治療(特許文献5参照)、並びに偏頭痛及び群発頭痛の治療(特許文献6参照)への適用が示唆されている。
一般的に毛細血管は、細胞内間隙、小孔及びピノサイトーシス小胞等の種々の開口部を有する内皮細胞で覆われている。このような末梢毛細血管とは異なり、脳毛細血管においては、内皮細胞間に上記開口部が比較的少なく、末梢由来のタイトジャンクションがみられることが特徴となっている。さらに、中枢神経系の毛細血管は、内皮細胞(末梢由来)のタイトジャンクションの上に配置されたアストロサイトグリア細胞に取り囲まれている。血液脳関門は、タイトジャンクションとアストロサイトグリア細胞が連続して層をなす。Neuwelt, E. A.が「脳関門崩壊は治療上有効か」として発表しているように(非特許文献5参照)、血液脳関門は、経内皮移動を抑制し、血液内分子が脳に進入することを分子量や脂溶性に基づいて阻止している。例えば、血液脳関門は通常、分子量が180ダルトンを超える分子を排除する。さらに、分子の脂溶性は、血液脳関門通過における主要な制御因子である。
血液脳関門の機能は、神経環境の恒常性維持にある。生理的pH条件下において高い脂溶性を有し、低イオン化を示す小分子(分子量が200ダルトン未満)は、自由に血液脳関門を通過する。さらに、細胞外脳脊髄液中の溶解物の浸透圧濃度を均等に維持するために、水分は血液脳関門を双方向に移動できる。
血液脳関門固有の生物学的側面として、中枢神経系関連疾患の治療において大きな注目を集めていることが挙げられる。通常血液脳関門においては、脳への潜在有害物質の進入を阻止するような形で内皮細胞同士が接合しているが、炎症時には、この状況が変化する。すなわち、血液脳関門の透過性亢進が起こる。脳梗塞や物理的脳外傷などによる脳の炎症は、人間にとって極めて悲惨な状況を生み出す深刻な医療問題である。
脳の炎症治療に挑むために、これまで以下のアプローチが試行されてきた。
(1)浸透療法、すなわち、マンニトール、グリセロール、尿素等の物質を血管内に投与して、血液脳関門を開き、脳組織から水分を浸透除去することにより、頭蓋内圧を低下させる方法。欠点としては、電解質障害や腎不全等の副作用などがある。(2)デキサメタゾン等の化合物を血管内に投与し血液脳関門を通過させ、局所的毛細血管漏出を減少させ、また全身の代謝低下を防ぐステロイド療法。欠点は、胃腸出血、電解質障害、高血糖症、免疫能力の低下、代謝要求量の増大、精神障害など多岐にわたる。(3)血液脳関門を通過して、局所的毛細血管漏出を減少させるインドメタシン、プロベネシド、イブプロフェン等の非ステロイド系抗炎症剤を使用する方法。欠点は、薬理学的効果が不確かなことである。(4)末梢毛細血管及び脳毛細血管を拡張するニトロプロシッドなどを用いて負荷圧力を低下させることにより、毛細血管漏出を減少させる抗高血圧剤を使用する方法。欠点は、血液脳関門の透過性亢進を促進し炎症を悪化させる上、脳還流圧の低下を起こす。しかしながら、上記血液脳関門を開けることによるいずれの治療法によっても脳の炎症は改善をみない。
脳の炎症治療に携わる臨床家が直面する難題に加え、脳の炎症は単一の症候を呈しない。脳における炎症反応は、3つの異なる段階を追って進行し、それぞれの段階は明らかに異なる機構によって生じる。先ず、局所的な血管拡張及び毛細血管透過性の亢進に特徴付けられる急性一過性段階が現れる。その次に、遅発性に生じる亜急性段階に移行するが、この段階は白血球及び食細胞の遊走が最大の特徴である。最後に、慢性増殖段階へと移行し、脳細胞の壊死、その後グリア細胞が出現するが本来の機能を失う。
脳の炎症は、組織化学法及び電子顕微鏡観察等の種々の方法により評価できる。しかし、炎症の定量化に最も有用なパラメーターは、恐らく脳浮腫の発生であると考えられる。そこで、障害を受けた組織に発生する浮腫の容量を測定することが、新たなアプローチとして登場した。浮腫は、炎症に伴う水分の流入により生じ、臨床的には腫脹として観察される。浮腫は、乾燥前後の組織を比較することにより定量できる。乾燥後の乾燥重量から、蒸発した液体量が算出できる。蒸発した液量は、すなわち形成された浮腫の容量である。
一般に採用される実験方法としては、他にEvansブルーアルブミン等の水溶性染色剤の脳組織への流入を測定する方法がある。この方法を蛍光法と併用することにより、浮腫の分布を測定することができる。より高度で費用もかかる方法をしては、PET(陽電子放射断層法)、CT、MRI(磁気共鳴画像法)、radioscintigraphy等が使用されている。
しかし上記の方法は、血液脳関門の透過性が亢進する結果、形成される浮腫についてのみ評価する方法であり、中枢神経系に遊走する白血球や食細胞を評価することはできない。結局、浮腫は頭蓋内圧亢進を伴い、脳組織に損傷を与え、脳の炎症病理に深刻な影響を及ぼす。また、血管透過性が亢進すると脳浮腫が生じ、次いで白血球細胞(WBC)の遊走が誘発され、コラゲナーゼやエステラーゼといったリソソーム酵素が脳組織を直接損傷することになり、病理症状が一層深刻化する。従って、血液脳関門透過性の変化のプロセスを正確に把握するには、脳脊髄液(CSF)の量、及びそのWBC数を知ることが不可欠である。
上述したように、薬剤が脳において効果を発揮するためには、血液脳関門を通過することが必須であると長く信じられてきた。従来の標的戦略では、その代謝物が血液脳関門を通過できるプロドラッグを投与したり、何らかの方法で堅固な血液脳関門に隙間を作ろうとしたり、直接又は間接的にこの関門を通過させることを目標としてきた。一例として、Pardridgeの「薬剤及び遺伝子の脳への送達血管経路」(非特許文献6参照)が挙げられる。しかし、今のところ脳炎症に効果的に抑制できる薬物はない(非特許文献3参照)。
従って、脳の炎症発生を治療・抑制するために、急性時及び亜急性時のいずれにも採用し得る治療法が必要となったのである。脳組織への侵襲も含めた副作用が最小限であるものが理想的な化合物(類)である。さらに、脳の炎症動物モデルにおいて脳脊髄液へ遊走するWBC数の変化を観察する方法もまた必要とされている。
他方、支持療法や医療技術の進化にも関わらず、敗血症の致死率は依然として高いままである。敗血症は、心臓病以外の集中治療室における死亡原因の第一位を占めており、その発症例は増加している。敗血症への罹患例及び死亡例の多くは、細菌若しくは細菌産生物に対する患者の過度の炎症反応に起因しているというのが、過去20年間における最も一般的な見解であった。実際臨床的には、種々の臨床的に甚大な侵害要因に反応して顕在化する「全身性炎症反応症候群」(SIRS)として知られる症候群のうち2若しくは3以上の症状を呈するものを敗血症という。かかる症状には、38℃を超える体温又は36℃未満の体温や、90回/分を超える脈拍数や、20回/分を超える呼吸数、又はPaCO2が32torr未満(4.3kPa)や、12000細胞/mm3を超える白血球細胞数(白血球増加症)若しくは4000細胞/mm3未満の白血球細胞数(白血球減少症)、又は総細胞数の10%が幼若好中球又は桿状核好中球であること等が挙げられる。以上の内容を表1にまとめた。
Figure 2009221217
前臨床試験の動物実験では、敗血症に見られる炎症反応を抑制するために作られた薬物は、当初有望な効果を示していた。しかし、この当初有効と思われていたものは、その後の臨床試験で実証されてこなかった。これまでに、(1)抗炎症治療法の採用、及び(2)抗エンドトキシン療法という二通りのアプローチがとられてきた。
抗炎症治療法においては、炎症性メヂエイターの産生又はその生物効果を直接抑制する薬剤少なくとも3種がこれまでに見い出されている。それらの薬剤は、(1)糖質コルチコイド等のステロイド、(2)TNF−αやインターロイキン−1βなどの炎症性サイトカインに対する拮抗剤又はブロッカー、及び(3)ブラジキニン等の炎症時に生成される産物又はプロスタグランジンや血小板活性化因子(PAF)等の炎症メヂエイターに対する拮抗剤又はブロッカーである。
糖質コルチコイド等のステロイドについてみると、ハイドロコルチゾンを高量投与すると炎症反応を憎悪させるか、或いは全く効果を示さないが、低量投与では改善がみられることが明らかになっているが、特効薬ではない。
TNF−αやインターロイキン−1β等の特異的サイトカインのブロックについてみると、TNF−αのモノクローナル抗体又は可溶性TNF−α受容体の動物実験結果は有望だったものの、臨床試用においては無効であることが明らかになっている。さらに、インターロイキン−1β受容体拮抗剤は、臨床試用において好結果が認められていない。
最後に、血小板活性化因子(PAF)、ブラジキニン及びプロスタグランジン等、上記以外のメヂエイターに特異的な炎症療法、並びにそれらに対する拮抗剤の使用もまた、臨床試用において効果を示していない。
上記二番目の戦略は、血液循環における細菌産生物に焦点をあて、細菌毒素を中和することにより宿主の炎症反応を抑制し、結果的に症状を改善するものである。抗血清、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体等を用いて行われる。
動物を使った臨床試験では、いずれの戦略によっても宿主の炎症反応が抑制されたので、敗血症に対する臨床試用を行った。しかし、ステロイドを低量投与する方法以外は成果を出せなかった。これらの知見を表2にまとめた。また、かかるステロイド療法を行っても敗血症の致死率は高い(35〜50%)。敗血症の有効治療法の開発が今日に至るまで臨床における優先事項となっている。
Figure 2009221217
上述したような知見結果となったのは、前臨床試験において炎症の諸段階に抗炎薬がどのように作用するかの観察を行えなかったためではないかと考えられる。
従って、敗血症発症を治療・抑制するために採用し得る治療法が必要とされている。副作用が最小限であるものが理想的な化合物(類)である。
特開昭63−258879号公報 特開平02−169583号公報 国際公開パンフレットWO9959964 欧州特許公開287471公報 米国特許第6221880号明細書 米国特許第6194432号明細書
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脳の炎症発生を治療・予防するために、脳の慢性炎症の治療に用いるだけでなく、急性期及び亜急性期の炎症にも適用できる治療法が医学分野において強く必要とされている。また、敗血症の発症を治療・予防するために、慢性敗血症の治療に用いるだけでなく、急性期及び亜急性期の敗血症にも適用できる治療法が医学分野において強く必要とされている。これらは非常に深刻かつ重大であり、また未だ満たされていない医学分野が抱える大きな課題である。本発明の課題は、従来技術が抱える上述の諸欠陥を克服することにある。より詳しくは、血管透過性亢進抑制剤やそのスクリーニング方法、前記血管透過性亢進抑制剤を有効成分とする脳の炎症や敗血症の発生予防又は症状改善剤、脳の炎症や敗血症の発生又はその症状を治療又は抑制する方法を提供することにある。
本発明者は、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤、とりわけプランルカストを用いて、炎症メカニズムについての研究を行ってきた。その過程で、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)に分類され、末梢性鎮痛剤として広く知られるサイクロオキシゲナーゼ阻害剤(アスピリン等)は、ラット足底浮腫法において抗浮腫作用を明らかにすることは困難であった。
一方、敗血症は、血管外にプロインフラマトリーサイトカイン(TNF−α、インターロイキン−1β及びインターロイキン6)、炎症性メヂエイター、および、細菌やヴィールスが産生する毒素の増加が原因であるとされているが、それれらに対応するプロインフラマトリーサイトカイン拮抗薬や、炎症性メヂエイター即ち、PAFアンタゴニスト、ブラジキニン拮抗薬、NSADや抗エンドトキシン薬は臨床的に効果がないことが知られている(表2)。
一般に、これら血管外サイトカインや炎症性メヂエイターにより、毛細血管内皮細胞にp−セレクチンやe−セレクチンが発現し、血管内腔で次の四つの連続したプロセス(1)ローリング、(2)トリガリング、(3)白血球の毛細血管内皮細胞への強い接着を経て、(4)白血球が毛細血管内皮細胞の間隙から組織へと遊出する一連の炎症反応が起こると考えられている。
事実、これらのサイトカインを血管外(脳脊髄液)に投与した犬の実験では炎症が起こることが知られている。犬にはペントバルビタール麻酔下でオンマイヤーリザーバーに連結した脳室内留置カテーテルを埋め込み、手術した後一ヶ月以上の回復期間の経過後、上記オンマイヤーリザーバーを通じてサイトカイン(インターロイキン1β、インターロイキン6、TNF−α)を投与した結果、これらサイトカインによりいずれも脳脊髄液中にも白血球が増加して炎症が生じた。インターロイキン1β及びTNF−αによる炎症期間は比較的短かったが、インターロイキン6による白血球増加は2〜3日に及んだ。本実験では、インターロイキン6が起こす炎症を、脳脊髄液に侵出してくる白血球を指標とし、敗血症のモデルとし、プランルカストの抗炎症作用を調べた。プランルカスト{薬用量(300mg/kg、500mg/kg及び1g/kg)}はインターロイキン6の脳髄液投与前30分に経口投与したが、白血球の脳脊髄液への遊走を完全に阻止した。
インターロイキン6が脳血管外に存在するにも拘らず、プランルカストの30分前投与(p.o.)に依り、インターロイキン6による炎症を3日間に亘り完全に抑制した事実と、ラットの頚椎のクモ膜下腔にアラキドン酸を注入すると、血管透過性の亢進のために、直ちにCFS容量の増加と、これに30−60分遅れて白血球の遊走の増加が認められたが、これらをプランルカスト(i.p.)の投与が抑制した事実は、血管内においてロイコトリエンが炎症に重要な役割を演じていることを示している。
一般に、炎症における「白血球の血管内皮細胞への接着と遊出の機構」は、以下のように説明されている。
(1)侵害刺激を受けるとマクロファージが活性化され組織内でTNF−α,インターロイキン1β、インターロイキン6を分泌し、これら前炎症性(pro-inflammatory)サイトカインにより血管内皮細胞上にはe−セレクチンが発現する。
(2)同様に、侵害刺激を受けた組織からはアラキドン酸のサイクロオキシゲナーゼ産物であるプロスタグランジンやトロンビンが、肥満細胞からはヒスタミンが、それぞれ産生され、これらの作用により血管内皮細胞上にp−セレクチンが発現する。
(3)これらのp−セレクチンやe−セレクチンは、糖鎖を認識して結合する接着分子であり、これらセレクチンの血管内皮細胞上の発現に依り、白血球上のL−セレクチンやSialyl LewisX等を含む接着分子に結合し、白血球が内皮細胞上をローリングしながらつなぎ止められる。(ローリング)
これらセレクチンの発現には、ロイコトリエンC4及びD4が関与していることを示唆する報告があるが、ロイコトリエン受容体拮抗薬でその発現を抑制することは出来なかった(Leukotriene C4/D4 induces p-selectin and SialyLewisX-Dependent Alterations in Leukocyte Kinetics in Vivo. Circulation Research 77(5): 879-887, 1995)。その後、p−セレクチン抑制剤の開発が試みられたが、いまだ成功していない(Searching for Medicin's Sweet Spot. Science 291:2338-2343, 2001.)。
(4)内皮細胞に接触することにより速度が落ちた白血球は、内皮細胞や周辺から放出されるケモカイン(炎症反応で刺激を受けた血管内のマクロファージが分泌するインターロイキン8、MIP−1α/β、MCP−1)、PAF、補体の断片(C5a C3a、及びC5b67)、いろいろなN−ホルミルペプチドや、内皮細胞上の分子(CD31,CD44)を介した刺激を受けて白血球の表面にインテグリンβ2分子が発現し、内皮細胞の表面にはイムノグロブリンスーパーファミリー分子が発現する。(トリガリング又はアレスト)
(5)白血球の表面のintergrin β2moleculesと内皮細胞の表面のimmunoglobulin superfamily moleculesとが強固の結合を起こす。(強固な接着)
(6)白血球表面や血管内皮細胞上の分子CD31分子同士の結合、白血球上のLFA-1と血管内皮細胞上のJAM-1との結合を介して血管外に遊出する(血管外遊出)。
このように白血球の遊出は、血管内皮細胞、血管内皮細胞上の分子、接着分子(selectin family, intergrin superfamily, immunoglobulin superfamily)、ケモカイン等の相互作用による進行的反応であるが、ロイコトリエンの関与は知られていない。
ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であるプランルカストの作用点は、特に中枢血管では、血液脳関門に覆われている脳毛細血管内皮細胞を含む管腔内にあり、血液脳関門を通過することなくプランルカストは、「毛細血管透過性」及び「白血球の血管内皮細胞への接着と遊出の機構」に抑制的に作用し抗炎症作用を示す。このようにプランルカストは、血液脳関門を通過することなく脳の炎症を抑制しうるが、既に炎症が起こっている場合には、血管透過性亢進に伴い血漿成分と共に血液脳関門を通過し、炎症部位に到達すると考えられる。
末梢の毛細血管でも基本的には脳毛細血管と同様にその作用点は、末梢の毛細血管の内皮細胞を含む管腔内にあると考えられるが、末梢血管の構造上、血管内皮細胞には多くの隙間(intercellular cleft passage, pinocytosis及びfenestra)があり、脳毛細血管の場合と比較して組織にプランルカストが分布しやすい。
これらの知見と、表2の記載された知見とをあわせ考えると、ロイコトリエンC4及びD4が、サイトカインや炎症性メヂエイターより、「白血球の血管内皮細胞への接着と遊出の機構」において、より重要な役割を演じていることを示しており、中枢の炎症に加えて、全身的炎症でも同様なことが考えられる。したがって、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗薬であるプランルカストは、そのロイコトリエンC4及びD4の受容体に競合的に拮抗し、脳の炎症(中枢の炎症)や敗血症(全身的炎症)に有効に作用すると考えられた。
そこで、本発明者は、デキストランに誘発されたラット足底部の浮腫が、プランルカストにより投与量依存的に抑制されたことを調べてみた。プランルカスト450mg/kgを腹腔内投与したところ、デキストランに誘発された足底部浮腫は完全に抑制された。このことから、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が毛細血管の内皮細胞及び管腔内で白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外遊出の機構に作用し、デキストランに誘発されて亢進した毛細血管透過性の亢進を抑制した可能性が示唆された。末梢の毛細血管中の内皮細胞には、間隙、小孔及びピノサイトーシス小胞等の開口部が数多くあるにも関わらず、プランルカストはその透過性の亢進を抑制した。脳毛細血管の内皮細胞はタイトジャンクションで接合し、堅固なため、末梢の毛細血管より開口部は少ない。従ってプランルカストは、末梢の毛細血管においてよりも脳毛細血管における透過性の抑制に、より効果を示すことが示唆された。以上のことから、かかる機構が中枢神経系レベルでも機能するとの仮説をたてた。
脳の炎症治療におけるロイコトリエンC4及びD4の受容体拮抗剤の役割を考察するため、中枢神経系での炎症を測定する高感度な定量法を開発した。この方法によると、アラキドン酸によって生じる1)血液脳関門の透過性(血液脳関門を介しての血漿成分の脳組織への漏出による脳脊髄液量の測定)及び2)白血球細胞(WBC)の脳脊髄液への遊走(脳脊髄液中の白血球細胞数の測定)の両方を、同じ実験動物を用いて経時的に測定できることから、炎症過程における重要な血管透過性亢進の変化及び白血球の毛細血管からの遊出の観察が可能になる。この方法により、特にロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤プランルカストの効果を脳の炎症について調べてみたところ、侵害刺激としてアラキドン酸を投与すると、血液脳関門の透過性亢進や白血球細胞の遊走という炎症過程における変化を、プランルカストが阻止するのを観察した。これらの観察結果から、プランルカストが血液脳関門を通過せず若しくは殆ど通過することなく、毛細血管の管腔構造を構成する血管内皮細胞に直接又は間接的に作用し、毛細血管内の血漿成分、血球等の組織への漏出を防ぐ作用を有することを確認した。ロイコトリエン受容体拮抗薬であるプランルカスト、ザフィルルカスト及びモンテルカストは血管脳関門を通過せず若しくは殆ど通過しないことが知られているので、これらの観察結果を考え合わせるとプランルカストは毛細血管の管腔構造を構成する血管内皮細胞に直接又は間接的に作用し毛細血管透過性の亢進を抑制し、若しくは同時に、毛細血管の管腔内に作用し、白血球が血液内皮細胞に接着したり血液外に遊出するのを抑制して、毛細血管内の血漿成分、血球等の組織へ漏出を防ぐ作用を有することを確認した。プランルカスト等の血液脳関門を殆ど通過しないロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤は、炎症が既に起こっている場合は、血液脳関門を介して毛細血管の透過性亢進に伴い炎症部位に血漿に溶け込んで運ばれ、血管外でも抗炎症作用を発揮することになる。このことはさして驚くに値しないがこのことは今まで長い間信じられていた概念とは異なり、プランルカストが、血液脳関門を通過せず、組織内にデリバリーされることなく、脳毛細血管の内皮細胞及び管腔内で白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外遊出の機構を抑制し、毛細血管の透過性亢進の抑制や白血球の遊出を抑制するという知見はこれまで報告されておらず、したがって、脳の炎症あるいは敗血症の治療・抑制目的としてはおろか予防にさえこれまで用いられたことは報告されていない。
本発明に関する知見を以下にまとめてみた。
(1)抗脳炎症作用を持つ薬物の概念は「血液脳関門を通過しないものが多いので、血液脳関門を調節して血液脳関門を通過する為の努力がなされてきた」が、このような薬は未だ存在しない(非特許文献3参照)。
(2)本実験では、抗脳炎作用を持つ薬物である、ロイコトリエン受容体拮抗剤は、血液脳関門を通らず、その作用点が
(A)血管内にあり、抗炎症作用(血管透過性の亢進を抑制し、且つ、白血球遊出過程を抑制作用)がある。
(B)血管外にあっても、炎症がすでに始まっている場合は、血管透過性亢進が起こった血液脳関門の機能不全箇所から血漿に溶解しているpranlukastは炎症部位にまで到達し、その抗炎症作用を表す。
(3)血管外にプロサイトカイン(TNF−α、インターロイキン1β、インターロイキン6)や炎症のメヂエイターが存在してもロイコトリエン拮抗剤が血管内にあれば、炎症を抑制する。
(4)ロイコトリエン受容体拮抗剤は、血管内での透過性亢進の抑制作用や白血球遊出過程はプロサイトカイン(TNF−α、インターロイキン1β、インターロイキン6)の拮抗薬および炎症性メヂエイター(プロスタグランジン、PAF、トロンボキサン)の拮抗薬に勝る。
(5)以上のように、プランルカストは、インターロイキン6等の炎症のメヂエイターが血管外から血管内皮細胞上にp−セレクチンやe−セレクチンを発現させる活性を抑制するか、あるいは接着分子により白血球が毛細血管から遊出する過程に大きな役割を演ずるロイコトリエンを抑制することにより抗炎症作用を示す。
かかる知見に基づいて本発明は完成されるに至ったものである。
すなわち本発明は、血液脳関門を通過せず若しくは殆ど通過することなく、血管内に作用点を持ち、血管内皮細胞に作用し、毛細血管透過性亢進を抑制したり、若しくは管腔内で白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外への遊出過程を抑制して、毛細血管内の血漿成分、血球等の組織への漏出を防ぐことができる哺乳動物における血管透過性亢進抑制剤(請求項1)や、哺乳動物がヒトである請求項1記載の血管透過性亢進抑制剤(請求項2)や、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤又はその薬理学的に許容される塩若しくは水和物を有効成分とする請求項1又は2記載の血管透過性亢進抑制剤(請求項3)や、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤がプランルカストである請求項3記載の血管透過性亢進抑制剤(請求項4)や、非ヒト哺乳動物の脳の硬膜を貫通させクモ膜下腔に挿入したカニューレを介して、炎症誘発剤をクモ膜下腔に導入する前後に、被検物質を前記非ヒト哺乳動物に投与し、前記カニューレを介して回収した脳脊髄液量を測定することを特徴とする血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法(請求項5)や、非ヒト哺乳動物が犬、猫、ウサギ、ラット、マウス、砂ネズミ又は猿である請求項5記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法(請求項6)や、炎症誘発剤がアラキドン酸、プロスタグランジン、トロンボキサン、ヒスタミン、イースト、LPS、デキストラン、ブラジキニン、カラゲニン、ロイコトリエン、TNF−α、IL−1β又はIL−6である請求項5又は6記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法(請求項7)や、被検物質が抗炎症剤から選ばれる請求項5〜7のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法(請求項8)や、被検物質を経口、皮下又は静脈内投与する請求項5〜8のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法(請求項9)や、脳脊髄液量とともに、脳脊髄液中の白血球細胞数を測定する請求項5〜9のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法(請求項10)や、経時的に脳脊髄液を回収する請求項5〜10のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法(請求項11)に関する。
また本発明は、請求項1〜4のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤を有効成分とする脳の炎症の発生予防又は症状改善剤(請求項12)や、脳の炎症が脳浮腫である請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤(請求項13)や、脳の炎症が脳梗塞である請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤(請求項14)や、脳の炎症が感染症に起因する炎症である請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤(請求項15)や、脳の炎症が脳外傷に起因する炎症である請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤(請求項16)や、脳外傷が外科手術によるものである請求項16記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤(請求項17)や、脳手術に先立って投与されることを特徴とする請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤(請求項18)に関する。
さらに本発明は、請求項1〜4のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤を有効成分とする敗血症の予防及び/又は症状改善剤(請求項19)や、敗血症が重症急性呼吸器症候群(SARS)である請求項19記載の敗血症の予防及び/又は症状改善剤(請求項20)や、請求項1〜4のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤を、必要とする哺乳動物に治療有効量投与することからなる哺乳動物における脳の炎症の発生又はその症状を治療又は抑制する方法(請求項21)や、脳の炎症が脳浮腫である請求項21記載の方法(請求項22)や、脳の炎症が脳梗塞である請求項21記載の方法(請求項23)や、脳の炎症が感染症に起因する炎症である請求項21記載の方法(請求項24)や、脳の炎症が脳外傷に起因する請求項21記載の方法(請求項25)や、脳外傷が外科手術によるものである請求項25記載の方法(請求項26)や、脳手術に先立って投与されることを特徴とする請求項21記載の方法(請求項27)や、プランルカストの治療有効量が、100mg〜2000mg/日であることを特徴とする請求項21〜27のいずれか記載の方法(請求項28)や、脳脊髄液における白血球細胞数が正常値に達するまで継続することを特徴とする請求項21〜28のいずれか記載の方法(請求項29)や、治療有効量のロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤又はその薬理学的に許容される塩若しくは水和物を患者に投与することからなる侵襲脳手術の前に患者に対して行う前処置方法(請求項30)や、請求項1〜4のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤を、必要とする哺乳動物に治療有効量投与することからなる哺乳動物における敗血症の発症又はその症状を治療又は抑制する方法(請求項31)や、敗血症が重症急性呼吸器症候群(SARS)である請求項31記載の方法(請求項32)や、プランルカストの治療有効量が、100mg〜2000mg/日であることを特徴とする請求項31又は32記載の方法(請求項33)に関する。
本発明者は、アラキドン酸(3.25μg/2μl)に誘発される脳の炎症が、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤のプランルカストを投与(450mg/kg、i.p.)することにより完全に抑制されることを見い出した。かかる炎症は、血液脳関門の透過性の亢進及び脳脊髄液中への白血球の遊走によって引き起こされる。従って、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤(プランルカスト)は、脳梗塞等の疾患、脳外傷及び脳手術によって生じる脳の炎症に対する治療に有用であることがわかる。
本発明の性質を実施例により十分に説明したので、現在の知識をもってすれば、過度の実験を実施したり包括的概念を逸脱することなく容易に本発明に修正を加え、及び/又は実施例に種々の応用を適用することは、第三者にとって容易である。したがって、かかる適用や修正は、本発明に開示された実施例の均等物の意味及び範囲を逸脱してはならず、また逸脱しないように意図すべきである。本明細書における表現又は用語は、本発明を説明することを目的としており、限定的に用いているのではないことに留意すべきである。本発明に開示した種々の機能を実施するための方法、材料及び工程は、本発明を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
デキストランに誘導されるラット足底浮腫に対するONO−1078(プランルカスト)の作用を示す図である。 脳の炎症実験でラットの脳脊髄液の変化を測定する際のカニューレの位置を示す図である。 アラキドン酸投与により、個体二匹の中枢神経系(CNS)に炎症が発生したことを示す図である(ラット#1)。 アラキドン酸投与により、個体二匹の中枢神経系(CNS)に炎症が発生したことを示す図である(ラット#2)。 ラット中枢神経系(CNS)においてアラキドン酸投与により誘発される炎症に対するプランルカストの抑制効果を示す図である。ラット個体4匹のデーターである。
本発明の血管透過性亢進抑制剤としては、ヒト等の哺乳動物において、血液脳関門を通過せず若しくは殆ど通過することなく、毛細血管内に作用点を持ち、血管内皮細胞に作用し、毛細血管の透過性亢進を抑制したり、若しくは管腔内で作用し、白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外への遊出過程を抑制して、毛細血管内の血漿成分、血球等の組織への漏出を防ぐことができるものであればどのようなものでも良く、これら本発明の血管透過性亢進抑制剤は後述する本発明の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法により得ることができるが、具体的には、プランルカスト、ザフィルルカスト、モンテルカスト等のロイコトリエンC4又はD4受容体拮抗剤又はその薬理学的に許容される塩若しくは水和物を挙げることができ、中でもプランルカストを好適に例示することができる。上記ロイコトリエンC4又はD4受容体拮抗剤の薬理学的に許容される塩若しくは水和物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土金属類、他にアルミニウム等の塩や水和物を例示することができる。
本発明の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法としては、ラット、マウス、砂ネズミ等の齧歯類、犬、猫、ウサギ、猿などの非ヒト哺乳動物の脳の硬膜を貫通させクモ膜下腔に挿入したカニューレを介して、炎症誘発剤をクモ膜下腔に導入する前後に、被検物質を前記非ヒト哺乳動物に投与し、前記カニューレを介して回収した脳脊髄液量を測定する方法であれば特に制限されるものではなく、上記炎症誘発剤としてはアラキドン酸、プロスタグランジン、トロンボキサン、ヒスタミン、イースト、LPS、デキストラン、ブラジキニン、カラゲニン、ロイコトリエン、TNF−α、IL−1β、IL−6等を例示することができるが、一般炎症の実験モデルとしては、成分の均質性の点でアラキドン酸等の低分子化合物が好ましく、敗血症の実験モデルとしては、IL−1β及びIL−6が好ましい。また、上記被検物質としては、種々の化合物を例示することができるが、プランルカスト等のロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が好ましい。被検物質の非ヒト動物への投与方法としては特に制限されず、例えば、被検物質の化学的物性(脂溶性など)を考慮して、経口投与、皮下投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉投与、点鼻投与、吸入投与、舌下投与、座薬投与など公知の投与方法から適宜選択すれば良い。被検物質が、毛細血管の管腔構造を構成する血管内皮細胞及び管腔内において、毛細血管透過性の亢進や白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外への遊出過程の機構に関与し、毛細血管内の血漿成分、血球等の組織への漏出を防ぐことができる物質かどうかの評価は、脳脊髄液量を測定することにより行うことができるが、脳脊髄液量とともに、脳脊髄液中の白血球細胞数を測定することが好ましい。またこれらの測定は、30分あるいは1時間毎など経時的に脳脊髄液を回収し、被検物質未投与のコントロールと比較・評価することにより実施することが好ましい。すなわち、コントロールにおいて観察される脳脊髄液の滲出と脳脊髄液中の白血球の存在が、被検物質投与することにより抑制された場合、かかる被検物質は血管透過性亢進抑制剤とすることができ、被検物質の投与が炎症誘発剤の導入前であれば血管透過性亢進抑制の予防剤として、被検物質の投与が炎症誘発剤の導入後であれば血管透過性亢進抑制の改善剤として有用である。
ところで、上記本発明の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング系や前記オンマイヤーリザーバーに連結した脳室内留置カテーテルを用いる系において、アラキドン酸やIL−6等の炎症誘発剤を用いることなく、被検物質のみを投与した場合、脳脊髄液中の被検物質量をELISA等の公知の方法で測定することにより、被検物質が血液脳関門を通過しうる物質かどうかを簡便に判定することができる。かかる判定方法は、脳における治療をターゲットとした医薬物質のスクリーニングにきわめて有用である。この場合、脳脊髄液量を確実に確保しうる観点から、ラットよりもイヌの方が好ましい。
これら本発明の血管透過性亢進抑制は、脳の炎症や敗血症の発生予防及び/又は症状改善剤として有利に用いることができる。炎症は、第1段階(急性一過性段階):血管拡張及び毛細血管透過性の亢進と、第2段階(遅発性の亜急性段階):白血球及び食細胞の遊走と、第3段階(慢性増殖段階):中枢においては細胞の壊死、それに引き続きグリア細胞に置き換えられる。末梢においては変性及び線維症の各段階に大別することができるが、本発明の脳の炎症や敗血症の発生予防及び/又は症状改善剤は、上記炎症過程の第1段階において、末梢及び中枢における毛細血管後静脈の内皮細胞及び管腔内で白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外遊出の機構に直接又は間接的に働き、血管透過性亢進を抑制し、末梢性及び中枢性の炎症を抑制し、その結果血中成分の漏出を防止又は抑制する。かかる抗炎症作用機構の効果は独特であり、従前の抗炎症療法や抗エンドトキシン療法と明確に区別することができる(表3)。
上記脳の炎症としては、脳毛細血管から白血球等の組織への漏出に起因する疾病であれば特に制限されるものではなく、例えば、脳浮腫や脳梗塞や髄膜炎等の感染症に起因する脳の炎症や、外科手術、事故等による脳外傷に起因する脳の炎症を挙げることができ、脳手術に先立って、手術前の処置として投与されるなど脳の炎症の発生予防剤を好適に例示することができる。上記感染症に起因する脳の炎症としては、インフルエンザ脳症、西ナイル熱による脳症、クモ膜炎等を含む脳膜炎などを挙げることができる。
また、本発明における敗血症とは、各種細菌に起因する疾患の他、便宜上ウイルスに起因する疾患をも含み、したがって本発明における敗血症としては、これら細菌やウイルスの感染症であれば制限されないが、サルモネラ菌(Salmonella enteritidis)やボツリヌス菌(Clostridium botulinum)等種々の細菌に起因する食中毒や、コロナウイルス(Coronavirus)により引き起こされる重症急性呼吸器症候群(SARS)も好適に例示することができる。SARSを引き起こすコロナウイルスは短期間に変異するため、有効なワクチンを作製することは困難であり、本発明の敗血症の予防及び/又は症状改善剤をSARSに感染したことが明らかになったときに投与すると、重篤な症状に陥ることがない。
本発明の血管透過性亢進抑制剤が敗血症の治療に有用と考えられる根拠を表3に示す。表3から、プランルカスト等抗炎症療法(2)の本発明の血管透過性亢進抑制剤は、毛細血管後静脈の内皮細胞及び管腔内で白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外遊出の機構に作用する新しいタイプの抗炎症剤であり、プランルカスト等の本発明の血管透過性亢進抑制剤の使用により、中枢性及び末梢性いずれの炎症も抑制する敗血症の新療法が提供されることがわかる。
Figure 2009221217
本発明の血管透過性亢進抑制剤は、ヒト等の哺乳動物における脳の炎症や敗血症の発生又はその症状を治療又は抑制に有効である。かかる本発明の脳の炎症や敗血症の発生又はその症状を治療又は抑制する方法を実施するにあたり、障害或いは症状の急性管理又は慢性管理に用いる本発明の血管透過性亢進抑制剤の予防投与量又は治療投与量は、治療対象の症状の程度及び投与経路によって異なる。投与量及び投与回数もまた、個々の患者の年齢、体重及び反応性によって異なる。一般的に、軽症度の外傷、又は脳手術の手術前投与に用いるロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤の1日あたりの経口投与量の適切範囲は、当該技術の専門家であれば容易に決められることである。例えば、喘息治療に用いられる既知のロイコトリエン阻害剤において現在採用されている適切投与量に関しては、"Physician's Desk Reference"(54. sup. th Edition, Medical Economics Company Inc., 2000)を参照することができる。ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤の1日あたりの経口投与量は、症状や血管透過性亢進抑制剤の種類によって適宜選択することができる。具体的には、プランルカストの場合、100mg/日〜2000mg/日が好ましく、より好ましくは200mg/日〜1000mg/日、さらに好ましくは400mg/日〜800mg/日である。またプランルカストの場合、100mg/日未満、例えば1mg/kg以下の投与量では抗炎症作用が得られない可能性が高い。シングレアの場合、5mg/日〜100mg/日が好ましく、より好ましくは5mg/日〜50mg/日、さらに好ましくは10mg/日〜20mg/日である。ザフィルカストの場合、10mg/日〜300mg/日であり、より好ましくは20mg/日〜150mg/日、さらに好ましくは40mg/日〜80mg/日である。しかし、より重篤な外傷に対しては、さらに高量の投与をすべきである。
子供、65歳以上の患者、腎臓機能若しくは肝臓機能が不全の患者に対しては、低投与量から始め、その後の個々人の反応又は血中濃度の結果から増量していくことが推奨される。当該技術分野の専門家にとっては自明であるが、上記の範囲外の投与量が必要となる事例もある。また、臨床家や治療に携わる医師は、患者個々人の反応を考慮の上、治療を適用、中断又は終了する方法及び時期を把握していることにも留意すべきである。
現在使用されている各種のロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤は、胃酸中で溶解・吸収することが必要とされるため、経口投与が今日最も一般的な投与形態である。その投与形態としては、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、ゲルカップ、ドロップ剤等が挙げられる。投与が簡便なことから、錠剤とカプセル剤が最も有利な経口投与単位であり、その場合、製剤用固形担体を加えてもよい。例えば、プランスカストのカプセル剤の場合、100mg〜500mgのプランルカストを含むものが特に好ましい。患者が意識不明状態にあるときは、カニューレを胃に導入して投与することが好ましい。必要に応じて標準的な水性又は非水性技術により錠剤にコーティングを施してもよい。現在使用されているロイコトリエン受容体拮抗剤のうち、少なくとも一種、すなわちロイコトリエンD4受容体拮抗剤であるモンテルカストは、静脈内投与が可能である。投与は1日2〜3回行えるが、1日1回の投与が好ましい。脳脊髄液中のWBC数が正常値に達した時点で投与を中止してもよい。
本発明の方法に用いる組成物(類)の調製及びその有用性に関して詳述する以下の実施例を参照しながら、本発明をさらに説明する。本発明の範囲を逸脱することなく、材料及び方法のいずれについても多々修正を加えて実施し得ることは、当該分野の専門家にとっては自明である。
実施例1:末梢での考察
本発明者は、デキストランに誘発されたラット足底部の浮腫が、プランルカストにより投与量依存で抑制されたことを見い出した。プランルカスト450mg/kgを経口投与したところ、デキストランに誘発された足底部浮腫は完全に抑制された(図1)。
上記のことから、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が毛細血管の内皮細胞及び管腔内で白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外遊出の機構に直接又は間接的に作用し、デキストランに誘発されて亢進した毛細血管透過性を抑制した可能性が示唆された。末梢の毛細血管中の内皮細胞には、間隙、小孔及びピノサイトーシス小胞等の開口部が数多くあるにも関わらず、プランルカストはその透過性を抑制した。脳毛細血管の内皮細胞は細胞間の接合が堅固なため、末梢の毛細血管より開口部は少ない。従ってプランルカストは、末梢の毛細血管においてよりも脳毛細血管における透過性の抑制に、より効果を示すことが示唆された。以上のことから、かかる機構が中枢神経系レベルでも機能するとの仮説をたてた。
実施例2:炎症過程における変化の測定
脳の炎症治療におけるロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤の役割を考察するため、中枢神経系での炎症を測定する高感度な定量法を開発した。アラキドン酸によって生じる血液脳関門の透過性及び白血球細胞の脳脊髄液への遊走の両方を同じ実験動物を用いて経時的に測定できることから、炎症過程における重要な変化の観察が可能になる。この方法により、特にロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤プランルカストの効果を脳の炎症について調べた。侵害刺激としてアラキドン酸を投与すると、血液脳関門の透過性や白血球細胞の遊走という炎症過程における変化が観察された。
方法及び材料
50mg/kgのペントバルビタールナトリウムを体重約350〜400gの雄ラットに腹腔内投与(i.p.)して麻酔した。これらのラットを定位固定装置に置き、頭頂部から首にかけて剃毛した。実験部位をまず70%エタノールで、次に10%プロビドン−ヨウ素溶液で消毒した。頚髄上の皮膚及び筋肉を頚椎が露出するまで切開した。大槽を通り硬膜を貫通するように23G3/4針で穿刺した。2〜3mmPE10カニューレ(内径0.011”、厚さ0.007”、外径0.024”、長さ6.5cm)の一方を、神経組織を損傷しないように頚髄のクモ膜下腔に挿入した(図2)。カニューレをシアノアクリル接着剤で末梢組織に固定した。PE10カニューレのもう一方を使ってアラキドン酸(AA、3.25μg/2μl)等の侵害刺激剤を投与し、さらにその後11時間の実験期間にわたり30分毎に脳脊髄液を回収するのにも使用した。カニューレは挿入直後に脳脊髄液で満たされた。
クモ膜下腔にアラキドン酸を投与するために空気を注入した。切開した筋肉と皮膚を外科用ステープルで接合した後、ラットを定位固定装置から取り出し、温熱パッド上に置いて連続観察した。アラキドン酸投与の30分前にロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤プランルカストを投与し(450mg/kg、i.p.)、相互作用実験を行った。麻酔が切れかかったら、さらに0.05〜0.1mlのペントバルビタールを投与した(50mg/ml、i.p.)。実験中、ラットに苦痛の様子がみられたら、直ちに実験を中止して安楽死させた。実験終了後、化学蒸気フード内の密閉ジャーの中で高濃度ハロタンガスに曝すことにより、ラットを安楽死させた。
結果
クモ膜下腔へのアラキドン酸(3.25μg/2μl)投与直後に、脳脊髄液容量が増加した。脳脊髄液量は、3時間以内にピークに達した(図3A及び図3B)。アラキドン酸投与後4〜5時間の内に脳脊髄液量は徐々に減少したが、上記投与量で投与した場合は、11時間の観察期間にわたって持続レベルを保っていた。投与後30分間は、白血球細胞の遊走は認められず、脳の炎症の急性一過性段階であることが示唆されたが、その後徐々に遊走の亢進が認められた(図3A及び3B)。総白血球細胞数及び脳脊髄液量は、その後共に増減しながら変化した。このことから、白血球及び食細胞の遊走を最大の特徴とし、遅発性に生じる亜急性段階に移行したことが示唆される。対照動物では、脳脊髄液量も白血球細胞数も増加しなかったが、これが正常な状態である。というのは、中枢神経系内圧は非常に低く(6〜10mmHg)、通常、脳脊髄液中に白血球細胞は存在しないからである。
アラキドン酸(3.25μg/2μl)投与の30分前に、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤、プランルカストを事前腹腔内投与(450mg/kg)したところ、脳脊髄液の増加が完全に抑制された(n=4)(図4)。このことから、脳毛細血管中の内皮細胞の透過性亢進や白血球細胞の遊走が、プランルカストにより阻止されたことが示唆される。
実施例3:ロイコトリエン受容体拮抗剤プランルカストの効果の考察
脳の炎症時における脳毛細血管の内皮細胞透過性の亢進及び脳脊髄液への白血球細胞遊走の評価
上記の方法により、同じラットを使って透過性の経時的な変化を測定することが可能となる。今まで同じ動物を使って脳の炎症を測定できる方法はなかった。そのため、所定の実験期間毎に最低でも4匹の動物を犠牲にしなければならなかった(統計上の有意を確保するため)。例えば、10時間にわたり30分毎に脳の炎症の様子を調べる必要があれば(30分毎にn=4)、80匹のラットを屠殺しなければならない。この方法に従えば、脳毛細血管の透過性の変化だけでなく、中枢神経系に遊走する白血球細胞数の変化についても調べることができる。
この方法によると4匹のラットを供するだけで、中枢神経系への白血球細胞の遊走量に関するデータが得られ、その結果、それぞれの期間毎に動物個体間で生じる差異も回避できる。脳毛細血管の透過性及び中枢神経系への白血球細胞の遊走の両方について定量できるのは、この方法によってのみであり、脳の炎症過程のより完全な像を描くことができるのである。
本発明によれば、11時間にわたり30分毎に、同じラットを用いて脳脊髄液(CSF)の容量(μl)及び脳脊髄液中の白血球数を測定した。ペントバルビタール麻酔下においてカニューレ(PE10)の一方を、神経を損傷しないようにラットのクモ膜下腔に挿管した(図2)。脳組織が損傷を受けると脳脊髄液の容量と白血球数は、アラキドン酸を投与しなくても直ちに増加する。正常ラットの脳脊髄液中に白血球は存在しないことから、カニューレ挿管直後の脳脊髄液中に白血球が存在しないラットだけを使用した。カニューレのもう一方は開口したままで、侵害刺激剤(アラキドン酸、LPS、デキストランなど)を投与したり、その後の実験期間において30分毎に脳脊髄液を回収することに利用した。脳脊髄液の容量はマイクロピペットを用いて測定し、脳脊髄液中のWBC数は、血球計により計測した。
アラキドン酸(3.2μg/2μl)を投与するとその直後から脳脊髄液が増加し、3時間以内に最大値100〜130μlに達した。投与4〜5時間後は減少したが、その後の実験期間中も30分毎の値は60〜80μlを保っていた。白血球細胞は、アラキドン酸投与後30分間は認められなかったが、その後徐々に増加した。白血球細胞の増減は、脳脊髄液の増減に略ほぼ相関していた。
クモ膜下腔にアラキドン酸を投与する30分前にプランルカスト(450mg/kg)を腹腔内投与した。プランルカストは、脳脊髄液の増加を完全に抑制し、WBC遊走に基づいて調べた脳毛細血管透過性の亢進も抑制した。
本方法では、前述したとおり第1及び第2炎症段階の特性を明らかにした。すなわち、局所的血管拡張及び毛細血管透過性の亢進が特徴の急性一過性段階(第1段階)と、白血球及び食細胞の遊走を最大の特徴とする遅発性に生じる亜急性段階(第2段階)である。
間隙、小孔及び数多くのピノサイトーシス小胞がある末梢の毛細血管と異なり、脳毛細血管ではピノサイトーシス小胞が比較的少なく、ミトコンドリアが著しく多く、また毛細血管内部にタイトジャンクションがみられる。ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤がBBBを透過したとしても、その量は極微量である。このことから、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が、脳毛細血管の内皮細胞及び管腔内で白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外遊出の機構に直接又は間接的に作用しその透過性を末梢的に抑制(peripheral inhibition)していることが示唆される。脳毛細血管の内皮細胞は、互いに緊密に隣接し合い、タイトジャンクションを形成している。脳毛細血管の「内側」にある内皮細胞では、末梢の毛細血管における内皮細胞に比べ、遥かに漏出が生じにくくなっている。何故なら、末梢の毛細血管には間隙による経路があり、また小孔や数多くのピノサイトーシス小胞が存在しているからである。
毛細血管腔と血液脳関門の間の内皮細胞の透過性を末梢抑制することによって、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤による脳の炎症治療が可能となることが考えられる。そこで、薬剤が血液脳関門を通過できることや、脳の炎症部位に薬剤を到達させるために血液脳関門を開放させることよりも、脳毛細血管透過性を低減させる能力及び白血球の中枢神経系への遊走を抑制する能力の方が、治療上、より重要とされる。血液脳関門が一旦開くと血液脳関門の透過性は亢進し、脳毛細血管内圧の方が頭蓋内圧より高いために脳浮腫が生じることになり、さらに血球等の中枢組織に露出するので炎症を悪化させることになる。
上記の方法から以下のような知見が新たに得られた。
(1)この方法により、炎症過程(第1段階及び第2段階)を経時的に定量することが可能になる。また、
(2)プランルカストは、脳の二次損傷も抑制する。
実施例4:脳外傷ラットモデルにおけるプランルカスト及び他の抗炎症剤の効果
両頚動脈を30分間可逆的に閉塞し、その後再灌流させた虚血ラットモデルが、プランルカストを事前投与することにより延命した。閉塞を起こす30分前にプランルカストを投与(450mg/kg、i.p.)したところ、4〜5匹のラット中1匹が1週間生存した。さらに、無処理犬にプランルカストを事前投与(異なる3種類の投与量で投与)したところ、サイトカインに誘発された脳脊髄液中へのWBC遊走が抑制された。

Claims (33)

  1. 血液脳関門を通過せず若しくは殆ど通過することなく、毛細血管の血管内皮細胞に作用し、管腔内で白血球の血管内皮細胞への接着及び毛細血管外への遊出を抑制して、毛細血管内の血漿成分、血球等の組織への漏出を防ぐことができる哺乳動物における血管透過性亢進抑制剤。
  2. 哺乳動物がヒトである請求項1記載の血管透過性亢進抑制剤。
  3. ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤又はその薬理学的に許容される塩若しくは水和物を有効成分とする請求項1又は2記載の血管透過性亢進抑制剤。
  4. ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤がプランルカストである請求項3記載の血管透過性亢進抑制剤。
  5. 非ヒト哺乳動物の脳の硬膜を貫通させクモ膜下腔に挿入したカニューレを介して、炎症誘発剤をクモ膜下腔に導入する前後に、被検物質を前記非ヒト哺乳動物に投与し、前記カニューレを介して回収した脳脊髄液量を測定することを特徴とする血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法。
  6. 非ヒト哺乳動物が、犬、猫、ウサギ、ラット、マウス、砂ネズミ又は猿である請求項5記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法。
  7. 炎症誘発剤がアラキドン酸、プロスタグランジン、トロンボキサン、ヒスタミン、イースト、LPS、デキストラン、ブラジキニン、カラゲニン、ロイコトリエン、TNF−α、IL−1β又はIL−6である請求項5又は6記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法。
  8. 被検物質が抗炎症剤から選ばれる請求項5〜7のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法。
  9. 被検物質を経口、皮下又は静脈内投与する請求項5〜8のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法。
  10. 脳脊髄液量とともに、脳脊髄液中の白血球細胞数を測定する請求項5〜9のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法。
  11. 経時的に脳脊髄液を回収する請求項5〜10のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤のスクリーニング方法。
  12. 請求項1〜4のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤を有効成分とする脳の炎症の発生予防又は症状改善剤。
  13. 脳の炎症が脳浮腫である請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤。
  14. 脳の炎症が脳梗塞である請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤。
  15. 脳の炎症が感染症に起因する炎症である請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤。
  16. 脳の炎症が脳外傷に起因する炎症である請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤。
  17. 脳外傷が外科手術によるものである請求項16記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤。
  18. 脳手術に先立って投与されることを特徴とする請求項12記載の脳の炎症の発生予防又は症状改善剤。
  19. 請求項1〜4のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤を有効成分とする敗血症の予防及び/又は症状改善剤。
  20. 敗血症が重症急性呼吸器症候群(SARS)である請求項19記載の敗血症の予防及び/又は症状改善剤。
  21. 請求項1〜4のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤を、必要とする哺乳動物に治療有効量投与することからなる哺乳動物における脳の炎症の発生又はその症状を治療又は抑制する方法。
  22. 脳の炎症が脳浮腫である請求項21記載の方法。
  23. 脳の炎症が脳梗塞である請求項21記載の方法。
  24. 脳の炎症が感染症に起因する炎症である請求項21記載の方法。
  25. 脳の炎症が脳外傷に起因する請求項21記載の方法。
  26. 脳外傷が外科手術によるものである請求項25記載の方法。
  27. 脳手術に先立って投与されることを特徴とする請求項21記載の方法。
  28. プランルカストの治療有効量が、100mg〜2000mg/日であることを特徴とする請求項21〜27のいずれか記載の方法。
  29. 脳脊髄液における白血球細胞数が正常値に達するまで継続することを特徴とする請求項21〜28のいずれか記載の方法。
  30. 治療有効量のロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤又はその薬理学的に許容される塩若しくは水和物を患者に投与することからなる侵襲脳手術の前に患者に対して行う前処置方法。
  31. 請求項1〜4のいずれか記載の血管透過性亢進抑制剤を、必要とする哺乳動物に治療有効量投与することからなる哺乳動物における敗血症の発症又はその症状を治療又は抑制する方法。
  32. 敗血症が重症急性呼吸器症候群(SARS)である請求項31記載の方法。
  33. プランルカストの治療有効量が、100mg〜2000mg/日であることを特徴とする請求項31又は32記載の方法。
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