JP2004099448A - 新規なベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低揮発性でしかも高度な難燃性と紫外線吸収性を有する新規な化合物を得る。
【解決手段】本発明のベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類は、下記式(1)
【化1】
(式中、R1、R3は、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基等を示し、R2、R4は、C1−8アルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基等を示す。但し、R1〜R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である。nは0又は1の整数を示す。式中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中記載の置換基以外の置換基を有していてもよい)
で表される。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類は、下記式(1)
【化1】
(式中、R1、R3は、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基等を示し、R2、R4は、C1−8アルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基等を示す。但し、R1〜R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である。nは0又は1の整数を示す。式中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中記載の置換基以外の置換基を有していてもよい)
で表される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類とその製造法に関する。この化合物は、ホットメルト接着剤、感熱性粘着剤、熱転写受像材料、カラー写真感光剤、溶融型インクジェット用インク、振動吸収材料、鉛筆芯、塩化ビニル樹脂等の組成物、有機化合物(特に有機高分子化合物)、潤滑油、熱媒などに添加される紫外線吸収剤、難燃化剤、可塑剤、安定化剤等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機高分子化合物に難燃性、安定性を付与する方法として、高分子成形品の調製時に、難燃剤や安定化剤等の添加剤を添加する方法が採用されている。このような添加剤として、有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物、無機化合物、ハロゲン非含有有機リン化合物、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体などが用いられている。
【0003】
上記化合物のうち、有機ハロゲン化合物及びハロゲン含有有機リン化合物は、優れた難燃効果を発揮することが知られており、その代表的なものとして、テトラブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。しかし、これらのハロゲン含有化合物は、樹脂成形時に熱分解してハロゲン化水素を発生し、金型腐食や、樹脂劣化、作業環境悪化等を引き起こすという問題がある。また、火災時に人体及び環境に有害なハロゲン化水素等の有毒ガスを発生するという問題も指摘されている。
【0004】
一方、前記無機化合物として、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどが知られている。これの化合物はハロゲン原子を含まないものの、難燃効果が著しく低いため、多量に添加する必要があり、そのため、樹脂本来の物性が失われるという欠点がある。
【0005】
ハロゲン非含有有機リン化合物は、ハロゲンを含まず、比較的良好な難燃効果が得られるため広く用いられており、その代表的な例として、トリフェニルホスフェート(以下「TPP」と称する場合がある)、トリクレジルホスフェートなどが知られている。なかでも、TPPは優れた難燃性を示すことから汎用されているが、揮発性が高いために、有機高分子化合物等に配合した組成物を成形加工する際に揮発して、金型を汚染し、成形品表面の外観不良を招くという問題がある。また、揮発性の低い有機リン化合物として、特公昭51−19858号公報、特公平2−18336号公報、特開平5−1079号公報に記載されている縮合リン酸エステルがある。しかし、これらの耐熱性は、TPPよりは優れているものの、その難燃性付与効果と共に、未だ充分満足できるものではない。
【0006】
ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体は、プラスチックの紫外線吸収剤として知られている。しかしながら、該ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体を始め従来公知の紫外線吸収剤の大部分は低分子化合物であるため蒸気圧が高く、例えば、樹脂に添加し成形加工する際に蒸散し、作業環境や金型を汚染するといった問題が生じる。このような低分子紫外線吸収剤の問題点を解決するため、高分子化する方法がいくつか提案されている。例えば、特開昭38−25036号公報、特開昭60−51181号公報、特開昭61−112062号公報、特開平2−188581号公報、特開平3−200788号公報等には、付加重合性及び重縮合性のベンゾトリアゾール化合物が開示されている。しかし、何れも適用できるポリマーに限りがある。
【0007】
【特許文献1】
特公昭51−19858号公報
【特許文献2】
特公平2−18336号公報
【特許文献3】
特開平5−1079号公報
【特許文献4】
特開昭38−25036号公報
【特許文献5】
特開昭60−51181号公報
【特許文献6】
特開昭61−112062号公報
【特許文献7】
特開平2−188581号公報
【特許文献8】
特開平3−200788号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記のような従来の難燃剤や紫外線吸収剤に見られる問題点を解決し、低揮発性でしかも高い難燃性と紫外線吸収性とを有する新規な化合物と、その簡便な製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、ヒドロキシル基を有する特定構造のベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体と、特定のリン原子含有化合物とを反応させると、新規な構造を有するベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【化5】
(式中、R1、R3は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基を示し、R2、R4は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基を示す。但し、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である。nは0又は1の整数を示す。式中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中記載の置換基以外の置換基を有していてもよい)
で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類を提供する。
【0011】
好ましいベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類には、前記式(1)において、R1、R3が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基であり、R2、R4が、同一又は異なって、水素原子、C1−4アルキル基、ヒドロキシC1−4アルキル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基であり[但し、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基である]、nが0又は1の整数である化合物が含まれる。
【0012】
また、前記ベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニルジフェニルホスフェート、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、又は3,3′−メチレンビス[1−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]などが含まれる。
【0013】
本発明は、また、下記式(2)
【化6】
(式中、R5、R7は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基を示し、R6、R8は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基を示す。但し、R5、R6、R7、R8のうち少なくとも1つは、ヒドロキシル基又はヒドロキシC1−8アルキル基である。nは0又は1の整数を示す。式中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中記載の置換基以外の置換基を有していてもよい)
で表されるヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体と、下記式(3)
【化7】
(式中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいC6−12アリール基を示し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す)
で表されるリン原子含有化合物とを反応させて、前記式(1)で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類を得るベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
式(1)で表されるトリアゾリル基含有リン酸エステル類において、R1、R3は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基を示す。R1、R3としては、特に、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基が好ましい。R2、R4は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基を示す。R2、R4としては、特に、水素原子、C1−6アルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−6アルキル基が好ましい。R1、R2、R3、R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である。なお、ホスホロキシ基とは「O=P(O−)3」基を示し、例えば、ジフェニルホスホロキシ基は「O=P(OPh)2(O−)」基(Ph=フェニル基)を意味する。
【0015】
C1−8アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、C1−6アルキル基、特にメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル基等のC1−4アルキル基が好ましい。
【0016】
C6−12アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられる。C6−12アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル基などのC1−8アルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、t−ペンチルオキシ、イソオクチルオキシ基などのC1−8アルコキシ基;ヒドロキシル基;カルボキシル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基;シアノ基;ニトロ基;置換又は無置換アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。これらの置換基のなかでも、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、ヒドロキシル基、C1−4アルコキシ基が好ましい。
【0017】
ビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基における「C6−12アリール」基としては、上記C6−12アリール基と同様のものが挙げられる。また、ビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基が有していてもよい置換基も上記C6−12アリール基が有していてもよい置換基と同様である。
【0018】
ヒドロキシC1−8アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソプロピル、ヒドロキシイソブチル、ヒドロキシt−ブチル、ヒドロキシt−ペンチル、ヒドロキシイソオクチル、ヒドロキシt−オクチル基などが挙げられる。これらのなかでも、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシイソプロピル、ヒドロキシt−ブチル基などのヒドロキシC1−4アルキル基が好ましい。
【0019】
ビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基における「C6−12アリール」基、「C1−8アルキル」基としては、それぞれ上記C6−12アリール基、C1−8アルキル基と同様のものが挙げられる。また、ビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基が有していてもよい置換基も上記C6−12アリール基が有していてもよい置換基と同様である。
【0020】
式(1)中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中に明示されている置換基以外の置換基を1又は2以上有していてもよい。そのような置換基として、例えば、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などが挙げられるが、これらに限定されない。C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基としては、前記R1、R3におけるC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基と同様のものが挙げられる。ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。好ましいハロゲン原子は塩素原子などである。式(1)中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環が有していてもよい置換基は、好ましくは、C1−6アルキル基(特にC1−4アルキル基)、ヒドロキシル基、ハロゲン原子である。
【0021】
式(1)で表される化合物のなかでも、nが0又は1であり、R1、R3が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基であり、且つ、R2、R4が、同一又は異なって、水素原子、C1−4アルキル基(特にメチル基)、ヒドロキシC1−4アルキル基(特にヒドロキシエチル基)、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基[特に、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシエチル基]である化合物が特に好ましい。
【0022】
式(1)で表される化合物の代表的な例として、例えば、以下の化合物が挙げられる。[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−6−メチルベンゼン]、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−メチルベンゼン]、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−エチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−エチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−エチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−エチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,4−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,5−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,6−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,5−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5,6−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェートなどの、式(1)においてn=0、R1が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2が水素原子、C1−8アルキル基、又は置換基を有していてもよいC6−12アリール基である化合物。
【0023】
1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−ジフェニルホスホロキシメチルベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(3−ジフェニルホスホロキシプロピル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(4−ジフェニルホスホロキシブチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2,5−ビス(ジフェニルホスホロキシ)ベンゼンなどの、式(1)においてn=0、R1が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0024】
1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−ジフェニルホスホロキシメチルベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(3−ジフェニルホスホロキシプロピル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(4−ジフェニルホスホロキシブチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−メチル−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−フェニル−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼンなどの、式(1)においてn=0、R1が水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、又はヒドロキシル基、R2が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0025】
1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−ヒドロキシメチル−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(4−ヒドロキシブチル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼンなどの、式(1)においてn=0、R1が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2がヒドロキシル基、又はヒドロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0026】
3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−ジフェニルホスホロキシメチルベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(3−ジフェニルホスホロキシプロピル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(4−ジフェニルホスホロキシブチル)ベンゼン]などの、式(1)においてn=1、R1及びR3が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2及びR4が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0027】
3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−ジフェニルホスホロキシメチルベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(3−ジフェニルホスホロキシプロピル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(4−ジフェニルホスホロキシブチル)ベンゼン]などの、式(1)においてn=1、R1及びR3が、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、又はヒドロキシル基、R2及びR4が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0028】
3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−ヒドロキシメチル−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(4−ヒドロキシブチル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]などの、式(1)においてn=1、R1及びR3が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2及びR4が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又はヒドロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0029】
これらの化合物のなかでも、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−メチルベンゼン]などの、式(1)においてn=0、R1が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基[好ましくは、置換基を有していてもよいジフェニルホスホロキシ基]、R2が水素原子又はC1−8アルキル基(好ましくはC1−4アルキル基、さらに好ましくはメチル基)である化合物;1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]などの、式(1)においてn=0又は1、R1(nが1の場合はR1及びR3)がヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基[好ましくは、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいジフェニルホスホロキシ基]、R2(nが1の場合はR2及びR4)が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基[好ましくは置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基、さらに好ましくは置換基を有していてもよい2−ジフェニルホスホロキシエチル基]である化合物などが好ましい。
【0030】
式(1)で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類において、構造異性体や立体異性体が存在しうる場合、該ベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類には、それらのうちの単一の化合物のほか、2以上の異性体の混合物も含まれる。
【0031】
式(1)で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類は、前記式(2)で表されるヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体と、前記式(3)で表されるリン原子含有化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0032】
式(2)において、R5、R7は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基を示し、R6、R8は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基を示す。但し、R5、R6、R7、R8のうち少なくとも1つは、ヒドロキシル基又はヒドロキシC1−8アルキル基である。nは0又は1の整数を示す。
【0033】
上記C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基は前記式(1)におけるそれぞれの基と同様である。式(2)中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中記載の置換基以外の置換基を有していてもよい。このような置換基は、前記式(1)中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環が有していてもよい置換基と同様である。
【0034】
式(2)で表されるヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体の代表的な例として、例えば、以下の化合物が挙げられる。2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−エチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−エチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−エチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−エチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,4−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,5−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,6−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,5−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5,6−ジメチルフェノールなどの、式(2)においてn=0、R5がヒドロキシル基、R6が水素原子、C1−8アルキル基、又は置換基を有していてもよいC6−12アリール基である化合物。
【0035】
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ヒドロキノン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−2−フェニルベンゼンなどの、式(2)においてn=0、R5が水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、又はヒドロキシル基、R6がヒドロキシル基又はヒドロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0036】
6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシメチルフェノール]、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール]、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール]などの、式(2)においてn=1、R5及びR7が、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、又はヒドロキシル基、R6及びR8が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又はヒドロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0037】
式(2)で表される化合物は公知の方法若しくは公知の方法の組み合わせにより、又はそれらに慣用の手法を加えることにより得ることができる。例えば、特開平9−316060号公報等に記載の方法又はそれに準じた方法により、式(2)で表される化合物を製造できる。
【0038】
式(3)中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいC6−12アリール基を示し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す。C6−12アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられる。C6−12アリール基が有していてもよい置換基としては、前記式(1)におけるC6−12アリール基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらのなかでも塩素原子が好ましい。Xにおけるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基などが挙げられる。アルコキシ基が有していてもよい置換基には、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素原子など)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ基等のC1−4アルコキシ基など)、フェニル基などが挙げられる。Xにおけるアリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフチルオキシ基などが挙げられる。アリールオキシ基が有していてもよい置換基としては、前記式(1)におけるC6−12アリール基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0039】
式(3)で表されるリン原子含有化合物の代表的な例として、例えば、ジフェニルリン酸クロリド、ジトルイルリン酸クロリド[=ビス(メチルフェニル)リン酸クロリド]、ジキシリルリン酸クロリド[=ビス(ジメチルフェニル)リン酸クロリド]、ジクレジルリン酸クロリド[=ビス(6−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)リン酸クロリドなど]などの、式(3)においてXがハロゲン原子である化合物;ジフェニルリン酸、ジトルイルリン酸[=ビス(メチルフェニル)リン酸]、ジキシリルリン酸[=ビス(ジメチルフェニル)リン酸]、ジクレジルリン酸[=ビス(6−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)リン酸など]などの、式(3)においてXがヒドロキシル基である化合物;トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェートなどの、式(3)においてXが置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリール基である化合物が挙げられる。これらのなかでも、ジフェニルリン酸クロリド、ジフェニルリン酸、トリフェニルホスフェートなどが好ましい。
【0040】
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応は有機溶媒の存在下又は非存在下で行われる。有機溶媒としては、反応を阻害しないようなものであれば特に限定されず、例えば、含窒素有機化合物、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、含酸素有機化合物、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。含窒素有機化合物には、例えば、ピリジン、ピコリンなどの含窒素複素環化合物、アセトニトリルなどのニトリル等の含窒素鎖状化合物などが含まれる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが挙げられる。脂肪族炭化水素には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが含まれる。脂環式炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどが挙げられる。含酸素有機化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテルなどが挙げられる。ハロゲン化炭化水素には、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどが含まれる。これらのなかでも、ピリジン、アセトニトリル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどが好ましく、特にピリジン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどが好適である。
【0041】
式(3)においてXがハロゲン原子である化合物を用いる場合には、式(3)で表される化合物と式(2)で表される化合物との間で脱ハロゲン化水素反応が進行して式(1)で表される化合物が生成する。この場合、反応は、脱ハロゲン化水素剤の存在下で行ってもよく、脱ハロゲン化水素剤の非存在下で行ってもよい。脱ハロゲン化水素剤としては、例えば、アミン類、ピリジン類、ピロリジン類、アミド類、無機塩基などが例示される。アミン類としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンの何れであってもよく、例えば、t−ブチルアミン、t−ペンチルアミン、t−ヘキシルアミン、t−オクチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−t−ペンチルアミン、ジ−t−ヘキシルアミン、ジ−t−オクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジエチルアニリンなどが挙げられる。これらのなかでも、トリエチルアミンなどの第3級アミンが好ましい。ピリジン類としては、例えば、ピリジン、ピコリンなどが挙げられるが、好ましくはピリジンである。アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。好ましい無機塩基には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物などが含まれる。
【0042】
脱ハロゲン化水素反応を行う場合、反応方式は回分式、半回分式、連続式等の何れであってもよい。例えば、式(2)で表される化合物を反応溶媒に溶解させ、これに、式(3)で表される化合物を添加して反応させ、対応する式(1)で表される化合物を生成させる。脱ハロゲン化水素剤を用いる場合、該ハロゲン化水素剤は反応開始時より系内に存在させてもよく、反応開始から反応終了までの間の適宜の時期に逐次的に又は一括して系内に添加してもよい。式(3)で表される化合物の量は、式(2)で表される化合物の有するヒドロキシル基のうちリン酸エステル化すべきヒドロキシル基1モルにつき、0.1〜100モル、好ましくは0.2〜50モル、さらに好ましくは0.5〜20モル、特に好ましくは1〜10モル程度である。脱ハロゲン化水素剤の量は、式(3)で表される化合物1モルに対して、通常0.5〜50モル、好ましくは0.7〜15モル程度である。脱ハロゲン化水素剤が液体の場合は、大過剰量用いて反応溶媒として使用することもできる。反応温度は、通常−50℃〜250℃、好ましくは−10℃〜200℃、さらに好ましくは0℃〜100℃程度である。なお、脱ハロゲン化水素剤を用いない場合には、反応で生成するハロゲン化水素を捕捉する装置を反応系に設けるのが好ましい。この時の反応温度は、例えば−10℃〜250℃、好ましくは0℃〜150℃程度である。式(2)で表される化合物が複数のヒドロキシル基を有する場合、式(3)で表される化合物の使用量、脱ハロゲン化剤の使用量、反応温度、反応時間などを適宜調整することにより、モノリン酸エステル体、ジリン酸エステル等をそれぞれ選択的に得ることができる。
【0043】
式(3)においてXがヒドロキシル基である化合物を用いる場合には、式(3)で表される化合物と式(2)で表される化合物との間で脱水反応が進行して式(1)で表される化合物が生成する。また、式(3)においてXが置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリール基である化合物を用いる場合には、式(3)で表される化合物と式(2)で表される化合物との間でエステル交換反応が進行して式(1)で表される化合物が生成する。これらの場合、反応は必要に応じて酸触媒又は塩基触媒の存在下で行われる。酸触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、四塩化チタン、五塩化アンチモン、塩化亜鉛、塩化スズ等のルイス酸触媒;硫酸、塩酸等の鉱酸などが挙げられる。塩基触媒としては、例えば、前記脱ハロゲン化水素剤として例示した化合物を用いることができる。
【0044】
脱水反応又はエステル交換反応を行う場合、反応方式は回分式、半回分式、連続式等の何れであってもよい。例えば、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応溶媒中で混合攪拌して反応させ、対応する式(1)で表される化合物を生成させる。式(3)で表される化合物の量は、式(2)で表される化合物の有するヒドロキシル基のうちリン酸エステル化すべきヒドロキシル基1モルにつき、0.1〜20モル、好ましくは0.2〜10モル、さらに好ましくは0.5〜5モル、特に好ましくは1.0〜2.5モル程度である。酸触媒又は塩基触媒の量は、式(3)で表される化合物1モルに対して、通常0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.5モル程度である。反応温度は、通常−10℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃程度である。式(2)で表される化合物が複数のヒドロキシル基を有する場合、式(3)で表される化合物の使用量、触媒の種類や使用量、反応温度、反応時間などを適宜調整することにより、モノリン酸エステル体、ジリン酸エステル等をそれぞれ選択的に得ることができる。
【0045】
上記何れの反応においても反応終了後、抽出、晶析、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の適宜の分離精製手段により、目的化合物を取得できる。
【0046】
こうして得られる式(1)で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類は、ホットメルト接着剤、感熱性粘着剤、熱転写受像材料、カラー写真感光剤、溶融型インクジェット用インク、振動吸収材料、鉛筆芯、塩化ビニル樹脂等の組成物、有機化合物(特に有機高分子化合物)、潤滑油、熱媒などに添加される紫外線吸収剤、難燃化剤、可塑剤、安定化剤等として利用できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、新規なベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類とその簡便な製造法が提供される。この化合物は低揮発性であり、高い難燃性及び紫外線吸収性を有すると共に、可塑剤や安定化剤としての作用効果も奏する。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0049】
実施例1
下記式(4)で表される1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン(化合物1)を以下のようにして製造した。
【化8】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した30mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール0.5gをピリジン5mlに溶解し40℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド1.6gを滴下した。その後、40℃で40時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1)に付して精製し、目的化合物を得た(無色オイル)。収量は1.2g、収率は87%であった。
分解温度[Td(−2%)]:299℃
1H−NMR(CDCl3) δ:7.86−7.85(q, 2H), 7.71(d, 1H), 7.55−7.52(q, 1H), 7.44−7.41(m, 2H), 7.29−7.25(m, 5H), 7.21−7.06(m, 16H), 4.50−4.45(q, 2H), 3.09−3.05(t, 2H)
【0050】
実施例2
下記式(5)で表される1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン(化合物2)を以下のようにして製造した。
【化9】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した30mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール1.0gをピリジン5mlに溶解し50℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド1.1gを滴下した。その後、50℃で3時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。濃縮残渣を酢酸エチルから再結晶し、目的化合物を得た(白色結晶)。収量は1.7g、収率は90%であった。
融点:117℃
分解温度[Td(−2%)]:283℃
1H−NMR(CDCl3) δ:11.24(s, 1H), 8.24(s, 1H), 8.24(d, 1H), 7.95−7.92(m, 2H), 7.51−7.49(m, 2H), 7.28−7.25(m, 4H), 7.17−7.09(m, 8H), 4.52−4.47(q, 2H), 3.07−3.04(t, 2H)
IR(cm−1):1589, 1588, 1516, 1489, 1293, 1269, 1257, 1233, 1200, 1167, 1036, 965, 777, 749, 689
【0051】
実施例3
下記式(6)で表される3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン](化合物3)を以下のようにして製造した。
【化10】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した50mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]2.0gをピリジン20mlに溶解し40℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド4.7gを滴下した。その後、40℃で40時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1〜2/1)に付して精製し、目的化合物を得た(無色オイル)。収量は4.7g、収率は85%であった。
分解温度[Td(−2%)]:299℃
1H−NMR(CDCl3) δ:7.81−7.77(m, 4H), 7.64−7.63(d, 2H), 7.38−7.34(m, 4H), 7.26−7.21(m, 8H), 7.17−7.01(m, 26H), 6.89−6.87(m, 8H), 4.57(s, 2H), 4.57−4.35(q, 4H), 2.94−2.90(t, 4H)
【0052】
実施例4
下記式(7)で表される3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン](化合物4)を以下のようにして製造した。
【化11】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した50mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]2.0gをピリジン20mlに溶解し50℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド3.1gを20分かけて滴下した。その後、50℃で1時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。濃縮残渣を酢酸エチルから再結晶し、目的化合物を得た(白色結晶)。収量は3.6g、収率は96%であった。
融点:154℃
分解温度[Td(−2%)]:291℃
1H−NMR(CDCl3) δ:11.62(s, 2H), 8.14−8.13(d, 2H), 7.92−7.89(m, 4H), 7.49−7.46(m, 4H), 7.25−7.01(m, 22H), 4.49−4.44(q, 4H), 4.21(s, 2H), 3.02−2.99(t, 4H)
IR(cm−1):1590, 1509, 1489, 1460, 1275, 1260, 1221, 1192, 1165, 1073, 1026, 1009, 955, 776, 750, 689
【0053】
実施例5
下記式(8)で表される[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−メチルベンゼン](化合物5)を以下のようにして製造した。
【化12】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した100mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール[=2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール]5.0gをピリジン37.6gに溶解し40℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド6.6gを滴下した。その後、90℃で12時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、目的化合物を得た(淡黄色オイル)。収量は10.0g、収率は98%であった。
分解温度[Td(−2%)]:304℃
1H−NMR(CDCl3) δ:7.86−7.84(m, 2H), 7.07(d, 1H), 7.55−7.52(q, 1H), 7.44−7.41(m, 2H), 7.29−7.25(m, 6H), 7.21−7.06(m, 15H), 4.50−4.45(q, 2H), 3.09−3.05(t, 2H)
【0054】
評価試験
(1)揮発性(熱重量減少温度の測定)
実施例で得られた化合物1〜5、及び公知の難燃剤であるトリフェニルホスフェート(TPP)[大八化学(株)製]につき、2%重量減少温度(Td2%)、5%重量減少温度(Td5%)、及び10%重量減少温度(Td10%)を、示差熱天秤[セイコー電子(株)製、商品名「TG/DTA6300」]を用いて、空気流速300ml/min、昇温速度20℃/minの条件で測定した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1より明らかなように、本発明の化合物1〜5は何れも各熱重量減少温度が高く、低揮発性である。
【0057】
(2)難燃性
ポリエステル樹脂[商品名「ジュネラックス400FP」(ポリブチレンテレフタレート;PBT)、ポリプラスチックス(株)製]と、難燃剤としての化合物1〜5又はトリフェニルホスフェート(TPP)[大八化学(株)製]と、滴下防止剤[商品名「テフロン(登録商標)6J」、三井デュポンフロロケミカル(株)製]とを、表2に示す割合(重量部)にてタンブラーブレンダーで混合した後、押出機(シリンダー温度250℃)にて溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。次に、このペレット状樹脂組成物を射出成形機(シリンダー温度250℃、金型温度60℃)に供し、50×45×3mmの大きさの試験片A〜Gを作製した。なお、試験片Fには難燃剤は添加しなかった。
各試験片を燃焼させ、燃焼時の試験片からの発熱速度(kW/m2)をコーンカロリーメーター[商品名「コーンカロリーメーターIII」、東洋精機(株)製]を用いて測定した。評価時の輻射熱流速は50kW/m2とした。各試験片の最大発熱速度(kW/m2)を表2に示す。この値が低いほど難燃性が良好である。
【0058】
【表2】
【0059】
表2より明らかなように、本発明の化合物1〜5を含む樹脂組成物は高い難燃性を発揮する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類とその製造法に関する。この化合物は、ホットメルト接着剤、感熱性粘着剤、熱転写受像材料、カラー写真感光剤、溶融型インクジェット用インク、振動吸収材料、鉛筆芯、塩化ビニル樹脂等の組成物、有機化合物(特に有機高分子化合物)、潤滑油、熱媒などに添加される紫外線吸収剤、難燃化剤、可塑剤、安定化剤等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機高分子化合物に難燃性、安定性を付与する方法として、高分子成形品の調製時に、難燃剤や安定化剤等の添加剤を添加する方法が採用されている。このような添加剤として、有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物、無機化合物、ハロゲン非含有有機リン化合物、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体などが用いられている。
【0003】
上記化合物のうち、有機ハロゲン化合物及びハロゲン含有有機リン化合物は、優れた難燃効果を発揮することが知られており、その代表的なものとして、テトラブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。しかし、これらのハロゲン含有化合物は、樹脂成形時に熱分解してハロゲン化水素を発生し、金型腐食や、樹脂劣化、作業環境悪化等を引き起こすという問題がある。また、火災時に人体及び環境に有害なハロゲン化水素等の有毒ガスを発生するという問題も指摘されている。
【0004】
一方、前記無機化合物として、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどが知られている。これの化合物はハロゲン原子を含まないものの、難燃効果が著しく低いため、多量に添加する必要があり、そのため、樹脂本来の物性が失われるという欠点がある。
【0005】
ハロゲン非含有有機リン化合物は、ハロゲンを含まず、比較的良好な難燃効果が得られるため広く用いられており、その代表的な例として、トリフェニルホスフェート(以下「TPP」と称する場合がある)、トリクレジルホスフェートなどが知られている。なかでも、TPPは優れた難燃性を示すことから汎用されているが、揮発性が高いために、有機高分子化合物等に配合した組成物を成形加工する際に揮発して、金型を汚染し、成形品表面の外観不良を招くという問題がある。また、揮発性の低い有機リン化合物として、特公昭51−19858号公報、特公平2−18336号公報、特開平5−1079号公報に記載されている縮合リン酸エステルがある。しかし、これらの耐熱性は、TPPよりは優れているものの、その難燃性付与効果と共に、未だ充分満足できるものではない。
【0006】
ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体は、プラスチックの紫外線吸収剤として知られている。しかしながら、該ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体を始め従来公知の紫外線吸収剤の大部分は低分子化合物であるため蒸気圧が高く、例えば、樹脂に添加し成形加工する際に蒸散し、作業環境や金型を汚染するといった問題が生じる。このような低分子紫外線吸収剤の問題点を解決するため、高分子化する方法がいくつか提案されている。例えば、特開昭38−25036号公報、特開昭60−51181号公報、特開昭61−112062号公報、特開平2−188581号公報、特開平3−200788号公報等には、付加重合性及び重縮合性のベンゾトリアゾール化合物が開示されている。しかし、何れも適用できるポリマーに限りがある。
【0007】
【特許文献1】
特公昭51−19858号公報
【特許文献2】
特公平2−18336号公報
【特許文献3】
特開平5−1079号公報
【特許文献4】
特開昭38−25036号公報
【特許文献5】
特開昭60−51181号公報
【特許文献6】
特開昭61−112062号公報
【特許文献7】
特開平2−188581号公報
【特許文献8】
特開平3−200788号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記のような従来の難燃剤や紫外線吸収剤に見られる問題点を解決し、低揮発性でしかも高い難燃性と紫外線吸収性とを有する新規な化合物と、その簡便な製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、ヒドロキシル基を有する特定構造のベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体と、特定のリン原子含有化合物とを反応させると、新規な構造を有するベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【化5】
(式中、R1、R3は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基を示し、R2、R4は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基を示す。但し、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である。nは0又は1の整数を示す。式中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中記載の置換基以外の置換基を有していてもよい)
で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類を提供する。
【0011】
好ましいベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類には、前記式(1)において、R1、R3が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基であり、R2、R4が、同一又は異なって、水素原子、C1−4アルキル基、ヒドロキシC1−4アルキル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基であり[但し、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基である]、nが0又は1の整数である化合物が含まれる。
【0012】
また、前記ベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニルジフェニルホスフェート、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、又は3,3′−メチレンビス[1−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]などが含まれる。
【0013】
本発明は、また、下記式(2)
【化6】
(式中、R5、R7は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基を示し、R6、R8は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基を示す。但し、R5、R6、R7、R8のうち少なくとも1つは、ヒドロキシル基又はヒドロキシC1−8アルキル基である。nは0又は1の整数を示す。式中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中記載の置換基以外の置換基を有していてもよい)
で表されるヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体と、下記式(3)
【化7】
(式中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいC6−12アリール基を示し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す)
で表されるリン原子含有化合物とを反応させて、前記式(1)で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類を得るベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
式(1)で表されるトリアゾリル基含有リン酸エステル類において、R1、R3は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基を示す。R1、R3としては、特に、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基が好ましい。R2、R4は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基を示す。R2、R4としては、特に、水素原子、C1−6アルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−6アルキル基が好ましい。R1、R2、R3、R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である。なお、ホスホロキシ基とは「O=P(O−)3」基を示し、例えば、ジフェニルホスホロキシ基は「O=P(OPh)2(O−)」基(Ph=フェニル基)を意味する。
【0015】
C1−8アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、C1−6アルキル基、特にメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル基等のC1−4アルキル基が好ましい。
【0016】
C6−12アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられる。C6−12アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル基などのC1−8アルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、t−ペンチルオキシ、イソオクチルオキシ基などのC1−8アルコキシ基;ヒドロキシル基;カルボキシル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基;シアノ基;ニトロ基;置換又は無置換アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。これらの置換基のなかでも、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、ヒドロキシル基、C1−4アルコキシ基が好ましい。
【0017】
ビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基における「C6−12アリール」基としては、上記C6−12アリール基と同様のものが挙げられる。また、ビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基が有していてもよい置換基も上記C6−12アリール基が有していてもよい置換基と同様である。
【0018】
ヒドロキシC1−8アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソプロピル、ヒドロキシイソブチル、ヒドロキシt−ブチル、ヒドロキシt−ペンチル、ヒドロキシイソオクチル、ヒドロキシt−オクチル基などが挙げられる。これらのなかでも、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシイソプロピル、ヒドロキシt−ブチル基などのヒドロキシC1−4アルキル基が好ましい。
【0019】
ビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基における「C6−12アリール」基、「C1−8アルキル」基としては、それぞれ上記C6−12アリール基、C1−8アルキル基と同様のものが挙げられる。また、ビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基が有していてもよい置換基も上記C6−12アリール基が有していてもよい置換基と同様である。
【0020】
式(1)中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中に明示されている置換基以外の置換基を1又は2以上有していてもよい。そのような置換基として、例えば、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などが挙げられるが、これらに限定されない。C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基としては、前記R1、R3におけるC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基と同様のものが挙げられる。ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。好ましいハロゲン原子は塩素原子などである。式(1)中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環が有していてもよい置換基は、好ましくは、C1−6アルキル基(特にC1−4アルキル基)、ヒドロキシル基、ハロゲン原子である。
【0021】
式(1)で表される化合物のなかでも、nが0又は1であり、R1、R3が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基であり、且つ、R2、R4が、同一又は異なって、水素原子、C1−4アルキル基(特にメチル基)、ヒドロキシC1−4アルキル基(特にヒドロキシエチル基)、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基[特に、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシエチル基]である化合物が特に好ましい。
【0022】
式(1)で表される化合物の代表的な例として、例えば、以下の化合物が挙げられる。[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−6−メチルベンゼン]、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−メチルベンゼン]、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−エチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−エチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−エチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−エチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,4−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,5−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,6−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,5−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェート、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5,6−ジメチルフェニル]ジフェニルホスフェートなどの、式(1)においてn=0、R1が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2が水素原子、C1−8アルキル基、又は置換基を有していてもよいC6−12アリール基である化合物。
【0023】
1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−ジフェニルホスホロキシメチルベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(3−ジフェニルホスホロキシプロピル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(4−ジフェニルホスホロキシブチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2,5−ビス(ジフェニルホスホロキシ)ベンゼンなどの、式(1)においてn=0、R1が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0024】
1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−ジフェニルホスホロキシメチルベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(3−ジフェニルホスホロキシプロピル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(4−ジフェニルホスホロキシブチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−メチル−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−フェニル−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼンなどの、式(1)においてn=0、R1が水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、又はヒドロキシル基、R2が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0025】
1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−ヒドロキシメチル−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(4−ヒドロキシブチル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼンなどの、式(1)においてn=0、R1が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2がヒドロキシル基、又はヒドロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0026】
3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−ジフェニルホスホロキシメチルベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(3−ジフェニルホスホロキシプロピル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(4−ジフェニルホスホロキシブチル)ベンゼン]などの、式(1)においてn=1、R1及びR3が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2及びR4が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0027】
3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−ジフェニルホスホロキシメチルベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(3−ジフェニルホスホロキシプロピル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(4−ジフェニルホスホロキシブチル)ベンゼン]などの、式(1)においてn=1、R1及びR3が、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、又はヒドロキシル基、R2及びR4が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0028】
3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−ヒドロキシメチル−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(4−ヒドロキシブチル)−2−ジフェニルホスホロキシベンゼン]などの、式(1)においてn=1、R1及びR3が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、R2及びR4が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又はヒドロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0029】
これらの化合物のなかでも、[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−メチルベンゼン]などの、式(1)においてn=0、R1が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基[好ましくは、置換基を有していてもよいジフェニルホスホロキシ基]、R2が水素原子又はC1−8アルキル基(好ましくはC1−4アルキル基、さらに好ましくはメチル基)である化合物;1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]などの、式(1)においてn=0又は1、R1(nが1の場合はR1及びR3)がヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基[好ましくは、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいジフェニルホスホロキシ基]、R2(nが1の場合はR2及びR4)が置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基[好ましくは置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基、さらに好ましくは置換基を有していてもよい2−ジフェニルホスホロキシエチル基]である化合物などが好ましい。
【0030】
式(1)で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類において、構造異性体や立体異性体が存在しうる場合、該ベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類には、それらのうちの単一の化合物のほか、2以上の異性体の混合物も含まれる。
【0031】
式(1)で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類は、前記式(2)で表されるヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体と、前記式(3)で表されるリン原子含有化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0032】
式(2)において、R5、R7は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基を示し、R6、R8は、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、ヒドロキシル基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基を示す。但し、R5、R6、R7、R8のうち少なくとも1つは、ヒドロキシル基又はヒドロキシC1−8アルキル基である。nは0又は1の整数を示す。
【0033】
上記C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、ヒドロキシC1−8アルキル基、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−8アルキル基は前記式(1)におけるそれぞれの基と同様である。式(2)中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環は式中記載の置換基以外の置換基を有していてもよい。このような置換基は、前記式(1)中のベンゼン環、ベンゾトリアゾール環が有していてもよい置換基と同様である。
【0034】
式(2)で表されるヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体の代表的な例として、例えば、以下の化合物が挙げられる。2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−エチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−エチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−エチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−エチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,4−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,5−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3,6−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,5−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5,6−ジメチルフェノールなどの、式(2)においてn=0、R5がヒドロキシル基、R6が水素原子、C1−8アルキル基、又は置換基を有していてもよいC6−12アリール基である化合物。
【0035】
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシメチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ヒドロキノン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(2−ヒドロキシエチル)−2−フェニルベンゼンなどの、式(2)においてn=0、R5が水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、又はヒドロキシル基、R6がヒドロキシル基又はヒドロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0036】
6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシメチルフェノール]、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール]、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール]などの、式(2)においてn=1、R5及びR7が、同一又は異なって、水素原子、C1−8アルキル基、置換基を有していてもよいC6−12アリール基、又はヒドロキシル基、R6及びR8が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又はヒドロキシC1−8アルキル基である化合物。
【0037】
式(2)で表される化合物は公知の方法若しくは公知の方法の組み合わせにより、又はそれらに慣用の手法を加えることにより得ることができる。例えば、特開平9−316060号公報等に記載の方法又はそれに準じた方法により、式(2)で表される化合物を製造できる。
【0038】
式(3)中、Ar1、Ar2は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいC6−12アリール基を示し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す。C6−12アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられる。C6−12アリール基が有していてもよい置換基としては、前記式(1)におけるC6−12アリール基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。これらのなかでも塩素原子が好ましい。Xにおけるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基などが挙げられる。アルコキシ基が有していてもよい置換基には、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素原子など)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ基等のC1−4アルコキシ基など)、フェニル基などが挙げられる。Xにおけるアリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフチルオキシ基などが挙げられる。アリールオキシ基が有していてもよい置換基としては、前記式(1)におけるC6−12アリール基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0039】
式(3)で表されるリン原子含有化合物の代表的な例として、例えば、ジフェニルリン酸クロリド、ジトルイルリン酸クロリド[=ビス(メチルフェニル)リン酸クロリド]、ジキシリルリン酸クロリド[=ビス(ジメチルフェニル)リン酸クロリド]、ジクレジルリン酸クロリド[=ビス(6−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)リン酸クロリドなど]などの、式(3)においてXがハロゲン原子である化合物;ジフェニルリン酸、ジトルイルリン酸[=ビス(メチルフェニル)リン酸]、ジキシリルリン酸[=ビス(ジメチルフェニル)リン酸]、ジクレジルリン酸[=ビス(6−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)リン酸など]などの、式(3)においてXがヒドロキシル基である化合物;トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェートなどの、式(3)においてXが置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリール基である化合物が挙げられる。これらのなかでも、ジフェニルリン酸クロリド、ジフェニルリン酸、トリフェニルホスフェートなどが好ましい。
【0040】
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との反応は有機溶媒の存在下又は非存在下で行われる。有機溶媒としては、反応を阻害しないようなものであれば特に限定されず、例えば、含窒素有機化合物、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、含酸素有機化合物、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。含窒素有機化合物には、例えば、ピリジン、ピコリンなどの含窒素複素環化合物、アセトニトリルなどのニトリル等の含窒素鎖状化合物などが含まれる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが挙げられる。脂肪族炭化水素には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが含まれる。脂環式炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどが挙げられる。含酸素有機化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテルなどが挙げられる。ハロゲン化炭化水素には、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどが含まれる。これらのなかでも、ピリジン、アセトニトリル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどが好ましく、特にピリジン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどが好適である。
【0041】
式(3)においてXがハロゲン原子である化合物を用いる場合には、式(3)で表される化合物と式(2)で表される化合物との間で脱ハロゲン化水素反応が進行して式(1)で表される化合物が生成する。この場合、反応は、脱ハロゲン化水素剤の存在下で行ってもよく、脱ハロゲン化水素剤の非存在下で行ってもよい。脱ハロゲン化水素剤としては、例えば、アミン類、ピリジン類、ピロリジン類、アミド類、無機塩基などが例示される。アミン類としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンの何れであってもよく、例えば、t−ブチルアミン、t−ペンチルアミン、t−ヘキシルアミン、t−オクチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−t−ペンチルアミン、ジ−t−ヘキシルアミン、ジ−t−オクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジエチルアニリンなどが挙げられる。これらのなかでも、トリエチルアミンなどの第3級アミンが好ましい。ピリジン類としては、例えば、ピリジン、ピコリンなどが挙げられるが、好ましくはピリジンである。アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられるが、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。好ましい無機塩基には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物などが含まれる。
【0042】
脱ハロゲン化水素反応を行う場合、反応方式は回分式、半回分式、連続式等の何れであってもよい。例えば、式(2)で表される化合物を反応溶媒に溶解させ、これに、式(3)で表される化合物を添加して反応させ、対応する式(1)で表される化合物を生成させる。脱ハロゲン化水素剤を用いる場合、該ハロゲン化水素剤は反応開始時より系内に存在させてもよく、反応開始から反応終了までの間の適宜の時期に逐次的に又は一括して系内に添加してもよい。式(3)で表される化合物の量は、式(2)で表される化合物の有するヒドロキシル基のうちリン酸エステル化すべきヒドロキシル基1モルにつき、0.1〜100モル、好ましくは0.2〜50モル、さらに好ましくは0.5〜20モル、特に好ましくは1〜10モル程度である。脱ハロゲン化水素剤の量は、式(3)で表される化合物1モルに対して、通常0.5〜50モル、好ましくは0.7〜15モル程度である。脱ハロゲン化水素剤が液体の場合は、大過剰量用いて反応溶媒として使用することもできる。反応温度は、通常−50℃〜250℃、好ましくは−10℃〜200℃、さらに好ましくは0℃〜100℃程度である。なお、脱ハロゲン化水素剤を用いない場合には、反応で生成するハロゲン化水素を捕捉する装置を反応系に設けるのが好ましい。この時の反応温度は、例えば−10℃〜250℃、好ましくは0℃〜150℃程度である。式(2)で表される化合物が複数のヒドロキシル基を有する場合、式(3)で表される化合物の使用量、脱ハロゲン化剤の使用量、反応温度、反応時間などを適宜調整することにより、モノリン酸エステル体、ジリン酸エステル等をそれぞれ選択的に得ることができる。
【0043】
式(3)においてXがヒドロキシル基である化合物を用いる場合には、式(3)で表される化合物と式(2)で表される化合物との間で脱水反応が進行して式(1)で表される化合物が生成する。また、式(3)においてXが置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリール基である化合物を用いる場合には、式(3)で表される化合物と式(2)で表される化合物との間でエステル交換反応が進行して式(1)で表される化合物が生成する。これらの場合、反応は必要に応じて酸触媒又は塩基触媒の存在下で行われる。酸触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、四塩化チタン、五塩化アンチモン、塩化亜鉛、塩化スズ等のルイス酸触媒;硫酸、塩酸等の鉱酸などが挙げられる。塩基触媒としては、例えば、前記脱ハロゲン化水素剤として例示した化合物を用いることができる。
【0044】
脱水反応又はエステル交換反応を行う場合、反応方式は回分式、半回分式、連続式等の何れであってもよい。例えば、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応溶媒中で混合攪拌して反応させ、対応する式(1)で表される化合物を生成させる。式(3)で表される化合物の量は、式(2)で表される化合物の有するヒドロキシル基のうちリン酸エステル化すべきヒドロキシル基1モルにつき、0.1〜20モル、好ましくは0.2〜10モル、さらに好ましくは0.5〜5モル、特に好ましくは1.0〜2.5モル程度である。酸触媒又は塩基触媒の量は、式(3)で表される化合物1モルに対して、通常0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.5モル程度である。反応温度は、通常−10℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃程度である。式(2)で表される化合物が複数のヒドロキシル基を有する場合、式(3)で表される化合物の使用量、触媒の種類や使用量、反応温度、反応時間などを適宜調整することにより、モノリン酸エステル体、ジリン酸エステル等をそれぞれ選択的に得ることができる。
【0045】
上記何れの反応においても反応終了後、抽出、晶析、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の適宜の分離精製手段により、目的化合物を取得できる。
【0046】
こうして得られる式(1)で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類は、ホットメルト接着剤、感熱性粘着剤、熱転写受像材料、カラー写真感光剤、溶融型インクジェット用インク、振動吸収材料、鉛筆芯、塩化ビニル樹脂等の組成物、有機化合物(特に有機高分子化合物)、潤滑油、熱媒などに添加される紫外線吸収剤、難燃化剤、可塑剤、安定化剤等として利用できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、新規なベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類とその簡便な製造法が提供される。この化合物は低揮発性であり、高い難燃性及び紫外線吸収性を有すると共に、可塑剤や安定化剤としての作用効果も奏する。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0049】
実施例1
下記式(4)で表される1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン(化合物1)を以下のようにして製造した。
【化8】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した30mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール0.5gをピリジン5mlに溶解し40℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド1.6gを滴下した。その後、40℃で40時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1)に付して精製し、目的化合物を得た(無色オイル)。収量は1.2g、収率は87%であった。
分解温度[Td(−2%)]:299℃
1H−NMR(CDCl3) δ:7.86−7.85(q, 2H), 7.71(d, 1H), 7.55−7.52(q, 1H), 7.44−7.41(m, 2H), 7.29−7.25(m, 5H), 7.21−7.06(m, 16H), 4.50−4.45(q, 2H), 3.09−3.05(t, 2H)
【0050】
実施例2
下記式(5)で表される1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン(化合物2)を以下のようにして製造した。
【化9】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した30mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール1.0gをピリジン5mlに溶解し50℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド1.1gを滴下した。その後、50℃で3時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。濃縮残渣を酢酸エチルから再結晶し、目的化合物を得た(白色結晶)。収量は1.7g、収率は90%であった。
融点:117℃
分解温度[Td(−2%)]:283℃
1H−NMR(CDCl3) δ:11.24(s, 1H), 8.24(s, 1H), 8.24(d, 1H), 7.95−7.92(m, 2H), 7.51−7.49(m, 2H), 7.28−7.25(m, 4H), 7.17−7.09(m, 8H), 4.52−4.47(q, 2H), 3.07−3.04(t, 2H)
IR(cm−1):1589, 1588, 1516, 1489, 1293, 1269, 1257, 1233, 1200, 1167, 1036, 965, 777, 749, 689
【0051】
実施例3
下記式(6)で表される3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン](化合物3)を以下のようにして製造した。
【化10】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した50mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]2.0gをピリジン20mlに溶解し40℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド4.7gを滴下した。その後、40℃で40時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1〜2/1)に付して精製し、目的化合物を得た(無色オイル)。収量は4.7g、収率は85%であった。
分解温度[Td(−2%)]:299℃
1H−NMR(CDCl3) δ:7.81−7.77(m, 4H), 7.64−7.63(d, 2H), 7.38−7.34(m, 4H), 7.26−7.21(m, 8H), 7.17−7.01(m, 26H), 6.89−6.87(m, 8H), 4.57(s, 2H), 4.57−4.35(q, 4H), 2.94−2.90(t, 4H)
【0052】
実施例4
下記式(7)で表される3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン](化合物4)を以下のようにして製造した。
【化11】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した50mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、6,6′−メチレンビス[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]2.0gをピリジン20mlに溶解し50℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド3.1gを20分かけて滴下した。その後、50℃で1時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。濃縮残渣を酢酸エチルから再結晶し、目的化合物を得た(白色結晶)。収量は3.6g、収率は96%であった。
融点:154℃
分解温度[Td(−2%)]:291℃
1H−NMR(CDCl3) δ:11.62(s, 2H), 8.14−8.13(d, 2H), 7.92−7.89(m, 4H), 7.49−7.46(m, 4H), 7.25−7.01(m, 22H), 4.49−4.44(q, 4H), 4.21(s, 2H), 3.02−2.99(t, 4H)
IR(cm−1):1590, 1509, 1489, 1460, 1275, 1260, 1221, 1192, 1165, 1073, 1026, 1009, 955, 776, 750, 689
【0053】
実施例5
下記式(8)で表される[2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニル]ジフェニルホスフェート[=1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−メチルベンゼン](化合物5)を以下のようにして製造した。
【化12】
冷却管、滴下ロート、温度計を装着した100mlの3口フラスコ中、窒素雰囲気下で、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール[=2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール]5.0gをピリジン37.6gに溶解し40℃に加温した。ここに、ジフェニルリン酸クロリド6.6gを滴下した。その後、90℃で12時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを用いて目的物を抽出し、有機層を水、2N塩酸、水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、目的化合物を得た(淡黄色オイル)。収量は10.0g、収率は98%であった。
分解温度[Td(−2%)]:304℃
1H−NMR(CDCl3) δ:7.86−7.84(m, 2H), 7.07(d, 1H), 7.55−7.52(q, 1H), 7.44−7.41(m, 2H), 7.29−7.25(m, 6H), 7.21−7.06(m, 15H), 4.50−4.45(q, 2H), 3.09−3.05(t, 2H)
【0054】
評価試験
(1)揮発性(熱重量減少温度の測定)
実施例で得られた化合物1〜5、及び公知の難燃剤であるトリフェニルホスフェート(TPP)[大八化学(株)製]につき、2%重量減少温度(Td2%)、5%重量減少温度(Td5%)、及び10%重量減少温度(Td10%)を、示差熱天秤[セイコー電子(株)製、商品名「TG/DTA6300」]を用いて、空気流速300ml/min、昇温速度20℃/minの条件で測定した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1より明らかなように、本発明の化合物1〜5は何れも各熱重量減少温度が高く、低揮発性である。
【0057】
(2)難燃性
ポリエステル樹脂[商品名「ジュネラックス400FP」(ポリブチレンテレフタレート;PBT)、ポリプラスチックス(株)製]と、難燃剤としての化合物1〜5又はトリフェニルホスフェート(TPP)[大八化学(株)製]と、滴下防止剤[商品名「テフロン(登録商標)6J」、三井デュポンフロロケミカル(株)製]とを、表2に示す割合(重量部)にてタンブラーブレンダーで混合した後、押出機(シリンダー温度250℃)にて溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。次に、このペレット状樹脂組成物を射出成形機(シリンダー温度250℃、金型温度60℃)に供し、50×45×3mmの大きさの試験片A〜Gを作製した。なお、試験片Fには難燃剤は添加しなかった。
各試験片を燃焼させ、燃焼時の試験片からの発熱速度(kW/m2)をコーンカロリーメーター[商品名「コーンカロリーメーターIII」、東洋精機(株)製]を用いて測定した。評価時の輻射熱流速は50kW/m2とした。各試験片の最大発熱速度(kW/m2)を表2に示す。この値が低いほど難燃性が良好である。
【0058】
【表2】
【0059】
表2より明らかなように、本発明の化合物1〜5を含む樹脂組成物は高い難燃性を発揮する。
Claims (4)
- 下記式(1)
で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類。 - 式(1)において、R1、R3が、同一又は異なって、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基であり、R2、R4が、同一又は異なって、水素原子、C1−4アルキル基、ヒドロキシC1−4アルキル基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基であり[但し、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシ基、又は置換基を有していてもよいビス(C6−12アリール)ホスホロキシC1−4アルキル基である]、nが0又は1の整数である請求項1記載のベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類。
- 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニルジフェニルホスフェート、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン、3,3′−メチレンビス[1−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ジフェニルホスホロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]、又は3,3′−メチレンビス[1−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−(2−ジフェニルホスホロキシエチル)ベンゼン]である請求項1又は2記載のベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類。
- 下記式(2)
で表されるヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾリルベンゼン誘導体と、下記式(3)
で表されるリン原子含有化合物とを反応させて、下記式(1)
で表されるベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類を得ることを特徴とするベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類の製造方法。
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JP2002259359A JP2004099448A (ja) | 2002-09-04 | 2002-09-04 | 新規なベンゾトリアゾリル基含有リン酸エステル類及びその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
TWI465440B (zh) * | 2008-12-30 | 2014-12-21 | Novartis Ag | 三功能性uv吸收化合物及其用途 |
CN110791790A (zh) * | 2019-10-13 | 2020-02-14 | 湖州师范学院 | 一种挂具胶组合物 |
-
2002
- 2002-09-04 JP JP2002259359A patent/JP2004099448A/ja active Pending
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