JP2004099410A - 化合物半導体単結晶の成長方法 - Google Patents
化合物半導体単結晶の成長方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004099410A JP2004099410A JP2002266982A JP2002266982A JP2004099410A JP 2004099410 A JP2004099410 A JP 2004099410A JP 2002266982 A JP2002266982 A JP 2002266982A JP 2002266982 A JP2002266982 A JP 2002266982A JP 2004099410 A JP2004099410 A JP 2004099410A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- compound semiconductor
- single crystal
- growth
- semiconductor single
- growth vessel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Abstract
【課題】成長容器の直胴部上の開口部から液体封止剤を飛散させないようにして、化合物半導体単結晶成長後に成長容器を破損することなく取り出すことを可能とする。
【解決手段】種結晶2、原料3、および液体封止剤4を入れた有底筒体状の成長容器1を石英アンプル5内に入れて垂直に設置し、該成長容器を取り囲むように設けられた電気炉発熱体6、7により上記原料を所定の温度分布で加熱して融解させ、垂直方向に化合物半導体単結晶を成長させる方法において、化合物半導体融液上の液体封止剤4の上端から成長容器1の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にして化合物半導体単結晶を成長する。
【選択図】 図1
【解決手段】種結晶2、原料3、および液体封止剤4を入れた有底筒体状の成長容器1を石英アンプル5内に入れて垂直に設置し、該成長容器を取り囲むように設けられた電気炉発熱体6、7により上記原料を所定の温度分布で加熱して融解させ、垂直方向に化合物半導体単結晶を成長させる方法において、化合物半導体融液上の液体封止剤4の上端から成長容器1の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にして化合物半導体単結晶を成長する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物半導体単結晶の成長方法に係り、特に、成長用容器を用いて化合物半導体の原料融液を冷却して垂直方向に単結晶を成長させる垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法を用いて化合物半導体単結晶を成長させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、化合物半導体の単結晶(例えばGaAs単結晶)を成長させる方法として、従来の液体封止引上法(LEC法)に代わり、VB法、VGF法が注目されている。このVB法、VGF法は、上部が高温で下部が低温の縦型電気炉内に、パイロリティック窒化硼素(PBN)製の成長容器の下部に種結晶を入れ、その上にGaAsの多結晶および液体封止剤を配置し、種結晶より上方に向けて単結晶を成長させる方法であり、直径76mmを超える大口径の結晶成長を容易に行えることを特長としている。
【0003】
ここで、原料のGaAs融液と成長容器壁との濡れによる多結晶化を防ぐ為、およびV族元素(As)の解離・蒸発を抑制するために、液体封止剤として三酸化硼素(B2O3)を使用している。一般的には、成長中に原料融液上を覆っているB2O3上に融液からのAsの解離圧以上の圧力をかけて、融液が分解するのを防いでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の化合物半導体単結晶の成長方法の場合、液体封止剤B2O3の上端から成長容器の上端までの距離については検討がなされておらず、このため次のような問題があった。
【0005】
すなわち、GaAs融液からのAsの解離圧は融点にて約1×105Paであるので、特に、原料をチャージした成長容器を石英アンプル内に入れ、真空封止した後、原料を融解し、成長する方式においては、石英アンプル内の圧力が大気圧(約1.013×105Pa)以上になる。このとき、融液からAsが揮発するだけでなく、融液上のB2O3も成長容器開口部から飛散し、石英アンプルに付着することがある。成長容器と石英アンプル間に飛散したB2O3は冷却過程で石英アンプルと成長容器間を固着し、成長容器を取り出す時、成長容器を破損する恐れがある。たとえ飛散したB2O3が開口部近くの石英アンプルに付着しなくとも、成長容器外側を流れ落ちていき、成長容器の重さを支えている箇所で固着する場合がある。
【0006】
本発明は、以上の事情を考慮して創案されたもので、その目的とするところは、化合物半導体単結晶の成長の際、成長容器の直胴部上の開口部から液体封止剤を飛散させないようにすることにより、化合物半導体単結晶成長後の成長容器取り出し時に、石英アンプルと成長容器間の固着や成長容器外表面からの液体封止剤の流れ落ちがなく、成長容器を破損することのない成長方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明は、次のように構成したものである。
【0008】
請求項1の発明は、種結晶、原料、および液体封止剤を入れた有底筒体状の成長容器を石英アンプル内に入れて垂直に設置し、該成長容器を取り囲むように設けられた電気炉発熱体により上記原料を所定の温度分布で加熱して融解させ、垂直方向に化合物半導体単結晶を成長させる方法において、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から成長容器の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の化合物半導体単結晶の成長方法にて、成長容器開口部に延長筒を設け、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から延長筒の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2記載の化合物半導体単結晶の成長方法において、上記延長筒として、成長容器に被せる上蓋と一体構造のものであって上蓋部にガス抜き穴を設けた延長筒を用い、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から延長筒の上蓋内面までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に本発明の化合物半導体単結晶成長装置の概略図を示す。図1に示す化合物半導体単結晶成長装置は、種結晶2とGaAs原料3、B2O3から成る液体封止剤4を収容する筒状のPBN製の成長容器1と、成長容器1を収容する石英アンプル5と、この成長容器1内のGaAs原料3を所定の温度勾配で加熱して溶解および成長させるための縦型電気炉(電気炉発熱体:ヒータ6)および成長後の結晶を冷却させるための縦型電気炉(電気炉発熱体:ヒータ7)と、そして成長容器1を収容した石英アンプル5を下降させる駆動架台9とで構成されている。
【0013】
PBN製の成長容器1は、その下部に細径部たる種結晶載置部1aと、該種結晶載置部から上方に向けて直径が大きくなる増径部1bとを有すると共に、該増径部から上方に続く筒状の直胴部1cを有している。
【0014】
この成長容器1は、結晶成長時には、その成長容器1の雰囲気を調整するため、石英ガラスから成る容器(石英アンプル5)に入れられて、同一径の上下二段のヒータ6、7から成る加熱手段としての縦型電気炉(加熱装置)内に配置され、駆動架台9に設置される。この駆動架台9の材質としては、高熱伝導率のセラミックス(SiC)が使用される。
【0015】
そして、成長容器1下部の種結晶載置部1a内に種結晶2を設置し、その上にGaAs原料3を置き、上部が高く下部が低い温度分布を設けた縦型電気炉(ヒータ6、7)の中で加熱して溶解させ、加熱溶融した原料融液を融液下部から徐々に上部に向かって冷却し固化させることにより、垂直方向にGaAs結晶を成長させる。
【0016】
ここで、成長容器1内の液体封止剤4上端から成長容器1の上端までの距離Lは50〜200mmの範囲に設定されている。このようにすると、化合物半導体単結晶を成長する際に、液体封止剤4のB2O3が成長容器1の外側に飛散せず、成長容器1と石英アンプル5間が固着せず、石英アンプル5から成長容器1を破損することなく取り出す事ができるためである。
【0017】
本発明の他の形態として、成長容器1開口部に成長容器1の長さ延長用の筒を設け、化合物半導体融液上の液体封止剤4のB2O3上端から延長用の筒の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長してもよい。延長用の筒は成長容器1の内面側にはめ合わせても、あるいは外面側にはめわせてもよい。また、延長用の筒は上蓋一体構造であればより望ましい。
【0018】
図2に本発明の他の実施形態を示す。これは成長容器1の長さ延長用の筒として、成長容器1の内面側にはめ合わせる下端縁を具備するPBN製の延長用筒8を用意し、その下端を成長容器1開口部の内側にはめ込んで、液体封止剤4の上端から延長筒8の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長するようにしたものである。このような延長筒8を成長容器開口部に設けると、既存の成長容器1に変更を加えることなく、これを用いて所望する距離Lを50〜200mmの範囲に確保することができるようになる。
【0019】
図3に本発明の更に別の実施形態を示す。これはこれは成長容器1の長さ延長用の筒として、成長容器1の外面側にはめ合わせる下端縁を具備するPBN製の延長用筒10を用意し、その下端を成長容器1開口部の外側にはめ込んだ形態とするものである。この延長用筒10は、成長容器1に被せる上蓋と一体の構造のものであって、その上蓋部10aにはガス抜き穴11が設けられている。このガス抜き穴付き、且つ上蓋一体構造の延長用筒10を成長容器1に開口部に装着し、液体封止剤4の上端から延長筒の上蓋部10aの内面までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長する。このような延長筒10を成長容器開口部に設けると、既存の成長容器に変更を加えることなく、これを用いて所望する距離Lを50〜200mmの範囲に確保することができるようになる。
【0020】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、下記の実施例及び比較例の成長を行った。
【0021】
(実施例1)
GaAs単結晶成長を例にとり、図1を参照しながら説明する。図1に示したように、石英アンプル5内に、内径85mm、厚さ1mmのPBN製の成長容器1を入れ、成長容器1内に種結晶2とGaAs原料3を6000グラム、液体封止剤4のB2O3を100g入れ、GaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3上端から成長容器1の開口部上端までの距離Lが50〜200mmの範囲になるようにし、真空封止する。この石英アンプル5を成長装置の駆動架台9の上にのせる。縦型電気炉のヒータ6、7で昇温する。
【0022】
種結晶2を所定量融解させた後、駆動架台9を下降させ、結晶成長を行った。成長中は石英アンプル5内がGaAs原料3の解離圧にできるだけ等しくなるように成長炉内の温度を制御した。
【0023】
この方法により成長した後、成長容器1を石英アンプル5から取り出したところ、成長容器1の外へ液体封止剤4のB2O3は飛散しておらず、成長容器1を破損させることなく取り出せた。繰り返し成長したところ、10回連続して成長容器の外へ液体封止剤4のB2O3は飛散しておらず、成長容器1を破損させることなく取り出せた。
【0024】
(実施例2)
図2に示すように、成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3の上端から成長容器1の開口部までの距離Lが50〜200mmになるような長さの延長筒8を装着したこと以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。その結果、10回連続して成長容器1の外へ液体封止剤4のB2O3は飛散しておらず、成長容器1を破損させることなく取り出せた。
【0025】
(実施例3)
図3に示すように、成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3の上端から成長容器1の開口部までの距離が50〜200mmになる長さで、直径1〜2mmのガス抜き穴11を設けた上蓋一体構造の延長筒10を装着したこと以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。その結果、10回連続して成長容器1の外へ液体封止剤4のB2O3は飛散しておらず、成長容器1を破損させることなく取り出せた。
【0026】
(比較例1)
成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3上端から延長筒8上端までの距離Lが200mm以上の延長筒8を成長容器1開口部に装着した以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。その結果、10回中9回は、成長容器1開口部から外へ液体封止剤4のB2O3が飛散することなく、成長容器1を破損させることなく取り出せた。
【0027】
しかしながら、液体封止剤4のB2O3上端から延長筒8上端までの距離Lが200mm以上の延長筒8の装着により、石英アンプル5の長さも延長したため、10回中1回は、成長装置の駆動架台9に石英アンプル5を載せる際、成長装置部品に石英アンプル5がぶつかり、亀裂が入り使用できなくなった。
【0028】
(比較例2)
成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で液体封止剤4のB2O3上端から延長筒8上端までの距離Lが50mm未満の延長筒8を成長容器1開口部に装着した以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。
【0029】
その結果、10回中3回、成長容器1開口部から外へ液体封止剤4のB2O3が飛散し、成長容器1と石英アンプル5間が固着していた。石英アンプル5から成長容器1の取り出しを慎重に行ったが、3回中2回、成長容器1の開口部に亀裂が入り、成長容器1として使用不可能になった。
【0030】
(比較例3)
成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で液体封止剤4のB2O3上端から成長容器1開口部までの寸法が50mm未満の成長容器1を使用し、上記延長筒8を成長容器1開口部に装着しなかったこと以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。
【0031】
その結果、10回中5回、成長容器1開口部から外へ液体封止剤4のB2O3が飛散し、成長容器1と石英アンプル5が固着していた。石英アンプル5から成長容器1の取り出しをかなり慎重に行ったが、5回中2回、成長容器1の開口部に亀裂が入り、成長容器1として使用不可能になった。
【0032】
以上の実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3の結果から、成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3上端から成長容器の開口部上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にすることにより、液体封止剤4のB2O3は成長容器1の外側へは飛散せず、成長後に石英アンプル5から成長容器1を破損せず取り出すことができることが確認された。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、種結晶、原料、および液体封止剤を入れた有底筒体状の成長容器を石英アンプル内に入れて垂直に設置し、該成長容器を取り囲むように設けられた電気炉発熱体により上記原料を所定の温度分布で加熱して融解させ、垂直方向に化合物半導体単結晶を成長させる方法において、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から成長容器の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にして化合物半導体単結晶を成長するようにしたので、垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法を用いて化合物半導体単結晶を成長させ、化合物半導体単結晶成長後に石英アンプルから成長容器を取り出す際、液体封止剤が成長容器の外へ飛散することなく、石英アンブルから成長容器を破損せずに取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る化合物半導体単結晶成長装置の断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態に係る化合物半導体単結晶成長装置の断面図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係る化合物半導体単結晶成長装置の断面図である。
【符号の説明】
1 成長容器
2 種結晶
3 GaAs原料
4 液体封止剤B2O3
5 石英アンプル
6、7 ヒータ(縦型電気炉)
8 延長筒
9 駆動架台
10 延長筒
11 ガス抜き穴
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物半導体単結晶の成長方法に係り、特に、成長用容器を用いて化合物半導体の原料融液を冷却して垂直方向に単結晶を成長させる垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法を用いて化合物半導体単結晶を成長させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、化合物半導体の単結晶(例えばGaAs単結晶)を成長させる方法として、従来の液体封止引上法(LEC法)に代わり、VB法、VGF法が注目されている。このVB法、VGF法は、上部が高温で下部が低温の縦型電気炉内に、パイロリティック窒化硼素(PBN)製の成長容器の下部に種結晶を入れ、その上にGaAsの多結晶および液体封止剤を配置し、種結晶より上方に向けて単結晶を成長させる方法であり、直径76mmを超える大口径の結晶成長を容易に行えることを特長としている。
【0003】
ここで、原料のGaAs融液と成長容器壁との濡れによる多結晶化を防ぐ為、およびV族元素(As)の解離・蒸発を抑制するために、液体封止剤として三酸化硼素(B2O3)を使用している。一般的には、成長中に原料融液上を覆っているB2O3上に融液からのAsの解離圧以上の圧力をかけて、融液が分解するのを防いでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の化合物半導体単結晶の成長方法の場合、液体封止剤B2O3の上端から成長容器の上端までの距離については検討がなされておらず、このため次のような問題があった。
【0005】
すなわち、GaAs融液からのAsの解離圧は融点にて約1×105Paであるので、特に、原料をチャージした成長容器を石英アンプル内に入れ、真空封止した後、原料を融解し、成長する方式においては、石英アンプル内の圧力が大気圧(約1.013×105Pa)以上になる。このとき、融液からAsが揮発するだけでなく、融液上のB2O3も成長容器開口部から飛散し、石英アンプルに付着することがある。成長容器と石英アンプル間に飛散したB2O3は冷却過程で石英アンプルと成長容器間を固着し、成長容器を取り出す時、成長容器を破損する恐れがある。たとえ飛散したB2O3が開口部近くの石英アンプルに付着しなくとも、成長容器外側を流れ落ちていき、成長容器の重さを支えている箇所で固着する場合がある。
【0006】
本発明は、以上の事情を考慮して創案されたもので、その目的とするところは、化合物半導体単結晶の成長の際、成長容器の直胴部上の開口部から液体封止剤を飛散させないようにすることにより、化合物半導体単結晶成長後の成長容器取り出し時に、石英アンプルと成長容器間の固着や成長容器外表面からの液体封止剤の流れ落ちがなく、成長容器を破損することのない成長方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明は、次のように構成したものである。
【0008】
請求項1の発明は、種結晶、原料、および液体封止剤を入れた有底筒体状の成長容器を石英アンプル内に入れて垂直に設置し、該成長容器を取り囲むように設けられた電気炉発熱体により上記原料を所定の温度分布で加熱して融解させ、垂直方向に化合物半導体単結晶を成長させる方法において、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から成長容器の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の化合物半導体単結晶の成長方法にて、成長容器開口部に延長筒を設け、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から延長筒の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2記載の化合物半導体単結晶の成長方法において、上記延長筒として、成長容器に被せる上蓋と一体構造のものであって上蓋部にガス抜き穴を設けた延長筒を用い、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から延長筒の上蓋内面までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に本発明の化合物半導体単結晶成長装置の概略図を示す。図1に示す化合物半導体単結晶成長装置は、種結晶2とGaAs原料3、B2O3から成る液体封止剤4を収容する筒状のPBN製の成長容器1と、成長容器1を収容する石英アンプル5と、この成長容器1内のGaAs原料3を所定の温度勾配で加熱して溶解および成長させるための縦型電気炉(電気炉発熱体:ヒータ6)および成長後の結晶を冷却させるための縦型電気炉(電気炉発熱体:ヒータ7)と、そして成長容器1を収容した石英アンプル5を下降させる駆動架台9とで構成されている。
【0013】
PBN製の成長容器1は、その下部に細径部たる種結晶載置部1aと、該種結晶載置部から上方に向けて直径が大きくなる増径部1bとを有すると共に、該増径部から上方に続く筒状の直胴部1cを有している。
【0014】
この成長容器1は、結晶成長時には、その成長容器1の雰囲気を調整するため、石英ガラスから成る容器(石英アンプル5)に入れられて、同一径の上下二段のヒータ6、7から成る加熱手段としての縦型電気炉(加熱装置)内に配置され、駆動架台9に設置される。この駆動架台9の材質としては、高熱伝導率のセラミックス(SiC)が使用される。
【0015】
そして、成長容器1下部の種結晶載置部1a内に種結晶2を設置し、その上にGaAs原料3を置き、上部が高く下部が低い温度分布を設けた縦型電気炉(ヒータ6、7)の中で加熱して溶解させ、加熱溶融した原料融液を融液下部から徐々に上部に向かって冷却し固化させることにより、垂直方向にGaAs結晶を成長させる。
【0016】
ここで、成長容器1内の液体封止剤4上端から成長容器1の上端までの距離Lは50〜200mmの範囲に設定されている。このようにすると、化合物半導体単結晶を成長する際に、液体封止剤4のB2O3が成長容器1の外側に飛散せず、成長容器1と石英アンプル5間が固着せず、石英アンプル5から成長容器1を破損することなく取り出す事ができるためである。
【0017】
本発明の他の形態として、成長容器1開口部に成長容器1の長さ延長用の筒を設け、化合物半導体融液上の液体封止剤4のB2O3上端から延長用の筒の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長してもよい。延長用の筒は成長容器1の内面側にはめ合わせても、あるいは外面側にはめわせてもよい。また、延長用の筒は上蓋一体構造であればより望ましい。
【0018】
図2に本発明の他の実施形態を示す。これは成長容器1の長さ延長用の筒として、成長容器1の内面側にはめ合わせる下端縁を具備するPBN製の延長用筒8を用意し、その下端を成長容器1開口部の内側にはめ込んで、液体封止剤4の上端から延長筒8の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長するようにしたものである。このような延長筒8を成長容器開口部に設けると、既存の成長容器1に変更を加えることなく、これを用いて所望する距離Lを50〜200mmの範囲に確保することができるようになる。
【0019】
図3に本発明の更に別の実施形態を示す。これはこれは成長容器1の長さ延長用の筒として、成長容器1の外面側にはめ合わせる下端縁を具備するPBN製の延長用筒10を用意し、その下端を成長容器1開口部の外側にはめ込んだ形態とするものである。この延長用筒10は、成長容器1に被せる上蓋と一体の構造のものであって、その上蓋部10aにはガス抜き穴11が設けられている。このガス抜き穴付き、且つ上蓋一体構造の延長用筒10を成長容器1に開口部に装着し、液体封止剤4の上端から延長筒の上蓋部10aの内面までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長する。このような延長筒10を成長容器開口部に設けると、既存の成長容器に変更を加えることなく、これを用いて所望する距離Lを50〜200mmの範囲に確保することができるようになる。
【0020】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、下記の実施例及び比較例の成長を行った。
【0021】
(実施例1)
GaAs単結晶成長を例にとり、図1を参照しながら説明する。図1に示したように、石英アンプル5内に、内径85mm、厚さ1mmのPBN製の成長容器1を入れ、成長容器1内に種結晶2とGaAs原料3を6000グラム、液体封止剤4のB2O3を100g入れ、GaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3上端から成長容器1の開口部上端までの距離Lが50〜200mmの範囲になるようにし、真空封止する。この石英アンプル5を成長装置の駆動架台9の上にのせる。縦型電気炉のヒータ6、7で昇温する。
【0022】
種結晶2を所定量融解させた後、駆動架台9を下降させ、結晶成長を行った。成長中は石英アンプル5内がGaAs原料3の解離圧にできるだけ等しくなるように成長炉内の温度を制御した。
【0023】
この方法により成長した後、成長容器1を石英アンプル5から取り出したところ、成長容器1の外へ液体封止剤4のB2O3は飛散しておらず、成長容器1を破損させることなく取り出せた。繰り返し成長したところ、10回連続して成長容器の外へ液体封止剤4のB2O3は飛散しておらず、成長容器1を破損させることなく取り出せた。
【0024】
(実施例2)
図2に示すように、成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3の上端から成長容器1の開口部までの距離Lが50〜200mmになるような長さの延長筒8を装着したこと以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。その結果、10回連続して成長容器1の外へ液体封止剤4のB2O3は飛散しておらず、成長容器1を破損させることなく取り出せた。
【0025】
(実施例3)
図3に示すように、成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3の上端から成長容器1の開口部までの距離が50〜200mmになる長さで、直径1〜2mmのガス抜き穴11を設けた上蓋一体構造の延長筒10を装着したこと以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。その結果、10回連続して成長容器1の外へ液体封止剤4のB2O3は飛散しておらず、成長容器1を破損させることなく取り出せた。
【0026】
(比較例1)
成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3上端から延長筒8上端までの距離Lが200mm以上の延長筒8を成長容器1開口部に装着した以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。その結果、10回中9回は、成長容器1開口部から外へ液体封止剤4のB2O3が飛散することなく、成長容器1を破損させることなく取り出せた。
【0027】
しかしながら、液体封止剤4のB2O3上端から延長筒8上端までの距離Lが200mm以上の延長筒8の装着により、石英アンプル5の長さも延長したため、10回中1回は、成長装置の駆動架台9に石英アンプル5を載せる際、成長装置部品に石英アンプル5がぶつかり、亀裂が入り使用できなくなった。
【0028】
(比較例2)
成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で液体封止剤4のB2O3上端から延長筒8上端までの距離Lが50mm未満の延長筒8を成長容器1開口部に装着した以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。
【0029】
その結果、10回中3回、成長容器1開口部から外へ液体封止剤4のB2O3が飛散し、成長容器1と石英アンプル5間が固着していた。石英アンプル5から成長容器1の取り出しを慎重に行ったが、3回中2回、成長容器1の開口部に亀裂が入り、成長容器1として使用不可能になった。
【0030】
(比較例3)
成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で液体封止剤4のB2O3上端から成長容器1開口部までの寸法が50mm未満の成長容器1を使用し、上記延長筒8を成長容器1開口部に装着しなかったこと以外は、前記実施例1と同じ条件で単結晶成長を10回行った。
【0031】
その結果、10回中5回、成長容器1開口部から外へ液体封止剤4のB2O3が飛散し、成長容器1と石英アンプル5が固着していた。石英アンプル5から成長容器1の取り出しをかなり慎重に行ったが、5回中2回、成長容器1の開口部に亀裂が入り、成長容器1として使用不可能になった。
【0032】
以上の実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3の結果から、成長容器1内でGaAs原料3が融解し、液体封止剤4のB2O3で覆われた状態で、液体封止剤4のB2O3上端から成長容器の開口部上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にすることにより、液体封止剤4のB2O3は成長容器1の外側へは飛散せず、成長後に石英アンプル5から成長容器1を破損せず取り出すことができることが確認された。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、種結晶、原料、および液体封止剤を入れた有底筒体状の成長容器を石英アンプル内に入れて垂直に設置し、該成長容器を取り囲むように設けられた電気炉発熱体により上記原料を所定の温度分布で加熱して融解させ、垂直方向に化合物半導体単結晶を成長させる方法において、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から成長容器の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にして化合物半導体単結晶を成長するようにしたので、垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法を用いて化合物半導体単結晶を成長させ、化合物半導体単結晶成長後に石英アンプルから成長容器を取り出す際、液体封止剤が成長容器の外へ飛散することなく、石英アンブルから成長容器を破損せずに取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る化合物半導体単結晶成長装置の断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態に係る化合物半導体単結晶成長装置の断面図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係る化合物半導体単結晶成長装置の断面図である。
【符号の説明】
1 成長容器
2 種結晶
3 GaAs原料
4 液体封止剤B2O3
5 石英アンプル
6、7 ヒータ(縦型電気炉)
8 延長筒
9 駆動架台
10 延長筒
11 ガス抜き穴
Claims (3)
- 種結晶、原料、および液体封止剤を入れた有底筒体状の成長容器を石英アンプル内に入れて垂直に設置し、該成長容器を取り囲むように設けられた電気炉発熱体により上記原料を所定の温度分布で加熱して融解させ、垂直方向に化合物半導体単結晶を成長させる方法において、
化合物半導体融液上の液体封止剤上端から成長容器の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする化合物半導体単結晶の成長方法。 - 請求項1記載の化合物半導体単結晶の成長方法において、
成長容器開口部に延長筒を設け、化合物半導体融液上の液体封止剤上端から延長筒の上端までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする化合物半導体単結晶の成長方法。 - 請求項2記載の化合物半導体単結晶の成長方法において、
上記延長筒として、成長容器に被せる上蓋と一体構造のものであって上蓋部にガス抜き穴を設けた延長筒を用い、
化合物半導体融液上の液体封止剤上端から延長筒の上蓋内面までの距離Lを50〜200mmの範囲にし、化合物半導体単結晶を成長することを特徴とする化合物半導体単結晶の成長方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002266982A JP2004099410A (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 化合物半導体単結晶の成長方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002266982A JP2004099410A (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 化合物半導体単結晶の成長方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004099410A true JP2004099410A (ja) | 2004-04-02 |
Family
ID=32265639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002266982A Withdrawn JP2004099410A (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 化合物半導体単結晶の成長方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004099410A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110629289A (zh) * | 2019-11-01 | 2019-12-31 | 中国电子科技集团公司第四十六研究所 | 一种低亮暗点的4和6英寸半绝缘砷化镓抛光片制备方法 |
-
2002
- 2002-09-12 JP JP2002266982A patent/JP2004099410A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110629289A (zh) * | 2019-11-01 | 2019-12-31 | 中国电子科技集团公司第四十六研究所 | 一种低亮暗点的4和6英寸半绝缘砷化镓抛光片制备方法 |
CN110629289B (zh) * | 2019-11-01 | 2021-02-23 | 中国电子科技集团公司第四十六研究所 | 一种低亮暗点的4和6英寸半绝缘砷化镓抛光片制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3343615B2 (ja) | バルク結晶の成長方法 | |
JPH09183686A (ja) | 単結晶引き上げ方法及び装置 | |
EP1741808A1 (en) | InP SINGLE CRYSTAL WAFER AND InP SINGLE CRYSTAL MANUFACTURING METHOD | |
KR102014927B1 (ko) | 실리콘 공급부, 이를 포함하는 실리콘 단결정 잉곳의 성장 장치 및 방법 | |
CN110306238A (zh) | 一种晶体生长装置及晶体生长方法 | |
JP2004099410A (ja) | 化合物半導体単結晶の成長方法 | |
JPH0314800B2 (ja) | ||
JP4184622B2 (ja) | 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 | |
JP3567662B2 (ja) | 単結晶成長方法及びその装置 | |
JPH07330482A (ja) | 単結晶成長方法及び単結晶成長装置 | |
JP2004099390A (ja) | 化合物半導体単結晶の製造方法及び化合物半導体単結晶 | |
JP2004345888A (ja) | 化合物半導体単結晶の製造方法 | |
JP2004300002A (ja) | 半導体単結晶成長方法 | |
JP2004026577A (ja) | 化合物半導体単結晶成長装置及び化合物半導体単結晶成長方法 | |
KR101956754B1 (ko) | GaAs 단결정 성장 장치 | |
JP2004018319A (ja) | 化合物半導体結晶成長装置 | |
JP2004083301A (ja) | 単結晶製造装置 | |
JP2542434B2 (ja) | 化合物半導体結晶の製造方法および製造装置 | |
JPH11189499A (ja) | 化合物半導体単結晶の製造方法 | |
JPH03193689A (ja) | 化合物半導体の結晶製造方法 | |
JPH0952790A (ja) | 単結晶育成装置及び単結晶育成方法 | |
JP3788077B2 (ja) | 半導体結晶の製造方法および製造装置 | |
JP2785578B2 (ja) | シリコン単結晶の引上げ装置 | |
JPS62119198A (ja) | 磁場印加単結晶回転引き上げ装置 | |
JP2004277267A (ja) | 化合物半導体単結晶の製造装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |