JP2004099206A - エレベータシステムの制御パラメータ設定装置およびエレベータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1台または複数台のかごを制御するエレベータシステムにおいて、時間帯毎の各階の乗客数に基づいて、時間帯毎のパーク階を決定する。また、同一の交通状況と判断して同一のパーク階を設定した時刻に対して同じインデックスをつけ、そのインデックスに基づいて、各時刻における他の制御パラメータを設定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、1台または複数台のかごを備えたエレベータシステムにおいて、かごを効率よく運行するための制御パラメータ設定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータシステムは、1台または複数台のかごの運行を制御することにより、乗客に対するサ−ビスを行なっている。一方、乗客の無い場合、パーク階で待機動作を行なうことにより、パーク階に対するサ−ビスを向上させることが可能である。例えば、特開平10−109837号公報では、各階の乗場呼び発生確率を予測し、その値が所定範囲内にある階が複数ある場合、少なくとも半数の乗場呼びの方向がダウン方向と予測された場合、これらの階のうち最上階を待機階とすることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この公報で提案されている方法は、ビル全体の待ち時間が最小化するように、待機階をきめ細かく設定することができないという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために、本発明の請求項1に係るエレベータシステムの制御パラメータ設定装置は、1台または複数台のかごを制御するエレベータシステムにおいて、時間帯毎の各階の乗客数に基づいて、時間帯毎のパーク階を決定することを特徴とする。
【0005】
本発明の請求項2に係る制御パラメータ設定装置は、同一の交通状況と判断して同一のパーク階を設定した時刻に対して同じインデックスをつけ、そのインデックスに基づいて、各時刻における他の制御パラメータを設定することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項3に係るエレベータ制御装置は、1台または複数台のかごを制御するエレベータシステムにおいて、所定の階または該所定の階に対する評価値から一定値以内の評価値を得られる階にパークを行なうことを特徴とする。
【0007】
【実施の形態】
1.発明の概要.
本発明の理解を容易にするために、まずその概要を簡単に説明する。本発明は、エレベータ装置について取得された過去の乗車情報に基づいて、呼び(ホ−ル呼び及びかご呼び)がない時間中に待機するパーク階を決定する制御パラメータ設定装置に関するものである。
【0008】
具体的に説明すると、ある階がパーク階として設定されている状態においてその階に呼びが発生した場合、その階に待機しているかごは遅滞なく、すなわち待ち時間ゼロで乗客の利用に供することができる。しかし、パーク階以外の階に呼び(乗客)が発生した場合、かごはパーク階から呼び階まで移動しなければならないために、乗客の待ち時間が発生する。また、最適なパーク階は交通状況によって異なる。例えば、10階床のビルにおいて、10階に全ての乗客が発生する場合には、パーク階を10階に設定することにより、待ち時間を最小化することが可能となる。一方、乗客が各階均等に発生する場合には、パーク階をビルの中央階に設定することにより、ビル全体の平均待ち時間を最小化することが可能となる。したがって、本発明の制御パラメータ設定装置は、最も乗客の発生率が高いと判断された階を「注目階」とし、注目階に対する乗客発生率をもとに任意の階にパーク階を設定した場合の待ち時間を評価関数として求め、この評価関数の値を最小化するようにパーク階を決定するものである。
【0009】
2.実施の形態1.
以下、添付図面を参照して本発明に係る制御パラメータ設定装置の実施の形態1を該制御パラメータ設定装置を組み入れたエレベータシステムと関連して説明する。まず、図1はエレベータシステムの機能構成図(制御ブロック図)である。この図において、符号1(1)〜1(N)はかご装置(エレベータかご制御装置)であり、符号Nはエレベータシステムに含まれるかご台数(「1」以上の整数)である。エレベータシステムは、今日最も多く利用されているシングルシャフト・シングルカー・エレベータシステム(1つの昇降路内に1台のかごを収容したエレベータ装置)の他、近年提案されているシングルシャフト・マルチカー・エレベータシステム(1つの昇降路内に複数台のかごを収容したエレベータ装置)も含み、前者の場合のかご台数は昇降路の数に相当し、後者の場合のかご台数は1つのシャフト内に収容された複数のかごの台数又は複数のシャフト内に収容された複数のかご台数の総和に相当する。符号2(1)〜2(M)は乗場呼び装置(ホ−ル呼び装置)であり、符号Mは乗場呼び装置の数(「1」以上の整数値)である。符号3(1)〜3(N)はかご制御装置であり、かご装置1(1)〜1(N)と乗場呼び装置2(1)〜2(M)の状態(状態信号)を取得するとともに、取得した状態信号をもとに設定された制御パラメータに基づいてかご装置1(1)〜1(N)を制御する。符号4は制御パラメータ設定装置であり、かご制御装置3(1)〜3(N)を制御するための制御パラメータの値を設定する。
【0010】
▲1▼乗車データ検出部41:
制御パラメータ設定装置4の処理について詳細に説明する。制御パラメータ設定装置4において、乗車データ検出部41は、各乗場で発生した乗場呼びのデータと乗客の乗車に関するデータ(かご装置1(1)〜1(N)と乗場呼び装置2(1)〜2(M)の状態信号から得られたデータ)を、かご制御装置3(1)〜3(N)を通じて取得する。取得するデータには、乗客発生時刻(時・分・秒)、発生階床、発生方向、人数に関するデータが含まれる。具体的に、乗客発生時刻は乗場呼びボタンが押された時刻、発生階床は押された乗場呼びボタンの階床(出発階)、発生方向は行き先階、人数はかごに乗車した乗客の人数である。行き先階はかご内に設けられた行き先階指定ボタンによって指定され、乗客の人数はかごに設けられた重量センサにより検出される。取得されたデータ(乗車データ)は、図2に示す表の形式で整理される。この乗車データは、その1日(24時間)分が乗車データ検出部41に蓄積され、1日ごとに更新される。
【0011】
▲2▼乗客比率・乗客発生総数保存部45:
乗客比率・乗客発生総数保存部45は、1日ごとに、各階毎の乗客発生比率とビル全体での乗客発生総数の過去の統計値を編集し、例えば1分毎の各時刻について図3の形式で保存する。平日と休日で又は曜日によって交通量が異なる場合、平日・休日に分けて又は曜日毎に、図3の形式の表を作成してもよい。なお、乗客発生比率、発生総数は、後に説明する。
【0012】
▲3▼乗客数データ学習部42:
図1の乗客数データ学習部42は、乗車データ検出部41で取得された乗車データをもとに、乗客比率・乗客発生総数保存部45に蓄積されている各階・各方向毎の乗客発生比率とビル全体での乗客発生総数の過去の統計値を、学習アルゴリズムに基づいて学習する。
【0013】
学習アルゴリズムの一例を図4に示す。この学習アルゴリズムでは、S41〜S43で変数(時刻、階床、走行方向)を初期化する。具体的に、時刻Tを「0時00分」、階床番号Fを「最下階」(例えば、地下階なしの地上10階のビルの場合、1階)、走行方向U/Dを「上方向」に設定する。次に、S44では、乗車データ検出部41に蓄積された1日分の乗車データ(図2参照)をもとに、最新の乗客数データPN(T、F、U/D)を作成する。
【0014】
S44における乗客数データPN(T、F、U/D)の作成処理について、図5(a)を参照して更に詳細に説明する。まずS441では、時刻tを初期値Tに設定する。例えば、上述した図4のS41で時刻Tが0時00分に設定された後に初めてS441が実行される場合、時刻tはT=0時00分00秒に設定される。次に、S442では、乗客数データPN(T、F、U/D)をに初期化する。S443では、時刻tにF階でU/D方向に発生した乗客があればその乗客数を乗客数データPN(T、F、U/D)に加算する。続いて、S444では、時刻tがT+0時01分00秒に達したか否か判断し、時刻tがT+0時01分00秒に達していれば乗客数データ作成処理を終了し、時刻tがT+0時01分00秒に達していなければS445で時刻tをT+0時00分01秒に更新して再びS443の処理に戻る。
【0015】
このように、S443の処理は、時刻Tから1分間の間に秒単位で取得された乗客数データを当該1分間のデータとして整理する。すなわち、図2に示すように乗車データ検出部41は秒単位でデータを取得しており、この秒単位で取得された1分間の乗車データについて、その1分間に乗客の有ったこと示す1以上のデータ(乗客数)があればそれを加算し、最新の乗客数データPN(T、F、U/D)を作成する。具体的に、図5(b)のような乗車データが得られた場合、0時00分00秒から0時00分59秒までの間に、2階上方向と3階下方向に乗客が発生しているため、図5(c)のような乗客数データが得られる。以上のように、1分間のデータについて乗客数データ更新処理が終了すると、図4のS44に戻る。
【0016】
図4のS45では、乗客比率・乗客発生総数保存部45に保存されている過去の統計値(乗客発生比率、乗客発生総数;図3参照)から、時刻TにおけるF階、U/D方向の統計乗客数データPS(T、F、U/D)を式(1)に基づいて演算する。
ここで、PR(T、F、U/D)は、時刻T、F階、U/D方向の乗客発生比率である。また、C(T)は、時刻Tの乗客発生総数である。S46では、式(1)から計算された統計乗客数データPS(T、F、U/D)と、乗客数データ学習部42で計算された最新乗客数データPN(T、F、U/D)を利用して、式(2)から乗車比率PNS(T、F、U/D)を演算し更新する。
計算された統計乗客数PNS(T、F、U/D)は、時刻T、F階、U/D方向に関する統計乗客数の学習後の値であり、係数α、βは経験値として与えられる。
【0017】
S47ではU/Dに関するル−プの終了判定を行ない、条件が満たされた場合はS49へ進む。条件が満たされない場合にはS48へ進み、U/Dを下方向に設定してS44へ戻る。S49では階床Fに関するル−プの終了判定を行ない、条件が満たされた場合はS4Bへ進む。条件が満たされない場合にはS4Aへ進み、階床Fを1階床増加させてS43へ戻る。S4Bでは時刻Tに関するル−プの終了判定を行ない、条件が満たされた場合には学習処理を終了する。条件が満たされない場合にはS4Cへ進み、時刻Tを1分増加させてS42へ戻る。このように、学習アルゴリズムでは、各階床の上方向と下方向のそれぞれについて、1分ごとに、統計乗客数PNSを計算する。
【0018】
▲4▼乗客比率演算部43:
図1の乗客比率演算部43は乗客数データ学習部42で学習を行なった統計乗客数PNSから各時刻、各階、各方向における乗客発生比率PR(T、F、U/D)を演算する〔式(4)参照〕。乗客発生総数演算部44はまた、乗客数データ学習部42で学習を行なった統計乗客数から各時刻における乗客発生総数C(T)を演算する〔式(3)参照〕。これら乗客比率演算部43ならびに乗客発生総数演算部44の演算結果は乗客比率・乗客発生総数保存部45で保存されるとともに、静的パーク動作決定部46へ入力される。
(3)式において、FLは最下階、FUは最上階を示す。また、PNS(T、FUP)は上方向統計乗客数、PNS(T、F、DOWN)は下方向統計乗客数である。
【0019】
▲5▼静的パーク動作決定部46:
図1の静的パーク動作決定部46は時刻Tにおける乗客発生比率PR(T、F、U/D)から図6のアルゴリズムによりパーク階を決定する。S61では時刻Tの初期化を行なう。S62では乗客発生総数C(T)が規定値THCよりも大きいか否か判断する。判断の結果、乗客発生総数C(T)が規定値THCよりも大きい場合、S63で時刻Tにおける注目階を決定する。一方、乗客発生総数C(T)が規定値THCよりも小さい場合、S6Bへ進む。これは、乗客発生総数C(T)が非常に小さい場合には、各階におけるPR(T、F、U/D)の妥当性が低く、その値に基づいてパーク動作を最適化することが困難であるためである。したがって、S6Bでは時刻Tにおける仮パーク階G(T)を未設定とし、S69へ進む。
【0020】
S63では、時刻Tにおける注目階を決定するために、乗客発生比率PR(T、F、U/D)が最大の階床F、方向U/Dを検索し決定し、それぞれ決定された階床と方向をFMAX、U/DMAXに代入する。S64では、階床Fの初期化を行なう。S65ではパーク階設定評価値E(T、F、FMAX、U/DMAX)の演算を行なう。パーク階設定評価値E(T、F、FMAX、U/DMAX)は、注目階がFMAX、U/DMAXで、注目階における乗客発生比率がPR(T、FMAX、U/DMAX)の場合に、パーク階を階床Fに設定したときの待ち時間の改善率である。待ち時間改善率は、パーク動作を行なわない場合(具体的には、かごが乗客の輸送を完了した時の階床で待機する場合)の待ち時間を基準とした場合の改善効果であり、一般化すると(5)式のように記述できる。
ここで、FUNCTIONがパーク階設定評価関数である。また、パーク階設定評価関数E(T、F、FMAX、U/DMAX)は、例えば式(6)の線形式として記述可能である。
ここで、A(F、FMAX、U/DMAX)は線形式(6)の傾き、B(F、FMAX、U/DMAX)は切片であり、あらかじめシミュレ−ションなどによって、それぞれの値を求めておく。S66では、階床Fに関するル−プの終了判定を行ない、条件が満たされた場合はS68へ進む。条件が満たされない場合にはS67へ進み、階床Fを1階床増加させてS65へ戻る。S68ではE(T、FMAX、U/DMAX)を最大とする階床Fを時刻Tにおける仮パーク階G(T)として決定する。
【0021】
本実施の形態ではパーク時の方向の指定を行なわないが、方向の指定を行なっても良い。この場合、パーク設定評価値はE(T、F、FMAX、U/DMAX)となり、(7)式のように一般化して記述される。
【0022】
方向を指定してパーク階を決定する場合、式(7)に関してU/Dが上方向、下方向の両方について演算を行ない、E(T、F、U/D、FMAX、U/DMAX)が最大となるF階、U/D方向を時刻Tにおける仮パーク階G(T)として決定する。S69では時刻Tに関するル−プの終了判定を行ない、条件が満たされた場合には学習処理を終了する。条件が満たされない場合にはS6Aへ進み、Tを1分増加させてS62へ戻る。
【0023】
▲6▼動的パーク動作決定部47:
図1の動的パーク動作決定部47では、静的パーク動作決定部48で決定された仮パーク階G(T)の時系列を考慮して、各時刻におけるパーク階H(T)を決定する。決定アルゴリズムの一例を図7に示す。
【0024】
図7に示すS71は第1スキャン処理であり、仮パーク階G(T)の値が連続している場合に、パーク階H(T)の値を確定する。次に、S72は第2スキャン処理であり、第1スキャン処理でパーク階H(T)が決定できなかった時刻に対して、その前後の平均の交通状況からその前後のH(T)を決定する。以下、第1スキャン、第2スキャン処理を分けて詳細に説明する。
【0025】
(A)第1スキャン処理:
第1スキャン処理の詳細は図8に示している。図8において、S81は時刻Tの初期化を行なう。S82では、時刻Tにおける仮パーク階G(T)と1分前のパーク階H(T−1)を比較する。比較の結果、仮パーク階G(T)とパーク階H(T−1)が同一であれば、S83で時刻Tにおけるパーク階H(T)を仮パーク階G(T)に設定し、S88へ進む。仮パーク階G(T)とパーク階H(T−1)が異なる場合、S84で時刻T−Xのパーク階H(T−X)から時刻T−1のパーク階H(T−1)までの値が未設定であるかどうかを判断し、未設定の場合はS85に進み、設定されている場合はS87に進む。なお、Xは定数であり、どの程度頻繁にパーク階の設定変更を許すかによって決まる。
【0026】
S85では、時刻T−Xの仮パーク階G(T−X)から時刻Tのまでの仮パーク階G(T)を比較し、全て同じであればS86へ進み、1つでも異なっていればS87へ進む。S86では時刻T−Xのパーク階H(T−X)から時刻Tのパーク階H(T)を、時刻Tにおける仮パーク階G(T)に設定する。S87では時刻Tにおけるパーク階H(T)を未設定とする。S88では時刻Tが23時59分に達したか否かを判定し、達していれば第1スキャン処理を終了し、達していない場合にはS89へ進み、Tを1分増加させてS82へ戻る。
【0027】
(B)第2スキャン処理:
第2スキャン処理の詳細は図9に示している。図9において、S91では時刻Tを初期化し、S92では変数TMPの初期化を行なう。ここでTMPはパーク階H(T)が未設定の状態が連続していることを判定するための変数である。S93では時刻Tにおけるパーク階H(T)が設定済みであるかどうかを判断し、設定済みの場合はS94へ、未設定の場合にはS95へ進む。
【0028】
S94ではTMPの値を0に戻す。S95では、時刻Tにおける乗客発生総数C(T)が0であるかどうかを判定し、0の場合にはS96へ進み、0でない場合にはS98へ進む。S96では、時刻T+1(時刻Tから1分経過した時刻)におけるパーク階H(T+1)が設定済みであるかどうかを判定し、設定済みの場合はS97へ進み、未設定の場合にはS99へ進む。S97では時刻Tにおけるパーク階H(T)を時刻T+1におけるパーク階H(T+1)に設定し、S94へ進む。このS97の処理により、時刻Tに乗客が発生していない場合には次の時刻に発生すべき乗客の待ち時間を最小化するために、パーク階を時刻T+1と同一にする。一方、S99ではTMPに「1」を加え、S9Dに進む。
【0029】
S98ではTMPがTHTより小さいかどうかを判定し、小さい場合にはS99へ、大きい場合にはS9Bへ進む。ここでTHTはパーク設定の未設定状態がTHT秒間連続している場合にパーク階を同一のパーク階に設定するためのパラメータであり、X同様どの程度頻繁にパーク階の設定変更を許すかによって決められる。S9Bでは時刻T−THTのパーク階H(T−THT)から時刻Tのパーク階H(T)を、その間の平均乗客比率に従って決定される平均パーク階に設定する。この処理の詳細は後に述べる。S9CではTMPの値を0に戻し、S9Dへ進む。S9Dでは時刻Tが23時59分に達したか否かを判定し、達していれば第2スキャン処理を終了し、達していない場合にはS9Eへ進み、時刻Tを1分増加させてS93へ戻る。
【0030】
(C)平均パーク階の設定(S9B):
S9Bにおける平均パーク階の設定方法の詳細を図10に示す。図10において、S101は時刻T−THTから時刻Tまでの平均乗車確率PRA(T、F、U/D)と平均乗客発生総数CA(T)を(8)、(9)、(10)式に従って演算する。
式(8)〜(10)において、平均乗客数PNA(T、F、UP/DOWN)は、時刻T−THTから時刻TまでのF階U/D方向の乗車データ(乗客数)の平均値である。
【0031】
S102では平均乗客発生総数CA(T)が規定値THCよりも大きいか否か判断する。判断の結果、平均乗客発生総数CA(T)が規定値THCよりも大きい場合にはS103へ進み、逆に小さい場合にはS109へ進む。S109では、S6Bの処理と同様の理由により、時刻Tにおけるパーク階H(T)をパーク動作せずと設定し、S10Aに進む。S103では時刻Tにおける注目階を決定するために、平均乗車確率PRA(T、F、U/D)が最大となる階床F、方向U/Dを検索し決定し、決定された階床と方向をFMAX、U/DMAXにそれぞれ代入する。S104では階床Fの初期化を行ない、階床Fを最下階に設定する。S105では、PR(T、FMAX,U/DMAX)に基づいて、平均パーク階設定評価値EA(T、F、FMAX、U/DMAX)の演算を行なう。平均パーク階設定評価値EA(T、F、FMAX、U/DMAX)はパーク階設定評価値E(T、F、FMAX、U/DMAX)と同様の意味を持ち、一般化すると(11)式のように記述できる。
ここで、FUNCTIONはパーク階設定評価関数である。例えば、平均パーク階設定評価関数EA(T、F、FMAX、U/DMAX)は(12)式のような線形式として記述可能である。
ここで、A(F、FMAX、U/DMAX)、B(F、FMAX、U/DMAX)は、式(6)におけるA、Bと同様に、線形式の傾きと切片であり、あらかじめシミュレ−ションなどによって、その値を求めておく。また、一般に、式(11)は式(5)と同じ形の式となる。
【0032】
S106では階床Fに関するル−プの終了判定を行ない、条件が満たされた場合はS108へ進む。条件が満たされない場合にはS107へ進み、階床Fを1階床増加させてS105へ戻る。S108では平均パーク階設定評価値EA(T、F、FMAX、U/DMAX)が最大となる階床Fを時刻Tにおけるパーク階H(T)として決定する。なお、本実施の形態ではパーク時の方向の指定を行なわないが、仮パーク階の決定同様、方向の指定を行なっても良い。この場合、平均パーク設定評価値はEA(T、F、U/D、FMAX、U/DMAX)となり、式(13)のように一般化して記述される。
なお、方向を指定してパーク階を決定する場合、式(11)に関してU/Dが上方向と下方向の両方について演算を行ない、平均パーク階設定評価値EA(T、F、U/D、FMAX、U/DMAX)を最大とするF階U/D方向を時刻Tにおけるパーク階H(T)として決定する。最後に、S10Aでは時刻T−THTのパーク階H(T−THT)から時刻T−1までのパーク階H(T−1)を時刻Tにおけるパーク階H(T)に設定する。
【0033】
▲7▼制御パラメータ設定テーブル48:
図1の制御パラメータ設定テーブル48は、パーク階H(T)を図11のように記憶する。パーク階設定部49は時刻がTになったときに制御パラメータテーブル48に記憶された時刻Tにおけるパーク階H(T)を検索し、かご制御装置3(1)〜3(N)に設定する。かご制御装置3(1)〜3(N)は設定されたパーク階設定に基づいてかご運行を行なう。なお、本発明において、図12のように群管理装置5を備えた構成の場合には、パーク階H(T)の設定を群管理装置5に対して行なっても良い。
【0034】
3.実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る制御パラメータ設定装置を説明する。実施の形態1では交通状況に対してパーク階の設定を行なった。そのため、このパーク階の設定の変化にあわせて他の制御パラメータを変更することにより、交通状況に合せた制御パラメータの変更が可能となる。以下の説明は、戸開時間の制御を行なう手法に関する。戸開時間は乗客数が多い場合や、乗客の属性(年齢その他)によって、調整することが望ましい。また、マンションなど利用者が限られたビルにおいては、交通状況の変化と利用者の変化が密接に関係していることが予想される。このような特性を踏まえて以下の戸開時間の制御について説明する。
【0035】
図13は、制御パラメータ設定装置の機能構成図である。この図において、かご装置1(1)〜1(N)、乗場呼び装置2(1)〜2(M)、かご制御装置3(1)〜3(N)、乗車データ検出部41、乗客数データ学習部42、乗車比率演算部43、乗客発生総数演算部44、乗客比率乗客発生総数保存部45、静的パーク動作決定部46は実施の形態1と同一である。
【0036】
実施の形態1と異なる構成として、符号410はインデックス付き動的パーク動作決定部である。このインデックス付き動的パーク動作決定部410は、実施の形態1の動的パーク動作決定部47と同様に時刻Tにおけるパーク階H(T)を決定するとともに、時刻TにおけるインデックスI(T)を決定する。このインテックス決定アルゴリズムは、動的パーク動作決定部47と同様に、第1スキャン処理と第2スキャン処理を含む。ただし、本実施の形態2のスキャン処理の内容は実施の形態1のものと異なり、以下その詳細を説明する。
【0037】
インデックス付き動的パーク動作決定部410の第1スキャン処理の詳細を図14に示す。この図において、S81からS89までの処理は図8に同一の符号で示す処理と同一である。したがって、S8AからS8Dについて説明する。まず、S8Aは発行済み最新インデックス番号Iの初期化を行なう。ここで、発行済み最新インデックス番号Iはパーク階の設定が変更された段階、つまり交通状況が変わる毎に更新される。S8Bでは時刻T−1と同じパーク階が時刻Tに対して設定される。したがって、時刻TのインデックスI(T)は、時刻T−1と同じ値に設定される。S8Cでは発行済み最新インデックス番号iを1増加させ、S8Dで時刻T−XのインデックスI(T−X)から時刻TのインデックスI(T)をiに設定する。
【0038】
第2スキャン処理の詳細を図15に示す。図15において、S91からS9Eまでの処理は、図9に示した実施の形態1の第2スキャン処理と同一である。以下、S9FからS9Hについて説明する。S9Fでは時刻T+1のパーク階が時刻Tに対して設定される。したがって、インデックスI(T)を時刻T+1と同じ値に設定する。S9Gでは発行済み最新インデックス番号iを1増加させ、S9Hでは時刻T−THTのインデックスI(T−THT)から時刻TのインデックスI(T)をiに設定する。
【0039】
図13のインデックス付き制御パラメータテーブル411は、制御パラメータを図16に示すように記憶する。戸開時間データ検出部412は、かご制御装置3(1)〜3(M)から戸開・戸閉に関するデータを取得し、戸開時刻、戸開時間に関するデータを図17の形式で作成する。この戸開時間データは、その1日分が戸開時間保存部413に蓄積され、1日(24時間)ごとに新たな値に更新される。戸開時間保存部413は、図18に従って1分毎の時刻T、F階、U/D方向の統計戸開時間データDTS(T、F、U/D)を演算し、図19に示す形式で記憶する。
【0040】
図18に示す戸開時間保存部413の処理おいて、S181からS183までは、時刻T、戸開時間DT(T、F、U/D)、戸開回数nを初期化する。S184では時刻Tの1分間に戸開がなされていれば、その値(戸開時間)をDT(T、F、U/D)に加算するとともに、nの値を1増加させる。S185は時刻Tに関するル−プ終了判定を行なう。S185の条件が満たされた場合はS187へ進む。一方、S185の条件が満たされない場合にはS186へ進み、時刻Tを1秒増加させて、S184の処理へもどる。S187では統計戸開時間データDTS(T、F、U/D)を戸開時間保存部413より検索する。S188では、式(14)に基づいて統計戸開時間データDTSN(T、F、U/D)の更新を行なう。
S189では、統計戸開時間データDTSN(T、F、U/D)を戸開時間保存部413に記憶する。
【0041】
図13に示す戸開時間動作決定部414では、インデックス付き制御パラメータテーブル411に記憶されたインデックス番号が同一の時刻Tについて、統計戸開時間DTS(T、F、U/D)の平均値を図20に示す処理にしたがって演算し、その平均値を戸開時間設定値DS(T、F、U/D)として設定して図16の形式で保存する。
【0042】
図20において、S201からS205までは変数の初期化を行なう。ここで、TMPは同一インデックスが継続した期間、全統計戸開時間DTMPは同一インデックスが継続した期間における統計戸開時間DTS(T、F、U/D)の和を示す。S206では、時刻TにおけるインデックスI(T)が時刻T+1におけるインデックスI(T+1)と同一かどうかを判定し、同一の場合にはS207へ進み、異なる場合にはS20Aへ進む。S207では全統計戸開時間DTMPに統計戸開時間DTS(T、F、U/D)を加算し、S208ではTMPを1増加し、S209へ進む。S20Aでは時刻T−TMP−1からTまでの戸開時間設定値DS(T、F、U/D)をその期間における統計戸開時間DTS(T、F、U/D)の平均値であるDTMP/TMPに設定する。S20BではTMPの、S20Cでは全統計戸開時間DTMPの初期化を行なう。S209では時刻Tに関するル−プの終了判定を行ない、条件が満たされた場合にはS20Eへ進み、条件が満たされない場合には、S20Dへ進みTを1分増加させて、S206へ戻る。S20Eでは方向に関する終了判定を行ない、条件が満たされた場合にはS20Gへ進み、条件が満たされない場合には、S20F進み方向を下方向に設定して、S203へ戻る。S20Gでは階床に関する終了判定を行ない、条件が満たされた場合にはこの処理を終了し、条件が満たされない場合には、S20H進み階床を1増加させて、S202へ戻る。
【0043】
図13の制御パラメータ設定部415では、時刻がTになったときにインデックス付き制御パラメータテーブル411に記憶された時刻Tにおける制御パラメータH(T)ならびにDS(T、F、U/D)を検索し、かご制御装置3(1)〜3(N)に設定する。かご制御装置3(1)〜3(N)は、設定されたパーク階設定に基づいてかご運行制御を行なう。
【0044】
なお、実施の形態2において、図21のように群管理装置5を備えた構成の場合には、パーク階H(T)の設定を群管理装置5に対して行なっても良い。また、制御パラメータとしてパーク階、戸開時間に代えて、ドア速度、待機時間などの他のパラメータを選択を選んだ場合にも、同様に構成可能である。
【0045】
4.実施の形態3.
実施の形態1では評価値が最適な階をパーク階として決定した。しかし、パーク階の設定に伴って、かごの動作が多くなることが考えられる。そこで、本発明の実施の形態3に係る制御パラメータ設定装置は、最適パーク階との評価値の差が閾値以内の階にパーク動作している場合には、最適パーク階への移動を行なわない、あいまいパーク動作が付加されており、その詳細を以下に説明する。
【0046】
図22は本発明における機能構成図である。図22において、静的パーク動作決定部461、動的パーク動作部471、制御パラメータテーブル481、あいまいパーク動作装置6(1)〜6(N)以外の構成要素は図1に示す実施の形態1のものと同一である。したがって、これら4つの構成要素についてのみ説明を行なう。
【0047】
静的パーク動作決定部461は図1で示した静的パーク動作決定部46と同様に、時刻Tにおける乗客発生比率PR(T、F、U/D)から図23のアルゴリズムに基づいてパーク階を決定する。図23において、S681の処理を除く他の処理は図6に示すものと同一である。S681では、時刻Tにおいてパーク階設定評価関数E(T、F、FMAX、MAXU)が最大となる階床Fを当該時刻Tにおける主パーク階とし、評価値に関する閾値をTHEとしたときに、式(15)を満たす階の集合J(T)をあいまいパーク階とする。
ここで、Jは集合J(T)の要素である。また、このとき仮パーク階G(T)は式(16)のように表わされる。
【0048】
動的パーク動作決定部471は、図1を用いて説明した実施の形態1の動的パーク動作決定部47と同様に、静的パーク動作決定部481で決定された仮パーク階G(T)の時系列を考慮して、各時刻におけるパーク階H(T)を決定する。その処理過程は、図7、図8、図9に示されているものと類似しているが、平均パーク動作の決定の処理(S9B)の点で異なる。
【0049】
S9Bの平均パーク動作決定処理について説明すると、図24は平均パーク動作決定処理を示し、そこでの処理はS1081を除いて図10に示すものと同一である。S1081では、時刻Tにおいて平均パーク階設定評価関数EA(T、F、FMAX、U/DMAX)が最大となる階床Fを当該時刻Tにおける主パーク階とし、評価値に関する閾値をTHEとしたときに、式(17)を満たす階の集合J(T)をあいまいパーク階とする。
ここで、Jは集合J(T)の要素である。また、このときパーク階H(T)は式(18)のように表わされる。
また、制御パラメータ設定テーブル481はパーク階H(T)を図25のように記憶する。さらに、あいまいパーク動作装置6(1)〜6(N)は、各台制御装置3(1)〜3(N)に設定されたパーク階の設定状態とかご位置、かご状態から待機階を決定する。その決定手順は、図26に示すように、S261でかご位置があいまいパーク階もしくは、主パーク階であるかどうかを判断し、条件が満たされた場合に処理を終了する。条件が満たされない場合、S262へ進み、各台装置に対して主パーク階への移動指令を行ない、その後処理を終了する。
【0050】
なお、本発明において、あいまいパーク動作装置6(1)〜6(N)の機能は各台制御装置3(1)〜3(N)に搭載しても良い。また、図13のように、制御パラメータテーブルがインデックスを持っても同様にあいまいパーク階の設定が可能である。また、図12や図21のように群管理装置5を備えた構成の場合には、パーク階H(T)の設定を群管理装置5に対して行なっても良い。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、1台または複数台のかごを制御するエレベータシステムにおいて、時間帯毎の各階の乗客数に基づいて、時間帯毎のパーク階を決定することを特徴とする制御パラメータ設定装置によれば、実際の乗客発生状況を考慮して、時間帯毎に細かくパーク階の設定を行なうことが可能となる。
【0052】
また、同一の交通状況と判断して同一のパーク階を設定した時刻に対して同じインデックスをつけ、そのインデックスに基づいて、各時刻における他の制御パラメータを設定することを特徴とする制御パラメータ設定装置によれば、同一の交通状況の変化に応じて制御パラメータを変更することが可能となる。
【0053】
同様に、1台または複数台のかごを制御するエレベータシステムにおいて、所定の階または該所定の階に対する評価値から一定値以内の評価値を得られる階にパークを行なうことを特徴とするエレベータ制御装置によれば、さらに細かくパーク階を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る制御パラメータ制御装置の機能構成図。
【図2】乗車データ検出部に保存されるデータの一例を表に示した図。
【図3】乗客比率・乗客発生総数保存部に保存されるデータの一例を表に示した図。
【図4】学習アルゴリズムを示すフローチャート。
【図5】図5(a)は乗客数データ作成処理のフローチャート、図5(b)と図5(c)は更新前と更新後の乗客数データの一例を表に示した図。
【図6】パーク階決定処理のフローチャート。
【図7】動的パーク動作決定部の決定アルゴリズムを示すフローチャート。
【図8】第1スキャン処理のフローチャート。
【図9】第2スキャン処理のフローチャート。
【図10】平均パーク階の設定方向を示すフローチャート。
【図11】制御パラメータ設定テーブルに記憶されたパーク階の一例を表に示した図。
【図12】群管理制御装置を備えた制御パラメータ設定装置の機能構成図。
【図13】実施の形態2に係る制御パラメータ設定装置の機能構成図。
【図14】インデックス付き動的パーク動作決定部における第1スキャン処理のフローチャート。
【図15】インデックス付き動的パーク動作決定部における第2スキャン処理のフローチャート。
【図16】制御パラメータテーブルに記憶される制御パラメータの一例を表に示した図。
【図17】戸開時間データ検出部に保存されるデータの一例を表に示した図。
【図18】戸開時間保存部に保存されるデータの一例を表に示した図。
【図19】統計戸開時間データの一例を表に示した図。
【図20】統計戸開時間を処理するフローチャート。
【図21】群管理装置を設けた実施の形態2の制御パラメータ設定装置の機能構成図。
【図22】実施の形態3に係る制御パラメータ設定装置の機能構成図。
【図23】静的パーク動作決定部におけるパーク階決定処理のフローチャート。
【図24】平均パーク動作決定処理のフローチャート。
【図25】制御パラメータ設定テーブルに記憶されたパーク階の一例を表に示した図。
【図26】あいまいパーク動作装置におけるパーク階決定処理のフローチャート。
【符号の説明】
1(1)〜1(N):かご装置 2(1)〜2(M):乗場呼び装置 3(1)〜3(N):かご制御装置 4:制御パラメータ設定装置 5:群管理装置 6(1)〜6(N):あいまいパーク動作装置
Claims (3)
- 1台または複数台のかごを制御するエレベータシステムにおいて、時間帯毎の各階の乗客数に基づいて、時間帯毎のパーク階を決定することを特徴とする制御パラメータ設定装置。
- 請求項1の制御パラメータ設定装置において、同一の交通状況と判断して同一のパーク階を設定した時刻に対して同じインデックスをつけ、そのインデックスに基づいて、各時刻における他の制御パラメータを設定することを特徴とする制御パラメータ設定装置。
- 1台または複数台のかごを制御するエレベータシステムにおいて、所定の階または該所定の階に対する評価値から一定値以内の評価値を得られる階にパークを行なうことを特徴とするエレベータ制御装置。
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