JP2004098850A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルト層間でのセパレーション防止。
【解決手段】正規内圧正規負荷下での径方向たわみ率が20%を超える重荷重用空気入りタイヤであって、ベルトは三層以上、その最内層ベルトとその外側に隣接するベルトとを、コードが交差し、いずれのコードもタイヤ幅方向となす角度が、それ以外のコード角度よりも大きい高角度ベルト1B、2Bとし、これらコードの角度を80度以上、その幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外側の高角度ベルト層(A)2Bのコード角度と、その外側に隣接する低角度ベルト層(B)3Bのコード角度との差を15度以上、B層のコード角度を50度〜75度、その幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍、A層の幅方向端部領域で、B層を高角度ベルト層2Bから離隔する方向に傾斜させ、その傾斜角度αを4度以下、かつトレッド中央部分における、A層とB層の間隔を低角度ベルトコード径の0.25倍以上とする
【選択図】 図1
【解決手段】正規内圧正規負荷下での径方向たわみ率が20%を超える重荷重用空気入りタイヤであって、ベルトは三層以上、その最内層ベルトとその外側に隣接するベルトとを、コードが交差し、いずれのコードもタイヤ幅方向となす角度が、それ以外のコード角度よりも大きい高角度ベルト1B、2Bとし、これらコードの角度を80度以上、その幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外側の高角度ベルト層(A)2Bのコード角度と、その外側に隣接する低角度ベルト層(B)3Bのコード角度との差を15度以上、B層のコード角度を50度〜75度、その幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍、A層の幅方向端部領域で、B層を高角度ベルト層2Bから離隔する方向に傾斜させ、その傾斜角度αを4度以下、かつトレッド中央部分における、A層とB層の間隔を低角度ベルトコード径の0.25倍以上とする
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベルトの幅方向端部分へのセパレーション故障の発生を抑制する、建設車両などに用いて好適な重荷重用の空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設車両などに用いられる重荷重用の空気入りタイヤでは一般に、内圧充填時の径成長量を抑制するために、ベルトを複数のベルト層により構成している。
従来の、ベルトを複数層で構成する方法としては、最内層側のベルト層と、それに隣接するベルト層を除いた任意のベルト層のコードのタイヤ幅方向となす角度を、それ以外のベルト層よりも高くした高角度ベルト層とし、その高角度ベルト層の幅をそれ以外のベルト層よりも狭くする手法が提案され実施されている。(例えば、特許文献1参照)
これによれば、ベルト層間の耐セパレーション性を向上させ、岩石や砕石を踏み込んだときの包み込み性をも確保できる。
【0003】
このような構成では、ベルト層の幅方向端部におけるセパレーションを防止するため、ベルトのコードと隣接するベルト層のコードとの間隔、低角度ベルト層のコードと隣接するベルト層のコードとの間隔を、トレッド中央部分よりもベルト幅方向端部において大きくしている。
上記の対策は、正規内圧及び正規負荷でのタイヤ径方向でのたわみ率が20%以下の領域においては有効であり、ベルト層間のセパレーションを十分に防止できた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−263107号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、現在建設車両用タイヤでは更なるサイズの大型化、重荷重化が進んでおり、従来では想定できなかったたわみがタイヤに発生するようになってきた。特にたわみ率が20%を超える領域においては、上記の、高角度ベルト層を内周側に設けるベルト層間のセパレーションの防止対策では必ずしも十分とはいえなくなってきた。
本発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的とするところは、たわみ率が20%を超える領域においても、それぞれのベルト層および高角度ベルト層と低角度ベルト層との間で発生するセパレーションの発生を十分に防止することができる空気入りタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る空気入りタイヤは、リム組みタイヤへの正規内圧充填下での正規負荷の作用によってタイヤ径方向のたわみ率が20%を超える重荷重用の空気入りタイヤであって、トレッド部を補強するベルトを三層以上のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層とし、
これらの高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を80度以上とするとともに、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外周側の高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度と、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度との差を15度以上とし、
低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を50度〜75度とし、その低角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍とし、
高角度ベルト層の幅方向端部分と対応する領域で、前記低角度ベルト層を高角度ベルト層から離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度は4度以下とし、
かつ、トレッド中央部分における、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.25倍以上としてなる。
【0007】
ここで、たわみ率とは正規内圧を充填して適用リムにリム組みし、無負荷時で、リムベースからタイヤ最大外径までの高さを測定し、正規負荷の条件で、リムベースから荷重直下のタイヤ最大外径までの高さを測定し、後者を前者で除したものである。
正規負荷とは下記の規格に記載されている最大負荷能力のことであり、正規内圧とは下記の規格に記載されている適用サイズにおける最大負荷能力に対応する空気圧のことであり、リムとは下記の規格に記載されている適用サイズにおける標準リムのことである。
また、タイヤ総幅とは、タイヤを適用リムに装着し、規定の空気圧とし、無負荷状態のタイヤ側面の模様または文字などのすべてを含めた両サイドウォール外輪郭間の最大直線距離を言う。
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では”The Tire and Rim AssociationInc.のYear Book”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の”JATMA Year Book”である。
【0008】
ここで、高角度ベルト層のコードのタイヤ幅方向となす角度を80度以上とすることにより、タイヤの周方向剛性が向上し走行時の径成長が抑制されることにより、ベルト耐久性を確保することができ、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2〜0.35倍とすることにより、高角度ベルト層の幅が広くなることにより増大する、高角度ベルト層の幅方向端部の歪を抑制し、耐久性悪化を防ぐことができる。
【0009】
また、外周側の高角度ベルト層のコードと、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度は15度以上とすることにより、周方向にベルトが曲がりやすくなり、ベルト層間の歪を抑制する事ができる。
【0010】
さらに、低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度は50〜75度とし、その低角度ベルト層の幅はタイヤ総幅の0.5倍以上かつ0.8倍以下とすることに基づき、低角度ベルト層の幅方向端部のセパレーションを抑制し、必要なベルト剛性を確保し、タイヤを所望の形状に保つ事ができる。
【0011】
加えて、高角度ベルト層の幅方向端部分と対応する領域で、前記低角度ベルト層を高角度ベルト層から離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度は4度以下とする事により、ベルトがタイヤ周方向の曲げを受けたときの、高角度ベルト層端部の歪の増加を抑制することができる。
【0012】
さらに、低角度ベルト層のコードの直径を、トレッド中央部分における、高角度ベルト層のコードとそれに隣接する低角度ベルト層のコードとの間隔の0.25倍以上とする事により、ベルト層間に発生する歪を十分に抑制することができ、たわみ率が20%を越える領域においても、高角度ベルト層とその外周側に隣接する低角度ベルト層との間のセパレーションを防止することができる。
【0013】
さらに請求項2に記載したように、高角度ベルト層とそれに隣接する低角度ベルト層との間に、端ゴム材を挿入することにより、ベルト端における層間のゲージを厚くでき、その端ゴム材の100%モジュラスを、高角度ベルト層の被覆ゴムの100%モジュラスの0.6倍より大きく、0.9倍より小さくすることにより、歪緩衝効果と歪の低減を両立することができ、前記傾斜角度を一定とすることができる。0.6倍以下だとベルト端部の端ゴム材内の歪が増大し、0.9倍以上だと歪緩衝効果が小さい。
【0014】
また本発明に係る空気入りタイヤは、請求項3に記載するように、リム組みタイヤへの正規内圧充填下での正規負荷の作用によってタイヤ径方向のたわみ率が20%を超える重荷重用の空気入りタイヤであって、トレッド部を補強するベルトを三層以上のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層とし、
これらの高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を80度以上とするとともに、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外周側の高角度ベルト層のコードと、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度を15度以上とし、
低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を50度〜75度とし、その低角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍とし、
高角度ベルト層の幅方向端部における、高角度ベルト層のコードと、その外周側の低角度ベルト層のコードとの間隔を、トレッド中央部分における同様の距離と同一とし、
トレッド中央部分における、低角度ベルト層のコードと、その内周側の高角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.65倍以上としたものである。
【0015】
すなわち、このタイヤは、先に述べたタイヤに比して、低角度ベルト層に傾斜を設けずに、低角度ベルト層のコードと高角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.65倍以上と大きくする点で構成を異にするものである。
【0016】
低角度ベルト層のコードの直径を、トレッド中央部分における、低角度ベルト層のコードと、その内周側の高角度ベルト層のコードとの間隔の0.65倍以上とする事により、ベルト層間ゲージが変化する部位の歪集中を緩和する事ができ、これによっても、たわみ率が20%を越える領域においても、高角度ベルト層とその外周側に隣接する低角度ベルト層との間のセパレーションを防止することができる。
【0017】
ここで、より好ましくは、請求項4に記載したように、高角度ベルト層のコードがタイヤ幅方向となす角度と、その外周側に隣接する低角度ベルト層のコードがタイヤ幅方向となす角度との差が20度以上とする。
これによれば、ベルトがタイヤ周方向の曲げを受けたときの高角度ベルト層幅方向端部のひずみの増加をより効果的に抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図である。図中1はトレッド部を、2はトレッド部1の側部に連続して半径方向内方へ延びるサイドウォール部を、そして3はサイドウォール部2の半径方向の内周側に連続するビード部をそれぞれ示す。
【0019】
ここでは、それぞれのビード部3に配設したビードコア4間にわたってトロイダルに延びて上記各部1、2、3を補強する少なくとも一枚のカーカスプライ5を配設するとともに、そのカーカスプライ5の側部部分を、ビードコア4の周りで半径方向外方に巻き返す。
カーカスプライ5のクラウン域の外周側には、トレッド部を補強するベルトを三層以上の、図では四層のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層1B、2Bとする。
高角度ベルト層2Bの外周側のベルト層は、そのコードがタイヤ幅方向となす角度が低い低角度ベルト層3B、4Bとする。
【0020】
図2は、図1に示すタイヤの、ベルトの半部を、一部を破断除去して示す展開図である。
高角度ベルト層1B、2Bはともに、例えばスチール、アラミド繊維からなる非伸張性のコード1C、2Cの複数本を、タイヤ幅方向に対し80度以上の角度をなす方向に延在させて配設され、それらの周りを被覆ゴムにて覆われて構成してなる。
高角度ベルト層2Bのコード2Cは、高角度ベルト層1Bのコード1Cとタイヤ幅方向に対し相互に逆方向に傾斜して交差するように配設される。
【0021】
低角度ベルト層3B、4Bはともに、例えばスチール、アラミド繊維からなる非伸張性のコード3C、4Cの複数本をそれぞれ、タイヤ幅方向に対し50〜75度の範囲の角度をなす方向に延在させて配設され、それらの周りを被覆ゴムにて覆われて構成してなる。
低角度ベルト層4Bのコード4Cは、低角度ベルト層3Bのコード3Cとタイヤ幅方向に対し相互に逆方向に傾斜して交差するように延在させて配設される。
【0022】
ここで、高角度ベルト層2Bのコード2Cがタイヤ幅方向とのなす角度と、低角度ベルト層3Bのコード3Cがタイヤ幅方向となす角度との差は15度以上、好ましくは20度以上とする。
これにより、ベルトがタイヤ周方向の曲げを受けたときの高角度ベルト層2B幅方向端部の歪の増加をより効果的に抑制する事ができ、高角度ベルト層2Bと低角度ベルト層3Bとの間の、層間セパレーションの発生を防止することができる。
【0023】
図1に示すように、高角度ベルト層1Bおよび2Bの幅W1、W2は、タイヤ総幅W0の0.2〜0.35倍とし、タイヤの周方向剛性が向上し、走行時の径成長が抑制されることにより、ベルト耐久性を確保することができ、かつ、W1>W2とすることにより、1Bと2B間のベルトセパレーションを防止している。
また、低角度ベルト層3Bの幅をタイヤ総幅W0の0.5〜0.8倍とし、低角度ベルト層3Bの幅方向端部のセパレーションを防止し、必要なベルト剛性を確保し、タイヤを所望の形状に保つ事ができる。
高角度ベルト層2Bの幅方向端部分と対応する領域で、低角度ベルト層3Bを高角度ベルト層2Bから離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度αは4度以下としている。
これにより、これらの二つのベルト層の広がりが小さくなり、ベルトがタイヤ周方向の曲げを受けたときの、高角度ベルト層端部の歪の増加を抑制することができる。
この傾斜角度αを保つため、高角度ベルト層2Bと、低角度ベルト層3Bとの間には、端ゴム材6が挿入され、端ゴム材6の100%モジュラスは、高角度ベルト層2Bの被覆ゴムの100%モジュラスの0.6倍より大きく、0.9倍より小さくしている。
これによれば、歪緩衝効果と歪の低減を両立することができ、前記傾斜角度を一定とすることができる。0.6倍以下だとベルト端部の端ゴム材6内の歪が増大し、0.9倍以上だと歪緩衝効果が小さい。
【0024】
図3は、図1のA部を拡大して、高角度ベルト層のコードと、低角度ベルト層のコードとの距離と直径との関係を模式的に表した図である。
低角度ベルト層3Bのコード3Cの直径をD3、コード3Cと高角度ベルト層2Bのコード2Cとの間隔をD23とすると、D23/D3≧0.25の関係式を満たすように、低角度ベルト層3Bのコード3Cおよび高角度ベルト層2Bのコード2Cを配設する。
これにより、荷重負荷時にタイヤがたわむ際の径差による歪を抑制することができ、たわみ率が20%を越える領域でも、高角度ベルト層と低角度ベルト層の間のセパレーションを防止することができる。
【0025】
図4は、本発明の他の実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図である。
このタイヤは、先に述べた図1のタイヤに比して、低角度ベルト層3Bに傾斜を設けずに、低角度ベルト層3Bのコードと高角度ベルト層2Bのコードとの間隔を、低角度ベルト層3Bのコードの直径の0.65倍以上と大きくする点で構成を異にするものである。
これにより、歪のピークとなるベルト層間ゲージの傾斜端をなくすことにより故障起点をなくし、セパレーション防止性能を向上する事ができ、たわみ率が20%を越える領域でも、高角度ベルト層と低角度ベルト層の間のセパレーションを防止することができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
本発明のタイヤの、高角度ベルト層と低角度ベルト層との間のセパレーションの発生及び進展を防止する性能を測定する目的で、サイズが53/80 R63の表1に示す三種類の実施例タイヤと一種類の比較例タイヤを、規定のリムに装着して、正規内圧で、たわみ率が24%の条件で(参考として比較例タイヤは18%の条件も測定)、ドラム耐久試験を行い、一定時間走行後、高角度ベルト層とそれに隣接する低角度ベルト層との間に発生した亀裂長さを測定した。たわみ率が24%の比較例タイヤ1の亀裂長さをコントロールとし、耐久性指数を評価した結果を表1に示す。耐久性指数は値が大きいほど、セパレーション防止性能が高いことを示す。
【表1】
【0026】
比較例1タイヤのたわみ率24%での耐久性指数と、たわみ率18%の耐久性指数を比較すると、たわみ率18%の条件であれば、比較例タイヤ1でも十分に、セパレーションの発生及び進展を防止する性能を発揮していることがわかる。比較例タイヤ1と実施例タイヤ3とを比較すると、実施例タイヤ3では、高角度ベルト層に隣接する低角度ベルト層の傾斜角度が4度以下である事により、耐久性指数は向上するが、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度が22度から16度と小さくなっている分、その向上の割合が小さいことが分かる。
【0027】
実施例タイヤ1と実施例タイヤ3とを比べると、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度を16度から22度に向上することで、耐久性指数は大幅に向上することが分かる。
また、実施例タイヤ2を、実施例タイヤ1と比較すると、高角度ベルト層に隣接する低角度ベルト層を傾斜させずに、高角度ベルト層のコードと低角度ベルト層のコードとの距離を、高角度ベルト層幅方向端部とトレッド中央部で同一とし、
トレッド中央部でのその距離を大きくすることで、セパレーション防止性能について同等以上の効果が得られることが分かる。
【0028】
【発明の効果】
以上に述べたところから明らかなように、この発明によれば、リム組みタイヤへの正規内圧充填下での正規負荷の作用によってタイヤ径方向のたわみ率が20%を超える重荷重用の空気入りタイヤであって、トレッド部を補強するベルトを三層以上のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層とし、これらの高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を80度以上とするとともに、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外周側の高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度と、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度との差を15度以上とし、低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を50度〜75度とし、その低角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍とし、高角度ベルト層の幅方向端部分と対応する領域で、前記低角度ベルト層を高角度ベルト層から離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度は4度以下とし、かつ、トレッド中央部分における、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.25倍以上とすることにより、たわみ率が20%を越える領域においても、それぞれのベルト層、なかでも、高角度ベルト層と低角度ベルト層との層間でのセパレーションの発生を十分に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図である。
【図2】図1に示すタイヤの、ベルトの半部を、一部を破断除去して示す展開図である。
【図3】図1のA部を拡大して、高角度ベルト層のコードと、低角度ベルト層のコードとの距離と直径との関係を模式的に表した図である。
【図4】この発明の他の実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカスプライ
6 端ゴム材
1B 高角度ベルト層
2B 高角度ベルト層
3B 低角度ベルト層
4B 低角度ベルト層
1C コード
2C コード
3C コード
4C コード
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベルトの幅方向端部分へのセパレーション故障の発生を抑制する、建設車両などに用いて好適な重荷重用の空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設車両などに用いられる重荷重用の空気入りタイヤでは一般に、内圧充填時の径成長量を抑制するために、ベルトを複数のベルト層により構成している。
従来の、ベルトを複数層で構成する方法としては、最内層側のベルト層と、それに隣接するベルト層を除いた任意のベルト層のコードのタイヤ幅方向となす角度を、それ以外のベルト層よりも高くした高角度ベルト層とし、その高角度ベルト層の幅をそれ以外のベルト層よりも狭くする手法が提案され実施されている。(例えば、特許文献1参照)
これによれば、ベルト層間の耐セパレーション性を向上させ、岩石や砕石を踏み込んだときの包み込み性をも確保できる。
【0003】
このような構成では、ベルト層の幅方向端部におけるセパレーションを防止するため、ベルトのコードと隣接するベルト層のコードとの間隔、低角度ベルト層のコードと隣接するベルト層のコードとの間隔を、トレッド中央部分よりもベルト幅方向端部において大きくしている。
上記の対策は、正規内圧及び正規負荷でのタイヤ径方向でのたわみ率が20%以下の領域においては有効であり、ベルト層間のセパレーションを十分に防止できた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−263107号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、現在建設車両用タイヤでは更なるサイズの大型化、重荷重化が進んでおり、従来では想定できなかったたわみがタイヤに発生するようになってきた。特にたわみ率が20%を超える領域においては、上記の、高角度ベルト層を内周側に設けるベルト層間のセパレーションの防止対策では必ずしも十分とはいえなくなってきた。
本発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的とするところは、たわみ率が20%を超える領域においても、それぞれのベルト層および高角度ベルト層と低角度ベルト層との間で発生するセパレーションの発生を十分に防止することができる空気入りタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る空気入りタイヤは、リム組みタイヤへの正規内圧充填下での正規負荷の作用によってタイヤ径方向のたわみ率が20%を超える重荷重用の空気入りタイヤであって、トレッド部を補強するベルトを三層以上のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層とし、
これらの高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を80度以上とするとともに、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外周側の高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度と、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度との差を15度以上とし、
低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を50度〜75度とし、その低角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍とし、
高角度ベルト層の幅方向端部分と対応する領域で、前記低角度ベルト層を高角度ベルト層から離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度は4度以下とし、
かつ、トレッド中央部分における、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.25倍以上としてなる。
【0007】
ここで、たわみ率とは正規内圧を充填して適用リムにリム組みし、無負荷時で、リムベースからタイヤ最大外径までの高さを測定し、正規負荷の条件で、リムベースから荷重直下のタイヤ最大外径までの高さを測定し、後者を前者で除したものである。
正規負荷とは下記の規格に記載されている最大負荷能力のことであり、正規内圧とは下記の規格に記載されている適用サイズにおける最大負荷能力に対応する空気圧のことであり、リムとは下記の規格に記載されている適用サイズにおける標準リムのことである。
また、タイヤ総幅とは、タイヤを適用リムに装着し、規定の空気圧とし、無負荷状態のタイヤ側面の模様または文字などのすべてを含めた両サイドウォール外輪郭間の最大直線距離を言う。
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では”The Tire and Rim AssociationInc.のYear Book”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の”JATMA Year Book”である。
【0008】
ここで、高角度ベルト層のコードのタイヤ幅方向となす角度を80度以上とすることにより、タイヤの周方向剛性が向上し走行時の径成長が抑制されることにより、ベルト耐久性を確保することができ、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2〜0.35倍とすることにより、高角度ベルト層の幅が広くなることにより増大する、高角度ベルト層の幅方向端部の歪を抑制し、耐久性悪化を防ぐことができる。
【0009】
また、外周側の高角度ベルト層のコードと、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度は15度以上とすることにより、周方向にベルトが曲がりやすくなり、ベルト層間の歪を抑制する事ができる。
【0010】
さらに、低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度は50〜75度とし、その低角度ベルト層の幅はタイヤ総幅の0.5倍以上かつ0.8倍以下とすることに基づき、低角度ベルト層の幅方向端部のセパレーションを抑制し、必要なベルト剛性を確保し、タイヤを所望の形状に保つ事ができる。
【0011】
加えて、高角度ベルト層の幅方向端部分と対応する領域で、前記低角度ベルト層を高角度ベルト層から離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度は4度以下とする事により、ベルトがタイヤ周方向の曲げを受けたときの、高角度ベルト層端部の歪の増加を抑制することができる。
【0012】
さらに、低角度ベルト層のコードの直径を、トレッド中央部分における、高角度ベルト層のコードとそれに隣接する低角度ベルト層のコードとの間隔の0.25倍以上とする事により、ベルト層間に発生する歪を十分に抑制することができ、たわみ率が20%を越える領域においても、高角度ベルト層とその外周側に隣接する低角度ベルト層との間のセパレーションを防止することができる。
【0013】
さらに請求項2に記載したように、高角度ベルト層とそれに隣接する低角度ベルト層との間に、端ゴム材を挿入することにより、ベルト端における層間のゲージを厚くでき、その端ゴム材の100%モジュラスを、高角度ベルト層の被覆ゴムの100%モジュラスの0.6倍より大きく、0.9倍より小さくすることにより、歪緩衝効果と歪の低減を両立することができ、前記傾斜角度を一定とすることができる。0.6倍以下だとベルト端部の端ゴム材内の歪が増大し、0.9倍以上だと歪緩衝効果が小さい。
【0014】
また本発明に係る空気入りタイヤは、請求項3に記載するように、リム組みタイヤへの正規内圧充填下での正規負荷の作用によってタイヤ径方向のたわみ率が20%を超える重荷重用の空気入りタイヤであって、トレッド部を補強するベルトを三層以上のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層とし、
これらの高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を80度以上とするとともに、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外周側の高角度ベルト層のコードと、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度を15度以上とし、
低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を50度〜75度とし、その低角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍とし、
高角度ベルト層の幅方向端部における、高角度ベルト層のコードと、その外周側の低角度ベルト層のコードとの間隔を、トレッド中央部分における同様の距離と同一とし、
トレッド中央部分における、低角度ベルト層のコードと、その内周側の高角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.65倍以上としたものである。
【0015】
すなわち、このタイヤは、先に述べたタイヤに比して、低角度ベルト層に傾斜を設けずに、低角度ベルト層のコードと高角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.65倍以上と大きくする点で構成を異にするものである。
【0016】
低角度ベルト層のコードの直径を、トレッド中央部分における、低角度ベルト層のコードと、その内周側の高角度ベルト層のコードとの間隔の0.65倍以上とする事により、ベルト層間ゲージが変化する部位の歪集中を緩和する事ができ、これによっても、たわみ率が20%を越える領域においても、高角度ベルト層とその外周側に隣接する低角度ベルト層との間のセパレーションを防止することができる。
【0017】
ここで、より好ましくは、請求項4に記載したように、高角度ベルト層のコードがタイヤ幅方向となす角度と、その外周側に隣接する低角度ベルト層のコードがタイヤ幅方向となす角度との差が20度以上とする。
これによれば、ベルトがタイヤ周方向の曲げを受けたときの高角度ベルト層幅方向端部のひずみの増加をより効果的に抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図である。図中1はトレッド部を、2はトレッド部1の側部に連続して半径方向内方へ延びるサイドウォール部を、そして3はサイドウォール部2の半径方向の内周側に連続するビード部をそれぞれ示す。
【0019】
ここでは、それぞれのビード部3に配設したビードコア4間にわたってトロイダルに延びて上記各部1、2、3を補強する少なくとも一枚のカーカスプライ5を配設するとともに、そのカーカスプライ5の側部部分を、ビードコア4の周りで半径方向外方に巻き返す。
カーカスプライ5のクラウン域の外周側には、トレッド部を補強するベルトを三層以上の、図では四層のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層1B、2Bとする。
高角度ベルト層2Bの外周側のベルト層は、そのコードがタイヤ幅方向となす角度が低い低角度ベルト層3B、4Bとする。
【0020】
図2は、図1に示すタイヤの、ベルトの半部を、一部を破断除去して示す展開図である。
高角度ベルト層1B、2Bはともに、例えばスチール、アラミド繊維からなる非伸張性のコード1C、2Cの複数本を、タイヤ幅方向に対し80度以上の角度をなす方向に延在させて配設され、それらの周りを被覆ゴムにて覆われて構成してなる。
高角度ベルト層2Bのコード2Cは、高角度ベルト層1Bのコード1Cとタイヤ幅方向に対し相互に逆方向に傾斜して交差するように配設される。
【0021】
低角度ベルト層3B、4Bはともに、例えばスチール、アラミド繊維からなる非伸張性のコード3C、4Cの複数本をそれぞれ、タイヤ幅方向に対し50〜75度の範囲の角度をなす方向に延在させて配設され、それらの周りを被覆ゴムにて覆われて構成してなる。
低角度ベルト層4Bのコード4Cは、低角度ベルト層3Bのコード3Cとタイヤ幅方向に対し相互に逆方向に傾斜して交差するように延在させて配設される。
【0022】
ここで、高角度ベルト層2Bのコード2Cがタイヤ幅方向とのなす角度と、低角度ベルト層3Bのコード3Cがタイヤ幅方向となす角度との差は15度以上、好ましくは20度以上とする。
これにより、ベルトがタイヤ周方向の曲げを受けたときの高角度ベルト層2B幅方向端部の歪の増加をより効果的に抑制する事ができ、高角度ベルト層2Bと低角度ベルト層3Bとの間の、層間セパレーションの発生を防止することができる。
【0023】
図1に示すように、高角度ベルト層1Bおよび2Bの幅W1、W2は、タイヤ総幅W0の0.2〜0.35倍とし、タイヤの周方向剛性が向上し、走行時の径成長が抑制されることにより、ベルト耐久性を確保することができ、かつ、W1>W2とすることにより、1Bと2B間のベルトセパレーションを防止している。
また、低角度ベルト層3Bの幅をタイヤ総幅W0の0.5〜0.8倍とし、低角度ベルト層3Bの幅方向端部のセパレーションを防止し、必要なベルト剛性を確保し、タイヤを所望の形状に保つ事ができる。
高角度ベルト層2Bの幅方向端部分と対応する領域で、低角度ベルト層3Bを高角度ベルト層2Bから離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度αは4度以下としている。
これにより、これらの二つのベルト層の広がりが小さくなり、ベルトがタイヤ周方向の曲げを受けたときの、高角度ベルト層端部の歪の増加を抑制することができる。
この傾斜角度αを保つため、高角度ベルト層2Bと、低角度ベルト層3Bとの間には、端ゴム材6が挿入され、端ゴム材6の100%モジュラスは、高角度ベルト層2Bの被覆ゴムの100%モジュラスの0.6倍より大きく、0.9倍より小さくしている。
これによれば、歪緩衝効果と歪の低減を両立することができ、前記傾斜角度を一定とすることができる。0.6倍以下だとベルト端部の端ゴム材6内の歪が増大し、0.9倍以上だと歪緩衝効果が小さい。
【0024】
図3は、図1のA部を拡大して、高角度ベルト層のコードと、低角度ベルト層のコードとの距離と直径との関係を模式的に表した図である。
低角度ベルト層3Bのコード3Cの直径をD3、コード3Cと高角度ベルト層2Bのコード2Cとの間隔をD23とすると、D23/D3≧0.25の関係式を満たすように、低角度ベルト層3Bのコード3Cおよび高角度ベルト層2Bのコード2Cを配設する。
これにより、荷重負荷時にタイヤがたわむ際の径差による歪を抑制することができ、たわみ率が20%を越える領域でも、高角度ベルト層と低角度ベルト層の間のセパレーションを防止することができる。
【0025】
図4は、本発明の他の実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図である。
このタイヤは、先に述べた図1のタイヤに比して、低角度ベルト層3Bに傾斜を設けずに、低角度ベルト層3Bのコードと高角度ベルト層2Bのコードとの間隔を、低角度ベルト層3Bのコードの直径の0.65倍以上と大きくする点で構成を異にするものである。
これにより、歪のピークとなるベルト層間ゲージの傾斜端をなくすことにより故障起点をなくし、セパレーション防止性能を向上する事ができ、たわみ率が20%を越える領域でも、高角度ベルト層と低角度ベルト層の間のセパレーションを防止することができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
本発明のタイヤの、高角度ベルト層と低角度ベルト層との間のセパレーションの発生及び進展を防止する性能を測定する目的で、サイズが53/80 R63の表1に示す三種類の実施例タイヤと一種類の比較例タイヤを、規定のリムに装着して、正規内圧で、たわみ率が24%の条件で(参考として比較例タイヤは18%の条件も測定)、ドラム耐久試験を行い、一定時間走行後、高角度ベルト層とそれに隣接する低角度ベルト層との間に発生した亀裂長さを測定した。たわみ率が24%の比較例タイヤ1の亀裂長さをコントロールとし、耐久性指数を評価した結果を表1に示す。耐久性指数は値が大きいほど、セパレーション防止性能が高いことを示す。
【表1】
【0026】
比較例1タイヤのたわみ率24%での耐久性指数と、たわみ率18%の耐久性指数を比較すると、たわみ率18%の条件であれば、比較例タイヤ1でも十分に、セパレーションの発生及び進展を防止する性能を発揮していることがわかる。比較例タイヤ1と実施例タイヤ3とを比較すると、実施例タイヤ3では、高角度ベルト層に隣接する低角度ベルト層の傾斜角度が4度以下である事により、耐久性指数は向上するが、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度が22度から16度と小さくなっている分、その向上の割合が小さいことが分かる。
【0027】
実施例タイヤ1と実施例タイヤ3とを比べると、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度を16度から22度に向上することで、耐久性指数は大幅に向上することが分かる。
また、実施例タイヤ2を、実施例タイヤ1と比較すると、高角度ベルト層に隣接する低角度ベルト層を傾斜させずに、高角度ベルト層のコードと低角度ベルト層のコードとの距離を、高角度ベルト層幅方向端部とトレッド中央部で同一とし、
トレッド中央部でのその距離を大きくすることで、セパレーション防止性能について同等以上の効果が得られることが分かる。
【0028】
【発明の効果】
以上に述べたところから明らかなように、この発明によれば、リム組みタイヤへの正規内圧充填下での正規負荷の作用によってタイヤ径方向のたわみ率が20%を超える重荷重用の空気入りタイヤであって、トレッド部を補強するベルトを三層以上のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層とし、これらの高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を80度以上とするとともに、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外周側の高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度と、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向となす角度との差を15度以上とし、低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を50度〜75度とし、その低角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍とし、高角度ベルト層の幅方向端部分と対応する領域で、前記低角度ベルト層を高角度ベルト層から離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度は4度以下とし、かつ、トレッド中央部分における、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.25倍以上とすることにより、たわみ率が20%を越える領域においても、それぞれのベルト層、なかでも、高角度ベルト層と低角度ベルト層との層間でのセパレーションの発生を十分に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図である。
【図2】図1に示すタイヤの、ベルトの半部を、一部を破断除去して示す展開図である。
【図3】図1のA部を拡大して、高角度ベルト層のコードと、低角度ベルト層のコードとの距離と直径との関係を模式的に表した図である。
【図4】この発明の他の実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカスプライ
6 端ゴム材
1B 高角度ベルト層
2B 高角度ベルト層
3B 低角度ベルト層
4B 低角度ベルト層
1C コード
2C コード
3C コード
4C コード
Claims (4)
- リム組みタイヤへの正規内圧充填下での正規負荷の作用によってタイヤ径方向のたわみ率が20%を超える重荷重用の空気入りタイヤであって、トレッド部を補強するベルトを三層以上のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向となす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層とし、
これらの高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を80度以上とするとともに、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外周側の高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度と、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度との差を15度以上とし、
低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を50度〜75度とし、その低角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍とし、
高角度ベルト層の幅方向端部分と対応する領域で、前記低角度ベルト層を高角度ベルト層から離隔する方向に傾斜させて延在させるとともに、その傾斜角度は4度以下とし、
かつ、トレッド中央部分における、高角度ベルト層のコードと、それに隣接する低角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.25倍以上としてなる空気入りタイヤ。 - 高角度ベルト層とそれに隣接する低角度ベルト層との間に、端ゴム材を挿入し、その端ゴム材の100%モジュラスを、高角度ベルト層の被覆ゴムの100%モジュラスの0.6倍より大きく、0.9倍より小さくしてなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- リム組みタイヤへの正規内圧充填下での正規負荷の作用によってタイヤ径方向のたわみ率が20%を超える重荷重用の空気入りタイヤであって、トレッド部を補強するベルトを三層以上のベルト層で構成し、そのうち最内層ベルト層と、それの外周側に隣接するベルト層とのそれぞれを、それらのコードがタイヤ幅方向に対して相互に逆方向に傾斜して交差するとともに、いずれのコードも、コードのタイヤ幅方向とのなす角度を、それら以外のベルト層のコードの同様の角度よりも大きい高角度ベルト層とし、
これらの高角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を80度以上とするとともに、高角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.2倍〜0.35倍とし、外周側の高角度ベルト層のコードと、それの外周側に隣接する低角度ベルト層のコードとのなす角度を15度以上とし、
低角度ベルト層のコードとタイヤ幅方向とのなす角度を50度〜75度とし、その低角度ベルト層の幅をタイヤ総幅の0.5倍〜0.8倍とし、
高角度ベルト層の幅方向端部分での、高角度ベルト層のコードと、その外周側の低角度ベルト層のコードとの間隔を、トレッド中央部分でのそれらの間隔と同一とし、
トレッド中央部分における、低角度ベルト層のコードと、その内周側の高角度ベルト層のコードとの間隔を、低角度ベルト層のコードの直径の0.65倍以上としてなる空気入りタイヤ。 - 高角度ベルト層のコードがタイヤ幅方向となす角度と、その外周側に隣接する低角度ベルト層のコードがタイヤ幅方向となす角度との差が20度以上である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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US8091600B2 (en) * | 2005-03-29 | 2012-01-10 | Bridgestone Corporation | Heavy duty pneumatic tire with wide-width belt layer convex portion |
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- 2002-09-10 JP JP2002263595A patent/JP2004098850A/ja active Pending
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