JP2004098720A - 自動車用フロアマット - Google Patents

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淵上 英希
Kunihiro Nakamura
中村 国博
Takeshi Yamada
山田 武史
Hiroyuki Yoshioka
吉岡 浩幸
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Toyota Motor Kyushu Inc
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Nishikawa Rubber Co Ltd
Toyota Auto Body Co Ltd
Toyota Motor Kyushu Inc
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Abstract

【課題】基材(フロアマットベース)と表材(インナーマット)とを容易に接合・分離可能であると共に、外観や使用感が良好な自動車用フロアマットを提供すること。
【解決手段】複数の車種に対応可能とした共通フロアマットベースと、同共通フロアマットベースの上に配設したインナーマットとからなる自動車用フロアマットにおいて、前記共通フロアマットベースの上面に一対の面ファスナーを重合状態で収容可能な収容凹部を形成し、同収容凹部に一側面ファスナーを収容配設する一方、同一側面ファスナーに対応する他側面ファスナーを、前記インナーマットの下面に配設した。
【選択図】  図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用フロアマットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ゴム製の基材と、同基材の上方に積層した繊維製や樹脂製の表材とを分離自在に接合した自動車用のフロアマットは知られており、例えば、実開平5−29847号公報(特許文献1)には、基材(高分子シート)と表材(カーペット)とにスナップや面ファスナー等の一対の係合治具を配設し、同係合治具を相互に係合させることによって基材と表材とを接合するようにしたフロアマットが記載されている。
【0003】
特に、係合治具として面ファスナーを用いる場合には、同面ファスナーは、基材と表材との接合面の全面に取り付けたり、複数の小片にして所望の位置に取り付けたりすることが記載されている。
【0004】
また、特開2001−88599号公報(特許文献2)には、基材(フロアマット用ベース)と表材(表材シート)とに一対の凹凸型嵌合手段を配設し、同凹凸型嵌合手段を相互に嵌合させることによって基材と表材とを接合するようにしたフロアマットが記載されている。
【0005】
さらに、特開2000−272399号公報(特許文献3)や特開平7−204155号公報(特許文献4)には、基材(フロアマット用ベースやゴム台)の周縁部に表材(表材シートやカーペットマット)を挟持するための挟持溝を形成し、同挟持溝により表材の周縁部を挟持することによって、基材と表材とを接合するようにしたフロアマットが記載されている。
【0006】
上記したような分離型の自動車用フロアマットにおいては、使用時には、基材と表材とがずれることなく接合状態を保持可能である一方で、基材に表材を取り付けるときや、表材を交換するとき等には、基材と表材とが容易に接合・分離可能であることが求められる。そのため、上記した従来の自動車用フロアマットの中でも、基材と表材との接合手段として面ファスナーを用いた前記実開平5−29847号公報(特許文献1)に記載されているような自動車用フロアマットは、従来より広く見受けられた。
【0007】
【特許文献1】
実開平5−29847号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2001−88599号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2000−272399号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平7−204155号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、面ファスナーを基材と表材それぞれの接合面全体に取り付けた場合、両者の間に不要な隙間は発生しないために、表材の上面を平らにすることができるものの、多量の面ファスナーが必要になってコストがかかると共に、接合力が強すぎて表材を基材から分離しにくくなるという不具合があった。
【0012】
しかも、面ファスナーを複数の小片にして所望の位置に取り付けた場合には、基材と表材との間に不要な隙間が発生して、面ファスナーを取り付けた箇所が隆起し、外観が悪くなると共に使用感も悪くなるという不具合があった。
【0013】
また、上記従来の自動車用フロアマットのいずれにおいても、複数の車種にわたって共通使用するための構成がなかったので、各車種毎に自動車用フロアマットを設けなければならず、製造コストが高くなってしまっていた。
【0014】
しかも、表材の摩耗を防止するための手段が設けられていなかったので、自動車用フロアマットを使用するうちに、直ぐに表材が摩耗してしまい、同表材を頻繁に取り替えなければならなかった。
【0015】
さらに、使用者の好みや車内の内装に応じて表材を取り替えることは可能であるものの、表材に表示可能な模様や色彩の自由度が低く、デザイン性に乏しかった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、複数の車種に対応可能とした共通フロアマットベースと、同共通フロアマットベースの上に配設したインナーマットとからなる自動車用フロアマットにおいて、前記共通フロアマットベースの上面に一対の面ファスナーを重合状態で収容可能な収容凹部を形成し、同収容凹部に一側面ファスナーを収容配設する一方、同一側面ファスナーに対応する他側面ファスナーを、前記インナーマットの下面に配設したことを特徴とする自動車用フロアマットを提供せんとするものである。
【0017】
また、本発明は、前記共通フロアマットベースの下面又は/及び前記インナーマットの下面に複数の穿孔用マークを設け、これら穿孔用マーク上から車種に応じて選択的に穿孔して、各車内床面に突設された係止具に係止する係止孔を形成するようにしたこと、また、前記共通フロアマットベースの上面に摩耗防止用の足当てプレートを着脱自在に配設し、同足当てプレートを挿通可能なプレート挿通孔を前記インナーマットに設けたこと、また、前記インナーマットは、下地シートと、同下地シート上に重ねて模様を施した美装シートと、同美装シート上に重ねた透明な保護シートとからなること、また、前記美装シートの模様は、印刷されていることにも特徴を有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る自動車用フロアマットは、複数の車種に対応可能とした共通フロアマットベースと、同共通フロアマットベースの上に配設したインナーマットとからなり、共通フロアマットベースの上面に一対の面ファスナーを重合状態で収容可能な収容凹部を形成し、同収容凹部に一側面ファスナーを収容配設する一方、同一側面ファスナーに対応する他側面ファスナーを、前記インナーマットの下面に配設するようにしている。
【0019】
従って、本自動車用フロアマットの使用時には、共通フロアマットベースとインナーマットとを面ファスナーによりずれることなく接合して、その接合状態を保持することが可能である。しかも、共通フロアマットベースにインナーマットを取り付けるときや、インナーマットを交換するとき等には、共通フロアマットベースとインナーマットとにそれぞれ配設した一対の面ファスナーを着脱するだけで、共通フロアマットベースとインナーマットとを容易に接合・分離することができる。
【0020】
特に、共通フロアマットベースの上面に一対の面ファスナーを収容可能な収容凹部を形成し、同収容凹部に一側面ファスナーを配設する一方、同一側面ファスナーに対応する他側面ファスナーを、前記インナーマットの下面に配設しているので、共通フロアマットベースとインナーマットとを接合した際には、インナーマットに配設した他側面ファスナーも前記収容凹部に収容して、面ファスナーを設けた部分が盛り上がらないように全体を平坦にすることができ、自動車用フロアマットの使用感や外観を向上させることができる。
【0021】
また、自動車用フロアマットは、単に車内床面に載置するだけでは位置がずれやすいので、一般的に、そのずれを防止すべく車内床面から突出した係止具に係止されることが多い。
【0022】
従って、前記共通フロアマットベースの下面又は/及び前記インナーマットの下面に各車種に対応した複数の穿孔用マークを設けておけば、本自動車用フロアマットを配設する自動車の車種に応じて、複数の穿孔用マークの中から対応する穿孔用マークを選択し、同穿孔用マーク上から穿孔して、前記係止具に係止する係止孔を形成することができる。そして、このように1つの共通フロアマットベースに各車種に応じた係止孔を形成可能とすることにより、複数の車種に対して本自動車用フロアマットを使用可能とすることができ、車種毎に共通フロアマットベースを製造する必要がないので自動車用フロアマットの製造コストを削減することができる。
【0023】
また、前記共通フロアマットベースの上面に摩耗防止用の足当てプレートを着脱自在に配設することもできる。
【0024】
かかる足当てプレートを設ければ、インナーマットの摩耗を防止して、インナーマットの耐久性を向上させることができると共に、同足当てプレートをアクセントにして自動車用フロアマットのデザインに変化を付けることもできる。
【0025】
また、足当てプレートそのものを複数種類用意しておき、それぞれに様々な模様を施して、使用者の好みや各車種の内装に応じて足当てプレートを取り替えるようにすれば、本自動車用フロアマットのデザイン性をより高めることができる。
【0026】
さらに、足当てプレートを共通フロアマットベースの上面に直接配設し、同足当てプレートを挿通可能なプレート挿通孔を前記インナーマットに設けるようにすれば、足当てプレートの着脱とインナーマットの着脱とをそれぞれ独立して行うことが可能となり、足当てプレート及びインナーマットを着脱する際の作業性を良くすることができる。
【0027】
また、前記インナーマットは、下地シートと、同下地シート上に重ねて模様を施した美装シートと、同美装シート上に重ねた透明な保護シートとから構成することができ、このようにインナーマットを3層構造とすることにより、下地シートでインナーマットの強度を保つ一方で、どのような模様を施した美装シートを用いるかによってインナーマットの模様を様々に変えて、車内を美装することができる。
【0028】
しかも、美装シートは、同美装シート上に重ねた透明な保護シートにより保護するので、材質に制限を受けることがなく、絵や写真やホログラム等の様々な形態で模様を描くことができる。従って、使用者の好みや各車種の内装に応じて、自動車用フロアマットの模様を選択することができる。なお、美装シートに施す「模様」には、いわゆる幾何学的模様だけでなく、文字やキャラクタ等の図柄や写真画像等も含まれる。
【0029】
特に、印刷により美装シートに模様を施すようにすれば、容易に且つ低コストで様々な模様を様々な色彩で美装シートに施すことができる。
【0030】
そして、前記美装シートの模様を特にホログラムとした場合には、模様に奥行きを持たせて、限られた車内空間に3次元的な広がりを生み出すことができ、より効果的に車内を美装することができる。例えば、美装シートの模様として、海中の様子をホログラムにより表現した模様を用いた場合には、海面近くにいる数匹の魚の下方に魚群があり、さらにその下方の海底に珊瑚が広がっている様子を立体的に表すことができ、あたかも座席足下の下方にさらに海中世界が広がっているかのような奥行きを持たせることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明に係る自動車用フロアマットの実施例を図面に基づき説明する。
【0032】
本実施例における自動車用フロアマットは、車内の座席足下に敷設するものであり、図1には、助手席用に形成した自動車用フロアマットA1と、運転席用に形成した自動車用フロアマットA2と、後部座席用に形成した自動車用フロアマットA3とを示している。このように、本自動車用フロアマットは、敷設する箇所に合わせて適宜形状を変えることができる。
【0033】
ここで、助手席用に形成した自動車用フロアマットA1を例にとって本自動車用フロアマットの構成を説明すると、自動車用フロアマットA1は、図1及び図7に示すように、複数の車種に対応可能とした共通フロアマットベース1と、同共通フロアマットベース1の上に配設したインナーマット2とからなる。
【0034】
共通フロアマットベース1は、天然ゴムや合成ゴムや塩化ビニル樹脂等の弾性素材によって平面視略矩形状に形成しており、任意の色で着色している。しかも、周縁部を上方に突出させて縁取り部1aを形成し、同縁取り部1aによって囲まれる凹部1eに前記インナーマット2を配設するようにしている。
【0035】
特に、縁取り部1aは、図2に示すように、内側端から外側端に向かって次第に下方に傾斜させており、しかも、縁取り部1aによって囲まれる凹部1eにインナーマット2を配設したときに、縁取り部1aの上端がインナーマット2の上面とほぼ同じ高さとなるようにしている。このように、共通フロアマットベース1とインナーマット2との継ぎ目に段差が生じないようにすれば、共通フロアマットベース1とインナーマット2との一体感を高めて自動車用フロアマットA1の使用感を向上させることができると共に、外観的にも継ぎ目の目立たない美しい形状とすることができる。
【0036】
なお、縁取り部1aは、同縁取り部1aによって囲まれる凹部1eにインナーマット2を配設したときに、その上端がインナーマット2の上面よりも下方となるように形成してもよく、その場合には、共通フロアマットベース1とインナーマット2との継ぎ目から共通フロアマットベース1の凹部1eへと砂や埃等のゴミを侵入しにくくすることができ、自動車用フロアマットA1の清掃の頻度を少なくすることができる。
【0037】
さらに、縁取り部1aは、同縁取り部1aによって囲まれる凹部1eにインナーマット2を配設したときに、その上端がインナーマット2の上面よりも上方となるように形成してもよく、その場合には、インナーマット2を共通フロアマットベース1の縁取り部1aで確実に受け止めて、インナーマット2を一層ずれにくくすることができる。
【0038】
また、縁取り部1aによって囲まれる凹部1eの形状を所定の形状に決定しておけば、車種が大きく異なっていて、座席足下の形状も明らかに異なり、共通フロアマットベース1の形状を車種に合わせて変えなければならなかったとしても、縁取り部1aの形状のみを車種に対応させて、縁取り部1aによって囲まれる凹部1eに配設するインナーマット2は、複数車種間にわたって共通して使用することができる。
【0039】
また、共通フロアマットベース1の上面、すなわち、前記縁取り部1aによって囲まれる凹部1eの底面には、図1及び図2及び図7に示すように、一対の面ファスナー3a,3bを重合状態で収容可能な収容凹部1bを前記縁取り部1aに沿って所定間隔ごとに形成している。特に、収容凹部1bは、上下幅(深さ)が重合状態の両面ファスナー3a,3bの厚みと等しくなるように形成している。そして、かかる収容凹部1bには、一対の面ファスナー3a,3bのうちの共通フロアマットベース1側である一側面ファスナー3aを収容配設している。
【0040】
また、上記共通フロアマットベース1の上面には、企業名や車種名等を表記した表示プレート4を配設している。
【0041】
さらに、共通フロアマットベース1の下面には、図3及び図4に示すように、凹状の穿孔用マーク1cを複数設けている。自動車用フロアマットA1は単に車内床面に載置するだけでは位置がずれやすいので、その位置ずれを防止すべく、通常、車内床面に突設された係止具に係止されている。前記穿孔用マーク1cは、かかる係止具に係止する係止孔1dを共通フロアマットベース1に形成する際に、穿孔箇所の目安となるものである。
【0042】
特に、本実施例では、各車種に対応した複数の穿孔用マーク1cを設けて、係止孔1dを形成する際には、これら穿孔用マーク1c上から各車種に応じて選択的に穿孔できるようにしている。従って、類似した車種間においては、係止孔1dの場所を変えるだけで、同一の共通フロアマットベース1を共通して使用することができる。
【0043】
なお、本実施例では、共通フロアマットベース1のみに係止孔1dを形成するようにしているが、これに限らず、共通フロアマットベース1とインナーマット2との両方に係止孔1dを形成し、共通フロアマットベース1とインナーマット2との両方を係止具に係止することもできる。その場合には、穿孔用マーク1cは、共通フロアマットベース1の下面だけでなくインナーマット2の下面にも設けることが望ましい。
【0044】
また、穿孔用マーク1cは、共通フロアマットベース1やインナーマット2の上面に設けることも可能である。
【0045】
さらに、穿孔用マーク1cは、単なる印刷、いわゆるプリントマーキングにて設けることも可能である。
【0046】
一方、インナーマット2は、図5に示すように、下地シート2aと、同下地シート2a上に重ねて模様dを施した美装シート2bと、同美装シート2b上に重ねた透明な保護シート2cとからなり、平面視略矩形状に形成している。
【0047】
下地シート2aは、例えば、天然ゴムや合成ゴムから生成した発泡ゴムのような弾性素材からなり、下地としてインナーマット2の強度を保っている。また、美装シート2bは、絵や写真やホログラム等によって模様dを施しており、かかる模様dとしては、文字やキャラクタ等の図柄や写真画像等を適宜選択することができる。例えば、本実施例では、図7に示すように魚の写真画像を模様dとして美装シート2bに積層印刷していているが、これに限らず、畳柄や竹細工柄や浮世絵等を模様dとして美装シートに印刷し、和風の美装を施すことも可能である。また、保護シート2cは、塩化ビニル樹脂等の透明な弾性素材からなり、美装シート2bに施した模様dが摩耗等によって消えてしまわないように美装シート2bを保護している。
【0048】
このように、インナーマット2は3層構造からなり、下地シート2aで強度を保ちながら美装シート2bで模様を施し、保護シート2cで美装シート2bを保護している。従って、絵や写真やホログラム等の様々な形態で模様を描くことができ、インナーマット2に表示する模様や色彩の自由度を広げることができる。
【0049】
なお、図6に示すように、美装シート2bや保護シート2cを用いる代わりに、前記下地シート2a上にカーペット等の耐久性の高い布地2dを貼設して、クッション性の高いインナーマット2を形成しても良い。
【0050】
また、インナーマット2の下面、すなわち下地シート2aの下面には、前記共通フロアマットベース1の上面に配設した一側面ファスナー3aに対応する他側面ファスナー3bを配設している。この他側面ファスナー3bは、インナーマット2を共通フロアマットベース1に接合した際には、共通フロアマットベース1の収容凹部1bに収容される。従って、インナーマット2を共通フロアマットベース1に接合した際に、面ファスナー3a,3bを設けた部分が盛り上がることはなく、インナーマット2を平坦な状態にすることができる。
【0051】
なお、本実施例では、共通フロアマットベース1側に重合状態の両側面ファスナー3a,3bを収納可能な収容凹部1bを形成しているが、図8に示すように、逆に、インナーマット2側に重合状態の両側面ファスナー3a,3bを収納可能な収容凹部2gを形成することも可能である。或いは、図9に示すように、共通フロアマットベース1側に一側面ファスナー3aを収容可能な収容凹部1b’を、インナーマット2側に他側面ファスナー3bを収容可能な収容凹部2g’を形成することも可能である。
【0052】
特に、共通フロアマットベース1とインナーマット2とのそれぞれに収容凹部を設ける後者の場合(図9参照)においては、収容凹部1b’,2g’の上下幅(深さ)が、重合状態の両側面ファスナー3a,3bを収容凹部に収容する場合の半分の幅(片方の面ファスナーを収容可能な幅)でよいので、共通フロアマットベース1及びインナーマット2をそれぞれ薄く形成することが可能となり、延いては、自動車用フロアマットA1の厚みを薄くすることが可能となる。
【0053】
なお、インナーマット2に収容凹部を設ける場合には、下地シート2aの下面から上面にかけて貫通する孔を設けて、かかる孔の直上方となる美装シート2bの下面に、他側面ファスナー3bを配設すればよい。そして、そのようにして設けた収容凹部に重合状態の両側面ファスナー3a,3bを収容可能とする場合には、下地シート2aの厚みと重合状態の両側面ファスナー3a,3bの厚みとを等しくし、他側面ファスナー3bのみを収容可能とする場合には、下地シート2aの厚みと他側面ファスナー3bの厚みとを等しくすればよい。
【0054】
また、インナーマット2には、前記共通フロアマットベース1の上面に配設した表示プレート4を挿通可能な表示プレート挿通孔2eを設けている。
【0055】
自動車用フロアマットA1は、上述のように構成されており、同自動車用フロアマットA1を車内床面に敷設するに際しては、まず、各車種に応じて穿孔用マーク1cを選択し、同穿孔用マーク1c上から穿孔して係止孔1dを形成する。続いて、インナーマット2に形成した表示プレート挿通孔2eに共通フロアマットベース1に配設した表示プレート4を挿通させながら、共通フロアマットベース1の一側面ファスナー3aにインナーマット2の他側面ファスナー3bを重合させて、共通フロアマットベース1とインナーマット2とを接合する。
【0056】
このとき、模様dの異なるインナーマット2を複数設けておけば、使用者の好みや各車種の内装に応じて適宜インナーマット2を選択することが可能となる。
また、前記共通フロアマットベース1も、色を違えて複数設けておけば、使用者の好みや各車種の内装に応じて適宜選択可能となる。そして、共通フロアマットベース1とインナーマット2との組み合わせによって、様々なバリエーションの自動車用フロアマットA1を設けることができる。
【0057】
また、本実施例では、前記したように、収容凹部1bの上下幅(深さ)が重合状態の両面ファスナー3a,3bの厚みと等しいので、共通フロアマットベース1の一側面ファスナー3aにインナーマット2の他側面ファスナー3bを重合させた場合には、前記収容凹部1bに両側面ファスナー3a,3bをぴったりと収容することができ、共通フロアマットベース1の上面とインナーマット2の下面との間に不要な隙間が発生しない。そのため、面ファスナー3a,3bを設けた部分を盛り上げることなく、共通フロアマットベース1に平坦な状態でインナーマット2を取り付けることができる。
【0058】
次に、自動車用フロアマットA1を車内床面に載置すると共に、車内床面に突設された係止具に自動車用フロアマットA1の係止孔1dを係止する。このようにして、自動車用フロアマットA1を車内床面に敷設することができる。
【0059】
しかも、摩耗や模様替え等によってインナーマット2を交換する場合には、共通フロアマットベース1を車内床面に敷設したままの状態でインナーマット2のみを取り外し、新たなインナーマット2に付け替えることができる。
【0060】
特に、本実施例では、表示プレート4を共通フロアマットベース1に配設すると共に、インナーマット2に形成した表示プレート挿通孔2eに前記表示プレート4を挿通させているので、表示プレート4をインナーマット2の上から取り付けた場合と比べて、インナーマット2を交換する際にわざわざ表示プレート4を取り外す必要が無く、インナーマット2の交換が容易である。
【0061】
図1に示す運転席用に形成した自動車用フロアマットA2は、上記助手席用に形成した自動車用フロアマットA1の構成に加えて、さらに共通フロアマットベース1の上面に矩形板状の台座7を連設し、同台座7上に摩耗防止用の足当てプレート5を着脱自在に配設すると共に、前記台座7及び足当てプレート5を挿通可能な足当てプレート挿通孔2fを前記インナーマット2に設けている。
【0062】
台座7は、共通フロアマットベース1と共通の素材で矩形板状に形成しており、インナーマット2の摩耗し易い箇所、すなわち、アクセルやブレーキを踏む際に運転者の足が当接する箇所の直下方となる共通フロアマットベース1の上面に一体的に連設している。
【0063】
しかも、台座7は、上面が共通フロアマットベース1の縁取り部1aの上端と略同一高さに位置している。図中、7aはビス孔である。
【0064】
足当てプレート5は、ステンレス等の金属で前記台座7の形状に対応するように矩形板状に形成しており、表面に滑り止めを兼ねた凹凸状の装飾を施している。例えば、図1には、表面に複数の円形突起を設けた足当てプレート5や、前後方向に伸延する波線状突起を設けた足当てプレート5や、文字状突起を設けた足当てプレート5や、左右方向に伸延する波線状突起を設けた足当てプレート5を示している。
【0065】
なお、上記足当てプレート5に既存のパンチングメタルを用いることも可能である。また、クラッチペダルが配設されたマニュアル車の場合には、右足用と左足用とで2つの足当てプレート5を設けることも可能である。
【0066】
そして、上記足当てプレート5は、前記台座7上に取り付けている。図中、6は足当てプレート5を台座7に取り付けるためのビスである。
【0067】
一方で、インナーマット2には、上記台座7及び足当てプレート5を挿通可能な足当てプレート挿通孔2fを設けている。
【0068】
運転席用に形成した自動車用フロアマットA2は、上記構成を除いては前記助手席用に形成した自動車用フロアマットA1と同様の構成からなる。従って、同様の構成に関しては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
なお、共通フロアマットベース1に関しては、縁取り部1aによって囲まれる凹部1eの形状を前記助手席用に形成した自動車用フロアマットA1における凹部1eの形状と同形状にしておくことが望ましい。このように同形状にしておけば、助手席用に形成するのか、運転席用に形成するのかに応じて共通フロアマットベース1の形状を変えなければならなかったとしても、縁取り部1aの形状のみを助手席用若しくは運転席用に対応させて、縁取り部1aによって囲まれる凹部1eに配設するインナーマット2は、助手席用と運転席用とで共通して使用することが可能となる。
【0070】
運転席用に形成した自動車用フロアマットA2は、上述のように構成されており、共通フロアマットベース1にインナーマット2を接合させた際には、インナーマット2に形成した足当てプレート挿通孔2fの内側に共通フロアマットベース1に配設した台座7が配置されて、台座7の上面とインナーマット2の上面とが略同一高さになり、インナーマット2の上面よりも上方に足当てプレート5が突出する。従って、インナーマット2の摩耗し易い箇所を足当てプレート5で保護して、インナーマット2が摩耗するのを防止することができ、インナーマット2の耐久性を高めることができる。
【0071】
しかも、足当てプレート5をアクセントにして自動車用フロアマットA2のデザインに変化を付けることができる。特に、図1に示すように表面の模様が異なる複数種類の足当てプレート5を用意しておけば、内装や使用者の好みに応じて足当てプレート5を選択することができる。
【0072】
さらに、足当てプレート5の着脱とインナーマット2の着脱とをそれぞれ独立して行うことができるので、足当てプレート5及びインナーマット2の交換が容易である。
【0073】
図1に示す後部座席用に形成した自動車用フロアマットA3は、同自動車用フロアマットA3を敷設する後部座席の足下の形状に合わせて、平面視で左右方向に伸延する細長い矩形状に形成している。なお、かかる構成を除いては前記助手席用に形成した自動車用フロアマットA1の構成と同様なので、同一の符号を付して他の説明を省略する。
【0074】
このように、後部座席用に形成した自動車用フロアマットA3は、運転席用や助手席用に形成した自動車用フロアマットA1,A2に比べて表面積が大きくなるので、インナーマット2の模様dをより効果的に見せることが可能となる。
【0075】
また、図10には、他実施例としての後部座席用に形成した自動車用フロアマットA4を示しており、この他実施例においては、自動車用フロアマットA4を左・右側フロアマットA4−1,A4−2と、同左・右側フロアマットA4−1,A4−2の間に配置する中央フロアマットA4−3とから構成している。なお、上記各フロアマットA4−1,A4−2,A4−3の構成は、前記助手席用に形成した自動車用フロアマットA1の構成と同様なので、同一の符号を付して他の説明を省略する。
【0076】
このように、後部座席用に形成した自動車用フロアマットA4は、3つのフロアマットA4−1,A4−2,A4−3からなるので、車体中央を前後方向にプロペラシャフトが伸延する4輪駆動車や後輪駆動車において、後部座席の足下が前記シャフトの上方となって隆起する場合にも、かかる隆起部分の両側に左・右側フロアマットA4−1,A4−2をそれぞれ敷設すると共に、隆起部分に中央フロアマットA4−3を敷設して、後部座席の足下の形状に沿って自動車用フロアマットA4を敷設することが可能となる。
【0077】
以上のようにして、自動車用フロアマットは、様々なバリエーションの中から使用者の好みに応じたものを選択し、車内床面に直接容易に敷設することができる。
【0078】
なお、上記自動車用フロアマットは、自動車用フロアマット自体を保護すべく自動車用フロアマット上に敷設される自動車用フロアトレイとして使用することも可能である。
【0079】
また、上記自動車用フロアマットは、自動車後部の荷物収納部に敷設される自動車用ラゲッジトレイとして使用することも可能である。
【0080】
さらに、上記自動車用フロアマットのうち、インナーマット2だけを単独で使用することも可能である。
【0081】
【発明の効果】
発明は上記のような形態で実施されるもので、以下の効果を奏する。
【0082】
(1)請求項1記載の本発明では、共通フロアマットベースの上面に一対の面ファスナーを重合状態で収容可能な収容凹部を形成し、同収容凹部に一側面ファスナーを収容配設する一方、同一側面ファスナーに対応する他側面ファスナーを、前記インナーマットの下面に配設したので、共通フロアマットベースとインナーマットとを接合した際には、インナーマットに配設した他側面ファスナーも前記収容凹部に収容して、面ファスナーを設けた部分が盛り上がらないようにすることができ、使用感や外観を向上させることができる。
【0083】
(2)請求項2記載の本発明では、前記共通フロアマットベースの下面又は/及び前記インナーマットに複数の穿孔用マークを設け、これら穿孔用マーク上から車種に応じて選択的に穿孔して、各車内床面に突設された係止具に係止する係止孔を形成するようにしたので、複数の車種に対して本自動車用フロアマットを使用可能とすることができ、本自動車用フロアマットの製造コストを削減することができる
(3)請求項3記載の本発明では、前記共通フロアマットベースの上面に摩耗防止用の足当てプレートを着脱自在に配設し、同足当てプレートを挿通可能なプレート挿通孔を前記インナーマットに設けたので、足当てプレートによりインナーマットの摩耗を防止して、インナーマットの耐久性を向上させることができる。
しかも、足当てプレートの着脱とインナーマットの着脱とをそれぞれ独立して行うことが可能となり、足当てプレート及びインナーマットを着脱する際の作業性を良くすることができる。さらに、足当てプレートをアクセントにして自動車用フロアマットのデザインに変化を付けることもできる。
【0084】
(4)請求項4記載の本発明では、前記インナーマットは、下地シートと、同下地シート上に重ねて模様を施した美装シートと、同美装シート上に重ねた透明な保護シートとからなるので、下地シートでインナーマットの強度を保つ一方、どのような模様を施した美装シートを用いるかによってインナーマットの模様を様々に変えて、車内を美装することができる。従って、使用者の好みや各車種の内装に応じて、自動車用フロアマットの模様を選択可能とすることができる。
【0085】
(5)請求項5記載の本発明では、前記美装シートの模様は、印刷されているので、様々な模様を様々な色彩により容易に且つ低コストで美装シートに施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用フロアマットの複数の実施例の分解斜視図である。
【図2】共通フロアマット用ベースのI−I線における断面図である。
【図3】本発明に係る自動車用フロアマットの一実施例の底面斜視図である。
【図4】自動車用フロアマットのII−II線における断面図である。
【図5】インナーマットのIII−III線における断面図である。
【図6】他実施例としてのインナーマットのIII−III線における断面図である。
【図7】本発明に係る自動車用フロアマットの一実施例の分解斜視図である。
【図8】他実施例としての収容凹部を示す自動車用フロアマットの断面図である。
【図9】他実施例としての収容凹部を示す自動車用フロアマットの断面図である。
【図10】他実施例としての自動車用フロアマットの分解斜視図である。
【符号の説明】
A1 自動車用フロアマット
A2 自動車用フロアマット
A3 自動車用フロアマット
A4 自動車用フロアマット
1 共通フロアマットベース
1b 収容凹部
1c 穿孔用マーク
1d 係止孔
2 インナーマット
2a 下地シート
2b 美装シート
2c 保護シート
2f 足当てプレート挿通孔
3a,3b  面ファスナー
5 足当てプレート

Claims (5)

  1. 複数の車種に対応可能とした共通フロアマットベースと、同共通フロアマットベースの上に配設したインナーマットとからなる自動車用フロアマットにおいて、
    前記共通フロアマットベースの上面に一対の面ファスナーを重合状態で収容可能な収容凹部を形成し、同収容凹部に一側面ファスナーを収容配設する一方、同一側面ファスナーに対応する他側面ファスナーを、前記インナーマットの下面に配設したことを特徴とする自動車用フロアマット。
  2. 前記共通フロアマットベースの下面又は/及び前記インナーマットの下面に複数の穿孔用マークを設け、これら穿孔用マーク上から車種に応じて選択的に穿孔して、各車内床面に突設された係止具に係止する係止孔を形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動車用フロアマット。
  3. 前記共通フロアマットベースの上面に摩耗防止用の足当てプレートを着脱自在に配設し、同足当てプレートを挿通可能なプレート挿通孔を前記インナーマットに設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動車用フロアマット。
  4. 前記インナーマットは、下地シートと、同下地シート上に重ねて模様を施した美装シートと、同美装シート上に重ねた透明な保護シートとからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用フロアマット。
  5. 前記美装シートの模様は、印刷されていることを特徴とする請求項4記載の自動車用フロアマット。
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