JP2004098087A - レーザ加工装置およびレーザ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工品質を向上させる。
【解決手段】制御装置3は、レーザ発振器21および偏向装置23を制御して、ウエハWの表面に照射されるパルスレーザ光をX軸方向に走査させ、また、XY駆動機構12を制御して、ウエハWをウエハステージ1ごとY軸方向に移動させることにより、ウエハWの表面上の予め定められた薄膜除去対象領域(加工対象領域)にパルスレーザ光を照射させる。また、制御装置3は、XY駆動機構12、レーザ発振器21および偏向装置23を制御する一方で、薄膜除去対象領域に照射されるパルスレーザ光の光強度分布が薄膜除去対象領域の形状、除去対象である表面薄膜の材質および表面薄膜の直下の薄膜(下地薄膜)の材質に応じた適切な光強度分布となるように、強度変調装置22を制御して、レーザ発振器21から発振される各パルスレーザ光の光強度を変調する。
【選択図】 図1
【解決手段】制御装置3は、レーザ発振器21および偏向装置23を制御して、ウエハWの表面に照射されるパルスレーザ光をX軸方向に走査させ、また、XY駆動機構12を制御して、ウエハWをウエハステージ1ごとY軸方向に移動させることにより、ウエハWの表面上の予め定められた薄膜除去対象領域(加工対象領域)にパルスレーザ光を照射させる。また、制御装置3は、XY駆動機構12、レーザ発振器21および偏向装置23を制御する一方で、薄膜除去対象領域に照射されるパルスレーザ光の光強度分布が薄膜除去対象領域の形状、除去対象である表面薄膜の材質および表面薄膜の直下の薄膜(下地薄膜)の材質に応じた適切な光強度分布となるように、強度変調装置22を制御して、レーザ発振器21から発振される各パルスレーザ光の光強度を変調する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板の表面に形成されている薄膜などの被加工物をレーザ光で加工するレーザ加工装置およびレーザ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程では、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の表面に形成されている薄膜が局所的に除去されたり、局所的に加熱されたりすることがある。このようなウエハ表面の薄膜の局所的な除去によるパターン加工や局所的な加熱による熱処理加工のための装置として、最近では、ウエハ表面にレーザ光を照射して、そのウエハ表面に形成されている薄膜を加工するレーザ加工装置が注目されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、従来のレーザ加工装置の構成を概念的に示す図である。従来のレーザ加工装置は、レーザ光を発振するレーザ発振器91と、レーザ発振器91からのレーザ光の断面形状をウエハWの表面の加工対象領域(レーザ光を照射すべき領域)に対応した形状に整形するためのマスク92と、このマスク92で整形されたレーザ光をウエハWの表面の加工対象領域に集光させるためのレンズ93とを備えている。
【0004】
レーザ発振器91からのレーザ光は、たとえば、ほぼ水平方向に進み、反射ミラー94で光路がほぼ鉛直下向きに曲げられて、マスク92のウエハWと対向する面と反対側の面(上面)に照射されるようになっている。マスク92には、ウエハWの表面の加工対象領域に対応した形状の開口921が形成されており、マスク92の上面に照射されたレーザ光は、その一部が開口921を通過することによって、断面形状が開口921の形状(加工対象領域に対応した形状)に整形される。そして、その整形されたレーザ光は、レンズ93の働きにより、ウエハWの表面の加工対象領域に集めて照射される。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−113779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
こうしてウエハWの表面の加工対象領域にレーザ光が一括照射されるのであるが、一般にはレーザ発振器91と反射ミラー94との間にビームエキスパンダやホモジナイザなどを用いて強度分布ができる限り均一に調整され、またマスク92も通常矩形となっているので、照射されるレーザ光は、図5に示すように、ほぼ一様な矩形の光強度分布(エネルギー分布)を有している。ゆえに、ウエハWの加工対象領域を均一な光強度分布で照射すれば十分な加工品質が得られ、また加工対象領域の形状が必ず矩形である場合には何ら問題はなかった。
【0007】
ところが、加工対象領域内の薄膜に材質(特性)の異なる部分が存在する場合、その部分的な材質の違いが原因で加工むらを生じるおそれがあった。また、多層構造の半導体装置のためのウエハWでは、加工対象となる薄膜95の下層の別の薄膜(下地薄膜)96に部分的な材質の違いが原因で加工むらを生じるおそれがあった。また、加工対象領域と非加工領域の境界付近での光強度を大きく或いは小さくした方が望ましい場合や、加工領域が矩形以外の場合には全く対応できなかった。
【0008】
そこで、この発明の目的は、優れた加工品質を達成することができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、被加工物(C1)上の加工対象領域にレーザ光を照射するためのレーザ光照射手段(2,20)と、このレーザ光照射手段によって上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御する光強度分布制御手段(3,22,26)とを含むことを特徴とするレーザ加工装置である。
【0010】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この発明によれば、加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御することができる。
これにより、たとえば、請求項6に記載のように、上記光強度分布制御手段が、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を、上記加工対象領域の形状、被加工物の材質もしくは被加工物の下層の材質、またはこれらの組み合わせにより定まる上記加工対象領域内の光学的条件に応じた適切な光強度分布に制御するものであれば、加工対象領域の形状が明瞭で、加工対象領域がむらなく加工された被加工物を得ることができる。
【0011】
この場合、上記光強度分布制御手段は、上記加工対象領域内の光学的条件を解析して作成された光強度分布データをメモリなどの記憶手段に保持していて、この記憶手段に保持されている光強度分布データに基づいて、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御するものであってもよい。
上記レーザ光照射手段は、請求項2に記載のように、レーザ光を発振するレーザ発振器(21)を備え、このレーザ発振器からのレーザ光を被加工物上で2次元的に走査させることにより、上記加工対象領域へのレーザ光の照射を達成するものであってもよいし、請求項4に記載のように、レーザ光を発振するレーザ発振器(21)と、このレーザ発振器からのレーザ光を受光して、上記加工対象領域に照射すべき多数本のレーザ光を出射する空間変調素子(26)とを備えたものであってもよい。これらの構成によれば、加工対象領域の形状を任意の形状に定めることができる。
【0012】
また、上記レーザ光照射手段が請求項2の構成を有する場合には、上記光強度分布制御手段は、請求項3に記載のように、上記レーザ発振器からのレーザ光の光強度を変調する強度変調手段(22)を備え、この強度変調手段を制御することにより、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布の制御を達成するものであってもよい。
さらに、上記レーザ光照射手段が請求項4の構成を有する場合には、上記光強度分布制御手段は、請求項5に記載のように、上記空間変調素子を制御することにより、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布の制御を達成するものであってもよい。
【0013】
上記レーザ加工装置は、請求項7に記載のように、基板表面の薄膜上の加工対象領域にレーザ光を照射して、その加工対象領域内の薄膜をレーザアブレーション現象で除去するレーザ薄膜除去装置であってもよい。
請求項8記載の発明は、被加工物(C1)上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、被加工物上でレーザ光を2次元的に走査させることにより、上記加工対象領域へのレーザ光の照射を達成するステップと、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御するステップとを含むことを特徴とするレーザ加工方法である。
【0014】
この方法によれば、加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御することができる。また、加工対象領域を任意の形状に定めることができる。
請求項9記載の発明は、被加工物(C1)上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、レーザ発振器(21)からレーザ光を発振させるステップと、このレーザ発振器からのレーザ光を空間変調素子(26)で受光して、その空間変調素子から上記加工対象領域に照射すべき多数本のレーザ光を出射するステップと、上記空間変調素子を制御して、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御するステップとを含むことを特徴とするレーザ加工方法である。
【0015】
この方法によれば、加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御することができる。また、加工対象領域の形状を任意の形状に定めることができる。
請求項10記載の発明は、被加工物(C1)上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、上記加工対象領域にレーザ光を照射するステップと、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を、上記加工対象領域の形状、被加工物の材質もしくは被加工物の下層の材質、またはこれらの組み合わせにより定まる上記加工対象領域内の光学的条件に応じた適切な光強度分布に制御するステップとを含むことを特徴とするレーザ加工方法である。
【0016】
この方法によれば、加工対象領域の形状が明瞭で、加工対象領域がむらなく加工された被加工物を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るレーザ薄膜除去装置(レーザ加工装置)の構成を概念的に示す図である。このレーザ薄膜除去装置は、たとえば、半導体製造工程中の露光処理に先立ち、基板の一例であるウエハWの表面に形成されているレジスト膜や反射防止膜などの薄膜(表面薄膜)を局所的に除去して、その下層の薄膜内に形成されたアライメントマークを露出させるために用いられるものであり、ほぼ水平なウエハ載置面11を有するウエハステージ1と、ウエハステージ1のウエハ載置面11上に載置されたウエハWの上面(表面)にレーザ光を照射するためのレーザ照射系2と、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置3とを備えている。
【0018】
ウエハステージ1には、このウエハステージ1を水平なX−Y平面内で移動させるためのXY駆動機構12が結合されている。ウエハステージ1のウエハ載置面11にウエハWを載置した状態でXY駆動機構12を動作させることにより、ウエハWをウエハステージ1ごとX−Y軸方向に移動させることができ、このウエハWのX−Y軸方向の移動によって、ウエハWの表面に対するレーザ照射系2からのレーザ光の照射位置を変えることができる。
【0019】
レーザ照射系2には、パルスレーザ光を発振するレーザ発振器21と、レーザ発振器21からのパルスレーザ光の光強度を変調する強度変調装置22と、強度変調装置22による光強度変調後のパルスレーザ光をX−Y平面と垂直なZ軸方向に走査させる偏向装置23と、偏向装置23から出力されるパルスレーザ光をウエハWの表面上に所定の縮小倍率(たとえば、1/20)で集光させるための集光レンズ24とが含まれている。
【0020】
レーザ発振器21は、たとえば、波長が355nmのUVレーザ光を一定の周波数f(たとえば、50Hz)でパルス発振するものであり、パルスレーザ光がほぼ水平方向に進むように配置されている。
強度変調装置22は、レーザ発振器21からのパルスレーザ光の発振に同期して、レーザ発振器21から発振される各パルスレーザ光の光強度を変調できる高速動作性が必要であり、電気光学効果や音響光学効果を用いたものが望ましい。
【0021】
強度変調装置22から出射されるパルスレーザ光は、ほぼ水平方向に進んで、偏向装置23に入射する。偏向装置23には、高速回転可能なガルバノミラーまたはポリゴンミラーなどの回転ミラーを有する光学スキャナが備えられている。光学スキャナは、たとえば、回転ミラーがY軸にほぼ沿った軸線まわりに回転するように配置されており、偏向装置23に入射したパルスレーザ光は、たとえば、偏向装置23内の反射ミラーで光路が鉛直方向(Z軸方向)に曲げられた後、光学スキャナの回転ミラーに入射して反射されるようになっている。これにより、回転ミラーをパルスレーザ光の発振に同期して回転させることによって、偏向装置23から出射されるパルスレーザ光の進行方向(回転ミラーでの反射方向)をX−Z平面における一定の角度範囲内で変えることができ、パルスレーザ光をZ軸に沿った一方向に走査させることができる。
【0022】
偏向装置23から出射されるパルスレーザ光は、反射ミラー25によって光路が下方に曲げられて、ウエハステージ1上のウエハWの表面に対向配置された集光レンズ24に導かれる。パルスレーザ光の光路が反射ミラー25で下方に曲げられることにより、パルスレーザ光の走査方向は、Z軸に沿った一方向からX軸に沿った一方向に変えられる。よって、集光レンズ24を通過したパルスレーザ光がウエハWの表面に形成するビームスポットは、ウエハWの表面をX軸に沿って一方向に移動することになる。
【0023】
制御装置3は、レーザ発振器21および偏向装置23を制御して、ウエハWの表面に照射されるパルスレーザ光をX軸方向に走査させ、また、XY駆動機構12を制御して、ウエハWをウエハステージ1ごとY軸方向に移動させることにより、ウエハWの表面上の予め定められた薄膜除去対象領域(加工対象領域)にパルスレーザ光を照射させる。すなわち、この実施形態のレーザ薄膜除去装置では、パルスレーザ光のX軸方向の走査とウエハW(ウエハステージ1)のY軸方向の移動との組み合わせにより、薄膜除去対象領域へのパルスレーザ光の照射が達成される。パルスレーザ光が照射された薄膜除去対象領域では、表面薄膜が爆発的に気化するアブレーション現象が生じ、その結果、薄膜除去対象領域内の表面薄膜が除去される。
【0024】
また、制御装置3は、XY駆動機構12、レーザ発振器21および偏向装置23を制御する一方で、薄膜除去対象領域に照射されるパルスレーザ光の光強度分布が、薄膜除去対象領域の形状、除去対象である表面薄膜の材質および表面薄膜の直下の薄膜(下地薄膜)の材質により定まる薄膜除去対象領域内の光学的条件に応じた適切な光強度分布となるように、強度変調装置22を制御して、レーザ発振器21から発振される各パルスレーザ光の光強度を変調する。具体的には、薄膜除去対象領域内の光学的条件を解析して作成された光強度分布データが、制御装置3に内蔵されたメモリに保持されていて、制御装置3は、そのメモリに保持されている光強度分布データに基づいて強度変調装置22を制御する。
【0025】
より具体的には、たとえば、薄膜除去対象領域の形状(輪郭)を明瞭にするため、図2に示すように、薄膜除去対象領域のエッジ部分に照射するパルスレーザ光の光強度を、薄膜除去対象領域の中央部に照射されるパルスレーザ光の光強度よりも大きくする。
また、薄膜除去対象領域の中央部については、図2に示すように、薄膜除去対象領域内の表面薄膜C1および下地薄膜C2に部分的に材質の異なるパターンが存在している場合には、ウエハWの表面に照射される各パルスレーザ光ごとに表面薄膜C1および下地薄膜C2の材質に応じた光強度を予め求めておき、レーザ発振器21からの各パルスレーザ光の光強度をそれぞれ予め求めておいた光強度に制御する。表面薄膜C1および下地薄膜C2の材質に応じた各パルスレーザ光の光強度は、たとえば、ウエハWの設計データに基づくシミュレーションにより求めてもよいし、ウエハWの表面にパルスレーザ光を実際に照射する実験により求めてもよい。
【0026】
なお、図2において、表面薄膜C1および下地薄膜C2に付されているハッチングの違いは材質の違いを表している。
このような光強度分布制御により、薄膜除去対象領域の形状が明瞭で、かつ、下地薄膜C2に不所望なダメージを与えることなく、薄膜除去対象領域内の表面薄膜C1がむらなく除去されたウエハWを得ることができる。
また、この実施形態のレーザ薄膜除去装置では、パルスレーザ光のX軸方向の走査とウエハWのY軸方向の移動との組み合わせにより、薄膜除去対象領域へのパルスレーザ光の照射が達成されるので、薄膜除去対象領域の形状を任意の形状に定めることができる。
【0027】
なお、この実施形態では、パルスレーザ光のX軸方向の走査とウエハWのY軸方向の移動との組み合わせにより、薄膜除去対象領域上でのパルスレーザ光の2次元走査が達成される構成を例にとったが、たとえば、XY駆動機構12を制御して、ウエハWをX軸方向およびY軸方向へ移動させることにより、薄膜除去対象領域上でのパルスレーザ光の2次元走査が達成されるようにしてもよい。また、偏向装置23に2つのガルバノミラー型光学スキャナまたはポリゴンミラー型光学スキャナを設けて、偏向装置23の制御のみによって、薄膜除去対象領域上でのパルスレーザ光の2次元走査が達成されるようにしてもよい。
【0028】
図3は、この発明の他の実施形態に係るレーザ薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。この図3において、図1に示す各部に相当する部分には、図1の場合と同じ参照符号を付している。
このレーザ薄膜除去装置のレーザ照射系20には、パルスレーザ光を発振するレーザ発振器21と、レーザ発振器21からのパルスレーザ光を受光して、ウエハWの表面の薄膜除去対象領域に照射すべき多数本のパルスレーザ光を出射する空間変調素子26と、空間変調素子26から出射されるパルスレーザ光をウエハWの表面上に所定の縮小倍率(たとえば、1/20)で集光させるための集光レンズ24とが備えられている。
【0029】
空間変調素子26は、たとえば、1024×1024個のマトリクス状に液晶シャッタが配置された液晶シャッタアレイを有し、各液晶シャッタごとにパルスレーザ光を変調して出射する透過型液晶素子であり、液晶シャッタアレイの動作は、制御装置3によって制御されるようになっている。制御装置3は、ウエハWの表面に設定された薄膜除去対象領域のみにパルスレーザ光が照射され、さらに、その薄膜除去対象領域に照射されるパルスレーザ光の光強度分布が薄膜除去対象領域の形状、除去対象である表面薄膜の材質および表面薄膜の直下の薄膜(下地薄膜)の材質に応じた適切な光強度分布となるように、液晶シャッタアレイの動作を制御して、空間変調素子26から出射される各パルスレーザ光の光強度を変調させる。
【0030】
この構成によっても、第1の実施形態の構成と同様な効果を奏することができる。すなわち、薄膜除去対象領域の形状が明瞭で、かつ、下地薄膜C2に不所望なダメージを与えることなく、薄膜除去対象領域内の表面薄膜C1がむらなく除去されたウエハWを得ることができる。また、薄膜除去対象領域の形状を任意の形状に定めることができる。
なお、空間変調素子26は、透過型液晶素子に限らず、傾き角を個別に制御可能な多数個の微小ミラーが半導体基板上にマトリクス状に配置された構成を有し、レーザ発振器21からのパルスレーザ光を微小ミラーで反射させて、ウエハWの表面の薄膜除去対象領域に照射すべき多数本のパルスレーザ光を出射するデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD:Digital Micromirror Device)であってもよい。この場合、空間変調素子26は、たとえば、反射ミラー25の位置に配置されるとよい。
【0031】
以上、この発明の2つの実施形態を説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することも可能である。たとえば、上記の各実施形態では、レーザ加工装置の一例としてレーザ薄膜除去装置を取り上げたが、レーザ加工装置は、被加工物をレーザ光で局所的に加熱するレーザアニール装置であってもよい。
また、ウエハWの表面の薄膜を加工(除去)する場合を例にとったが、レーザ加工装置の加工対象となる被加工物は、たとえば、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの表面に形成された薄膜であってもよいし、それらの基板自体であってもよい。
【0032】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るレーザ薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】薄膜除去対象領域(加工対象領域)に照射されるレーザ光の光強度分布について説明するための図解図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係るレーザ薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。
【図4】従来のレーザ加工装置の構成を概念的に示す図である。
【図5】従来のレーザ加工装置によって加工対象領域に照射されるレーザ光の強度分布(エネルギー分布)を示す図である。
【符号の説明】
1 ウエハステージ
2 レーザ照射系
3 制御装置
12 駆動機構
20 レーザ照射系
21 レーザ発振器
22 強度変調装置
23 偏向装置
24 集光レンズ
25 反射ミラー
26 空間変調素子
C1 表面薄膜
C2 下地薄膜
W ウエハ
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板の表面に形成されている薄膜などの被加工物をレーザ光で加工するレーザ加工装置およびレーザ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程では、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の表面に形成されている薄膜が局所的に除去されたり、局所的に加熱されたりすることがある。このようなウエハ表面の薄膜の局所的な除去によるパターン加工や局所的な加熱による熱処理加工のための装置として、最近では、ウエハ表面にレーザ光を照射して、そのウエハ表面に形成されている薄膜を加工するレーザ加工装置が注目されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、従来のレーザ加工装置の構成を概念的に示す図である。従来のレーザ加工装置は、レーザ光を発振するレーザ発振器91と、レーザ発振器91からのレーザ光の断面形状をウエハWの表面の加工対象領域(レーザ光を照射すべき領域)に対応した形状に整形するためのマスク92と、このマスク92で整形されたレーザ光をウエハWの表面の加工対象領域に集光させるためのレンズ93とを備えている。
【0004】
レーザ発振器91からのレーザ光は、たとえば、ほぼ水平方向に進み、反射ミラー94で光路がほぼ鉛直下向きに曲げられて、マスク92のウエハWと対向する面と反対側の面(上面)に照射されるようになっている。マスク92には、ウエハWの表面の加工対象領域に対応した形状の開口921が形成されており、マスク92の上面に照射されたレーザ光は、その一部が開口921を通過することによって、断面形状が開口921の形状(加工対象領域に対応した形状)に整形される。そして、その整形されたレーザ光は、レンズ93の働きにより、ウエハWの表面の加工対象領域に集めて照射される。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−113779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
こうしてウエハWの表面の加工対象領域にレーザ光が一括照射されるのであるが、一般にはレーザ発振器91と反射ミラー94との間にビームエキスパンダやホモジナイザなどを用いて強度分布ができる限り均一に調整され、またマスク92も通常矩形となっているので、照射されるレーザ光は、図5に示すように、ほぼ一様な矩形の光強度分布(エネルギー分布)を有している。ゆえに、ウエハWの加工対象領域を均一な光強度分布で照射すれば十分な加工品質が得られ、また加工対象領域の形状が必ず矩形である場合には何ら問題はなかった。
【0007】
ところが、加工対象領域内の薄膜に材質(特性)の異なる部分が存在する場合、その部分的な材質の違いが原因で加工むらを生じるおそれがあった。また、多層構造の半導体装置のためのウエハWでは、加工対象となる薄膜95の下層の別の薄膜(下地薄膜)96に部分的な材質の違いが原因で加工むらを生じるおそれがあった。また、加工対象領域と非加工領域の境界付近での光強度を大きく或いは小さくした方が望ましい場合や、加工領域が矩形以外の場合には全く対応できなかった。
【0008】
そこで、この発明の目的は、優れた加工品質を達成することができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、被加工物(C1)上の加工対象領域にレーザ光を照射するためのレーザ光照射手段(2,20)と、このレーザ光照射手段によって上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御する光強度分布制御手段(3,22,26)とを含むことを特徴とするレーザ加工装置である。
【0010】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この発明によれば、加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御することができる。
これにより、たとえば、請求項6に記載のように、上記光強度分布制御手段が、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を、上記加工対象領域の形状、被加工物の材質もしくは被加工物の下層の材質、またはこれらの組み合わせにより定まる上記加工対象領域内の光学的条件に応じた適切な光強度分布に制御するものであれば、加工対象領域の形状が明瞭で、加工対象領域がむらなく加工された被加工物を得ることができる。
【0011】
この場合、上記光強度分布制御手段は、上記加工対象領域内の光学的条件を解析して作成された光強度分布データをメモリなどの記憶手段に保持していて、この記憶手段に保持されている光強度分布データに基づいて、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御するものであってもよい。
上記レーザ光照射手段は、請求項2に記載のように、レーザ光を発振するレーザ発振器(21)を備え、このレーザ発振器からのレーザ光を被加工物上で2次元的に走査させることにより、上記加工対象領域へのレーザ光の照射を達成するものであってもよいし、請求項4に記載のように、レーザ光を発振するレーザ発振器(21)と、このレーザ発振器からのレーザ光を受光して、上記加工対象領域に照射すべき多数本のレーザ光を出射する空間変調素子(26)とを備えたものであってもよい。これらの構成によれば、加工対象領域の形状を任意の形状に定めることができる。
【0012】
また、上記レーザ光照射手段が請求項2の構成を有する場合には、上記光強度分布制御手段は、請求項3に記載のように、上記レーザ発振器からのレーザ光の光強度を変調する強度変調手段(22)を備え、この強度変調手段を制御することにより、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布の制御を達成するものであってもよい。
さらに、上記レーザ光照射手段が請求項4の構成を有する場合には、上記光強度分布制御手段は、請求項5に記載のように、上記空間変調素子を制御することにより、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布の制御を達成するものであってもよい。
【0013】
上記レーザ加工装置は、請求項7に記載のように、基板表面の薄膜上の加工対象領域にレーザ光を照射して、その加工対象領域内の薄膜をレーザアブレーション現象で除去するレーザ薄膜除去装置であってもよい。
請求項8記載の発明は、被加工物(C1)上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、被加工物上でレーザ光を2次元的に走査させることにより、上記加工対象領域へのレーザ光の照射を達成するステップと、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御するステップとを含むことを特徴とするレーザ加工方法である。
【0014】
この方法によれば、加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御することができる。また、加工対象領域を任意の形状に定めることができる。
請求項9記載の発明は、被加工物(C1)上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、レーザ発振器(21)からレーザ光を発振させるステップと、このレーザ発振器からのレーザ光を空間変調素子(26)で受光して、その空間変調素子から上記加工対象領域に照射すべき多数本のレーザ光を出射するステップと、上記空間変調素子を制御して、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御するステップとを含むことを特徴とするレーザ加工方法である。
【0015】
この方法によれば、加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御することができる。また、加工対象領域の形状を任意の形状に定めることができる。
請求項10記載の発明は、被加工物(C1)上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、上記加工対象領域にレーザ光を照射するステップと、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を、上記加工対象領域の形状、被加工物の材質もしくは被加工物の下層の材質、またはこれらの組み合わせにより定まる上記加工対象領域内の光学的条件に応じた適切な光強度分布に制御するステップとを含むことを特徴とするレーザ加工方法である。
【0016】
この方法によれば、加工対象領域の形状が明瞭で、加工対象領域がむらなく加工された被加工物を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るレーザ薄膜除去装置(レーザ加工装置)の構成を概念的に示す図である。このレーザ薄膜除去装置は、たとえば、半導体製造工程中の露光処理に先立ち、基板の一例であるウエハWの表面に形成されているレジスト膜や反射防止膜などの薄膜(表面薄膜)を局所的に除去して、その下層の薄膜内に形成されたアライメントマークを露出させるために用いられるものであり、ほぼ水平なウエハ載置面11を有するウエハステージ1と、ウエハステージ1のウエハ載置面11上に載置されたウエハWの上面(表面)にレーザ光を照射するためのレーザ照射系2と、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置3とを備えている。
【0018】
ウエハステージ1には、このウエハステージ1を水平なX−Y平面内で移動させるためのXY駆動機構12が結合されている。ウエハステージ1のウエハ載置面11にウエハWを載置した状態でXY駆動機構12を動作させることにより、ウエハWをウエハステージ1ごとX−Y軸方向に移動させることができ、このウエハWのX−Y軸方向の移動によって、ウエハWの表面に対するレーザ照射系2からのレーザ光の照射位置を変えることができる。
【0019】
レーザ照射系2には、パルスレーザ光を発振するレーザ発振器21と、レーザ発振器21からのパルスレーザ光の光強度を変調する強度変調装置22と、強度変調装置22による光強度変調後のパルスレーザ光をX−Y平面と垂直なZ軸方向に走査させる偏向装置23と、偏向装置23から出力されるパルスレーザ光をウエハWの表面上に所定の縮小倍率(たとえば、1/20)で集光させるための集光レンズ24とが含まれている。
【0020】
レーザ発振器21は、たとえば、波長が355nmのUVレーザ光を一定の周波数f(たとえば、50Hz)でパルス発振するものであり、パルスレーザ光がほぼ水平方向に進むように配置されている。
強度変調装置22は、レーザ発振器21からのパルスレーザ光の発振に同期して、レーザ発振器21から発振される各パルスレーザ光の光強度を変調できる高速動作性が必要であり、電気光学効果や音響光学効果を用いたものが望ましい。
【0021】
強度変調装置22から出射されるパルスレーザ光は、ほぼ水平方向に進んで、偏向装置23に入射する。偏向装置23には、高速回転可能なガルバノミラーまたはポリゴンミラーなどの回転ミラーを有する光学スキャナが備えられている。光学スキャナは、たとえば、回転ミラーがY軸にほぼ沿った軸線まわりに回転するように配置されており、偏向装置23に入射したパルスレーザ光は、たとえば、偏向装置23内の反射ミラーで光路が鉛直方向(Z軸方向)に曲げられた後、光学スキャナの回転ミラーに入射して反射されるようになっている。これにより、回転ミラーをパルスレーザ光の発振に同期して回転させることによって、偏向装置23から出射されるパルスレーザ光の進行方向(回転ミラーでの反射方向)をX−Z平面における一定の角度範囲内で変えることができ、パルスレーザ光をZ軸に沿った一方向に走査させることができる。
【0022】
偏向装置23から出射されるパルスレーザ光は、反射ミラー25によって光路が下方に曲げられて、ウエハステージ1上のウエハWの表面に対向配置された集光レンズ24に導かれる。パルスレーザ光の光路が反射ミラー25で下方に曲げられることにより、パルスレーザ光の走査方向は、Z軸に沿った一方向からX軸に沿った一方向に変えられる。よって、集光レンズ24を通過したパルスレーザ光がウエハWの表面に形成するビームスポットは、ウエハWの表面をX軸に沿って一方向に移動することになる。
【0023】
制御装置3は、レーザ発振器21および偏向装置23を制御して、ウエハWの表面に照射されるパルスレーザ光をX軸方向に走査させ、また、XY駆動機構12を制御して、ウエハWをウエハステージ1ごとY軸方向に移動させることにより、ウエハWの表面上の予め定められた薄膜除去対象領域(加工対象領域)にパルスレーザ光を照射させる。すなわち、この実施形態のレーザ薄膜除去装置では、パルスレーザ光のX軸方向の走査とウエハW(ウエハステージ1)のY軸方向の移動との組み合わせにより、薄膜除去対象領域へのパルスレーザ光の照射が達成される。パルスレーザ光が照射された薄膜除去対象領域では、表面薄膜が爆発的に気化するアブレーション現象が生じ、その結果、薄膜除去対象領域内の表面薄膜が除去される。
【0024】
また、制御装置3は、XY駆動機構12、レーザ発振器21および偏向装置23を制御する一方で、薄膜除去対象領域に照射されるパルスレーザ光の光強度分布が、薄膜除去対象領域の形状、除去対象である表面薄膜の材質および表面薄膜の直下の薄膜(下地薄膜)の材質により定まる薄膜除去対象領域内の光学的条件に応じた適切な光強度分布となるように、強度変調装置22を制御して、レーザ発振器21から発振される各パルスレーザ光の光強度を変調する。具体的には、薄膜除去対象領域内の光学的条件を解析して作成された光強度分布データが、制御装置3に内蔵されたメモリに保持されていて、制御装置3は、そのメモリに保持されている光強度分布データに基づいて強度変調装置22を制御する。
【0025】
より具体的には、たとえば、薄膜除去対象領域の形状(輪郭)を明瞭にするため、図2に示すように、薄膜除去対象領域のエッジ部分に照射するパルスレーザ光の光強度を、薄膜除去対象領域の中央部に照射されるパルスレーザ光の光強度よりも大きくする。
また、薄膜除去対象領域の中央部については、図2に示すように、薄膜除去対象領域内の表面薄膜C1および下地薄膜C2に部分的に材質の異なるパターンが存在している場合には、ウエハWの表面に照射される各パルスレーザ光ごとに表面薄膜C1および下地薄膜C2の材質に応じた光強度を予め求めておき、レーザ発振器21からの各パルスレーザ光の光強度をそれぞれ予め求めておいた光強度に制御する。表面薄膜C1および下地薄膜C2の材質に応じた各パルスレーザ光の光強度は、たとえば、ウエハWの設計データに基づくシミュレーションにより求めてもよいし、ウエハWの表面にパルスレーザ光を実際に照射する実験により求めてもよい。
【0026】
なお、図2において、表面薄膜C1および下地薄膜C2に付されているハッチングの違いは材質の違いを表している。
このような光強度分布制御により、薄膜除去対象領域の形状が明瞭で、かつ、下地薄膜C2に不所望なダメージを与えることなく、薄膜除去対象領域内の表面薄膜C1がむらなく除去されたウエハWを得ることができる。
また、この実施形態のレーザ薄膜除去装置では、パルスレーザ光のX軸方向の走査とウエハWのY軸方向の移動との組み合わせにより、薄膜除去対象領域へのパルスレーザ光の照射が達成されるので、薄膜除去対象領域の形状を任意の形状に定めることができる。
【0027】
なお、この実施形態では、パルスレーザ光のX軸方向の走査とウエハWのY軸方向の移動との組み合わせにより、薄膜除去対象領域上でのパルスレーザ光の2次元走査が達成される構成を例にとったが、たとえば、XY駆動機構12を制御して、ウエハWをX軸方向およびY軸方向へ移動させることにより、薄膜除去対象領域上でのパルスレーザ光の2次元走査が達成されるようにしてもよい。また、偏向装置23に2つのガルバノミラー型光学スキャナまたはポリゴンミラー型光学スキャナを設けて、偏向装置23の制御のみによって、薄膜除去対象領域上でのパルスレーザ光の2次元走査が達成されるようにしてもよい。
【0028】
図3は、この発明の他の実施形態に係るレーザ薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。この図3において、図1に示す各部に相当する部分には、図1の場合と同じ参照符号を付している。
このレーザ薄膜除去装置のレーザ照射系20には、パルスレーザ光を発振するレーザ発振器21と、レーザ発振器21からのパルスレーザ光を受光して、ウエハWの表面の薄膜除去対象領域に照射すべき多数本のパルスレーザ光を出射する空間変調素子26と、空間変調素子26から出射されるパルスレーザ光をウエハWの表面上に所定の縮小倍率(たとえば、1/20)で集光させるための集光レンズ24とが備えられている。
【0029】
空間変調素子26は、たとえば、1024×1024個のマトリクス状に液晶シャッタが配置された液晶シャッタアレイを有し、各液晶シャッタごとにパルスレーザ光を変調して出射する透過型液晶素子であり、液晶シャッタアレイの動作は、制御装置3によって制御されるようになっている。制御装置3は、ウエハWの表面に設定された薄膜除去対象領域のみにパルスレーザ光が照射され、さらに、その薄膜除去対象領域に照射されるパルスレーザ光の光強度分布が薄膜除去対象領域の形状、除去対象である表面薄膜の材質および表面薄膜の直下の薄膜(下地薄膜)の材質に応じた適切な光強度分布となるように、液晶シャッタアレイの動作を制御して、空間変調素子26から出射される各パルスレーザ光の光強度を変調させる。
【0030】
この構成によっても、第1の実施形態の構成と同様な効果を奏することができる。すなわち、薄膜除去対象領域の形状が明瞭で、かつ、下地薄膜C2に不所望なダメージを与えることなく、薄膜除去対象領域内の表面薄膜C1がむらなく除去されたウエハWを得ることができる。また、薄膜除去対象領域の形状を任意の形状に定めることができる。
なお、空間変調素子26は、透過型液晶素子に限らず、傾き角を個別に制御可能な多数個の微小ミラーが半導体基板上にマトリクス状に配置された構成を有し、レーザ発振器21からのパルスレーザ光を微小ミラーで反射させて、ウエハWの表面の薄膜除去対象領域に照射すべき多数本のパルスレーザ光を出射するデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD:Digital Micromirror Device)であってもよい。この場合、空間変調素子26は、たとえば、反射ミラー25の位置に配置されるとよい。
【0031】
以上、この発明の2つの実施形態を説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することも可能である。たとえば、上記の各実施形態では、レーザ加工装置の一例としてレーザ薄膜除去装置を取り上げたが、レーザ加工装置は、被加工物をレーザ光で局所的に加熱するレーザアニール装置であってもよい。
また、ウエハWの表面の薄膜を加工(除去)する場合を例にとったが、レーザ加工装置の加工対象となる被加工物は、たとえば、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの表面に形成された薄膜であってもよいし、それらの基板自体であってもよい。
【0032】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るレーザ薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】薄膜除去対象領域(加工対象領域)に照射されるレーザ光の光強度分布について説明するための図解図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係るレーザ薄膜除去装置の構成を概念的に示す図である。
【図4】従来のレーザ加工装置の構成を概念的に示す図である。
【図5】従来のレーザ加工装置によって加工対象領域に照射されるレーザ光の強度分布(エネルギー分布)を示す図である。
【符号の説明】
1 ウエハステージ
2 レーザ照射系
3 制御装置
12 駆動機構
20 レーザ照射系
21 レーザ発振器
22 強度変調装置
23 偏向装置
24 集光レンズ
25 反射ミラー
26 空間変調素子
C1 表面薄膜
C2 下地薄膜
W ウエハ
Claims (10)
- 被加工物上の加工対象領域にレーザ光を照射するためのレーザ光照射手段と、このレーザ光照射手段によって上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御する光強度分布制御手段と
を含むことを特徴とするレーザ加工装置。 - 上記レーザ光照射手段は、レーザ光を発振するレーザ発振器を備え、このレーザ発振器からのレーザ光を被加工物上で2次元的に走査させることにより、上記加工対象領域へのレーザ光の照射を達成するものであることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
- 上記光強度分布制御手段は、上記レーザ発振器からのレーザ光の光強度を変調する強度変調手段を備え、この強度変調手段を制御することにより、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布の制御を達成するものであることを特徴とする請求項2記載のレーザ加工装置。
- 上記レーザ光照射手段は、レーザ光を発振するレーザ発振器と、このレーザ発振器からのレーザ光を受光して、上記加工対象領域に照射すべき多数本のレーザ光を出射する空間変調素子とを備えたものであることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
- 上記光強度分布制御手段は、上記空間変調素子を制御することにより、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布の制御を達成するものであることを特徴とする請求項4記載のレーザ加工装置。
- 上記光強度分布制御手段は、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を、上記加工対象領域の形状、被加工物の材質もしくは被加工物の下層の材質、またはこれらの組み合わせにより定まる上記加工対象領域内の光学的条件に応じた適切な光強度分布に制御するものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のレーザ加工装置。
- 上記レーザ加工装置は、基板表面の薄膜上の加工対象領域にレーザ光を照射して、その加工対象領域内の薄膜をレーザアブレーション現象で除去するレーザ薄膜除去装置であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のレーザ加工装置。
- 被加工物上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、
被加工物上でレーザ光を2次元的に走査させることにより、上記加工対象領域へのレーザ光の照射を達成するステップと、
上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御するステップと
を含むことを特徴とするレーザ加工方法。 - 被加工物上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、
レーザ発振器からレーザ光を発振させるステップと、
このレーザ発振器からのレーザ光を空間変調素子で受光して、その空間変調素子から上記加工対象領域に照射すべき多数本のレーザ光を出射するステップと、上記空間変調素子を制御して、上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を制御するステップと
を含むことを特徴とするレーザ加工方法。 - 被加工物上の加工対象領域にレーザ光を照射して、被加工物を加工する方法であって、
上記加工対象領域にレーザ光を照射するステップと、
上記加工対象領域に照射されるレーザ光の光強度分布を、上記加工対象領域の形状、被加工物の材質もしくは被加工物の下層の材質、またはこれらの組み合わせにより定まる上記加工対象領域内の光学的条件に応じた適切な光強度分布に制御するステップと
を含むことを特徴とするレーザ加工方法。
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