JP2004097937A - 噴霧容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】噴射物がブレークアップ溝内に残存しても詰まりの発現を起こさない、且つブレークアップ溝に鏡面加工を施し噴射物が流れ易いようにした噴霧容器を提供する。
【解決手段】連通孔(15)の出口に連通するブレークアップ(31)をノズルボタン(1)内に一体に形成すると共にそのブレークアップ(31)の外側に、中心に噴射孔(25)を有する平板(28)を配置し該平板(28)の面に噴射物を衝突させ、且つブレークアップ溝を断面U字状溝に形成して流路を全体的に狭くし、さらに、そのブレークアップ溝断面U字状溝に鏡面加工を施す。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は容器内の噴射物を霧状に噴霧させる容器において、その噴射物にセット剤や粉末等の固形成分が配合された場合においても噴霧機構部で詰まりが発生し難い噴霧容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の噴霧容器としては、例えば特許文献1がある。このような従来の噴霧容器は、図4(a)、(b)および図5(a)、(b)に示すようにその構成は大きく分けて容器本体(A)と、その容器本体(A)に嵌着されるノズルボタン(41)との2つからなっており、そのうちノズルボタン(41)の内部には噴霧機構部を備えている。そして、容器本体A内に収納されている噴射物は、ステム(B)を介して噴出物流路(42)から噴霧機構部に供給される。そして、その噴射物はノズルボタン(41)の頭を押下されることによって噴霧機構部で霧状化されて、ノズル部材(51)の中心に形成されてある噴射孔(55)から外部へ噴射される。
【0003】
このような従来の噴霧容器の噴霧機構部の構造を図5(a)、(b)を用いてその構成を詳細に説明すると、まず、ノズル部材(51)は全体が円形の有底状からなり、その有底状の底面部の中心には噴射孔(55)が形成され、且つその底面部にはブレークアップ形成体(61)が形成されている。そして、その周囲先端には環状の裾部(53)が形成されており、その裾部(53)とブレークアップ形成体(61)との間に環状の係止突起(52)が形成されている。
【0004】
次に、ノズル部材(51)が嵌入されるノズルボタン(41)の構造を述べると、まずノズルボタン(41)はステム(B)の先端に装着される。そして、そのステム(B)の内部は噴射物流路(42)へと接続されている。また、ノズルボタン(41)の側部には凹部状に切り欠いた凹部(46)が形成されており、その凹部(46)の底面から2つの環状の溝(44)が上述した噴射物流路(42)の方向に延びている。そして、そのうち下側の環状の溝(44)は連通孔(45)を介して噴射物流路(42)と連通され、他方はそのまま延びて途中止めされている。そしてまた、上述した2つの環状の溝(44)の溝間には円柱状をした円柱部(43)が形成されているが、この円柱部(43)の形状はノズル部材(51)が嵌入される構造に対応されて形成されている。
【0005】
このように構成されているノズルボタン(41)に対して、前述したノズル部材(51)を図示したように嵌入させる。つまり、凹部(46)内には円柱部(43)が突出されているのでその突出されている円柱部(43)にノズル部材(51)を嵌入するようになる。そして、そのようにノズル部材(51)を円柱部(43)に嵌入することによって環状の裾部(53)は環状の溝(44)に挿入され、ノズル部材(51)の係止突起(52)は係止部(58)に係止されると共にブレークアップ形成体(61)は円柱部(43)の先端面(57)に密着されることになる。
【0006】
そのような構造をとることにより、ノズルボタン(41)が押下されると噴射物流路(42)に流出された容器本体(A)内の噴射物は、環状の溝(44)と裾部(53)との間に作出された隙間(58)から図6で示したブレークアップ形成体(61)の内部に流出される。
【0007】
そして、ブレークアップ形成体(61)の内部に流入した噴射物は、ブレークアップ(64−1)〜(64−4)の面が先端面(57)と密着されているので、そのほとんどが外端部(62)を伝わって溝壁(66)にて形成されたブレークアップ溝(63−1)〜(63−4)に流出されて孔(65)に集結され、その孔(65)からその裏側に続いている噴射孔(55)から外部に噴射されることになる。ここで、ブレークアップ溝(63−1)〜(63−4)の機能としては、通過する噴射物に対してさらに細かく霧状化する働きを持っている。
【0008】
ノズルボタン(41)およびノズル部材(51)は、一般的にポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂により成形されている。
【0009】
また、容器本体(A)は一般的に高耐圧性のアルミニウム等の金属容器や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート等の合成樹脂容器や、また、ガラス等の容器からなるもので形成されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−328689号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の噴霧容器にあっては、噴射物にセット剤や粉末等の固形成分を配合した場合において、ブレークアップ溝内に噴射物が残存しその中に含まれている樹脂が硬化してしまい詰まりが発現していたため、噴射物がブレークアップ溝内に残存しても詰まりの発現を起こさない噴霧容器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、ノズルボタンと、該ノズルボタン内に形成され、且つ容器のステム開口に連結される噴射物流路に連通する連通孔と、前記ノズルボタンの側部を凹部状に切り欠き該凹部の内底面に形成した前記噴射物流路を前記連通孔で連通させるようにし、噴射物が通過する際にその噴射物を霧化するためのブレークアップとにおいて、前記連通孔の出口に連通するブレークアップをノズルボタン内に一体に形成すると共にそのブレークアップの外側に、中心に噴射孔を有する平板を配置し該平板の面に噴射物を衝突させ、且つブレークアップ溝を断面U字状溝に形成し噴射物が流れ易いようにすると共に該噴射物を噴射孔から噴射させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
そして、前記ブレークアップ溝に鏡面加工を施し噴射物が流れ易いようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、前記平板はステンレス鋼からなりその周囲を外側に折り返して前記凹部に挿着し易く形成したことを特徴とする。
【0015】
そして、前記平板の少なくとも前記ブレークアップと接する面側には撥水性材質でコーティングし噴射物が流れ易いようにしたことを特徴とする。
【0016】
そして、前記コーティングはそのコーティング材としてチッ化クロム蒸着処理を施したことを特徴とする。
【0017】
また、前記ブレークアップの周囲には周壁との間に溝が形成され噴射物が流れ易いようにしたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の好ましい実施の形態としては、噴射物が噴射物流路からブレークアップまで導かれ流路となる連通孔の全体積容量を少なくする必要性があることから、まず、その連通孔の全長を従来より短く形成したことにある。そしてそれを実現する為にブレークアップをノズルボタン内に一体に形成して配置し、連通孔とブレークアップとを直結するようにした。また、ブレークアップ溝を断面U字状溝に形成して流路を全体的に狭くし、さらに、そのブレークアップ断面U字状溝に鏡面加工を施して噴射物がより一層流れやすいような構造としている。
【0019】
【実施例】
この発明の一実施例を、以下に図面を参照しながら説明すると、図1は本発明の主要部分であるノズルボタンとその断面図であり、図2は図1で示したボタンチップをノズルボタン内に装着するのを説明する分解図である。そして、図3は本発明のブレークアップ形成体を示した図である。
【0020】
まず、本発明である一実施例と従来の技術との相違点を述べると、従来の技術では、容器本体(A)内の噴射物はノズルボタン(41)が押下されると噴射物流路(42)に流出され、その流出された噴射物は連通孔(45)を介して、別体として設けられたノズル部材(51)の内部に形成したブレークアップ形成体(61)まで導かれていた。
【0021】
これに対し、一実施例では、従来の技術のようなノズル部材は使用しないで、ノズルボタン内にブレークアップを一体に形成すると共にそのブレークアップの外側に、中心に噴射孔を有する平板を配置し平板の面に噴射物を衝突させ、且つブレークアップ溝を断面U字状溝に形成し噴射物が流れ易いようにすると共にその衝突による反作用に基づき噴射物を噴射孔から噴射させる構成にしたものである。
【0022】
つまり、図1に示したように、容器本体(A)内に収納されている噴射物はノズルボタン(1)が押下されるとステム(B)を介して噴射物流路(12)に流出され、その流出された噴射物は連通孔(15)を介して直接ブレークアップ形成体(31)まで導かれるようにしている。
【0023】
そして、ブレークアップ形成体(31)の外側からは、一般的にボタンチップと呼ばれる小さい円形状の平板(28)が接着されている。そして、この平板(28)の中心には噴射孔(25)が形成されている。また、この円形状の平板(28)はステンレス鋼からなりその周囲を外側に折り返して凹部(16)に挿着し易いように凹部状に形成されてある。
【0024】
また、この平板(28)は少なくともブレークアップ形成体(31)と接する面側においては、例えばチッ化クロム蒸着処理等の撥水性物質でコーティング処理を施すことによって噴射物が流れやすいようにしている。そして、そのように形成されている平板(28)を図2に示したようにノズルボタン(1)の側部を切り欠いた凹部(16)に嵌入させている。
【0025】
そのような構造をとることにより、図3で示した孔(35)からブレークアップ形成体(31)の内部に流入した噴射物は、ブレークアップ(33−1)〜(33−4)の面が平板(28)の面と密着されているので、そのほとんどが孔の周縁溝(40)から周縁溝(38)を伝わって断面U字状溝の側壁を形成してる傾斜面(36)を有しているブレークアップ溝(34−1)〜(34−4)に流出されてその中心に配置してある円形状の凹部(37)に集結される。
【0026】
この発明では、このブレークアップ溝(34−1)〜(34−4)を断面U字状溝に形成して流路を全体的に狭くしているので、噴射物が途中に残留せず流れやすいようになっているのに加え、さらに、このブレークアップ溝(34−1)〜(34−4)内を鏡面加工を施すことによってさらに一層噴射物の流れを良くしている。
【0027】
そして、その凹部(37)に集結された噴射物は平板(28)の面に衝突され、その衝突の反作用に基づいて噴射物は噴射孔(25)から外部に噴射されることになる。ここで、ブレークアップ溝(34−1)〜(34−4)の機能としては、通過する噴射物に対してさらに細かく霧状化する働きを持っている。
【0028】
ノズルボタン(41)およびブレークアップ形成体(31)は、一般的にポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂により成形されている。
【0029】
また、容器本体(A)は一般的に高耐圧性のアルミニウム等の金属容器や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート等の合成樹脂容器や、また、ガラス等の容器からなるもので形成されている。
【0030】
そして、本発明の噴霧容器に使われる噴射物は、霧状で噴射する製品であれば特に限定なく使用できる。そして、例えば液体としては、水、アルコール系、灯油などの基材に、油脂、ロウ、炭化水素、エステル類、シリコーン類、保湿剤、水溶性高分子、pH調整剤、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、酸化防止剤、防錆剤、香料、各種有効成分などを適宜用途に配合したものが用いられる。
【0031】
また、噴射剤としては、例えば液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロカーボンなどのフロン類およびこれらの混合ガス、窒素、炭酸ガス、空気、亜酸化窒素、アルゴンなどの圧縮ガス、あるいはそれらの混合物から構成したものが用いられる。
【0032】
そしてまた、本発明の噴霧容器に使われる噴射物の具体的なものとしては、セット剤、トリートメント剤、艶出し剤、艶消し剤、染毛剤等の頭髪用スプレーや、育毛剤、トニック剤、頭皮用クレンジング剤等の頭皮用スプレー、化粧水、クレンジング剤、保湿剤、ビタミン剤、美白剤、プレシェービングローション、アフターシェーブローション、日焼け止め、鎮痛剤、殺菌剤、水虫薬、消臭剤、制汗剤、香水、等の皮膚用スプレー、口中清涼剤等の口腔用スプレー、寝ぐせ直し剤等の整髪用スプレー、点鼻薬、点耳薬等の粘膜用スプレー、家庭用の殺虫剤、消臭剤、芳香剤、ガラスクリーナー、溌水剤、艶出し剤等のスプレー、その他一般的な潤滑剤、錆止め、離型剤等の工業用スプレー等に適用することができ、特に化粧料スプレーなどの詰まりやすい製品にも好適に使用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、その構成をノズルボタンと、該ノズルボタン内に形成され、且つ容器のステム開口に連結される噴射物流路に連通する連通孔と、前記ノズルボタンの側部を凹部状に切り欠き該凹部の内底面に形成した前記噴射物流路を前記連通孔で連通させるようにし、噴射物が通過する際にその噴射物を霧化するためのブレークアップとにおいて、前記連通孔の出口に連通するブレークアップをノズルボタン内に一体に形成すると共にそのブレークアップの外側に、中心に噴射孔を有する平板を配置し該平板の面に噴射物を衝突させ、且つブレークアップ溝を断面U字状溝に形成し噴射物が流れ易いようにすると共に該噴射物を噴射孔から噴射させるようにしたため、噴射物の流路の体積を減少させることができ噴射の際に噴霧機構部での詰まりが発現するのを防止できるという効果が得られる。
【0034】
また、前記ブレークアップ溝に鏡面加工を施し噴射物が流れ易いようにしたため、噴射物が残留しにくくなり一層詰まりを回避できるという効果が得られる。
【0035】
また、前記平板はステンレス鋼からなりその周囲を外側に折り返して前記凹部に挿着し易く形成したため、ノズルボタンを作成する工数が削減されるのでその分製品が安価にできるという効果が得られる。
【0036】
さらに、前記平板の少なくとも前記ブレークアップと接する面側には撥水性材質でコーティングし噴射物が流れ易いようにしたため、噴射物が残留しにくくなり一層詰まりを回避できるという効果が得られる。
【0037】
また、前記コーティングはそのコーティング材としてチッ化クロム蒸着処理を施したため、比較的簡単にコーティング処理ができるという効果が得られる。
【0038】
また、前記ブレークアップの周囲には周壁との間に溝が形成され噴射物が流れ易いようにしたため、噴射物が残留しにくくなり一層詰まりを回避できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の主要部分であるノズルボタンとその断面図である。
【図2】図1で示したボタンチップをノズルボタン内に装着するのを説明する分解図である。
【図3】本発明のブレークアップ形成体を示した図である。
【図4】従来のノズルボタンとその断面図である。
【図5】図4で示したノズル部材をノズルボタン内に装着するのを説明する分解図である。
【図6】従来のブレークアップ形成体を示した図である。
【符号の説明】
(1)ノズルボタン
(12)噴出物通路
(15)連通孔
(16)開口部
(25)噴射孔
(28)平板
(31)ブレークアップ形成体

Claims (6)

  1. ノズルボタンと、該ノズルボタン内に形成され、且つ容器のステム開口に連結される噴射物流路に連通する連通孔と、前記ノズルボタンの側部を凹部状に切り欠き該凹部の内底面に形成した前記噴射物流路を前記連通孔で連通させるようにし、噴射物が通過する際にその噴射物を霧化するためのブレークアップとにおいて、
    前記連通孔の出口に連通するブレークアップをノズルボタン内に一体に形成すると共にそのブレークアップの外側に、中心に噴射孔を有する平板を配置し該平板の面に噴射物を衝突させ、且つブレークアップ溝を断面U字状溝に形成し噴射物が流れ易いようにすると共に該噴射物を噴射孔から噴射させるようにしたことを特徴とする噴霧容器。
  2. 前記ブレークアップ断面U字状溝に鏡面加工を施し噴射物が流れ易いようにしたことを特徴とする請求項1記載の噴霧容器。
  3. 前記平板はステンレス鋼からなりその周囲を外側に折り返して前記凹部に挿着し易く形成したことを特徴とする請求項1記載の噴霧容器。
  4. 前記平板の少なくとも前記ブレークアップと接する面側には撥水性材質でコーティングし噴射物が流れ易いようにしたことを特徴とする請求項1および3記載の噴霧容器。
  5. 前記コーティングはそのコーティング材としてチッ化クロム蒸着処理を施したことを特徴とする請求項1および3、4記載の噴霧容器。
  6. 前記ブレークアップの周囲には周壁との間に溝が形成され噴射物が流れ易いようにしたことを特徴とする請求項1乃至2記載の噴霧容器。
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