JP2004097929A - ガラス固定化光触媒、光触媒固定化用ガラス担体、及びそれらの製造方法 - Google Patents

ガラス固定化光触媒、光触媒固定化用ガラス担体、及びそれらの製造方法 Download PDF

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武田 徳司
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Abstract

【課題】本発明は、光触媒層とガラス基体間の接着力を強化した耐水性及び耐久性に優れたガラス固定化光触媒、光触媒固定化用ガラス担体、及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】下記のA〜Cの工程からなるガラス固定化光触媒の製造方法:
A.ガラス基体表面をフッ酸で処理する工程、
B.フッ酸処理後のガラス基体表面にシリカ形成成分を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理してシリカ下地層を形成する工程、
C.工程Bで得られるシリカ下地層に光触媒を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理して光触媒層を形成する工程。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理に用いられるガラス固定化光触媒に関する。具体的には、有機物の分解による水の浄化、脱臭等の水処理に用いられる、耐水性に優れたガラス固定化光触媒とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護の観点より、廃水中や空気中から有害物質(例えば、排水中では、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどの有機塩素化合物、空気中では、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、および各種アミン類などの揮発性有機化合物)を除去することの重要性が認識されてきており、これまで種々の処理方法が提案されてきている。中でも、環境への負荷が低い処理方法として、酸化チタン光触媒を用いる方法が注目されてきている。
【0003】
この酸化チタン光触媒を水処理へ応用する場合は、連続的に行うという観点から、基体の表面に固着されたいわゆる固定化光触媒として使用する方法が検討されている。基体としては、主にシリカゲルとガラスが検討されている。シリカゲル固定化光触媒はシリカゲル粉末がビーズ状等に固められたものであるため機械的強度が小さく、かつビーズ表面以外にも有効に利用されない酸化チタンを多く含み、さらに触媒の形状もほぼビーズ状等に限定されるなど、耐久性やコストなどの面で問題があり応用範囲も極めて狭い。一方、ガラス固定化光触媒は、機械的強度が高く、酸化チタンがガラス表面にのみ担持されているので経済的であり、また各種形状のガラス容器の内面にコーティングできるので応用範囲も広い(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、従来のガラス固定化光触媒(ガラス担持酸化チタン触媒)は、水中ではいずれも酸化チタン層の接着強度が弱いため流出しやすく耐水性に問題があった。
【0004】
また、従来、ゾルゲル法で光触媒層をガラス基体表面で焼成する際にガラスからナトリウムイオンが拡散し、光触媒の活性が低下することが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−315837号公報
【0006】
【非特許文献1】
藤島昭 他 ケミストリー レターズ(Chemistry Letters) p.841 (1995)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題を解決するため、光触媒層とガラス基体間の接着力を強化した耐水性及び耐久性に優れたガラス固定化光触媒、光触媒固定化用ガラス担体、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
水処理に用いられる従来のガラス固定化光触媒において耐水性が悪い原因について種々検討をおこなった。その結果、ガラス基体自身が徐々に水に溶解するためにガラス基体表面の光触媒層も同時に流出してしまうことと、光触媒層自身も徐々に流失することなどが、耐水性が悪い大きな原因であると判断した。さらに、酸化チタン分散塗布溶液を用いる塗布法においても、ガラス表面に光触媒層を塗布し加熱処理工程に付す場合、ガラスからのナトリウム汚染で光触媒活性が低下することが知られている。
【0009】
そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、次のようなA〜Cの工程で製造されるガラス固定化光触媒が高い耐水性、耐久性を有し、光触媒の劣化を抑制しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
項1 下記のA〜Cの工程からなるガラス固定化光触媒の製造方法:
A.ガラス基体表面をフッ酸で処理する工程、
B.フッ酸処理後のガラス基体表面にシリカ形成成分を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理してシリカ下地層を形成する工程、
C.工程Bで得られるシリカ下地層に光触媒を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理して光触媒層を形成する工程。
項2 工程Aの基体を構成するガラスが、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、及びホウ珪酸ガラスからなる群から選ばれる少なくとも1種である項1に記載の製造方法。
項3 工程Aのフッ酸処理を、ガラス基体を0.2〜10重量%のフッ酸水溶液に浸漬することにより行う項1に記載の製造方法。
項4 工程Bの塗布液中のシリカ形成成分が、式(I):
SiR(OR’)4−n    (I)
(式中、nは0〜3の整数、R及びR’は同一又は異なってアルキル基を表す)で示されるアルコキシシラン誘導体及び/又はその加溶媒分解重縮合物である項1に記載の製造方法。
項5 工程Cの光触媒が酸化チタンである項1に記載の製造方法。
項6 項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるガラス固定化光触媒。
項7 項6に記載のガラス固定化光触媒を含むガラス部材。
項8 下記のA及びBの工程からなるガラス表面の処理方法:
A.ガラス基体表面をフッ酸で処理する工程、
B.フッ酸処理後のガラス基体表面にシリカ形成成分を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理してシリカ下地層を形成する工程。
項9 項8に記載の処理方法により得られる光触媒固定化用ガラス担体。
項10 筒状水路、紫外線光源、及び項6に記載のガラス固定化光触媒からなり、筒状水路の一端に水供給部、他端に水排出部を備え、筒状水路の中央に水流方向と平行に紫外線光源が挿入され、筒状水路の内壁と紫外線光源の間にガラス固定化光触媒が充填されてなる水処理装置。
項11 ガラス固定化光触媒がビーズ状である項10に記載の水処理装置。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のガラス固定化光触媒について、以下詳細に説明する。
ガラス固定化光触媒
本発明のガラス固定化光触媒は下記のA〜Cの工程により製造される。各工程におけるガラス基体表面の変化を模式的に表す図1を参照しながら、各工程を説明する。
A.ガラス基体表面をフッ酸(HF水溶液)で処理する工程
本発明のガラス基体として用いられるガラスは、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、及びホウ珪酸ガラスからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0011】
ガラスの形状は、その使用目的に応じて適宜選択可能である。例えば、水処理用の用途に用いる場合は、ビーズ状、リング状、管状、および容器状等種々の形状が挙げられる。特に、水との接触面積や強度等の点よりビーズ状のものが好ましい。ガラスビーズの平均径としては、例えば、1〜10mm程度である。
【0012】
本発明のフッ酸処理としては、ガラス基体をフッ酸水溶液(HF水溶液)に浸漬する処理が挙げられる。フッ酸水溶液の濃度は、0.2〜10重量%程度であればよく、好ましくは1〜6重量%程度、より好ましくは、2〜6重量%程度である。浸漬温度は、室温程度であればよく、例えば0〜40℃程度である。浸漬時間は、フッ酸の濃度、浸漬温度等により変化するが、例えば30分〜数日、より好ましくは1〜3時間程度が良い。このフッ酸処理によるガラス基体の重量減少は、0.2〜8%程度、より好ましくは1〜5%程度である。
【0013】
ガラス基体のフッ酸処理により、ガラス基体表面に存在する副成分(Naイオン、Caイオン等)が低減され、耐水性の高いSiO層がガラス基体表面上に多くなる(図1参照)。フッ酸処理後は充分な洗浄が必要であり、水洗に加えて超音波洗浄と沸騰水中での洗浄も行うことが好ましい。これらにより、ガラス基体表面全体の耐水性が向上し、水によるガラスの溶出が抑制される。さらに、ガラス基体表面がフッ酸処理により溶出されるため表面に凹凸ができ、その上に形成されるシリカ下地層との結合が強固なものとなる。上記の濃度のフッ酸で処理することにより、本作用が増強される。フッ酸の濃度が低すぎると、ガラス基体の耐水性及び凸凹が不十分になり好ましくなく、また、フッ酸の濃度が高すぎると、得られるガラス基体の強度の低下およびフッ酸の取り扱い困難さが生じ好ましくない。
【0014】
また、通常、未処理のガラス基体に光触媒(二酸化チタン)を焼結する際、ガラス基体表面からナトリウムイオンが拡散し、二酸化チタンと反応して光触媒の性質を有しないチタン酸ナトリウム等が生成する。しかし、ガラス基体をフッ酸処理しておくと、光触媒(二酸化チタン)の焼成時に、ガラス基体表面からナトリウムイオンの拡散が低減されるため、チタン酸ナトリウム等の生成を抑制することができるという利点もある。
【0015】
この様にして得られたフッ酸処理ガラス基体は、乾燥後次の工程に供される。
B.フッ酸処理後のガラス基体表面にシリカ形成成分を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理してシリカ下地層を形成する工程、
本発明で用いられるシリカ下地層の形成は、例えば、式(I):
SiR(OR’)4−n    (I)
(式中、nは0〜3の整数、R及びR’は同一又は異なってアルキル基を表す)で示されるアルコキシシラン誘導体をシリカ形成成分として含む塗布液を、フッ酸処理後のガラス基体表面に塗布してシリカ塗膜を形成し、その塗膜を加熱処理する方法が選択される。
【0016】
式(I)中のR又はR’で表されるアルキルとしては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキルが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル等が例示される。好ましくはエチル、メチルである。また、nが0のものが好ましい。
【0017】
塗布液に用いる溶媒としては、水及びアルコールが例示される。溶媒の水は、そのまま用いることもできるが、塗布液の安定性を考慮して、必要に応じ希塩酸等の弱酸性の水溶液を用いてもよい。例えば、濃度0.01〜0.1M程度の希塩酸水溶液であればよい。溶媒のアルコールは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルコールが挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が例示され、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。好ましくは、エタノール、2−プロパノールである。
【0018】
式(I)で示されるアルコキシシラン誘導体は、塗布液中で、溶媒(水及びアルコール)と反応して、その一部又は全部が加溶媒分解重縮合物(例えば、シリカ、シリコーン、ポリシロキサン等)に変換されていてもよい。
【0019】
本発明のシリカ形成成分を含む塗布液中の各成分の配合量は、例えば、式(I)で示されるアルコキシシラン誘導体10重量部に対し、水(或いは弱酸性水溶液)2〜20重量部程度(好ましくは5〜10重量部程度)及び/又はアルコール20〜60重量部程度(好ましくは30〜50重量部程度)である。
【0020】
なお、本発明で用いられるシリカ形成成分を含む塗布液には、本発明の効果に悪影響を与えない範囲でさらに他の添加剤を含んでいてもよい。その添加剤としては、例えば、ポリエチレングリコール等の高分子有機化合物等の粗面化、多孔質化剤等が例示される。
【0021】
フッ酸処理後のガラス基体表面に、上記塗布液を塗布する方法は、特に限定はなく、ディッピング法、スプレー法等の公知の方法を用いて行なえばよい。
【0022】
塗膜形成後の加熱処理としては、公知の方法に従って処理を行えばよく、例えば、空気雰囲気下450〜600℃程度で、10分〜3時間程度焼成する方法が例示される。この焼成処理によりシリカ下地層がガラス基体表面に強固に接着される。また、シリカ形成成分を含む塗布液に高分子有機化合物などの粗面化、多孔質化剤を含む場合は、この焼成処理により高分子有機化合物が気化し、多孔質化、表面粗面化されたシリカ下地層が形成される。
【0023】
この様にして形成されるシリカ下地層のガラス基体単位体積あたりの重さは、ガラス基体の形状、使用される環境等により異なるが、乾燥重量で通常、0.002〜0.15mg/cm程度、好ましくは0.02〜0.1mg/cm程度とすればよい。
【0024】
以上により、本発明の光触媒固定化用ガラス担体が製造される。この担体は、光触媒層を強固に固定化することができ、かつ耐水性に優れたものとなる。
C.工程Bで得られるシリカ下地層に光触媒を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理して光触媒層を形成する工程
光触媒としては、アタナーゼ型の二酸化チタンが挙げられる。光触媒の平均粒子径は、2〜50μm程度、好ましくは5〜20μm程度であればよい。また、光触媒を含む塗布液の溶媒としては、工程Bで用いられる水及びアルコール等を用いることができる。
【0025】
本発明で用いられる光触媒を含む塗布液には、上記成分以外にバインダーを含んでいてもよい。例えば、式(I)で示されるアルコキシシラン誘導体(その加溶媒分解重縮合物に変換されていてもよい)が例示される。バインダーの使用量は、光触媒100重量部に対し20〜200重量部程度であればよい。
【0026】
また、本発明で用いられる光触媒を含む塗布液には、本発明の効果に悪影響を与えない範囲でさらに他の添加剤を含んでいてもよい。その添加剤としては、例えば、塩化白金酸等の白金化合物が例示される。これらの添加剤を加えることにより、触媒の高活性化という効果が奏される。
【0027】
光触媒を含む塗布液を塗布する方法は、特に限定はなく、ディッピング法、スプレー法等の公知の方法を用いて行なえばよい。
【0028】
塗膜形成後の加熱処理としては、公知の方法に従って処理を行えばよく、例えば、空気雰囲気下50〜600℃程度で、30分〜3時間程度焼成すればよい。この焼成処理により光触媒層がシリカ下地層に強固に接着される。
【0029】
以上の、塗布、加熱処理の操作を数回繰り返すことにより、より耐水性に富む光触媒層を形成することができる。好ましくは、上記操作を2回以上、より好ましくは、2〜5回程度繰り返すのが好ましい。
【0030】
形成される光触媒層のガラス基体単位面積当たりの重さは、乾燥重量で0.05〜0.2mg/cm程度である。この範囲では、光触媒層重量の増加とともに、得られるガラス固定化光触媒の耐水性も増加する。
【0031】
本発明のガラス固定化光触媒は、フッ酸処理によるガラス基体の耐水化と粗面化、および繰り返しの焼成処理のため、シリカ下地層を介した光触媒層とガラス基体の接着が強固となり、光触媒層が流出し難くなっている。さらに、フッ酸処理とシリカ下地層のため、高温あるいは繰り返しの焼成に対しても光触媒層はガラスからのナトリウムイオンによる汚染が抑えられている。これらが相まって、本発明のガラス固定化光触媒は耐水性の高いものになっている。
水処理装置
本発明はまた、上記のガラス固定化光触媒を充填した水処理装置をも提供する。該水処理装置の具体例を図2に示す。
【0032】
本発明の水処理装置は、筒状水路2、紫外線光源3、及び本発明のガラス固定化光触媒1からなる。筒状水路2は、一端に水供給部4、他端に水排出部5を備えている。筒状水路の中央に水流方向と平行に紫外線光源3が挿入されている。筒状水路2の内壁と紫外線光源3の空間に複数のガラス固定化光触媒が密に充填されている。
【0033】
ここで、ガラス固定化光触媒1はビーズ状のものが好ましく、その平均径は、例えば、1〜10mm程度であればよく、好ましくは3〜5mm程度である。ガラスビーズの平均径が大きすぎると、水との接触面積が小さくなり触媒効率が低下する。また、平均径が小さすぎると、触媒効率が向上するが水の流速が低下し処理速度が低下してしまう。
【0034】
本発明の筒状水路2は、紫外線光源3を挿入し得る筒状水路を内側に有する二重管構造のものが好ましい。筒状水路2の材質は、透明性の点から、ガラスあるいは石英ガラスが挙げられる。特に紫外線透過性から石英ガラスが好ましい。
【0035】
本発明の紫外線光源3としては、高圧水銀灯、ブラックライト、エキシマレーザ、重水素ランプ、キセノンランプ、Hg−Zn−Pbランプ等から選ばれる光源を用いることができる。とりわけ、ブラックライト(出力約10〜50W)が好ましい。また、紫外線光源3の形状としては、筒状水路の中央に挿入しうる棒状のものが好ましい。
【0036】
本発明の水処理装置の大きさは、水中の不純物が効果的に分解除去されてクリーンな水に変換されるという効果が奏されるものであれば特に限定はないが、通常、筒状水路2の内径(図2中のW)が5〜10cm程度、光触媒の反応領域である筒状水路2の長さ(図2中のL)が10〜100cm程度のものが例示される。筒状水路の内径が大きすぎると、内壁近傍の光触媒には紫外線光源からの紫外線が到達できなくなるため触媒効率が低下してしまい、内径が小さすぎると水処理能力が低下する。また、筒状水路の長さは長い方が好ましいが、長すぎると光触媒の量が増大するためコストが高くなる。また、筒状水路を反射物(例えば、ミラー等)で覆うことにより、或いは筒状水路の内部を反射物で被覆することにより、紫外線の照射効率を大きくし光触媒反応を効率化することができる。
【0037】
また、水供給部4から一定流速で処理前の水が供給される。また、水の供給は循環式にもできるため本発明の水処理装置で水を処理することにより、水中の有機物等の不純物はほぼ定量的に分解される。
【0038】
本発明の水処理装置は、上下水道の処理、工場廃水、農業廃水等の処理、プール、風呂、貯水タンク、湖水、ダム等の水の処理、魚類飼育槽の水処理等種々の水処理用途に使用される。
【0039】
また、本発明のガラス固定化光触媒は、ガラス基体の形状に応じて光触媒を固定化することができるため、上記以外の種々のガラス部材として用いることができる。例えば、魚類飼育槽のガラス内壁、ガラス製花瓶やコップの内壁、水処理用の紫外線ランプの表面等に光触媒を固定化させることにより、長期間クリーンな水を維持することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明のガラス固定化光触媒は、その製造工程でガラス基体表面がフッ酸処理される。これにより、ガラス基体からナトリウムイオン等が除去され石英化された基体表面が露出して耐水性が向上する。また、基体表面に凹凸ができるためシリカ下地層との接着性が向上し、ひいてはその上の光触媒層との接着性も向上する。
【0041】
また、石英化されたガラス基体表面上にシリカ下地層を有しているため、高温あるいは繰り返し光触媒層の焼成を行なっても光触媒がナトリウムイオンに汚染されて触媒活性が低下することもない。
【0042】
また、最外層である光触媒層は水中では徐々に流出するが、シリカ下地層と強固に接着されておりかつ複数層を設けることにより長期の使用にも耐水性を発揮させることができる。
【0043】
従って、本発明のガラス固定化光触媒は、極めて優れた耐水性を有しかつ高い光触媒活性を維持することができる。
【0044】
さらに、基体がガラスであるため、種々の形状のガラス部材にも応用が可能である。
【0045】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0046】
実施例1
市販の5mmφのソーダガラスビーズ(製品No.2020−09:相互理化学ガラス製作所製)を4重量%濃度のフッ酸水溶液30mLに1時間浸した後、超音波を用いて水洗し、さらに沸騰水中で10時間水洗し、処理済みソーダガラスビーズ17gを作成した。テトラエトキシシラン10g、2−プロパノール32g、および0.03N HCl水溶液10gを混合し、開放系70℃で1時間加熱してシリカコーティング液を作成した。このシリカコーティング液を、フッ酸処理ガラスビーズに塗布し、500℃で30分焼成してシリカ下地層を作成した。下地層の重量は0.044 mg / cm−ビーズであった。次いで、光触媒コーティング液(石原産業社製:ST−K01、酸化チタン微粒子8重量%、アルキルシリケート2重量%、硝酸水溶液54.8重量%、メタノール28重量%、プロパノール7.2重量%を含んでなる組成物)を2−プロパノールで1 / 2 (vol / vol)に希釈した光触媒コーティング液を、シリカ下地層に塗布し、500℃で30分焼成する操作を2回繰り返して光触媒層を形成し、本発明のガラス固定化光触媒を作成した。
【0047】
光触媒層の重量は0.137mg/cm−ビーズであった。
実施例2
実施例1と同じ方法で4重量%濃度のフッ酸処理処理済みソーダガラスビーズ17gを作成した。実施例1のシリカコーティング液を2−プロパノールで1/2(vol/vol)に希釈した新しいシリカコーティング液を、フッ酸処理ガラスビーズに塗布し、500℃で30分焼成してシリカ下地層を作成した。下地層の重量は0.023 mg / cm−ビーズであった。次いで、実施例1と同じ光触媒コーティング液を、シリカ下地層に塗布し、500℃で30分焼成する操作を2回繰り返して光触媒層を形成し、本発明のガラス固定化光触媒を作成した。
【0048】
光触媒層の重量は0.131mg/cm−ビーズであった。
比較例1
実施例1と同じ方法で4重量%濃度のフッ酸処理済みガラスビーズ17gを作成した。そのガラスビーズに、実施例1と同じ光触媒コーティング液を塗布し、500℃で30分焼成する操作を2回繰り返してガラス固定化光触媒を作成した。
【0049】
この光触媒層の重量は0.116 mg /cmであった。
比較例2
実施例1と同じ市販の5mmφソーダガラスビーズを0.2重量%濃度のフッ酸水溶液30mLで1時間浸漬した後、水洗してフッ酸処理ガラスビーズ17gを作成した。そのガラスビーズに実施例1と同じ光触媒コーティング液を塗布し、500℃で30分焼成する操作を1回行ってガラス固定化光触媒を作成した。
【0050】
光触媒層の重量は0.044 mg/cmであった。
比較例3
フッ酸で処理せず水洗しただけの実施例1と同じ市販の5mmφソーダガラスビーズ17gを用いた以外はに実施例1とおなじ光触媒コーティング液を塗布し、500℃で30分焼成する操作を1回行なってガラス固定化光触媒を作成した。
【0051】
光触媒層の重量は0.056 mg / cm−ビーズであった。
実験例
触媒耐水性試験は、加速試験として光触媒を沸騰水に浸漬し、その沸騰水浸漬時間に伴う触媒活性の低下を追跡しておこなった(図3)。すなわち、ガラスビーズ光触媒17gを沸騰水(100℃)中に一定時間浸漬(図3の横軸)した後取り出し、その触媒活性を測定する(図3の縦軸)という操作を繰り返しておこなった。触媒活性の測定は、容量50mlの容器中に触媒17g及び50ppmジクロロメタン水溶液10mLを入れて、空気雰囲気中で密閉後、容器の下方0.5cmの距離から4mW/cmの光強度で20Wブラックライトを紫外線光源として10時間光照射した。照射前後における溶液中のジクロロメタンの含有量をガスクロマトグラフを用いて測定して、ジクロロメタンの分解率を求めた。その結果を図3に示す。
【0052】
図3より、実施例1,2と比較例1〜3を対比すると、ガラス基体をフッ酸処理しかつシリカ下地層を設けたことにより極めて強い耐水性が付与されることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス基体表面の形状に着目した本発明のガラス固定化光触媒の製造工程を示す模式図である。
【図2】本発明のガラス固定化光触媒を用いた水処理装置の断面を示す図である。
【図3】各光触媒の耐水性を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 下記のA〜Cの工程からなるガラス固定化光触媒の製造方法:
    A.ガラス基体表面をフッ酸で処理する工程、
    B.フッ酸処理後のガラス基体表面にシリカ形成成分を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理してシリカ下地層を形成する工程、
    C.工程Bで得られるシリカ下地層に光触媒を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理して光触媒層を形成する工程。
  2. 工程Aの基体を構成するガラスが、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、及びホウ珪酸ガラスからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程Aのフッ酸処理を、ガラス基体を0.2〜10重量%のフッ酸水溶液に浸漬することにより行う請求項1に記載の製造方法。
  4. 工程Bの塗布液中のシリカ形成成分が、式(I):
    SiR(OR’)4−n    (I)
    (式中、nは0〜3の整数、R及びR’は同一又は異なってアルキル基を表す)で示されるアルコキシシラン誘導体及び/又はその加溶媒分解重縮合物である請求項1に記載の製造方法。
  5. 工程Cの光触媒が酸化チタンである請求項1に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるガラス固定化光触媒。
  7. 請求項6に記載のガラス固定化光触媒を含むガラス部材。
  8. 下記のA及びBの工程からなるガラス表面の処理方法:
    A.ガラス基体表面をフッ酸で処理する工程、
    B.フッ酸処理後のガラス基体表面にシリカ形成成分を含む塗布液を塗布し、得られる塗膜を加熱処理してシリカ下地層を形成する工程。
  9. 請求項8に記載の処理方法により得られる光触媒固定化用ガラス担体。
  10. 筒状水路、紫外線光源、及び請求項6に記載のガラス固定化光触媒からなり、筒状水路の一端に水供給部、他端に水排出部を備え、筒状水路の中央に水流方向と平行に紫外線光源が挿入され、筒状水路の内壁と紫外線光源の間にガラス固定化光触媒が充填されてなる水処理装置。
  11. ガラス固定化光触媒がビーズ状である請求項10に記載の水処理装置。
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