JP2004096855A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転検出器部分への伝熱熱量を抑え、回転検出器の温度上昇、ひいては回転検出器基板上の素子温度を低下させることが可能な信頼性の高い回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機の回転軸4の軸方向端部に回転検出器11を有する回転電機において、回転軸4を中心とするフレーム内管14とフレーム外管13から成る二重管構造物の該フレーム内管の内面に回転電機のステータ1を内包し、回転検出器11に連なる部材をフレーム外管13の一端と接触固定させ、回転検出器11に連なる部材を接触固定させた側と同じ側のフレーム内管端部は自由端とし、回転検出器11に連なる部材を接触固定させた側と反対側のフレーム外管13とフレーム内管14とを互いに接触固着させた。
【選択図】 図1
【解決手段】回転電機の回転軸4の軸方向端部に回転検出器11を有する回転電機において、回転軸4を中心とするフレーム内管14とフレーム外管13から成る二重管構造物の該フレーム内管の内面に回転電機のステータ1を内包し、回転検出器11に連なる部材をフレーム外管13の一端と接触固定させ、回転検出器11に連なる部材を接触固定させた側と同じ側のフレーム内管端部は自由端とし、回転検出器11に連なる部材を接触固定させた側と反対側のフレーム外管13とフレーム内管14とを互いに接触固着させた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転検出器を備えたモータ、ジェネレータなどの回転電機に関するもので、特に回転検出器の温度上昇を抑制する構造の回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
[第1の従来構成]
図8は従来の回転検出器付き回転電機の軸断面概観を示す。
1はステータ、2はフレームで、ステータ1はフレーム2の内面に焼きバメなどで固着され、3はロータで、ステータ1の内部にギャップを挟んで配設されている。4は回転軸でロータ3が固着しており、回転軸4の出力側端部には負荷5が取り付けられている。また、フレーム2の出力側端にはL側ブラケット6が嵌合固定されている。L側ブラケット6は回転軸4とロータ3のステータ1に対する相対的位置を規定するとともにヒートシンク7に取り付けられている。
ヒートシンク7は図示していない機械に取り付けられている。フレーム2の反出力側には反L側ブラケット8が嵌合固定されている。反L側ブラケット8はL側ブラケット6とともに回転軸4とロータ3のステータ1に対する相対的位置を規定している。9は断熱板、10は回転検出器カバーで、反L側ブラケット8の回転電機とは反対側に取り付けられている。反L側ブラケット8、断熱板9、および回転検出器カバー10で構成する空間には、その構成部材の一つが回転軸4の反負荷側端部に取り付けられた11の回転検出器が内蔵されている。
このように構成されている回転電機に、図示していない電源からステータ1に駆動電流を供給するとステータ1とロータ3の間に働く電磁気作用によって回転力が生じ、ロータ3が固着している回転軸4が回転して負荷5に機械仕事を為す。同時に、回転軸4の反負荷側端に取り付けられた回転検出器11の構成部材も回転して回転検出器11から図示していない回転電機の回転制御器へ回転電機の回転状態を示す信号を出力する。
この過程において、ステータ1では通電電流による巻線でのジュール熱、渦電流によるステータコアでのジュール熱などが発生する。ステータ1で発生したこれらの熱は主にフレーム2とロータ3へ伝わる。
ロータ3に伝わった熱は回転軸4を介して負荷5へ伝わり、一部が反負荷側の回転検出器11へ伝わる。
フレーム2に伝わった熱はフレーム2の表面から直接周囲の空気へ放出されるが、大半はヒートシンク7へ伝わり、そこから周囲の空気あるいは取り付け外部の機械へと伝わる。
また、フレーム2に伝わった熱の一部は反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10へも拡がって温度上昇をきたす。
反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10で構成される空間に内蔵されている回転検出器11は回転軸4から伝わった熱と、反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10の温度上昇の影響を受けて温度が上がる。
とくに、回転検出器11とこの閉じられた空間の空気は周囲に対する放熱手段が反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10による狭い外表面からの自然対流による放熱しかないため、わずかの伝熱熱量で大きな温度上昇を生じる。
【0003】
[第2の従来構成]
また、図9は、従来の回転検出器付モータにおける回転検出器の取付け部分を示したもので、(a)は回転軸の中心を通る軸端部の縦断面図、(b)は回転軸と継軸との接合部位を軸方向から見た状態を示す図である。
(a)から解るように、回転軸73の端部に継軸74を取り付け、この継軸74に回転検出器75の回転部を結合させることにより、回転検出器75から回転電機の回転角度や回転速度の検出に必要な信号が得られるようにしてある。
継軸74は回転軸73とテーパ面73aではめあい結合79C(図9(b))された上で、回転検出器75とともに止めねじ74aにより固定されており、テーパ面73aより回転軸73と継軸74の軸心合わせが正確に得られるようにしてある。
また、71は回転電機の反L側ブラケットで、これには軸受72が設けてあり、これにより回転軸73の反負荷側が軸支されている。
さらに、回転検出器75の固定部は、この反L側ブラケット71と板材78を介して取り付けられ、これにより所定の位置に保持されるようにしてある。
さらに、この反L側ブラケット71には断熱板77を挟んで回転検出器カバー76が取り付けられており、これにより回転検出器75が保護されるようになっている。
ここで、回転電機では発熱が不可避で、動作中はコイルやコアにおける発熱の伝導により反L側ブラケット71の温度が上昇する。一方、回転検出器75は、通常各種の電子部品を備えており、このため、一般に温度上昇に弱く、ある程度以下の温度に保たないと信頼性を損なう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図8記載の第1の従来技術では回転検出器11を構成する回転検出器基板12上の素子がステータ1より温度に弱いため、断熱板9でフレーム2および反L側ブラケット8から回転検出器カバー10へ伝わる熱を阻止するなどして回転検出器11の温度上昇を抑える工夫がなされてきたが、反L側ブラケット8あるいは回転検出器カバー10と高温になるフレーム2との間に大きな熱抵抗が形成できず、回転検出器11の温度低下について十分な効果が得られないという問題があった。
【0005】
また、図9記載の第2の従来技術の回転検出器付回転電機においては、断熱板77を用いて回転検出器の断熱を図るにとどまり、回転軸から継軸を経由して進入する熱に対しては、有効な手段がない。そのため、回転軸からの熱の進入により回転検出器の温度が上昇し、その結果、誤動作など信頼性を損なう結果となった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、発熱源であるステータと反L側ブラケットの間に大きな熱抵抗を形成して回転検出器部分への伝熱熱量を抑え、回転検出器の温度、ひいては回転検出器基板上の素子温度を低下させることが可能な信頼性の高い回転電機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1記載の回転電機の発明は、回転電機の回転軸の軸方向端部に回転検出器を有する回転電機において、回転軸を中心とするフレーム内管とフレーム外管から成る二重管構造物を備え、該フレーム内管の内面に前記回転電機のステータを内包し、前記回転検出器に連なる部材を前記フレーム外管の一端と接触固定させ、前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と同じ側の前記フレーム内管端部は自由端とし、前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と反対側の前記フレーム外管とフレーム内管とを互いに接触固着させたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回転電機において、前記フレーム外管を前記フレーム内管より熱伝導率の小さい素材で構成したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の回転電機において、前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と反対側の前記フレーム外管とフレーム内管とをそれぞれ別個に回転電機ブラケット部材に接触固定させたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の回転電機において、前記フレーム内管を前記回転電機のステータコアとしたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の回転電機において、前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に前記フレーム外管あるいは前記フレーム内管から突出した一つ以上の突起を設けたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4記載の回転電機において、前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に前記ステータコアによる一つ以上の突起を設けたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載の回転電機において、前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に一つ以上のスペーサを挿入することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項記載の回転電機において、前記回転軸と前記回転検出器との結合を継軸で行うと共に、前記継軸と前記回転電機軸との結合面にスプライン加工またはローレット加工を施すことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の回転検出器付回転電機において、前記回転軸の端面部分にプラスチック材を固定し該プラスチック材に継軸を固定したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態についてを図面に基づいて詳しく説明する。なお、本発明の構成要素が従来技術と同じものについては同一符号を付してその説明を省略し、異なる点のみ説明する。
図1は発明の第1の実施の形態を示す回転電機の軸断面概観図である。
図において、13はフレーム外管、14はフレーム内管、15はフレーム外管13とフレーム内管14の間にあるフレーム隙間で、フレーム隙間15は周方向には全周しており、回転軸方向には少なくともステータ1のコア積厚を超える長さである。フレーム内管14の内面にはステータ1が焼きバメなどの方法で固着されている。フレーム外管13とフレーム内管14は回転電機の負荷側端で接触固着してフレーム2を形成している。フレーム外管13とフレーム内管14とは同じ材質でもいいし、違うものであってもよい。違う場合は例えばフレーム外管13は樹脂製、フレーム内管14はアルミ製といったように、フレーム内管の熱伝導率よりもフレーム外管のそれが小さい素材で構成するのがよい。
図中のその他の符号は図8に示す従来例と同じ部材であり、同じ機能を示す。
【0008】
このような構成の回転電機が稼働してステータ1で熱が発生すると、ほとんどの熱はフレーム内管14とロータ3へ伝わる。ロータ3へ伝わった熱は回転軸4を介して負荷5と回転検出器11へ伝わる。フレーム内管14へ伝わった熱は、その一部はフレーム隙間15を介してフレーム外管13へ伝わるが、大半はフレーム内管14の中を負荷側へ流れ、L側ブラケット6を通ってヒートシンク7へ伝わり周囲の空気あるいは外部の機械へと伝わる。
フレーム内管14に伝わった熱の伝熱経路としてフレーム2の負荷側端からフレーム外管13を通って反L側ブラケット8へ伝わる経路がある。しかし、フレーム外管13が熱伝導率が小さい樹脂製であること、フレーム12の負荷側端から反L側ブラケット8までの伝熱距離が長いこと、フレーム外管13の径方向厚さが薄いことから大きな熱抵抗となり、フレーム2の負荷側端からヒートシンク7までの熱抵抗と比較すると格段に熱が伝わりにくくなる。フレーム内管14からフレーム外管13へフレーム隙間15を介して伝わる伝熱経路もフレーム隙間15の空気部分があることから熱抵抗が大きい。したがって、ステータ1からフレーム内管14に伝わった熱はそのほとんどがヒートシンク7に伝わり、反L側ブラケット8に伝わる熱は減少する。
また、反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10で構成された空間にある回転検出器11と空気の温度は、周囲に対する放熱手段が反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10の狭い外表面からの自然対流による放熱しかないことから、反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10の温度、ひいてはこれらの部材への伝熱熱量に大きく影響されるので、本案構造物によって反L側ブラケット8への伝熱量が減少すれば、回転検出器11とその周囲の空気温度は低下する。よって、回転検出器基板12に搭載されている素子温度も低下することになる。
【0009】
図2は本発明に係る二重管構造物の効果をシミュレーションによって示した図で、(a)は本発明に係る二重管構造物、(b)は比較例としての従来構造のものである。丸の中に示す数字は丸のある場所における温度上昇(°C)を示している。
ステータ1の熱のロータ3側への伝わり方をみると、(a)においては、ステータ1は温度上昇110°Cであり、ロータ3は97°C、回転軸4は75°Cであるのに対して、(b)においては、ステータ1は温度82°Cであり、ロータ3は88°C、回転軸4は75°Cであり、回転軸4の温度上昇に差はないが、ステータ1やロータ3については(a)の方が高い。
一方、ステータ1の熱の回転検出器11側への伝わり方をみると、(a)においては、ステータ1は温度上昇110°Cであるが、反L側ブラケット8の外周部では32°Cであり、回転検出器11のモータ側空間は45°Cとなっている。回転検出器11のモータ側空間の温度(45°C)が反L側ブラケット8の外周の温度(32°C)よりも高いのは、もっぱら回転軸4側からの熱が影響しているからであろうと推察される。
これに対して(b)においては、ステータ1は温度82°Cであり、フレーム2の温度は75°Cと高温である。回転検出器11のモータ側空間の温度は68°Cであり、(a)と比べて23°Cも高い。
また、回転検出器カバー10側の空間の温度は(a)が29°Cであり、(b)が49°Cであり、この例は両者とも400W出力のモータを想定しているが、同じ発熱量のモータであっても従来構造時の49°Cから本案構造時の29°Cへと20°C、約40%も低下している。
また、回転検出器基板12の周辺温度も同様に68°Cから54°へと低下している。
【0010】
上記第1の実施の形態ではフレーム外管13とフレーム内管14とはモータの負荷側端で接触固着していたが、フレーム外管13とフレーム内管14とを別個にL側ブラケット6に接触固定してもよい。こうすることによって、フレーム外管13はフレーム内管14よりも温度が低いL側ブラケット6と反L側ブラケット8とを繋ぐことになり、反L側ブラケット8への伝熱熱量はさらに小さくなる。
【0011】
さらに、フレーム外管13あるいはフレーム内管14、もしくはその両方からフレーム隙間15中に突起をひとつあるいは複数個、大きな影響をおよぼす伝熱経路にならない程度の数だけ径方向に延ばして互いに接触させるとよい。
また、フレーム隙間15中に大きな影響をおよぼす伝熱経路にならない程度の数だけのフレーム外管13とフレーム内管14に接するスペーサを挿入するとよい。
このようにすることによって、片もち梁的な支持構造になっているフレーム内管14が物理的にフレーム外管13と接触する部分が増えるので、振動や衝撃に対して強度を増加させることができる。
【0012】
次に、本発明の第2の実施の形態を図3に示す。
図3はモータの軸断面概観図である。
第1の実施の形態と異なる点は、第1の実施の形態に示したフレーム内管14をステータ1としたもので、これはコアと巻線から成るステータにモールドなどの方法で負荷側端付近の外表面をフレーム外管13に密着するような円筒状に整形加工し、フレーム外管13と負荷側端で接触固着して成るものである。
こうすることによって、ステータ1の外径を第1の実施の形態のフレーム内管14の厚さ分だけ大きくできるので、モータとしての電磁設計において発熱量の低減、あるいは出力の向上を図ることができる。
また、第1の実施の形態のフレーム内管14の厚さ分だけモータの外径を小さくできるので小型化を図ることもできる。
【0013】
本発明の第3の実施の形態を図4に示す。
図4は回転軸断面概観図を示し、図5は図4中のA−A断面を示す。
ステータ1をフレーム内管としたものにおいて、ステータコアの一部のコア部材にひとつあるいは複数のその外径がフレーム外管13の内径に等しい耳を設けて、組み立てたときにフレーム隙間15中に突起16を形成させる。
また、フレーム隙間15中に大きな影響をおよぼす伝熱経路にならない程度の数だけのフレーム外管13とステータに接するスペーサを挿入するとよい。
このようにすることによって、片もち梁的な支持構造になっているフレーム内管14が物理的にフレーム外管13と接触する部分が増えるので、振動や衝撃に対して強度が増す。
【0014】
本発明の第4の実施の形態を図6に示す。
図6は、回転検出器付モータにおける回転検出器の本発明による取付け部分を示したもので、(a)は回転軸の中心を通る軸端部の縦断面図、(b)および(c)は回転軸と継軸との接合部位を軸方向から見た状態を示す図である。
図において、71〜78の部材は、図9の第2の従来技術で示したものと同じである。
この実施の形態に係る回転検出器付モータは、継軸74の回転軸73との結合面にローレット加工79A((b)参照)を施すか、またはスプライン加工79B((c)参照)を施している。
これにより、回転軸73との結合面の接触面積を減少させることができる。そして熱抵抗は接触面積の減少に反比例して増加することから、これらの加工を施すことで、回転軸73から継軸74への熱の進入を減少させることができる。これにより、回転検出器の温度上昇を抑えることができ、回転検出器の信頼性を維持できる。
図9の従来の回転検出器付モータと第4実施の形態に係る図6の回転検出器付モータとの検出器基板の温度上昇を比較した結果、従来装置に比べて検出器基板の温度上昇が10%減少したことが確認できた。
【0015】
次に、本発明の第5の実施の形態を図7に示す。
図7の(a)は本発明の第5の実施の形態に係るプラスチック製中実円筒の側面図、(b)は回転軸の正面図、(c)は上記2つの部材の結合状態の側面図である。
(a)において、80は端部に凸部を有するプラスチック製の中実円筒であり、
これは若干テーパのついた本体部80aとこれから長さ方向に延びる断面矩形状の凸部80bと、本体部80aにその長さ方向に穿たれたネジ穴80cとで構成される。ネジ穴80cは継軸74が中実円筒80とテーパ面80aでスプラインまたはローレット結合された上で、回転検出器75とともに止めねじ74aにより固定されるためのものである。
(b)において、73は端部に凹部73aを有する回転軸である。
そこで(c)に示すように、中実円筒80の凸部80bを回転軸73の凹部73aに挿入後、両者が抜けないように結合ピン82で両者を貫通結合する。なお、結合には、結合ピン82の代わりにネジを用いてもよい。
通常、回転軸73や継軸74には、鋼や銅合金といった金属素材を使用するが、この実施形態によれば、回転軸端部に結合された中実円筒80は、金属材に比べて格段に熱伝導率が小さいプラスチック材を使用していることから回転軸の伝熱経路中の大きな熱抵抗となり、回転軸73から継軸74への熱の進入を減少させる。これにより、回転検出器の温度上昇を抑えることができ、回転検出器の信頼性を維持できる。
第5実施の形態に係る回転検出器付モータとの検出器基板の温度上昇を比較した結果、従来装置に比べて検出器基板温度上昇が20%減少したことが確認できた。
【0016】
【発明の効果】
以上のように、第1の実施の形態によれば、回転電機のフレームを二重管構造物として、フレーム内管の内面にステータを固着させ、フレーム内管とフレーム外管の一端を接触固着あるいはブラケット等に接触固定し、他端のフレーム内管は自由端としたままフレーム外管には回転検出器カバーに連なるブラケットを接触固定するようにしたので、発熱部であるステータから回転検出器を囲む回転検出器カバーまでの伝熱抵抗が増大して回転検出器カバーへの伝熱熱量が減少し、その結果、回転検出器の温度が低下するという効果がある。
第2の実施形態によれば、二重管構造物のフレーム内管を回転電機のステータコアとしたことによって、回転電機全体が小型化になる。
さらに、第3の実施形態によれば、フレーム内管とフレーム外管の隙間に伝熱経路とならない程度の数の突起やスペーサを設けることによって、片もち梁的な支持構造になっているフレーム内管の振動や衝撃に対する強度を増すことができる。
また、第4の実施形態によれば、継軸の回転軸との結合面にローレット加工またはスプライン加工を施し、継軸と回転軸の接触面積を減少させることで、回転軸から継軸への熱の進入を抑制させる。これにより、回転検出器の温度上昇を抑えることができ、回転検出器の信頼性を維持できるようになる。
また、第5実施の形態によれば、回転軸と継軸との間にプラスチック材を挿入する。プラスチック材の熱伝導率が小さいことからこの部分が大きな熱抵抗となり、回転軸から継軸への熱の進入を減少させる。これにより、回転検出器の温度上昇を抑えることができ、回転検出器の信頼性が保持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す回転電機の軸断面概観図である。
【図2】本発明に係る二重管構造物の効果をシミュレーションによって示した図で、(a)は本発明に係る二重管構造物、(b)は比較例としての従来構造である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す回転電機の軸断面概観図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す回転軸断面概観図である。
【図5】図4中のA−A断面図である。
【図6】本発明第4の実施形態の回転検出器付モータの回転検出器の取付け部を示したもので、(a)は回転軸の中心を通る軸端部の縦断面図、(b)および(c)は回転軸と継軸との接合部位を軸方向から見た状態を示す図である。
【図7】本発明第5の実施形態に係る回転軸端部を示したもので、(a)は本発明の第5の実施の形態に係るプラスチック製中実円筒の側面図、(b)は回転軸の正面図、(c)は上記2つの部材の結合状態の側面図である。
【図8】従来の回転検出器付きモータの軸断面概観図である。
【図9】従来の回転検出器付きモータの回転検出器取付け部を示したもので、(a)は回転軸の中心を通る軸端部の縦断面図、(b)は回転軸と継軸との接合部位を軸方向から見た状態を示す図である。
【符号の説明】
1:ステータ
2:フレーム
3:ロータ
4:回転軸
5:負荷
6:L側ブラケット
7:ヒートシンク
8:反L側ブラケット
9:断熱板
10:回転検出器カバー
11:回転検出器
12:回転検出器基板
13:フレーム外管
14:フレーム内管
15:フレーム隙間
16:ステータコア耳
71:ブラケット
72:軸受
73:回転軸
73a:テーパ面
74:継軸
74a:止めねじ
75:回転検出器
76:回転検出器カバー
77:断熱板
78:板材
79 結合部
79A:ローレット加工(本発明)
79B:スプライン加工(本発明)
79C:はめ合い結合(従来例)
80:プラスチック製中実円筒
82:結合ピン
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転検出器を備えたモータ、ジェネレータなどの回転電機に関するもので、特に回転検出器の温度上昇を抑制する構造の回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
[第1の従来構成]
図8は従来の回転検出器付き回転電機の軸断面概観を示す。
1はステータ、2はフレームで、ステータ1はフレーム2の内面に焼きバメなどで固着され、3はロータで、ステータ1の内部にギャップを挟んで配設されている。4は回転軸でロータ3が固着しており、回転軸4の出力側端部には負荷5が取り付けられている。また、フレーム2の出力側端にはL側ブラケット6が嵌合固定されている。L側ブラケット6は回転軸4とロータ3のステータ1に対する相対的位置を規定するとともにヒートシンク7に取り付けられている。
ヒートシンク7は図示していない機械に取り付けられている。フレーム2の反出力側には反L側ブラケット8が嵌合固定されている。反L側ブラケット8はL側ブラケット6とともに回転軸4とロータ3のステータ1に対する相対的位置を規定している。9は断熱板、10は回転検出器カバーで、反L側ブラケット8の回転電機とは反対側に取り付けられている。反L側ブラケット8、断熱板9、および回転検出器カバー10で構成する空間には、その構成部材の一つが回転軸4の反負荷側端部に取り付けられた11の回転検出器が内蔵されている。
このように構成されている回転電機に、図示していない電源からステータ1に駆動電流を供給するとステータ1とロータ3の間に働く電磁気作用によって回転力が生じ、ロータ3が固着している回転軸4が回転して負荷5に機械仕事を為す。同時に、回転軸4の反負荷側端に取り付けられた回転検出器11の構成部材も回転して回転検出器11から図示していない回転電機の回転制御器へ回転電機の回転状態を示す信号を出力する。
この過程において、ステータ1では通電電流による巻線でのジュール熱、渦電流によるステータコアでのジュール熱などが発生する。ステータ1で発生したこれらの熱は主にフレーム2とロータ3へ伝わる。
ロータ3に伝わった熱は回転軸4を介して負荷5へ伝わり、一部が反負荷側の回転検出器11へ伝わる。
フレーム2に伝わった熱はフレーム2の表面から直接周囲の空気へ放出されるが、大半はヒートシンク7へ伝わり、そこから周囲の空気あるいは取り付け外部の機械へと伝わる。
また、フレーム2に伝わった熱の一部は反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10へも拡がって温度上昇をきたす。
反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10で構成される空間に内蔵されている回転検出器11は回転軸4から伝わった熱と、反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10の温度上昇の影響を受けて温度が上がる。
とくに、回転検出器11とこの閉じられた空間の空気は周囲に対する放熱手段が反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10による狭い外表面からの自然対流による放熱しかないため、わずかの伝熱熱量で大きな温度上昇を生じる。
【0003】
[第2の従来構成]
また、図9は、従来の回転検出器付モータにおける回転検出器の取付け部分を示したもので、(a)は回転軸の中心を通る軸端部の縦断面図、(b)は回転軸と継軸との接合部位を軸方向から見た状態を示す図である。
(a)から解るように、回転軸73の端部に継軸74を取り付け、この継軸74に回転検出器75の回転部を結合させることにより、回転検出器75から回転電機の回転角度や回転速度の検出に必要な信号が得られるようにしてある。
継軸74は回転軸73とテーパ面73aではめあい結合79C(図9(b))された上で、回転検出器75とともに止めねじ74aにより固定されており、テーパ面73aより回転軸73と継軸74の軸心合わせが正確に得られるようにしてある。
また、71は回転電機の反L側ブラケットで、これには軸受72が設けてあり、これにより回転軸73の反負荷側が軸支されている。
さらに、回転検出器75の固定部は、この反L側ブラケット71と板材78を介して取り付けられ、これにより所定の位置に保持されるようにしてある。
さらに、この反L側ブラケット71には断熱板77を挟んで回転検出器カバー76が取り付けられており、これにより回転検出器75が保護されるようになっている。
ここで、回転電機では発熱が不可避で、動作中はコイルやコアにおける発熱の伝導により反L側ブラケット71の温度が上昇する。一方、回転検出器75は、通常各種の電子部品を備えており、このため、一般に温度上昇に弱く、ある程度以下の温度に保たないと信頼性を損なう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図8記載の第1の従来技術では回転検出器11を構成する回転検出器基板12上の素子がステータ1より温度に弱いため、断熱板9でフレーム2および反L側ブラケット8から回転検出器カバー10へ伝わる熱を阻止するなどして回転検出器11の温度上昇を抑える工夫がなされてきたが、反L側ブラケット8あるいは回転検出器カバー10と高温になるフレーム2との間に大きな熱抵抗が形成できず、回転検出器11の温度低下について十分な効果が得られないという問題があった。
【0005】
また、図9記載の第2の従来技術の回転検出器付回転電機においては、断熱板77を用いて回転検出器の断熱を図るにとどまり、回転軸から継軸を経由して進入する熱に対しては、有効な手段がない。そのため、回転軸からの熱の進入により回転検出器の温度が上昇し、その結果、誤動作など信頼性を損なう結果となった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、発熱源であるステータと反L側ブラケットの間に大きな熱抵抗を形成して回転検出器部分への伝熱熱量を抑え、回転検出器の温度、ひいては回転検出器基板上の素子温度を低下させることが可能な信頼性の高い回転電機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1記載の回転電機の発明は、回転電機の回転軸の軸方向端部に回転検出器を有する回転電機において、回転軸を中心とするフレーム内管とフレーム外管から成る二重管構造物を備え、該フレーム内管の内面に前記回転電機のステータを内包し、前記回転検出器に連なる部材を前記フレーム外管の一端と接触固定させ、前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と同じ側の前記フレーム内管端部は自由端とし、前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と反対側の前記フレーム外管とフレーム内管とを互いに接触固着させたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回転電機において、前記フレーム外管を前記フレーム内管より熱伝導率の小さい素材で構成したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の回転電機において、前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と反対側の前記フレーム外管とフレーム内管とをそれぞれ別個に回転電機ブラケット部材に接触固定させたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の回転電機において、前記フレーム内管を前記回転電機のステータコアとしたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の回転電機において、前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に前記フレーム外管あるいは前記フレーム内管から突出した一つ以上の突起を設けたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4記載の回転電機において、前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に前記ステータコアによる一つ以上の突起を設けたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載の回転電機において、前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に一つ以上のスペーサを挿入することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項記載の回転電機において、前記回転軸と前記回転検出器との結合を継軸で行うと共に、前記継軸と前記回転電機軸との結合面にスプライン加工またはローレット加工を施すことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の回転検出器付回転電機において、前記回転軸の端面部分にプラスチック材を固定し該プラスチック材に継軸を固定したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態についてを図面に基づいて詳しく説明する。なお、本発明の構成要素が従来技術と同じものについては同一符号を付してその説明を省略し、異なる点のみ説明する。
図1は発明の第1の実施の形態を示す回転電機の軸断面概観図である。
図において、13はフレーム外管、14はフレーム内管、15はフレーム外管13とフレーム内管14の間にあるフレーム隙間で、フレーム隙間15は周方向には全周しており、回転軸方向には少なくともステータ1のコア積厚を超える長さである。フレーム内管14の内面にはステータ1が焼きバメなどの方法で固着されている。フレーム外管13とフレーム内管14は回転電機の負荷側端で接触固着してフレーム2を形成している。フレーム外管13とフレーム内管14とは同じ材質でもいいし、違うものであってもよい。違う場合は例えばフレーム外管13は樹脂製、フレーム内管14はアルミ製といったように、フレーム内管の熱伝導率よりもフレーム外管のそれが小さい素材で構成するのがよい。
図中のその他の符号は図8に示す従来例と同じ部材であり、同じ機能を示す。
【0008】
このような構成の回転電機が稼働してステータ1で熱が発生すると、ほとんどの熱はフレーム内管14とロータ3へ伝わる。ロータ3へ伝わった熱は回転軸4を介して負荷5と回転検出器11へ伝わる。フレーム内管14へ伝わった熱は、その一部はフレーム隙間15を介してフレーム外管13へ伝わるが、大半はフレーム内管14の中を負荷側へ流れ、L側ブラケット6を通ってヒートシンク7へ伝わり周囲の空気あるいは外部の機械へと伝わる。
フレーム内管14に伝わった熱の伝熱経路としてフレーム2の負荷側端からフレーム外管13を通って反L側ブラケット8へ伝わる経路がある。しかし、フレーム外管13が熱伝導率が小さい樹脂製であること、フレーム12の負荷側端から反L側ブラケット8までの伝熱距離が長いこと、フレーム外管13の径方向厚さが薄いことから大きな熱抵抗となり、フレーム2の負荷側端からヒートシンク7までの熱抵抗と比較すると格段に熱が伝わりにくくなる。フレーム内管14からフレーム外管13へフレーム隙間15を介して伝わる伝熱経路もフレーム隙間15の空気部分があることから熱抵抗が大きい。したがって、ステータ1からフレーム内管14に伝わった熱はそのほとんどがヒートシンク7に伝わり、反L側ブラケット8に伝わる熱は減少する。
また、反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10で構成された空間にある回転検出器11と空気の温度は、周囲に対する放熱手段が反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10の狭い外表面からの自然対流による放熱しかないことから、反L側ブラケット8、断熱板9、回転検出器カバー10の温度、ひいてはこれらの部材への伝熱熱量に大きく影響されるので、本案構造物によって反L側ブラケット8への伝熱量が減少すれば、回転検出器11とその周囲の空気温度は低下する。よって、回転検出器基板12に搭載されている素子温度も低下することになる。
【0009】
図2は本発明に係る二重管構造物の効果をシミュレーションによって示した図で、(a)は本発明に係る二重管構造物、(b)は比較例としての従来構造のものである。丸の中に示す数字は丸のある場所における温度上昇(°C)を示している。
ステータ1の熱のロータ3側への伝わり方をみると、(a)においては、ステータ1は温度上昇110°Cであり、ロータ3は97°C、回転軸4は75°Cであるのに対して、(b)においては、ステータ1は温度82°Cであり、ロータ3は88°C、回転軸4は75°Cであり、回転軸4の温度上昇に差はないが、ステータ1やロータ3については(a)の方が高い。
一方、ステータ1の熱の回転検出器11側への伝わり方をみると、(a)においては、ステータ1は温度上昇110°Cであるが、反L側ブラケット8の外周部では32°Cであり、回転検出器11のモータ側空間は45°Cとなっている。回転検出器11のモータ側空間の温度(45°C)が反L側ブラケット8の外周の温度(32°C)よりも高いのは、もっぱら回転軸4側からの熱が影響しているからであろうと推察される。
これに対して(b)においては、ステータ1は温度82°Cであり、フレーム2の温度は75°Cと高温である。回転検出器11のモータ側空間の温度は68°Cであり、(a)と比べて23°Cも高い。
また、回転検出器カバー10側の空間の温度は(a)が29°Cであり、(b)が49°Cであり、この例は両者とも400W出力のモータを想定しているが、同じ発熱量のモータであっても従来構造時の49°Cから本案構造時の29°Cへと20°C、約40%も低下している。
また、回転検出器基板12の周辺温度も同様に68°Cから54°へと低下している。
【0010】
上記第1の実施の形態ではフレーム外管13とフレーム内管14とはモータの負荷側端で接触固着していたが、フレーム外管13とフレーム内管14とを別個にL側ブラケット6に接触固定してもよい。こうすることによって、フレーム外管13はフレーム内管14よりも温度が低いL側ブラケット6と反L側ブラケット8とを繋ぐことになり、反L側ブラケット8への伝熱熱量はさらに小さくなる。
【0011】
さらに、フレーム外管13あるいはフレーム内管14、もしくはその両方からフレーム隙間15中に突起をひとつあるいは複数個、大きな影響をおよぼす伝熱経路にならない程度の数だけ径方向に延ばして互いに接触させるとよい。
また、フレーム隙間15中に大きな影響をおよぼす伝熱経路にならない程度の数だけのフレーム外管13とフレーム内管14に接するスペーサを挿入するとよい。
このようにすることによって、片もち梁的な支持構造になっているフレーム内管14が物理的にフレーム外管13と接触する部分が増えるので、振動や衝撃に対して強度を増加させることができる。
【0012】
次に、本発明の第2の実施の形態を図3に示す。
図3はモータの軸断面概観図である。
第1の実施の形態と異なる点は、第1の実施の形態に示したフレーム内管14をステータ1としたもので、これはコアと巻線から成るステータにモールドなどの方法で負荷側端付近の外表面をフレーム外管13に密着するような円筒状に整形加工し、フレーム外管13と負荷側端で接触固着して成るものである。
こうすることによって、ステータ1の外径を第1の実施の形態のフレーム内管14の厚さ分だけ大きくできるので、モータとしての電磁設計において発熱量の低減、あるいは出力の向上を図ることができる。
また、第1の実施の形態のフレーム内管14の厚さ分だけモータの外径を小さくできるので小型化を図ることもできる。
【0013】
本発明の第3の実施の形態を図4に示す。
図4は回転軸断面概観図を示し、図5は図4中のA−A断面を示す。
ステータ1をフレーム内管としたものにおいて、ステータコアの一部のコア部材にひとつあるいは複数のその外径がフレーム外管13の内径に等しい耳を設けて、組み立てたときにフレーム隙間15中に突起16を形成させる。
また、フレーム隙間15中に大きな影響をおよぼす伝熱経路にならない程度の数だけのフレーム外管13とステータに接するスペーサを挿入するとよい。
このようにすることによって、片もち梁的な支持構造になっているフレーム内管14が物理的にフレーム外管13と接触する部分が増えるので、振動や衝撃に対して強度が増す。
【0014】
本発明の第4の実施の形態を図6に示す。
図6は、回転検出器付モータにおける回転検出器の本発明による取付け部分を示したもので、(a)は回転軸の中心を通る軸端部の縦断面図、(b)および(c)は回転軸と継軸との接合部位を軸方向から見た状態を示す図である。
図において、71〜78の部材は、図9の第2の従来技術で示したものと同じである。
この実施の形態に係る回転検出器付モータは、継軸74の回転軸73との結合面にローレット加工79A((b)参照)を施すか、またはスプライン加工79B((c)参照)を施している。
これにより、回転軸73との結合面の接触面積を減少させることができる。そして熱抵抗は接触面積の減少に反比例して増加することから、これらの加工を施すことで、回転軸73から継軸74への熱の進入を減少させることができる。これにより、回転検出器の温度上昇を抑えることができ、回転検出器の信頼性を維持できる。
図9の従来の回転検出器付モータと第4実施の形態に係る図6の回転検出器付モータとの検出器基板の温度上昇を比較した結果、従来装置に比べて検出器基板の温度上昇が10%減少したことが確認できた。
【0015】
次に、本発明の第5の実施の形態を図7に示す。
図7の(a)は本発明の第5の実施の形態に係るプラスチック製中実円筒の側面図、(b)は回転軸の正面図、(c)は上記2つの部材の結合状態の側面図である。
(a)において、80は端部に凸部を有するプラスチック製の中実円筒であり、
これは若干テーパのついた本体部80aとこれから長さ方向に延びる断面矩形状の凸部80bと、本体部80aにその長さ方向に穿たれたネジ穴80cとで構成される。ネジ穴80cは継軸74が中実円筒80とテーパ面80aでスプラインまたはローレット結合された上で、回転検出器75とともに止めねじ74aにより固定されるためのものである。
(b)において、73は端部に凹部73aを有する回転軸である。
そこで(c)に示すように、中実円筒80の凸部80bを回転軸73の凹部73aに挿入後、両者が抜けないように結合ピン82で両者を貫通結合する。なお、結合には、結合ピン82の代わりにネジを用いてもよい。
通常、回転軸73や継軸74には、鋼や銅合金といった金属素材を使用するが、この実施形態によれば、回転軸端部に結合された中実円筒80は、金属材に比べて格段に熱伝導率が小さいプラスチック材を使用していることから回転軸の伝熱経路中の大きな熱抵抗となり、回転軸73から継軸74への熱の進入を減少させる。これにより、回転検出器の温度上昇を抑えることができ、回転検出器の信頼性を維持できる。
第5実施の形態に係る回転検出器付モータとの検出器基板の温度上昇を比較した結果、従来装置に比べて検出器基板温度上昇が20%減少したことが確認できた。
【0016】
【発明の効果】
以上のように、第1の実施の形態によれば、回転電機のフレームを二重管構造物として、フレーム内管の内面にステータを固着させ、フレーム内管とフレーム外管の一端を接触固着あるいはブラケット等に接触固定し、他端のフレーム内管は自由端としたままフレーム外管には回転検出器カバーに連なるブラケットを接触固定するようにしたので、発熱部であるステータから回転検出器を囲む回転検出器カバーまでの伝熱抵抗が増大して回転検出器カバーへの伝熱熱量が減少し、その結果、回転検出器の温度が低下するという効果がある。
第2の実施形態によれば、二重管構造物のフレーム内管を回転電機のステータコアとしたことによって、回転電機全体が小型化になる。
さらに、第3の実施形態によれば、フレーム内管とフレーム外管の隙間に伝熱経路とならない程度の数の突起やスペーサを設けることによって、片もち梁的な支持構造になっているフレーム内管の振動や衝撃に対する強度を増すことができる。
また、第4の実施形態によれば、継軸の回転軸との結合面にローレット加工またはスプライン加工を施し、継軸と回転軸の接触面積を減少させることで、回転軸から継軸への熱の進入を抑制させる。これにより、回転検出器の温度上昇を抑えることができ、回転検出器の信頼性を維持できるようになる。
また、第5実施の形態によれば、回転軸と継軸との間にプラスチック材を挿入する。プラスチック材の熱伝導率が小さいことからこの部分が大きな熱抵抗となり、回転軸から継軸への熱の進入を減少させる。これにより、回転検出器の温度上昇を抑えることができ、回転検出器の信頼性が保持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す回転電機の軸断面概観図である。
【図2】本発明に係る二重管構造物の効果をシミュレーションによって示した図で、(a)は本発明に係る二重管構造物、(b)は比較例としての従来構造である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す回転電機の軸断面概観図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す回転軸断面概観図である。
【図5】図4中のA−A断面図である。
【図6】本発明第4の実施形態の回転検出器付モータの回転検出器の取付け部を示したもので、(a)は回転軸の中心を通る軸端部の縦断面図、(b)および(c)は回転軸と継軸との接合部位を軸方向から見た状態を示す図である。
【図7】本発明第5の実施形態に係る回転軸端部を示したもので、(a)は本発明の第5の実施の形態に係るプラスチック製中実円筒の側面図、(b)は回転軸の正面図、(c)は上記2つの部材の結合状態の側面図である。
【図8】従来の回転検出器付きモータの軸断面概観図である。
【図9】従来の回転検出器付きモータの回転検出器取付け部を示したもので、(a)は回転軸の中心を通る軸端部の縦断面図、(b)は回転軸と継軸との接合部位を軸方向から見た状態を示す図である。
【符号の説明】
1:ステータ
2:フレーム
3:ロータ
4:回転軸
5:負荷
6:L側ブラケット
7:ヒートシンク
8:反L側ブラケット
9:断熱板
10:回転検出器カバー
11:回転検出器
12:回転検出器基板
13:フレーム外管
14:フレーム内管
15:フレーム隙間
16:ステータコア耳
71:ブラケット
72:軸受
73:回転軸
73a:テーパ面
74:継軸
74a:止めねじ
75:回転検出器
76:回転検出器カバー
77:断熱板
78:板材
79 結合部
79A:ローレット加工(本発明)
79B:スプライン加工(本発明)
79C:はめ合い結合(従来例)
80:プラスチック製中実円筒
82:結合ピン
Claims (9)
- 回転電機の回転軸の軸方向端部に回転検出器を有する回転電機において、回転軸を中心とするフレーム内管とフレーム外管から成る二重管構造物を備え、該フレーム内管の内面に前記回転電機のステータを内包し、前記回転検出器に連なる部材を前記フレーム外管の一端と接触固定させ、前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と同じ側の前記フレーム内管端部は自由端とし、前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と反対側の前記フレーム外管とフレーム内管とを互いに接触固着させたことを特徴とする回転電機。
- 前記フレーム外管を前記フレーム内管より熱伝導率の小さい素材で構成したことを特徴とする請求項1記載の回転電機。
- 前記回転検出器に連なる部材を接触固定させた側と反対側の前記フレーム外管とフレーム内管とをそれぞれ別個に回転電機ブラケット部材に接触固定させたことを特徴とする請求項1又は2記載の回転電機。
- 前記フレーム内管を前記回転電機のステータコアとしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の回転電機。
- 前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に前記フレーム外管あるいは前記フレーム内管から突出した一つ以上の突起を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の回転電機。
- 前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に前記ステータコアによる一つ以上の突起を設けたことを特徴とする請求項4記載の回転電機。
- 前記フレーム外管と前記フレーム内管とが構成する隙間部分に一つ以上のスペーサを挿入することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の回転電機。
- 前記回転軸と前記回転検出器との結合を継軸で行うと共に、前記継軸と前記回転電機軸との結合面にスプライン加工またはローレット加工を施すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の回転電機。
- 前記回転軸の端面部分にプラスチック材を固定し該プラスチック材に継軸を固定したことを特徴とする請求項8記載の回転電機。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014024288A1 (ja) * | 2012-08-09 | 2014-02-13 | 三菱電機株式会社 | 電動機 |
EP3247026A1 (en) * | 2016-05-17 | 2017-11-22 | Harmonic Drive Systems Inc. | Strain wave gearing with bulit-in motor |
-
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