JP2004095619A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バイポーラトランジスタにおいて、エミッタ電極引き出し配線層9をエミッタ領域5と、エミッタ領域5とベース領域3との接合近傍での空乏層領域21を完全に覆うような形状とする。さらに、空乏層領域21に斜め上方から紫外線が照射されないように、エミッタ電極引き出し配線層9をエミッタ領域5の周囲全てを取り囲むダミーコンタクト部9aを有する形状とする。このダミーコンタクト部9aは、エミッタ領域5とコレクタ領域6との間のベース領域3bのうち、空乏層領域21よりもコレクタ領域6側の領域に配置する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不揮発性半導体記憶素子とバイポーラトランジスタとを同一の半導体基板に混載した半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、Claudio Contiero, Multipower−BCD Technology, The 21st Conferenceon Microelectronics MIEL 93 September 29 to October 1st 1993にて示されるように、不揮発性半導体記憶素子、周辺回路としてのCMOSトランジスタ、及びバイポーラトランジスタを同一の半導体基板に混載した半導体装置がある。
【0003】
図5にこのような半導体装置におけるバイポーラトランジスタの平面図を示す。この図は、例えば横型のPNPトランジスタ(以下では、L−PNPトランジスタと呼ぶ)を示しており、フィールド絶縁膜や層間絶縁膜等を省略している。通常、L−PNPトランジスタは、図5中に斜線で示すように、N−型ベース領域3、P+型コレクタ領域5、P+型エミッタ領域6上に、それぞれ、ベース電極引き出し配線層15、コレクタ電極引き出し配線層13、エミッタ電極引き出し配線層9が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
不揮発性半導体記憶素子はフローティングゲートを有しており、製造工程内での種々のチャージにより、フローティングゲート内に電荷が集まり、しきい値電圧が変化している。したがって、製造工程の最終段階において、不均一となったしきい値電圧を均一にするため、不揮発性半導体記憶素子に対して、紫外線を照射している。このとき、紫外線はL−PNPトランジスタにも照射される。このため、以下に説明するように、L−PNPトランジスタにおけるエミッタ領域5を接地したときのベース電流(Ib)に対するコレクタ電流(Ic)の比、いわゆる電流増幅率(hfe)が低下するという問題が生じることがわかった。
【0005】
図6に紫外線照射時間とL−PNPトランジスタにおけるhfeとの関係を示す。図6に示すように、紫外線の照射時間が長くなるにつれて、Icが1×10−6A前後の低電流駆動領域において、hfeが低下してしまう。
【0006】
そして、本発明者がこの原因を調査したところ、次のことが推測される。図7に紫外線照射時間と、L−PNPトランジスタにおけるVeb−Ib、Ic特性との関係を示す。また、図8に図7中の一点鎖線領域の拡大図を示す。Icは、紫外線の照射時間が増加しても変化が見られないが、図中の矢印にて示すように、Icが1×10−5Aよりも小さい場合では、紫外線照射時間が長くなるにつれ、Ibが増加していることがわかる。一般に、Ibはexp(qVbe/mKT)に比例し、電流成分が主に再結合電流であるときm=2であり、主に拡散電流であるときm=1であることが知られている。図7中には参考として、m=1、2のときの傾きを示している。図7、8において、Ibが増加したときのIbの傾きはm=2のときの傾きに近づいている。
【0007】
これらのことから、hfeが低下したのは、L−PNPトランジスタが紫外線に照射され、再結合電流が増加したためであると推測される。なお、再結合電流はエミッタ−ベース接合(PN接合)における空乏層内で、少数キャリアが多数キャリアと再結合して消滅することにより流れる。
【0008】
したがって、hfeの低下を防ぐ方法としては、L−PNPトランジスタのエミッタ−ベース接合に紫外線が照射されないように、エミッタ−ベース接合を金属配線にて覆う方法が考えられる。このような構造の半導体装置としては、特開平7−183309号公報にて提案されているものがある。この半導体装置では、半導体基板上にポリシリコンシールドと、エミッタ金属電極とを有し、これらにより、エミッタ−ベース接合近辺の領域が覆われている。
【0009】
この公報にて提案されている半導体装置では、エミッタ金属電極は、エミッタ−ベース接合近辺の領域を覆っており、真上から照射される紫外線を遮断することができる。しかしながら、エミッタ−ベース接合の斜め上方から照射される紫外線を遮断するように配置されていないため、斜めから照射される紫外線を遮断することができない。また、ポリシリコンシールドは、エミッタ−ベース接合及びエミッタ−コレクタ間のベース領域を覆っており、エミッタ金属電極よりも広い範囲を覆っているが、ポリシリコンでは紫外線を遮断することができないため、hfeの低下を抑制することができない。
【0010】
本発明は上記点に鑑みて、エミッタ−ベース接合の真上から照射される紫外線だけでなく、斜め上方から照射される紫外線も遮断することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、バイポーラトランジスタにおいて、金属配線層(9)は、エミッタ−ベース接合(23)で熱平衡状態のときに発生する空乏層領域(21)への紫外線照射を抑制するために、半導体基板(4)の表面を上から見たとき、エミッタ領域(5)とコレクタ領域(6)との間のベース領域(3b)のうち、空乏層領域(21)よりもコレクタ領域(6)側の領域にて、エミッタ領域(5)を取り囲むように配置され、層間絶縁膜(8)からフィールド絶縁膜(7)に到達する深さのホール(22)内に埋め込まれた構造部(9a)を有し、エミッタ領域(5)及び構造部(9a)の全領域を覆うように、エミッタ領域(5)上から構造部(9a)上に至って配置されていることを特徴としている。
【0012】
本発明では、金属配線層(9)は、全てのエミッタ−ベース接合表面の熱平衡状態での空乏層領域(21)を覆うように配置されている。したがって、不揮発性半導体記憶素子に対して、しきい値電圧を均一にするために紫外線を照射しても、バイポーラトランジスタにおいては、この空乏層領域に対して真上から照射される紫外線を遮断することができる。
【0013】
さらに、この金属配線層(9)は、紫外線を遮断するために、エミッタ−コレクタ間のベース領域のうち、空乏層領域(21)よりもコレクタ領域(6)側の領域にて、層間絶縁膜(8)を貫通し、フィールド絶縁膜(7)に到達するように配置されており、また、エミッタ領域(5)の全てを覆うように配置されている。このことから、空乏層領域(21)の真上だけでなく、空乏層領域に対して斜め上方から照射される紫外線も遮断することができる。
【0014】
これにより、紫外線照射によるエミッタ−ベース接合での再結合電流の発生を抑えることができる。この結果、電流増幅率の低下を抑制することができる。
【0015】
請求項2に示すように、例えば、半導体基板(4)の表面でのエミッタ−ベース接合(23)の位置から1μm以上離れた位置に、構造部(9a)を配置することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、不揮発性半導体記憶素子と、バイポーラトランジスタとを同一の半導体基板(4)に混載した半導体装置の製造方法であって、バイポーラトランジスタを形成するとき、半導体基板(4)の表面を上から見たときにおけるエミッタ領域(5)とコレクタ領域(6)との間のベース領域(3b)のうち、エミッタ−ベース接合(23)で熱平衡状態のときに発生する空乏層領域(21)よりもコレクタ領域(6)側の領域にて、エミッタ領域(5)の周囲全てを取り囲むように、層間絶縁膜(8)を貫通してフィールド絶縁膜(7)に到達するホール(22)を形成する工程と、
コンタクトホール(10)を介してエミッタ領域(5)と電気的に接続させ、かつ、空乏層領域(21)への紫外線照射を抑制するために、エミッタ領域(5)及び空乏層領域(21)の全ての領域を覆い、エミッタ領域(5)及び空乏層領域(21)上からフィールド絶縁膜(7)に到達するホール(22)の内部に至って、金属配線層を層間絶縁膜(8)上に形成する工程とを有することを特徴としている。
【0017】
これにより、請求項1に記載の半導体装置を製造することができる。
【0018】
この製造方法において、請求項4に示すように、コンタクトホール(10)を形成する工程と、層間絶縁膜(8)を貫通してフィールド絶縁膜(7)に到達するホール(22)を形成する工程とを同時に行うこともできる。
【0019】
これにより、従来と比較して、製造工程数を増加させることなく、半導体装置を製造することができる。
【0020】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態におけるバイポーラトランジスタと不揮発性半導体記憶素子とを同一の半導体基板に混載した半導体装置のうち、バイポーラトランジスタを図1、2に示し、不揮発性半導体記憶素子を図3、4に示す。なお、図1、図3では、フィールド絶縁膜、層間絶縁膜を省略している。また、図2は図1中のA−A’断面図であり、図4は図3中のB−B’断面図である。
【0022】
本実施形態では、バイポーラトランジスタとしてL−PNPトランジスタを用い、不揮発性半導体記憶素子としてEPROMを用いる場合を説明する。
【0023】
図2、4に示すように、この半導体装置はP−型シリコン基板1及びN−型エピタキシャル層3より構成された半導体基板4を有しており、L−PNPトランジスタではP−型シリコン基板1とN−型エピタキシャル層3との間に、N+型埋込み層2が形成されている。P−型シリコン基板1、N+型埋込み層2、及びN−型エピタキシャル層3の不純物濃度は、それぞれ、1×1015〜1×1016cm−3、1×1019〜1×1020cm−3、1×1015cm−3となっている。
【0024】
図1、2に示すように、L−PNPトランジスタではN−型エピタキシャル層3がベース領域3であり、このベース領域3の表層には、P+型エミッタ領域5、P+型コレクタ領域6が形成されている。P+型エミッタ領域5及びP+型コレクタ領域6の不純物濃度は共に1×1019cm−3となっている。
【0025】
半導体基板4の上には、フィールド絶縁膜として、例えばLOCOS酸化膜7が形成されており、LOCOS酸化膜7の上には層間絶縁膜として、例えばBPSG膜8が形成されている。さらに、BPSG膜8の上には、Alにより構成されたエミッタ電極引き出し配線層9が形成されている。
【0026】
このエミッタ電極引き出し配線層9は、LOCOS酸化膜7及びBPSG膜8に形成されたコンタクトホール10を介して、エミッタ領域5と電気的に接続されている。図1では、エミッタ電極引き出し配線層9を斜線にて示しており、このエミッタ領域5とエミッタ電極引き出し配線層9とが電気的に接続されているコンタクト領域11を×印にて示している。なお、このエミッタ電極引き出し配線層9は、紫外線を遮断できる材質であればAlだけでなく、Cu、Al−Si合金、Al−Si−Cu合金等の他の材質とすることもできる。
【0027】
同様に、図1に示すように、コレクタ領域6の上方にて、コレクタ領域6とコンタクト領域12を介して電気的に接続されているコレクタ電極引き出し配線層13が形成されている。また、図1に示すように、N−型ベース領域3のうち、コレクタ領域6よりも外側の領域3aの上方にて、N−型ベース領域3とコンタクト領域14を介して電気的に接続されているベース電極引き出し配線層15が形成されている。
【0028】
ここで、エミッタ電極引き出し配線層9の形状について説明する。エミッタ領域5とN−型ベース領域3とのPN接合の近傍では、熱平衡状態(非バイアス時)のときに空乏層が生じる領域21がある。以下では、この空乏層が生じる領域を空乏層領域21と呼ぶ。本実施形態では、半導体基板4の表面におけるこの空乏層領域21の幅は約1μmである。この空乏層領域21に紫外線が照射されると再結合電流が増加してしまう。
【0029】
したがって、この空乏層領域21に紫外線が照射されるのを防ぐために、本実施形態では、図1に示すように、エミッタ電極引き出し配線層9は、半導体基板4の表面を上から見たとき、N−型ベース領域3のうち、エミッタ領域5とコレクタ領域6との間の領域3bと、エミッタ領域5とを完全に覆うように配置されている。
【0030】
さらに、図2に示すように、エミッタ電極引き出し配線層9は、N−型ベース領域3のうち、エミッタ領域5とコレクタ領域6との間の領域3bの上方にて、BPSG膜8の上から半導体基板4の表面に向かって延びており、BPSG膜8の内部に形成されたコンタクト11と同様な形状である構造部9aを有した構造となっている。なお、以下では、この構造部9aをダミーコンタクトと呼ぶ。
【0031】
このダミーコンタクト9aについて説明する。エミッタ領域5とコレクタ領域6との間の領域3bのうち、空乏層領域21よりもコレクタ領域6側の領域の上方にて、BPSG膜8を貫通してLOCOS酸化膜7に到達し、さらにLOCOS酸化膜7の一部を除去するようにホール22が形成されている。また、このホール22は、図1では点線の斜線にて示されている領域であり、エミッタ領域5の周囲全てを取り囲むように配置されている。
【0032】
本実施形態では、このホール22は、半導体基板4の表面におけるエミッタ領域5とコレクタ領域6とのPN接合23より、1μm以上離れた位置にホール22が配置されている。また、LOCOS酸化膜7の厚さは0.7μmであり、このホール22の底面はLOCOS酸化膜7の表面から例えば0.2〜0.3μmのところに位置している。なお、このホール22の深さは、紫外線が照射されたとき、空乏層領域21に対して、斜め上方からも紫外線が照射されないように設定している。したがって、ホール22の深さは、本実施形態で例示している深さに限らず、ホール22の形成位置に応じて、空乏層領域21に紫外線が照射されず、また、半導体基板4に接しない程度の深さにて、任意に設定することができる。
【0033】
ダミーコンタクト9aは、BPSG膜8及びLOCOS酸化膜7に形成されたホール22の全てに、エミッタ電極引き出し配線層9が埋め込まれた構成となっている。
【0034】
一方、EPROMは、図4に示すように、N−型エピタキシャル層3の表層に、P型ウェル層31aとN型ウェル層31bとが形成されている。そして、半導体基板4のうちN型ウェル層31b側には、N型ウェル層31bからP−型シリコン基板1にかけて高濃度のN型拡散層により構成されたコントロールゲート32が備えられている。
【0035】
また、P型ウェル層31a及びN型ウェル層31b上にはフィールド絶縁膜としてのLOCOS酸化膜7が形成されており、このLOCOS酸化膜7によって素子分離がなされている。このLOCOS酸化膜7は、N型ウェル層31bのうちコントロールゲート32の一部を含む領域とP型ウェル層31aの一部の領域において開口している。このLOCOS酸化膜7が開口した部分のそれぞれに、コントロールゲート32側のゲート絶縁膜33とP型ウェル層31a側のゲート絶縁膜34とが形成されている。
【0036】
そして、LOCOS酸化膜7上をまたいで、両ゲート絶縁膜33、34上にフローティングゲート35が形成されていると共に、フローティングゲート35を覆うようにBPSG膜8が形成されている。さらにBPSG膜8の上にはTEOS膜等の絶縁膜36が形成されており、最終的には半導体基板4の表面に例えばP−SiN等の保護膜37が形成されている。なお、図2では、絶縁膜36、保護膜37を示していないが、L−PNPトランジスタにおいても、絶縁膜36、保護膜37が形成されている。
【0037】
図3の平面パターンにおいて、点線で示されている領域は第1金属配線層であり、図4のBPSG膜8と絶縁膜36との間に位置する。また、同様に太い実線で示されている領域は第2金属配線層であり、第1金属配線層よりも上側に形成されており、図4の絶縁膜36と保護膜37との間に位置している。
【0038】
コントロールゲート32は図3に示すように、本実施形態では、例えば紙面上下方向に長い長方形状に形成されている。
【0039】
また、ワード線41は、Al等にて形成されている第1金属配線層であり、点線にて示されるように、コントロールゲート32に平行で紙面上下方向に延びて形成されている。コントロールゲート32は、コンタクトホール42を介してワード線41と電気的に接続されている。
【0040】
フローティングゲート35は、図3に示すように、コントロールゲート32と交差するように配置されている。このフローティングゲート35はどの電極とも電気的に接続されておらず、電気的に孤立した状態となっている。
【0041】
また、図3に示すように、フローティングゲート35の両サイドに位置する部分にそれぞれN型拡散層にて構成されたドレイン領域43とソース領域44とが形成されている。
【0042】
このドレイン領域43はコンタクトホール45を介してBPSG膜8上に形成されている1stAl配線46と接続されている。さらにこの1stAl配線46はコンタクトホール47を介して第2金属配線層であるデータ線48と電気的に接続されている。一方、ソース領域44は、図3中に点線で示され、ソース線49とコンタクトホール50を介して電気的に接続されている。
【0043】
また、図示していないが、半導体基板4には周辺回路としてのCMOSトランジスタが形成されている。
【0044】
このように構成されたEPROMにおいて、書き込みを行う際には、トランジスタ領域のドレイン領域43に電圧を印加してホットキャリアを発生させると共に、コントロールゲート32に電圧を印加させ、フローティングゲート35へのキャリア注入を行って、トランジスタのしきい値電圧Vtを変動させる(初期値より高くする)。そして、読み出しの際には、未書き込みセル(初期セル)のVtと書き込みセルのVtとの間の電圧を加え、トランジスタの「オン」「オフ」によって「0」「1」を識別する。
【0045】
このように構成された半導体装置は、例えば、センサ出力が微小であり、高精度が要求される自動車用センサ製品等に用いることができる。センサ出力をL−PNPトランジスタを有する回路にて増幅し、個々の製造ばらつきに起因するセンサ出力ばらつきをEPROMとCMOS素子を有する周辺回路で調整し、その後、そのデータを保持する。
【0046】
本実施形態では、L−PNPトランジスタにおいて、エミッタ電極引き出し配線層9は、エミッタ領域5のコンタクト11から、空乏層領域21を越えて、エミッタ領域5とコレクタ領域6との間のベース領域3bまで延びている。すなわち、エミッタ電極引き出し配線層9は全てのエミッタ領域5と空乏層領域21を覆うように配置されている。このことから、EPROMに対して、しきい値電圧を均一にするために紫外線を照射しても、L−PNPトランジスタにおいては、この空乏層領域21に対して真上から照射される紫外線や、エミッタ領域5の上部から空乏層領域21に対して斜め上方から照射される紫外線を遮断することができる。
【0047】
さらに、このエミッタ電極引き出し配線層9は、図2に示すように、N−型ベース領域3のエミッタ領域5とコレクタ領域6との間の領域3bのうち、空乏層領域21よりもコレクタ領域6側の領域の上方にて、ダミーコンタクト9aを有する構造となっている。また、このダミーコンタクト9aはエミッタ領域5の周囲全てを取り囲むように配置され、ダミーコンタクト9aは、空乏層領域21に対して斜め上方から紫外線が照射されないような深さに設定されている。このことから、エミッタ領域5よりも外側の領域から空乏層領域21に対して斜め上方から照射される紫外線も遮断することができる。
【0048】
このように本実施形態では、空乏層領域21に紫外線が照射されるのを防ぐことができる。これにより、紫外線照射による空乏層領域21での再結合電流の発生を抑えることができる。この結果、電流増幅率の低下を抑制することができる。
【0049】
従来では、紫外線照射による空乏層領域21での再結合電流の発生を考慮して、エミッタ電極引き出し配線層9を配置していなかった。そのため、オペアンプ回路において、L−PNPトランジスタをペアトランジスタとして用いている場合、このペアトランジスタの片方では、エミッタ−ベース接合での空乏層領域が金属配線にて覆われており、一方では、空乏層領域が金属配線にて覆われていない等の金属配線パターンのアンバランスが生じてしまうときがあった。
【0050】
hfeが低下する現象は、図6に示すように、低電流駆動領域ほど顕著である。このため、特に、高利得(低電流駆動)で高精度な性能が要求されるオペアンプ回路において、ペアトランジスタ間にて金属配線パターンのアンバランスがあると、それぞれの空乏層領域への紫外線照射量に差が生じてしまう。これにより、hfeのペア性が大きくずれ、回路の精度が低下しまうことがあった。
【0051】
これに対して、本実施形態では、空乏層領域21に紫外線が照射されるのを防ぎ、hfeの低下を抑制することができる。このことから、L−PNPトランジスタをオペアンプ回路として用いた場合において、紫外線照射により、精度が低下してしまうのを抑制することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、図1に示すように、L−PNPトランジスタにおいて、エミッタ電極引き出し配線層9は、半導体基板4の表面を上から見たとき、N−型ベース領域3のうち、エミッタ領域5とコレクタ領域6との間の領域3bの全てを覆うように配置されていたが、必ずしもベース領域3bを全て覆っていなくても良く、半導体基板4の表面を上から見たとき、エミッタ電極引き出し配線層9の最外周が、少なくともダミーコンタクト部9aが形成されている位置となっていれば良い。このようにしても本実施形態と同様の効果を有する。
【0053】
次にこの半導体装置の製造方法について説明する。
【0054】
まず、P−型シリコン基板1を用意し、L−PNPトランジスタの形成予定領域にて、P−型シリコン基板1の上にN+型埋込み層2、N−型エピタキシャル層3を形成すると共に、EPROMの形成予定領域にて、P−型シリコン基板1の上にN−型エピタキシャル層3を形成することで、半導体基板4を形成する。
【0055】
次に半導体基板4の表面にLOCOS酸化膜7を形成する。その後、半導体基板4のうち、EPROMの形成予定領域にて、N−型エピタキシャル層3の表層にP型ウェル層31aとN型ウェル層31bとを形成する。
【0056】
続いて、半導体基板4のうち、L−PNPトランジスタの形成予定領域にて、エミッタ領域5、コレクタ領域6を形成する。なお、本実施形態ではN−型エピタキシャル層3がベース領域となる。また、EPROMの形成予定領域にて、コントロールゲート32、ドレイン領域43、ソース領域44を形成する。
【0057】
その後、EPROMの形成予定領域にて、半導体基板4の表面上にゲート絶縁膜33、34を形成する。そして、ゲート絶縁膜33、34及びLOCOS酸化膜7上にポリシリコンにより構成されたフローティングゲート35を形成する。
【0058】
そして、半導体基板4の上にBPSG膜8を形成する。続いて、L−PNPトランジスタ及びEPROMの形成予定領域にて、コンタクトホールを形成する。このとき、L−PNPトランジスタの形成予定領域にて、層間絶縁膜及びフィールド絶縁膜を貫通させ、エミッタ領域に到達するように、コンタクトホールを形成すると同時に、エミッタ領域5とコレクタ領域6との間のベース領域3bのうち、エミッタ−ベース接合での空乏層領域21よりもコレクタ領域6側の領域に、ホール22を形成する。このとき、このホール22はBPSG膜8を貫通して、LOCOS酸化膜7の途中の深さまで到達し、エミッタ領域5の周囲全てを取り囲むように、ホール22を形成する。
【0059】
その後、BPSG膜8の上にAl膜を形成することで、L−PNPトランジスタの形成予定領域において、コンタクトホール10を介してエミッタ領域5と電気的に接続させ、かつ、空乏層領域21への紫外線照射を抑制するために、コンタクトホール10の内部から、エミッタ領域5の周囲全てを取り囲むように形成されているホール22の内部全てに至って、エミッタ電極引き出し配線層9を形成する。このとき、エミッタ電極引き出し配線層9は、エミッタ領域5及びエミッタ領域5とコレクタ領域6との間のベース領域3bの全てを覆っている。
【0060】
一方、EPROMの形成予定領域においても、コントロールゲート32とコンタクトホール42を介して電気的に接続されたワード線41を形成する。また、ドレイン領域43とコンタクトホール45を介して電気的に接続された1stAl配線46を形成し、ソース領域44とコンタクトホール50を介して電気的に接続されたソース線49を形成する。
【0061】
その後、半導体基板4の上に、絶縁膜36、保護膜37を形成する。なお、EPROMの形成予定領域では、絶縁膜36を形成した後、1stAl配線46とコンタクトホール47を介して電気的に接続されたデータ線48を形成する。
【0062】
これらの工程を経て、EPROMとL−PNPトランジスタとが同一の半導体基板に混載された半導体装置を製造することができる。
【0063】
本実施形態では、エミッタ領域5とエミッタ電極引き出し配線層9とのコンタクト11用のコンタクトホール10と、BPSG膜8を貫通しLOCOS酸化膜7に到達するホール22とを同時に形成している。また、エミッタ電極引き出し配線層9の形成においても、従来の製造工程に対して、マスクパターンを変更するだけでエミッタ電極引き出し配線層9を形成することができる。
【0064】
これらのことから、従来の製造方法に対して製造工程数を増加させることなく、半導体装置を製造することができる。
【0065】
なお、先の公報にて提案されている半導体装置では、エミッタ−コレクタ間のベース領域上にポリシリコンシールドが形成されており、このポリシリコンシールドの上方にて、エミッタ電極引き出し配線層が配置されている。そして、エミッタ−コレクタ間のベース領域上にて、そのエミッタ電極引き出し配線層と、ポリシリコンシールドとのコンタクトが形成されている。
【0066】
このコンタクトにより、本実施形態と同様に、斜め上方から空乏層領域に照射される紫外線を遮断する機能を有している。しかしながら、このコンタクトは、紫外線を遮断するためでなく、電気的な接続を目的としていることから、一部分にだけ形成されており、エミッタ領域の周囲全てを取り囲むように形成されていない。
【0067】
これに対して、本実施形態では、エミッタ電極引き出し配線層9は、エミッタ領域5の周囲全てを取り囲み、エミッタ領域5とコレクタ領域6との間のベース領域3b内であって、エミッタ−ベース接合23にて発生する空乏層領域21よりもコレクタ領域6側の領域の上方にて、ダミーコンタクト9aを有する形状となっている
このため、先の公報にて提案されている半導体装置よりも、エミッタ−ベース接合にて発生する空乏層領域に対して、斜め上方から照射される紫外線を遮断することができる。
【0068】
また、先の公報にて提案されている半導体装置のように、空乏層領域21を覆うようにエミッタ電極引き出し配線層が配置されている半導体装置において、空乏層領域の斜め上方からの紫外線を遮断するための方法として、エミッタ電極引き出し配線層をコレクタ領域側に、同一平面上で単に拡張させる方法が考えられる。
【0069】
しかしながら、エミッタ−コレクタ間が狭い場合、空乏層領域に対して斜め上方から照射される紫外線を十分に遮断させようとすると、コレクタ領域と引き出し配線層とのコンタクトの位置まで拡張させる必要が生じるときがある。以下では、このコンタクトをコレクタ用コンタクトと呼ぶ。この場合、コレクタ用コンタクト位置を外側にずらさなければならず、パターン面積が増加してしまう。
【0070】
これに対して、本実施形態によれば、エミッタ領域5とコレクタ領域6との間のベース領域3b上にて、BPSG膜8を貫通させ、LOCOS酸化膜7に到達するように、すなわち、BPSG膜8の上から基板4の表面に向かう方向にエミッタ電極引き出し配線9を拡張させている。このため、コレクタ用コンタクトをずらさず、すなわち、パターン面積を増加させることなく、空乏層領域21に対して斜め上方から照射される紫外線を遮断することができる。
【0071】
(第2実施形態)
第1実施形態に対して、静電シールド用のポリシリコン膜(以下では、ポリシリコンシールドと呼ぶ)をフィールド絶縁膜と層間絶縁膜との間に形成することもできる。このとき、ポリシリコンシールドを、エミッタ−ベース接合での空乏層領域21を覆うように、コンタクト領域11とエミッタ電極引き出し配線層9における構造部9aとの間に配置する。そして、ポリシリコンシールド上のBPSG膜8に形成したホールを介して、ポリシリコンシールドをエミッタ電極引き出し配線層9と電気的に接続させる。
【0072】
この場合、エミッタ電極引き出し配線層9よりも基板表面に近い位置にて、半導体基板表面を電気的にシールドすることができる。これにより、ポリシリコンシールドを有していない構造のものと比較して、エミッタ−ベース接合での空乏層領域において、静電気による少数キャリアの再結合をより抑制し、hfeの低下の防止や、hfeのばらつきを小さくすることができる。
【0073】
(他の実施形態)
バイポーラトランジスタとして、L−PNPトランジスタを説明したが、NPNトランジスタを用いる場合においても本発明を適用することができる。また、不揮発性半導体記憶素子として、EPROMを例として説明したが、製造工程の最終段階において、不揮発性半導体記憶素子を初期化するために紫外線を照射するものであれば、EPROMに限らず、EEPROM、フラッシュメモリ等を用いる場合においても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるL−PNPトランジスタの平面図である。
【図2】図1中のA−A’線断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるEPROMの平面図である。
【図4】図3中のB−B’線断面図である。
【図5】従来におけるL−PNPトランジスタの平面図である。
【図6】従来におけるL−PNPトランジスタでの紫外線照射時間と電流増幅率(hfe)との関係を示す図である。
【図7】従来におけるL−PNPトランジスタでの紫外線照射時間とVEB−Ib、Ic特性の関係を示す図である。
【図8】図7中の一点鎖線にて囲まれた領域を拡大した図である。
【符号の説明】
1…P−型シリコン基板、2…N+型埋込み層、
3…N−型エピタキシャル層(ベース領域)、4…半導体基板、
5…エミッタ領域、6…コレクタ領域、7…LOCOS酸化膜、
8…BPSG膜、9…エミッタ電極引き出し配線層、
10…コンタクトホール、11、12、14…コンタクト領域、
13…コレクタ電極引き出し配線層、15…ベース電極引き出し配線層、
21…空乏層領域、22…ホール、23…エミッタ−ベース接合、
31…ウェル領域、32…コントロールゲート、
33、34…ゲート絶縁膜、35…フローティングゲート、36…絶縁膜、
37…保護膜、41…ワード線、46…1stAl配線、48…データ線、
49…ソース線。
Claims (4)
- 不揮発性半導体記憶素子と、バイポーラトランジスタとを同一の半導体基板(4)に混載した半導体装置において、
前記バイポーラトランジスタは、前記半導体基板(4)の表層に形成されたベース領域(3)、コレクタ領域(6)、及びエミッタ領域(5)と、
前記半導体基板(4)上に形成されたフィールド絶縁膜(7)と、
前記フィールド絶縁膜(7)の上に形成された層間絶縁膜(8)と、
前記層間絶縁膜(8)の上に形成され、前記層間絶縁膜(8)に形成されたコンタクトホール(10)を介して前記エミッタ領域(5)と電気的に接続している金属配線層(9)とを備え、
前記金属配線層(9)は、エミッタ−ベース接合(23)で熱平衡状態のときに発生する空乏層領域(21)への紫外線照射を抑制するために、前記半導体基板(4)の表面を上から見たとき、前記エミッタ領域(5)と前記コレクタ領域(6)との間の前記ベース領域(3b)のうち、前記空乏層領域(21)よりも前記コレクタ領域(6)側の領域にて、前記エミッタ領域(5)を取り囲むように配置され、前記層間絶縁膜(8)から前記フィールド絶縁膜(7)に到達する深さのホール(22)内に埋め込まれた構造部(9a)を有し、
前記エミッタ領域(5)及び前記構造部(9a)の全領域を覆うように、前記エミッタ領域(5)上から前記構造部(9a)上に至って配置されていることを特徴とする半導体装置。 - 前記構造部(9a)は、前記半導体基板(4)の表面でのエミッタ−ベース接合(23)の位置から1μm以上離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 不揮発性半導体記憶素子と、バイポーラトランジスタとを同一の半導体基板(4)に混載した半導体装置の製造方法において、
バイポーラトランジスタの形成予定領域にて、前記半導体基板(4)の表層にベース領域(3)、コレクタ領域(6)、及びエミッタ領域(5)とを形成する工程と、
前記半導体基板(4)の上にフィールド絶縁膜(7)を形成する工程と、
前記フィールド絶縁膜(7)の上に層間絶縁膜(8)を形成する工程と、
前記層間絶縁膜(8)及び前記フィールド絶縁膜(7)のうち、前記エミッタ領域(5)の上に位置する領域にコンタクトホール(10)を形成する工程と、
前記半導体基板(4)の表面を上から見たときにおける前記エミッタ領域(5)と前記コレクタ領域(6)との間の前記ベース領域(3b)のうち、エミッタ−ベース接合(23)で熱平衡状態のときに発生する空乏層領域(21)よりも前記コレクタ領域(6)側の領域にて、前記エミッタ領域(5)の周囲全てを取り囲むように、前記層間絶縁膜(8)を貫通して前記フィールド絶縁膜(7)に到達するホール(22)を形成する工程と、
前記コンタクトホール(10)を介して前記エミッタ領域(5)と電気的に接続させ、かつ、前記空乏層領域(21)への紫外線照射を抑制するために、前記エミッタ領域(5)及び前記空乏層領域(21)の全ての領域を覆い、前記エミッタ領域(5)及び前記空乏層領域(21)上から前記フィールド絶縁膜(7)に到達するホール(22)の内部に至って、金属配線層を前記層間絶縁膜(8)上に形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記コンタクトホール(10)を形成する工程と、前記層間絶縁膜(8)を貫通して前記フィールド絶縁膜(7)に到達するホール(22)を形成する工程とを同時に行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
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JP2002251056A JP2004095619A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 半導体装置及びその製造方法 |
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JP2013138168A (ja) * | 2011-11-28 | 2013-07-11 | Toshiba Corp | 半導体装置及びその製造方法 |
-
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- 2002-08-29 JP JP2002251056A patent/JP2004095619A/ja active Pending
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