JP2004092842A - 潤滑装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持部材の耐久性を向上させることができ、潤滑装置のコストを低くすることができるようにする。
【解決手段】駆動部と、該駆動部を駆動することによって回転させられ、筒状部を備えた第1の回転体と、前記筒状部に一端が収納され、前記第1の回転体に対して回転自在に配設された第2の回転体と、第1の回転体に対して第2の回転体を支持する支持部材と、該支持部材を潤滑する潤滑剤を収容する潤滑剤室と、該潤滑剤室に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給路118と、前記潤滑剤室を密封する密封部材とを有する。この場合、潤滑剤室に潤滑剤が供給され、潤滑剤室が密封されるので、第1、第2の回転体が回転させられるのに伴って、潤滑剤室内の潤滑剤に遠心力が加わっても、支持部材を十分に潤滑することができる。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機においては、射出装置の加熱シリンダ内にスクリューが回転自在に、かつ、進退自在に配設され、計量用モータ、射出用モータ等を駆動することによって前記スクリューを回転させたり、進退させたりすることができるようになっている。そして、計量工程において、スクリューを回転させると、ホッパから加熱シリンダ内に供給された樹脂が、加熱され、溶融させられて前進させられ、前記スクリューの前端に取り付けられたスクリューヘッドの前方に蓄えられる。また、射出工程において、スクリューを前進させると、前記スクリューヘッドの前方に蓄えられ、溶融させられた樹脂が、射出ノズルから射出され、金型装置のキャビティ空間に充填(てん)される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ここで、射出装置について説明する。
【0004】
図2は射出装置の要部を示す断面図である。
【0005】
図において、11は加熱シリンダ、12はスクリューであり、前記加熱シリンダ11の後端(図において右端)は、前方射出サポート21に取り付けられる。前記スクリュー12の後端には、カプラ59を介して連結体64が一体的に取り付けられ、該連結体64に筒状の支持体65が取り付けられる。なお、前記連結体64及び支持体65によって、スクリュー12と一体に回転する回転摺動部材68が構成される。前記支持体65は、軸方向においてスクリュー12のストローク分の長さを有し、外周面に雄スプライン67が形成される。
【0006】
前記回転摺動部材68に回転を伝達するために、前記前方射出サポート21の後端に計量用モータ22が配設され、該計量用モータ22は、前記前方射出サポート21に固定された前部環状体20、該前部環状体20に取り付けられたスリーブ23、該スリーブ23の後端に取り付けられた後部環状体24、前記スリーブ23の内側に取り付けられたステータ25、及び該ステータ25の径方向における内方に配設された筒状のロータ26を備え、該ロータ26の後端にスプラインナット27が取り付けられる。
【0007】
前記ロータ26は、回転摺動部材68と同一軸線上に、かつ、回転摺動部材68を相対的に移動自在に外周面を覆うように配設された中空の筒状体29、及び該筒状体29の外周面における前記ステータ25と対応する箇所に取り付けられた磁石28を備え、計量用モータ22の出力軸として機能し、前記前部環状体20に対してベアリングb1によって、後部環状体24に対してベアリングb2によって回転自在に支持される。
【0008】
前記スプラインナット27は、回転摺動部材68の軸方向における相対的な移動を許容しながら、前記計量用モータ22によって発生させられた回転を回転摺動部材68に伝達したり、前記計量用モータ22を駆動し、発生させられた拘束力を回転摺動部材68に伝達し、該回転摺動部材68が回転するのを拘束したりする。そのために、該回転摺動部材68は、前記スプラインナット27に対して回転不能に、かつ、軸方向に移動自在に配設される。また、前記筒状体29の前端(図において左端)において、筒状体29の内周面と連結体64の外周面とがシール30を介して摺動自在に接触させられる。また、前記支持体65の後端において、スプラインナット27の内周面に形成された雌スプラインと前記雄スプライン67とが摺動自在にスプライン係合させられる。
【0009】
したがって、前記計量用モータ22を駆動することによってロータ26を回転させると、回転がスプラインナット27を介して前記回転摺動部材68に伝達され、該回転摺動部材68が正方向、又は、必要に応じて逆方向に回転させられ、スクリュー12が回転させられる。さらに、前記計量用モータ22を駆動して拘束力を発生させ、ロータ26を停止させると、回転摺動部材68に伝達される回転が拘束され、スクリュー12の回転も拘束される。
【0010】
そして、前記前方射出サポート21より後方(図において右方)に、互いに螺(ら)合させられたボールねじ軸81及び図示されないボールナットから成る運動方向変換部としてのボールねじが配設される。前記ボールねじ軸81は、前端から後端にかけて順次形成された小径のシャフト部84、大径のねじ部85等から成り、前記シャフト部84とねじ部85との段部に環状フランジ部材89が外嵌(かん)される。
【0011】
そして、前記前方射出サポート21より後方に図示されない後方射出サポートが配設され、該後方射出サポートに図示されない射出用モータが配設され、該射出用モータは、射出工程において駆動され、前記ボールねじ軸81に回転を伝達する。前記ボールねじは、前記射出用モータによって発生させられた回転による回転運動を直進運動に変換し、該直進運動を前記回転摺動部材68に伝達する。
【0012】
そのために、前記ボールねじ軸81は、前端において、互いに所定の距離を置いて配設され、スラストベアリングから成る第1、第2の支持部材としてのベアリングb7、b8によって、回転摺動部材68に対して回転自在に、かつ、軸方向に移動不能に支持され、後端において、前記ボールナットに対して回転自在に螺合させられ、支持される。すなわち、前記回転摺動部材68は、前記ボールねじに対して回転自在に、かつ、軸方向に移動不能に配設される。また、前記シャフト部84の前端部(図において左端部)に図示されない雄ねじが形成され、該雄ねじに螺合させてベアリングナット80が配設される。該ベアリングナット80は、支持体65の前端の近傍の内周面に形成された突起90と共にベアリングb7を位置決めする。また、前記環状フランジ部材89は、支持体65と共にベアリングb8を位置決めする。
【0013】
ところで、スプラインナット27と支持体65との間のスプライン係合部、ベアリングb7、b8等をグリス等の潤滑剤によって潤滑することが考えられる。そのために、前記後部環状体24の内周面における後端とスプラインナット27の外周面とがシール31を介して摺動自在に接触させられ、前記後部環状体24、スプラインナット27、筒状体29、ベアリングb2及びシール31間に第1の潤滑剤室32が形成され、前記後部環状体24の外周面の所定の箇所に潤滑剤供給口101が形成され、該潤滑剤供給口101と第1の潤滑剤室32とが潤滑剤供給路102によって接続される。また、前記筒状体29、回転摺動部材68、スプラインナット27及びシール30間に第2の潤滑剤室33が形成され、第1、第2の潤滑剤室32、33間が筒状体29に形成された潤滑剤供給路103によって接続される。そして、回転摺動部材68、ボールねじ軸81、フランジ部材89及びベアリングb7、b8間に第3の潤滑剤室34が形成され、第2、第3の潤滑剤室33、34間が回転摺動部材68に形成された潤滑剤供給路104によって接続される。
【0014】
図示されない潤滑剤供給源から潤滑剤供給口101に自動給脂によって供給された潤滑剤は、矢印方向に潤滑剤供給路102を介して第1の潤滑剤室32に供給され、続いて、潤滑剤供給路103を介して第2の潤滑剤室33に供給され、前記スプライン係合部を潤滑し、更に第2の潤滑剤室33内を矢印方向に流れた後、潤滑剤供給路104を介して第3の潤滑剤室34に供給され、ベアリングb7、b8を潤滑する。
【0015】
【特許文献1】
特開平10−235696号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記構成の射出装置においては、スプラインナット27、筒状体29、回転摺動部材68、ボールねじ軸81等が回転させられるのに伴って、潤滑剤供給路103、104内の潤滑剤、及び第2、第3の潤滑剤室33、34内の潤滑剤に遠心力が加わるので、第3の潤滑剤室34に十分な量の潤滑剤を供給することができず、ベアリングb7、b8を十分に潤滑することができない。その結果、ベアリングb7、b8が早期に摩耗し、ベアリングb7、b8の耐久性が低下してしまう。
【0017】
また、定期的に射出成形機を停止させ、潤滑剤に遠心力が加わらない状態で給脂を行うことも考えられるが、その場合、射出成形機の稼働率が低下してしまう。
【0018】
そして、潤滑剤が潤滑剤供給路102、第1の潤滑剤室32、潤滑剤供給路103、第2の潤滑剤室33及び潤滑剤供給路104を介して第3の潤滑剤室34に供給されるようになっているので、潤滑剤を第3の潤滑剤室34まで供給するために、潤滑剤供給口101に多量の潤滑剤を供給する必要がある。そして、粘性が低い潤滑剤を使用すると、第3の潤滑剤室34内の潤滑剤が矢印方向にベアリングb8を抜けて漏れ出してしまい、その分多くの潤滑剤を第3の潤滑剤室34に供給する必要がある。その結果、射出装置のコストが高くなってしまう。
【0019】
そこで、連結体64に潤滑剤供給路を形成し、該潤滑剤供給路を介して第3の潤滑剤室34に潤滑剤を供給することが考えられるが、連結体64も回転するので、潤滑剤供給路に潤滑剤を供給するのが困難である。
【0020】
本発明は、前記従来の射出装置の問題点を解決して、支持部材の耐久性を向上させることができ、コストを低くすることができる潤滑装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の潤滑装置においては、駆動部と、該駆動部を駆動することによって回転させられ、筒状部を備えた第1の回転体と、前記筒状部に一端が収納され、前記第1の回転体に対して回転自在に配設された第2の回転体と、前記第1の回転体に対して第2の回転体を支持する支持部材と、該支持部材を潤滑する潤滑剤を収容する潤滑剤室と、該潤滑剤室に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給路と、前記潤滑剤室を密封する密封部材とを有する。
【0022】
本発明の他の潤滑装置においては、さらに、前記支持部材は前記第1の回転体の軸方向において複数配設される。
【0023】
本発明の更に他の潤滑装置においては、さらに、前記潤滑剤室は、前記第2の回転体の端部に配設された支持部材と前記第1の回転体との間に第1の潤滑剤室として形成される。
【0024】
本発明の更に他の潤滑装置においては、さらに、前記潤滑剤室は、前記支持部材間に第2の潤滑剤室として形成される。
【0025】
本発明の更に他の潤滑装置においては、さらに、前記第1の回転体は、連結体及び筒状の支持体から成り、第1の潤滑剤室は、前記連結体と第2の回転体の端部に配設された支持部材と第2の回転体との間に形成される。
【0026】
本発明の更に他の潤滑装置においては、さらに、前記第1の回転体は、連結体及び筒状の支持体から成り、第2の潤滑剤室は、前記支持体と複数の支持部材と第2の回転体との間に形成される。
【0027】
本発明の更に他の潤滑装置においては、さらに、前記密封部材は、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に配設される。
【0028】
本発明の更に他の潤滑装置においては、さらに、前記潤滑剤室への潤滑剤の供給口は、前記第1の回転体に形成される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図、図3は本発明の実施の形態における射出装置の概念図である。
【0031】
図において、11はシリンダ部材としての加熱シリンダ、12は該加熱シリンダ11内において回転自在に、かつ、進退(図において左右方向に移動)自在に配設された射出部材としてのスクリューであり、前記加熱シリンダ11の前端に図示されない射出ノズルが取り付けられ、該射出ノズルにノズル口が形成される。前記スクリュー12は、スクリュー本体、及び該スクリュー本体の前端に取り付けられた図示されないスクリューヘッドを備え、スクリュー本体の外周面に図示されないフライトが螺旋状に形成され、該フライトによって螺旋状の溝が形成される。
【0032】
前記加熱シリンダ11の後端(図において右端)は、前支持体としての前方射出サポート21に取り付けられ、該前方射出サポート21と所定の距離を置いて後支持体としての後方射出サポート62が配設される。そして、前記前方射出サポート21と後方射出サポート62との間に連結部材としてのロッド63が架設され、該ロッド63によって前記前方射出サポート21と後方射出サポート62との間に所定の距離が保持される。また、前方射出サポート21、後方射出サポート62及びロッド63によって射出枠が構成される。
【0033】
そして、前記スクリュー12の後端には、カプラ59を介して円形の形状を有する連結体64が一体的に取り付けられ、筒状の形状を有する筒状部としての支持体65が図示されないボルトを介して前記連結体64に取り付けられる。なお、前記連結体64及び支持体65によって、スクリュー12と一体に回転する第1の回転体としての回転摺動部材68が構成される。前記支持体65は軸方向においてスクリュー12のストローク分の長さを有し、外周面に雄スプライン67が形成される。
【0034】
前記回転摺動部材68に回転を伝達するために、前記前方射出サポート21の後方(図において右方)に、前方射出サポート21と一体に、かつ、前記回転摺動部材68の外周面を覆い、第1の駆動部及び回転力拘束部としての電動の計量用モータ22が配設され、該計量用モータ22は、計量工程において第1の駆動状態に、射出工程において第2の駆動状態に置かれ、第1の駆動状態において前記回転摺動部材68を回転させ、第2の駆動状態において前記回転摺動部材68に伝達される回転を拘束する。
【0035】
前記計量用モータ22は、前方射出サポート21に固定された前部環状体20、該前部環状体20に固定されたスリーブ23、該スリーブ23の後端に取り付けられた後部環状体24、前記スリーブ23の径方向において内側に取り付けられたステータ25、及び該ステータ25の径方向において内方に配設された筒状のロータ26を備え、該ロータ26の後端に、図示されないボルトによってスプラインナット27が取り付けられる。
【0036】
前記ステータ25は、スリーブ23に取り付けられたコア25a、及び該コア25aに巻装されたコイル25bを備える。また、前記ロータ26は、回転摺動部材68と同一軸線上に、かつ、回転摺動部材68を相対的に移動自在に外周面を覆うように配設された中空の筒状体29、及び該筒状体29の外周面における前記ステータ25と対応する箇所に取り付けられた磁石28を備え、計量用モータ22の出力軸として機能し、前記前方射出サポート21に対してベアリングb1によって、後部環状体24に対してベアリングb2によって回転自在に支持される。
【0037】
この場合、前記前部環状体20、スリーブ23及び後部環状体24によって、前記前方射出サポート21と一体に形成されたケースが構成される。したがって、前方射出サポート21及び計量用モータ22を一体化することができるので、射出装置を小型化することができる。また、計量用モータ22を駆動することによって筒状体29に発生させられた回転を、直接、回転摺動部材68に伝達することができる。
【0038】
前記スプラインナット27は、回転摺動部材68の軸方向における相対的な移動を許容しながら、前記計量用モータ22の第1の駆動状態において発生させられた回転を回転摺動部材68に伝達し、前記計量用モータ22の第2の駆動状態において発生させられた拘束力を回転摺動部材68に伝達し、回転摺動部材68が回転するのを拘束する。そのために、該回転摺動部材68は、前記スプラインナット27に対して回転不能に、かつ、軸方向に移動自在に配設される。また、前記筒状体29の前端(図において左端)において、筒状体29の内周面と連結体64の外周面とが環状のシール30を介して摺動自在に接触させられる。そして、前記支持体65の後端において、スプラインナット27の内周面に形成された雌スプラインと前記雄スプライン67とが摺動自在にスプライン係合させられる。
【0039】
したがって、前記計量用モータ22を第1の駆動状態において駆動することによってロータ26を回転させると、回転がスプラインナット27を介して前記回転摺動部材68に伝達され、該回転摺動部材68が正方向、又は、必要に応じて逆方向に回転させられ、スクリュー12が回転させられる。さらに、前記計量用モータ22を第2の駆動状態に置き、拘束力を発生させ、ロータ26を停止させると、回転摺動部材68に伝達される回転が拘束され、スクリュー12の回転も拘束される。
【0040】
そして、前記前方射出サポート21より後方に、互いに螺合させられた第2の回転体及び第1の変換要素としてのボールねじ軸81及び第2の変換要素としてのボールナット82から成る運動方向変換部としてのボールねじ83が配設される。前記ボールねじ軸81は、回転する第2の回転体であり、前端(図において左端)から後端にかけて順次形成された小径のシャフト部84、大径のねじ部85、連結部86及びスプライン部87から成る。なお、前記シャフト部84とねじ部85との段部に環状フランジ部材89が外嵌される。
【0041】
本実施の形態においては、運動方向変換部としてボールねじ83が使用され、第1の変換要素してボールねじ軸81が、第2の変換要素としてボールナット82が使用されるようになっているが、運動方向変換部としてローラねじを使用し、第1の変換要素してローラねじ軸を、第2の変換要素としてローラナットを使用することもできる。
【0042】
そして、第2の駆動部としての電動の射出用モータ100が配設され、該射出用モータ100は、射出工程において駆動状態に置かれる。前記射出用モータ100は、後方射出サポート62に固定され、前部環状体91a、スリーブ91b、後部環状体91c及び後部プレート91dから成るケース91、該ケース91の内側に取り付けられたステータ92、該ステータ92の径方向における内方に配設されたロータ93、該ロータ93に取り付けられた中空の出力軸94、該出力軸94の後端に図示されないボルトによって取り付けられ、出力軸94の内周面に沿って前方(図において左方)に延びるスリーブ95、及び前記出力軸94を前記ケース91に対して回転自在に支持するベアリングb5、b6を備え、スリーブ95に、射出用モータ100の回転速度を検出するエンコーダ111が取り付けられ、該エンコーダ111の検出信号に基づいて射出用モータ100のフィードバック制御が行われる。
【0043】
そして、前記スプライン部87の外周面の全体にわたって形成された雄スプライン87aと前記スリーブ95の前端部(図において左端部)の内周面に形成されたスプラインナット部の雌スプライン95aとがスプライン係合させられる。
【0044】
また、前記スリーブ95及びスプライン部87によって回転力伝達部が構成され、前記スリーブ95及びスプライン部87は、前記射出用モータ100が駆動されたときに、出力軸94に対するボールねじ軸81の軸方向における相対的な移動を許容しながら、前記射出用モータ100を駆動することによって発生させられた回転をねじ部85に伝達する。そして、前記ボールねじ83は、前記射出用モータ100によって発生させられた回転による回転運動を直進運動に変換し、該直進運動を前記回転摺動部材68に伝達する。
【0045】
また、前記ボールねじ軸81は、前端において、スラストベアリングから成り、前記回転摺動部材68の軸方向において複数配設された第1、第2の支持部材としてのベアリングb7、b8によって回転摺動部材68に対して回転自在に、かつ、軸方向に移動不能に支持され、筒状の支持体65に収納される。そして、後端において、ボールナット82に対して回転自在に螺合させられ、支持される。すなわち、前記回転摺動部材68は、前記ボールねじ83に対して回転自在に、かつ、軸方向に移動不能に配設される。そして、前記ボールナット82は後方射出サポート62に固定される。なお、前記シャフト部84の前端部に図示されない雄ねじが形成され、該雄ねじに螺合させてベアリングナット80が配設される。該ベアリングナット80は、支持体65の前端の近傍の内周面に形成された突起90と共にベアリングb7を位置決めする。また、前記環状フランジ部材89は、支持体65と共にベアリングb8を位置決めする。
【0046】
ところで、前記射出用モータ100を正方向及び逆方向に駆動することによって発生させられた回転が、スリーブ95及びスプライン部87を介してボールねじ軸81に伝達されると、該ボールねじ軸81は、ねじ部85とボールナット82とが螺合させられているので、回転しながら進退させられる。なお、前記ボールねじ軸81の運動成分は、ボールねじ軸81を進退させる直進運動成分、及びボールねじ軸81を回転させる回転運動成分から成り、前記直進運動成分及び回転運動成分は、軸方向に配設されたベアリングb7、b8を介して回転摺動部材68に伝達される。なお、ベアリングb1、b2、b7、b8によって第3〜第6の支持部材が構成される。
【0047】
そして、回転摺動部材68を回転させることなく、進退させる射出工程等においては、前記計量用モータ22を第2の駆動状態、すなわち、回転拘束状態に置き、前記射出用モータ100を駆動状態に置くことによって、回転摺動部材68に伝達される回転を拘束し、回転摺動部材68を回転させることなく軸方向に移動させることができる。その結果、回転摺動部材68に一体的に取り付けられたスクリュー12に直進運動が伝達され、スクリュー12を前進(図において左方に移動)させることができる。
【0048】
次に、前記構成の射出装置の駆動方法について説明する。
【0049】
まず、計量工程時に、図示されない制御部の計量処理手段は、計量処理を行い、前記計量用モータ22を第1の駆動状態に置いて駆動する。このとき、ロータ26に発生させられた回転は、スプラインナット27及び回転摺動部材68を介してスクリュー12に伝達され、該スクリュー12を正方向に回転させる。この場合、図示されないエンコーダによって計量用モータ22の回転速度が検出され、検出信号に基づいて制御部においてフィードバック制御が行われる。
【0050】
これに伴って、前記加熱シリンダ11に配設された図示されないホッパから落下した樹脂が前記スクリュー12の溝内を前進させられ、スクリュー12が後退(図において右方に移動)させられ、溶融させられた樹脂がスクリューヘッドの前方に蓄えられる。このとき、スクリュー12に発生させられる後退力に伴って、回転摺動部材68はスプラインナット27に対して相対的に移動させられ、後退させられる。また、回転摺動部材68の後退に伴って、ボールねじ軸81も回転しながら後退させられる。なお、前記計量処理手段は、スクリュー12が後退させられる間、前記射出用モータ100を駆動し、スクリュー12に背圧を加える。
【0051】
また、射出工程時に、前記制御部の射出処理手段は、射出処理を行い、前記射出用モータ100を駆動する。このとき、出力軸94に発生させられた回転は、スリーブ95及びスプライン部87を介してボールねじ軸81に伝達され、ボールねじ83によって回転運動が直進運動に変換される。その結果、ボールねじ軸81が回転しながら前進させられる。また、前記射出処理手段は、前記計量用モータ22を第2の駆動状態に置いて駆動し、ロータ26の回転速度を制御して0〔rpm〕にすることによって拘束力を発生させる。そして、該拘束力が前記スプラインナット27を介して回転摺動部材68に伝達され、ボールねじ軸81を介して回転摺動部材68に伝達された回転が拘束される。その結果、回転摺動部材68に一体的に取り付けられたスクリュー12は回転しない状態で前進させられる。
【0052】
この場合、エンコーダ111によって射出用モータ100の回転速度が検出され、検出信号に基づいて制御部においてフィードバック制御が行われる。そして、図示されないロードセルによって射出力が検出され、検出信号が前記制御部に送られ、制御部において充填・保圧の切換制御が行われる。また、前記エンコーダ111によって計量用モータ22の回転速度が検出され、検出信号に基づいて制御部においてフィードバック制御が行われる。
【0053】
このようにして、前記スクリュー12が前進させられると、スクリューヘッドの前方に蓄えられ、溶融させられた樹脂は、射出ノズルから射出され、図示されない金型装置のキャビティ空間に充填される。このとき、スクリューヘッドの前方に蓄えられ、溶融させられた樹脂が逆流しないように、スクリューヘッドの周囲に図示されない逆流防止装置が配設される。
【0054】
ところで、スプラインナット27と支持体65との間のスプライン係合部、ベアリングb7、b8等をグリス等の潤滑剤によって潤滑するようになっている。そのために、前記前方射出サポート21にスクリュー12の保守用の図示されない窓が形成され、該窓を介して、潤滑剤供給具としての図示されないグリスガンを前方射出サポート21内に挿入し、回転摺動部材68と筒状体29との間から前記スプライン係合部に潤滑剤を供給することができるようになっている。
【0055】
また、前記回転摺動部材68の所定の箇所、本実施の形態においては、連結体64の前端面(図において左端面)に、潤滑剤を供給するための潤滑剤供給口115及び潤滑剤確認口116が形成される。そして、前記連結体64の後端面(図において右端面)に前記ベアリングナット80を収容する凹部が形成され、前記連結体64、ベアリングナット80及びベアリングb7間(ボールねじ軸81の端部に配設されたベアリングb7と回転摺動部材68との間)に、潤滑剤を収容する第1の潤滑剤室117が形成され、前記潤滑剤供給口115と第1の潤滑剤室117とが連結体64に形成された潤滑剤供給路118によって接続される。
【0056】
また、回転摺動部材68、ボールねじ軸81、及びベアリングb7、b8間に、潤滑剤を収容する第2の潤滑剤室119が形成され、前記潤滑剤確認口116と第2の潤滑剤室119とが連結体64及び支持体65に形成された潤滑剤確認路121によって接続される。そして、前記ベアリングb8の後方には、回転摺動部材68と環状フランジ部材89との間に、前記第2の潤滑剤室119から漏れ出た潤滑剤をボールねじ83側に漏れないようにするための第1の密封部材としてのオイルシール122が配設される。
【0057】
なお、第1の密封部材としてのオイルシール122に代えて接触式シール(ベアリングシール)、メカニカルシール等を使用することができる。
【0058】
前記窓を介して、グリスガンを前方射出サポート21内に挿入し、潤滑剤供給口115にグリスニップル123を介して潤滑剤を供給すると、該潤滑剤は、矢印方向に潤滑剤供給路118を介して第1の潤滑剤室117に供給され、ベアリングb7を潤滑した後、第2の潤滑剤室119に供給され、更にベアリングb8を潤滑する。そして、潤滑剤は、第2の潤滑剤室119を満たすと、潤滑剤確認路121を介して矢印方向に流れ、潤滑剤確認口116から排出されるので、作業者は、潤滑剤確認口116から潤滑剤が排出されるのを目視して、第1、第2の潤滑剤室117、119に潤滑剤が充満させられたことを認識する。このように、前記第1、第2の潤滑剤室117、119に潤滑剤が充満させられると、第2の密封部材としてのプラグ124によって前記潤滑剤確認路121が塞(ふさ)がれ、前記第2の潤滑剤室119が密封される。
【0059】
なお、前記ベアリングb8の後方には、オイルシール122がベアリングb8に隣接させて配設されるので、ベアリングb8を潤滑した潤滑剤が漏れ出すのを防止することができる。また、計量用モータ22、回転摺動部材68、ボールねじ軸81、ベアリングb7、b8、第1、第2の潤滑剤室117、119、オイルシール122、潤滑剤供給口115、潤滑剤確認口116、潤滑剤供給路118、潤滑剤確認路121、プラグ123、124等によって潤滑装置が構成される。
【0060】
前記第1、第2の潤滑剤室117、119が密閉されるので、回転摺動部材68、ボールねじ軸81等が回転させられるのに伴って、潤滑剤供給路118及び潤滑剤確認路121内の潤滑剤、並びに第1、第2の潤滑剤室117、119内の潤滑剤に遠心力が加わっても、ベアリングb7、b8を十分に潤滑することができる。その結果、ベアリングb7、b8が早期に摩耗することがなくなり、射出装置の耐久性を向上させることができる。
【0061】
また、射出装置の組立て時に、潤滑剤に遠心力が加わらない状態で給脂を行った後は、第1、第2の潤滑剤室117、119内の潤滑剤が消耗されない限り、給脂を行う必要がなく、連続的に射出成形機を運転することができるので、射出成形機の稼働率を向上させることができる。
【0062】
そして、第2の潤滑剤室119はベアリングb7、b8間に形成され、潤滑剤が潤滑剤供給路118及び第1の潤滑剤室117を介して第2の潤滑剤室119に供給されるようになっているので、潤滑剤を第2の潤滑剤室119まで供給するために、潤滑剤供給口115に多量の潤滑剤を供給する必要がない。そして、粘性が低い潤滑剤を使用しても、オイルシール122がベアリングb8に隣接させて配設され、ベアリングb8を潤滑した潤滑剤が漏れ出すのを防止するので、多くの潤滑剤を第2の潤滑剤室119に供給する必要がない。その結果、潤滑装置のコストを低くすることができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0064】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、潤滑装置においては、駆動部と、該駆動部を駆動することによって回転させられ、筒状部を備えた第1の回転体と、前記筒状部に一端が収納され、前記第1の回転体に対して回転自在に配設された第2の回転体と、前記第1の回転体に対して第2の回転体を支持する支持部材と、該支持部材を潤滑する潤滑剤を収容する潤滑剤室と、該潤滑剤室に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給路と、前記潤滑剤室を密封する密封部材とを有する。
【0065】
この場合、潤滑剤室に潤滑剤が供給され、潤滑剤室が密封されるので、第1、第2の回転体が回転させられるのに伴って、潤滑剤室内の潤滑剤に遠心力が加わっても、支持部材を十分に潤滑することができる。その結果、支持部材が早期に摩耗することがなくなり、支持部材の耐久性を向上させることができる。
【0066】
また、潤滑剤に遠心力が加わらない状態で給脂を行った後は、潤滑剤室内の潤滑剤が消耗されない限り、給脂を行う必要がなくなる。
【0067】
そして、密封部材が配設されるので、粘性が低い潤滑剤を使用しても、支持部材を潤滑した潤滑剤が漏れ出すのが防止されるので、多くの潤滑剤を潤滑剤室に供給する必要がなく、潤滑装置のコストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における射出装置の要部を示す断面図である。
【図2】射出装置の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における射出装置の概念図である。
【符号の説明】
22  計量用モータ
64  連結体
65  支持体
68  回転摺動部材
81  ボールねじ軸
115  潤滑剤供給口
116  潤滑剤確認口
117、119  第1、第2の潤滑剤室
118  潤滑剤供給路
121  潤滑剤確認路
122  オイルシール
123、124  プラグ
b7、b8  ベアリング

Claims (8)

  1. (a)駆動部と、
    (b)該駆動部を駆動することによって回転させられ、筒状部を備えた第1の回転体と、
    (c)前記筒状部に一端が収納され、前記第1の回転体に対して回転自在に配設された第2の回転体と、
    (d)前記第1の回転体に対して第2の回転体を支持する支持部材と、
    (e)該支持部材を潤滑する潤滑剤を収容する潤滑剤室と、
    (f)該潤滑剤室に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給路と、
    (g)前記潤滑剤室を密封する密封部材とを有することを特徴とする潤滑装置。
  2. 前記支持部材は前記第1の回転体の軸方向において複数配設される請求項1に記載の潤滑装置。
  3. 前記潤滑剤室は、前記第2の回転体の端部に配設された支持部材と前記第1の回転体との間に第1の潤滑剤室として形成される請求項2に記載の潤滑装置。
  4. 前記潤滑剤室は、前記支持部材間に第2の潤滑剤室として形成される請求項2に記載の潤滑装置。
  5. 前記第1の回転体は、連結体及び筒状の支持体から成り、第1の潤滑剤室は、前記連結体と第2の回転体の端部に配設された支持部材と第2の回転体との間に形成される請求項3に記載の潤滑装置。
  6. 前記第1の回転体は、連結体及び筒状の支持体から成り、第2の潤滑剤室は、前記支持体と複数の支持部材と第2の回転体との間に形成される請求項4に記載の潤滑装置。
  7. 前記密封部材は、前記第1の回転体と前記第2の回転体との間に配設される請求項1に記載の潤滑装置。
  8. 前記潤滑剤室への潤滑剤の供給口は、前記第1の回転体に形成される請求項1に記載の潤滑装置。
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