JP2004091645A - 表面処理された紺青被覆粉体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ性溶液中で変色、耐色しやすい青色顔料である紺青の耐アルカリ性を改善し、従来の紺青被覆粉体よりも発色性(高彩度)を有する新規な表面加工を施した紺青被覆粉体を提供すること。
【解決手段】紺青被覆粉体を、α−オキシカルボン酸及び被膜形成物質の何れか又は両方で処理する。好ましい態様において、紺青被覆粉体の表面に、α−オキシカルボン酸と被膜形成物質とを結合又は吸着させる。前記紺青被覆粉体の基材としては、粘土鉱物等、又はその表面を金属酸化物等で被覆した複合材料を用いることができ、特に、パール顔料を用いることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】紺青被覆粉体を、α−オキシカルボン酸及び被膜形成物質の何れか又は両方で処理する。好ましい態様において、紺青被覆粉体の表面に、α−オキシカルボン酸と被膜形成物質とを結合又は吸着させる。前記紺青被覆粉体の基材としては、粘土鉱物等、又はその表面を金属酸化物等で被覆した複合材料を用いることができ、特に、パール顔料を用いることが好ましい。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面処理された紺青被覆粉体に関し、更に詳しくは、表面処理された紺青被覆パール顔料に関する。特に、従来の紺青被覆パール顔料に比べて耐アルカリ性及び発色性に優れた新規な表面処理紺青被覆パール顔料、その製造方法、及びこれを配合した化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、青色顔料には、紺青(Prussian blue)を着色材とし、これと体質顔料とを混合したり、あるいは、これを種々の粉体表面に被覆したものが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。この紺青は、フェロシアン化第二鉄を主成分としたもので、独特の深みのある青色で無機顔料としては着色力も大きいが、安定pHは4〜6と低く、アルカリ性で不安定なことが問題となっている(例えば、非特許文献1参照。)。アルカリ溶液に分散させた場合、緑色に変化して溶解したり、アルカリの条件によっては退色してしまったり、そのアルカリ溶液を加熱することにより失色する場合もある。また、炭酸カルシウム、アルミナ等のアルカリ性の体質顔料と共用すると退色又は失色することもある。また、紺青は還元されると青色が失色したり、酸化されやすいビヒクルで練って密閉しておくと、紺青が酸化剤として働き、自身は還元されて退色する場合がある。
【0003】
化粧料において紺青は青色系の顔料の群青よりも大きな着色力があり、高彩度の青色色調が得られることや、黄色の法定色素と併用することで高彩度のクロムグリーンが得られることから、特に粉体製品に用いられているが、製品の長期保存ではアルカリ性を呈する粉体により徐々に退色し製品の外観色が異なってしまう欠点がある。また、一般的に乳化製品を製造する場合、乳化温度が75〜85℃で、水相のpHは7.5〜9.0である。これらの条件で紺青又は紺青被覆粉体を用いて乳化化粧料を製造した場合、紺青が緑色に変化して目的とする紺青のもつ高彩度の青色色調や光沢が得られないばかりか、くすんだ緑色になってしまう欠点がある。
【0004】
紺青被覆粉体の基材には種々の粉体が用いられるが、通常、緑色〜紫色の干渉色を有する虹彩箔パール顔料が用いられている。このパール顔料は干渉色の効果と紺青のもつ高彩度で大きい着色力との相互作用(相乗効果)により、従来の青色系顔料のもつくすみを感じる青色の発色を防ぎ、つやを感じる新しい質感の高彩色の青色の発色を狙っているが、紺青がアルカリ性、特に加温したアルカリに弱く、化粧品製造時に緑変化、又はアルカリ条件によっては失色してしまい、化粧品業界では紺青被覆パール顔料の改良が望まれ、市場の要求は高い。
【0005】
一般的に、パール顔料は、例えば、インク、塗料、プラスチックス、化粧料等の色材の1つとして種々の分野において広く利用されている。このパール顔料には、天然パールエッセンス、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、及び金属酸化物被覆雲母等の種々のタイプがある。この中で、金属酸化物被覆雲母顔料は、薄片状基質上に反射率の高い透明性又は半透明性の金属酸化物を被覆せしめることによって、その表面及び被覆界面双方からの反射光の相互作用により干渉色を発色することを原理にしている。この金属酸化物被覆雲母顔料は、粉末状で取り扱いが容易であり、水や種々の溶媒に容易に分散するほか、被覆する金属酸化物の種類を変えることにより豊富な色が得られるなどの利点から、他のパール顔料に比べて広く用いられている。
【0006】
塗料関係では、紺青や紺青被覆パール顔料は油性塗料、ラッカーによく用いられているが、高温焼付け塗料やアルカリ性の塗料、コンクリート、壁などのアルカリ性のものに塗布する塗料に用いられておらず、その用途が限られている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−251126号公報、請求項3、表1〜3
【非特許文献1】
「顔料入門講座テキスト」社団法人色材協会、1970年、p.114−118
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、上記問題点を解決し、加温時のアルカリ性溶液に対しても変色、耐色がなく、耐アルカリ性に優れ、従来の紺青被覆粉体よりも発色性(高彩度)を有する新規な表面加工を施した紺青被覆粉体を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、従来の紺青被覆粉体に特殊な表面加工を施すことにより、耐アルカリ性が著しく改善され、また、従来の紺青被覆粉体よりも発色性に優れた(高彩度の)新規な表面処理粉体が得られることを見出した。即ち、本発明の表面処理粉体は、紺青被覆粉体を、α−オキシカルボン酸及び被膜形成物質の何れか又は両方で処理したことを特徴とする。本発明の好ましい態様において、紺青被覆粉体の表面に、α−オキシカルボン酸と被膜形成物質とを結合又は吸着させたことを特徴とする表面処理粉体が提供される。
【0010】
前記表面処理に使用されるα−オキシカルボン酸は、粉体の表面に被覆された紺青、特にその成分である鉄イオンと相互作用することによって、その溶出を抑制すると考えられる。また、上記被膜形成物質は紺青被覆粉体の表面を被覆して色素成分の溶出を抑制すると共に、紺青の発色性を高め、より鮮やかな彩りを付与するものである。更に、α−オキシカルボン酸は上記被膜形成物質の付着性を向上するための役割も有し、両方の処理により相乗的な効果を発揮させる。本発明において、前記α−オキシカルボン酸及び被膜形成物質は、このような作用を発揮するものであればどのようなものであっても良く、また、これらの作用を阻害しない限度においてその他の成分を含んでいても良い。
【0011】
異なる視点において、本発明は、紺青被覆粉体と、α−オキシカルボン酸とを接触させる工程、及び紺青被覆粉体の表面に被膜形成物質を吸着させる工程、を含むことを特徴とする表面処理粉体の製造方法を提供する。前記各工程は何れの工程を先に行っても良いが、より高彩度の表面処理粉体を得るためには、紺青被覆粉体とα−オキシカルボン酸との接触処理を先に行うか、又はそれと同時に紺青被覆粉体の表面に被膜形成物質を吸着させることが好ましい。
【0012】
更に異なる視点において、本発明は、上記表面処理された紺青被覆パール顔料を含むことを特徴とする化粧料を提供する。化粧料としては、ファンデーションやアンダーメーク等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、ネイルカラー等のポイントメークアップ化粧料等が含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について、好ましい実施の形態を中心に説明する。本発明は以下の形態を含むがこれらの範囲に限定されるものではない。
【0014】
本発明に係る表面処理紺青被覆粉体の基材として使用される粉体は、粘土鉱物、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、フッ化マグネシウム及びハイドロキシアパタイト等から選択される少なくとも1種を挙げることができる。粘土鉱物の好ましい例としては、例えば、セリサイト(絹雲母)、白雲母、黒雲母、リチア雲母、合成雲母等のイライト族、カオリオナイト、ナクライト、デッカイト、ハロイサイト等のカオリン族、珪線石、藍晶石等のシリマナイト族、タルク(滑石)、蛇絞石等のマグネシウムシリケート系等が挙げられる。さらに、それらの表面を酸化チタン、酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化セリウム等の金属酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス等で被覆したものが挙げられる。
【0015】
本発明の1つの実施形態における紺青被覆粉体の基材としては、パール顔料、例えば、金色、赤色、橙色、緑色、青色、紫色の干渉色を有する虹彩箔パール顔料や着色パール顔料が特に好ましい。このパール顔料は、公知のものであってもよく、例えば、雲母を基質とし、酸化チタンや酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの金属酸化物を表面に被覆したものが挙げられる。本形態の表面処理紺青被覆パール顔料に使用される他の薄片状基質としては、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、グラファイト、アルミナフレーク、シリカフレーク、硝子フレーク等が挙げられる。
【0016】
紺青被覆パール顔料の製造方法は、通常の製造方法でよく、例えば、パール顔料を分散させた懸濁液でシアン化ナトリウムと硫酸第一鉄とを反応させ、フェロシアン化ナトリウムを作る。フェロシアン化ナトリウムと硫酸第一鉄を硫酸アンモニウムの存在下で反応させると白色沈殿(ベルリンホワイト)が生成する。この白色沈殿を硫酸酸性下で熟成し、塩素酸ナトリウムで酸化すると青色に発色した紺青被覆パール顔料が得られる。
【0017】
パール顔料(粉体)の表面を被覆する紺青の化学構造は、一般的に、MKFe[Fe(CN)6](但し、MはK、Na又はNH4の何れかである。)で表される。鉄イオンには2価の鉄(FeII)と3価の鉄(FeIII)があり、ヘキサシアノ鉄(FeII)酸(慣用名:フェロシアン化イオン)と鉄イオン(Fe3+)との反応は、
【化1】
で表される。錯基内における金属イオンとリガンドの結合原子との間の結合は一般的に配位結合と呼ばれるが、更に詳細にこの結合の本質を調べるとイオン結合性のものと共有結合性のものがあり、常磁性分極を測定することによって解析できる。常磁性分極とは、ある種の物質について起こるもので一部は不対電子のスピン磁気モーメントに由来し、また、電子軌道運動による磁気モーメントから起こるものである。これらの解析より、[FeII(CN)6]は磁気モーメントが0の共有結合性であると判断でき、八面体型6配位の[FeII(CN)6]が存在する等軸晶系(立方晶系)の結晶構造を有することが分かる。Fe2+とFe3+が立方体の各頂点を交互に占有し、そのFe2+とFe3+をCN基が結んでおり、K、Na、NH4のうちの1つの原子が立方体の中心を1つおきに占有している。結晶中ではFeII−CNは共有結合をしているのでここでの反応は非常に起きにくいと考えてよく、一方、CN→FeIIIは、Fe3+とNとの間のイオン性配位結合であるためアルカリ性で分解しやすいと考えられる。本発明の1つの実施形態において、このFe3+とα−オキシカルボン酸とが相互作用し、アルカリによる3価の鉄の溶出を極力抑えるものと推測される。このような作用を有するカルボン酸は、α−オキシカルボン酸であれば何でも良いが、好ましくは、グリコール酸、グリセリン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸、α−オキシ酪酸、及びサリチル酸等から選択される1種又は2種以上が使用される。このα−オキシカルボン酸は、カルボキシル基と水酸基が同一の炭素原子に結合している化合物であって、カルボキシル基と水酸基が分子内で安定な環状構造(5員環)を形成して金属原子に配位することが知られている。β−オキシカルボン酸の場合には、水酸基とカルボキシル基と金属原子から形成される環状構造が大きくなって安定性が低下する可能性がある。また、α−オキシカルボン酸以外でもギ酸の場合は2分子が会合して環状2量体を作ることが知られている。更に、乳酸等の低融点のα−オキシカルボン酸の場合、製造工程での加熱によって2分子の酸から2分子の水を失い、環状の二重エステル(ラクチド)を作り、これらの特殊な構造がFe3+イオンとの水素結合を形成してパール顔料表面を被覆した紺青を安定化しているのではないかと推測される。
【0018】
本発明の他の実施形態において、紺青被覆粉体の表面を被膜形成物質による被覆処理を行う。この処理は、単独でも良いが、α−オキシカルボン酸による表面処理の後で、あるいは、それと同時に行うことが好ましい。被膜形成物質とは、水やアルコール類に溶解する高分子物質であって、化粧品製造の添加剤や、染色助剤として使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドンや、カルボン酸又はその誘導体を含むモノマーから構成される重合体又は共重合体等を例示することができる。
【0019】
カルボン酸又はその誘導体を含むモノマーから構成される重合体又は共重合体としては、具体的には、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N−メタクリロイルエチル N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸モノエステル、メトキシアルキレン無水マレイン酸共重合体、両性アクリル酸エステル共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ブチル・アクリル酸イソボニル共重合体、イソブチレン・マレイン酸ナトリウム共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸系架橋型ポリマー、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体、オクチルアクリルアミド・アクリル酸エステル共重合体、ジメチルシロキサン・アクリル酸系共重合体、カルボキシビニルポリマーなどを例示することができ、アクリル酸又はメタアクリル酸若しくはそれらの誘導体を含むモノマーから構成される重合体又は共重合体が好ましい。
【0020】
本発明においては、上記した被膜形成性物質のうちの一種のみを用いてもよく、二種以上を混合して用いても構わない。また、上記した被膜形成性物質のうち、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ポリビニルピロリドン、ビニルメチルエーテル・マレイン酸モノエステル、N−メタクリロイルオキシエチル N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体が最も好ましく用いられる。
【0021】
尚、市販のビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体としては、商品名GAFQUAT−755N(ISP 社製)、商品名H.C ポリマー 1N (大阪有機化学社製)などを、アクリル樹脂アルカノールアミンとしては、商品名プラスサイズ L−6330(互応化学社製)、商品名アニセットA−40M (大阪有機化学社製)などを、ポリビニルピロリドンとしては、商品名PVK−90(ISP 社製)、商品名LUVISCOL K−90 (BASF社製)などを、ビニルメチルエーテル・マレイン酸モノエステルとしては、商品名PVM−BE 50 (東京ファインケミカル社製)、商品名GAFCAT(ISP 社製)などを、N−メタクリロイルオキシエチル N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体としては、商品名ユカフォーマーR205、ユカフォーマーR205S 、ユカフォーマーR102、ユカフォーマーSM、ユカフォーマーR402、ユカフォーマー301 、ユカフォーマー202 、ユカフォーマー501 、ユカフォーマー201 、ユカフォーマー204 、ユカフォーマー104 、ユカフォーマーW (いずれも三菱化学社製)を例示することができる。
被膜形成物質による被覆量(固定化量)は、前記α−オキシカルボン酸処理紺青被覆パール顔料に対して、固形分として0.1〜15重量%の範囲で、好ましくは0.6〜13重量%である。
【0022】
本発明の別の実施形態において、上記本発明の表面処理紺青被覆粉体の製造方法が提供される。具体的には、α−オキシカルボン酸の水溶液中で紺青被覆粉体を分散してこれらを接触させる工程、前記α−オキシカルボン酸と接触させた紺青被覆粉体を被膜形成物質を含む揮発性溶媒に分散し、前記揮発性溶媒を留去して前記被膜形成物質を前記オキシカルボン酸処理紺青被覆粉体に固着させる工程を含む。前記α−オキシカルボン酸の使用量は、紺青被覆粉体に対して1〜20重量%、好ましくは2〜8重量%、更に好ましくは3〜6重量%(被覆された紺青に対しては、0.5〜110重量%、好ましくは4.0〜100重量%、更に好ましくは4.0〜85重量%)である。このα−オキシカルボン酸による処理の後に、得られたα−オキシカルボン酸処理紺青被覆粉体を含む懸濁液を水洗、ろ過する工程を含んでも良い。この水洗工程は、上澄液に紺青被覆粉体から遊離した一部の色素と、未反応のオキシカルボン酸等が存在する場合にこれらを除去するために行うものである。遊離のオキシカルボン酸を含む透明着色液が残存する場合には、後の工程で添加する被膜形成物質の付着工程で、付着の不均一化という悪影響を及ぼすので十分に行うことが好ましい。
【0023】
被膜形成物質を分散する揮発性溶媒としては、水や種々のアルコール、又はこれらの混合溶液を用いることができるが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、低沸点環状シリコーン等が被膜形成物質同士の凝集を起こさないで被覆でき、また既存設備で容易に溶媒が留去できる面から工業的に有利である。溶媒を留去する方法としては種々の条件があるが、好ましくは大気圧又は減圧下において、その溶媒の沸点付近まで加熱することにより行うことができる。
【0024】
本発明の更に別の実施形態において、本発明の安定化された高彩度紺青被覆粉体を含む化粧料が提供される。その場合、化粧料における表面処理紺青被覆粉体の使用量(配合量)については特に制限はない。例えば、パウダー状の化粧料の場合には1〜100重量%(重量%は全組成物に対する重量基準)程度配合することができる。ケーキ状の化粧料及び練物化粧料の場合には、全粉体重量の1〜100重量%程度、好ましくは1〜80重量%程度となるように配合することができる。また、乳化状化粧料の場合には全乳化物の重量組成に対し、好ましくは1〜60重量%程度、より好ましくは1〜30重量%程度、非水系化粧料の場合には、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%程度、それぞれ配合することができる。中でも、特にメークアップ化粧料、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、ネイルカラー、口紅等、スキンケア関係では、アンダーメークアップベースやカーマインローション、クリーム、乳液、化粧水当に配合するのに好適である。この化粧料には、本発明の表面処理紺青被覆パール顔料の他に、通常化粧料に用いられる他の成分を必要に応じて適宜配合することができる。例えば、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアバタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミックスパウダー等の無機粉末、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリ四弗化エチレンパウダー、ジスチレンベンゼンポリマーパウダー、エポキシパウダー、アクリルパウダー、シリコーンパウダー、微結晶性セルロース等の有機粉体、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸鉄、黄土等の無機黄色系顔料、四酸酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、群青等の無機青色系顔料、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色酸化チタン被覆雲母等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料、酸化チタン鉄ドープ、酸化亜鉛鉄ドープ等の複合着色顔料、 赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、橙色3号及び青色1号のジルコニウム、バリウム、若しくはアルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフイル、β−カロチン等の天然色素、 スクワラン、流動パラフイン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、インステアリン酸、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オイレンアルコール、2−エチルヘキサン酸セチル、バルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、オレイン酸2−オクチルドシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセリン、トリ(カプリル、カプロン酸)グリセリン、オリーブ油、アボカド油、ミツロウ、ミリスチン酸ミリスチル、ミンク油、ラノリン等の各種炭化水素、シリコーン油、高級脂肪酸、油脂類のエステル類、高級アルコール、ロウ類等の油性成分、アセトン、トルエン、酢酸ブラル、酢酸エステル等の有機溶剤等を適宜配合して使用することができる。
【0025】
アルキッド樹脂、尿素樹脂等の樹脂、カンファー、クエン酸アセトルトリブチル等の可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤等も使用することができる。
【0026】
本発明による化粧料の形態は特に限定されない。例えば、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スチック状、ペレット状、軟膏状、液状、乳液状、クリーム状等各種の形態で使用することができる。本発明の表面処理紺青被覆パール顔料は、化粧料用として特に有用なものであるが、その他インク、塗料、プラスチック等の添加剤の成分として使用することもでき、化粧料分野のみならず広く利用可能であり、工業的に極めて有用である。
【0027】
【実施例】
以下本発明を実施例に基づき説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]α−オキシカルボン酸の効果
(アルカリ溶液と試料の調製)
精製水80g中にクエン酸、酒石酸、又はリンゴ酸をそれぞれ下記表1に示した量を溶解させた溶液に紺青被覆パール顔料(商品名:コロロナダークブルー、メルク社製)5gを懸濁させ、7時間攪拌した後、ろ過、水洗、及び乾燥してα−オキシカルボン酸処理物を得た。pH9.34に調整したトリエタノールアミン(TEA)100gに上記試料各1gを添加し、攪拌しながら80℃まで昇温し、80℃に達した時点で10分間保持した。その後、30℃まで冷却し測色した。
【0029】
(測色法)
上記のようにアルカリ溶液で処理した試料溶液を50mlのねじ口瓶に移した。完全に顔料が沈降した状態にした後、上澄液は高さ3cmの透明ガラスセルに移し、黒色の容器の中に入れ、黒色のふたをして測色した。また、沈降した顔料の測色はねじ口瓶の底より光を当て測色した。乳化物に関しては高さ1.2cmのガラスセルに充填して測色した。色差は日本電子工業社製Σ90Color measuring systemを用いて行った。尚、L、a、b値はハンターの色差式における明度、色相及び彩度であって、本明細書においては、Lの数値が大きいほど明るく、aの数値がプラス側に大きいほど赤味の度合いが強く、マイナス側に大きいほど緑の度合いが強くなる。また、bの数値がプラス側に大きいほど黄色の度合いが強く、マイナス側に大きいほど青の度合いが強くなる。
【0030】
(結果)
【表1】
【0031】
表1の結果より、種々のα−オキシカルボン酸で処理した紺青被覆パール顔料は、顔料そのものの色は無処理物と比べてあまり変化はなかった。一方、上澄液の色は、無処理物が強いブリード(bleed)現象を起こし、濃い緑色を呈する(a値=−7.94)のに対し、α−オキシカルボン酸処理物は非常に淡い緑色又は黄緑色であった。その度合いは目視でも明快に差異が認められた。従って、α−オキシカルボン酸処理は顔料色を変えず、紺青のブリード現象を抑える効果が認められた。
【0032】
[実施例2]被膜形成物質の効果
精製水400g中にクエン酸1.0gを溶解させた溶液に無処理の紺青被覆パール顔料(商品名:コロロナダークブルー、メルク社製)25gを懸濁させ、7時間攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥してα−オキシカルボン酸処理物を得た。
【0033】
メタノール150g中にユカフォーマーR205S(三菱化学社製)0.2g(固形分0.06g)を溶解させた後、α−オキシカルボン酸処理紺青被覆パール顔料5gをいれて15分間攪拌した。その後、昇温して55〜63℃でメタノールを留去し、更に60℃で乾燥し、完全にメタノールを除去し、表面処理紺青被覆パール顔料を得た。
【0034】
これらの無処理又は表面処理した紺青被覆パール顔料を用いて、実施例1と同様の方法により測色した結果を表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】
紺青のブリードは実施例1と同程度であったが、顔料色は非常に鮮やかな若干紫味を帯びた青色を示した。即ち、ユカフォーマーを0.1g添加しただけで顔料のb値が無処理顔料に比べて約14.5マイナス側にシフトしており、黄色の補色である青色が強くなっていることが分かる。これらの結果より、紺青被覆パール顔料に対して固形分として0.6重量%程度あれば高彩度の表面処理紺青被覆パール顔料が得られることが分かった。
【0037】
[実施例3]表面処理の順序とその効果の比較
(方法A)
精製水400g中にクエン酸1.0gを溶解させた溶液に、無処理の紺青被覆パール顔料(商品名:コロロナダークブルー、メルク社製)50gを分散、懸濁させ、常温で7時間攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥してα−オキシカルボン酸処理物を得た。メタノール320g中にユカフォーマーR205S(三菱化学社製)2.0g(固形分として0.6g)を溶解させた後、上記α−オキシカルボン酸処理物47.9gを加えて懸濁させ、15分間攪拌した。その後、昇温して55〜63℃でメタノールを留去した後、60℃で乾燥し、完全にメタノールを除去し、クエン酸−メタクリル酸アルキルエステル処理紺青被覆パール顔料を得た。
【0038】
(方法B)
メタノール320g中にユカフォーマーR205S(三菱化学社製)2.0g(固形分として0.6g)を溶解させた中に、無処理の紺青被覆パール顔料(商品名:コロロナダークブルー、メルク社製)47.9gを加えて懸濁させ、15分間攪拌した。その後、昇温して55〜63℃でメタノールを留去した後、60℃で乾燥し、メタクリル酸アルキルエステル被覆紺青パール顔料を得た。このメタクリル酸アルキルエステル被覆紺青パール顔料を、精製水400g中にクエン酸1.0gを溶解させた溶液に懸濁させ、常温で7時間攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥してメタクリル酸アルキルエステル−クエン酸被覆紺青パール顔料を得た。これらの表面処理方法の順を変えた紺青被覆パール顔料を用いて、実施例1と同様の方法により測色した結果を表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】
表3の結果より、方法Bでは上澄液のブリード現象が強くみられる(a値=−2.28)と同時に顔料色の発色も悪い(b値=−33.91)のに対し、方法Aの場合は上澄液のブリード現象が抑えられ(a値=0.40)、顔料色の発色も良い(b値=−40.30)ことが分かる。
【0041】
[実施例4]表面処理に用いる種々のカルボン酸の比較
実施例3の方法Aと同様の方法により、クエン酸の代わりに酢酸、又はギ酸を用いてカルボン酸−メタクリル酸アルキルエステル処理紺青被覆パール顔料を調製し、実施例1と同様の方法により測色した結果を表4に示した。
【0042】
【表4】
【0043】
α−オキシカルボン酸であるクエン酸処理したものは、酢酸やギ酸処理物と比べて上澄液のブリード現象についてはほとんど相違なかった。しかし、顔料の発色性(b値)は明らかにクエン酸処理が優れていた。クエン酸処理物と酸処理なし(メタクリル酸アルキルエステル処理のみ)とを比較すると、被膜形成物質でのみ処理したもの(酸処理なし)はブリード抑制作用はあるが、発色性が悪い事が分かる。
【0044】
[実施例5]
精製水400gにクエン酸0.5gを溶解させた中に、紺青被覆パール顔料(メルク社製、商品名:コロロナダークブルー、組成:紺青4.7%、酸化チタン43.9%、白雲母51.4%)25gを懸濁させ、その懸濁液を常温にて7時間攪拌した。その後、ろ過、水洗し得られた固形物(α−オキシカルボン酸処理紺青被覆パール顔料)を乾燥した。乾燥した固形分24gを、メタノール160g中にユカフォーマーR205S(固形分30%、三菱化学社製)1.0gを溶解させたメタノール溶液に懸濁させた。次いで、この懸濁液を55〜63℃に加温しメタノールを留去し、表面処理紺青被覆パール顔料を得た。
【0045】
[実施例6]
下記表5に示した油相及び水相成分をそれぞれよく混合し、中和剤KOHを用いて乳液を製造し、未処理の紺青被覆パール顔料(メルク社製、商品名:コロロナダークブルー)と実施例5で表面処理した紺青被覆パール顔料を比較した。
【0046】
【表5】
【0047】
上記のように調製した乳化物は、高さ1.2cmのガラスセルに充填し、実施例1と同様の方法により測色した。その結果を表4に示した。
【0048】
(測色値)
【表6】
【0049】
表6に示したように、本発明の表面処理紺青被覆パール顔料を添加した乳液は明度が低く、青味が強く感じられる(b値のマイナス値が大きく青味が強いことを示している)のに対し、未処理紺青被覆パール顔料を用いた場合には緑味が強く感じられた。
【0050】
[実施例7]
下記表7に示した油相及び水相成分をそれぞれよく混合し、中和剤としてトリエタノールアミン(TEA)を用いてクリームを製造し、未処理の紺青被覆パール顔料(メルク社製、商品名:コロロナダークブルー)と実施例5で表面処理した紺青被覆パール顔料を比較した。
【0051】
【表7】
【0052】
上記のように調製した乳化物は、高さ1.2cmのガラスセルに充填し、実施例1と同様の方法により測色した。その結果を表8に示した。
【0053】
(測色値)
【表8】
【0054】
表8に示したように、本発明の表面処理紺青被覆パール顔料を添加したクリームは明度が低く、青味が強く感じられる(b値のマイナス値が大きく青味が強いことを示している)のに対し、未処理紺青被覆パール顔料を用いた場合には緑味が強く感じられた。
【0055】
[実施例8]安定性試験
実施例6及び実施例7の方法に従って、実施例4で調製したクエン酸処理及び酸処理なしのメタクリル酸アルキルエステル処理紺青被覆パール顔料を用いて乳液及びクリームをそれぞれ調製し(各パール顔料の濃度は1.0%とした。)、50℃、1ヶ月放置した場合の色の変化を測定した結果を表9に示した。
【0056】
【表9】
【0057】
表9に示した結果より、乳液、及びクリームの何れについても酸処理なしの場合は50℃、1ヶ月経過後の色調の変化が大きく(b値が大きく変化)、保存安定性に欠けることが分かる。これに対し、クエン酸処理した場合には50℃、1ヶ月経過後でも色調にほとんど変化なく、きわめて安定であることが分かった。
【0058】
【発明の効果】
本発明の表面処理紺青被覆粉体は、アルカリ性条件下でも紺青特有の青色が退色したり失色することなく極めて安定である。更に、従来の紺青被覆粉体、例えば、紺青被覆パール顔料に比べて鮮やかな発色性を示す高彩度の顔料が得られる。また、本発明の製造方法によれば、上記安定化された高彩度の紺青被覆粉体を極めて簡便に製造することができ、化粧料のみならず種々の工業的材料として利用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は表面処理された紺青被覆粉体に関し、更に詳しくは、表面処理された紺青被覆パール顔料に関する。特に、従来の紺青被覆パール顔料に比べて耐アルカリ性及び発色性に優れた新規な表面処理紺青被覆パール顔料、その製造方法、及びこれを配合した化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、青色顔料には、紺青(Prussian blue)を着色材とし、これと体質顔料とを混合したり、あるいは、これを種々の粉体表面に被覆したものが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。この紺青は、フェロシアン化第二鉄を主成分としたもので、独特の深みのある青色で無機顔料としては着色力も大きいが、安定pHは4〜6と低く、アルカリ性で不安定なことが問題となっている(例えば、非特許文献1参照。)。アルカリ溶液に分散させた場合、緑色に変化して溶解したり、アルカリの条件によっては退色してしまったり、そのアルカリ溶液を加熱することにより失色する場合もある。また、炭酸カルシウム、アルミナ等のアルカリ性の体質顔料と共用すると退色又は失色することもある。また、紺青は還元されると青色が失色したり、酸化されやすいビヒクルで練って密閉しておくと、紺青が酸化剤として働き、自身は還元されて退色する場合がある。
【0003】
化粧料において紺青は青色系の顔料の群青よりも大きな着色力があり、高彩度の青色色調が得られることや、黄色の法定色素と併用することで高彩度のクロムグリーンが得られることから、特に粉体製品に用いられているが、製品の長期保存ではアルカリ性を呈する粉体により徐々に退色し製品の外観色が異なってしまう欠点がある。また、一般的に乳化製品を製造する場合、乳化温度が75〜85℃で、水相のpHは7.5〜9.0である。これらの条件で紺青又は紺青被覆粉体を用いて乳化化粧料を製造した場合、紺青が緑色に変化して目的とする紺青のもつ高彩度の青色色調や光沢が得られないばかりか、くすんだ緑色になってしまう欠点がある。
【0004】
紺青被覆粉体の基材には種々の粉体が用いられるが、通常、緑色〜紫色の干渉色を有する虹彩箔パール顔料が用いられている。このパール顔料は干渉色の効果と紺青のもつ高彩度で大きい着色力との相互作用(相乗効果)により、従来の青色系顔料のもつくすみを感じる青色の発色を防ぎ、つやを感じる新しい質感の高彩色の青色の発色を狙っているが、紺青がアルカリ性、特に加温したアルカリに弱く、化粧品製造時に緑変化、又はアルカリ条件によっては失色してしまい、化粧品業界では紺青被覆パール顔料の改良が望まれ、市場の要求は高い。
【0005】
一般的に、パール顔料は、例えば、インク、塗料、プラスチックス、化粧料等の色材の1つとして種々の分野において広く利用されている。このパール顔料には、天然パールエッセンス、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、及び金属酸化物被覆雲母等の種々のタイプがある。この中で、金属酸化物被覆雲母顔料は、薄片状基質上に反射率の高い透明性又は半透明性の金属酸化物を被覆せしめることによって、その表面及び被覆界面双方からの反射光の相互作用により干渉色を発色することを原理にしている。この金属酸化物被覆雲母顔料は、粉末状で取り扱いが容易であり、水や種々の溶媒に容易に分散するほか、被覆する金属酸化物の種類を変えることにより豊富な色が得られるなどの利点から、他のパール顔料に比べて広く用いられている。
【0006】
塗料関係では、紺青や紺青被覆パール顔料は油性塗料、ラッカーによく用いられているが、高温焼付け塗料やアルカリ性の塗料、コンクリート、壁などのアルカリ性のものに塗布する塗料に用いられておらず、その用途が限られている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−251126号公報、請求項3、表1〜3
【非特許文献1】
「顔料入門講座テキスト」社団法人色材協会、1970年、p.114−118
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、上記問題点を解決し、加温時のアルカリ性溶液に対しても変色、耐色がなく、耐アルカリ性に優れ、従来の紺青被覆粉体よりも発色性(高彩度)を有する新規な表面加工を施した紺青被覆粉体を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、従来の紺青被覆粉体に特殊な表面加工を施すことにより、耐アルカリ性が著しく改善され、また、従来の紺青被覆粉体よりも発色性に優れた(高彩度の)新規な表面処理粉体が得られることを見出した。即ち、本発明の表面処理粉体は、紺青被覆粉体を、α−オキシカルボン酸及び被膜形成物質の何れか又は両方で処理したことを特徴とする。本発明の好ましい態様において、紺青被覆粉体の表面に、α−オキシカルボン酸と被膜形成物質とを結合又は吸着させたことを特徴とする表面処理粉体が提供される。
【0010】
前記表面処理に使用されるα−オキシカルボン酸は、粉体の表面に被覆された紺青、特にその成分である鉄イオンと相互作用することによって、その溶出を抑制すると考えられる。また、上記被膜形成物質は紺青被覆粉体の表面を被覆して色素成分の溶出を抑制すると共に、紺青の発色性を高め、より鮮やかな彩りを付与するものである。更に、α−オキシカルボン酸は上記被膜形成物質の付着性を向上するための役割も有し、両方の処理により相乗的な効果を発揮させる。本発明において、前記α−オキシカルボン酸及び被膜形成物質は、このような作用を発揮するものであればどのようなものであっても良く、また、これらの作用を阻害しない限度においてその他の成分を含んでいても良い。
【0011】
異なる視点において、本発明は、紺青被覆粉体と、α−オキシカルボン酸とを接触させる工程、及び紺青被覆粉体の表面に被膜形成物質を吸着させる工程、を含むことを特徴とする表面処理粉体の製造方法を提供する。前記各工程は何れの工程を先に行っても良いが、より高彩度の表面処理粉体を得るためには、紺青被覆粉体とα−オキシカルボン酸との接触処理を先に行うか、又はそれと同時に紺青被覆粉体の表面に被膜形成物質を吸着させることが好ましい。
【0012】
更に異なる視点において、本発明は、上記表面処理された紺青被覆パール顔料を含むことを特徴とする化粧料を提供する。化粧料としては、ファンデーションやアンダーメーク等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、ネイルカラー等のポイントメークアップ化粧料等が含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について、好ましい実施の形態を中心に説明する。本発明は以下の形態を含むがこれらの範囲に限定されるものではない。
【0014】
本発明に係る表面処理紺青被覆粉体の基材として使用される粉体は、粘土鉱物、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、フッ化マグネシウム及びハイドロキシアパタイト等から選択される少なくとも1種を挙げることができる。粘土鉱物の好ましい例としては、例えば、セリサイト(絹雲母)、白雲母、黒雲母、リチア雲母、合成雲母等のイライト族、カオリオナイト、ナクライト、デッカイト、ハロイサイト等のカオリン族、珪線石、藍晶石等のシリマナイト族、タルク(滑石)、蛇絞石等のマグネシウムシリケート系等が挙げられる。さらに、それらの表面を酸化チタン、酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化セリウム等の金属酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス等で被覆したものが挙げられる。
【0015】
本発明の1つの実施形態における紺青被覆粉体の基材としては、パール顔料、例えば、金色、赤色、橙色、緑色、青色、紫色の干渉色を有する虹彩箔パール顔料や着色パール顔料が特に好ましい。このパール顔料は、公知のものであってもよく、例えば、雲母を基質とし、酸化チタンや酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの金属酸化物を表面に被覆したものが挙げられる。本形態の表面処理紺青被覆パール顔料に使用される他の薄片状基質としては、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、グラファイト、アルミナフレーク、シリカフレーク、硝子フレーク等が挙げられる。
【0016】
紺青被覆パール顔料の製造方法は、通常の製造方法でよく、例えば、パール顔料を分散させた懸濁液でシアン化ナトリウムと硫酸第一鉄とを反応させ、フェロシアン化ナトリウムを作る。フェロシアン化ナトリウムと硫酸第一鉄を硫酸アンモニウムの存在下で反応させると白色沈殿(ベルリンホワイト)が生成する。この白色沈殿を硫酸酸性下で熟成し、塩素酸ナトリウムで酸化すると青色に発色した紺青被覆パール顔料が得られる。
【0017】
パール顔料(粉体)の表面を被覆する紺青の化学構造は、一般的に、MKFe[Fe(CN)6](但し、MはK、Na又はNH4の何れかである。)で表される。鉄イオンには2価の鉄(FeII)と3価の鉄(FeIII)があり、ヘキサシアノ鉄(FeII)酸(慣用名:フェロシアン化イオン)と鉄イオン(Fe3+)との反応は、
【化1】
で表される。錯基内における金属イオンとリガンドの結合原子との間の結合は一般的に配位結合と呼ばれるが、更に詳細にこの結合の本質を調べるとイオン結合性のものと共有結合性のものがあり、常磁性分極を測定することによって解析できる。常磁性分極とは、ある種の物質について起こるもので一部は不対電子のスピン磁気モーメントに由来し、また、電子軌道運動による磁気モーメントから起こるものである。これらの解析より、[FeII(CN)6]は磁気モーメントが0の共有結合性であると判断でき、八面体型6配位の[FeII(CN)6]が存在する等軸晶系(立方晶系)の結晶構造を有することが分かる。Fe2+とFe3+が立方体の各頂点を交互に占有し、そのFe2+とFe3+をCN基が結んでおり、K、Na、NH4のうちの1つの原子が立方体の中心を1つおきに占有している。結晶中ではFeII−CNは共有結合をしているのでここでの反応は非常に起きにくいと考えてよく、一方、CN→FeIIIは、Fe3+とNとの間のイオン性配位結合であるためアルカリ性で分解しやすいと考えられる。本発明の1つの実施形態において、このFe3+とα−オキシカルボン酸とが相互作用し、アルカリによる3価の鉄の溶出を極力抑えるものと推測される。このような作用を有するカルボン酸は、α−オキシカルボン酸であれば何でも良いが、好ましくは、グリコール酸、グリセリン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸、α−オキシ酪酸、及びサリチル酸等から選択される1種又は2種以上が使用される。このα−オキシカルボン酸は、カルボキシル基と水酸基が同一の炭素原子に結合している化合物であって、カルボキシル基と水酸基が分子内で安定な環状構造(5員環)を形成して金属原子に配位することが知られている。β−オキシカルボン酸の場合には、水酸基とカルボキシル基と金属原子から形成される環状構造が大きくなって安定性が低下する可能性がある。また、α−オキシカルボン酸以外でもギ酸の場合は2分子が会合して環状2量体を作ることが知られている。更に、乳酸等の低融点のα−オキシカルボン酸の場合、製造工程での加熱によって2分子の酸から2分子の水を失い、環状の二重エステル(ラクチド)を作り、これらの特殊な構造がFe3+イオンとの水素結合を形成してパール顔料表面を被覆した紺青を安定化しているのではないかと推測される。
【0018】
本発明の他の実施形態において、紺青被覆粉体の表面を被膜形成物質による被覆処理を行う。この処理は、単独でも良いが、α−オキシカルボン酸による表面処理の後で、あるいは、それと同時に行うことが好ましい。被膜形成物質とは、水やアルコール類に溶解する高分子物質であって、化粧品製造の添加剤や、染色助剤として使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドンや、カルボン酸又はその誘導体を含むモノマーから構成される重合体又は共重合体等を例示することができる。
【0019】
カルボン酸又はその誘導体を含むモノマーから構成される重合体又は共重合体としては、具体的には、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N−メタクリロイルエチル N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸モノエステル、メトキシアルキレン無水マレイン酸共重合体、両性アクリル酸エステル共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ブチル・アクリル酸イソボニル共重合体、イソブチレン・マレイン酸ナトリウム共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸系架橋型ポリマー、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体、オクチルアクリルアミド・アクリル酸エステル共重合体、ジメチルシロキサン・アクリル酸系共重合体、カルボキシビニルポリマーなどを例示することができ、アクリル酸又はメタアクリル酸若しくはそれらの誘導体を含むモノマーから構成される重合体又は共重合体が好ましい。
【0020】
本発明においては、上記した被膜形成性物質のうちの一種のみを用いてもよく、二種以上を混合して用いても構わない。また、上記した被膜形成性物質のうち、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ポリビニルピロリドン、ビニルメチルエーテル・マレイン酸モノエステル、N−メタクリロイルオキシエチル N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体が最も好ましく用いられる。
【0021】
尚、市販のビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体としては、商品名GAFQUAT−755N(ISP 社製)、商品名H.C ポリマー 1N (大阪有機化学社製)などを、アクリル樹脂アルカノールアミンとしては、商品名プラスサイズ L−6330(互応化学社製)、商品名アニセットA−40M (大阪有機化学社製)などを、ポリビニルピロリドンとしては、商品名PVK−90(ISP 社製)、商品名LUVISCOL K−90 (BASF社製)などを、ビニルメチルエーテル・マレイン酸モノエステルとしては、商品名PVM−BE 50 (東京ファインケミカル社製)、商品名GAFCAT(ISP 社製)などを、N−メタクリロイルオキシエチル N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体としては、商品名ユカフォーマーR205、ユカフォーマーR205S 、ユカフォーマーR102、ユカフォーマーSM、ユカフォーマーR402、ユカフォーマー301 、ユカフォーマー202 、ユカフォーマー501 、ユカフォーマー201 、ユカフォーマー204 、ユカフォーマー104 、ユカフォーマーW (いずれも三菱化学社製)を例示することができる。
被膜形成物質による被覆量(固定化量)は、前記α−オキシカルボン酸処理紺青被覆パール顔料に対して、固形分として0.1〜15重量%の範囲で、好ましくは0.6〜13重量%である。
【0022】
本発明の別の実施形態において、上記本発明の表面処理紺青被覆粉体の製造方法が提供される。具体的には、α−オキシカルボン酸の水溶液中で紺青被覆粉体を分散してこれらを接触させる工程、前記α−オキシカルボン酸と接触させた紺青被覆粉体を被膜形成物質を含む揮発性溶媒に分散し、前記揮発性溶媒を留去して前記被膜形成物質を前記オキシカルボン酸処理紺青被覆粉体に固着させる工程を含む。前記α−オキシカルボン酸の使用量は、紺青被覆粉体に対して1〜20重量%、好ましくは2〜8重量%、更に好ましくは3〜6重量%(被覆された紺青に対しては、0.5〜110重量%、好ましくは4.0〜100重量%、更に好ましくは4.0〜85重量%)である。このα−オキシカルボン酸による処理の後に、得られたα−オキシカルボン酸処理紺青被覆粉体を含む懸濁液を水洗、ろ過する工程を含んでも良い。この水洗工程は、上澄液に紺青被覆粉体から遊離した一部の色素と、未反応のオキシカルボン酸等が存在する場合にこれらを除去するために行うものである。遊離のオキシカルボン酸を含む透明着色液が残存する場合には、後の工程で添加する被膜形成物質の付着工程で、付着の不均一化という悪影響を及ぼすので十分に行うことが好ましい。
【0023】
被膜形成物質を分散する揮発性溶媒としては、水や種々のアルコール、又はこれらの混合溶液を用いることができるが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、低沸点環状シリコーン等が被膜形成物質同士の凝集を起こさないで被覆でき、また既存設備で容易に溶媒が留去できる面から工業的に有利である。溶媒を留去する方法としては種々の条件があるが、好ましくは大気圧又は減圧下において、その溶媒の沸点付近まで加熱することにより行うことができる。
【0024】
本発明の更に別の実施形態において、本発明の安定化された高彩度紺青被覆粉体を含む化粧料が提供される。その場合、化粧料における表面処理紺青被覆粉体の使用量(配合量)については特に制限はない。例えば、パウダー状の化粧料の場合には1〜100重量%(重量%は全組成物に対する重量基準)程度配合することができる。ケーキ状の化粧料及び練物化粧料の場合には、全粉体重量の1〜100重量%程度、好ましくは1〜80重量%程度となるように配合することができる。また、乳化状化粧料の場合には全乳化物の重量組成に対し、好ましくは1〜60重量%程度、より好ましくは1〜30重量%程度、非水系化粧料の場合には、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%程度、それぞれ配合することができる。中でも、特にメークアップ化粧料、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、ネイルカラー、口紅等、スキンケア関係では、アンダーメークアップベースやカーマインローション、クリーム、乳液、化粧水当に配合するのに好適である。この化粧料には、本発明の表面処理紺青被覆パール顔料の他に、通常化粧料に用いられる他の成分を必要に応じて適宜配合することができる。例えば、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアバタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミックスパウダー等の無機粉末、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリ四弗化エチレンパウダー、ジスチレンベンゼンポリマーパウダー、エポキシパウダー、アクリルパウダー、シリコーンパウダー、微結晶性セルロース等の有機粉体、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸鉄、黄土等の無機黄色系顔料、四酸酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、群青等の無機青色系顔料、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色酸化チタン被覆雲母等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料、酸化チタン鉄ドープ、酸化亜鉛鉄ドープ等の複合着色顔料、 赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、橙色3号及び青色1号のジルコニウム、バリウム、若しくはアルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフイル、β−カロチン等の天然色素、 スクワラン、流動パラフイン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、インステアリン酸、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オイレンアルコール、2−エチルヘキサン酸セチル、バルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、オレイン酸2−オクチルドシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセリン、トリ(カプリル、カプロン酸)グリセリン、オリーブ油、アボカド油、ミツロウ、ミリスチン酸ミリスチル、ミンク油、ラノリン等の各種炭化水素、シリコーン油、高級脂肪酸、油脂類のエステル類、高級アルコール、ロウ類等の油性成分、アセトン、トルエン、酢酸ブラル、酢酸エステル等の有機溶剤等を適宜配合して使用することができる。
【0025】
アルキッド樹脂、尿素樹脂等の樹脂、カンファー、クエン酸アセトルトリブチル等の可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤等も使用することができる。
【0026】
本発明による化粧料の形態は特に限定されない。例えば、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スチック状、ペレット状、軟膏状、液状、乳液状、クリーム状等各種の形態で使用することができる。本発明の表面処理紺青被覆パール顔料は、化粧料用として特に有用なものであるが、その他インク、塗料、プラスチック等の添加剤の成分として使用することもでき、化粧料分野のみならず広く利用可能であり、工業的に極めて有用である。
【0027】
【実施例】
以下本発明を実施例に基づき説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]α−オキシカルボン酸の効果
(アルカリ溶液と試料の調製)
精製水80g中にクエン酸、酒石酸、又はリンゴ酸をそれぞれ下記表1に示した量を溶解させた溶液に紺青被覆パール顔料(商品名:コロロナダークブルー、メルク社製)5gを懸濁させ、7時間攪拌した後、ろ過、水洗、及び乾燥してα−オキシカルボン酸処理物を得た。pH9.34に調整したトリエタノールアミン(TEA)100gに上記試料各1gを添加し、攪拌しながら80℃まで昇温し、80℃に達した時点で10分間保持した。その後、30℃まで冷却し測色した。
【0029】
(測色法)
上記のようにアルカリ溶液で処理した試料溶液を50mlのねじ口瓶に移した。完全に顔料が沈降した状態にした後、上澄液は高さ3cmの透明ガラスセルに移し、黒色の容器の中に入れ、黒色のふたをして測色した。また、沈降した顔料の測色はねじ口瓶の底より光を当て測色した。乳化物に関しては高さ1.2cmのガラスセルに充填して測色した。色差は日本電子工業社製Σ90Color measuring systemを用いて行った。尚、L、a、b値はハンターの色差式における明度、色相及び彩度であって、本明細書においては、Lの数値が大きいほど明るく、aの数値がプラス側に大きいほど赤味の度合いが強く、マイナス側に大きいほど緑の度合いが強くなる。また、bの数値がプラス側に大きいほど黄色の度合いが強く、マイナス側に大きいほど青の度合いが強くなる。
【0030】
(結果)
【表1】
【0031】
表1の結果より、種々のα−オキシカルボン酸で処理した紺青被覆パール顔料は、顔料そのものの色は無処理物と比べてあまり変化はなかった。一方、上澄液の色は、無処理物が強いブリード(bleed)現象を起こし、濃い緑色を呈する(a値=−7.94)のに対し、α−オキシカルボン酸処理物は非常に淡い緑色又は黄緑色であった。その度合いは目視でも明快に差異が認められた。従って、α−オキシカルボン酸処理は顔料色を変えず、紺青のブリード現象を抑える効果が認められた。
【0032】
[実施例2]被膜形成物質の効果
精製水400g中にクエン酸1.0gを溶解させた溶液に無処理の紺青被覆パール顔料(商品名:コロロナダークブルー、メルク社製)25gを懸濁させ、7時間攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥してα−オキシカルボン酸処理物を得た。
【0033】
メタノール150g中にユカフォーマーR205S(三菱化学社製)0.2g(固形分0.06g)を溶解させた後、α−オキシカルボン酸処理紺青被覆パール顔料5gをいれて15分間攪拌した。その後、昇温して55〜63℃でメタノールを留去し、更に60℃で乾燥し、完全にメタノールを除去し、表面処理紺青被覆パール顔料を得た。
【0034】
これらの無処理又は表面処理した紺青被覆パール顔料を用いて、実施例1と同様の方法により測色した結果を表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】
紺青のブリードは実施例1と同程度であったが、顔料色は非常に鮮やかな若干紫味を帯びた青色を示した。即ち、ユカフォーマーを0.1g添加しただけで顔料のb値が無処理顔料に比べて約14.5マイナス側にシフトしており、黄色の補色である青色が強くなっていることが分かる。これらの結果より、紺青被覆パール顔料に対して固形分として0.6重量%程度あれば高彩度の表面処理紺青被覆パール顔料が得られることが分かった。
【0037】
[実施例3]表面処理の順序とその効果の比較
(方法A)
精製水400g中にクエン酸1.0gを溶解させた溶液に、無処理の紺青被覆パール顔料(商品名:コロロナダークブルー、メルク社製)50gを分散、懸濁させ、常温で7時間攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥してα−オキシカルボン酸処理物を得た。メタノール320g中にユカフォーマーR205S(三菱化学社製)2.0g(固形分として0.6g)を溶解させた後、上記α−オキシカルボン酸処理物47.9gを加えて懸濁させ、15分間攪拌した。その後、昇温して55〜63℃でメタノールを留去した後、60℃で乾燥し、完全にメタノールを除去し、クエン酸−メタクリル酸アルキルエステル処理紺青被覆パール顔料を得た。
【0038】
(方法B)
メタノール320g中にユカフォーマーR205S(三菱化学社製)2.0g(固形分として0.6g)を溶解させた中に、無処理の紺青被覆パール顔料(商品名:コロロナダークブルー、メルク社製)47.9gを加えて懸濁させ、15分間攪拌した。その後、昇温して55〜63℃でメタノールを留去した後、60℃で乾燥し、メタクリル酸アルキルエステル被覆紺青パール顔料を得た。このメタクリル酸アルキルエステル被覆紺青パール顔料を、精製水400g中にクエン酸1.0gを溶解させた溶液に懸濁させ、常温で7時間攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥してメタクリル酸アルキルエステル−クエン酸被覆紺青パール顔料を得た。これらの表面処理方法の順を変えた紺青被覆パール顔料を用いて、実施例1と同様の方法により測色した結果を表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】
表3の結果より、方法Bでは上澄液のブリード現象が強くみられる(a値=−2.28)と同時に顔料色の発色も悪い(b値=−33.91)のに対し、方法Aの場合は上澄液のブリード現象が抑えられ(a値=0.40)、顔料色の発色も良い(b値=−40.30)ことが分かる。
【0041】
[実施例4]表面処理に用いる種々のカルボン酸の比較
実施例3の方法Aと同様の方法により、クエン酸の代わりに酢酸、又はギ酸を用いてカルボン酸−メタクリル酸アルキルエステル処理紺青被覆パール顔料を調製し、実施例1と同様の方法により測色した結果を表4に示した。
【0042】
【表4】
【0043】
α−オキシカルボン酸であるクエン酸処理したものは、酢酸やギ酸処理物と比べて上澄液のブリード現象についてはほとんど相違なかった。しかし、顔料の発色性(b値)は明らかにクエン酸処理が優れていた。クエン酸処理物と酸処理なし(メタクリル酸アルキルエステル処理のみ)とを比較すると、被膜形成物質でのみ処理したもの(酸処理なし)はブリード抑制作用はあるが、発色性が悪い事が分かる。
【0044】
[実施例5]
精製水400gにクエン酸0.5gを溶解させた中に、紺青被覆パール顔料(メルク社製、商品名:コロロナダークブルー、組成:紺青4.7%、酸化チタン43.9%、白雲母51.4%)25gを懸濁させ、その懸濁液を常温にて7時間攪拌した。その後、ろ過、水洗し得られた固形物(α−オキシカルボン酸処理紺青被覆パール顔料)を乾燥した。乾燥した固形分24gを、メタノール160g中にユカフォーマーR205S(固形分30%、三菱化学社製)1.0gを溶解させたメタノール溶液に懸濁させた。次いで、この懸濁液を55〜63℃に加温しメタノールを留去し、表面処理紺青被覆パール顔料を得た。
【0045】
[実施例6]
下記表5に示した油相及び水相成分をそれぞれよく混合し、中和剤KOHを用いて乳液を製造し、未処理の紺青被覆パール顔料(メルク社製、商品名:コロロナダークブルー)と実施例5で表面処理した紺青被覆パール顔料を比較した。
【0046】
【表5】
【0047】
上記のように調製した乳化物は、高さ1.2cmのガラスセルに充填し、実施例1と同様の方法により測色した。その結果を表4に示した。
【0048】
(測色値)
【表6】
【0049】
表6に示したように、本発明の表面処理紺青被覆パール顔料を添加した乳液は明度が低く、青味が強く感じられる(b値のマイナス値が大きく青味が強いことを示している)のに対し、未処理紺青被覆パール顔料を用いた場合には緑味が強く感じられた。
【0050】
[実施例7]
下記表7に示した油相及び水相成分をそれぞれよく混合し、中和剤としてトリエタノールアミン(TEA)を用いてクリームを製造し、未処理の紺青被覆パール顔料(メルク社製、商品名:コロロナダークブルー)と実施例5で表面処理した紺青被覆パール顔料を比較した。
【0051】
【表7】
【0052】
上記のように調製した乳化物は、高さ1.2cmのガラスセルに充填し、実施例1と同様の方法により測色した。その結果を表8に示した。
【0053】
(測色値)
【表8】
【0054】
表8に示したように、本発明の表面処理紺青被覆パール顔料を添加したクリームは明度が低く、青味が強く感じられる(b値のマイナス値が大きく青味が強いことを示している)のに対し、未処理紺青被覆パール顔料を用いた場合には緑味が強く感じられた。
【0055】
[実施例8]安定性試験
実施例6及び実施例7の方法に従って、実施例4で調製したクエン酸処理及び酸処理なしのメタクリル酸アルキルエステル処理紺青被覆パール顔料を用いて乳液及びクリームをそれぞれ調製し(各パール顔料の濃度は1.0%とした。)、50℃、1ヶ月放置した場合の色の変化を測定した結果を表9に示した。
【0056】
【表9】
【0057】
表9に示した結果より、乳液、及びクリームの何れについても酸処理なしの場合は50℃、1ヶ月経過後の色調の変化が大きく(b値が大きく変化)、保存安定性に欠けることが分かる。これに対し、クエン酸処理した場合には50℃、1ヶ月経過後でも色調にほとんど変化なく、きわめて安定であることが分かった。
【0058】
【発明の効果】
本発明の表面処理紺青被覆粉体は、アルカリ性条件下でも紺青特有の青色が退色したり失色することなく極めて安定である。更に、従来の紺青被覆粉体、例えば、紺青被覆パール顔料に比べて鮮やかな発色性を示す高彩度の顔料が得られる。また、本発明の製造方法によれば、上記安定化された高彩度の紺青被覆粉体を極めて簡便に製造することができ、化粧料のみならず種々の工業的材料として利用できる。
Claims (11)
- 紺青被覆粉体を、α−オキシカルボン酸及び被膜形成物質の何れか又は両方で処理したことを特徴とする表面処理粉体。
- 紺青被覆粉体の表面に、α−オキシカルボン酸と被膜形成物質とを結合又は吸着させたことを特徴とする表面処理粉体。
- 前記紺青被覆粉体の基材が、粘土鉱物、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、フッ化マグネシウム、及びそれらの表面を金属酸化物、金属水酸化物、塩基性炭酸鉛、又はオキシ塩化ビスマスで被覆した複合材料から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の表面処理粉体。
- 前記紺青被覆粉体の基材がパール顔料である請求項1又は2に記載の表面処理粉体。
- 前記α−オキシカルボン酸が、グリコール酸、グリセリン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸、α−オキシ酪酸、及びサリチル酸からなる群より選択される少なくとも1つである請求項1〜4何れか一項に記載の表面処理粉体。
- 前記被膜形成物質が、ポリビニルピロリドン、又はカルボン酸若しくはその誘導体を含むモノマーから構成される重合体若しくは共重合体である請求項1〜5何れか一項に記載の表面処理粉体。
- (a)紺青被覆粉体と、α−オキシカルボン酸とを接触させる工程、及び
(b)紺青被覆粉体の表面に被膜形成物質を吸着させる工程、
を含むことを特徴とする表面処理粉体の製造方法。 - 前記工程(a)が、α−オキシカルボン酸溶液中で紺青被覆粉体を分散し、前記α−オキシカルボン酸を前記紺青被覆粉体表面の少なくとも一部に結合又は吸着させることである請求項7に記載の方法。
- 前記工程(b)が、紺青被覆粉体を被膜形成物質を含む揮発性溶媒に分散し、前記揮発性溶媒を留去して前記被膜形成物質を紺青被覆粉体の表面に吸着させることである請求項7又は8に記載の方法。
- 紺青被覆パール顔料と、α−オキシカルボン酸とを接触させる工程、及び前記α−オキシカルボン酸と接触させたパール顔料の表面に被膜形成物質を吸着させる工程を含むことを特徴とする表面処理パール顔料の製造方法。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載の表面処理粉体を含むことを特徴とする化粧料。
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