JP2004091143A - 作業機械の運転装置 - Google Patents

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JP2004091143A JP2002255424A JP2002255424A JP2004091143A JP 2004091143 A JP2004091143 A JP 2004091143A JP 2002255424 A JP2002255424 A JP 2002255424A JP 2002255424 A JP2002255424 A JP 2002255424A JP 2004091143 A JP2004091143 A JP 2004091143A
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引地 巧
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Abstract

【課題】クレーン等の作業機械の運転室に設けられた運転席21の背面シート23と操作手段24を、両者の位置関係を保ったまま、作業ポイントの上下移動に応じて自動的に傾動させる。
【解決手段】運転席21の背面シート23と操作手段24を連動機構33によって連結し、これらを揚程検出手段25によって検出される吊荷の高さ位置に応じて、電動機27によって自動的にかつ連動して傾動させるようにした。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクレーンや解体機のように作業ポイントが上下に移動する作業機械の運転装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クレーンを例にとって従来の技術を説明する。
【0003】
図7において、1はクローラ式の下部走行体2と上部旋回体3によって構成されるベースマシンで、このベースマシン1の上部旋回体3にブーム4,このブーム4の先端にジブ5がそれぞれ起伏自在に取付けられ、ジブ5の先端に巻上ロープ6によって吊りフック7が吊持される。
【0004】
巻上ロープ6は、上部旋回体3に搭載された巻上ウィンチ8によって巻上/巻下駆動され、この巻上ロープ6の巻上/巻下作用と、図示しない起伏ウィンチによるブーム4及びジブ5(ジブ固定式のものではブーム4のみ、ブーム固定式のものではジブ5のみ)の起伏作用とによって吊荷Wの上げ下ろしが行われる。
【0005】
9は上部旋回体3に設けられた運転室で、図8に示すようにこの運転室9内に運転席10と、この運転席10に座ったオペレータによって操作される操作手段11が設けられている。
【0006】
この操作手段11は、図では模式的に1本のレバーとして示しているが、実際には複数本のレバーがレバースタンドに取付けられて成り、この操作手段11によって巻上、ブーム起伏等の各クレーン動作が行われる。
【0007】
図8中、12は運転席10の座面シート、13は同背面シート(背もたれ)、14は操作手段11の操作力を図示しないコントロールバルブに伝えるバルブ連結ロッドである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなクレーンによる吊り作業では、吊荷Wの位置(作業ポイント)が高い位置にあって、しかも上下移動するため、運転室9内のオペレータの視線もこの作業ポイントを追って上向きでかつ上下移動する。
【0009】
一方、ベースマシンにブーム、このブームの先端にアーム、このアームの先端に開閉式のクランプをそれぞれ取付けて構成される解体機においても、ビル解体のような高所作業が多く、作業ポイント(クランプ位置)が高い位置で上下移動する点は同じである。
【0010】
ところが、従来の作業機械においては、運転席10をオペレータの好み等に応じて垂直に上下移動させたり前後移動させたりするものはあるが、運転席10の傾きは一定であるため、図8に示すようにオペレータは運転席10に座ったまま頭だけを上に向けた無理な姿勢で作業しなければならない。このため、オペレータの疲労が激しいとともに作業性が悪くなる。
【0011】
また、オペレータの上体がのけ反った状態となるのに対し、操作手段11の傾きが一定のため、オペレータと操作手段11の位置関係にずれが生じて操作し辛くなり、操作性も悪くなるという問題があった。
【0012】
なお、運転席10(とくに背面シート13)をリクライニング式に構成すること、及び操作手段11を水平軸まわりに傾動可能に構成することは可能であるが、運転席10と操作手段11の位置関係のずれは解消できないし、作業ポイントが移動するたびに運転席10と操作手段11の傾きを調整し直すことは面倒過ぎて現実的でない。
【0013】
そこで本発明は、運転席と操作手段を、両者の位置関係を保ったまま同時に傾動させることができる作業機械の運転装置を提供するものである。
【0014】
また本発明は、少なくとも運転席の背面シートの傾きを作業ポイントの上下移動に応じて自動的に調整することができる作業機械の運転装置を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、背面シート及び座面シートを備えた運転席と、作業用アクチュエータを操作する操作手段とが設けられ、上記運転席は少なくとも背面シートが可動部分となり、この運転席可動部分と上記操作手段が、それぞれ運転席に着座した状態での左右方向の水平軸を中心に連動して傾動し得るように構成されたものである。
【0016】
この構成によると、運転席の可動部分(少なくとも背面シート)と操作手段が連動して傾動するため、これらを別々に傾き調整する場合と比較して、作業ポイントの上下移動等に応じた両者の傾き調整を両者同時に簡単に、しかも互いの位置関係を保ったまま行うことができる。
【0017】
請求項2の発明は、背面シートと座面シートを有する運転席を備え、この運転席は、少なくとも上記背面シートが可動部分として運転席から見て左右方向の水平軸を中心として傾動可能に支持され、かつ、上記運転席可動部分の傾動駆動源としての傾動アクチュエータと、上記運転席から見た作業ポイントの高さ位置を検出する作業ポイント検出手段と、この作業ポイント検出手段によって検出された作業ポイントの高さ位置に応じて上記運転席可動部分の傾斜角度が変化するように上記傾動アクチュエータを制御する制御手段とが設けられたものである。
【0018】
この構成によると、運転席の可動部分(少なくとも背面シート)が作業ポイントの上下移動に応じて自動的に傾動するため、作業ポイントが移動するたびに手動で傾き調整する手間と時間を無くし、とくに作業ポイントの移動が激しい作業時の作業性を向上させることができる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、作業用アクチュエータを操作する操作手段が運転席可動部分と連動して傾動し得るように構成されたものである。
【0020】
この構成によると、運転席可動部分と操作手段の双方の傾きを自動で調整することができるため、手動での傾き調整が一切不要となり、作業性をより向上させることができる。また、請求項1同様、両者を連動して傾動させるため、両者の位置関係を保つことができる。
【0021】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、運転席可動部分に連動して操作手段を傾動させる連動機構が設けられたものである。
【0022】
この構成によると、傾動アクチュエータが一つですむため、設備コストが安くてすみ、かつ、別々の傾動アクチュエータで別個に傾動させる場合のような同調崩れ(両者の位置関係の大きな狂い)が生じるおそれがない。
【0023】
請求項5の発明は、請求項4の構成において、連動機構は、傾動アクチュエータから操作手段への傾動駆動力の伝達を遮断する遮断機構を有するものである。
【0024】
この構成によると、遮断機構によって運転席可動部分と操作手段の連動を解除できるため、たとえば作業に先立って運転席可動部分に対する操作手段の位置(傾き)関係をオペレータの好みや体型等に応じて任意に調整することができる。
【0025】
請求項6の発明は、請求項3の構成において、運転席の可動部分を傾動駆動する運転席用傾動アクチュエータと、操作手段を傾動駆動する操作手段用傾動アクチュエータとが設けられ、この両傾動アクチュエータが連動して作動するように構成されたものである。
【0026】
この構成によると、運転席可動部分と操作手段が別々の傾動アクチュエータにより連動して駆動されるため、請求項4,5のように連動機構を用いる場合と比較して、設備が小形で、占有スペースが小さくてすむ。
【0027】
請求項7の発明は、請求項2乃至6のいずれかの構成において、傾動対象物の最大傾動量を規制するストッパが設けられたものである。
【0028】
この構成によると、傾動対象物(運転席可動部分またはこれと操作手段)の最大傾動量がストッパによって規制されるため、対象物が過度に傾いて、却って作業性が悪くなったり、足踏みペダルを操作し辛くなったりすることを防止できる。
【0029】
請求項8の発明は、請求項2乃至7のいずれかの構成において、作業ポイント検出手段として、クレーンにおける吊りフックの巻上量を検出する手段が設けられたものである。
【0030】
この構成によると、巻上ウィンチを多用して吊りフックを上下させるクレーン作業時に、作業ポイントを正確に検出することができる。
【0031】
請求項9の発明は、請求項2乃至7のいずれかの構成において、作業ポイント検出手段として、作業腕を備えた作業機械における上記作業腕の角度を検出する手段が設けられたものである。
【0032】
この構成によると、ブームやジブ(クレーンの場合)、アーム(解体機等の場合)といった作業腕を備えた作業機械において、作業腕の起伏を多用する作業時作業ポイントを正確に検出することができる。
【0033】
請求項10の発明は、請求項2乃至7のいずれかの構成において、作業ポイント検出手段として、作業ポイントを決定する複数種類の要素を別々に検出する検出手段が設けられ、かつ、この各検出手段のいずれか一つからの検出信号を選択する検出信号選択手段が設けられたものである。
【0034】
たとえばクレーンにおいて、作業ポイントである吊荷の高さ位置は、巻上ウィンチによる吊荷(吊りフック)の巻上作用とブーム起伏作用によって変化するため、作業ポイントを検出するためには、巻上ウィンチの巻上量とブーム角度のいずれかを検出する必要がある。
【0035】
一方、ビル建設現場の最上階部分に対して荷の上げ下ろしを行う場合のように、ブーム角度は殆ど変化させずに旋回機能と吊りフックの巻上/巻下機能のみを用いてクレーン作業を行う場合もあれば、逆に作業腕の起伏を多用して作業を行う場合もある。
【0036】
請求項10の構成によると、このような場合に、多用される方の検出信号を選択することにより、作業ポイントを正確に検出することができる。
【0037】
請求項11の発明は、請求項2乃至10のいずれかの構成において、傾動対象物の自動傾動作用を解除する自動傾動解除手段が設けられたものである。
【0038】
この構成によると、作業ポイントの変化に応じた傾き調整を必要としない作業時、またはオペレータの好みに応じて自動傾動作用を解除することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1〜図6によって説明する。この実施形態ではクレーンの運転装置を適用対象として例にとっている。
【0040】
第1実施形態(図1,2参照)
両図において、21は座面シート22と背面シート23を備えた運転席、24は操作手段である。
【0041】
この実施形態では、運転席21のうち背面シート23のみを可動部分として自動傾動させ、かつ、これに連動して操作手段24も自動傾動させる構成をとっている。
【0042】
この自動傾動のための制御・駆動系として、吊りフックの巻上量を検出する揚程検出手段25と、制御手段としての演算手段26と、傾動アクチュエータとしての電動機(サーボモータまたはステッピングモータ)27が設けられている。
【0043】
揚程検出手段25は、図7の巻上ウィンチ8に対する巻上ロープ6の繰り出し量をエンコーダ等で検出する構成のもの、または巻上ウィンチ8のドラム回転量を検出する構成のもの等が用いられ、この揚程検出手段25によって揚程(吊りフック7の高さ位置)が検出される。
【0044】
演算手段26は、揚程検出手段25からの信号に基づいて揚程を求め、背面シート23及び操作手段24の傾きがこの揚程に応じた大きさとなるように電動機27に正逆転駆動信号を送る。
【0045】
これにより電動機27が正方向または逆方向に回転し、この回転力が背面シート23に傾動駆動力として伝えられて同シート23が支軸(運転席21に着座した状態での左右方向の水平軸)28まわりに俯方向または仰方向に傾動する。
【0046】
この電動機27と背面シート23の間の駆動力伝達構造としては、たとえば支軸28の外周に駆動歯車と被動歯車を同心配置で設け、駆動歯車を電動機27の回転軸に、被動歯車を支軸28にそれぞれ連結する構成をとることができる。あるいは、電動機27の回転軸に駆動歯車、支軸28に被動歯車をそれぞれ設け、これらを径方向に噛合させる構成をとってもよい。
【0047】
一方、背面シート23の傾動力を操作手段24に伝える連動機構として、支軸28を中心として前後方向に回動する背面リンク29と、この背面リンク29と操作手段24とを連結する中間リンク30と、この中間リンク30の回動運動を規制する揺動リンク31と、操作手段24の操作力を図示しないコントロールバルブに伝えるバルブ連結ロッド32とを備えたリンク機構33が設けられている。
【0048】
背面リンク29は、中間上部が支軸28に取付けられ、上端部が取付ピン34によって背面シート23に取付けられることにより、背面シート23と一体に回動する。
【0049】
なお、図1に示すように、背面シート23には、取付ピン34が挿入されるピン穴35が支軸28を中心とする円弧上に複数個(図例では3個)、間隔を置いて設けられ、このピン穴35…の選択により、オペレータの好みや体型に応じて背面シート23の傾きを複数段階(同イ,ロ,ハの3段階)に調整できるようになっている。
【0050】
中間リンク30は、後端部が背面リンク29の下端部に、前端部が操作手段24の下端部にそれぞれ連結ピン36,37によって連結されている。
【0051】
また、揺動リンク31は、上端部が座面シート22(他の固定部分でもよい)に、下端部が中間リンク30にそれぞれ上部及び下部連結ピン38,39によって取付けられ、上部連結ピン38を中心として前後に揺動する。
【0052】
バルブ連結ロッド32は、前端部が操作手段24のレバー中間部に連結ピン40によって連結され、後端部がコントロールバルブにバルブ連動機構(いずれも図示しない)を介して連結されている。
【0053】
この連動機構33の作用を含めたこの運転装置の作用を説明する。
【0054】
作業中、揚程検出手段25からの信号に基づく演算手段26からの信号によって電動機27が回転すると、この回転力が支軸28に伝えられて、背面シート23がたとえば図2に示すように後方(仰方向)に傾動する。
【0055】
このとき、背面リンク29が支軸28を中心として背面シート23と一体に傾動し、この背面リンク29の傾動運動によって中間リンク30が前方に押される。
【0056】
この場合、中間リンク30は、揺動リンク31によって運動が規制されるため、図示のように前上がりに回動し、この中間リンク30の運動により、操作手段24が押し上げられながらバルブ連結ロッド32との連結ピン40を中心に後向きに傾動する。
【0057】
なお、背面シート23が図2と逆に前方(俯方向)に傾動すると、中間リンク30も逆方向に回動して操作手段24が前向きに傾動する。
【0058】
こうして、作業ポイントの上下移動に応じて背面シート23と操作手段24が連動して(一体に)傾動し、それぞれ作業ポイントに合った傾きに自動的に調整される。
【0059】
このため、作業ポイントが高い位置にある場合に、頭だけ傾けた無理な姿勢で操作手段24を操作する場合と比較して、作業性と安全性を向上させ、かつ、オペレータの疲労を軽減することができる。しかも、自動調整のため、作業ポイントが移動するたびに背面シート23及び操作手段24を手動で調整する煩わしさがない。
【0060】
加えて、背面シート23と操作手段24が一体に傾動するため、両者の位置関係を常に一定に保つことができる。
【0061】
さらに、一つの電動機27で背面シート23と操作手段24を傾動させるため、これらを別々の電動機で傾動させる場合と比較して、電動機が一つですみ、設備コストが安くてすむとともに、同調崩れによる両者の位置関係の大きな狂いが生じるおそれがない。
【0062】
なお、背面リンク29と中間リンク30を連結する連結ピン36は、両者間の連動を遮断する遮断機構としての役割を有し、同ピン36を抜くことによって操作手段24を背面シート23に対してフリーにすることができる。
【0063】
これにより、たとえば作業に先立って、オペレータの好みや体型に応じて背面シート23に対する操作手段24の位置関係を任意に手動調整することができる。
【0064】
また、図2に示すように、バルブ連結ロッド32の上方への最大移動量を規制するストッパ41を設け、このストッパ41によって背面シート23及び操作手段24の後方(仰方向)への最大傾動量を規制するのが望ましい。
【0065】
こうすれば、背面シート23及び操作手段24が過度に傾いて、却って作業性が悪くなったり運転席近くの足踏みペダルを操作し辛くなったりすることを防止できる。
【0066】
他の実施形態
(1)上記実施形態では、揚程検出手段25により、巻上ウィンチによる吊りフックの巻上量を検出する構成をとったが、クレーンの場合、ブーム角度によっても作業ポイントが上下移動するため、ブーム起伏が多用される場合には、図3に示すようにブーム角度検出手段42によってブーム角度を検出し、この検出されたブーム角度に基づいて演算手段26で作業ポイントを求めるようにしてもよい。
【0067】
(2)クレーンの場合、作業の種類や内容によって、巻上ウィンチを多用する場合とブーム起伏を多用する場合とがある。
【0068】
そこで、図4に示すように、揚程検出手段25とブーム角度検出手段42の双方を設け、多用される方の信号を検出信号選択手段としての切換スイッチ43で選択して演算手段26に入力し、この選択された信号に基づいて作業ポイントの高さ位置を演算するようにしてもよい。
【0069】
こうすれば、巻上ウィンチを多用する作業とブーム起伏を多用する作業とに応じて、またこれらの作業の切換時に、作業ポイントを正確に検出して適切な傾動制御作用を行うことができる。
【0070】
(4)上記実施形態では、一つの電動機27で背面シート23と操作手段24の双方を傾動駆動する構成をとったが、図5(ここでは図4の実施形態を前提とした場合を例示している)に示すように背面シート用と操作手段用の二つの電動機44,45で背面シート23と操作手段24を別々に傾動駆動する構成としてもよい。
【0071】
この場合、背面シート23と操作手段24の位置関係が大きくずれないように、両電動機44,45を連動して回転させる手段を講じるのが望ましい。また、この構成をとる場合は、図1,2の連動機構33は不要となり、電動機44,45の回転力を背面シート23及び操作手段24に傾動力として伝える機構を両者別々に設けることとなる。
【0072】
(5)図6(ここでは図4の実施形態を前提とした場合を例示している)に示すように、演算手段26と電動機27との間(演算手段26の入力側でもよい)に自動傾動解除スイッチ46を設け、同スイッチ46により電動機27の回転を停止させるようにしてもよい。
【0073】
こうすれば、作業ポイントの変化に応じた背面シート23や操作手段24の傾動を必要としない作業時やオペレータの好みに応じて自動傾動作用を任意に解除できる。
【0074】
(6)傾動アクチュエータとして、上記実施形態で挙げた電動機27,44,45に代えて油圧モータまたは油圧シリンダを用いてもよい。
【0075】
(7)上記実施形態では、運転席21のうちの背面シート21のみを可動部分として、作業ポイントの上下移動に応じて傾動させる構成をとったが、座面シート22を含めて運転席21全体を可動部分として傾動させるようにしてもよい。
【0076】
(8)上記実施形態では背面シート23及び操作手段24の双方を作業ポイントの上下移動に応じて自動傾動させる構成をとったが、背面シート23のみ、または同シート23を含む運転席21のみを自動傾動させるようにしてもよい。
【0077】
(9)背面シート23(またはこれを含む運転席21)と操作手段24を、傾動アクチュエータを用いずに手動で連動して傾動させるように構成してもよい。
【0078】
(10)本発明はクレーンに限らず、作業ポイントが上下移動し、かつ、これに伴って運転席21や操作手段24を傾動させるのが望ましい作業機械全般(他の例として解体機)に適用することができる。
【0079】
また、解体機に適用する場合、作業ポイント検出手段として、作業腕の一つであるアームの角度を検出する手段を用いてもよい。
【0080】
【発明の効果】
上記のように請求項1の発明によると、運転席の可動部分(少なくとも背面シート)と操作手段を連動して傾動させる構成としたから、これらを別々に傾き調整する場合と比較して、作業ポイントの上下移動等に応じた両者の傾き調整を両者同時に簡単に、しかも互いの位置関係を保ったまま行うことができる。
【0081】
請求項2〜11の発明によると、運転席の可動部分(少なくとも背面シート)を作業ポイントの上下移動に応じて自動的に傾動させるため、作業ポイントが移動するたびに手動で傾き調整する手間と時間を無くし、とくに作業ポイントの移動が激しい作業時の作業性を向上させることができる。
【0082】
この場合、請求項3の発明によると、運転席可動部分と操作手段の双方の傾きを自動で調整することができるため、手動での傾き調整が一切不要となり、作業性をより向上させることができる。また、請求項1同様、両者を連動して傾動させるため、両者の位置関係を保つことができる。
【0083】
また、請求項4の発明によると、傾動アクチュエータが一つですむため、設備コストが安くてすみ、かつ、別々の傾動アクチュエータで別個に傾動させる場合のような同調崩れ(両者の位置関係の大きな狂い)が生じるおそれがない。
【0084】
請求項5の発明によると、遮断機構によって運転席可動部分と操作手段の連動を解除できるため、たとえば作業に先立って運転席可動部分に対する操作手段の位置関係をオペレータの好みや体型等に応じて任意に調整することができる。
【0085】
請求項6の発明によると、運転席可動部分と操作手段を別々の傾動アクチュエータにより連動して駆動するため、請求項4,5のように連動機構を用いる場合と比較して、設備が小形で、占有スペースが小さくてすむ。
【0086】
請求項7の発明によると、傾動対象物(運転席可動部分またはこれと操作手段)の最大傾動量がストッパによって規制されるため、対象物が過度に傾いて、却って作業性が悪くなったり、足踏みペダルを操作し辛くなったりすることを防止できる。
【0087】
請求項8の発明によると、巻上ウィンチを多用して吊りフックを上下させるクレーン作業時に、作業ポイントを正確に検出することができる。
【0088】
これに対し、請求項9の発明によると、ブームやジブ、アーム等の作業腕を備えた作業機械において、作業腕の起伏を多用する作業時に、作業ポイントを正確に検出することができる。
【0089】
請求項10の発明によると、作業ポイントを決定する要素が複数種類ある場合に、信号選択手段によって適切な信号を選択することにより、運転席可動部分またはこれと操作手段の傾きを実際の作業ポイントの変化に即応して正確に自動調整することができる。
【0090】
請求項11の発明によると、作業ポイントの変化に応じた傾き調整を必要としない作業時、またはオペレータの好みに応じて自動傾動作用を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる運転装置の全体構成を示す図である。
【図2】同装置の運転席まわりの拡大図である。
【図3】本発明の他の実施形態の1を示すブロック構成図である。
【図4】本発明の他の実施形態の2を示すブロック構成図である。
【図5】本発明の他の実施形態の3を示すブロック構成図である。
【図6】本発明の他の実施形態の4を示すブロック構成図である。
【図7】本発明の適用例であるクレーンの概略側面図である。
【図8】同クレーンの運転席まわりを示す図である。
【符号の説明】
21 運転席
22 運転席の座面シート
23 運転席の可動部分としての背面シート
24 操作手段
25 揚程検出手段(作業ポイント検出手段)
26 制御手段としての演算手段
27 傾動アクチュエータとしての電動機
28 背面シートの傾動中心となる支軸
33 連動機構
29 連動機構を構成する背面リンク
30 同中間リンク
31 同揺動リンク
32 同バルブ連結ロッド
34,37,40 リンク同士またはリンクとロッドを連結するピン
36 リンク同士を連結しかつ遮断機構となるピン
41 ストッパ
42 ブーム角度検出手段(作業ポイント検出手段)
43 切換スイッチ(検出信号選択手段)
44,45 傾動アクチュエータとしての電動機
46 自動傾動解除手段としての自動傾動解除スイッチ

Claims (11)

  1. 背面シート及び座面シートを備えた運転席と、作業用アクチュエータを操作する操作手段とが設けられ、上記運転席は少なくとも背面シートが可動部分となり、この運転席可動部分と上記操作手段が、それぞれ運転席に着座した状態での左右方向の水平軸を中心に連動して傾動し得るように構成されたことを特徴とする作業機械の運転装置。
  2. 背面シートと座面シートを有する運転席を備え、この運転席は、少なくとも上記背面シートが可動部分として運転席から見て左右方向の水平軸を中心として傾動可能に支持され、かつ、上記運転席可動部分の傾動駆動源としての傾動アクチュエータと、上記運転席から見た作業ポイントの高さ位置を検出する作業ポイント検出手段と、この作業ポイント検出手段によって検出された作業ポイントの高さ位置に応じて上記運転席可動部分の傾斜角度が変化するように上記傾動アクチュエータを制御する制御手段とが設けられたことを特徴とする作業機械の運転装置。
  3. 請求項2記載の作業機械の運転装置において、作業用アクチュエータを操作する操作手段が運転席可動部分と連動して傾動し得るように構成されたことを特徴とする作業機械の運転装置。
  4. 運転席可動部分に連動して操作手段を傾動させる連動機構が設けられたことを特徴とする請求項3記載の作業機械の運転装置。
  5. 請求項4記載の作業機械の運転装置において、連動機構は、傾動アクチュエータから操作手段への傾動駆動力の伝達を遮断する遮断機構を有することを特徴とする作業機械の運転装置。
  6. 請求項3記載の作業機械の運転装置において、運転席の可動部分を傾動駆動する運転席用傾動アクチュエータと、操作手段を傾動駆動する操作手段用傾動アクチュエータとが設けられ、この両傾動アクチュエータが連動して作動するように構成されたことを特徴とする作業機械の運転装置。
  7. 請求項2乃至6のいずれかに記載の作業機械の運転装置において、傾動対象物の最大傾動量を規制するストッパが設けられたことを特徴とする作業機械の運転装置。
  8. 請求項2乃至7のいずれかに記載の作業機械の運転装置において、作業ポイント検出手段として、クレーンにおける吊りフックの巻上量を検出する手段が設けられたことを特徴とする作業機械の運転装置。
  9. 請求項2乃至7のいずれかに記載の作業機械の運転装置において、作業ポイント検出手段として、作業腕を備えた作業機械における上記作業腕の角度を検出する手段が設けられたことを特徴とする作業機械の運転装置。
  10. 請求項2乃至7のいずれかに記載の作業機械の運転装置において、作業ポイント検出手段として、作業ポイントを決定する複数種類の要素を別々に検出する検出手段が設けられ、かつ、この各検出手段のいずれか一つからの検出信号を選択する検出信号選択手段が設けられたことを特徴とする作業機械の運転装置。
  11. 請求項2乃至10のいずれかに記載の作業機械の運転装置において、傾動対象物の自動傾動作用を解除する自動傾動解除手段が設けられたことを特徴とする作業機械の運転装置。
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