JP2004090777A - 航空機用空調システム - Google Patents

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Abstract

【課題】コンデンサにおいて、エンジン抽気によって加熱することなしに、氷結で流路が塞がれることを防止できる航空機用空調システムの提供。
【解決手段】コンプレッサ1と、その圧縮された抽気から水分を分離するウォータエキストラクタ7と、その水分を分離された抽気を膨張させることで低温空気とする膨張タービン8とを備え、ウォータエキストラクタ7の手前で抽気流路を流れる抽気を冷却する冷却手段として、そのコンプレッサ1と膨張タービン8との間の流路を流れる高温のエンジン抽気と膨張タービン8の出口から導入される低温空気との間で熱交換を行わせるコンデンサ6を有しており、低温空気が膨張タービン8の出口から流れ出る際、膨張タービン8の出口からコンデンサ6の入口との間に配置した旋回流発生手段15による遠心力で分離された氷結水分により、二重管16に導かれた電子機器13の冷却用冷媒と熱交換する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機用の空調システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機の空調システムにおいて空気中に含まれている水分を除去する方式として、高圧除湿方式と低圧除湿方式の2種類がある。
【0003】
図2に示す従来の高圧除湿方式の空調システムは、コンプレッサ101により圧縮したエンジン102からの抽気を、ラムエア熱交換器103におけるラム空気との熱交換により冷却し、その冷却した抽気をリヒータ105における熱交換によりさらに冷却した後に、コンデンサ106でその低温側通路を通過する低温空気と熱交換により冷却することで、その抽気中の水分を露点以下に冷却し、その水分をウォータエキストラクタ107において遠心力を利用して分離している。その水分を分離された抽気をリヒータ105における水分分離前の抽気の冷却に用いた後、膨張タービン108において膨張させることで低温空気とする。この低温空気を上述したコンデンサ106の低温側通路を通過させ、エンジン抽気の冷却に用いた後、液冷熱交換器112を通過させて航空機のキャビンに送り出している。この液冷熱交換器112には、電子機器113を冷却する冷媒がポンプ114によって循環しており、熱交換が行われる。
【0004】
なお、エンジン抽気が膨張して膨張タービン108を回転させることで、回転軸Sを介してコンプレッサ101の駆動力としても作用している。
【0005】
上記高圧除湿方式によれば、膨張タービン108の上流でエンジン抽気の除湿を行うことで、膨張タービン108の出口温度を低圧除湿方式よりも下げ、キャビン等へ供給する空気を低温にできる。その膨張タービン108の出口における空気温度を低くすることで、同じ冷房能力を達成するために必要な抽気流量を低減できるので、空調システムを作動させるために必要な燃料の消費量を低減できる。
【0006】
ところが、高圧除湿方式の空調システムにおいて、ウォータエキストラクタ107を通過した後の抽気中に残留する水分がコンデンサ106において氷結して抽気流路を塞ぐことにより、十分に低温空気をキャビン等へ供給できなくなる惧れがある。そこで、例えば、高温のエンジン抽気の一部を膨張タービン108の下流に、図2に記載されたようなホットバー109をコンデンサ106の低温空気流路の入口側に設け、高温のエンジン抽気の一部を通過させることで、熱交換により、低温空気の温度を高めることが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したように、氷結防止のために、高温のエンジン抽気を使用することは、キャビンに送り出す空気温度が上昇するため、冷却能力が低下し、必要な冷却能力を得るための空調システム全体として使用するエンジン抽気の抽気流量が増加し、それに伴って、必要な燃料の消費量も増加するので、空調システムのエネルギー効率を低下させることの原因となった。
【0008】
また、コンデンサ106内部の氷結防止のため、高温空気としてエンジン抽気を使用するので、空調システムを作動させるために必要な燃料の消費量が増加し、空調システムの効率低下を招いた。
【0009】
さらに、十分に氷を融解することが出来ない場合もあり、内部の氷結によりコンデンサ106における圧力損失が基準値を越えたときには、膨張タービン108で膨張する前の高温空気をバイパスさせる必要もあった。これは、膨張タービン108での断熱膨張において低温空気を作り出すとともにコンプレッサ101の駆動力を得ている空調システムにとっては、効率及び冷却能力の低下に繋がる問題となった。
【0010】
そこで、上記問題点を解消するために、本発明では、エンジン抽気による加熱を利用しなくても、コンデンサにおいて氷結によって抽気流路が塞がれることを防止できる航空機用空調システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の航空機用空調システムは、エンジン抽気の圧縮手段と、その圧縮された抽気から水分を分離する水分分離手段と、その水分を分離された抽気を膨張させることで低温空気とする膨張手段とを備え、水分分離手段の手前で流路を流れる抽気を冷却する冷却手段として、その圧縮手段と膨張手段との間の流路を流れる高温抽気とその膨張手段の出口に接続される低温空気流路を流れる低温空気との間で熱交換を行わせるコンデンサを有しており、低温空気が膨張手段から流れ出る際、膨張手段の出口からコンデンサの入口の間に備えた旋回流発生手段による遠心力で分離された氷結水分により、旋回流発生手段の直後に配置された熱交換手段を通過する航空機搭載の電子機器冷却用冷媒を冷却することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示す高圧除湿方式の航空機用空調システムは、空気冷凍サイクルにより低温空気を得るもので、エンジン2からの抽気を、コンプレッサ1により圧縮し、ラムエア熱交換器3により機体外から導入されるラム空気との熱交換により冷却した後、リヒータ5における熱交換により冷却し、コンデンサ6において冷却する。そのリヒータ5およびコンデンサ6における冷却により抽気中の水分を凝縮させる。その凝縮された水分をウォータエキストラクタ7において遠心力を利用して分離して取り去る。そして、その水分を分離された抽気を、リヒータ5における水分分離前の抽気の冷却に用いた後に膨張タービン8に導入し、その膨張タービン8において断熱膨張させることで低温空気とする。
【0013】
この低温空気はコンデンサ6における抽気の冷却に用いられた後に調和空気として航空機のキャビン等の室内に供給されている。なお、そのコンプレッサ1は、膨張タービン8から取り出される動力により回転軸Sを介して駆動される。
【0014】
また、コンデンサ6においては、そのコンプレッサ1と膨張タービン8との間の抽気流路を流れるエンジン抽気と、その膨張タービン8の出口側で次に説明する旋回流発生手段15と2重管16の内管を通過してきた低温空気との間で熱交換を行わせることによってエンジン抽気を冷却する。
【0015】
その旋回流発生手段15と2重管16は、まず、旋回流発生手段15で膨張タービン8を通過したエンジン抽気に残留する氷結水分を遠心力で分離する。例えば、旋回流発生手段15としてSwirl Vaneが使用されるが、そのSwirl Vaneとは、短管の内側に旋回流を起こすための固定羽根を設けたものである。
【0016】
そして、旋回流による遠心力で分離された氷結水分によって、ポンプ14の作用で2重管16の内管と外管との隙間を流れて、航空機機用の電子機器13との間を循環している電子機器冷却用の冷媒を冷却する。この冷却作用によって氷結水分が融けるので、下流のコンデンサ6の低温側通路での氷結は抑制され、エンジン抽気の流路が塞がれることを防止できる。そして、2重管16を通過した後の低温空気は、コンデンサ6で熱交換されることで加熱された後、キャビンへ供給される。
【0017】
また、冷却用冷媒からは氷結水分を融解する程度の熱しか伝わらず、キャビンに送り出す空気温度を必要以上に加熱することがなくなるため、
システム全体として冷却能力が低下することを防止できる。
【0018】
さらに、コンデンサの低温側通路の氷結防止のために、高温空気としてエンジン2から抽気を取り込むことがないので、空調システムを作動させるために必要な燃料の消費量を低減でき、空調システムの効率低下を招くことがない。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、膨張手段を通過した低温空気に含まれる氷結水分で、航空機搭載の電子機器冷却用冷媒を冷却することにより、言い換えると、エンジン抽気を加熱することで、コンデンサにおいて、氷結で流路が塞がれることを防止できるとともに、電子機器冷却用冷媒を冷却するための装置を別途搭載する必要もなくなる。また、コンデンサ内部の氷結防止のため、高温空気としてエンジン抽気を取り込むことがないので、空調システムを作動させるために必要な燃料の消費量を低減でき、空調システムの効率低下を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の航空機用空調システムの概略構成図。
【図2】従来の航空機用空調システムの概略構成図。
【符号の説明】
1 コンプレッサ
6 コンデンサ
7 ウォータエキストラクタ
8 膨張タービン
9 リターン流路
13 電子機器
15 旋回流発生手段
16 二重管

Claims (1)

  1. エンジン抽気の圧縮手段と、その圧縮された抽気から水分を分離する水分分離手段と、その水分を分離された抽気を膨張させることで低温空気とする膨張手段とを備え、前記水分分離手段の手前で流路を流れる抽気を冷却する冷却手段として、その圧縮手段と膨張手段との間の流路を流れる高温抽気とその膨張手段の出口に接続される流路を流れる低温空気との間で熱交換を行わせるコンデンサを有する航空機用空調システムにおいて、前記膨張手段の出口から前記コンデンサの入口の間に旋回流発生手段と共に、この旋回流発生手段の遠心力で分離された氷結水分により、航空機搭載の電子機器冷却用冷媒を冷却する熱交換手段を備えたことを特徴とする航空機用空調システム。
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