JP2004245193A - 航空機用エアサイクル式空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機上のキャビン等へ調和空気を効率的に供給できる航空機用エアサイクル式空気調和装置を提供する。
【解決手段】エンジンから抽気された空気を所定の温度および圧力に調整して調和空気として供給するエアサイクルマシンを備える空気調和装置であって、前記エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却した空気がエアサイクルタービン出口で回収されることを特徴とする航空機用エアサイクル式空気調和装置である。冷却空気の回収は、エアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔、エアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔、またはエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔のいずれかで行われるのが望ましい。さらに、エアサイクルマシンは2ホイール、3ホイールまたは4ホイールのいずれかの構造であってもよい。
【選択図】図6
【解決手段】エンジンから抽気された空気を所定の温度および圧力に調整して調和空気として供給するエアサイクルマシンを備える空気調和装置であって、前記エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却した空気がエアサイクルタービン出口で回収されることを特徴とする航空機用エアサイクル式空気調和装置である。冷却空気の回収は、エアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔、エアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔、またはエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔のいずれかで行われるのが望ましい。さらに、エアサイクルマシンは2ホイール、3ホイールまたは4ホイールのいずれかの構造であってもよい。
【選択図】図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機等のエンジンから抽気された高温高圧の空気(ブリード空気)を調整して、キャビン等に調和空気として供給するエアサイクル式空気調和装置の改善に関し、さらに詳しくは、エアサイクルマシンに用いられる軸受の冷却空気をタービン出口で回収して、ブリード空気の調整効率を向上させる航空機用エアサイクル式空気調和装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
航空機の機上において、キャビン等で必要とする調和空気を供給する空気調和装置には、その供給方式でエアサイクル式とベーパ(蒸気)サイクル式に大別される。近年においては、エンジンから抽気された空気(エンジン抽気)の温度および圧力を調整して、効率的に調和空気を供給することができるエアサイクル式空気調和装置が主流となっている。例えば、特許文献1(米国特許公報)では、エアサイクル式空気調和装置の構成が幾つか例示されている。
【0003】
図1は、機上で調和空気の供給に用いられている航空機用エアサイクル式空気調和装置を2ホイールで構成した例を示す図である。航空機のエンジンでは、コンプレッサで圧縮された空気を燃焼器に送り、それと同時に燃焼器にて燃料を供給して燃焼させ、燃焼ガスでタービンを駆動するように構成されている。同図に示す空気調和装置では、エンジン1のコンプレッサから抽気された高温および高圧状態の空気を所定の温度および圧力に調整して、調和空気を必要とするキャビン12に供給している。
【0004】
まず、エンジン1から抽気された空気は、流量調節弁2Aを介して流量を調整しながら導入され、1次熱交換器3Aに投入される。図1に示す熱交換器3の冷媒としては、機外から冷却ファン7によって空気通路に導かれたラム空気が用いられる。1次熱交換器3Aで冷却されたエンジン抽気の空気は、引き続いてエアサイクルマシン4に導入される。
【0005】
図1に示すエアサイクルマシン4は、コンプレッサ5およびタービン6を同軸に配置した2ホイールの構造であり、これらが同軸駆動するように構成された回転機械である。一方、機外からラム空気を導く冷却ファン7は、ファンモータ7Bを備えて別置きの配置になっている。
【0006】
エアサイクルマシン4に導入された空気は、コンプレッサ5に供給され、その圧縮作用によって昇温された加圧空気となる。昇温された加圧空気は、2次熱交換器3Bに導かれ、所定温度に冷却された後、エアサイクルマシンのタービン6に供給される。
【0007】
タービン6に供給された加圧空気は、エアサイクルタービンを回して膨張し、保有する熱エネルギがタービンの回転エネルギに変換されるので、温度が著しく低下する。空気温度が低下し過冷却状態になると、空気中に含まれた水分が凝縮するので、この水分を除去するため水分離器8に送られる。水分離器8を通過した空気は、低圧および低温の調和空気となって、逆止弁11を通過して、キャビン12に供給される。
【0008】
このとき、タービンで冷却された空気が氷点下になる場合には、水分離器8での氷結を防止するために、抽気された空気の一部をバイパス調節弁2Bを通して送り、水分離器8に入る空気の温度を調節する。
【0009】
図1に示すエアサイクルマシンの2ホイールの構造では、加圧空気がタービン6に供給されて膨張する際に、エアサイクルマシン4を駆動し、同軸に配置されたコンプレッサ5も駆動するようになる。通常、機上には他の空気調和装置13が複数設けられており、同程度の空気調和装置であれば1機当たり2〜3式が装備されている。
【0010】
図2は、機上で調和空気の供給に用いられている航空機用エアサイクル式空気調和装置を3ホイールで構成した例を示す図である。図2に示す装置のエアサイクルマシン4は、冷却ファン7、コンプレッサ5およびタービン6が同軸駆動する、3ホイールの構造になっている。エンジンから抽気された空気は、流量調節弁2を介して1次熱交換器3Aに投入され、ラム空気によって冷却されたエンジン抽気の空気は、エアサイクルマシン4に導入される。
【0011】
エアサイクルマシン4に導入された空気は、コンプレッサ5に供給されて加圧空気となり、2次熱交換器3Bに導かれ、所定温度に冷却された後、タービン6に導入されて、膨張作用によって降圧および降温され、空気中に含まれた水分を除去するため水分離器8に送られる。図1の場合と同様に、水分離器8を通過した空気は、低圧および低温の調和空気となって、逆止弁11を通過してキャビン12に供給される。また、抽気された空気の一部がバイパス調節弁2Bを通して水分離器8の入側に送られ、水分離器8に入る空気温度が調節される。
【0012】
図2に示すエアサイクルマシンの3ホイールの構造では、加圧空気がタービンに供給されて膨張し、熱エネルギをタービンの回転エネルギに変換する際に、同軸に配置された冷却ファン7およびコンプレッサ5を駆動する。
【0013】
図3は、機上で調和空気の供給に用いられているエアサイクル式空気調和装置を4ホイールで構成した例を示す図である。図3に示すエアサイクルマシン4は、冷却ファン7、コンプレッサ5、1次タービン6Aおよび2次タービン6Bを同軸に配置して、これらを同軸駆動する構造の回転機械である。このエアサイクルマシン4に導入された空気は、コンプレッサ5に供給され、昇温された加圧空気となる。
【0014】
昇温された加圧空気は、2次熱交換器3Bに導かれ、所定温度に冷却された後、リヒータ9高温側およびコンデンサ10高温側を経て、水分離器8で水分を除去し、さらにリヒータ9低温側を通過したのち、エアサイクルマシンの1次タービン6Aに供給される。加圧空気は1次タービン6Aでの膨張作用によって、降圧および降温された空気となって、コンデンサ10で再熱させた後、再び2次タービン6Bに供給される。
【0015】
2次タービン6Bを通過した空気は、低圧および低温の調和空気となるが、温度調整のため逆止弁11を通過してミキサー14に導入される。ミキサー14では、キャビン12から循環された空気と混合して温度調節が図られた後、キャビン12に供給される。
【0016】
このとき、タービンで冷却された空気が氷点下になる場合には、下流側に設けられたミキサー14での氷結を防止するために、抽気された空気の一部をバイパス調節弁2Bを通してミキサー14の入側に送り、ミキサー14に入る空気の温度を調節する。
【0017】
図3に示すエアサイクルマシンの4ホイールの構造では、加圧空気が1次、2次タービン6に供給されて膨張する際に、エアサイクルマシン4を駆動し、同軸に配置された冷却ファン7およびコンプレッサ5も駆動するようになる。
【0018】
【特許文献1】
米国特許5,086,622号公報および同 Re.32,100号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
航空機の機上において、エアサイクル式空気調和装置による調和空気を高い効率で供給するため、エアサイクルマシンでは滑り軸受として空気軸受、例えば、ジャーナル軸受やスラスト軸受が用いられる。通常、エアサイクルマシンで用いられる軸受の冷却には、エンジンから抽気された空気の一部が用いられている。
【0020】
図4は、2ホイールのエアサイクルマシンで用いられる空気軸受の構成とこれらを冷却する空気の流れを説明する図である。図4に示すエアサイクルマシンは、コンプレッサ5およびタービン6を同軸に配置した2ホイールの構造であり、これらが同軸駆動するように構成されている。また、図中の黒抜きの矢印は、冷却空気の流れを示す。
【0021】
冷却空気は、エアサイクルマシンの内部、例えば、タービン入口6cから取り入れられ、スラスト軸受14を冷却後に、一部はシール部18に突き当たり冷却孔17を通過する。また、一部はさらにジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり冷却孔17を通過する。
【0022】
これらの軸受を冷却した空気は、通気孔19を経てエアサイクルマシンの内部であるが、コンプレッサ入口5cに戻される。ただし、図中のシール部18は冷却空気の流通を遮蔽する部位であり、冷却孔17との組み合わせによって、冷却空気の流路を形成する。
【0023】
図4に示すように、軸受を冷却して温度上昇した空気をコンプレッサ入口5cに戻して回収する場合には、冷却空気はコンプレッサ5に供給されて昇温されたの加圧空気とともに、2次熱交換器3Bに導かれ、所定温度に冷却された後、エアサイクルタービン6に再び供給されることになる。
【0024】
図5は、他の2ホイールのエアサイクルマシンで用いられる空気軸受の構成とこれらを冷却する空気の流れを説明する図である。図5に示すように、エアサイクルマシンがファン7およびタービン6を同軸に配置した2ホイールの構造である場合には、冷却空気の流路は図4の場合と同様に形成されるので、回収された冷却空気はファン7の入側に戻されて、機外に放出されることになる。
【0025】
すなわち、ファン7およびタービン6による2ホイールの構造では、タービン入口6cから取り入れられた冷却空気は、スラスト軸受14およびジャーナル軸受15を冷却した後は、エアサイクルマシンの外部となるファン7の入口に戻されて、そこから排出される。このように、冷却空気をエアサイクルマシンの外部に排出する場合には、エンジンから抽気された貴重な空気を機外に放出することになり、調和空気の効率的な供給において大きな損失となる。
【0026】
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであり、エンジンから抽気されたブリード空気を調整して、キャビン等に調和空気として供給する際に、エアサイクルマシンに用いられる軸受の冷却空気の流通および回収を適切に行い、調和空気の供給効率を向上させることができる航空機用エアサイクル式空気調和装置を提供することを目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した課題を解決するため、航空機に搭載されたエアサイクル式空気調和装置によって効率的に調和空気を供給できる装置構成に関し、種々の検討を加えた。その結果、エアサイクルタービンを通過した空気が過冷却状態になることに着目した。
【0028】
前述の通り、エアサイクルタービンを通過した加圧空気は、タービンを回して膨張し、熱エネルギがタービンの回転エネルギに変換されるので、温度が著しく低下して過冷却状態になる。空気が過冷却状態になると、空気中に含まれた水分が凝縮するので、この水分を除去するために水分離器に送られる。
【0029】
ところが、タービンで冷却された空気が氷点下になる場合には、水分離器での氷結を防止するために、循環空気の一部をバイパスして加熱する等の処置を行うことにより、水分離器に入る空気の温度を氷点以上の所定温度に制御する必要がある。
【0030】
したがって、エアサイクルマシンに用いられる軸受を冷却して、温度上昇した空気をエアサイクルタービン出口で回収するようにすれば、貴重なブリード空気を機外に排出することを回避することができる。さらに、回収した空気によってエアサイクルタービン出口における全体の空気温度を上昇させることができるので、水分離器での氷結を防止するためのバイパス空気量を削減できる。これにより、調和空気の供給効率を向上させることができる。
【0031】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記の(1)〜(3)のエアサイクル式空気調和装置を要旨としている。
(1) エンジンから抽気された空気を所定の温度および圧力に調整して調和空気として供給するエアサイクルマシンを備える空気調和装置であって、前記エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却した空気がエアサイクルタービン出口で回収されることを特徴とする航空機用エアサイクル式空気調和装置である。
(2) 上記(1)の航空機用エアサイクル式空気調和装置では、冷却空気のタービン出口での回収がエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔、エアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔、またはエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔のいずれかで行われるのが望ましい。構造上可能であれば、上記の通気孔を2以上組み合わせるのがさらに望ましい。
(3) 上記(1)の航空機用エアサイクル式空気調和装置では、冷却空気の取り入れをエアサイクルタービンの入口または/およびエアサイクルコンプレッサの入口で行うことができる。さらに、エアサイクルマシンは2ホイール、3ホイールまたは4ホイールのいずれかの構造であってもよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の航空機用エアサイクル式空気調和装置では、エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却した空気をエアサイクルタービン出口で回収することを特徴としている。通常、軸受用の冷却空気は、エアサイクルタービンに供給される空気量の約5%程度であるが、貴重なブリード空気を機外に排出することを回避することができる。
【0033】
さらに、冷却空気は空気軸受との熱交換によって温度上昇するので、この空気をエアサイクルタービンの出側で回収すれば、その下流側に設けられた水分離器の氷結防止の熱源として利用することができる。このため、従来のシステムで必要であった、バイパス空気量を削減することができる。
【0034】
本発明の空気調和装置では、タービン出口での冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔、エアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔、またはエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔のいずれかで行うことができる。
【0035】
タービンハブは回転軸に近く固定された回転体であり、容易に寸法精度のよい通気孔を加工することができる。また、タイロッドは、エアサイクルマシンが2ホイール、3ホイールまたは4ホイールのいずれかの構造であって、これらを緊密に締結するものであり、その内周面に通気孔を精度よく加工することができる。さらに、タービンノズルはタービンケーシングに固定された静翼であって、通気孔の加工が容易である。
【0036】
本発明の空気調和装置の構成は、全てのエアサイクル方式空気調和装置に適用することができ、航空機等の機体全体として、調和空気の供給効率を向上させるとともに重量軽減も可能になる。
【0037】
【実施例】
以下では、本発明の実施例1〜5の構成例を図面にに基づいて説明する。実施例1〜3は、コンプレッサおよびタービンを同軸に配置した2ホイールの構成例であり、実施例4は、冷却ファン、コンプレッサおよびタービンを同軸に配置した3ホイールの構成例であり、実施例5は、冷却ファン、コンプレッサ、1次タービンおよび2次タービンを同軸に配置した4ホイールの構成例である。
【0038】
図6は、本発明の実施例1であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。図中の黒抜き矢印で示すように、冷却空気はタービン入口6cから取り入れられ、スラスト軸受14を冷却後に、一部はさらにジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過してタービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。一方、スラスト軸受14を冷却後に、直ちに冷却孔17を通過した冷却空気も、タービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0039】
図7は、本発明の実施例2であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。エアサイクルマシンを構成するコンプレッサ5およびタービン6は、タイロッド16によって緊密に締結されている。
【0040】
冷却空気はタービン入口6cから取り入れられ、スラスト軸受14を冷却後に、一部はさらにジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過する。その後、スラスト軸受14を冷却後に、直ちに冷却孔17を通過した冷却空気をともなって、タイロッド16に設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0041】
図8は、本発明の実施例3であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。実施例3では、冷却空気は、コンプレッサ入口5cから取り入れられる構造になっている。
【0042】
コンプレッサ入口5cから取り入れられた冷却空気の一部は、入口側に設けられた冷却孔17を通過して、ジャーナル軸受15を冷却し、さらにスラスト軸受14を冷却した後、エアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0043】
図9は、本発明の実施例4であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。エアサイクルマシンは冷却ファン7、コンプレッサ5およびタービン6を同軸に配置した3ホイールの構造であり、冷却空気は、コンプレッサ入口5cおよびタービン入口6cから取り入れられる。
【0044】
タービン入口6cから取り入れられた冷却空気は、スラスト軸受14を冷却した後にジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過して、タービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。一方、コンプレッサ入口5cから取り入れられた冷却空気は、ジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過してタービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0045】
図10は、本発明の実施例5であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。エアサイクルマシンは冷却ファン7、コンプレッサ5、1次タービン6Aおよび2次タービン6Bを同軸に配置した4ホイールの構造であり、冷却空気は、コンプレッサ入口5cおよびタービン入口6cから取り入れられる。
【0046】
実施例4の場合と同様に、タービン入口6cから取り入れられた冷却空気は、スラスト軸受14を冷却した後にジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過してタービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0047】
一方、コンプレッサ入口5cから取り入れられた冷却空気は、ジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過してタービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0048】
上述の実施例1〜5のいずれの場合であっても、タービン出口6dで回収された冷却空気は、タービン出口6dにおける全体の空気温度を上昇させて、下流側に設けられた水分離器またはミキサーに供給される。このとき、水分離器またはミキサーでの氷結を防止するためのバイパス空気量を削減することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の航空機用エアサイクル式空気調和装置によれば、エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却して、温度上昇した空気をエアサイクルタービン出口で適切に回収することができるので、貴重なブリード空気を機外に排出することもなく、さらにエアサイクルタービン出口における全体の空気温度を上昇させ、下流側での氷結防止に要するバイパス空気量を削減できる。これにより、キャビン等への調和空気の供給を効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】機上で調和空気の供給に用いられている航空機用エアサイクル式空気調和装置を2ホイールで構成した例を示す図である。
【図2】機上で調和空気の供給に用いられている航空機用エアサイクル式空気調和装置を3ホイールで構成した例を示す図である。
【図3】機上で調和空気の供給に用いられているエアサイクル式空気調和装置を4ホイールで構成した例を示す図である。
【図4】2ホイールのエアサイクルマシンで用いられる空気軸受の構成とこれらを冷却する空気の流れを説明する図である。
【図5】他の2ホイールのエアサイクルマシンで用いられる空気軸受の構成とこれらを冷却する空気の流れを説明する図である。
【図6】本発明の実施例1であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例2であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例3であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例4であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例5であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【符号の説明】
1:エンジン、 2:流量調節弁
3:熱交換器、 4:エアサイクルマシン
5:コンプレッサ、 6:タービン
7:冷却ファン、 8:水分離器
9:リヒータ、 10:コンデンサ
11:逆止弁、 12:キャビン
13:他の空気調和装置、 14:スラスト軸受
15:ジャーナル軸受、 16:タイロッド
17:冷却孔、 18:シール部
19:通気孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機等のエンジンから抽気された高温高圧の空気(ブリード空気)を調整して、キャビン等に調和空気として供給するエアサイクル式空気調和装置の改善に関し、さらに詳しくは、エアサイクルマシンに用いられる軸受の冷却空気をタービン出口で回収して、ブリード空気の調整効率を向上させる航空機用エアサイクル式空気調和装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
航空機の機上において、キャビン等で必要とする調和空気を供給する空気調和装置には、その供給方式でエアサイクル式とベーパ(蒸気)サイクル式に大別される。近年においては、エンジンから抽気された空気(エンジン抽気)の温度および圧力を調整して、効率的に調和空気を供給することができるエアサイクル式空気調和装置が主流となっている。例えば、特許文献1(米国特許公報)では、エアサイクル式空気調和装置の構成が幾つか例示されている。
【0003】
図1は、機上で調和空気の供給に用いられている航空機用エアサイクル式空気調和装置を2ホイールで構成した例を示す図である。航空機のエンジンでは、コンプレッサで圧縮された空気を燃焼器に送り、それと同時に燃焼器にて燃料を供給して燃焼させ、燃焼ガスでタービンを駆動するように構成されている。同図に示す空気調和装置では、エンジン1のコンプレッサから抽気された高温および高圧状態の空気を所定の温度および圧力に調整して、調和空気を必要とするキャビン12に供給している。
【0004】
まず、エンジン1から抽気された空気は、流量調節弁2Aを介して流量を調整しながら導入され、1次熱交換器3Aに投入される。図1に示す熱交換器3の冷媒としては、機外から冷却ファン7によって空気通路に導かれたラム空気が用いられる。1次熱交換器3Aで冷却されたエンジン抽気の空気は、引き続いてエアサイクルマシン4に導入される。
【0005】
図1に示すエアサイクルマシン4は、コンプレッサ5およびタービン6を同軸に配置した2ホイールの構造であり、これらが同軸駆動するように構成された回転機械である。一方、機外からラム空気を導く冷却ファン7は、ファンモータ7Bを備えて別置きの配置になっている。
【0006】
エアサイクルマシン4に導入された空気は、コンプレッサ5に供給され、その圧縮作用によって昇温された加圧空気となる。昇温された加圧空気は、2次熱交換器3Bに導かれ、所定温度に冷却された後、エアサイクルマシンのタービン6に供給される。
【0007】
タービン6に供給された加圧空気は、エアサイクルタービンを回して膨張し、保有する熱エネルギがタービンの回転エネルギに変換されるので、温度が著しく低下する。空気温度が低下し過冷却状態になると、空気中に含まれた水分が凝縮するので、この水分を除去するため水分離器8に送られる。水分離器8を通過した空気は、低圧および低温の調和空気となって、逆止弁11を通過して、キャビン12に供給される。
【0008】
このとき、タービンで冷却された空気が氷点下になる場合には、水分離器8での氷結を防止するために、抽気された空気の一部をバイパス調節弁2Bを通して送り、水分離器8に入る空気の温度を調節する。
【0009】
図1に示すエアサイクルマシンの2ホイールの構造では、加圧空気がタービン6に供給されて膨張する際に、エアサイクルマシン4を駆動し、同軸に配置されたコンプレッサ5も駆動するようになる。通常、機上には他の空気調和装置13が複数設けられており、同程度の空気調和装置であれば1機当たり2〜3式が装備されている。
【0010】
図2は、機上で調和空気の供給に用いられている航空機用エアサイクル式空気調和装置を3ホイールで構成した例を示す図である。図2に示す装置のエアサイクルマシン4は、冷却ファン7、コンプレッサ5およびタービン6が同軸駆動する、3ホイールの構造になっている。エンジンから抽気された空気は、流量調節弁2を介して1次熱交換器3Aに投入され、ラム空気によって冷却されたエンジン抽気の空気は、エアサイクルマシン4に導入される。
【0011】
エアサイクルマシン4に導入された空気は、コンプレッサ5に供給されて加圧空気となり、2次熱交換器3Bに導かれ、所定温度に冷却された後、タービン6に導入されて、膨張作用によって降圧および降温され、空気中に含まれた水分を除去するため水分離器8に送られる。図1の場合と同様に、水分離器8を通過した空気は、低圧および低温の調和空気となって、逆止弁11を通過してキャビン12に供給される。また、抽気された空気の一部がバイパス調節弁2Bを通して水分離器8の入側に送られ、水分離器8に入る空気温度が調節される。
【0012】
図2に示すエアサイクルマシンの3ホイールの構造では、加圧空気がタービンに供給されて膨張し、熱エネルギをタービンの回転エネルギに変換する際に、同軸に配置された冷却ファン7およびコンプレッサ5を駆動する。
【0013】
図3は、機上で調和空気の供給に用いられているエアサイクル式空気調和装置を4ホイールで構成した例を示す図である。図3に示すエアサイクルマシン4は、冷却ファン7、コンプレッサ5、1次タービン6Aおよび2次タービン6Bを同軸に配置して、これらを同軸駆動する構造の回転機械である。このエアサイクルマシン4に導入された空気は、コンプレッサ5に供給され、昇温された加圧空気となる。
【0014】
昇温された加圧空気は、2次熱交換器3Bに導かれ、所定温度に冷却された後、リヒータ9高温側およびコンデンサ10高温側を経て、水分離器8で水分を除去し、さらにリヒータ9低温側を通過したのち、エアサイクルマシンの1次タービン6Aに供給される。加圧空気は1次タービン6Aでの膨張作用によって、降圧および降温された空気となって、コンデンサ10で再熱させた後、再び2次タービン6Bに供給される。
【0015】
2次タービン6Bを通過した空気は、低圧および低温の調和空気となるが、温度調整のため逆止弁11を通過してミキサー14に導入される。ミキサー14では、キャビン12から循環された空気と混合して温度調節が図られた後、キャビン12に供給される。
【0016】
このとき、タービンで冷却された空気が氷点下になる場合には、下流側に設けられたミキサー14での氷結を防止するために、抽気された空気の一部をバイパス調節弁2Bを通してミキサー14の入側に送り、ミキサー14に入る空気の温度を調節する。
【0017】
図3に示すエアサイクルマシンの4ホイールの構造では、加圧空気が1次、2次タービン6に供給されて膨張する際に、エアサイクルマシン4を駆動し、同軸に配置された冷却ファン7およびコンプレッサ5も駆動するようになる。
【0018】
【特許文献1】
米国特許5,086,622号公報および同 Re.32,100号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
航空機の機上において、エアサイクル式空気調和装置による調和空気を高い効率で供給するため、エアサイクルマシンでは滑り軸受として空気軸受、例えば、ジャーナル軸受やスラスト軸受が用いられる。通常、エアサイクルマシンで用いられる軸受の冷却には、エンジンから抽気された空気の一部が用いられている。
【0020】
図4は、2ホイールのエアサイクルマシンで用いられる空気軸受の構成とこれらを冷却する空気の流れを説明する図である。図4に示すエアサイクルマシンは、コンプレッサ5およびタービン6を同軸に配置した2ホイールの構造であり、これらが同軸駆動するように構成されている。また、図中の黒抜きの矢印は、冷却空気の流れを示す。
【0021】
冷却空気は、エアサイクルマシンの内部、例えば、タービン入口6cから取り入れられ、スラスト軸受14を冷却後に、一部はシール部18に突き当たり冷却孔17を通過する。また、一部はさらにジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり冷却孔17を通過する。
【0022】
これらの軸受を冷却した空気は、通気孔19を経てエアサイクルマシンの内部であるが、コンプレッサ入口5cに戻される。ただし、図中のシール部18は冷却空気の流通を遮蔽する部位であり、冷却孔17との組み合わせによって、冷却空気の流路を形成する。
【0023】
図4に示すように、軸受を冷却して温度上昇した空気をコンプレッサ入口5cに戻して回収する場合には、冷却空気はコンプレッサ5に供給されて昇温されたの加圧空気とともに、2次熱交換器3Bに導かれ、所定温度に冷却された後、エアサイクルタービン6に再び供給されることになる。
【0024】
図5は、他の2ホイールのエアサイクルマシンで用いられる空気軸受の構成とこれらを冷却する空気の流れを説明する図である。図5に示すように、エアサイクルマシンがファン7およびタービン6を同軸に配置した2ホイールの構造である場合には、冷却空気の流路は図4の場合と同様に形成されるので、回収された冷却空気はファン7の入側に戻されて、機外に放出されることになる。
【0025】
すなわち、ファン7およびタービン6による2ホイールの構造では、タービン入口6cから取り入れられた冷却空気は、スラスト軸受14およびジャーナル軸受15を冷却した後は、エアサイクルマシンの外部となるファン7の入口に戻されて、そこから排出される。このように、冷却空気をエアサイクルマシンの外部に排出する場合には、エンジンから抽気された貴重な空気を機外に放出することになり、調和空気の効率的な供給において大きな損失となる。
【0026】
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであり、エンジンから抽気されたブリード空気を調整して、キャビン等に調和空気として供給する際に、エアサイクルマシンに用いられる軸受の冷却空気の流通および回収を適切に行い、調和空気の供給効率を向上させることができる航空機用エアサイクル式空気調和装置を提供することを目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した課題を解決するため、航空機に搭載されたエアサイクル式空気調和装置によって効率的に調和空気を供給できる装置構成に関し、種々の検討を加えた。その結果、エアサイクルタービンを通過した空気が過冷却状態になることに着目した。
【0028】
前述の通り、エアサイクルタービンを通過した加圧空気は、タービンを回して膨張し、熱エネルギがタービンの回転エネルギに変換されるので、温度が著しく低下して過冷却状態になる。空気が過冷却状態になると、空気中に含まれた水分が凝縮するので、この水分を除去するために水分離器に送られる。
【0029】
ところが、タービンで冷却された空気が氷点下になる場合には、水分離器での氷結を防止するために、循環空気の一部をバイパスして加熱する等の処置を行うことにより、水分離器に入る空気の温度を氷点以上の所定温度に制御する必要がある。
【0030】
したがって、エアサイクルマシンに用いられる軸受を冷却して、温度上昇した空気をエアサイクルタービン出口で回収するようにすれば、貴重なブリード空気を機外に排出することを回避することができる。さらに、回収した空気によってエアサイクルタービン出口における全体の空気温度を上昇させることができるので、水分離器での氷結を防止するためのバイパス空気量を削減できる。これにより、調和空気の供給効率を向上させることができる。
【0031】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記の(1)〜(3)のエアサイクル式空気調和装置を要旨としている。
(1) エンジンから抽気された空気を所定の温度および圧力に調整して調和空気として供給するエアサイクルマシンを備える空気調和装置であって、前記エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却した空気がエアサイクルタービン出口で回収されることを特徴とする航空機用エアサイクル式空気調和装置である。
(2) 上記(1)の航空機用エアサイクル式空気調和装置では、冷却空気のタービン出口での回収がエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔、エアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔、またはエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔のいずれかで行われるのが望ましい。構造上可能であれば、上記の通気孔を2以上組み合わせるのがさらに望ましい。
(3) 上記(1)の航空機用エアサイクル式空気調和装置では、冷却空気の取り入れをエアサイクルタービンの入口または/およびエアサイクルコンプレッサの入口で行うことができる。さらに、エアサイクルマシンは2ホイール、3ホイールまたは4ホイールのいずれかの構造であってもよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の航空機用エアサイクル式空気調和装置では、エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却した空気をエアサイクルタービン出口で回収することを特徴としている。通常、軸受用の冷却空気は、エアサイクルタービンに供給される空気量の約5%程度であるが、貴重なブリード空気を機外に排出することを回避することができる。
【0033】
さらに、冷却空気は空気軸受との熱交換によって温度上昇するので、この空気をエアサイクルタービンの出側で回収すれば、その下流側に設けられた水分離器の氷結防止の熱源として利用することができる。このため、従来のシステムで必要であった、バイパス空気量を削減することができる。
【0034】
本発明の空気調和装置では、タービン出口での冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔、エアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔、またはエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔のいずれかで行うことができる。
【0035】
タービンハブは回転軸に近く固定された回転体であり、容易に寸法精度のよい通気孔を加工することができる。また、タイロッドは、エアサイクルマシンが2ホイール、3ホイールまたは4ホイールのいずれかの構造であって、これらを緊密に締結するものであり、その内周面に通気孔を精度よく加工することができる。さらに、タービンノズルはタービンケーシングに固定された静翼であって、通気孔の加工が容易である。
【0036】
本発明の空気調和装置の構成は、全てのエアサイクル方式空気調和装置に適用することができ、航空機等の機体全体として、調和空気の供給効率を向上させるとともに重量軽減も可能になる。
【0037】
【実施例】
以下では、本発明の実施例1〜5の構成例を図面にに基づいて説明する。実施例1〜3は、コンプレッサおよびタービンを同軸に配置した2ホイールの構成例であり、実施例4は、冷却ファン、コンプレッサおよびタービンを同軸に配置した3ホイールの構成例であり、実施例5は、冷却ファン、コンプレッサ、1次タービンおよび2次タービンを同軸に配置した4ホイールの構成例である。
【0038】
図6は、本発明の実施例1であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。図中の黒抜き矢印で示すように、冷却空気はタービン入口6cから取り入れられ、スラスト軸受14を冷却後に、一部はさらにジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過してタービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。一方、スラスト軸受14を冷却後に、直ちに冷却孔17を通過した冷却空気も、タービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0039】
図7は、本発明の実施例2であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。エアサイクルマシンを構成するコンプレッサ5およびタービン6は、タイロッド16によって緊密に締結されている。
【0040】
冷却空気はタービン入口6cから取り入れられ、スラスト軸受14を冷却後に、一部はさらにジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過する。その後、スラスト軸受14を冷却後に、直ちに冷却孔17を通過した冷却空気をともなって、タイロッド16に設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0041】
図8は、本発明の実施例3であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。実施例3では、冷却空気は、コンプレッサ入口5cから取り入れられる構造になっている。
【0042】
コンプレッサ入口5cから取り入れられた冷却空気の一部は、入口側に設けられた冷却孔17を通過して、ジャーナル軸受15を冷却し、さらにスラスト軸受14を冷却した後、エアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0043】
図9は、本発明の実施例4であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。エアサイクルマシンは冷却ファン7、コンプレッサ5およびタービン6を同軸に配置した3ホイールの構造であり、冷却空気は、コンプレッサ入口5cおよびタービン入口6cから取り入れられる。
【0044】
タービン入口6cから取り入れられた冷却空気は、スラスト軸受14を冷却した後にジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過して、タービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。一方、コンプレッサ入口5cから取り入れられた冷却空気は、ジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過してタービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0045】
図10は、本発明の実施例5であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。エアサイクルマシンは冷却ファン7、コンプレッサ5、1次タービン6Aおよび2次タービン6Bを同軸に配置した4ホイールの構造であり、冷却空気は、コンプレッサ入口5cおよびタービン入口6cから取り入れられる。
【0046】
実施例4の場合と同様に、タービン入口6cから取り入れられた冷却空気は、スラスト軸受14を冷却した後にジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過してタービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0047】
一方、コンプレッサ入口5cから取り入れられた冷却空気は、ジャーナル軸受15を冷却して、シール部18に突き当たり、冷却孔17を通過してタービンハブに設けられた通気孔19を通ってタービン出口6dで回収される。
【0048】
上述の実施例1〜5のいずれの場合であっても、タービン出口6dで回収された冷却空気は、タービン出口6dにおける全体の空気温度を上昇させて、下流側に設けられた水分離器またはミキサーに供給される。このとき、水分離器またはミキサーでの氷結を防止するためのバイパス空気量を削減することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の航空機用エアサイクル式空気調和装置によれば、エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却して、温度上昇した空気をエアサイクルタービン出口で適切に回収することができるので、貴重なブリード空気を機外に排出することもなく、さらにエアサイクルタービン出口における全体の空気温度を上昇させ、下流側での氷結防止に要するバイパス空気量を削減できる。これにより、キャビン等への調和空気の供給を効率的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】機上で調和空気の供給に用いられている航空機用エアサイクル式空気調和装置を2ホイールで構成した例を示す図である。
【図2】機上で調和空気の供給に用いられている航空機用エアサイクル式空気調和装置を3ホイールで構成した例を示す図である。
【図3】機上で調和空気の供給に用いられているエアサイクル式空気調和装置を4ホイールで構成した例を示す図である。
【図4】2ホイールのエアサイクルマシンで用いられる空気軸受の構成とこれらを冷却する空気の流れを説明する図である。
【図5】他の2ホイールのエアサイクルマシンで用いられる空気軸受の構成とこれらを冷却する空気の流れを説明する図である。
【図6】本発明の実施例1であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例2であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例3であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例4であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例5であり、冷却空気の回収をエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔で行う構成を示す図である。
【符号の説明】
1:エンジン、 2:流量調節弁
3:熱交換器、 4:エアサイクルマシン
5:コンプレッサ、 6:タービン
7:冷却ファン、 8:水分離器
9:リヒータ、 10:コンデンサ
11:逆止弁、 12:キャビン
13:他の空気調和装置、 14:スラスト軸受
15:ジャーナル軸受、 16:タイロッド
17:冷却孔、 18:シール部
19:通気孔
Claims (4)
- エンジンから抽気された空気を所定の温度および圧力に調整して調和空気として供給するエアサイクルマシンを備える空気調和装置であって、前記エアサイクルマシンに用いられる空気軸受を冷却した空気がエアサイクルタービン出口で回収されることを特徴とする航空機用エアサイクル式空気調和装置。
- 上記冷却空気の回収がエアサイクルタービンのハブに設けられた通気孔、エアサイクルタービンを締結するタイロッドに設けられた通気孔、またはエアサイクルタービンのノズルに設けられた通気孔のいずれかで行われることを特徴とする請求項1に記載の航空機用エアサイクル式空気調和装置。
- 上記冷却空気の取り入れがエアサイクルタービンの入口または/およびエアサイクルコンプレッサの入口で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の航空機用エアサイクル式空気調和装置。
- 上記エアサイクルマシンが2ホイール、3ホイールまたは4ホイールのいずれかの構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアサイクル式空気調和装置。
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