JP2004090327A - 画像入出力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを、記録位置のズレを検出するための専用のセンサを用いることなく補正できる画像入出力装置を提供する。
【解決手段】主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを検出するためのテストパターンを印刷し(S110)、印刷したテストパターンを表す画像データをリニアイメージセンサの出力信号に基づいて作成し(S120)、作成した画像データに基づいて記録位置のズレを検出し(S125)、検出結果に基づいて記録位置のズレを減少させるための調整値を補正する(S130)。
【選択図】 図1
【解決手段】主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを検出するためのテストパターンを印刷し(S110)、印刷したテストパターンを表す画像データをリニアイメージセンサの出力信号に基づいて作成し(S120)、作成した画像データに基づいて記録位置のズレを検出し(S125)、検出結果に基づいて記録位置のズレを減少させるための調整値を補正する(S130)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像入出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像の読み取りと画像の印刷とが可能な画像入出力装置として、プリンタとイメージスキャナなどの画像読み取り装置とを一体化した所謂複合機が知られている。
【0003】
また、複合機の一つとして、印刷速度を向上させるために主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録する双方向印刷を行うプリンタが一体化されたものが知られている。
【0004】
双方向印刷を行うプリンタの場合、プラテンの反りや印刷ヘッドを主走査方向に駆動する駆動系の摩耗などに起因して、往路で記録したドットと復路で記録したドットとの記録位置がずれるという問題が生じ易い。このため従来の複合機では、記録位置のズレを補正するためのテストパターンを印刷し、印刷結果に基づいてユーザに補正情報を入力させ、入力させた補正情報に基づいて記録位置のズレを補正することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補正項目は多岐に渡り、従来の複合機では補正を行うためにユーザが行わなければならない作業工程の数が10を越える場合があるなど、ユーザにとって負担が大きいという問題がある。例えばプリンタがインクジェットプリンタであり、黒のインクを吐出するノズルを3つ備えたものであるとする。印刷指示を入力する工程は一度でよいとしても、ノズルが複数ある場合はテストパターンをノズル毎に印刷する必要があるため、各ノズルで印刷したテストパターン毎に入力すべき補正情報を判定する工程、判定した補正情報を入力する工程、入力した補正情報を確認する工程などで計10工程が必要となる。カラー印刷が可能なインクジェットプリンタでノズルの数が多い場合は更に工程が増えることになる。また、プリンタや複合機が備える表示装置は表示領域が狭いなどでユーザにとって補正の操作が行いにくい場合が多く、そうした場合更に負担が大きくなっている。
【0006】
従来の複合機には、そうした問題を解決する手段として印刷ヘッドに記録位置のズレを検出するための専用のセンサを備え、印刷しつつセンサでズレを検出することでユーザに補正情報を入力させることなく補正できるものがある。しかしながら、そうした複合機の場合はズレの検出のために専用のセンサを備えなければならず、複合機の製造コストが増大するという問題がある。
【0007】
本発明は上述の問題に鑑みて創作されたものであって、その目的は主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを容易に補正できる画像入出力装置を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを、記録位置のズレを検出するための専用のセンサを用いることなく補正できる画像入出力装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の画像入出力装置は、リニアイメージセンサと、原稿を照射する光源を有しリニアイメージセンサに原稿の走査線上の光学像を入力する光学系と、リニアイメージセンサと原稿とを走査線に交差する副走査方向に相対移動させる第一副走査駆動部と、リニアイメージセンサの出力信号に基づいて画像データを作成する処理部と、印刷媒体にドットを記録する印刷ヘッドと、印刷ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、印刷ヘッドと印刷媒体とを主走査方向に相対的に往復移動させる第二主走査駆動部と、印刷ヘッドと印刷媒体とを主走査方向軸に交差する副走査方向に相対移動させる第二副走査駆動部と、ヘッド駆動部、第二主走査駆動部及び第二副走査駆動部を制御する制御部とを備え、制御部は、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを減少させるための調整値を用いて、ヘッド駆動部、第二主走査駆動部及び第二副走査駆動部に主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録させる印刷手段と、ヘッド駆動部、第二主走査駆動部及び第二副走査駆動部にズレを検出するためのテストパターンを印刷させるテスト印刷手段と、リニアイメージセンサの出力信号に基づいて処理部で作成される画像データであって印刷されたテストパターンを表す画像データに基づいてズレを検出し、検出結果に基づいて調整値を補正する調整値補正手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
この画像入出力装置は、印刷されたテストパターンを表す画像データに基づいてズレを検出し、検出結果に基づいて調整値を補正する。従って、ユーザは調整値の補正に必要な情報を入力する必要がない。よってこの画像入出力装置によると、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを容易に補正できる。更に、この画像入出力装置はテストパターンを表す画像データに基づいてズレを検出するが、その画像データはリニアイメージセンサの出力信号に基づいて処理部で作成される画像データである。すなわち、テストパターンを表す画像データの作成にリニアイメージセンサを用いている。従って記録位置のズレを検出するための専用のセンサを備える必要がない。よってこの画像入出力装置によると、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを、記録位置のズレを検出するための専用のセンサを用いることなく補正できる。
【0011】
請求項2に記載の画像入出力装置のテストパターンは、主走査方向の往路で記録されるドットで形成され副走査方向に延びる第一線と、主走査方向の復路で記録されるドットで形成され副走査方向に延びる第二線とを有することを特徴とする。この画像入出力装置によると、第一線が主走査方向の往路で記録されるドットで形成され、第二線が主走査方向の復路で記録されるドットで形成されるため、第一線と第二線とから主走査方向の記録位置のズレを検出できる。
【0012】
請求項3に記載の画像入出力装置のテストパターンの第二線は、副走査方向の一側の端部が第一線の副走査方向の同じ側の端部から副走査方向に所定の間隔ずれていることを特徴とする。この画像入出力装置によると、第二線の副走査方向の一側の端部と第一線の副走査方向の同じ側の端部のずれにより第一線と第二線とを識別できる。
【0013】
請求項4に記載の画像入出力装置のテストパターンは、第一線と第二線の対であって、第一線に対する第二線の主走査方向の位置が互いに異なる対を複数有することを特徴とする。この画像入出力装置によると、第一線と第二線との主走査方向の位置が最も近接する対を特定することで、テストパターンにおいて当該対に予め設定されている主走査方向のズレなどから記録位置のズレを検出できる。
【0014】
請求項5に記載の画像入出力装置のテストパターンは、等間隔に配列された複数の第一線と、等間隔に配列された複数の第二線とを有することを特徴とする。この画像入出力装置によると、印刷されたテストパターンにおいて第一線と第二線との主走査方向の間隔が主走査方向に順に検出されると、第一線と第二線との間隔は第一線と第二線との主走査方向の位置が最も近接している対まで徐々に狭くなり、その対を境に徐々に広くなる。従って第一線と第二線との間隔の減少及び増大の傾向から第一線と第二線との主走査方向の位置が最も近接する対を特定することができる。対が特定できればテストパターンにおいて当該対に予め設定されている主走査方向のズレなどから記録位置のズレを検出できる。すなわち請求項5に記載の画像入出力装置によると、画像入出力装置が作成する画像データの一画素が表す幅より小さい記録位置のズレを検出できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を複数の実施例に基づいて説明する。
(第一実施例)
【0016】
図2は、本発明の第一実施例に係る画像入出力装置を示す模式図である。第一実施例に係る画像入出力装置は、画像読み取り装置としての所謂フラットベッド型のイメージスキャナと、主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録するインクジェットプリンタとが一体化された所謂複合機1である。第一実施例では、複合機1が作成する画像データの一画素が表す幅が複合機1が記録するドットの間隔より狭い場合を例に説明する。
【0017】
図3は複合機1の構成を示す模式図である。図4は複合機1を示すブロック図である。以下、図3及び図4に基づいて複合機1の構成を説明する。
原稿台11は、概ね矩形のガラス板等の透明板で構成され、その盤面12にテストパターンを印刷した用紙、写真、印刷文書等の原稿Mが載置される。
【0018】
リニアイメージセンサ41は、RGB各色の受光素子が図3において紙面垂直方向に直線状に並ぶ姿勢でキャリッジ30に搭載されている。リニアイメージセンサ41はRGB各色について各1列の受光素子が配列されているものでもよいし、2列以上の受光素子が配列されているものでもよい。リニアイメージセンサ41は、光学系により入力される走査線上の光学像を走査し、その光学像の濃淡に相関する電気信号を出力する。リニアイメージセンサ41は、可視光、赤外光、紫外光等、所定の波長領域の光を光電変換して得られる電荷をフォトダイオード等の受光素子に一定時間蓄積し、受光素子ごとの受光量に応じた電気信号をCCD(Charge Coupled Device)、MOSトランジスタスイッチ等を用いて出力する。
【0019】
光学系20は、光源21、ミラー22及びレンズ23で構成され、キャリッジ30に搭載されている。光源21は蛍光管ランプ等の管照明装置から構成される。光源21は原稿Mの走査線近傍を照射し、ミラー22及びレンズ23は照射された原稿Mの走査線上の反射光像をリニアイメージセンサ41に結像させる。これにより原稿Mの走査線上の光学像をリニアイメージセンサ41に入力する。尚、光源21の位置を変えて原稿の透過光像をリニアイメージセンサ41に結像させるようにしてもよい。
【0020】
第一主走査駆動部51は、リニアイメージセンサ41を駆動するために必要な駆動パルスをリニアイメージセンサ41に出力する駆動回路である。第一主走査駆動部51は、例えば同期信号発生器、駆動用タイミングジェネレータ等から構成される。
【0021】
第一副走査駆動部52は、走査線の長手方向軸に垂直に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸13、キャリッジモータ54、駆動ベルト53、駆動回路などを備えている。キャリッジモータ54がキャリッジ30を駆動ベルト53で牽引することでリニアイメージセンサ41と原稿Mとが走査線に垂直な方向W(副走査方向)に相対移動するため、二次元画像の走査が可能となる。
【0022】
処理部60は、AFE(Analog Front End)部61及びディジタル画像処理部62を備える。
AFE部61は、アナログ信号処理部、A/D変換器等から構成される。アナログ信号処理部は、リニアイメージセンサ41から出力された電気信号に対して増幅、雑音低減処理等のアナログ信号処理を施して出力する。A/D変換器は、アナログ信号処理部から出力された電気信号を所定ビット長のディジタル表現の出力信号に量子化して出力する。
【0023】
ディジタル画像処理部62は、AFE部61から出力された出力信号に対し、ガンマ補正、画素補間法による欠陥画素の補間、シェーディング補正、画像信号の鮮鋭化等の処理を行って画像データを作成する。尚、ディジタル画像処理部62で施す上記各種の処理は、制御部70で実行するコンピュータプログラムによる処理に置き換えてもよい。
【0024】
印刷ヘッド84はキャリッジ86に設けられ、インクを吐出するノズル84a、ピエゾ素子84b、インク通路84cなどを備える。ピエゾ素子84bはインクを導くインク通路84cの側壁に接する位置に設けられ、駆動電圧が印加されると急速に伸長してインク通路84cの側壁を変形させる。インク通路84cの体積はピエゾ素子84bの伸張に応じて収縮し、その収縮分に相当するインクがノズル84aから高速に吐出される。これにより印刷ヘッド84は記録媒体としての印刷用紙91にドットを記録する。
【0025】
ヘッド駆動部83は、制御部70から出力された印刷信号に基づいて駆動電圧をピエゾ素子84bに印加する回路である。ドットの記録は印刷ヘッド84と印刷用紙91とを主走査方向に相対的に往復移動させて行うため、ドットが所定の位置に記録されるよう、後述する第二主走査駆動部81によるキャリッジモータ87への駆動電圧の印加とヘッド駆動部83によるピエゾ素子84bへの駆動電圧の印加とは同期をとって行われる。従ってヘッド駆動部83は、キャリッジモータ87へ印可される駆動電圧に対し、ピエゾ素子84bへ駆動電圧を印加し始めるタイミングを調整することでドットの記録位置を調整することができる。ヘッド駆動部83はそのタイミングを制御部70から出力される遅延量設定値に応じて調整する。ここで遅延量設定値とは後述する調整値から一意に求められる値であり、ヘッド駆動部83がクロックジェネレータを備えている場合であれば例えばクロック数などである。クロック数の場合であればヘッド駆動部83はクロック数に応じて駆動電圧を印加し始めるタイミングを調整する。このため制御部70は、調整値から遅延量設定値を算出し、算出した遅延量設定値をヘッド駆動部83に出力することで印刷ヘッド84がドットを記録するタイミングを制御できる。
【0026】
第二主走査駆動部81は、プラテン85の軸と平行に架設されキャリッジ86を摺動可能に保持する摺動軸90、キャリッジモータ87、駆動ベルト88、駆動回路などを備える。キャリッジモータ87がキャリッジ86を駆動ベルト88で牽引することで印刷ヘッド84が摺動軸90(主走査方向軸)の軸方向(主走査方向X)に往復移動する。
【0027】
第二副走査駆動部82は、紙送りモータ89、紙送りモータ89の回転をプラテン85と図示しない用紙搬送ローラとに伝達する歯車列、駆動回路などを備える。紙送りモータ89がプラテン85と用紙搬送ローラとを回転させることで、主走査方向軸に交差する図3において紙面に垂直な方向(副走査方向)に印刷用紙91が移動する。
【0028】
制御部70は、CPU71、ROM72及びRAM73を備えている。CPU71はROM72に記憶されたコンピュータプログラムを実行して複合機1の各部を制御する。具体的には、制御部70は、印刷プログラムを実行して主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録させる処理、テスト印刷プログラムを実行してテストパターンを印刷させる処理、調整値補正プログラムを実行して主走査方向の記録位置のズレを検出し、検出結果に基づいて調整値を補正する処理などを行う。ROM72は例えばプログラマブルROMなどの不揮発性メモリであり、印刷プログラム、テスト印刷プログラム、調整値補正プログラム、調整値などを記憶しているメモリであり、RAM73はプログラム、各種のデータなどを一時的に記憶するメモリである。
【0029】
以上、複合機1の構成を説明した。次に記録位置のズレを検出するためのテストパターンについて説明する。
図5(A)は、第一実施例のテストパターンを表す図である。第一線5aは主走査方向の往路で記録されるドットのみで形成される線であり、第二線5bは復路で記録されるドットのみで形成される線である。図示するように第一線5aと第二線5bとは副走査方向Yに延びており、第二線5bの副走査方向Yの上側の端部は第一線5aの副走査方向上側の端部から副走査方向に幅Vだけずれている。ここで副走査方向Yは図3において紙面に垂直な方向である。従って、副走査方向Yの上側の端部の位置を比較することで第一線5aと第二線5bとを識別できる。尚、以後の説明においては理解を容易にするためノズルが一つだけの場合について説明する。ノズルが複数ある場合は図5(A)に示すテストパターンがノズル毎に印刷されることになる。
【0030】
図6(A)は、画像データの一画素が表す幅とドットの間隔とを比較する模式図である。図6(A)に示すように画像データの一画素が表す幅がドットの間隔より小さいとドットの間隔より小さいズレを画素数で表すことができるため、ドット単位でズレを調整することができ、さらにドットの間隔より小さいズレについても調整することが可能である。記録位置のズレがドットの間隔より小さいと一般に人が視認することは困難なため、ズレの調整としては十分であるといえる。
【0031】
ここで記録位置のズレと調整値とについて説明する。記録位置のズレとは印刷したテストパターンにおいて第一線5aと第二線5bとの主走査方向の相対的な位置を表す値のことをいい、第一実施例では記録位置のズレを画素数で表すものとする。例えば記録位置のズレがないよう調整された複合機で印刷されたとき第二線5bが第一線5aの右側に印刷され且つそのテストパターンを読み取った画像データにおいて第一線5aと第二線5bとが3画素ずれるよう設定されたテストパターンを印刷したとする。印刷された上記のテストパターンを読み取った結果、第二線5bが第一線5aの右側にあるものの、第一線5aと第二線5bとの画素数のズレが5画素であったとすると、記録位置のズレは+2画素と表すものとする。また、例えば第二線5bが第一線5aの左側に印刷され、第二線5bと第一線5aとの画素数のズレが1画素であったとすると、記録位置のズレは−4画素と表すものとする。調整値とは、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを減少させるための値であり、検出した記録位置のズレから一意に特定される値である。第一実施例では検出した記録位置のズレ、すなわち符号付きの画素数をそのまま調整値として用いるものとする。
【0032】
図1は本発明の第一実施例に係る複合機1が調整値を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
S105では、ユーザは所定の操作を行ってテストパターンの印刷指示を入力する。
【0033】
S110では、制御部70はテスト印刷プログラムを実行してヘッド駆動部83、第二主走査駆動部81及び第二副走査駆動部82を制御し、テストパターンを印刷させる。テストパターンの印刷においては、制御部70は図5(A)に示す第一線5aを往路で記録するドットのみで形成し、第二線5bを復路で記録するドットのみで形成するよう制御する。
【0034】
S115では、ユーザはテストパターンが印刷された原稿を原稿台11に載置し、所定の操作を行って補正指示を入力する。
S120では、制御部70は光学系20、第一主走査駆動部51、第一副走査駆動部52及び処理部60を制御してテストパターンを読み取り、テストパターンを表す画像データを作成させる。
【0035】
S125では、画像データに基づいて主走査方向の記録位置のズレを検出する。具体的には、制御部70は調整値補正プログラムを実行して画像データにおいて第一線5aを表す画素と第二線5bを表す画素とを抽出し、記録位置のズレを画素数として検出する。
【0036】
S130では、検出結果に基づいて調整値を補正する。具体的には、制御部70は記録位置のズレを表す値を新しい調整値とし、ROM72に記憶されている既存の調整値を新しい調整値で上書き更新する。例えば記録位置のズレが+2画素と検出された場合、補正後の調整値の値は+2となる。
【0037】
以上により調整値の補正が完了する。
図7は、制御部70が調整値を用いてドットを記録させる処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
S205では、ユーザは所定の操作を行って画像データの印刷指示を入力する。
S210では、制御部70は印刷プログラムを実行し、ROM72に記録された調整値から遅延量設定値を求め、ヘッド駆動部83に出力する。
【0039】
S215では、制御部70は画像データを印刷信号に変換してヘッド駆動部83に出力する。このとき制御部70は主走査の往路と復路との双方で印刷用紙91にドットを印刷させるようヘッド駆動部83を制御する。ヘッド駆動部83は遅延量設定値に応じてタイミングを調整しつつ印刷信号に基づいてピエゾ素子に駆動電圧を印加する。同時に制御部70は印刷ヘッドを主走査方向に往復移動させるよう第二主走査駆動部81を制御し、印刷用紙91を副走査方向に紙送りさせるよう第二副走査駆動部82を制御する。
【0040】
以上により往路及び復路で記録するドットの記録位置のズレが減少し、記録位置のズレの少ない高品質の画像が印刷される。
尚、第一実施例に係る複合機1は復路で記録するドットの記録のタイミングを調整することで記録位置のズレを減少させているが、往路で記録するドットのタイミングを調整してもよい。
【0041】
また、第一実施例では印刷ヘッド84がドットを記録するタイミングを調整することで記録位置のズレを減少させるが、印刷ヘッド84と印刷用紙91とは相対移動することから、記録位置のズレは第二主走査駆動部81が印刷ヘッド84を牽引するタイミングを調整することで減少させてもよい。具体的には、キャリッジモータ87に駆動電圧を印加し始めるタイミングを調整することで印刷ヘッド84がドットを記録する位置を調整し、それによりズレを減少させてもよい。また、印刷ヘッド84を固定して印刷用紙91を移動させる場合は印刷用紙91を移動させるタイミングを調整することでズレを減少させてもよい。
【0042】
以上説明した第一実施例に係る複合機1は、印刷されたテストパターンをリニアイメージセンサ41を用いて読み取り、読み取った結果に基づいて調整値を補正する。従ってユーザは調整値の補正に必要な情報を入力する必要がなく、補正に要する手間を低減できる。すなわち、記録位置のズレの補正に要する手間を低減できる。よって第一実施例に係る複合機1によると、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを容易に補正できる
【0043】
更に、第一実施例に係る複合機1は、記録位置のズレをリニアイメージセンサ41を用いて検出する。よって第一実施例に係る複合機1によると、記録位置のズレを検出するための専用のセンサを用いることなく記録位置のズレを補正できる。従って複合機1の製造コストを低減できる。
【0044】
尚、第一実施例では画像読み取り装置としてフラットベッド型のイメージスキャナを例に説明したが、画像読み取り装置はシートフィード型のイメージスキャナであってもよい。
【0045】
また、第一実施例では第一線5a及び第二線5bとして直線を例に説明したが、第一線5a及び第二線5bは副走査方向に延びていれば点線であってもよい。
また、第一実施例の第二線5bは、副走査方向Yの上側の端部が第一線5aの副走査方向上側の端部から副走査方向に幅Vだけずれているが、第二線5bは第一線5aに対して副走査方向にずれていなくてもよい。例えば第一線5aを実線、第二線5bを破線とすることでずれていなくても第一線5aと第二線5bとを識別できる。
【0046】
(第二実施例)
第二実施例では、作成する画像データの一画素が表す幅が記録するドットの間隔より広い画像入出力装置としての複合機2を例に説明する。一画素が表す幅がドットの間隔より広いと、第一実施例と同様の方法ではドット単位でズレを調整することができない。これは、例えば図6(B)に模式的に示すように1つの画素が第一線5aと第二線5bとを同時に表してしまう場合があるからである。このため第二実施例では、複数組の線の対が印刷されたテストパターンを用いて調整値を補正する。尚、第二実施例においては第一実施例と実質的に同一な部分については説明を省略する。
【0047】
図5(B)は、第二実施例におけるテストパターンを表す図である。図示するように第一線5aは印刷ヘッド84の主走査方向Xに間隔Pで等間隔に配列され、第二線5bは主走査方向Xに間隔Pより短い間隔Qで等間隔に配列されている。第一線5aは最も近傍に存在する第二線5bと対を成している。すなわち、第二実施例におけるテストパターンは、第一線5aに対する第二線5bの主走査方向の位置が互いに異なる複数の対を有し、且つ等間隔に配列された第一線5aと等間隔に配列された第二線5bとを有するテストパターンである。尚、第二実施例では各対の下に対を識別するための番号を併せて印刷している。図5(B)に示すテストパターンは、記録位置のズレがないよう調整された複合機で印刷されたとき左から5番目の対において第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が一致するよう設定されたテストパターンである。複合機2で印刷した結果、左から6番目の対において第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が一致したとする。復路では印刷ヘッド84は左から右に相対移動するとすると、複合機2は復路でドットを記録するタイミングがP−Qの距離に相当するタイミングだけ進んでいることになり、逆に左から4番目の対において第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が一致したとすると、複合機2は復路でドットを記録するタイミングがP−Qに相当するタイミングだけ遅れていることになる。尚、以後の説明では左から何番目の対であるかを表す番号をズレ調整番号というものとする。
【0048】
図8は、ズレ調整番号と調整値とを対応付けて格納した調整値テーブルHを示す図である。第二実施例でいう調整値は各対に予め設定されたズレを距離(μm)で表すものであり、第二実施例の制御部70は印刷時に距離に応じた遅延量設定値を算出するものとする。調整値テーブルHは予めROMに記憶されているテーブルである。第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が最も近接する対を特定すれば当該対のズレ調整番号を特定することができ、調整値テーブルHから調整値を特定できる。
【0049】
尚、第二実施例のテストパターンは主走査方向に配列された複数の対を有するものであるが、複数の対は副走査方向に所定の間隔をおいて配列されてもよい。
次に、画像データに基づいて調整値を補正する処理を説明する。
【0050】
図9は、画像データに基づいて調整値を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
S305では、ユーザはテストパターンが印刷された原稿を原稿台11に載置し、所定の操作を行って補正指示を入力する。
【0051】
S310では、制御部70は光学系20、第一主走査駆動部51、第一副走査駆動部52及び処理部60を制御してテストパターンを読み取り、テストパターンを表す画像データを作成する。
【0052】
S315では、制御部70は調整値補正プログラムを実行して画像データに基づいて第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が最も近接する対を特定し、ズレ調整番号を特定する。尚、その対を特定する処理の詳細については後述する。
【0053】
S320では、制御部70は特定したズレ調整番号に基づいて調整値を補正する。制御部70はS315で判定したズレ調整番号に対応する調整値を調整値テーブルから取得し、ROM72に記憶されている従来の調整値を、取得した調整値で更新する。これにより調整値を補正する。
【0054】
次に、S315における処理の詳細について説明する。S315では、テストパターンを表す画像データにおいて第一線5aと第二線5bとが副走査方向に重なる範囲を表す画素から副走査方向の一列分の画素を抽出し、抽出した一列分の画素の輝度に基づいて対を特定する。
【0055】
図10は、印刷したテストパターンにおいて対象となる副走査方向の一列分の画素に対応する直線Lを示す図である。
図11は、直線L上に並ぶ一列分の画素の輝度を、一列分の画素に左から順に割り当てた番号(画素番号)を横軸とし輝度を縦軸とする座標平面上にプロットして作成したグラフ(以後、「調整グラフ」という)である。S315では、座標平面上の各点に二値を割り当てることにより図11に示す調整グラフを表す画像データを作成する。調整グラフにおける各立ち下がりパルスは第一線5a又は第二線5bのいずれか一方による輝度の変化を表している。図10において左右の端にある対ほど第一線5aと第二線5bとが離れているため、すなわち近接していないため、図11において第一線5aの輝度を表すパルスと第二線5bの輝度を表すパルスとは独立した2つのパルスとして表れる。第一線5aと第二線5bとが最も近接する対に近づくにつれて二つのパルスは重なって一つのパルスとして表されるようになり、重なったパルスの幅は第一線5aと第二線5bとが最も近接する対において最も狭くなる。
【0056】
図12は、S315における処理の流れを示すフローチャートである。
S405では、印刷したテストパターンを表す画像データにおいて第一線5aと第二線5bとが副走査方向に重なる範囲を表す画素から副走査方向の一列分の画素を抽出し、調整グラフを作成する。
【0057】
S410では、調整グラフに基づいてパルスを検出する。基準線K上に並ぶ一列分の画素について順に二値を検出していくと、二値の変化によりパルスを検出できる。パルスを検出すると、次に所定の範囲内に他のパルスが存在するパルスを除外する。所定の範囲内に他のパルスがある場合、それは第一線5aと第二線5bとが近接していないことを表しているからである。基準線Kはパルスの幅が明確に表れるよう調整グラフにおいて縦軸のなるべく上の方に設定するものとし、図11に示す例では輝度が200の位置に水平に設定するものとする。
【0058】
S415では、所定の範囲内に他のパルスが存在しないパルスについて、パルス幅を求める。ここでいうパルス幅とは、パルスの立ち下がり部分から立ち上がり部分までの間にある画素数をいう。図6(B)に示すように1つの画素が第一線5aと第二線5bとを同時に表してしまう場合はパルス幅を0とする。
【0059】
S420では、求めたパルス幅のうち、最も幅の狭いパルスに対応する対を第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が最も近接する対として抽出する。このとき、図6(B)に示すように第一線5aと第二線5bとが1つの画素で表されてしまう対が複数存在すると、すなわちパルス幅が0となる対が複数存在すると、パルス幅からは主走査方向の位置が最も近接する対を特定できない。この場合はパルス幅が0となる複数の対の中心の対を最も近接する対とする。例えば図10において左から4、5及び6番目の対においてパルス幅が0となった場合、中心にある5番目の対を最も近接する対として抽出する。尚、左から4及び5番目の対においてパルス幅が0となった場合、すなわちパルス幅が0となる対の数が偶数である場合はいずれか一方を任意に選択してもよいし、パルス幅の減少及び増加の傾向から最も近接する対を推定してもよい。
【0060】
以上説明した第二実施例の複合機2は、第一線5aに対する第二線5bの主走査方向の位置が互いに異なる複数の対を有し、且つ等間隔に配列された第一線5aと等間隔に配列された第二線5bとを有するテストパターンを用いる。すなわち対が第一線5aに対する第二線5bの主走査方向の位置に応じた順で並ぶテストパターンを用いる。これにより対の並び順から主走査方向の位置が最も近接する対を特定でき、記録位置のズレを検出できる。すなわち複合機2によると、複合機2が作成する画像データの一画素が表す幅より小さい記録位置のズレを検出できる。
【0061】
尚、第二実施例の第二線5bは、副走査方向Yの上側の端部が第一線5aの副走査方向上側の端部から副走査方向に幅Vだけずれているが、第二線5bは第一線5aに対して副走査方向にずれていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係る画像入出力装置がテストパターンを印刷する処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の第一実施例に係る画像入出力装置を示す模式図である。
【図3】本発明の第一実施例に係る画像入出力装置の構成を示す模式図である
【図4】本発明の第一実施例に係る画像入出力装置を示すブロック図である。
【図5】(A)は第一実施例のテストパターンを表す図であり、(B)は第二実施例のテストパターンを表す図である。
【図6】(A)は第一実施例におけるドットと画素の幅を比較する模式図であり、(B)は第二実施例におけるドットと画素の幅を比較する模式図である。
【図7】本発明の第一実施例において制御部が調整値を用いてドットを記録させる処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第二実施例に係る画像入出力装置が調整値を予め格納しているテーブルを示す図である
【図9】本発明の第二実施例に係る画像入出力装置が調整値を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第二実施例において副走査方向の一列分の画素に対応する直線を示す図である。
【図11】本発明の第二実施例において抽出した一列分の画素の輝度の変化を表す図である。
【図12】図9のS315における処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 複合機
20 光学系
41 リニアイメージセンサ
52 第一副走査駆動部
60 処理部
70 制御部(印刷手段、テスト印刷手段、調整値補正手段)
81 第二主走査駆動部
82 第二副走査駆動部
83 ヘッド駆動部
84 印刷ヘッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像入出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像の読み取りと画像の印刷とが可能な画像入出力装置として、プリンタとイメージスキャナなどの画像読み取り装置とを一体化した所謂複合機が知られている。
【0003】
また、複合機の一つとして、印刷速度を向上させるために主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録する双方向印刷を行うプリンタが一体化されたものが知られている。
【0004】
双方向印刷を行うプリンタの場合、プラテンの反りや印刷ヘッドを主走査方向に駆動する駆動系の摩耗などに起因して、往路で記録したドットと復路で記録したドットとの記録位置がずれるという問題が生じ易い。このため従来の複合機では、記録位置のズレを補正するためのテストパターンを印刷し、印刷結果に基づいてユーザに補正情報を入力させ、入力させた補正情報に基づいて記録位置のズレを補正することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補正項目は多岐に渡り、従来の複合機では補正を行うためにユーザが行わなければならない作業工程の数が10を越える場合があるなど、ユーザにとって負担が大きいという問題がある。例えばプリンタがインクジェットプリンタであり、黒のインクを吐出するノズルを3つ備えたものであるとする。印刷指示を入力する工程は一度でよいとしても、ノズルが複数ある場合はテストパターンをノズル毎に印刷する必要があるため、各ノズルで印刷したテストパターン毎に入力すべき補正情報を判定する工程、判定した補正情報を入力する工程、入力した補正情報を確認する工程などで計10工程が必要となる。カラー印刷が可能なインクジェットプリンタでノズルの数が多い場合は更に工程が増えることになる。また、プリンタや複合機が備える表示装置は表示領域が狭いなどでユーザにとって補正の操作が行いにくい場合が多く、そうした場合更に負担が大きくなっている。
【0006】
従来の複合機には、そうした問題を解決する手段として印刷ヘッドに記録位置のズレを検出するための専用のセンサを備え、印刷しつつセンサでズレを検出することでユーザに補正情報を入力させることなく補正できるものがある。しかしながら、そうした複合機の場合はズレの検出のために専用のセンサを備えなければならず、複合機の製造コストが増大するという問題がある。
【0007】
本発明は上述の問題に鑑みて創作されたものであって、その目的は主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを容易に補正できる画像入出力装置を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを、記録位置のズレを検出するための専用のセンサを用いることなく補正できる画像入出力装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の画像入出力装置は、リニアイメージセンサと、原稿を照射する光源を有しリニアイメージセンサに原稿の走査線上の光学像を入力する光学系と、リニアイメージセンサと原稿とを走査線に交差する副走査方向に相対移動させる第一副走査駆動部と、リニアイメージセンサの出力信号に基づいて画像データを作成する処理部と、印刷媒体にドットを記録する印刷ヘッドと、印刷ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、印刷ヘッドと印刷媒体とを主走査方向に相対的に往復移動させる第二主走査駆動部と、印刷ヘッドと印刷媒体とを主走査方向軸に交差する副走査方向に相対移動させる第二副走査駆動部と、ヘッド駆動部、第二主走査駆動部及び第二副走査駆動部を制御する制御部とを備え、制御部は、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを減少させるための調整値を用いて、ヘッド駆動部、第二主走査駆動部及び第二副走査駆動部に主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録させる印刷手段と、ヘッド駆動部、第二主走査駆動部及び第二副走査駆動部にズレを検出するためのテストパターンを印刷させるテスト印刷手段と、リニアイメージセンサの出力信号に基づいて処理部で作成される画像データであって印刷されたテストパターンを表す画像データに基づいてズレを検出し、検出結果に基づいて調整値を補正する調整値補正手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
この画像入出力装置は、印刷されたテストパターンを表す画像データに基づいてズレを検出し、検出結果に基づいて調整値を補正する。従って、ユーザは調整値の補正に必要な情報を入力する必要がない。よってこの画像入出力装置によると、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを容易に補正できる。更に、この画像入出力装置はテストパターンを表す画像データに基づいてズレを検出するが、その画像データはリニアイメージセンサの出力信号に基づいて処理部で作成される画像データである。すなわち、テストパターンを表す画像データの作成にリニアイメージセンサを用いている。従って記録位置のズレを検出するための専用のセンサを備える必要がない。よってこの画像入出力装置によると、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを、記録位置のズレを検出するための専用のセンサを用いることなく補正できる。
【0011】
請求項2に記載の画像入出力装置のテストパターンは、主走査方向の往路で記録されるドットで形成され副走査方向に延びる第一線と、主走査方向の復路で記録されるドットで形成され副走査方向に延びる第二線とを有することを特徴とする。この画像入出力装置によると、第一線が主走査方向の往路で記録されるドットで形成され、第二線が主走査方向の復路で記録されるドットで形成されるため、第一線と第二線とから主走査方向の記録位置のズレを検出できる。
【0012】
請求項3に記載の画像入出力装置のテストパターンの第二線は、副走査方向の一側の端部が第一線の副走査方向の同じ側の端部から副走査方向に所定の間隔ずれていることを特徴とする。この画像入出力装置によると、第二線の副走査方向の一側の端部と第一線の副走査方向の同じ側の端部のずれにより第一線と第二線とを識別できる。
【0013】
請求項4に記載の画像入出力装置のテストパターンは、第一線と第二線の対であって、第一線に対する第二線の主走査方向の位置が互いに異なる対を複数有することを特徴とする。この画像入出力装置によると、第一線と第二線との主走査方向の位置が最も近接する対を特定することで、テストパターンにおいて当該対に予め設定されている主走査方向のズレなどから記録位置のズレを検出できる。
【0014】
請求項5に記載の画像入出力装置のテストパターンは、等間隔に配列された複数の第一線と、等間隔に配列された複数の第二線とを有することを特徴とする。この画像入出力装置によると、印刷されたテストパターンにおいて第一線と第二線との主走査方向の間隔が主走査方向に順に検出されると、第一線と第二線との間隔は第一線と第二線との主走査方向の位置が最も近接している対まで徐々に狭くなり、その対を境に徐々に広くなる。従って第一線と第二線との間隔の減少及び増大の傾向から第一線と第二線との主走査方向の位置が最も近接する対を特定することができる。対が特定できればテストパターンにおいて当該対に予め設定されている主走査方向のズレなどから記録位置のズレを検出できる。すなわち請求項5に記載の画像入出力装置によると、画像入出力装置が作成する画像データの一画素が表す幅より小さい記録位置のズレを検出できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を複数の実施例に基づいて説明する。
(第一実施例)
【0016】
図2は、本発明の第一実施例に係る画像入出力装置を示す模式図である。第一実施例に係る画像入出力装置は、画像読み取り装置としての所謂フラットベッド型のイメージスキャナと、主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録するインクジェットプリンタとが一体化された所謂複合機1である。第一実施例では、複合機1が作成する画像データの一画素が表す幅が複合機1が記録するドットの間隔より狭い場合を例に説明する。
【0017】
図3は複合機1の構成を示す模式図である。図4は複合機1を示すブロック図である。以下、図3及び図4に基づいて複合機1の構成を説明する。
原稿台11は、概ね矩形のガラス板等の透明板で構成され、その盤面12にテストパターンを印刷した用紙、写真、印刷文書等の原稿Mが載置される。
【0018】
リニアイメージセンサ41は、RGB各色の受光素子が図3において紙面垂直方向に直線状に並ぶ姿勢でキャリッジ30に搭載されている。リニアイメージセンサ41はRGB各色について各1列の受光素子が配列されているものでもよいし、2列以上の受光素子が配列されているものでもよい。リニアイメージセンサ41は、光学系により入力される走査線上の光学像を走査し、その光学像の濃淡に相関する電気信号を出力する。リニアイメージセンサ41は、可視光、赤外光、紫外光等、所定の波長領域の光を光電変換して得られる電荷をフォトダイオード等の受光素子に一定時間蓄積し、受光素子ごとの受光量に応じた電気信号をCCD(Charge Coupled Device)、MOSトランジスタスイッチ等を用いて出力する。
【0019】
光学系20は、光源21、ミラー22及びレンズ23で構成され、キャリッジ30に搭載されている。光源21は蛍光管ランプ等の管照明装置から構成される。光源21は原稿Mの走査線近傍を照射し、ミラー22及びレンズ23は照射された原稿Mの走査線上の反射光像をリニアイメージセンサ41に結像させる。これにより原稿Mの走査線上の光学像をリニアイメージセンサ41に入力する。尚、光源21の位置を変えて原稿の透過光像をリニアイメージセンサ41に結像させるようにしてもよい。
【0020】
第一主走査駆動部51は、リニアイメージセンサ41を駆動するために必要な駆動パルスをリニアイメージセンサ41に出力する駆動回路である。第一主走査駆動部51は、例えば同期信号発生器、駆動用タイミングジェネレータ等から構成される。
【0021】
第一副走査駆動部52は、走査線の長手方向軸に垂直に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸13、キャリッジモータ54、駆動ベルト53、駆動回路などを備えている。キャリッジモータ54がキャリッジ30を駆動ベルト53で牽引することでリニアイメージセンサ41と原稿Mとが走査線に垂直な方向W(副走査方向)に相対移動するため、二次元画像の走査が可能となる。
【0022】
処理部60は、AFE(Analog Front End)部61及びディジタル画像処理部62を備える。
AFE部61は、アナログ信号処理部、A/D変換器等から構成される。アナログ信号処理部は、リニアイメージセンサ41から出力された電気信号に対して増幅、雑音低減処理等のアナログ信号処理を施して出力する。A/D変換器は、アナログ信号処理部から出力された電気信号を所定ビット長のディジタル表現の出力信号に量子化して出力する。
【0023】
ディジタル画像処理部62は、AFE部61から出力された出力信号に対し、ガンマ補正、画素補間法による欠陥画素の補間、シェーディング補正、画像信号の鮮鋭化等の処理を行って画像データを作成する。尚、ディジタル画像処理部62で施す上記各種の処理は、制御部70で実行するコンピュータプログラムによる処理に置き換えてもよい。
【0024】
印刷ヘッド84はキャリッジ86に設けられ、インクを吐出するノズル84a、ピエゾ素子84b、インク通路84cなどを備える。ピエゾ素子84bはインクを導くインク通路84cの側壁に接する位置に設けられ、駆動電圧が印加されると急速に伸長してインク通路84cの側壁を変形させる。インク通路84cの体積はピエゾ素子84bの伸張に応じて収縮し、その収縮分に相当するインクがノズル84aから高速に吐出される。これにより印刷ヘッド84は記録媒体としての印刷用紙91にドットを記録する。
【0025】
ヘッド駆動部83は、制御部70から出力された印刷信号に基づいて駆動電圧をピエゾ素子84bに印加する回路である。ドットの記録は印刷ヘッド84と印刷用紙91とを主走査方向に相対的に往復移動させて行うため、ドットが所定の位置に記録されるよう、後述する第二主走査駆動部81によるキャリッジモータ87への駆動電圧の印加とヘッド駆動部83によるピエゾ素子84bへの駆動電圧の印加とは同期をとって行われる。従ってヘッド駆動部83は、キャリッジモータ87へ印可される駆動電圧に対し、ピエゾ素子84bへ駆動電圧を印加し始めるタイミングを調整することでドットの記録位置を調整することができる。ヘッド駆動部83はそのタイミングを制御部70から出力される遅延量設定値に応じて調整する。ここで遅延量設定値とは後述する調整値から一意に求められる値であり、ヘッド駆動部83がクロックジェネレータを備えている場合であれば例えばクロック数などである。クロック数の場合であればヘッド駆動部83はクロック数に応じて駆動電圧を印加し始めるタイミングを調整する。このため制御部70は、調整値から遅延量設定値を算出し、算出した遅延量設定値をヘッド駆動部83に出力することで印刷ヘッド84がドットを記録するタイミングを制御できる。
【0026】
第二主走査駆動部81は、プラテン85の軸と平行に架設されキャリッジ86を摺動可能に保持する摺動軸90、キャリッジモータ87、駆動ベルト88、駆動回路などを備える。キャリッジモータ87がキャリッジ86を駆動ベルト88で牽引することで印刷ヘッド84が摺動軸90(主走査方向軸)の軸方向(主走査方向X)に往復移動する。
【0027】
第二副走査駆動部82は、紙送りモータ89、紙送りモータ89の回転をプラテン85と図示しない用紙搬送ローラとに伝達する歯車列、駆動回路などを備える。紙送りモータ89がプラテン85と用紙搬送ローラとを回転させることで、主走査方向軸に交差する図3において紙面に垂直な方向(副走査方向)に印刷用紙91が移動する。
【0028】
制御部70は、CPU71、ROM72及びRAM73を備えている。CPU71はROM72に記憶されたコンピュータプログラムを実行して複合機1の各部を制御する。具体的には、制御部70は、印刷プログラムを実行して主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録させる処理、テスト印刷プログラムを実行してテストパターンを印刷させる処理、調整値補正プログラムを実行して主走査方向の記録位置のズレを検出し、検出結果に基づいて調整値を補正する処理などを行う。ROM72は例えばプログラマブルROMなどの不揮発性メモリであり、印刷プログラム、テスト印刷プログラム、調整値補正プログラム、調整値などを記憶しているメモリであり、RAM73はプログラム、各種のデータなどを一時的に記憶するメモリである。
【0029】
以上、複合機1の構成を説明した。次に記録位置のズレを検出するためのテストパターンについて説明する。
図5(A)は、第一実施例のテストパターンを表す図である。第一線5aは主走査方向の往路で記録されるドットのみで形成される線であり、第二線5bは復路で記録されるドットのみで形成される線である。図示するように第一線5aと第二線5bとは副走査方向Yに延びており、第二線5bの副走査方向Yの上側の端部は第一線5aの副走査方向上側の端部から副走査方向に幅Vだけずれている。ここで副走査方向Yは図3において紙面に垂直な方向である。従って、副走査方向Yの上側の端部の位置を比較することで第一線5aと第二線5bとを識別できる。尚、以後の説明においては理解を容易にするためノズルが一つだけの場合について説明する。ノズルが複数ある場合は図5(A)に示すテストパターンがノズル毎に印刷されることになる。
【0030】
図6(A)は、画像データの一画素が表す幅とドットの間隔とを比較する模式図である。図6(A)に示すように画像データの一画素が表す幅がドットの間隔より小さいとドットの間隔より小さいズレを画素数で表すことができるため、ドット単位でズレを調整することができ、さらにドットの間隔より小さいズレについても調整することが可能である。記録位置のズレがドットの間隔より小さいと一般に人が視認することは困難なため、ズレの調整としては十分であるといえる。
【0031】
ここで記録位置のズレと調整値とについて説明する。記録位置のズレとは印刷したテストパターンにおいて第一線5aと第二線5bとの主走査方向の相対的な位置を表す値のことをいい、第一実施例では記録位置のズレを画素数で表すものとする。例えば記録位置のズレがないよう調整された複合機で印刷されたとき第二線5bが第一線5aの右側に印刷され且つそのテストパターンを読み取った画像データにおいて第一線5aと第二線5bとが3画素ずれるよう設定されたテストパターンを印刷したとする。印刷された上記のテストパターンを読み取った結果、第二線5bが第一線5aの右側にあるものの、第一線5aと第二線5bとの画素数のズレが5画素であったとすると、記録位置のズレは+2画素と表すものとする。また、例えば第二線5bが第一線5aの左側に印刷され、第二線5bと第一線5aとの画素数のズレが1画素であったとすると、記録位置のズレは−4画素と表すものとする。調整値とは、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを減少させるための値であり、検出した記録位置のズレから一意に特定される値である。第一実施例では検出した記録位置のズレ、すなわち符号付きの画素数をそのまま調整値として用いるものとする。
【0032】
図1は本発明の第一実施例に係る複合機1が調整値を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
S105では、ユーザは所定の操作を行ってテストパターンの印刷指示を入力する。
【0033】
S110では、制御部70はテスト印刷プログラムを実行してヘッド駆動部83、第二主走査駆動部81及び第二副走査駆動部82を制御し、テストパターンを印刷させる。テストパターンの印刷においては、制御部70は図5(A)に示す第一線5aを往路で記録するドットのみで形成し、第二線5bを復路で記録するドットのみで形成するよう制御する。
【0034】
S115では、ユーザはテストパターンが印刷された原稿を原稿台11に載置し、所定の操作を行って補正指示を入力する。
S120では、制御部70は光学系20、第一主走査駆動部51、第一副走査駆動部52及び処理部60を制御してテストパターンを読み取り、テストパターンを表す画像データを作成させる。
【0035】
S125では、画像データに基づいて主走査方向の記録位置のズレを検出する。具体的には、制御部70は調整値補正プログラムを実行して画像データにおいて第一線5aを表す画素と第二線5bを表す画素とを抽出し、記録位置のズレを画素数として検出する。
【0036】
S130では、検出結果に基づいて調整値を補正する。具体的には、制御部70は記録位置のズレを表す値を新しい調整値とし、ROM72に記憶されている既存の調整値を新しい調整値で上書き更新する。例えば記録位置のズレが+2画素と検出された場合、補正後の調整値の値は+2となる。
【0037】
以上により調整値の補正が完了する。
図7は、制御部70が調整値を用いてドットを記録させる処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
S205では、ユーザは所定の操作を行って画像データの印刷指示を入力する。
S210では、制御部70は印刷プログラムを実行し、ROM72に記録された調整値から遅延量設定値を求め、ヘッド駆動部83に出力する。
【0039】
S215では、制御部70は画像データを印刷信号に変換してヘッド駆動部83に出力する。このとき制御部70は主走査の往路と復路との双方で印刷用紙91にドットを印刷させるようヘッド駆動部83を制御する。ヘッド駆動部83は遅延量設定値に応じてタイミングを調整しつつ印刷信号に基づいてピエゾ素子に駆動電圧を印加する。同時に制御部70は印刷ヘッドを主走査方向に往復移動させるよう第二主走査駆動部81を制御し、印刷用紙91を副走査方向に紙送りさせるよう第二副走査駆動部82を制御する。
【0040】
以上により往路及び復路で記録するドットの記録位置のズレが減少し、記録位置のズレの少ない高品質の画像が印刷される。
尚、第一実施例に係る複合機1は復路で記録するドットの記録のタイミングを調整することで記録位置のズレを減少させているが、往路で記録するドットのタイミングを調整してもよい。
【0041】
また、第一実施例では印刷ヘッド84がドットを記録するタイミングを調整することで記録位置のズレを減少させるが、印刷ヘッド84と印刷用紙91とは相対移動することから、記録位置のズレは第二主走査駆動部81が印刷ヘッド84を牽引するタイミングを調整することで減少させてもよい。具体的には、キャリッジモータ87に駆動電圧を印加し始めるタイミングを調整することで印刷ヘッド84がドットを記録する位置を調整し、それによりズレを減少させてもよい。また、印刷ヘッド84を固定して印刷用紙91を移動させる場合は印刷用紙91を移動させるタイミングを調整することでズレを減少させてもよい。
【0042】
以上説明した第一実施例に係る複合機1は、印刷されたテストパターンをリニアイメージセンサ41を用いて読み取り、読み取った結果に基づいて調整値を補正する。従ってユーザは調整値の補正に必要な情報を入力する必要がなく、補正に要する手間を低減できる。すなわち、記録位置のズレの補正に要する手間を低減できる。よって第一実施例に係る複合機1によると、主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを容易に補正できる
【0043】
更に、第一実施例に係る複合機1は、記録位置のズレをリニアイメージセンサ41を用いて検出する。よって第一実施例に係る複合機1によると、記録位置のズレを検出するための専用のセンサを用いることなく記録位置のズレを補正できる。従って複合機1の製造コストを低減できる。
【0044】
尚、第一実施例では画像読み取り装置としてフラットベッド型のイメージスキャナを例に説明したが、画像読み取り装置はシートフィード型のイメージスキャナであってもよい。
【0045】
また、第一実施例では第一線5a及び第二線5bとして直線を例に説明したが、第一線5a及び第二線5bは副走査方向に延びていれば点線であってもよい。
また、第一実施例の第二線5bは、副走査方向Yの上側の端部が第一線5aの副走査方向上側の端部から副走査方向に幅Vだけずれているが、第二線5bは第一線5aに対して副走査方向にずれていなくてもよい。例えば第一線5aを実線、第二線5bを破線とすることでずれていなくても第一線5aと第二線5bとを識別できる。
【0046】
(第二実施例)
第二実施例では、作成する画像データの一画素が表す幅が記録するドットの間隔より広い画像入出力装置としての複合機2を例に説明する。一画素が表す幅がドットの間隔より広いと、第一実施例と同様の方法ではドット単位でズレを調整することができない。これは、例えば図6(B)に模式的に示すように1つの画素が第一線5aと第二線5bとを同時に表してしまう場合があるからである。このため第二実施例では、複数組の線の対が印刷されたテストパターンを用いて調整値を補正する。尚、第二実施例においては第一実施例と実質的に同一な部分については説明を省略する。
【0047】
図5(B)は、第二実施例におけるテストパターンを表す図である。図示するように第一線5aは印刷ヘッド84の主走査方向Xに間隔Pで等間隔に配列され、第二線5bは主走査方向Xに間隔Pより短い間隔Qで等間隔に配列されている。第一線5aは最も近傍に存在する第二線5bと対を成している。すなわち、第二実施例におけるテストパターンは、第一線5aに対する第二線5bの主走査方向の位置が互いに異なる複数の対を有し、且つ等間隔に配列された第一線5aと等間隔に配列された第二線5bとを有するテストパターンである。尚、第二実施例では各対の下に対を識別するための番号を併せて印刷している。図5(B)に示すテストパターンは、記録位置のズレがないよう調整された複合機で印刷されたとき左から5番目の対において第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が一致するよう設定されたテストパターンである。複合機2で印刷した結果、左から6番目の対において第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が一致したとする。復路では印刷ヘッド84は左から右に相対移動するとすると、複合機2は復路でドットを記録するタイミングがP−Qの距離に相当するタイミングだけ進んでいることになり、逆に左から4番目の対において第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が一致したとすると、複合機2は復路でドットを記録するタイミングがP−Qに相当するタイミングだけ遅れていることになる。尚、以後の説明では左から何番目の対であるかを表す番号をズレ調整番号というものとする。
【0048】
図8は、ズレ調整番号と調整値とを対応付けて格納した調整値テーブルHを示す図である。第二実施例でいう調整値は各対に予め設定されたズレを距離(μm)で表すものであり、第二実施例の制御部70は印刷時に距離に応じた遅延量設定値を算出するものとする。調整値テーブルHは予めROMに記憶されているテーブルである。第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が最も近接する対を特定すれば当該対のズレ調整番号を特定することができ、調整値テーブルHから調整値を特定できる。
【0049】
尚、第二実施例のテストパターンは主走査方向に配列された複数の対を有するものであるが、複数の対は副走査方向に所定の間隔をおいて配列されてもよい。
次に、画像データに基づいて調整値を補正する処理を説明する。
【0050】
図9は、画像データに基づいて調整値を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
S305では、ユーザはテストパターンが印刷された原稿を原稿台11に載置し、所定の操作を行って補正指示を入力する。
【0051】
S310では、制御部70は光学系20、第一主走査駆動部51、第一副走査駆動部52及び処理部60を制御してテストパターンを読み取り、テストパターンを表す画像データを作成する。
【0052】
S315では、制御部70は調整値補正プログラムを実行して画像データに基づいて第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が最も近接する対を特定し、ズレ調整番号を特定する。尚、その対を特定する処理の詳細については後述する。
【0053】
S320では、制御部70は特定したズレ調整番号に基づいて調整値を補正する。制御部70はS315で判定したズレ調整番号に対応する調整値を調整値テーブルから取得し、ROM72に記憶されている従来の調整値を、取得した調整値で更新する。これにより調整値を補正する。
【0054】
次に、S315における処理の詳細について説明する。S315では、テストパターンを表す画像データにおいて第一線5aと第二線5bとが副走査方向に重なる範囲を表す画素から副走査方向の一列分の画素を抽出し、抽出した一列分の画素の輝度に基づいて対を特定する。
【0055】
図10は、印刷したテストパターンにおいて対象となる副走査方向の一列分の画素に対応する直線Lを示す図である。
図11は、直線L上に並ぶ一列分の画素の輝度を、一列分の画素に左から順に割り当てた番号(画素番号)を横軸とし輝度を縦軸とする座標平面上にプロットして作成したグラフ(以後、「調整グラフ」という)である。S315では、座標平面上の各点に二値を割り当てることにより図11に示す調整グラフを表す画像データを作成する。調整グラフにおける各立ち下がりパルスは第一線5a又は第二線5bのいずれか一方による輝度の変化を表している。図10において左右の端にある対ほど第一線5aと第二線5bとが離れているため、すなわち近接していないため、図11において第一線5aの輝度を表すパルスと第二線5bの輝度を表すパルスとは独立した2つのパルスとして表れる。第一線5aと第二線5bとが最も近接する対に近づくにつれて二つのパルスは重なって一つのパルスとして表されるようになり、重なったパルスの幅は第一線5aと第二線5bとが最も近接する対において最も狭くなる。
【0056】
図12は、S315における処理の流れを示すフローチャートである。
S405では、印刷したテストパターンを表す画像データにおいて第一線5aと第二線5bとが副走査方向に重なる範囲を表す画素から副走査方向の一列分の画素を抽出し、調整グラフを作成する。
【0057】
S410では、調整グラフに基づいてパルスを検出する。基準線K上に並ぶ一列分の画素について順に二値を検出していくと、二値の変化によりパルスを検出できる。パルスを検出すると、次に所定の範囲内に他のパルスが存在するパルスを除外する。所定の範囲内に他のパルスがある場合、それは第一線5aと第二線5bとが近接していないことを表しているからである。基準線Kはパルスの幅が明確に表れるよう調整グラフにおいて縦軸のなるべく上の方に設定するものとし、図11に示す例では輝度が200の位置に水平に設定するものとする。
【0058】
S415では、所定の範囲内に他のパルスが存在しないパルスについて、パルス幅を求める。ここでいうパルス幅とは、パルスの立ち下がり部分から立ち上がり部分までの間にある画素数をいう。図6(B)に示すように1つの画素が第一線5aと第二線5bとを同時に表してしまう場合はパルス幅を0とする。
【0059】
S420では、求めたパルス幅のうち、最も幅の狭いパルスに対応する対を第一線5aと第二線5bとの主走査方向の位置が最も近接する対として抽出する。このとき、図6(B)に示すように第一線5aと第二線5bとが1つの画素で表されてしまう対が複数存在すると、すなわちパルス幅が0となる対が複数存在すると、パルス幅からは主走査方向の位置が最も近接する対を特定できない。この場合はパルス幅が0となる複数の対の中心の対を最も近接する対とする。例えば図10において左から4、5及び6番目の対においてパルス幅が0となった場合、中心にある5番目の対を最も近接する対として抽出する。尚、左から4及び5番目の対においてパルス幅が0となった場合、すなわちパルス幅が0となる対の数が偶数である場合はいずれか一方を任意に選択してもよいし、パルス幅の減少及び増加の傾向から最も近接する対を推定してもよい。
【0060】
以上説明した第二実施例の複合機2は、第一線5aに対する第二線5bの主走査方向の位置が互いに異なる複数の対を有し、且つ等間隔に配列された第一線5aと等間隔に配列された第二線5bとを有するテストパターンを用いる。すなわち対が第一線5aに対する第二線5bの主走査方向の位置に応じた順で並ぶテストパターンを用いる。これにより対の並び順から主走査方向の位置が最も近接する対を特定でき、記録位置のズレを検出できる。すなわち複合機2によると、複合機2が作成する画像データの一画素が表す幅より小さい記録位置のズレを検出できる。
【0061】
尚、第二実施例の第二線5bは、副走査方向Yの上側の端部が第一線5aの副走査方向上側の端部から副走査方向に幅Vだけずれているが、第二線5bは第一線5aに対して副走査方向にずれていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例に係る画像入出力装置がテストパターンを印刷する処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明の第一実施例に係る画像入出力装置を示す模式図である。
【図3】本発明の第一実施例に係る画像入出力装置の構成を示す模式図である
【図4】本発明の第一実施例に係る画像入出力装置を示すブロック図である。
【図5】(A)は第一実施例のテストパターンを表す図であり、(B)は第二実施例のテストパターンを表す図である。
【図6】(A)は第一実施例におけるドットと画素の幅を比較する模式図であり、(B)は第二実施例におけるドットと画素の幅を比較する模式図である。
【図7】本発明の第一実施例において制御部が調整値を用いてドットを記録させる処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第二実施例に係る画像入出力装置が調整値を予め格納しているテーブルを示す図である
【図9】本発明の第二実施例に係る画像入出力装置が調整値を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第二実施例において副走査方向の一列分の画素に対応する直線を示す図である。
【図11】本発明の第二実施例において抽出した一列分の画素の輝度の変化を表す図である。
【図12】図9のS315における処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 複合機
20 光学系
41 リニアイメージセンサ
52 第一副走査駆動部
60 処理部
70 制御部(印刷手段、テスト印刷手段、調整値補正手段)
81 第二主走査駆動部
82 第二副走査駆動部
83 ヘッド駆動部
84 印刷ヘッド
Claims (5)
- リニアイメージセンサと、
原稿を照射する光源を有し前記リニアイメージセンサに前記原稿の走査線上の光学像を入力する光学系と、
前記リニアイメージセンサと前記原稿とを前記走査線に交差する副走査方向に相対移動させる第一副走査駆動部と、
前記リニアイメージセンサの出力信号に基づいて画像データを作成する処理部と、
印刷媒体にドットを記録する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、
前記印刷ヘッドと前記印刷媒体とを主走査方向に相対的に往復移動させる第二主走査駆動部と、
前記印刷ヘッドと前記印刷媒体とを前記主走査方向軸に交差する副走査方向に相対移動させる第二副走査駆動部と、
前記ヘッド駆動部、前記第二主走査駆動部及び前記第二副走査駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
主走査の往路で記録するドットと主走査の復路で記録するドットとの主走査方向の記録位置のズレを減少させるための調整値を用いて、前記ヘッド駆動部、前記第二主走査駆動部及び前記第二副走査駆動部に主走査の往路と復路との双方で印刷媒体にドットを記録させる印刷手段と、
前記ヘッド駆動部、前記第二主走査駆動部及び前記第二副走査駆動部に前記ズレを検出するためのテストパターンを印刷させるテスト印刷手段と、
前記リニアイメージセンサの出力信号に基づいて前記処理部で作成される画像データであって印刷された前記テストパターンを表す画像データに基づいて前記ズレを検出し、検出結果に基づいて前記調整値を補正する調整値補正手段と、
を有することを特徴とする画像入出力装置。 - 前記テストパターンは、主走査方向の往路で記録されるドットで形成され副走査方向に延びる第一線と、主走査方向の復路で記録されるドットで形成され副走査方向に延びる第二線とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像入出力装置。
- 前記第二線は、副走査方向の一側の端部が前記第一線の副走査方向の同じ側の端部から副走査方向に所定の間隔ずれていることを特徴とする請求項2に記載の画像入出力装置。
- 前記テストパターンは、前記第一線と前記第二線の対であって、前記第一線に対する前記第二線の主走査方向の位置が互いに異なる対を複数有することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像入出力装置。
- 前記テストパターンは、等間隔に配列された複数の前記第一線と、等間隔に配列された複数の前記第二線とを有することを特徴とする請求項4に記載の画像入出力装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002252955A JP2004090327A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 画像入出力装置 |
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JP (1) | JP2004090327A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012153021A (ja) * | 2011-01-26 | 2012-08-16 | Canon Inc | 記録装置および記録位置ずれ量の検出方法 |
US9662876B2 (en) | 2015-09-14 | 2017-05-30 | Seiko Epson Corporation | Liquid ejecting apparatus and method of forming adjustment pattern check area |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002252955A patent/JP2004090327A/ja not_active Withdrawn
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