JP2004090253A - 筆記具 - Google Patents
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Abstract
【課題】インキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の有機溶剤であり、櫛歯状のインキ保留体を採用した直液式の筆記具でありながら、衝撃や温度変化が付与されてもインキ保留体に効果的にインキが保留され、ペン先からインキ漏れが発生することのない筆記具。
【解決手段】インキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体の貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差を−0.01mm〜−0.05mmの範囲になるよう設計する。
【選択図】 図3
【解決手段】インキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体の貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差を−0.01mm〜−0.05mmの範囲になるよう設計する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
インキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の有機溶剤であり、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として、外周面の軸線方向に対し垂直に設けられた多数の櫛歯状のフィンにより構成されインキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を有しインキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体を有し、インキ保留体の貫通孔内にはインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯を備えた筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として、外周面の軸線方向に対し垂直に設けられた多数の櫛歯状のフィンにより構成されインキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を有しインキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体を有し、前記インキ保留体の貫通孔内にはインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯を備えた筆記具は、直液式の筆記具と呼ばれ、大容量のインキを収容することができると共に、ペン先への豊富なインキ供給をなすことができ、更にインキ乾燥性などにも優れていることが知られている。しかしながら、大量のインキをペン先に供給するがゆえに、インキ漏れやインキ不足などのインキ制御には細心の注意を払い設計されている。
【0003】
すなわち、直液式筆記具であって、インキの流通制御部材としてインキ保留体を有してなるものは、インキタンク内のインキをペン先に供給するに際して、インキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を通して外気をインキタンク内に供給し、インキタンク内が負圧化しないようにしている。よって基本的にインキ保留体と筆記具本体とを実質的に接続するペン先ホルダー部には空気交換のための空気流通孔を形成し、外気に対して開口されている部分が存在する。
【0004】
また、インキ保留体には空気流通溝の他にインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯を備えた貫通孔が存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
インキの主溶剤がアルコール等の有機溶剤である場合、表面張力の低いためインキ漏れの制御は更に難しくなる。インキ保留体は毛細管力を有する櫛歯状部分の櫛歯空間を過剰なインキが一時的に保留される部分としてある。すなわち、筆記具自体に衝撃が付与されたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりすることで、インキはインキ保留体の空気流通溝から毛細管力によって櫛歯状の空間を縦横に広がっていき、外部流出を一時的に保留する。
【0006】
しかし、インキ保留体のインキ保留能力だけでは、インキ漏れを制御することはできないことがある。インキ保留体はインキタンク内のインキをペン先に供給するための貫通孔を有しているため、貫通孔内に誘導芯を備えているとしても、貫通孔内径に対する誘導芯外径の寸法がある範囲以上に小さいと、貫通孔もまた空気流通孔と同様に外気に対して開口している状態にあるため、筆記具自体に衝撃が与えられたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりした場合、インキがインキ保留体の空気流通溝から櫛歯状のフィン空間で毛管力によって保留されるのではなく、貫通孔と誘導芯の寸法差によって生じた間隙を通ってペン先からインキ漏れしたり、ペン先とペン先ホルダーの隙間からインキ漏れしたりしてしまうからである。特に、インキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の場合、その現象は更に顕著となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明はインキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の有機溶剤であり、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として、外周面の軸線方向に対し垂直に設けられた多数の櫛歯状のフィンにより構成されインキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を有しインキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体を有し、インキ保留体の貫通孔内にはインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯とを備えたインキ筆記具において、インキ保留体の貫通孔内径に対する誘導芯外径の寸法差が−0.01mm〜−0.05mmの範囲にあることを特徴とする筆記具を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
狭幅深底状の空気流通溝はインキタンク内のインキをペン先に供給するに際して、インキタンクと外気を結び外気をインキタンク内に供給してインキタンク内が負圧化しないようにしている。一方、外界への開放部であるため、筆記具自体に衝撃が与えられたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりすることで、インキは空気流通溝を通って空気流通孔から外界に漏れ出そうとする。通常、この漏れ出そうとするインキを櫛歯状のフィン空間で毛管力によって一時的にインキを貯留させることで、インキ漏れを防ぐ機能を有する。
【0009】
しかし上述のごとく、インキ保留体の貫通孔内径の寸法に対してその内部に備えられた誘導芯外径の寸法がある範囲以上に小さいと、貫通孔内に余分な間隙が生じ、筆記具自体に衝撃が与えられたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりした場合、インキがインキ保留体の空気流通溝から櫛歯状のフィン空間で毛管力によって保留されるのではなく、貫通孔と誘導芯の寸法差によって生じた間隙を通ってペン先からインキ漏れしたり、ペン先とペン先ホルダーの隙間からインキ漏れしたりしてしまう。特に、インキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の場合、その現象は更に顕著となる。
【0010】
そこで、インキ保留体の貫通孔内径に対する誘導芯外径の寸法差を−0.01mm〜−0.05mmの範囲にすることで、貫通孔と誘導芯の間に余分な間隙をなくし、ペン先からのインキ漏れや、ペン先とペン先ホルダーの隙間からのインキ漏れを防ぎ、櫛歯状のフィン空間で毛管力によって一時的にインキを貯留させるというインキ保留体のインキ保留能力を効果的に活用できる。
【0011】
寸法差が−0.01mmよりも小さいと、嵌合力がきつくなり過ぎて貫通孔内に誘導芯を挿入することができなくなる場合があり、寸法差が−0.05mmよりも大きいと、貫通孔と誘導芯の間の余分な間隙が生じ、本目的のインキ漏れ制御が図れない。
【0012】
【実施例】
以下、実施例を図面に基づき説明する。図1はアルコールインキのホワイトボードマーカーの実施例である。自由状態のインキを内蔵するポリプロピレン製の有底筒体1内の開口部側にペン先ホルダー部2とインキ保留部3からなるインキ保留体4を取り付け、底側をインキタンク部5とし、インキ保留体4はポリプロピレン製の有底筒体1の塑性変形により縮径された内包凸部に嵌合することで固定されている。また、繊維集束体よりなる誘導芯7が同じく繊維集束体よりなるペン先6からインキ保留体4の貫通孔8を経てインキタンク部5に達している。
【0013】
インキ保留体4は、インキ保留部3として複数の櫛歯状のフィン9を有しており、各櫛歯間の空間10が形成されている。また、筆記に共したインキの体積分、インキタンク部5に空気を供給するための空気流通溝11が各櫛歯間の空間10に連通して形成されている。温度変化などでインキタンク部5に圧力がかかった場合、圧力に押し出される過剰なインキは誘導芯7や、誘導芯7と貫通孔8の間隙を経てペン先6に供給されるようなことは無く、空気流通溝11を経て櫛歯9間の空間10に一時的に溜められる。空気流通溝11の外界開放部として空気流通孔12を設けている。
【0014】
図1のA−A’断面図である図2に示すように、貫通孔8にはインキ誘導芯7が挿入されている。
【0015】
本例の場合、粘度10cps以下、表面張力15〜30dyne/cm程度のアルコール系顔料インキとポリプロピレン製のインキ保留体4を使用しており、毛細管力によるインキ保持能力を考慮して櫛歯9間の距離(空間10の幅)及び空気流通溝11の幅は0.1mm〜0.5mm程度に設定されている。
【0016】
図3は図1の貫通孔部の拡大図であるが、貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差は−0.01mm〜−0.05mmの範囲になるように設定されている。
【0017】
ホワイトボードマーカーの場合、通常、ペン先が上でインキタンクが下になるような形で使用されることが多いが、ボールペンやマーキングペンのように、ペン先が下でインキタンク部が上になるような形で使用される場合もある。上述のごとく、筆記具自体に衝撃が付与されたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりした場合、過剰インキは誘導芯7や、誘導芯7と貫通孔8の間隙を経てペン先6に供給されるようなことは無く、空気流通溝11を介して空気流通溝11に対し垂直に設けられた櫛歯空間10に有効的に溜められる。
【0018】
以上の他にも、本発明の要旨を逸脱しない限りで種々なせるものである。一例を挙げると、ペン先としては、ボールペンチップ、連通多孔を有する合成樹脂製ペン先でも良い。また、有低筒体1もポリプロピレン以外の合成樹脂の成形品や金属としても良く、後端部に尾栓を取り付けるなどしても良い。インキ保留体4は、インキが油性及びアルコールの場合はポリプロピレンの他にポリアセタール、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン等を使用できる。
【0019】
更に実施例に従って詳細を説明するが、本発明は実施例だけに限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
図3における貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差が−0.02mmになるように設計した。
【0021】
(実施例2)
図3における貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差が−0.04mmになるよう設計した。
【0022】
(比較例1)
図3における貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差が−0.08mmになるように設計した。
【0023】
(比較例2)
図3における貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差が−0.10mmになるように設計した。
【0024】
(インキ漏れ試験)
インキタンク内に全容量の1/3程度のインキを充填し、ペン先を下向きにした状態で、室温から50℃の高温槽に入れ、30分経過後、60分経過後のインキ漏れ発生を観察し表1に現わした。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
以上より、本発明の筆記具はインキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の有機溶剤であり、櫛歯状のインキ保留体を採用した直液式の筆記具でありながら、衝撃や温度変化が付与されてもインキ保留体に効果的にインキが保留され、ペン先からインキ漏れが発生することのないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における筆記具の縦断面図である。
【図2】本発明の筆記具のA−A’線断面図である。
【図3】本発明の筆記具における貫通孔の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 筒体
2 ペン先ホルダー部
3 インキ保留部
4 インキ保留体
5 インキタンク
6 インキ保溜体
7 誘導芯
8 貫通孔
9 櫛歯状のフィン
10 空間
11 空気流通溝
12 空気流通孔
【発明の属する技術分野】
インキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の有機溶剤であり、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として、外周面の軸線方向に対し垂直に設けられた多数の櫛歯状のフィンにより構成されインキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を有しインキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体を有し、インキ保留体の貫通孔内にはインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯を備えた筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として、外周面の軸線方向に対し垂直に設けられた多数の櫛歯状のフィンにより構成されインキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を有しインキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体を有し、前記インキ保留体の貫通孔内にはインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯を備えた筆記具は、直液式の筆記具と呼ばれ、大容量のインキを収容することができると共に、ペン先への豊富なインキ供給をなすことができ、更にインキ乾燥性などにも優れていることが知られている。しかしながら、大量のインキをペン先に供給するがゆえに、インキ漏れやインキ不足などのインキ制御には細心の注意を払い設計されている。
【0003】
すなわち、直液式筆記具であって、インキの流通制御部材としてインキ保留体を有してなるものは、インキタンク内のインキをペン先に供給するに際して、インキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を通して外気をインキタンク内に供給し、インキタンク内が負圧化しないようにしている。よって基本的にインキ保留体と筆記具本体とを実質的に接続するペン先ホルダー部には空気交換のための空気流通孔を形成し、外気に対して開口されている部分が存在する。
【0004】
また、インキ保留体には空気流通溝の他にインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯を備えた貫通孔が存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
インキの主溶剤がアルコール等の有機溶剤である場合、表面張力の低いためインキ漏れの制御は更に難しくなる。インキ保留体は毛細管力を有する櫛歯状部分の櫛歯空間を過剰なインキが一時的に保留される部分としてある。すなわち、筆記具自体に衝撃が付与されたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりすることで、インキはインキ保留体の空気流通溝から毛細管力によって櫛歯状の空間を縦横に広がっていき、外部流出を一時的に保留する。
【0006】
しかし、インキ保留体のインキ保留能力だけでは、インキ漏れを制御することはできないことがある。インキ保留体はインキタンク内のインキをペン先に供給するための貫通孔を有しているため、貫通孔内に誘導芯を備えているとしても、貫通孔内径に対する誘導芯外径の寸法がある範囲以上に小さいと、貫通孔もまた空気流通孔と同様に外気に対して開口している状態にあるため、筆記具自体に衝撃が与えられたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりした場合、インキがインキ保留体の空気流通溝から櫛歯状のフィン空間で毛管力によって保留されるのではなく、貫通孔と誘導芯の寸法差によって生じた間隙を通ってペン先からインキ漏れしたり、ペン先とペン先ホルダーの隙間からインキ漏れしたりしてしまうからである。特に、インキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の場合、その現象は更に顕著となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明はインキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の有機溶剤であり、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として、外周面の軸線方向に対し垂直に設けられた多数の櫛歯状のフィンにより構成されインキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を有しインキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体を有し、インキ保留体の貫通孔内にはインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯とを備えたインキ筆記具において、インキ保留体の貫通孔内径に対する誘導芯外径の寸法差が−0.01mm〜−0.05mmの範囲にあることを特徴とする筆記具を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
狭幅深底状の空気流通溝はインキタンク内のインキをペン先に供給するに際して、インキタンクと外気を結び外気をインキタンク内に供給してインキタンク内が負圧化しないようにしている。一方、外界への開放部であるため、筆記具自体に衝撃が与えられたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりすることで、インキは空気流通溝を通って空気流通孔から外界に漏れ出そうとする。通常、この漏れ出そうとするインキを櫛歯状のフィン空間で毛管力によって一時的にインキを貯留させることで、インキ漏れを防ぐ機能を有する。
【0009】
しかし上述のごとく、インキ保留体の貫通孔内径の寸法に対してその内部に備えられた誘導芯外径の寸法がある範囲以上に小さいと、貫通孔内に余分な間隙が生じ、筆記具自体に衝撃が与えられたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりした場合、インキがインキ保留体の空気流通溝から櫛歯状のフィン空間で毛管力によって保留されるのではなく、貫通孔と誘導芯の寸法差によって生じた間隙を通ってペン先からインキ漏れしたり、ペン先とペン先ホルダーの隙間からインキ漏れしたりしてしまう。特に、インキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の場合、その現象は更に顕著となる。
【0010】
そこで、インキ保留体の貫通孔内径に対する誘導芯外径の寸法差を−0.01mm〜−0.05mmの範囲にすることで、貫通孔と誘導芯の間に余分な間隙をなくし、ペン先からのインキ漏れや、ペン先とペン先ホルダーの隙間からのインキ漏れを防ぎ、櫛歯状のフィン空間で毛管力によって一時的にインキを貯留させるというインキ保留体のインキ保留能力を効果的に活用できる。
【0011】
寸法差が−0.01mmよりも小さいと、嵌合力がきつくなり過ぎて貫通孔内に誘導芯を挿入することができなくなる場合があり、寸法差が−0.05mmよりも大きいと、貫通孔と誘導芯の間の余分な間隙が生じ、本目的のインキ漏れ制御が図れない。
【0012】
【実施例】
以下、実施例を図面に基づき説明する。図1はアルコールインキのホワイトボードマーカーの実施例である。自由状態のインキを内蔵するポリプロピレン製の有底筒体1内の開口部側にペン先ホルダー部2とインキ保留部3からなるインキ保留体4を取り付け、底側をインキタンク部5とし、インキ保留体4はポリプロピレン製の有底筒体1の塑性変形により縮径された内包凸部に嵌合することで固定されている。また、繊維集束体よりなる誘導芯7が同じく繊維集束体よりなるペン先6からインキ保留体4の貫通孔8を経てインキタンク部5に達している。
【0013】
インキ保留体4は、インキ保留部3として複数の櫛歯状のフィン9を有しており、各櫛歯間の空間10が形成されている。また、筆記に共したインキの体積分、インキタンク部5に空気を供給するための空気流通溝11が各櫛歯間の空間10に連通して形成されている。温度変化などでインキタンク部5に圧力がかかった場合、圧力に押し出される過剰なインキは誘導芯7や、誘導芯7と貫通孔8の間隙を経てペン先6に供給されるようなことは無く、空気流通溝11を経て櫛歯9間の空間10に一時的に溜められる。空気流通溝11の外界開放部として空気流通孔12を設けている。
【0014】
図1のA−A’断面図である図2に示すように、貫通孔8にはインキ誘導芯7が挿入されている。
【0015】
本例の場合、粘度10cps以下、表面張力15〜30dyne/cm程度のアルコール系顔料インキとポリプロピレン製のインキ保留体4を使用しており、毛細管力によるインキ保持能力を考慮して櫛歯9間の距離(空間10の幅)及び空気流通溝11の幅は0.1mm〜0.5mm程度に設定されている。
【0016】
図3は図1の貫通孔部の拡大図であるが、貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差は−0.01mm〜−0.05mmの範囲になるように設定されている。
【0017】
ホワイトボードマーカーの場合、通常、ペン先が上でインキタンクが下になるような形で使用されることが多いが、ボールペンやマーキングペンのように、ペン先が下でインキタンク部が上になるような形で使用される場合もある。上述のごとく、筆記具自体に衝撃が付与されたり、温度上昇によってインキタンク内の気圧が上昇したりした場合、過剰インキは誘導芯7や、誘導芯7と貫通孔8の間隙を経てペン先6に供給されるようなことは無く、空気流通溝11を介して空気流通溝11に対し垂直に設けられた櫛歯空間10に有効的に溜められる。
【0018】
以上の他にも、本発明の要旨を逸脱しない限りで種々なせるものである。一例を挙げると、ペン先としては、ボールペンチップ、連通多孔を有する合成樹脂製ペン先でも良い。また、有低筒体1もポリプロピレン以外の合成樹脂の成形品や金属としても良く、後端部に尾栓を取り付けるなどしても良い。インキ保留体4は、インキが油性及びアルコールの場合はポリプロピレンの他にポリアセタール、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン等を使用できる。
【0019】
更に実施例に従って詳細を説明するが、本発明は実施例だけに限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
図3における貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差が−0.02mmになるように設計した。
【0021】
(実施例2)
図3における貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差が−0.04mmになるよう設計した。
【0022】
(比較例1)
図3における貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差が−0.08mmになるように設計した。
【0023】
(比較例2)
図3における貫通孔内径の寸法13に対する誘導芯外径の寸法14の寸法差が−0.10mmになるように設計した。
【0024】
(インキ漏れ試験)
インキタンク内に全容量の1/3程度のインキを充填し、ペン先を下向きにした状態で、室温から50℃の高温槽に入れ、30分経過後、60分経過後のインキ漏れ発生を観察し表1に現わした。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
以上より、本発明の筆記具はインキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の有機溶剤であり、櫛歯状のインキ保留体を採用した直液式の筆記具でありながら、衝撃や温度変化が付与されてもインキ保留体に効果的にインキが保留され、ペン先からインキ漏れが発生することのないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における筆記具の縦断面図である。
【図2】本発明の筆記具のA−A’線断面図である。
【図3】本発明の筆記具における貫通孔の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 筒体
2 ペン先ホルダー部
3 インキ保留部
4 インキ保留体
5 インキタンク
6 インキ保溜体
7 誘導芯
8 貫通孔
9 櫛歯状のフィン
10 空間
11 空気流通溝
12 空気流通孔
Claims (1)
- インキの主溶剤が表面張力の低いアルコール等の有機溶剤であり、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として、外周面の軸線方向に対し垂直に設けられた多数の櫛歯状のフィンにより構成されインキタンクと外気を結ぶ狭幅深底状の空気流通溝を有しインキタンク内の気圧変化によるインキの外部流出を一時的に保留するインキ保留体を有し、前記インキ保留体の貫通孔内にはインキタンク部から供給されたインキをペン先に誘導する誘導芯を備えたインキ筆記具において、前記インキ保留体の貫通孔内径に対する前記誘導芯外径の寸法差が−0.01mm〜−0.05mmの範囲にあることを特徴とする筆記具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002251151A JP2004090253A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 筆記具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002251151A JP2004090253A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 筆記具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004090253A true JP2004090253A (ja) | 2004-03-25 |
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ID=32057809
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002251151A Pending JP2004090253A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 筆記具 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004090253A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021145426A1 (ja) * | 2020-01-17 | 2021-07-22 | ケミコスクリエイションズ株式会社 | 塗料塗布具 |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002251151A patent/JP2004090253A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021145426A1 (ja) * | 2020-01-17 | 2021-07-22 | ケミコスクリエイションズ株式会社 | 塗料塗布具 |
JP2021112692A (ja) * | 2020-01-17 | 2021-08-05 | ケミコスクリエイションズ株式会社 | 塗料塗布具 |
KR20220128356A (ko) * | 2020-01-17 | 2022-09-20 | 케미코스 크리에이션즈 가부시키가이샤 | 직액식 펜형 아이라이너 |
US11707127B2 (en) | 2020-01-17 | 2023-07-25 | Chemicos Creations Ltd. | Direct liquid type pen-shaped eyeliner |
KR102616607B1 (ko) | 2020-01-17 | 2023-12-20 | 케미코스 크리에이션즈 가부시키가이샤 | 직액식 펜형 아이라이너 |
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