JP2004090009A - 積層鋳型用レジンコーテッドサンド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)遊離フェノール類含有量が3質量%以下で数平均分子量が800〜1500の熱硬化性フェノール樹脂を含有する結合剤組成物を用いて成る粒度指数が80〜130である積層鋳型用レジンコーテッドサンド。前記結合剤組成物として、さらに(B)遊離フェノール類含有量が3質量%以下で数平均分子量が500〜700の熱硬化性フェノール樹脂を(A)の熱硬化性フェノール樹脂100質量部に対して5〜40質量部の割合で併用させることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層造形法、特に遮光マスクを用いる積層造形による鋳型の作成に適したレジンコーテッドサンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、砂型鋳造に用いられる鋳型(主型、中子)のプロトタイプの製作には、その反転構造の木造、樹脂型、金型等の成形型の設計・製作に、多くの時間、専門的知識、技術的熟練さなどが要求されることから、これに代わる鋳型の製作方法として、例えば特許第2620353号公報で開示されているような積層造形方法、即ち、撒布された焼結性粉末第1層にレーザビームを指向して必要部分に選択的焼結を起こさせ、引続いてその上に前記粉末の第2層を形成し、これにレーザビームを指向して必要部分に同様に選択的焼結を起こさせると同時に、この焼結した粉末部分を粉末第1層の焼結した部分に接合させ、これを反復して1層ずつ積層的に三次元部品を製造する方法が最近注目されている。
【0003】
また、積層鋳型の量産方法として、熱硬化性レジン被覆砂を撒布して形成された砂層上に遮光マスクを配置した後、散光レーザ照射によって固化層領域(露光部)と非固化層領域(非露光部)とを形成する造形操作を繰返して作製した3次元造形物から非固化層領域を除去した後、固化層領域をヒータ等で加熱硬化させる積層鋳型の製作方法が提案されている。(特許第3147744号)
【0004】
また、かかる積層造形法に用いる熱硬化性レジン被覆砂に関する技術事項として、(1)砂層厚みが0.1〜0.2mmと極めて薄く、また造形物の寸法精度の観点から良好な砂撒き性と表面の凹凸状態の少ない平滑性が要求されるため、粒径は20〜100μmの範囲でほぼ球形であり、しかもレジン被覆砂の融着温度が100℃以上であること、(2)レーザビーム照射による砂粒子の熱膨張を抑えて造形物の寸法精度を確保し、また鋳型時の熱変形による歪、中子割れを抑制するためには、ムライト系砂粒子が好適であること、(3)熱硬化性レジンとしては、平均分子量が2000〜10000程度で融着温度が100℃以上のノボラックタイプのフェノールレジンを砂粒子に対して3〜5重量%の割合で用いることなどが開示されている。
【0005】
併せて、熱硬化性レジン被覆砂を用いて製作された積層鋳型(以下、鋳型という)には、鋳造時におけるガス欠陥の発生を抑制できる通気性、鋳造後における鋳造品からの砂出し作業性(以下、崩壊性という)を確保するため、鋳型にガス抜き孔を設けたり、非固化層部を除去するなどの処置が施されている。(特開2000−24750号公報)
【0006】
さらには、積層造型法における撒布層の加熱効率を向上させるため、レジンの他に、光または熱の吸収性が良好な吸収物質(例えば黒鉛粉末)が配合されてなるレジン被覆粉粒体が開示されている。(特開2001−47188号公報)
【0007】
しかしながら、これらの先行技術では、上述したように鋳型の造型方法及びこれに用いる熱硬化性レジン被覆砂に関する基本事項の開示及び課題、例えば遮光マスクを介したレーザビーム照射により、次の砂撒き作業が支障なく行なえる程度に固化層の強度(以下、固化強度という)を発現させて製作した鋳型の固化層領域と非固化層領域の境界面での砂切れ性(以下、排砂性という)、及び通気性、並びに崩壊性などの指摘に留まるものであって、このような課題に対して熱硬化性レジン被覆砂、特に熱硬化性フェノール樹脂と砂粒度の観点からの試みについては何ら開示もなく示唆もされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のシェルモールド法より粒径の小さい耐火性骨材と多量の熱硬化性フェノール樹脂を用いる積層造型法が有する上記課題に鑑みなされたものであって、第1の目的は排砂性と通気性を両立し、また第2の目的はさらに崩壊性にも対応できる積層鋳型用レジンコーテッドサンドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、特定の熱硬化性フェノール樹脂を用いて作製した特定の粒度指数を有するレジンコーテッドサンドを用いることにより、積層作業上支障のない固化強度を発現するのみならず、排砂性と通気性を両立できることを見出し、この知見をもとにさらに検討して本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、(A)遊離フェノール類含有量が3質量%以下で、数平均分子量が800〜1500の熱硬化性フェノール樹脂を用いること、さらには固化強度の安定化及びその向上による樹脂添加量の低減化のため、(B)遊離フェノール類含有量が3質量%以下で数平均分子量が500〜700の熱硬化性フェノール樹脂を(A)の熱硬化性フェノール樹脂100質量部に対して5〜40質量部の割合で用いて及び/又はヒヒドラジド系化合物を用いて成る粒度指数が80〜130であることを特徴とする積層鋳型用レジンコーテッドサンドである。
【0011】
また他の本発明は、鋳造後の鋳型の崩壊性向上のため、さらにアルカリ金属酸素酸塩を用いて成る粒度指数が80〜130であることを特徴とする積層鋳型用レジンコーテッドサンドである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の積層鋳型用レジンコーテッドサンド(以下、RCSという)は、少なくとも熱硬化性フェノール樹脂、耐火性骨材及び必要に応じて用いられるヒドラジド系化合物及び/又はアルカリ金属酸素酸塩から構成される。
【0013】
前記熱硬化性フェノール樹脂は、硬化剤の存在下ないし非存在下でレーザービーム照射や外部加熱によって耐火性骨材を結合(固着ないし硬化)して強度を発現させる結合剤組成物であって、本発明においては(A)遊離フェノール類含有量が3質量%以下、好ましくは1〜2質量%であり、かつ数平均分子量が800〜1500、好ましくは800〜1100であるフェノール樹脂が用いられる。遊離フェノール類含有量が3質量%を超えるか、数平均分子量が800未満であると排砂性が悪化する傾向がある。また、数平均分子量が1500を超えると固化強度が低下する傾向がある。
【0014】
ここでいう、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCという)の測定によるポリスチレン換算の数平均分子量であって、具体的には、東ソー株式会社製ゲル濾過クロマトグラフSC−8020(カラム:G1000HXL+G2000HXL、検出器:UV254nm、キャリヤー:テトラヒドロフラン1ml/min 、カラム温度:38℃)により測定した標準ポリスチレン換算の数値である。また、遊離フェノール類含有量は、GPCを用いた検量線法により測定したものである。
【0015】
また、固化強度を向上して樹脂の添加量を低減させるため、さらに前記(A)のフェノール樹脂100質量部に対し、(B)遊離フェノール類含有量が3質量%以下、好ましくは1〜2質量%、さらに好ましくは1質量%以下であり、かつ数平均分子量が500〜700であるフェノール樹脂を5〜40質量部、とりわけ10〜30質量部の割合で併用される。(B)のフェノール樹脂が5質量部未満では、固化強度の安定化効果が認められず、逆に40質量部を超えると排砂性が悪化する傾向がある。
【0016】
このようなフェノール樹脂は、蓚酸、二価金属塩等の酸性触媒及び/又は水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム等の塩基性触媒の存在下で、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ビスフェノールA、ビスフェノールA製造時の精製残渣等のフェノール類と例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデヒド類を反応させた後、濃縮し、上述の特性(遊離フェノール類含有量及び数平均分子量)に調整して得られる固体状縮合生成物を主成分とするものである。
【0017】
具体例としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、含窒素レゾール型フェノール樹脂、ベンジルエーテル型フェノール樹脂などが挙げられる。中でも、固化強度の観点からノボラック型フェノール樹脂が好ましい。特に、砂粒子の熱膨張を抑え、また鋳造時の熱変形による歪、中子割れの抑制の観点から、低熱膨張性を発現するビスフェノールA、ビスフェノールA製造時の精製残渣又はこれらとフェノールとを共存させて得られる低膨張性ノボラック型フェノール樹脂がより好ましい。
【0018】
このような熱硬化性フェノール樹脂の配合量としては、耐火性骨材100質量部に対して2〜6質量部、好ましくは3〜5質量部である。配合量が2質量部未満の場合、固化強度が低くて実用に供せず、逆に6質量部を超えると崩壊性が悪くなる傾向がある。
【0019】
前記ヒドラジド系化合物は、前述同様の趣旨で固化強度の向上をはかるために用いられるが、砂撒き性及び排砂性の観点から、特に融点が150〜200℃のヒドラジド系化合物が好ましい。このようなヒドラジド系化合物の具体例としては、例えばカルボヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。中でも、固化強度と排砂性のバランスに優れるアジピン酸ジヒドラジドが特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0020】
かかるヒドラジド系化合物の配合量としては、熱硬化性フェノール樹脂100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは3〜10質量部である。配合量が1質量部未満では固化強度の向上効果が認められず、逆に20質量部を超えても向上効果が飽和に至り、それ以上の添加は非経済的である。ヒドラジド系化合物は、熱硬化性フェノール樹脂に溶融混合してもよく、RCSを作る際に配合してもよい。
【0021】
前記アルカリ金属酸素酸塩は、前述したように鋳造後の崩壊性を良好にして砂出し作業の向上をはかるために用いられるものであって、このようなアルカリ金属酸素酸塩の具体例としては、例えば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸アルカリ金属塩、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸アルカリ金属塩、モリブデン酸ナトリウム等のモリブデン酸アルカリ金属塩、タングステン酸ナトリウム等のタングステン酸アルカリ金属塩などが挙げられる。
【0022】
これらの中でも、固化強度の低下が少ない硝酸アルカリ金属塩、モリブデン酸アルカリ金属塩及びタングステン酸アルカリ金属塩が好適であるが、特に硝酸アルカリ金属塩、とりわけ硝酸カリウムが価格の観点から好適である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0023】
かかるアルカリ金属酸素酸塩の配合量としては、熱硬化性フェノール樹脂100質量部に対して1〜50質量部、好ましくは3〜20質量部である。配合量が1質量部未満では、崩壊性向上効果が認められず、逆に50質量部を超えると固化強度が低下する傾向がある。アルカリ金属酸素酸塩はRCSを作る際に配合することが望ましい。
【0024】
本発明のRCSは、好ましくはホットマーリング法、例えばスピードミキサーで予熱された耐火性骨材に熱硬化性フェノール樹脂及び必要に応じてヒドラジド系化合物及び/又はアルカリ金属酸素酸塩、その他の任意添加物などを添加混練した後、ヘキサメチレンテトラミン(硬化剤)を冷却水に溶解させた水溶液を添加すると同時に送風冷却し、最後にステアリン酸カルシウム等の滑剤を添加混合して排出し、砂層厚みに応じてJIS標準篩(例えば目開き212μm)で篩って製造される。
【0025】
かくして得られたRCSは、砂撒き性、砂層厚み及び通気性の関係から、粒度指数がJACT試験法S−1(鋳物砂の粒度試験法)に定めるAFS系数基準で80〜130、好ましくは90〜120の範囲内に制御される。粒度指数が80未満では固化強度が十分でなく、逆に130を越えると通気性が悪化する傾向がある。なお、実用上支障のない砂撒き性が確保できるならば前記ホットマーリング法に代えて他の被覆方法、例えばセミホットマーリング法、コールドマーリング法により混練して製造してもよい。
【0026】
前記耐火性骨材としては、砂撒き性及び砂層厚みの観点から、粒度指数が前記AFS係数基準で90〜160の範囲、さらに通気性を考慮すると、好ましくは120〜150であり、かつ形状的には丸いもの、また鋳型の寸法精度及び鋳造時の熱変形による歪、中子割れ抑制の観点から、熱膨張率の低いものが好ましい。
【0027】
このような耐火性骨材の具体例としては、例えばユニミン砂、ウェッドロン砂、ジルコンサンド、クロマイトサンド、ナイガイセラビーズ(商品名、伊藤忠セラテック株式会社製、球状アルミナサンド)、エコビーズ(商品名、販売元キンセイマテック株式会社、球状アルミナサンド)、サンパール(商品名、山川産業株式会社製、球状フェロニッケル系スラグ)、フェロクロム系球状スラグ及びこれらの回収物ないし再生物並びに混合物などが挙げられる。中でも、砂撒き性や鋳型の寸法精度の観点から、ナイガイセラビーズが特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
【作用】
本発明のRCSが積層造形において優れた効果を発現する理由は、必ずしも明確ではないが、次のように推察される。
【0029】
即ち、遊離フェノール類含有量が少なくかつ数平均分子量は高く制御した熱硬化性フェノール樹脂Aを用いることにより、鋳型の作製に支障がない固化強度と排砂性を確保することができる。
【0030】
また、前記熱硬化性フェノール樹脂Aと数平均分子量が該樹脂より低い熱硬化性フェノール樹脂Bとを特定の割合で及び/又はヒドラジド系化合物を用いることによって固化強度を安定化し、また固化強度の向上による樹脂添加量の低減化によってガス欠陥の発生を防止することができる。また、アルカリ金属酸素酸塩を用いることによって鋳造後の崩壊性を良好にして砂出し作業性を向上させることができる。
【0031】
一方、RCSの粒度指数を特定範囲に制御することによって鋳型の通気性を確保することができる。このように本発明によれば、積層造形作業に支障を与えることなく、鋳型の排砂性と通気性とを両立し、さらには鋳造後の崩壊性を向上させることができるものと推察される。
【0032】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、得られたRCSの物性は下記試験法により測定した。
【0033】
(1)固化強度(N/cm2 )は、積層造形法、即ち図1に示すようにRCSを撒布して形成した高さ10mmのRCS層2の上に(遮光マスクa)3{露光部(幅30mm×長さ80mm)×18個}を設置後、走査型炭酸ガスレーザ照射装置4(出力5KW)により2.6秒間照射する一連の操作を所定の積層高さ(以下、高さという)まで繰返して試験片(幅30mm×長さ80mm×高さ10mm)を作製した後、その固化強度をJACT試験法SM−1に準じて測定し、その平均値(N=18)を表示した。
【0034】
(2)排砂性(%)は、積層造形法、まず図1と同様にしてRCSを撒布して形成した高さ10mmのRCS層1の上に図2に示すように(遮光マスクb)5{露光部(幅60mm×長さ50mm)×9個}を設置後、走査型炭酸ガスレーザ照射装置4(出力5KW)により2.6秒間照射する一連の操作を所定厚みまで繰返した後、(遮光マスクb)5を(遮光マスクc)6{中央部に非露光部(幅20mm×長さ50mm)×9個}に変更して0.4mmの厚さまで前記同様の操作を順次繰返し、最後に(遮光マスクc)6を(遮光マスクb)5に戻して前記同様の操作を順次繰返して、図2に示すような側面ほぼ中央部から長さ(奥)方向に伸びる非固化層部(幅20mm×長さ50mm×高さ0.4mm)を有する試験片(幅60mm×長さ50mm×高さ30mm)を作製した。
【0035】
次に、吸引圧0.1MPa に制御された吸引パイプを用いて該試験片の両側面非固化層部からそれぞれ10秒間吸引して未固化RCSを除去して形成された両側面の空洞部(砂抜け部)に厚み0.3mmの金属性スケールをそれぞれ挿入して深さ(mm)を測定し、それらの合計深さを空洞部深さ(50mm)で除した百分率の平均値(N=9)を表示した。なお、数値の大きいほど排砂性に優れていると評価した。
【0036】
(3)通気度は、JACT試験法M−1(通気度試験法)に準じて、260℃に温調された通気度試験片作製用金型内にRCSを吹き込み充填した後1分間焼成して円柱状の試験片(直径50mm×高さ50mm)を作製し、その通気度をジョージフィシャー株式会社製通気度試験機により測定した。
【0037】
(4)強度劣化率(%)は、260℃に温調された曲げ強度試験片作製用金型内にRCSを吹き込み充填した後、1分間焼成して曲げ強度試験片(幅10mm×長さ60mm×高さ10mm)を作製した後常温に冷却して曲げ強度Aを測定した。また、同様にして作製した該試験片をアルミ箔で完全に包み込んで電気炉内(400℃で30分間)で曝露した。冷却後アルミ箔を取り除いて得た曝熱処理試験片の曲げ強度Bを測定した。さらに、曝熱温度を400℃から450℃に変更した以外は全く上記同様にして曝熱処理試験片の曲げ強度B′を測定した。なお、曲げ強度の測定は、JACT試験法SM−1に準じて行なった。また、強度劣化率は次式で表示し、数値が大きいほど鋳型の崩壊性がよいと評価した。
強度劣化率(%)={1−(曲げ強度B又はB′/曲げ強度A)}×100
【0038】
(5)粒度指数は、JACT試験法S−1(鋳物砂の粒度試験法)に定めるAFS系数基準で求めた。
【0039】
(6)融着温度は、JACT試験法C−1(融着点試験法)に準じて測定した。
【0040】
製造例1(フェノール樹脂X)
攪拌器、温度計及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器内に、フェノール1000g、47質量%ホルマリン水溶液577g及び蓚酸0.5gを仕込み、攪拌混合下に還流温度まで昇温し、さらに還流状態を保ちながら3時間反応を行なった。反応終了後、攪拌混合下に加熱減圧濃縮して遊離フェノール含有量が2.0質量%で数平均分子量が980のフェノール樹脂Xを得た。
【0041】
製造例2(フェノール樹脂Y)
製造例1に記載同様のガラス製反応容器に、フェノール1000g、47質量%ホルマリン水溶液373g及び蓚酸0.5gを仕込み、攪拌混合下に還流温度まで昇温し、さらに還流状態を保ちながら3時間反応を行った。反応終了後、攪拌混合下に加熱減圧濃縮して遊離フェノール含有量が0.6質量%で数平均分子量600のフェノール樹脂Yを得た。
【0042】
製造例3(フェノール樹脂A)
製造例1に記載同様のガラス製反応容器に、フェノール1000g、47質量%ホルマリン水溶液643g及び蓚酸0.5gを仕込み、攪拌混合下に還流温度まで昇温し、さらに還流状態を保ちながら3時間反応を行った。反応終了後、攪拌混合下に加熱減圧濃縮して遊離フェノール含有量が0.6質量%で数平均分子量1620のフェノール樹脂Aを得た。
【0043】
製造例4(フェノール樹脂B)
製造例1に記載同様のガラス製反応容器に、フェノール1000g、47質量%ホルマリン水溶液609g及び蓚酸0.5gを仕込み、攪拌混合下に還流温度まで昇温し、さらに還流状態を保ちながら3時間反応を行った。反応終了後、攪拌混合下に加熱減圧濃縮して遊離フェノール含有量が5.0質量%で数平均分子量830のフェノール樹脂Bを得た。
【0044】
実施例1
実験用スピードミキサーに、170〜180℃に予熱した耐火性骨材であるセラビーズ#1450(商品名、伊藤忠セラテック(株)製、粒度指数130)5kg及び製造例1で調製したフェノール樹脂X200gを投入してから60秒間混練して溶融被覆した後、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミン40gを冷却水75gに溶解したヘキサ水溶液を全量添加し、送風冷却し、最後にステアリン酸カルシウム5gを添加してRCSを得た。このRCSは、さらに篩(目開き212μm)で篩ってパス分を積層造形用RCS(I)とした。得られたRCS(I)については、前記試験法により粒度指数、融着温度及び固化強度、排砂性並びに通気度及び崩壊性を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0045】
〔実施例2〜4〕
実施例1において、表1に示すように、フェノール樹脂Xに代えてフェノール樹脂Xとフェノール樹脂Yを併用し、またはジヒドラジド系化合物としてアジピン酸ジヒドラジドを、アルカリ金属酸素酸塩として硝酸カリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして3種類の積層造形用RCS(II)〜(IV)を得た。得られたRCS(II)〜(IV)については、実施例1と同様にして粒度指数、融着温度及び固化強度、排砂性並びに通気度及び崩壊性を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0046】
〔比較例1〕
実施例1において、セラビーズ#1450をセラビーズ#1700(商品名、伊藤忠セラテック(株)製、粒度指数170)に変更した以外は実施例1と同様にしてRCS(V)を得た。得られたRCS(V)については、実施例1と同様にして粒度指数、融着温度及び固化強度、排砂性並びに通気度及び崩壊性を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0047】
〔比較例2〕
実施例1において、セラビーズ#1450をセラビーズ#650(商品名、伊藤忠セラテック(株)製、粒度指数65)に変更した以外は実施例1と同様にしてRCS(VI)を得た。得られたRCS(VI)については、実施例1と同様にして粒度指数、融着温度及び固化強度、排砂性並びに通気度及び崩壊性を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0048】
〔比較例3〜7〕
実施例1において、フェノール樹脂を表に示したように変更した以外は実施例1と同様にしてRCS(VII)〜(XI)を得た。得られたRCS(VII)〜(XI)については、実施例1と同様にして粒度指数、融着温度及び固化強度、排砂性並びに通気度及び崩壊性を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
〔確認例〕
実施例4と比較例1で作製した通気度が95のRCS(IV)と通気度が57のRCS(V)を用いて実際に鋳造試験を行なってガス欠陥の有無を確認した。前記RCSを用いた積層造形法で製作したシリンダーヘッド中子を用いた低圧鋳造法によりアルミニウム合金を注湯して20個のシリンダーヘッドを得た。これらの鋳物は総て切断して内部を観察し、ガス欠陥の有無を確認した。その結果、RCS(IV)ではガス欠陥の発生は全くない(0/20)、これに対し、RCS(V)では50%(10/20)にガス欠陥の発生が認められた。
【0052】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明のRCSによれば、遮光マスクを利用した積層鋳型の製作における排砂性と通気性を両立できるため、鋳造時のガス欠陥抑制及び崩壊性の改善に伴う砂出し作業性の向上、材料の節約などがはかれる。また、ジヒドラジド系化合物や数平均分子量の低い熱硬化性フェノール樹脂を併用することにより、固化強度の向上ないし固化強度の安定化がはかれるが、特に強度の向上により、樹脂添加量の低減化が可能となり、排砂性や崩壊性への寄与が期待される。さらに、アルカリ金属酸素酸塩を用いることにより、鋳造時の崩壊性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遮光マスクaを用いた積層鋳型の造形一過程を説明するための部分拡大斜図である。
【図2】遮光マスクb及びcを用いた非固化層を有する積層鋳型の造形工程を説明するための部分拡大斜図である。
【符号の説明】
1…基台
2…RCS層
3…遮光マスクa
4…炭酸ガスレーザ照射源
5…遮光マスクb
6…遮光マスクc
7…積層鋳型
Claims (4)
- (A)遊離フェノール類含有量が3質量%以下で数平均分子量が800〜1500の熱硬化性フェノール樹脂を含有する結合剤組成物を用いて成る粒度指数が80〜130であることを特徴とする積層鋳型用レジンコーテッドサンド。
- 前記結合剤組成物として、さらに(B)遊離フェノール類含有量が3質量%以下で数平均分子量が500〜700の熱硬化性フェノール樹脂を(A)の熱硬化性フェノール樹脂100質量部に対して5〜40質量部の割合で併用させることを特徴とする請求項1に記載の積層鋳型用レジンコーテッドサンド。
- さらに、ヒドラジド系化合物を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層鋳型用レジンコーテッドサンド。
- さらに、アルカリ金属酸素酸塩を用いることを特徴とする請求項1、2又は3のいずれかに記載の積層鋳型用レジンコーテッドサンド。
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