JP2004089341A - ミシンモータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチングによって駆動されるミシンモータの上限速度を設定する上限速度設定手段からアナログ量で出力されるミシンモータの上限速度信号にスイッチングノイズが重畳することにより、ミシンモータの回転速度が不安定になるのを防止する。
【解決手段】回転速度に応じたスイッチングノイズの予測値を出力する予測値出力手段と、前記上限速度信号に前記予測値を超える変化が発生した時にのみ、変化後の上限信号を有効とする制御手段とを備える。
【選択図】  図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ミシン主軸を駆動するミシンモータの速度制御装置に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ミシンペダルを備え、作業者がミシンペダルの踏み込み量を操作することにより踏み込み量に応じてミシンの主軸に連結されるミシンモータの速度を制御して、作業者の所望の速度でミシンが回転するように制御するとともに、作業者がミシンの操作に不慣れの場合に備えて、ミシンペダルを最大に踏み込んでも設定手段により設定された上限速度以上の回転速度でミシンが回転しないようにミシンの回転速度を制限する制御装置を備えたミシンが知られている。また、上限速度を設定する設定手段としては、制御が簡単であり、無段階の設定が可能で、しかもコストが安価であることから可変抵抗器が用いられるのが一般的であり、この可変抵抗器は、作業者の操作しやすいミシン頭部付近に配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ミシンモータの速度制御は、通電する電流をスイッチングして制御しており、工業用ミシンにおいてはスイッチングされる電流が20A程度の大電流になり、このスイッチングに起因するスイッチングノイズが上記した上限速度設定用の可変抵抗器から出力される上限速度信号に重畳し、上限速度で回転しているミシンモータの回転速度が不安定になるという問題があった。一般に、ミシンモータに通電される電流は、ミシンモータの回転速度に比例して大きくなるため、このスイッチングノイズは、ミシンモータの停止中は発生しないが、ミシンモータの回転速度が大きいほど大きくなり、上限速度信号への影響が大きかった。
【0004】
また、可変抵抗器から出力される上限速度信号は、いわゆるアナログ量なので、制御手段としてのCPUがこの上限速度信号を読み込む際にA/D変換されるが、できるだけ無段階に設定できるよう高分解能でA/D変換されるため、スイッチングノイズに影響され易かった。さらに、可変抵抗器は、作業者の操作しやすいミシン頭部に配置されることから、ミシンテーブルの下に配置された電装ボックスまでの距離が長く、可変抵抗器から電装ボックスまで長い信号線が必要になり、そのことも上限速度信号がスイッチングノイズに影響されやすい要因となっていた。
【0005】
通常、このような場合、上限速度信号にコンデンサーや抵抗により構成されるノイズフィルターを付加して、ノイズを除去することが考えられる。しかし、このノイズフィルターによるノイズ除去方法には、コンデンサーや抵抗を付加することにより発生するコストアップに加えて、次のような欠点があった。
【0006】
上述したように上限速度信号に対するスイッチングノイズの影響は、ミシンの回転速度が大きいほど大きいため、ノイズフィルターは、ミシンモータがミシンの機種によって予め設定されているミシン主軸の最大許容回転速度付近で回転している時にもスイッチングノイズを除去できるような大きな時定数にする必要がある。このような大きな時定数を持つノイズフィルターが付加された上限速度設定手段は、当然のことながら操作に対する遅れが常時発生する。そのため、スイッチングノイズの発生の少ないミシンモータの低速回転中にもこの操作に対する遅れが発生し、上限速度の設定に時間がかかり効率良く設定が行えない、あるいは、最適な上限速度が設定できない等の不具合があり、操作性に問題があった。
【0007】
また、スイッチングノイズの大きさは、制御装置に使用される制御部品の特性のバラツキや劣化等により変化する場合があるが、このようなノイズフィルターは、通常ハードウェアで構成されるためスイッチングノイズの大きさに合わせて特性を変更するには、部品交換が必要となり事実上特性を変更することができなかった。また、この特性の変更に備えて、ノイズフィルターに可変抵抗器を用いたり、複数のコンデンサーをスイッチ切替したりすることは、さらに製品コストの上昇を招いた。
【0008】
本発明の課題は、ミシンペダルが踏み込まれた時の上限速度を設定するための設定手段として、可変抵抗器等のアナログ量で信号を出力する部材を用いつつ、上限速度でミシンが回転している時にも安定して回転速度を維持できるとともに、操作性に優れ、製品コストの上昇を招かないミシンモータの制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ミシン主軸を駆動するミシンモータ(4)をスイッチングにより駆動する駆動回路(13)と、ミシンモータの速度を検出する速度検出手段(14)と、操作によりミシンモータの速度指令信号を出力する速度指令手段(9)と、前記ミシンモータの上限速度を任意に変更する操作部(11)を有し、前記操作部の操作位置に対応する上限速度信号をアナログ量で出力し、この上限速度信号により前記ミシンモータの上限速度を設定可能とする上限速度設定手段(10)と、前記速度指令手段が操作された際に、前記上限速度を超えない範囲で、前記速度指令信号に応じた回転速度で前記ミシンモータを回転させる駆動信号を前記駆動回路に出力する速度制御手段(12)とを備えたミシンモータの制御装置(18)において、前記ミシンモータのスイッチングに起因して前記上限信号に重畳するスイッチングノイズの予測値を出力する予測値出力手段(15)と、前記上限信号に前記予測値を超える変化があった場合にのみ変化後の上限速度信号を有効として、前記変化後の上限速度信号に応じた上限速度を設定する制御手段(CPU12およびステップS13〜S15)とを備えることを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、予測値出力手段から出力される予測値を超える変化が上限速度信号に発生した場合にのみ変化した上限速度信号が有効となる。そのため、予測値より大きい変化を上限速度信号に発生させる上限速度設定手段の操作部の操作のみが有効とされるとともに、予測値より小さい変化を上限速度信号に発生させるスイッチングノイズの影響が無視されて、ミシンモータを安定して回転させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のミシンモータの制御装置において、前記予測値出力手段が、前記速度検出手段により検出される前記ミシンモータの回転速度に関連して、前記スイッチングノイズの予測値を出力することを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、予測値出力手段からミシンモータの回転速度に応じた適切な予測値が出力される。換言すれば、スイッチングノイズの発生がないミシンモータの停止時やスイッチングノイズが小さい低速運転時は、小さな値の予測値が出力され、スイッチングノイズが大きいミシンモータの高速回転時には、大きな値の予測値が出力される。そのため、ミシンモータの停止時や低速回転時は、小刻み且つ速やかに上限速度を設定でき、高速回転時は、スイッチングノイズの影響を受けないように上限速度を設定でき、上限速度信号にノイズフィルターを付加してスイッチングノイズを除去する場合に比較して、操作性が改善され、また、ノイズフィルターの構成部品も不要となりコストアップを招くこともない。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のミシンモータの制御装置において、前記ミシンモータに流れる電流を検出する電流検出手段を有し、前記予測値出力手段は、前記電流検出手段により検出されるミシンモータの電流に関連して、前記スイッチングノイズの予測値を出力することを特徴としている。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、ミシンモータの回転速度は、ミシンモータに流れる電流に略比例するため、請求項2記載の発明と同様の効果が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のミシンを正面から見た外観の概略を示し、符号1で示すミシン本体が、ミシンテーブル2の上に設置されているとともに、該テーブル2の下にはベルト3を介してミシン主軸を回転させるミシンモータ4が設置されている。又、上記テーブル2の下方には制御ボックス5、該制御ボックス5に対して商用電源の接続、切断を行うための電源スイッチ6、縫製時に使用するミシンペダル7が設置され、更にミシン本体1には操作パネル8、がそれぞれ設置されている。
【0017】
上記ミシンについて詳述すると、近年のミシンでは、ミシン本体1に電磁ソレノイド、エアシリンダ等からなるアクチュエータが装備され、該アクチュエータにより糸切りや返し縫い等の縫製動作の自動化が実現されている。
【0018】
このようなミシンにおいては、前記ミシンモータ4によりミシンの針棒位置制御やミシンの回転速度制御が行われるようになっており、このようなミシンモータとして近年はメンテナンスフリー、高寿命、快適な作業環境に対する要請から、インバータモータやACサーボモータ等が一般的に使用され、PWM(Pulse Width Modulation)制御等、駆動電流をスイッチングすることにより速度制御が行われている。
【0019】
又、前記制御ボックス5は、商用電源から前記ミシンモータ4に対して電力供給を行う回路や、前記ミシン本体1に内蔵されているアクチュエータを駆動させる回路を有しているとともに、これらを制御するマイクロコンピュータ(CPU12)等により構成されている。
【0020】
ミシンペダル7は、縫製作業者が、縫製時にミシンをコントロールするためのもので、該ミシンペダル7を踏み付けると制御ボックス5に取り付けられている速度指令手段としてのペダルセンサー9により、その動きが電気信号(速度指令信号)に変換されると共に、該制御ボックス5によりミシンペダル7の踏込み量に応じた制御が実行され、ミシンモータ4やミシン本体1に装備されているアクチュエータを駆動することにより、オペレータが指示する制御動作が実現されるようになっている。
【0021】
又、前記操作パネル8は、オペレータが各種縫製パターンを始めとする縫製条件等を設定する際に使用され、ここで設定されるこれら縫製条件等の情報は制御ボックス5に送られるようになっている。
【0022】
また、操作パネル8には、上限速度設定手段としての可変抵抗器10が設けられている。この可変抵抗器10は、摺動面が直線状に構成されており、作業者が操作部としてのツマミ11を左右に操作することでツマミ11の操作位置に応じた上限速度信号を出力し、ミシンペダル7の操作によるミシンモータ4の上限速度を任意に設定することができる。この可変抵抗器10から出力される上限速度信号を後述するCPU12(図2参照)が読み込むことにより、縫製作業者(作業者)がミシンペダル7を誤って強く踏み込んでもこの可変抵抗器10で設定された上限速度よりもミシン速度が上昇しないようにミシンモータ4の回転速度が制御される。
【0023】
図2は、本実施の形態のミシンが備えている制御装置18の制御系の要部を示すブロック図である。制御ボックス5には、ペダルセンサ−9、CPU(中央演算処理装置)12と、駆動回路としてのモータドライバー13、ROM14、RAM15、各種ソレノイドドライバー(図示せず)等が収納されている。
【0024】
上記CPU12には、前記ミシンペダル7がペダルセンサー9を介して接続されていると共に、前記操作パネル8、操作パネル8に設けられた可変抵抗器10がそれぞれ接続されている。又、このCPU12には、モータドライバー13、ミシンモータ4に内蔵されミシンモータ4が1回転する間に複数のパルスを発生するエンコーダ14(速度検出手段)、ROM15、RAM16、各種ソレノイドドライバー(図示せず)、がそれぞれ接続されている。
【0025】
さらに、モータドライバー13には、ミシンモータ5が接続され、該ドライバー13によりCPU12から出力されるPWM信号(駆動信号)によりミシンモータ4が駆動され、前記可変抵抗器10により設定される上限速度を超えない範囲で前記ミシンペダル7の踏み込み量に応じた速度でミシン本体1が回転駆動されるようになっている。
【0026】
ROM15には、前記ミシンモータ4や各種ソレノイドを駆動するための制御プログラムが格納され、CPU12は、この制御プログラムに基づいて、RAM16を作業領域とし、ミシンモータドライバー13や各種ソレノイドドライバーを介して、ミシンモータ4の回転、停止、速度制御、および、各種アクチュエータの駆動制御などを行っている。
【0027】
又、図3の予測値テーブルに示すように、ROM15には、モータドライバー13から出力されるPWM信号のスイッチングに起因して前記可変抵抗器10から出力される上限速度信号に重畳するスイッチングノイズの予測値が、前記エンコーダ14(速度検出手段)により検出したミシンモータの速度に関連し格納されており、ROM15は、本実施形態における予測値出力手段を構成している。
【0028】
そして、本発明においては、制御装置18によって、ミシン停止中、あるいは、ミシン回転中に可変抵抗器10が操作された際に、前記上限速度信号に前記予測値を超える変化が発生した時に上限速度信号を有効とする制御が行われる。換言すれば、予測値を超えない変化は、スイッチングノイズであると見なされて無効とされ、その結果、上限速度で回転中にも安定した回転を維持することができる。
【0029】
次に本実施形態のミシンモータの制御装置18について、図3、図4および図5に基づいて詳細に説明する。なお、図5は、可変抵抗器10の操作により上限速度Uが2000(rpm)に設定されている場合における動作説明図であり、横軸をミシンペダル7の踏み込みストローク(以下、ペダルストロークと呼称する)、縦軸をペダルストロークに対応するミシンモータ4の回転速度とし、破線Rは、ミシンペダル7により指令される速度指令値を、実線Lは、実際のミシンモータ4の回転速度を表している。但し、破線Rは、ミシンモータ4の回転速度が上限速度Uとして設定されている2000rpmになる点Eまでは、指令速度値と実際の回転速度が等しいため、実線と重なって隠されている。
【0030】
まず、電源が投入されると、図4のステップS1で、CPU12によりミシン本体1の主軸の最大許容回転速度Mが読み込まれる。この最大許容回転速度Mは、ミシンの機種毎にミシンの機構等により決定されるもので、例えばROM15に予め記憶されており、本実施形態においては、5000[rpm]が最大許容回転速度として記憶されている。そして、この最大許容回転速度Mは、可変抵抗器10により設定される上限速度の最大値として設定される。なお、本実施形態においては、説明の簡略のためにミシンベルト3で連結されるミシンモータ4のプーリー(図示せず)とミシン主軸のプーリー17とは、1対1のプーリー比で連結され、ミシンモータ4とミシン主軸は、同一回転速度で回転するように構成されているものとする。
【0031】
次に、ステップS2において、可変抵抗器10より出力されている上限速度信号の電圧値がCPU12により読み込まれ、変数Vに一時的に記憶される。なお、上限速度信号は、アナログ量であるが、CPU12に内蔵されたA/D変換器によりデジタル変換された後にCPU12に読み込まれる。
【0032】
次に、ステップS3において、上限速度信号の電圧値Vが回転速度に変換され、変換され回転速度が、ミシンペダル7が操作された際のミシンモータ4の上限速度Uとして設定される。この変換は、1000[rpm]/1[V]の比例関係で行われ、例えば、上限速度信号Vが2[V]であれば、上限速度Uは、2000[rpm]に変換される。
【0033】
次いで、ステップS4に移行し、ミシンペダル7の操作によりペダルセンサー9から出力される速度指令信号Pが読み込まれ、ステップS5に移行する。ステップS5においては、ステップS4で読み込まれた速度指令信号Pの値が、所定の基準値を超えているかを判定することにより、作業者がミシンペダル7を前踏みしたか否かが判定される。
【0034】
ステップS5において、ミシンペダル7の前踏みが行われていないと判定された場合は、ステッS4に移行して、前踏みが行われたと判定されるまで、ステップS4とステップS5の処理が繰り返される。また、ステップS5で前踏みが行われたと判定された場合は、ステップS6に移行し、速度指令信号Pを指令速度Sに変換する処理が行われる。この変換も、上限速度信号Vの変換と同様に1000[rpm]/1[V]の比例関係に基づいて行われる。
【0035】
続いて、ステップS7に移行し、ミシンペダル7の前踏みにより指令された指令速度Sが上限速度U以上であるか否かが判定される。そして、ステップS7で指令速度Sが上限速度Uより低いと判定された場合は、ステップS8に移行して、ミシンペダル7の前踏みにより指令された指令速度Sでミシンモータ4を回転させる。図5のペダルストローク位置Aにおいては、破線Rで示される指令速度Sが上限速度U(2000rpm)よりも低いので、このステップS8の処理が実行される。
【0036】
一方、ステップS7で指令速度Sが上限速度Uより高い、あるいは、等しいと判定された場合は、ステップS9に移行してミシンモータ4を上限速度Uで回転させる。図5のペダルストローク位置Bおいては、破線Rで示された指令速度Sが上限速度U(2000rpm)よりも高いので、ステップS9の処理が実行される。
【0037】
ステップS8、または、ステップS9の処理の後、ステップS10に移行して、可変抵抗器10より出力される上限速度信号の電圧値が再度読み込まれ、変数Wに一時的に記憶され、ステップS11に移行する。
【0038】
ステップS11においては、エンコーダ14から出力される速度検出信号に基づいてミシンモータ4の回転速度が検出され、ステップS12に移行する。ステップS12では、ROM15に格納されている予測値テーブルT(図3)から、検出された回転速度に対応する上限速度信号に重畳するスイッチングノイズの予測値Dが読み込まれる。本実施の形態においては、この予測値テーブルTは、可変抵抗器10が操作された際に、1000[rpm]/1[V]の比例関係で上限速度信号を出力するものとして作成され、例えば、ミシンモータ4の回転速度が1〜400[rpm]の範囲で、スイッチングノイズの予測値が0.01[V]とある場合は、最大で10[rpm]に相当するスイッチングノイズが上限速度信号に重畳することを示している。なお、この予測値は、実際に予測されるノイズよりも十分な余裕をもって大きめに、設定されている。
【0039】
また、予測値Dは、実際のミシンモータ4の回転速度に対応して設定されているため実線Lで示すミシンモータ4の回転速度が401rpm以上の場合は、0.02Vが読み込まれ、ミシンモータ4の回転速度が0〜400rpmのときは、0.1Vが読み込まれ、さらに、ミシンモータ4が停止している場合は、0Vが読み込まれる。
【0040】
次に、ステップS13に移行して、変数Vから変数Wを減算した絶対値が予測値Dより大きいか否か、すなわち、上限速度信号に前記予測値Dを超える変化があったか否かの判定が行われる。この判定は、ステップS3で読み込まれ変数Vに格納された上限速度信号の電圧値と、その後ステップS10で変数Wに格納された上限速度信号の電圧値との差がスイッチングノイズの予測値Dを超えているか否かを判定する処理であり、換言すれば、可変抵抗器10の操作による上限速度信号の電圧の変化がスイッチングノイズより大きいか否かを判定する処理である。
【0041】
そして、ステップS13で、変数Vから変数Wを減算した絶対値が予測値Dより大きいと判定された場合は、上限速度設定手段の操作によりスイッチングノイズより大きな電圧の変化が上限速度信号に加えられたと判定され、ステップS14に移行して、変数Wに格納されている電圧値をミシンモータ4の新たな上限速度Uに変換する処理がおこなわれ、ステップS15に移行する。
【0042】
次いで、ステップS15において、変数Wに格納された上限速度信号の電圧値が新たな電圧値として変数Vに格納され、ステップS16に移行する。なお、ここで、格納された変数Vの値は、次にステップS13において、新たにステップS10で変数Wに格納された上限速度信号の電圧値と比較する際に用いられる。
【0043】
一方、ステップS13で、変数Vから変数Wを減算した絶対値が予測値D未満であると判定された場合は、スイッチングノイズより大きな電圧の変化が上限速度信号に加えられなかったと判定され、上限速度Uの更新は行われず、ステップS16に移行する。
【0044】
ステップS16においては、再度、速度指令信号Pの読み込みが行われ、ステップS17に移行する。ステップS17においては、ステップS16で読み込まれた速度指令信号Pに基づいて、ミシンペダル7の前踏みが継続されているか否かの判定が行われる。
【0045】
ステップS17で、ミシンペダルの前踏みが継続されていたと判定された場合は、ステップS6に移行し、ステップS16で読み込まれた速度指令信号Pが指令速度Sに変換する処理が再度行われ、ステップS7に移行する。ステップS7においては、ステップS3、または、ステップS14で変換された上限速度UとステップS6で変換された指令速度Sとの比較が行われ、その結果に応じて、ステップS8、またはステップS9の処理が行われ、ステップS10移行してその後の処理が繰り返される。
【0046】
一方、ステップS17でミシンペダル7の前踏みが行われていないと判定された場合は、ステップS18に移行してミシンモータ4を停止させた後、ステップS4に移行しその後の処理が繰り返し実行される。
【0047】
次に、図5のペダルストローク位置Cにおいて、ミシンモータ4の回転速度が2025rpmに上昇しているが、この回転速度の上昇の経過を、図4のフローチャートに対応して説明する。
【0048】
ペダルストローク位置がBからCにある間に、可変抵抗器10が上限速度を上昇する方向に操作されると、ステップS10でこの時の上限速度信号が読み込まれ変数Wに格納される。次に、ステップS11で、この時のミシンモータ4の回転速度が読み込まれる。次いで、ステップS12で、予測値Dが読み込まれる。この場合は、ミシンモータ4の回転速度は、2000rpmなので、予測値テーブルTから予測値Dが、0.02Vとして読み込まれる。次いで、ステップS13に移行して、ステップS10読み込まれた上限速度信号Wと操作前の上限速度2.0Vとの減算値の絶対値と、予測値Dの比較が行われる。ステップS10で読み込まれた上限速度信号Wが、例えば、2.025Vであると、その差の絶対値は0.025Vであり予測値D(0.02V)を超えているので、ステップS14に移行して上限速度信号Wが上限速度2025rpmに変換され、新たな上限速度Uとして設定される。その後、ステップ15〜17を経て、ステップS6に移行して、ステップS16で読み込まれた新たな速度指令信号Pが指令速度Sに変換されステップS7に移行する。ステップS7においては、新たな指令速度SとステップS14で更新された上限速度U(2025rpm)が比較されるが、図5のペダルストローク位置B〜Cの間では、指令速度Sの方が大きいので、ステップS9に移行して、ミシンモータ4は、新たな上限速度U(2025rpm)で回転する。
【0049】
図5においては、上限速度が2000rpmに設定され、ミシンモータ4の回転速度が2000rpmの時に、可変抵抗器10が上限速度を上昇させる方向に操作された場合を示したが、上限速度を下降させる場合も同様の処理が行われる。即ち、予測値Dよりも大きな変化が上限速度信号に発生した場合のみ上限速度が更新される。また、ミシンモータ4の回転速度が、1〜400rpmの時に、可変抵抗器10を操作した場合は、予測値Dが、0.01Vである以外は、同様の処理が行われる。また、ミシンモータ4が停止している時は、予測値Dは、0Vであるので、可変抵抗器10の操作による上限速度の設定値の更新は、即、有効となる。
【0050】
以上の流れにより、可変抵抗器10(の操作部11)が操作された場合に、そのときのミシンモータ4の回転速度に応じたスイッチングノイズの予測値より大きな変化が上限速度信号に加えられた場合のみ、可変抵抗器10の操作を有効として、可変抵抗器10が操作された後の上限速度でミシンモータ4の回転速度を制限して回転させ、前記予測値より大きな変化が上限速度信号に加えられなかった場合は、上限速度信号の変化を無効として、可変抵抗器10が操作される前の上限速度でミシンモータ4の回転速度を制限して回転させることができる。その結果、ミシンモータの回転速度に対応して設定されているスイッチングノイズの予測値以下のスイッチングノイズが可変抵抗器10から出力される上限速度信号に重畳したとしても無効することができ、安定した上限速度でミシンモータを回転させることができる。
【0051】
また、可変抵抗器10の操作により上限速度信号がスイッチングノイズより大きく変化した場合は、操作後の上限速度信号が、即、有効となるので、ノイズフィルターを上限速度信号に付加した場合に発生する操作に対する遅れの発生が無く、操作性に優れた速度制限をすることができる。
【0052】
さらに、可変抵抗器10の操作が操作された際に、無効とされる上限速度信号の範囲がミシンモータの回転速度に応じて最適に設定されるので、上限速度信号に対する制御量を必要最小限とすることができる。
【0053】
なお、本実施の形態の説明にあたって、説明を簡略化するためにミシンモータ4とミシンの主軸とは、1対1のプーリー比で連結されているものとしたが、プーリー比は1対1でなくとも、プーリー比を予め制御手段に記憶させておけば、ミシンモータの回転速度にこのプーリー比を乗ずればミシン主軸の回転速度は、演算で求めることができ、ミシン主軸が設定された上限速度で制限されて回転するようにミシンモータを制御することができることは、勿論である。
【0054】
また、本実施の形態においては、予測値テーブルTにおいて、ミシンモータの回転速度を3段階に分けてそれぞれの回転速度に対応する予測値を出力するように構成しているが、ミシンモータの停止中と回転中の2段階のみに分けて対応する予測値を出力したり、あるいは、4段階以上に分割して予測値を出力したりすることも可能である。
【0055】
また、本実施の形態では、予測値出力手段として、予めミシンモータの回転速度に対応させた予測値テーブルTをROM15に記憶させ、このROM15からの出力をCPU12が読み込む構成としたが、予測値出力手段としては、例えば、予測値をミシンモータの回転速度に所定の定数を乗じて算出するようにしても良い。
【0056】
また、複数の予測値テーブルを用意して、これらを発生するスイッチングノイズの大きさに対応して操作パネル8に設けられたスイッチ等の選択手段により選択できるようにしても良い。その場合、スイッチングノイズの大きさが、制御装置に使用される制御部品の特性のバラツキや劣化等により変化する場合にも対応することができ、常に安定した回転速度でミシンモータを回転させることができるとともに、操作性にも優れた速度制限手段を構成することができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、上限速度設定手段として可変抵抗値を用いているが、操作量をアナログ値で出力できる速度設定手段であれば、例えば、磁気抵抗素子やホール素子等、他の検出用素子を用いたものにも適用可能であることは勿論である。
【0058】
また、本実施の形態では、予測値出力手段が、速度検出手段により検出される前記ミシンモータの回転速度に関連してスイッチングノイズの予測値を出力するように構成しているが、ミシンモータに流れる電流を検出する電流検出手段を設け、この検出手段により検出される電流に関連して予測値を出力するように構成しても良い。このように構成しても、速度検出手段により検出される前記ミシンモータの回転速度に関連してスイッチングノイズの予測値を出力する場合と同様な効果が得られる。これは、ミシンモータの回転速度とミシンモータに流れる電流は、略比例しているため、ミシンモータに流れる電流を検出することは、間接的にミシンモータの回転速度を検出することになるからである。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ミシンモータの制御装置が、ミシンモータの上限速度を設定する上限速度信号に重畳するスイッチングノイズの予測値を出力する予測値出力手段と、上限速度信号に前記予測値を超える変化があった場合にのみ変化後の上限速度信号を有効として、前記変化後の上限速度信号に応じた上限速度を設定する制御手段とを備えるので、上限速度設定手段として可変抵抗器等のアナログ量で信号を出力する部材を用いた場合でも、上限速度信号に重畳するスイッチングノイズを無効とすることができ、安定した上限速度でミシンモータを回転させることができる。又、ノイズフィルター等の素子を新たに付加することないので、ミシンのコストアップを防ぐことができる。
【0060】
また、請求項2記載の発明によれば、予測値出力手段が、速度検出手段により検出されるミシンモータの回転速度に関連して予測値を出力するので、上限速度信号にノイズフィルターを付加した場合に比較して上限速度信号に対する制御量を最小限とすることができ、操作性に優れたミシンの制御装置を提供することができる。
【0061】
また、請求項3記載の発明によれば、ミシンモータに流れる電流を検出する電流検出手段を有し、予測値出力手段が、電流検出手段により検出されるミシンモータの電流に関連して予測値を出力するので、請求項2記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミシンモータの制御装置が適用されるミシンを模式的に示す図である。
【図2】本発明のミシンモータの制御装置の制御系の要部を示すブロック図である。
【図3】本発明のミシンモータの制御装置を構成する予測値テーブルのデータ内容を示す説明図である。
【図4】本発明のミシンモータの制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明のミシンモータの制御装置により制御されるミシンモータのペダルストロークと回転速度との関係を示す動作説明図である。
【符号の説明】
1   ミシン本体
4   ミシンモータ
5   制御ボックス
7   ミシンペダル
8   操作パネル
9   ペダルセンサー
10  可変抵抗器
12  CPU
14  エンコーダ
15  ROM
16  RAM

Claims (3)

  1. ミシン主軸を駆動するミシンモータをスイッチングにより駆動する駆動回路と、
    ミシンモータの速度を検出する速度検出手段と、
    操作によりミシンモータの速度指令信号を出力する速度指令手段と、
    前記ミシンモータの上限速度を任意に変更する操作部を有し、該操作部の操作位置に対応する上限速度信号をアナログ量で出力し、この上限速度信号により前記ミシンモータの上限速度を設定可能とする上限速度設定手段と、
    前記速度指令手段が操作された際に、前記上限速度を超えない範囲で、前記速度指令信号に応じた回転速度で前記ミシンモータを回転させる駆動信号を前記駆動回路に出力する速度制御手段とを備えたミシンモータの制御装置において、
    前記ミシンモータのスイッチングに起因して前記上限信号に重畳するモータの回転速度に応じたスイッチングノイズの予測値を出力する予測値出力手段と、
    前記上限速度信号に前記予測値を超える変化があった場合にのみ変化後の上限速度信号を有効として、前記変化後の上限速度信号に応じた上限速度を設定する制御手段とを備えることを特徴とするミシンモータの制御装置。
  2. 前記予測値出力手段は、前記速度検出手段により検出される前記ミシンモータの回転速度に関連して、前記スイッチングノイズの予測値を出力することを特徴とする請求項1記載のミシンモータの制御装置。
  3. 前記ミシンモータに流れる電流を検出する電流検出手段を有し、前記予測値出力手段は、前記電流検出手段により検出されるミシンモータの電流に関連して、前記スイッチングノイズの予測値を出力することを特徴とする請求項1記載のミシンモータの制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006288100A (ja) * 2005-04-01 2006-10-19 Nissan Motor Co Ltd モータ駆動システム及びモータ駆動方法
JP2015039360A (ja) * 2013-08-23 2015-03-02 日本プラントシーダー株式会社 電動モータ駆動播種機の速度制御システム

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