JP2004089059A - 調味料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】調味料を含むゲル状組成物と酵素を含むゲル状組成物を含有させることにより前記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調味料組成物に関する。さらに詳細には、調味料を含むゲル状組成物と酵素を含むゲル状組成物を含有することにより、加熱後喫食時に違和感なく食することができる調味料組成物、及びそれを含有する調味料、さらにはそれらを含有する飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷蔵・冷凍惣菜の分野で流通時の保持性や、スープを袋から出さずに使えるなどの利便性が注目され、調味料をゼリー状に固め喫食時に加熱し溶解して食するものが商品化されるようになってきた。
従来、調味液やスープに関しては簡便性を求める為、いろいろな方法が提供されてきた。例えばめん用濃縮スープに、寒天、ゼラチン、アルギン酸ソーダの1種または2種を添加してゲル状にする方法(特公平5−4602号公報)が知られているが、喫食時に水で薄めたりするなど手間がかかり簡便性にかけるものであった。また、近年ゼラチン、寒天等のゲル化剤でスープ全体を固め、電子レンジなどで再加熱をして喫食に供するものがあるが、時間の経過と温度の低下によりスープが冷めてゲル化したり粘りが発生することがあった。
これら従来方法では、前記したような諸問題があり、いずれも満足のいく製品は得られていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述した欠点を克服し、簡便でかつ喫食事に粘りを感じることなく、また温度が低下してもゲル化しない調味料組成物及びそれを含有する調味料、さらにはそれらを含有する飲食品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、調味料を含むゲル状組成物と酵素を含むゲル状組成物を含有することにより、加熱溶解するだけで喫食時に粘りを感じることなく、また温度が低下してもゲル化しない調味料組成物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
以下本発明を詳細に説明する。
【0005】
【発明の実施の態様】
本発明のゲル状組成物とは、ゲルすなわちゾルが流動性を失った状態、または多量の溶媒を含んだまま、固体のように一定の形を保持する状態を呈した組成物をいう。
本発明における調味料とは、特に限定されるものではないが、和風惣菜用としては醤油、味噌、塩、だし汁、みりん、酒、化学調味料などを含み、中華、洋風惣菜向けにはブイヨン、中華スープ、洋酒、各種醤、各種香辛料、各種香味油などを調合して調製する。また本発明の調味料を含むゲル状組成物は特に限定するものではないが調味料を1〜99.99重量%添加し、ゲル化剤としてゼラチン、寒天、カラギナン、ジェランガム、ファーセレラン、ペクチン、ローカストビーンガム、タラガム、蒟蒻粉、キサンタンガム、油脂、乳化剤よりなる群より選ばれた1種類または2種類以上を0.01〜20.0重量%を使用し、ゲル化剤の溶解温度以上に加熱溶解後冷却して調製する。ここで好ましいゲル化剤としてはゼラチン、カラギナンがあげられる。また、本発明における酵素を含むゲル状組成物は、プロテアーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ等の酵素やマンゴ、パイナップル、パパイヤ、メロン、キウイ、イチジク、マイタケ、サツマイモ、ショウガ等の酵素を含む食品に、ゲル化剤としてゼラチン、寒天、カラギナン、ジェランガム、ファーセレラン、ペクチン、ローカストビーンガム、蒟蒻粉、キサンタンガム、油脂、乳化剤等を添加して調製する。
【0006】
本発明における油脂は食品に利用できるものであれば特に限定されるものではないが、大豆油、綿実油、落花生油、ヒマワリ油、菜種油、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、やし油、パーム核油、パーム油、バター油、ラード、牛脂、魚油などがあり、水素添加やエステル交換の加工を施したものも利用でき、融点が0℃以上の油脂が望ましい。乳化剤とは食品に利用できるものであれば特に限定されるものではないがポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、ポリソルベートなどが利用できる。本発明において、固形物を分散したり粘度を付与する目的でゲル化以外の目的で増粘安定剤を併用することもできる。この際の増粘安定剤は、特に限定するものではないがキサンタンガム、グァーガム、タマリンドガム、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸塩及びプロピレングリコールエステル、トラガントガム、カラヤガム、プルラン、カードラン、ペクチン、CMCがあげられる。
【0007】
酵素を含むゲル状組成物のゲル化剤と酵素の組み合わせは、特に限定されるものではないが、好ましくは、酵素とその酵素により分解されないゲル化剤を使用し、例えば酵素としてプロテアーゼを使用し、ゲル化剤としてゼラチンなどのタンパク質以外で構成されている寒天、カラギナンの組合せがある。
また、調味料を含むゲル状組成物に用いるゲル化剤と酵素の組み合わせは、調味料を含むゲル状組成物中のゲル化剤を分解する活性のある酵素を使用することが望ましく、例えば、ゼラチンなどのタンパク質で構成されているゲル化剤に酵素としてプロテアーゼの組合せ、カラギナン、ローカストビーンガムで構成されているゲル化剤に酵素としてヘミセルラーゼの組み合わせがあげられる。
【0008】
また本発明では、酵素や酵素を含んだ果汁や野菜汁の酵素活性を保つ方法として乳化剤、油脂、糖類及び多糖類等でコーティングを行なうことも効果的である。
【0009】
また、乳化型の調味料を加える場合、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチンなどを併用することも可能である。
【0010】
本発明の調味料組成物または調味料の食し方としては、夫々のゲルの融点以上に電子レンジや直火を使用して加熱し溶解した後、そのまま、または冷却して食する。
調製工程は特に限定されるものではないが、調味料を含むゲル状組成物と、酵素を含むゲル状組成物を混合することが望ましく、さらにゲル化させたものを夫々層状にすることが望ましく、更に比重の高い方を上にし、低い方を下にすることが更に望ましい。
【0011】
本発明でいう飲食物とは特に限定するものではなく、調味料を含むものであれば何でもよいが、ご飯とあわせたものであれば牛丼、中華丼、天丼、親子丼、卵丼、カレーライス、ハヤシライス等があり、麺類とあわせたものであれば、うどん、カレーうどん、てんぷらうどん、そば、ミートスパゲティー、イタリアンスパゲティー、カルボナーラスパゲティーなどがあげられる。
以下、実施例にて本願発明を詳細に説明する。
【0012】
【実施例】
実施例1
調味料を含むゲル状組成物
塩5gと醤油10gと砂糖25gにかつおだし汁500gを加え、そこにゼラチン10gを加え、90℃まで加熱した後、10℃に冷却して調味料を含むゲル状組成物を得た。
酵素を含むゲル状組成物
砂糖5gとカラギナン1gに水200gを加え、90℃に加熱した後、50℃まで冷却し、更にBacillus subtilis由来の力価200,000units/gのプロテアーゼ1gを加え10℃に冷却して酵素を含むゲル状組成物を得た。
上記工程で調製した調味料を含むゲル状組成物を容器に100g入れその上から酵素を含むゲル状組成物を10g入れ調味料組成物を得た。
【0013】
実施例2
調味料を含むゲル状組成物
醤油10gと味噌5gに中華だし汁500gを加え、そこにゼラチン10gを加え、90℃まで加熱した後、10℃に冷却して調味料を含むゲル状組成物を得た。
酵素を含むゲル状組成物
精製ラード(融点35℃)100gを50℃まで加熱溶解し、Bacillus subtilis由来の力価200,000units/gのプロテアーゼ1gを加え10℃に冷却して酵素を含むゲル状組成物を得た。
上記工程で調製した調味料を含むゲル状組成物を容器に100g入れその上から酵素を含むゲル状組成物を5g入れ2層にした調味料組成物を得た。
【0014】
実施例3
調味料を含むゲル状組成物
塩10g、砂糖5g、カラギナン1g、ローカストビーンガム2g、ワイン10gにブイヨン500gを加えよく混合した後、90℃まで加熱した後、10℃に冷却して調味料を含むゲル状組成物を得た。
酵素を含むゲル状組成物
砂糖5gとゼラチン5gに水200gを加え、90℃に加熱した後、50℃まで冷却し、力価200,000units/gのヘミセルラーゼ1gを加え10℃に冷却して酵素を含むゲル状組成物を得た。
そして、上記工程で調製した調味料を含むゲル状組成物を容器に100g入れその上から酵素を含むゲル状組成物を5g入れ2層にした調味料組成物を得た。
【0015】
実施例4
調味料を含むゲル状組成物
塩5gと醤油10gと砂糖25gにかつおだし汁500gを加え、そこにゼラチン8gを加え、90℃まで加熱した後、10℃に冷却して調味料を含むゲル状組成物を得た。
酵素を含むゲル状組成物
砂糖5gとカラギナン1gに水200gを加え、90℃に加熱した後、50℃まで冷却し、更にマイタケ粉末2gを加え10℃に冷却して酵素を含むゲル状組成物を得た。
そして、上記工程で調製した調味料を含むゲル状組成物を容器に100g入れその上から酵素を含むゲル状組成物を20g入れ調味料組成物を得た。
【0016】
実施例5
調味料を含むゲル状組成物
醤油10gと砂糖5gとに和風だし汁500gを加え、そこにゼラチン10gを加え、90℃まで加熱した後、10℃に冷却して調味料を含むゲル状組成物を得た。
酵素を含むゲル状組成物
精製ラード(融点35℃)100gを50℃まで加熱溶解し、Bacillus subtilis由来の力価200,000units/gのプロテアーゼ1gを加え10℃に冷却して酵素を含むゲル状組成物を得た。
容器に110gの炊飯した米を入れその上に上記工程で調製した調味料を含むゲル状組成物を容器に50g入れその上から酵素を含むゲル状組成物を5g入れ、さらにその上に牛肉とたまねぎを甘く煮たものを50g入れ、調味料組成物を含む牛丼を得た。得られた牛丼を500Wの電子レンジで90秒加熱し、10分間放置した後食したが、全く違和感なく食することができた。
【0017】
比較例1
実施例1からプロテアーゼのみを抜き同様な方法で調製し、調味料組成物を得た。
【0018】
比較例2
実施例2からプロテアーゼのみを抜き同様な方法で調製し、調味料組成物を得た。
【0019】
比較例3
実施例3からヘミセルラーゼのみを抜き同様な方法で調製し、調味料組成物を得た。
【0020】
試験例1
前記実施例1〜4及び比較例1〜3の7種の調味料組成物をそれぞれ電子レンジで80℃に加熱しその食味について時間経過と温度による評価を実施した。(室温15℃)表1に、結果について示した。
【0021】
【表1】
【0022】
○安定 △わずかに粘りあり ×粘りあり □ゲル化
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便でかつ喫食事に粘りを感じることなく、また温度が低下してもゲル化しない調味料組成物及び調味料、さらにはそれらを含有する飲食品を得ることが出来る。
Claims (6)
- 調味料を含むゲル状組成物と酵素を含むゲル状組成物を含有することを特徴とする調味料組成物
- ゲル状組成物がゼラチン、寒天、カラギナン、ジェランガム、ファーセレラン、ペクチン、ローカストビーンガム、タラガム、蒟蒻粉、キサンタンガム、油脂、乳化剤よりなる群より選ばれた1種類または2種類以上を含有することを特徴とする請求項1記載の調味料組成物
- 酵素がプロテアーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼよりなる群より選ばれた1種類または2種類以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の調味料組成物
- 酵素が、天然果実、野菜に由来し、天然果実、野菜がマンゴ、パイナップル、パパイヤ、メロン、キウイ、イチジク、マイタケ、サツマイモ、ショウガよりなる群より選ばれた1種類または2種類以上であることを特徴とする請求項1または3記載の調味料組成物
- 請求項1〜4いずれか記載の調味料組成物を含有する調味料
- 請求項1〜4いずれか記載の調味料組成物または請求項5記載の調味料を含有する飲食品
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