JP2004088869A - キャパシタ蓄電池の充電制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池において、各キャパシタセル間の電圧のばらつきを低廉なコストで均一化する。
【解決手段】キャパシタセル1個につき1台の差動増幅器を用いて、キャパシタセルの端子電圧に応じた量の充電電流をバイパスさせるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】キャパシタセル1個につき1台の差動増幅器を用いて、キャパシタセルの端子電圧に応じた量の充電電流をバイパスさせるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無停電電源システム、電力平準化システム、太陽光発電システムなどに用いられるキャパシタ蓄電池の充電制御装置に係り、より詳しくは、キャパシタ蓄電池を構成する複数のキャパシタセルを、均一な端子電圧に充電するためのキャパシタ蓄電池の充電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
キャパシタセル(電気二重層キャパシタなどの単位セル、または単位セルを更に複数個並列接続したもの)の耐電圧は、2.5〜3V程度と低いため、このキャパシタセルを無停電電源システム、電力平準化システム、太陽光発電システムなどの実用規模の蓄電装置として用いるには、キャパシタセルを多数段直列接続する必要がある。
【0003】
キャパシタセルを直列接続して充放電すると、個々のキャパシタセルごとに、静電容量、漏洩電流、充電初期電圧などに差異があるため、各キャパシタセルの端子電圧は等しくならない。このため、キャパシタ蓄電池をそのまま充電すると、セルの耐電圧を超えた充電によってセルの寿命低下を招くか、または、セルの耐電圧を超えないように充電電源の最大充電電圧を低く設定する結果、キャパシタ蓄電池の電圧利用率を低下させ、蓄電電気エネルギーが減少するという結果を招くことになる。
【0004】
従来、各キャパシタセルが耐電圧を超えないで、しかも電圧利用率を向上させることができる技術として、特開平10−174285号公報に記載されている技術が知られている。これは、図8に示すように、複数のキャパシタセルC1〜Cnを直列接続したキャパシタ蓄電池2の各々のキャパシタセルに、並列に、電圧制限電流バイパス回路(並列モニタ)41〜4nを設け、電圧制限電流バイパス回路41〜4nの制限電圧で、各セルの端子電圧を制限及び均一化させるものである。
【0005】
この回路の動作を説明すると、次の通りである。まず、電圧制限電流バイパス回路41〜4nは、キャパシタセルの端子電圧を電圧検出回路3Aで検出し、電圧検出回路3Aの検出電圧と、この電圧検出回路3Aに対応して設けられる基準電圧3Bとを比較回路3Jで比較して、検出電圧≧基準電圧の場合は、比較回路3Jの出力電圧で、電流バイパス回路3Gをオン制御することにより、この電圧制限電流バイパス回路41〜4nが並列に接続されたキャパシタセルの端子電圧を制限するとともに、定電圧定電流型充電回路(定電圧定電流型充電電源)1の総充電電流すべて、または、総充電電流からキャパシタセルに流れる緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスする。電位絶縁回路3Hは、電圧制限電流バイパス回路41〜4nのどれか一組以上が動作した場合、定電圧定電流型充電回路1からの充電電流を制限あるいは停止させるように、定電圧定電流型充電回路1の設定電流を制御する。
【0006】
図9は、並列モニタを無停電電源システムのキャパシタ蓄電池に使用した例で、キャパシタセルの数n=5の例を示している。直列接続されたキャパシタセルC1〜C5を、定電圧定電流型充電回路1の最大充電電流で充電し(時間:T0〜T1)、電圧制限電流バイパス回路41〜45の内のどれか一組以上が動作したら(時間:T1)、定電圧定電流型充電回路1の設定電流を電圧制限電流バイパス回路41〜45の電流バイパス回路3Gが破損しない程度の値に設定したもので、図の(A)が各キャパシタセルの端子電圧、(B)が各キャパシタセル間の端子電圧の最大差電圧、(C)が定電圧定電流型充電回路1から供給される充電電流と電圧制限電流バイパス回路41〜45の中の最大バイパス電流を示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、定電圧定電流型充電回路1の出力電圧をV0、電圧制限電流バイパス回路41〜4nの制限電圧をVcd、直列に接続するキャパシタセルの段数をnとすると、従来のキャパシタ蓄電池の充電制御装置では、
V0 < Vcd×n
という関係を採用していた。これは、キャパシタセルを満充電に充電する場合、各々のキャパシタセルに並列接続される電圧制限電流バイパス回路41〜4nの中で、Vcdに到達した電圧制限電流バイパス回路で発生する損失電力量
【0008】
【数1】
【0009】
を軽減するためである。ここで、I0は、定電圧定電流型充電回路1の出力電流、Tは、電圧制限電流バイパス回路41〜4nがセル制限電圧Vcdに到達している時間、Ictは、電圧制限電流バイパス回路41〜4nが制限電圧に到達してからの時刻tにおいて、キャパシタセルに流れる充電電流、Δtは、時刻tにおける微小時間である。
【0010】
この電圧制限電流バイパス回路を無停電電源システムや電力平準化システムなどの蓄電池に用いると、長時間充電になった場合、次のような問題点があった。
【0011】
▲1▼ Vcd×n−V0=Verと置くと、複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の中で、キャパシタセルすべてを同一電圧に均一化しようとした場合やキャパシタセル全てを均一化した場合にも、Verは、キャパシタセルの緩和充電電流(長時間充電では、漏洩電流と一致してくる)が大きくて、充電電流が緩和充電電流以下となった場合、電圧降下の最も大きいキャパシタセルに、キャパシタセル間のばらつき電圧として集中してくる(図9のT4以降を参照)。例えば、Vcd:2.72V、n=5、V0=13.5Vとすると、Ver=0.1Vである。V0とVcd×nとの差は1%以下であるにもかかわらず、キャパシタセル間の全体の最大ばらつきは、Vcdに対して3.67%である。更に言えば、n=20、V0=54Vとすると、Ver=0.4Vとなり、キャパシタセル間の全体の最大ばらつきは、Vcdに対して14.7%にもなる。
【0012】
▲2▼ 例えば、ばらつき電圧を1%以下にするには、V0とVcdとの差Verは、Vcd×0.01以下にする必要がある。このため、定電圧定電流型充電回路1の出力電圧V0には、精密な設定が要求され、精密で高安定度の高価な定電圧定電流型充電回路1が必要となり、実用的でない。
【0013】
▲3▼ 定電圧定電流型充電回路1の出力電圧V0が、図9のT3〜T4のように、V0=Vcd×nに変動した場合、緩和充電期間中であっても、充電電流I0=バイパス電流Ibとなり、電圧制限電流バイパス回路で発生する損失電力P=Vcd×Ibも大きくなり、損失電力量Pwを増加させる。また、損失電力Pを抑制する目的で定電圧定電流型充電回路1の出力電流を小さくした場合には、最大充電電流(図9の例では数A程度、一組以上の電圧制限電流バイパス回路が制限電圧に到達した場合で数百mA)からキャパシタセルの中の最大漏洩電流(数mA〜数十mA程度)までの広い範囲に渡って、定電圧定電流型充電回路1の定電流制御に精密で高安定度の制御が要求されるため、定電圧定電流型充電回路1が非常に高価となり、実用的でない。
【0014】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の長時間充電において、各キャパシタセルの緩和充電電流や漏洩電流の差などによって生じる各キャパシタセル間のばらつき電圧、および、漏洩電流の最も大きいキャパシタセルに集中してくるばらつき電圧の低減化を、簡単な回路構成で実現するとともに、小型軽量で且つ廉価なコストで実現できるようなキャパシタ蓄電池の充電制御装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置は、
複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の各々のキャパシタセルと並列に接続され、各キャパシタセルの端子電圧を均一化するキャパシタ蓄電池の充電制御装置であって、
該充電制御装置は、
キャパシタセルの端子電圧を検出する電圧検出手段と、
基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、
電圧検出手段で検出されたキャパシタセルの端子電圧と基準電圧供給手段が供給する基準電圧とを比較し、その差電圧を増幅する差動増幅器と、
キャパシタセルの端子電圧が所定の電圧を超えたときに、差動増幅器の出力によりオンするスイッチ手段と、
スイッチ手段と直列に接続され、スイッチ手段がオンした場合には、差動増幅器の出力レベルに応じた量だけ、外部電源から供給されるキャパシタセルの充電電流をバイパスさせるか、またはキャパシタセルの電荷を放電させるかする電圧制御電流駆動手段と
を備え、
前記スイッチ手段を稼働させることにより、電圧制御電流駆動手段の電流制御範囲で決まる所定の電圧範囲に、各キャパシタセルの端子電圧を均一化させるようにしたことを特徴としている。
【0016】
また、複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の各々のキャパシタセルと並列に接続され、各キャパシタセルの端子電圧を均一化するキャパシタ蓄電池の充電制御装置であって、
該充電制御装置は、
キャパシタセルの端子電圧を検出する電圧検出手段と、
基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、
電圧検出手段で検出されたキャパシタセルの端子電圧と基準電圧供給手段が供給する基準電圧とを比較し、その差電圧を増幅する差動増幅器と、
キャパシタセルの端子電圧が第1の電圧を超えたときに、差動増幅器の出力によりオンする第1のスイッチ手段と、
第1のスイッチ手段と直列に接続され、第1のスイッチ手段がオンした場合には、差動増幅器の出力レベルに応じた量だけ、外部の定電圧定電流型電源から供給されるキャパシタセルの充電電流をバイパスさせるか、またはキャパシタセルの電荷を放電させるかする電圧制御電流駆動手段と、
キャパシタセルの端子電圧が第2の電圧を超えたときに、前記差動増幅器の出力によりオンし、外部電源から供給される当該キャパシタセルの総充電電流すべて、または外部電源より供給される充電電流から当該キャパシタセルの緩和充電電流分および第1のスイッチ手段に流れる電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせる第2のスイッチ手段と
を備え、
前記第1のスイッチ手段と第2のスイッチ手段を稼働させることにより、各キャパシタセルの端子電圧を第1の電圧から第2の電圧までの電圧範囲に均一化させるようにしたことを特徴としている。
【0017】
また、前記第2の電圧は、前記第1の電圧よりも高い電圧であることを特徴としている。
【0018】
また、前記第2のスイッチ手段は、ダイオードとトランジスタを直列に接続して構成されていることを特徴としている。
【0019】
また、前記第2のスイッチ手段は、各キャパシタセルに並列接続されているキャパシタ蓄電池の充電制御装置の第2のスイッチ手段の内、少なくとも1つの第2のスイッチ手段がオンとなったとき、キャパシタ蓄電池を充電する外部電源が供給しているキャパシタの充電電流を制限または停止させるようにオン制御される電位絶縁手段を備えたことを特徴としている。
【0020】
また、前記外部電源の設定充電電圧の設定範囲は、予定されているキャパシタセルの均一化電圧の範囲に、直列接続されたキャパシタセルの段数を乗じた値に設定されていることを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の一実施例を示したものである。これは、複数のキャパシタセルC1〜Cnを直列接続したキャパシタ蓄電池2の各々のキャパシタセルに、並列に、電圧バランス回路3を設け、電圧バランス回路3で検出された各キャパシタセルC1〜Cnの端子電圧に応じて、バイパスされる電流を可変させることにより、端子電圧が高いキャパシタセルに接続された電圧バランス回路のバイパス電流は大きくし、比較的端子電圧が低いキャパシタセルに接続された電圧バランス回路のバイパス電流は小さくして、すべてのキャパシタセルの端子電圧を所定の電圧範囲に均一化させるものである。この図では、電圧バランス回路3を代表的なキャパシタセルC1に並列に接続した部分のみを、拡大して示してある。
【0022】
この回路の動作を説明すると、次の通りである。まず、電圧バランス回路3は、キャパシタセルC1の端子電圧を電圧検出回路3Aで検出し、電圧検出回路3Aの検出電圧と、この電圧検出回路3Aに対応して設けられる基準電圧3Bとを差動増幅器3Cで比較増幅して、検出電圧≧基準電圧の場合は、差動増幅器3Cの出力電圧で、第1の半導体スイッチ回路3Dをオン制御する。第1の半導体スイッチ回路3Dには、電圧制御電流駆動回路3Eが直列に接続されており、差動増幅器3Cの出力電圧に応じて、第1の半導体スイッチ回路3Dを通ってバイパスされる電流により、キャパシタセルC1の充電電流の量を可変させることができるようになっている。そして、第1の半導体スイッチ回路3Dがオンになった場合、電圧制御電流駆動回路3Eで、バイパスされるキャパシタセルC1の充電電流量を制御することにより、キャパシタセルC1の端子電圧を所定の電圧範囲に均一化させる。
【0023】
従来の、端子電圧が所定の電圧を超えたら、キャパシタセルの総充電電流すべて、またはキャパシタセルの総充電電流から緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせる、比較回路3Jを用いた方法とは異なり、本発明では、比較回路3Jの代わりに差動増幅器3Cを用いて、キャパシタセルの充電電流を、キャパシタセルごとの端子電圧の高まり具合に応じて、任意の割合でバイパスするようにしたので、端子電圧の比較的高い(漏洩電流の比較的小さい)キャパシタセルに接続された電圧バランス回路3のバイパス電流は大きくなり、端子電圧の比較的低い(漏洩電流の比較的大きい)キャパシタセルに接続された電圧バランス回路3のバイパス電流は小さくなり、キャパシタセルごとの緩和充電電流や漏洩電流のばらつきを電圧バランス回路3で補正できるので、キャパシタセル間のばらつき電圧が、漏洩電流の大きな特定のキャパシタセルのみに集中してくる問題を防ぐことができる。
【0024】
尚、電位絶縁回路3Hは、各キャパシタセルC1〜Cnに並列接続されている電圧バランス回路3のどれか1つ以上が動作した場合、図示しない定電圧定電流型充電回路(定電圧定電流型充電電源)1からの充電電流を制限あるいは停止させるように、定電圧定電流型充電回路1の設定電流を制御するもので、従来の技術で説明した電位絶縁回路3Hと同一の働きをするものである。
【0025】
そして、電位絶縁回路3Hが作動して、定電圧定電流型充電回路1からの充電電流が制限された場合には、キャパシタセルの等価直列抵抗による電圧降下の影響で、キャパシタセルの端子電圧は少し降下するが、徐々に元の端子電圧に回復し、定電圧定電流型充電回路1の充電電流に対して、キャパシタセル端子電圧に対応するキャパシタセル充電電流と電圧バランス回路3に流れるバイパス電流とを加算した電流とがバランスするように充電を継続していき、定電圧定電流型充電回路1の出力電圧がV0になったら、緩和充電に移っていく。定電圧定電流型充電回路1の出力電圧が何らかの原因でV0よりも低くなった場合や、定電圧定電流型充電回路1の出力が停止された場合には、電圧バランス回路3の第1の半導体スイッチ回路3Dがオフとなる電圧にキャパシタセルの端子電圧が低下するまで、第1の半導体スイッチ回路3Dを通して、キャパシタセルの電荷の放電が起きる。この放電による蓄電電力量の損失は、キャパシタ蓄電池全体の蓄電電力量に比較すると、ごくわずかに過ぎない。そして、この放電の結果も、電圧バランス回路3は、すべてのキャパシタセルの端子電圧を均一化するように作用する。また、定電流定電圧型充電回路1の出力電圧がV0より高くなった場合にも、電圧バランス回路3は、すべてのキャパシタセルの端子電圧を均一化するように作用する。
【0026】
図2は、図1で示した本発明を、具体的な回路に書いたものである。R1とR2は、キャパシタセルの端子電圧を検出するための分割抵抗で、図1の電圧検出回路3Aがこれに当たる。また、ZD1は、基準電圧と差動増幅器の機能を含むシャント式安定化電源と呼ばれる集積回路(商品名:μPC1943など)で、リファレンス入力が基準電圧以上になったら動作し、動作中だけ電流が流れる回路である。図1の差動増幅器3Cがこれに当たる。
【0027】
TR1はトランジスタで、第1の半導体スイッチ3Dの主要部分を構成している。また、TR2もトランジスタで、シャント式安定化電源ZD1の出力電圧の値に応じて、流れる電流量を可変させる電圧制御電流駆動回路3Eの主要部分を構成している。また、TR3もトランジスタで、電位絶縁回路3Hを流れる電流をオンオフするスイッチ回路である。また、PC1はフォトカプラで、電位絶縁回路3Hの主要部分を構成している。
【0028】
また、R3は、シャント式安定化電源ZD1の利得を決めるための帰還抵抗器である。また、R4は、シャント式安定化電源ZD1を流れる電流を制限するための抵抗器である。また、R5、R6、R8は、トランジスタへの入力電流をトランジスタの動作電流に合わせるための抵抗器である。また、R7は、トランジスタTR1とトランジスタTR2の両方がオンになったときに、両者を流れる最大電流値を制限するための抵抗器である。また、R9は、フォトカプラPC1に所定の値を超えた電流が流れないように電流を制限するための抵抗器である。
【0029】
尚、このような回路の基本構成は、特開2001−16771号公報や特開平6−343225号公報にすでに記載されているが、本発明の特徴であるシャント式安定化電源ZD1を差動増幅器として作用させ、差動増幅器の出力レベルに応じて電圧制御電流駆動回路3Eに流れる電流を可変させる、すなわちバイパス電流を可変させるトランジスタTR2については記載がなく、本発明の新規性の高い部分である。
【0030】
図3は、キャパシタセルの端子電圧に応じて、バイパスされるバイパス電流量を可変する電圧制御電流駆動回路3Eの電流特性を示したもので、横軸がキャパシタセルの端子電圧、縦軸がバイパスされるバイパス電流量を表わしている。図から明らかなように、本発明のキャパシタ蓄電池の充電制御装置は、従来の並列モニタが、キャパシタセルの端子電圧が所定の値を超えた場合、いきなりすべての充電電流をバイパスさせるようにしていたのとは異なり、キャパシタセルの端子電圧が上昇するにつれて、徐々にバイパス電流が増えるように構成されている。
【0031】
図4は、無停電電源システムのキャパシタ蓄電池に、本発明の電圧バランス回路を接続したデータの一例で、直列接続したキャパシタセルn=5の場合の例である。(A)は、C1〜C5のセル端子電圧、(B)は、C1〜C5のセル端子電圧の最大差電圧、(C)は、定電圧定電流型充電回路1からの充電電流と、C1〜C5に並列に接続された電圧バランス回路3を流れるバイパス電流の中で最大の電流とを示す。図から明らかなように、キャパシタセル間の最大差電圧はきわめて小さくなり、キャパシタセル間のばらつき電圧が、漏洩電流の大きな特定のキャパシタセルのみに集中することがない。
【0032】
図5は、本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の別の実施例を示したものである。これは、複数のキャパシタセルC1〜Cnを直列接続したキャパシタ蓄電池2の各々のキャパシタセルに、並列に、電圧バランス回路3を設け、電圧バランス回路3で検出された各キャパシタセルC1〜Cnの端子電圧に応じて、バイパスされる電流を可変させると共に、キャパシタセルの端子電圧が所定の値を超えたら、キャパシタセルの総充電電流すべて、または総充電電流から緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせることにより、すべてのキャパシタセルの端子電圧を所定の電圧範囲に均一化させるものである。この図では、電圧バランス回路3を代表的なキャパシタセルC1に並列に接続した部分のみを、拡大して示してある。
【0033】
この回路の動作を説明すると、次の通りである。まず、電圧バランス回路3は、キャパシタセルC1の端子電圧を電圧検出回路3Aで検出し、電圧検出回路3Aの検出電圧と、この電圧検出回路3Aに対応して設けられる基準電圧3Bとを差動増幅器3Cで比較して、検出電圧≧基準電圧の場合は、差動増幅器3Cの出力電圧で、第1の半導体スイッチ回路3Dをオン制御する。第1の半導体スイッチ回路3Dには、電圧制御電流駆動回路3Eが直列に接続されており、差動増幅器3Cの出力電圧に応じて、第1の半導体スイッチ回路3Dを通ってバイパスされるキャパシタセルC1の充電電流の量を可変させることができるようになっている。そして、第1の半導体スイッチ回路3Dがオンになった場合、電圧制御電流駆動回路3Eで、バイパスされるキャパシタセルC1の充電電流量を制御することにより、キャパシタセルC1の端子電圧を所定の電圧範囲に均一化させる。
【0034】
また、キャパシタセルC1の端子電圧がさらに上昇し、差動増幅器3Cの出力電圧が所定の値を超えたら、第2の半導体スイッチ回路3Fがオン制御される。第2の半導体スイッチ回路3Fがオンすることにより、電流バイパス回路3Gが作動し、図示しない定電圧定電流型充電回路1からキャパシタセルC1に供給されているキャパシタセルの総充電電流すべて、または総充電電流から緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてがバイパスされる。
【0035】
本実施例では、端子電圧が所定の電圧を超えたら、キャパシタセルの総充電電流すべて、またはキャパシタセルの総充電電流から緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせる従来の方法を、キャパシタセルごとの端子電圧の高まり具合に応じてキャパシタセルの充電電流を任意の割合でバイパスする新しい方法と組み合わせ、2段階で作動するようにしたので、各キャパシタセルの端子電圧を、第1の半導体スイッチ回路3Dが作動する電圧を下限、第2のスイッチ回路3Fが作動する電圧を上限とする所定の電圧範囲に均一化させることができる。
【0036】
尚、電位絶縁回路3Hは、各キャパシタセルC1〜Cnに並列接続されている電圧バランス回路3のどれか1つ以上が動作した場合、図示しない定電圧定電流型充電回路1からの充電電流を制限あるいは停止させるように、定電圧定電流型充電回路1の設定電流を制御するもので、従来の技術で説明した電位絶縁回路3Hと同一の働きをするものである。
【0037】
そして、電位絶縁回路3Hが作動して、定電圧定電流型充電回路1からの充電電流が制限された場合には、キャパシタセルの等価直列抵抗による電圧降下の影響で、キャパシタセルの端子電圧は少し降下するが、徐々に元の端子電圧に回復し、定電圧定電流型充電回路1の充電電流に対して、キャパシタセル端子電圧に対応するキャパシタセル充電電流と電圧バランス回路3に流れるバイパス電流とを加算した電流とがバランスするように充電を継続していき、定電圧定電流型充電回路1の出力電圧がV0になったら、緩和充電に移っていく。定電圧定電流型充電回路1の出力電圧が何らかの原因でV0よりも低くなった場合や、定電圧定電流型充電回路1の出力が停止された場合には、電圧バランス回路3の第1の半導体スイッチ回路3Dがオフとなる電圧にキャパシタセルの端子電圧が低下するまで、第1の半導体スイッチ回路3Dを通して、キャパシタセルの電荷の放電が起きる。この放電による蓄電電力量の損失は、キャパシタ蓄電池全体の蓄電電力量に比較すると、ごくわずかに過ぎない。そして、この放電の結果も、電圧バランス回路3は、すべてのキャパシタセルの端子電圧を均一化するように作用する。また、定電流定電圧型充電回路1の出力電圧がV0より高くなった場合にも、電圧バランス回路3は、すべてのキャパシタセルの端子電圧を均一化するように作用する。
【0038】
図6は、図5で示した本発明を、具体的な回路に書いたものである。R1とR2は、キャパシタセルの端子電圧を検出するための分割抵抗で、図5の電圧検出回路3Aがこれに当たる。また、ZD1は、基準電圧と差動増幅器の機能を含むシャント式安定化電源と呼ばれる集積回路(商品名:μPC1943など)で、リファレンス入力が基準電圧以上になったら動作し、動作中だけ電流が流れる回路である。図5の差動増幅器3Cがこれに当たる。
【0039】
TR1はトランジスタで、第1の半導体スイッチ3Dの主要部分を構成している。また、TR2もトランジスタで、シャント式安定化電源ZD1の出力電圧の値に応じて、流れる電流量を可変させる電圧制御電流駆動回路3Eの主要部分を構成している。また、TR4もトランジスタで、第2の半導体スイッチ3Fの主要部分を構成している。また、TR5もトランジスタで、電位絶縁回路3Hを流れる電流をオンオフするスイッチ回路であると共に、電流バイパス回路3Gの主要部分をも構成している。
【0040】
また、PC1はフォトカプラで、電位絶縁回路3Hの主要部分を構成している。また、D1、D2はダイオードで、キャパシタセルの端子電圧が第1の半導体スイッチ3Dの作動レベルを超え、第2の半導体スイッチ3Fの作動レベルに到達したら、差動増幅器3Cの出力電圧でトランジスタTR4をオンさせるためのバイアス用ダイオードである。
【0041】
尚、このダイオードにより、差動増幅器1台で第1の半導体スイッチの作動レベルと第2の半導体スイッチの作動レベルとを、別々に設定できるから、二重に電圧検出回路、基準電圧、差動増幅器を設ける必要がない。
【0042】
また、R3は、シャント式安定化電源ZD1の利得を決めるための帰還抵抗器である。また、R4は、シャント式安定化電源ZD1を流れる電流を制限するための抵抗器である。また、R5、R6、R8、R10は、トランジスタへの入力電流をトランジスタの動作電流に合わせるための抵抗器である。また、R7は、トランジスタTR1とトランジスタTR2の両方がオンになったときに、両者を流れる最大電流値を制限するための抵抗器である。また、R9は、フォトカプラPC1に所定の値を超えた電流が流れないように電流を制限するための抵抗器である。また、R11は、トランジスタTR5がオンになったときに、トランジスタTR5を流れる最大電流値を制限するための抵抗器である。
【0043】
図7は、本実施例において、キャパシタセルの端子電圧と、キャパシタセルをバイパスするバイパス電流の総量との関係を示したものである。キャパシタセルの端子電圧が2.72Vから2.75Vまでの区間では、第1の半導体スイッチ3Dが作動して、バイパス電流がキャパシタセルの端子電圧の値に応じて変化する第1のモード、キャパシタセルの端子電圧が2.755V以上の区間では、第2の半導体スイッチ3Fが作動して、定電圧定電流型充電回路1からの総充電電流すべて、または、定電圧定電流型充電回路1の充電電流からキャパシタセルの緩和充電電流分、および第1の半導体スイッチ3Dに流れる電流分を差し引いた残りの充電電流すべてがバイパスされる第2のモードとなる。
【0044】
尚、本発明には、さまざまな変形例が可能である。例えば、複数個のキャパシタセルの中から、故障・劣化したキャパシタセルを特定するアルゴリズムを提出した発明である特願2001−141553号と組み合わせることにより、一度電圧を均一化した後に発生する、漏洩電流による各キャパシタセル間の電圧のばらつきを抑制する用途に本発明を適用することもできる。
【0045】
また、第1の半導体スイッチ回路3Dが作動する電圧を下限、第2のスイッチ回路3Fが作動する電圧を上限とする所定の電圧範囲を決め、長時間に渡る緩和充電期間中に、端子電圧が、この電圧範囲から逸脱したキャパシタセルについては、劣化、または故障が発生したものと見なして、警報を発するか、あるいは充電停止としても良い。
【0046】
また、上記実施例では、充電電源として、定電圧定電流型充電回路を例として挙げたが、これは、例えば、太陽電池や、ハイブリッド・エンジンからの回生電力など、電圧や電流が安定しないタイプの電源であっても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明のキャパシタ蓄電池の充電制御装置は、キャパシタセル1個につき1台の差動増幅器を用いて、キャパシタセルの端子電圧に応じた量の充電電流をバイパスさせるようにしたので、複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の長時間充電において、各キャパシタセルの緩和充電電流や漏洩電流を補正できるから、緩和充電電流や漏洩電流の最も大きいキャパシタセルに各キャパシタセル間のばらつき電圧を集中させることがなく、各キャパシタセル間の電圧のばらつきの均一化を、小型、軽量、簡単な回路構成で、且つ、低廉なコストで、実現することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の一実施例を示す図である。
【図2】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の回路構成の一実施例を示す図である。
【図3】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置で制御されたセルバイパス電流の一例を示す図である。
【図4】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置で制御されたセル端子電圧、セル最大差電圧、セル充電電流、及びセルバイパス電流の一例を示す図である。
【図5】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の別の実施例を示す図である。
【図6】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の回路構成の別の実施例を示す図である。
【図7】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置で制御されたセルバイパス電流の別の例を示す図である。
【図8】従来のキャパシタ蓄電池の充電制御装置を示す図である。
【図9】従来のキャパシタ蓄電池の充電制御装置で制御されたセル端子電圧、セル最大差電圧、セル充電電流、及びセルバイパス電流の一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・定電圧定電流型充電回路、2・・・キャパシタ蓄電池、3・・・電圧バランス回路、3A・・・電圧検出回路、3B・・・基準電圧、3C・・・差動増幅器、3D・・・第1の半導体スイッチ回路、3E・・・電圧制限電流駆動回路、3F・・・第2の半導体スイッチ回路、3G・・・電流バイパス回路、3H・・・電位絶縁回路、3J・・・比較回路、41〜4n・・・電圧制限電流バイパス回路、5・・・充電制御回路、C1〜Cn・・・キャパシタセル、D1〜D2・・・ダイオード、PC1・・・フォトカプラ、R1〜R11・・・抵抗器、TR1〜TR5・・・トランジスタ、ZD1・・・シャント式安定化電源回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、無停電電源システム、電力平準化システム、太陽光発電システムなどに用いられるキャパシタ蓄電池の充電制御装置に係り、より詳しくは、キャパシタ蓄電池を構成する複数のキャパシタセルを、均一な端子電圧に充電するためのキャパシタ蓄電池の充電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
キャパシタセル(電気二重層キャパシタなどの単位セル、または単位セルを更に複数個並列接続したもの)の耐電圧は、2.5〜3V程度と低いため、このキャパシタセルを無停電電源システム、電力平準化システム、太陽光発電システムなどの実用規模の蓄電装置として用いるには、キャパシタセルを多数段直列接続する必要がある。
【0003】
キャパシタセルを直列接続して充放電すると、個々のキャパシタセルごとに、静電容量、漏洩電流、充電初期電圧などに差異があるため、各キャパシタセルの端子電圧は等しくならない。このため、キャパシタ蓄電池をそのまま充電すると、セルの耐電圧を超えた充電によってセルの寿命低下を招くか、または、セルの耐電圧を超えないように充電電源の最大充電電圧を低く設定する結果、キャパシタ蓄電池の電圧利用率を低下させ、蓄電電気エネルギーが減少するという結果を招くことになる。
【0004】
従来、各キャパシタセルが耐電圧を超えないで、しかも電圧利用率を向上させることができる技術として、特開平10−174285号公報に記載されている技術が知られている。これは、図8に示すように、複数のキャパシタセルC1〜Cnを直列接続したキャパシタ蓄電池2の各々のキャパシタセルに、並列に、電圧制限電流バイパス回路(並列モニタ)41〜4nを設け、電圧制限電流バイパス回路41〜4nの制限電圧で、各セルの端子電圧を制限及び均一化させるものである。
【0005】
この回路の動作を説明すると、次の通りである。まず、電圧制限電流バイパス回路41〜4nは、キャパシタセルの端子電圧を電圧検出回路3Aで検出し、電圧検出回路3Aの検出電圧と、この電圧検出回路3Aに対応して設けられる基準電圧3Bとを比較回路3Jで比較して、検出電圧≧基準電圧の場合は、比較回路3Jの出力電圧で、電流バイパス回路3Gをオン制御することにより、この電圧制限電流バイパス回路41〜4nが並列に接続されたキャパシタセルの端子電圧を制限するとともに、定電圧定電流型充電回路(定電圧定電流型充電電源)1の総充電電流すべて、または、総充電電流からキャパシタセルに流れる緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスする。電位絶縁回路3Hは、電圧制限電流バイパス回路41〜4nのどれか一組以上が動作した場合、定電圧定電流型充電回路1からの充電電流を制限あるいは停止させるように、定電圧定電流型充電回路1の設定電流を制御する。
【0006】
図9は、並列モニタを無停電電源システムのキャパシタ蓄電池に使用した例で、キャパシタセルの数n=5の例を示している。直列接続されたキャパシタセルC1〜C5を、定電圧定電流型充電回路1の最大充電電流で充電し(時間:T0〜T1)、電圧制限電流バイパス回路41〜45の内のどれか一組以上が動作したら(時間:T1)、定電圧定電流型充電回路1の設定電流を電圧制限電流バイパス回路41〜45の電流バイパス回路3Gが破損しない程度の値に設定したもので、図の(A)が各キャパシタセルの端子電圧、(B)が各キャパシタセル間の端子電圧の最大差電圧、(C)が定電圧定電流型充電回路1から供給される充電電流と電圧制限電流バイパス回路41〜45の中の最大バイパス電流を示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、定電圧定電流型充電回路1の出力電圧をV0、電圧制限電流バイパス回路41〜4nの制限電圧をVcd、直列に接続するキャパシタセルの段数をnとすると、従来のキャパシタ蓄電池の充電制御装置では、
V0 < Vcd×n
という関係を採用していた。これは、キャパシタセルを満充電に充電する場合、各々のキャパシタセルに並列接続される電圧制限電流バイパス回路41〜4nの中で、Vcdに到達した電圧制限電流バイパス回路で発生する損失電力量
【0008】
【数1】
【0009】
を軽減するためである。ここで、I0は、定電圧定電流型充電回路1の出力電流、Tは、電圧制限電流バイパス回路41〜4nがセル制限電圧Vcdに到達している時間、Ictは、電圧制限電流バイパス回路41〜4nが制限電圧に到達してからの時刻tにおいて、キャパシタセルに流れる充電電流、Δtは、時刻tにおける微小時間である。
【0010】
この電圧制限電流バイパス回路を無停電電源システムや電力平準化システムなどの蓄電池に用いると、長時間充電になった場合、次のような問題点があった。
【0011】
▲1▼ Vcd×n−V0=Verと置くと、複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の中で、キャパシタセルすべてを同一電圧に均一化しようとした場合やキャパシタセル全てを均一化した場合にも、Verは、キャパシタセルの緩和充電電流(長時間充電では、漏洩電流と一致してくる)が大きくて、充電電流が緩和充電電流以下となった場合、電圧降下の最も大きいキャパシタセルに、キャパシタセル間のばらつき電圧として集中してくる(図9のT4以降を参照)。例えば、Vcd:2.72V、n=5、V0=13.5Vとすると、Ver=0.1Vである。V0とVcd×nとの差は1%以下であるにもかかわらず、キャパシタセル間の全体の最大ばらつきは、Vcdに対して3.67%である。更に言えば、n=20、V0=54Vとすると、Ver=0.4Vとなり、キャパシタセル間の全体の最大ばらつきは、Vcdに対して14.7%にもなる。
【0012】
▲2▼ 例えば、ばらつき電圧を1%以下にするには、V0とVcdとの差Verは、Vcd×0.01以下にする必要がある。このため、定電圧定電流型充電回路1の出力電圧V0には、精密な設定が要求され、精密で高安定度の高価な定電圧定電流型充電回路1が必要となり、実用的でない。
【0013】
▲3▼ 定電圧定電流型充電回路1の出力電圧V0が、図9のT3〜T4のように、V0=Vcd×nに変動した場合、緩和充電期間中であっても、充電電流I0=バイパス電流Ibとなり、電圧制限電流バイパス回路で発生する損失電力P=Vcd×Ibも大きくなり、損失電力量Pwを増加させる。また、損失電力Pを抑制する目的で定電圧定電流型充電回路1の出力電流を小さくした場合には、最大充電電流(図9の例では数A程度、一組以上の電圧制限電流バイパス回路が制限電圧に到達した場合で数百mA)からキャパシタセルの中の最大漏洩電流(数mA〜数十mA程度)までの広い範囲に渡って、定電圧定電流型充電回路1の定電流制御に精密で高安定度の制御が要求されるため、定電圧定電流型充電回路1が非常に高価となり、実用的でない。
【0014】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の長時間充電において、各キャパシタセルの緩和充電電流や漏洩電流の差などによって生じる各キャパシタセル間のばらつき電圧、および、漏洩電流の最も大きいキャパシタセルに集中してくるばらつき電圧の低減化を、簡単な回路構成で実現するとともに、小型軽量で且つ廉価なコストで実現できるようなキャパシタ蓄電池の充電制御装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置は、
複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の各々のキャパシタセルと並列に接続され、各キャパシタセルの端子電圧を均一化するキャパシタ蓄電池の充電制御装置であって、
該充電制御装置は、
キャパシタセルの端子電圧を検出する電圧検出手段と、
基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、
電圧検出手段で検出されたキャパシタセルの端子電圧と基準電圧供給手段が供給する基準電圧とを比較し、その差電圧を増幅する差動増幅器と、
キャパシタセルの端子電圧が所定の電圧を超えたときに、差動増幅器の出力によりオンするスイッチ手段と、
スイッチ手段と直列に接続され、スイッチ手段がオンした場合には、差動増幅器の出力レベルに応じた量だけ、外部電源から供給されるキャパシタセルの充電電流をバイパスさせるか、またはキャパシタセルの電荷を放電させるかする電圧制御電流駆動手段と
を備え、
前記スイッチ手段を稼働させることにより、電圧制御電流駆動手段の電流制御範囲で決まる所定の電圧範囲に、各キャパシタセルの端子電圧を均一化させるようにしたことを特徴としている。
【0016】
また、複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の各々のキャパシタセルと並列に接続され、各キャパシタセルの端子電圧を均一化するキャパシタ蓄電池の充電制御装置であって、
該充電制御装置は、
キャパシタセルの端子電圧を検出する電圧検出手段と、
基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、
電圧検出手段で検出されたキャパシタセルの端子電圧と基準電圧供給手段が供給する基準電圧とを比較し、その差電圧を増幅する差動増幅器と、
キャパシタセルの端子電圧が第1の電圧を超えたときに、差動増幅器の出力によりオンする第1のスイッチ手段と、
第1のスイッチ手段と直列に接続され、第1のスイッチ手段がオンした場合には、差動増幅器の出力レベルに応じた量だけ、外部の定電圧定電流型電源から供給されるキャパシタセルの充電電流をバイパスさせるか、またはキャパシタセルの電荷を放電させるかする電圧制御電流駆動手段と、
キャパシタセルの端子電圧が第2の電圧を超えたときに、前記差動増幅器の出力によりオンし、外部電源から供給される当該キャパシタセルの総充電電流すべて、または外部電源より供給される充電電流から当該キャパシタセルの緩和充電電流分および第1のスイッチ手段に流れる電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせる第2のスイッチ手段と
を備え、
前記第1のスイッチ手段と第2のスイッチ手段を稼働させることにより、各キャパシタセルの端子電圧を第1の電圧から第2の電圧までの電圧範囲に均一化させるようにしたことを特徴としている。
【0017】
また、前記第2の電圧は、前記第1の電圧よりも高い電圧であることを特徴としている。
【0018】
また、前記第2のスイッチ手段は、ダイオードとトランジスタを直列に接続して構成されていることを特徴としている。
【0019】
また、前記第2のスイッチ手段は、各キャパシタセルに並列接続されているキャパシタ蓄電池の充電制御装置の第2のスイッチ手段の内、少なくとも1つの第2のスイッチ手段がオンとなったとき、キャパシタ蓄電池を充電する外部電源が供給しているキャパシタの充電電流を制限または停止させるようにオン制御される電位絶縁手段を備えたことを特徴としている。
【0020】
また、前記外部電源の設定充電電圧の設定範囲は、予定されているキャパシタセルの均一化電圧の範囲に、直列接続されたキャパシタセルの段数を乗じた値に設定されていることを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の一実施例を示したものである。これは、複数のキャパシタセルC1〜Cnを直列接続したキャパシタ蓄電池2の各々のキャパシタセルに、並列に、電圧バランス回路3を設け、電圧バランス回路3で検出された各キャパシタセルC1〜Cnの端子電圧に応じて、バイパスされる電流を可変させることにより、端子電圧が高いキャパシタセルに接続された電圧バランス回路のバイパス電流は大きくし、比較的端子電圧が低いキャパシタセルに接続された電圧バランス回路のバイパス電流は小さくして、すべてのキャパシタセルの端子電圧を所定の電圧範囲に均一化させるものである。この図では、電圧バランス回路3を代表的なキャパシタセルC1に並列に接続した部分のみを、拡大して示してある。
【0022】
この回路の動作を説明すると、次の通りである。まず、電圧バランス回路3は、キャパシタセルC1の端子電圧を電圧検出回路3Aで検出し、電圧検出回路3Aの検出電圧と、この電圧検出回路3Aに対応して設けられる基準電圧3Bとを差動増幅器3Cで比較増幅して、検出電圧≧基準電圧の場合は、差動増幅器3Cの出力電圧で、第1の半導体スイッチ回路3Dをオン制御する。第1の半導体スイッチ回路3Dには、電圧制御電流駆動回路3Eが直列に接続されており、差動増幅器3Cの出力電圧に応じて、第1の半導体スイッチ回路3Dを通ってバイパスされる電流により、キャパシタセルC1の充電電流の量を可変させることができるようになっている。そして、第1の半導体スイッチ回路3Dがオンになった場合、電圧制御電流駆動回路3Eで、バイパスされるキャパシタセルC1の充電電流量を制御することにより、キャパシタセルC1の端子電圧を所定の電圧範囲に均一化させる。
【0023】
従来の、端子電圧が所定の電圧を超えたら、キャパシタセルの総充電電流すべて、またはキャパシタセルの総充電電流から緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせる、比較回路3Jを用いた方法とは異なり、本発明では、比較回路3Jの代わりに差動増幅器3Cを用いて、キャパシタセルの充電電流を、キャパシタセルごとの端子電圧の高まり具合に応じて、任意の割合でバイパスするようにしたので、端子電圧の比較的高い(漏洩電流の比較的小さい)キャパシタセルに接続された電圧バランス回路3のバイパス電流は大きくなり、端子電圧の比較的低い(漏洩電流の比較的大きい)キャパシタセルに接続された電圧バランス回路3のバイパス電流は小さくなり、キャパシタセルごとの緩和充電電流や漏洩電流のばらつきを電圧バランス回路3で補正できるので、キャパシタセル間のばらつき電圧が、漏洩電流の大きな特定のキャパシタセルのみに集中してくる問題を防ぐことができる。
【0024】
尚、電位絶縁回路3Hは、各キャパシタセルC1〜Cnに並列接続されている電圧バランス回路3のどれか1つ以上が動作した場合、図示しない定電圧定電流型充電回路(定電圧定電流型充電電源)1からの充電電流を制限あるいは停止させるように、定電圧定電流型充電回路1の設定電流を制御するもので、従来の技術で説明した電位絶縁回路3Hと同一の働きをするものである。
【0025】
そして、電位絶縁回路3Hが作動して、定電圧定電流型充電回路1からの充電電流が制限された場合には、キャパシタセルの等価直列抵抗による電圧降下の影響で、キャパシタセルの端子電圧は少し降下するが、徐々に元の端子電圧に回復し、定電圧定電流型充電回路1の充電電流に対して、キャパシタセル端子電圧に対応するキャパシタセル充電電流と電圧バランス回路3に流れるバイパス電流とを加算した電流とがバランスするように充電を継続していき、定電圧定電流型充電回路1の出力電圧がV0になったら、緩和充電に移っていく。定電圧定電流型充電回路1の出力電圧が何らかの原因でV0よりも低くなった場合や、定電圧定電流型充電回路1の出力が停止された場合には、電圧バランス回路3の第1の半導体スイッチ回路3Dがオフとなる電圧にキャパシタセルの端子電圧が低下するまで、第1の半導体スイッチ回路3Dを通して、キャパシタセルの電荷の放電が起きる。この放電による蓄電電力量の損失は、キャパシタ蓄電池全体の蓄電電力量に比較すると、ごくわずかに過ぎない。そして、この放電の結果も、電圧バランス回路3は、すべてのキャパシタセルの端子電圧を均一化するように作用する。また、定電流定電圧型充電回路1の出力電圧がV0より高くなった場合にも、電圧バランス回路3は、すべてのキャパシタセルの端子電圧を均一化するように作用する。
【0026】
図2は、図1で示した本発明を、具体的な回路に書いたものである。R1とR2は、キャパシタセルの端子電圧を検出するための分割抵抗で、図1の電圧検出回路3Aがこれに当たる。また、ZD1は、基準電圧と差動増幅器の機能を含むシャント式安定化電源と呼ばれる集積回路(商品名:μPC1943など)で、リファレンス入力が基準電圧以上になったら動作し、動作中だけ電流が流れる回路である。図1の差動増幅器3Cがこれに当たる。
【0027】
TR1はトランジスタで、第1の半導体スイッチ3Dの主要部分を構成している。また、TR2もトランジスタで、シャント式安定化電源ZD1の出力電圧の値に応じて、流れる電流量を可変させる電圧制御電流駆動回路3Eの主要部分を構成している。また、TR3もトランジスタで、電位絶縁回路3Hを流れる電流をオンオフするスイッチ回路である。また、PC1はフォトカプラで、電位絶縁回路3Hの主要部分を構成している。
【0028】
また、R3は、シャント式安定化電源ZD1の利得を決めるための帰還抵抗器である。また、R4は、シャント式安定化電源ZD1を流れる電流を制限するための抵抗器である。また、R5、R6、R8は、トランジスタへの入力電流をトランジスタの動作電流に合わせるための抵抗器である。また、R7は、トランジスタTR1とトランジスタTR2の両方がオンになったときに、両者を流れる最大電流値を制限するための抵抗器である。また、R9は、フォトカプラPC1に所定の値を超えた電流が流れないように電流を制限するための抵抗器である。
【0029】
尚、このような回路の基本構成は、特開2001−16771号公報や特開平6−343225号公報にすでに記載されているが、本発明の特徴であるシャント式安定化電源ZD1を差動増幅器として作用させ、差動増幅器の出力レベルに応じて電圧制御電流駆動回路3Eに流れる電流を可変させる、すなわちバイパス電流を可変させるトランジスタTR2については記載がなく、本発明の新規性の高い部分である。
【0030】
図3は、キャパシタセルの端子電圧に応じて、バイパスされるバイパス電流量を可変する電圧制御電流駆動回路3Eの電流特性を示したもので、横軸がキャパシタセルの端子電圧、縦軸がバイパスされるバイパス電流量を表わしている。図から明らかなように、本発明のキャパシタ蓄電池の充電制御装置は、従来の並列モニタが、キャパシタセルの端子電圧が所定の値を超えた場合、いきなりすべての充電電流をバイパスさせるようにしていたのとは異なり、キャパシタセルの端子電圧が上昇するにつれて、徐々にバイパス電流が増えるように構成されている。
【0031】
図4は、無停電電源システムのキャパシタ蓄電池に、本発明の電圧バランス回路を接続したデータの一例で、直列接続したキャパシタセルn=5の場合の例である。(A)は、C1〜C5のセル端子電圧、(B)は、C1〜C5のセル端子電圧の最大差電圧、(C)は、定電圧定電流型充電回路1からの充電電流と、C1〜C5に並列に接続された電圧バランス回路3を流れるバイパス電流の中で最大の電流とを示す。図から明らかなように、キャパシタセル間の最大差電圧はきわめて小さくなり、キャパシタセル間のばらつき電圧が、漏洩電流の大きな特定のキャパシタセルのみに集中することがない。
【0032】
図5は、本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の別の実施例を示したものである。これは、複数のキャパシタセルC1〜Cnを直列接続したキャパシタ蓄電池2の各々のキャパシタセルに、並列に、電圧バランス回路3を設け、電圧バランス回路3で検出された各キャパシタセルC1〜Cnの端子電圧に応じて、バイパスされる電流を可変させると共に、キャパシタセルの端子電圧が所定の値を超えたら、キャパシタセルの総充電電流すべて、または総充電電流から緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせることにより、すべてのキャパシタセルの端子電圧を所定の電圧範囲に均一化させるものである。この図では、電圧バランス回路3を代表的なキャパシタセルC1に並列に接続した部分のみを、拡大して示してある。
【0033】
この回路の動作を説明すると、次の通りである。まず、電圧バランス回路3は、キャパシタセルC1の端子電圧を電圧検出回路3Aで検出し、電圧検出回路3Aの検出電圧と、この電圧検出回路3Aに対応して設けられる基準電圧3Bとを差動増幅器3Cで比較して、検出電圧≧基準電圧の場合は、差動増幅器3Cの出力電圧で、第1の半導体スイッチ回路3Dをオン制御する。第1の半導体スイッチ回路3Dには、電圧制御電流駆動回路3Eが直列に接続されており、差動増幅器3Cの出力電圧に応じて、第1の半導体スイッチ回路3Dを通ってバイパスされるキャパシタセルC1の充電電流の量を可変させることができるようになっている。そして、第1の半導体スイッチ回路3Dがオンになった場合、電圧制御電流駆動回路3Eで、バイパスされるキャパシタセルC1の充電電流量を制御することにより、キャパシタセルC1の端子電圧を所定の電圧範囲に均一化させる。
【0034】
また、キャパシタセルC1の端子電圧がさらに上昇し、差動増幅器3Cの出力電圧が所定の値を超えたら、第2の半導体スイッチ回路3Fがオン制御される。第2の半導体スイッチ回路3Fがオンすることにより、電流バイパス回路3Gが作動し、図示しない定電圧定電流型充電回路1からキャパシタセルC1に供給されているキャパシタセルの総充電電流すべて、または総充電電流から緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてがバイパスされる。
【0035】
本実施例では、端子電圧が所定の電圧を超えたら、キャパシタセルの総充電電流すべて、またはキャパシタセルの総充電電流から緩和充電電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせる従来の方法を、キャパシタセルごとの端子電圧の高まり具合に応じてキャパシタセルの充電電流を任意の割合でバイパスする新しい方法と組み合わせ、2段階で作動するようにしたので、各キャパシタセルの端子電圧を、第1の半導体スイッチ回路3Dが作動する電圧を下限、第2のスイッチ回路3Fが作動する電圧を上限とする所定の電圧範囲に均一化させることができる。
【0036】
尚、電位絶縁回路3Hは、各キャパシタセルC1〜Cnに並列接続されている電圧バランス回路3のどれか1つ以上が動作した場合、図示しない定電圧定電流型充電回路1からの充電電流を制限あるいは停止させるように、定電圧定電流型充電回路1の設定電流を制御するもので、従来の技術で説明した電位絶縁回路3Hと同一の働きをするものである。
【0037】
そして、電位絶縁回路3Hが作動して、定電圧定電流型充電回路1からの充電電流が制限された場合には、キャパシタセルの等価直列抵抗による電圧降下の影響で、キャパシタセルの端子電圧は少し降下するが、徐々に元の端子電圧に回復し、定電圧定電流型充電回路1の充電電流に対して、キャパシタセル端子電圧に対応するキャパシタセル充電電流と電圧バランス回路3に流れるバイパス電流とを加算した電流とがバランスするように充電を継続していき、定電圧定電流型充電回路1の出力電圧がV0になったら、緩和充電に移っていく。定電圧定電流型充電回路1の出力電圧が何らかの原因でV0よりも低くなった場合や、定電圧定電流型充電回路1の出力が停止された場合には、電圧バランス回路3の第1の半導体スイッチ回路3Dがオフとなる電圧にキャパシタセルの端子電圧が低下するまで、第1の半導体スイッチ回路3Dを通して、キャパシタセルの電荷の放電が起きる。この放電による蓄電電力量の損失は、キャパシタ蓄電池全体の蓄電電力量に比較すると、ごくわずかに過ぎない。そして、この放電の結果も、電圧バランス回路3は、すべてのキャパシタセルの端子電圧を均一化するように作用する。また、定電流定電圧型充電回路1の出力電圧がV0より高くなった場合にも、電圧バランス回路3は、すべてのキャパシタセルの端子電圧を均一化するように作用する。
【0038】
図6は、図5で示した本発明を、具体的な回路に書いたものである。R1とR2は、キャパシタセルの端子電圧を検出するための分割抵抗で、図5の電圧検出回路3Aがこれに当たる。また、ZD1は、基準電圧と差動増幅器の機能を含むシャント式安定化電源と呼ばれる集積回路(商品名:μPC1943など)で、リファレンス入力が基準電圧以上になったら動作し、動作中だけ電流が流れる回路である。図5の差動増幅器3Cがこれに当たる。
【0039】
TR1はトランジスタで、第1の半導体スイッチ3Dの主要部分を構成している。また、TR2もトランジスタで、シャント式安定化電源ZD1の出力電圧の値に応じて、流れる電流量を可変させる電圧制御電流駆動回路3Eの主要部分を構成している。また、TR4もトランジスタで、第2の半導体スイッチ3Fの主要部分を構成している。また、TR5もトランジスタで、電位絶縁回路3Hを流れる電流をオンオフするスイッチ回路であると共に、電流バイパス回路3Gの主要部分をも構成している。
【0040】
また、PC1はフォトカプラで、電位絶縁回路3Hの主要部分を構成している。また、D1、D2はダイオードで、キャパシタセルの端子電圧が第1の半導体スイッチ3Dの作動レベルを超え、第2の半導体スイッチ3Fの作動レベルに到達したら、差動増幅器3Cの出力電圧でトランジスタTR4をオンさせるためのバイアス用ダイオードである。
【0041】
尚、このダイオードにより、差動増幅器1台で第1の半導体スイッチの作動レベルと第2の半導体スイッチの作動レベルとを、別々に設定できるから、二重に電圧検出回路、基準電圧、差動増幅器を設ける必要がない。
【0042】
また、R3は、シャント式安定化電源ZD1の利得を決めるための帰還抵抗器である。また、R4は、シャント式安定化電源ZD1を流れる電流を制限するための抵抗器である。また、R5、R6、R8、R10は、トランジスタへの入力電流をトランジスタの動作電流に合わせるための抵抗器である。また、R7は、トランジスタTR1とトランジスタTR2の両方がオンになったときに、両者を流れる最大電流値を制限するための抵抗器である。また、R9は、フォトカプラPC1に所定の値を超えた電流が流れないように電流を制限するための抵抗器である。また、R11は、トランジスタTR5がオンになったときに、トランジスタTR5を流れる最大電流値を制限するための抵抗器である。
【0043】
図7は、本実施例において、キャパシタセルの端子電圧と、キャパシタセルをバイパスするバイパス電流の総量との関係を示したものである。キャパシタセルの端子電圧が2.72Vから2.75Vまでの区間では、第1の半導体スイッチ3Dが作動して、バイパス電流がキャパシタセルの端子電圧の値に応じて変化する第1のモード、キャパシタセルの端子電圧が2.755V以上の区間では、第2の半導体スイッチ3Fが作動して、定電圧定電流型充電回路1からの総充電電流すべて、または、定電圧定電流型充電回路1の充電電流からキャパシタセルの緩和充電電流分、および第1の半導体スイッチ3Dに流れる電流分を差し引いた残りの充電電流すべてがバイパスされる第2のモードとなる。
【0044】
尚、本発明には、さまざまな変形例が可能である。例えば、複数個のキャパシタセルの中から、故障・劣化したキャパシタセルを特定するアルゴリズムを提出した発明である特願2001−141553号と組み合わせることにより、一度電圧を均一化した後に発生する、漏洩電流による各キャパシタセル間の電圧のばらつきを抑制する用途に本発明を適用することもできる。
【0045】
また、第1の半導体スイッチ回路3Dが作動する電圧を下限、第2のスイッチ回路3Fが作動する電圧を上限とする所定の電圧範囲を決め、長時間に渡る緩和充電期間中に、端子電圧が、この電圧範囲から逸脱したキャパシタセルについては、劣化、または故障が発生したものと見なして、警報を発するか、あるいは充電停止としても良い。
【0046】
また、上記実施例では、充電電源として、定電圧定電流型充電回路を例として挙げたが、これは、例えば、太陽電池や、ハイブリッド・エンジンからの回生電力など、電圧や電流が安定しないタイプの電源であっても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明のキャパシタ蓄電池の充電制御装置は、キャパシタセル1個につき1台の差動増幅器を用いて、キャパシタセルの端子電圧に応じた量の充電電流をバイパスさせるようにしたので、複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の長時間充電において、各キャパシタセルの緩和充電電流や漏洩電流を補正できるから、緩和充電電流や漏洩電流の最も大きいキャパシタセルに各キャパシタセル間のばらつき電圧を集中させることがなく、各キャパシタセル間の電圧のばらつきの均一化を、小型、軽量、簡単な回路構成で、且つ、低廉なコストで、実現することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の一実施例を示す図である。
【図2】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の回路構成の一実施例を示す図である。
【図3】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置で制御されたセルバイパス電流の一例を示す図である。
【図4】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置で制御されたセル端子電圧、セル最大差電圧、セル充電電流、及びセルバイパス電流の一例を示す図である。
【図5】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の別の実施例を示す図である。
【図6】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置の回路構成の別の実施例を示す図である。
【図7】本発明にかかるキャパシタ蓄電池の充電制御装置で制御されたセルバイパス電流の別の例を示す図である。
【図8】従来のキャパシタ蓄電池の充電制御装置を示す図である。
【図9】従来のキャパシタ蓄電池の充電制御装置で制御されたセル端子電圧、セル最大差電圧、セル充電電流、及びセルバイパス電流の一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・定電圧定電流型充電回路、2・・・キャパシタ蓄電池、3・・・電圧バランス回路、3A・・・電圧検出回路、3B・・・基準電圧、3C・・・差動増幅器、3D・・・第1の半導体スイッチ回路、3E・・・電圧制限電流駆動回路、3F・・・第2の半導体スイッチ回路、3G・・・電流バイパス回路、3H・・・電位絶縁回路、3J・・・比較回路、41〜4n・・・電圧制限電流バイパス回路、5・・・充電制御回路、C1〜Cn・・・キャパシタセル、D1〜D2・・・ダイオード、PC1・・・フォトカプラ、R1〜R11・・・抵抗器、TR1〜TR5・・・トランジスタ、ZD1・・・シャント式安定化電源回路。
Claims (6)
- 複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の各々のキャパシタセルと並列に接続され、各キャパシタセルの端子電圧を均一化するキャパシタ蓄電池の充電制御装置であって、
該充電制御装置は、
キャパシタセルの端子電圧を検出する電圧検出手段と、
基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、
電圧検出手段で検出されたキャパシタセルの端子電圧と基準電圧供給手段が供給する基準電圧とを比較し、その差電圧を増幅する差動増幅器と、
キャパシタセルの端子電圧が所定の電圧を超えたときに、差動増幅器の出力によりオンするスイッチ手段と、
スイッチ手段と直列に接続され、スイッチ手段がオンした場合には、差動増幅器の出力レベルに応じた量だけ、外部電源から供給されるキャパシタセルの充電電流をバイパスさせるか、またはキャパシタセルの電荷を放電させるかする電圧制御電流駆動手段と
を備え、
前記スイッチ手段を稼働させることにより、電圧制御電流駆動手段の電流制御範囲で決まる所定の電圧範囲に、各キャパシタセルの端子電圧を均一化させるようにしたことを特徴とするキャパシタ蓄電池の充電制御装置。 - 複数のキャパシタセルを直列接続したキャパシタ蓄電池の各々のキャパシタセルと並列に接続され、各キャパシタセルの端子電圧を均一化するキャパシタ蓄電池の充電制御装置であって、
該充電制御装置は、
キャパシタセルの端子電圧を検出する電圧検出手段と、
基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、
電圧検出手段で検出されたキャパシタセルの端子電圧と基準電圧供給手段が供給する基準電圧とを比較し、その差電圧を増幅する差動増幅器と、
キャパシタセルの端子電圧が第1の電圧を超えたときに、差動増幅器の出力によりオンする第1のスイッチ手段と、
第1のスイッチ手段と直列に接続され、第1のスイッチ手段がオンした場合には、差動増幅器の出力レベルに応じた量だけ、外部の定電圧定電流型電源から供給されるキャパシタセルの充電電流をバイパスさせるか、またはキャパシタセルの電荷を放電させるかする電圧制御電流駆動手段と、
キャパシタセルの端子電圧が第2の電圧を超えたときに、前記差動増幅器の出力によりオンし、外部電源から供給される当該キャパシタセルの総充電電流すべて、または外部電源より供給される充電電流から当該キャパシタセルの緩和充電電流分および第1のスイッチ手段に流れる電流分を差し引いた残りの充電電流すべてをバイパスさせる第2のスイッチ手段と
を備え、
前記第1のスイッチ手段と第2のスイッチ手段を稼働させることにより、各キャパシタセルの端子電圧を第1の電圧から第2の電圧までの電圧範囲に均一化させるようにしたことを特徴とするキャパシタ蓄電池の充電制御装置。 - 前記第2の電圧は、前記第1の電圧よりも高い電圧であることを特徴とする請求項2記載のキャパシタ蓄電池の充電制御装置。
- 前記第2のスイッチ手段は、ダイオードとトランジスタを直列に接続して構成されていることを特徴とする請求項2記載のキャパシタ蓄電池の充電制御装置。
- 前記第2のスイッチ手段は、各キャパシタセルに並列接続されているキャパシタ蓄電池の充電制御装置の第2のスイッチ手段の内、少なくとも1つの第2のスイッチ手段がオンとなったとき、キャパシタ蓄電池を充電する外部電源が供給しているキャパシタの充電電流を制限または停止させるようにオン制御される電位絶縁手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のキャパシタ蓄電池の充電制御装置。
- 前記外部電源の設定充電電圧の設定範囲は、予定されているキャパシタセルの均一化電圧の範囲に、直列接続されたキャパシタセルの段数を乗じた値に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のキャパシタ蓄電池の充電制御装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006064786A1 (ja) * | 2004-12-14 | 2006-06-22 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 電源装置 |
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-
2002
- 2002-08-26 JP JP2002244652A patent/JP2004088869A/ja not_active Withdrawn
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