JP2004088770A - インターライン転送方式の電荷結合素子内の垂直シフトレジスタによる光の積分を補償する方法 - Google Patents

インターライン転送方式の電荷結合素子内の垂直シフトレジスタによる光の積分を補償する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ディジタル写真撮影において適切な露光を行うための手段を提供する。
【解決手段】ディジタルカメラは、シールドされたシフトレジスタ(202)に到達する光に起因して、インターライン転送CCD(200)の垂直シフトレジスタに蓄積された電荷を補償するために露光測定を較正する。カメラは、短い露光を行い、次に、垂直シフトレジスタ(202)の内容を読み出すが、オプションとして、この読み出しの前に、CCD上のセンササイトから垂直シフトレジスタへの通常の電荷のシフトを阻止する。平均ディジタル画素輝度値がこの試し撮り写真について記録される。この試し撮り写真の平均ディジタル画素輝度値は、続く光測定写真のディジタル画素輝度値から除去される。オプションとして、試し撮り写真の平均ディジタル画素輝度値が、次の最終写真のディジタル画素輝度値から除去される。
【選択図】図5

Description

 本発明は一般にディジタル写真に関する。
 通常のディジタルカメラはレンズを用いて、あるシーンの画像を電子アレイ光センサに投影する。電子アレイ光センサは、集積回路内にパッケージ化された電荷結合素子のアレイを含むことが多い。その集積回路は、CCDセンサ、または、単にCCDと呼ばれる場合が多い。
 図2はCCD200の概念的な概略図を示す。詳細には、図2は、インターライン転送CCDと呼ばれるタイプのCCDを示す。センササイト201が、その上に照射される光の強度に正比例する割合で電荷を蓄積する。したがって、飽和が生じないものと仮定するとき、センササイトに蓄積される電荷は、光の強度の積分が開始されてからセンササイトに照射されたその積分に比例する。この光積分特性を用いて、レンズによってCCD200の表面上に結像されているシーンの表現を記録することができる。
 通常、センササイト201は始めに、その中に含む電荷をCCD200の基板中に放出することにより電荷を空にされる。これは、「フラッシュ」動作と呼ばれる場合がある。センササイト201は、ある一定の露光時間(または露出時間。以下同じ)にわたって電荷を蓄積することができる。その後、電荷がセンササイト201から隣接する垂直シフトレジスタ202に移動するように、センササイト201の電位に対して垂直シフトレジスタ202の電位を調整することにより、電荷をセンササイト201から隣接する垂直シフトレジスタ202に転送することができる。垂直シフトレジスタ202は、センササイト201と同じような構成を有するが、シールド材料206によって入射光から遮断される。
 同じような一連の電荷移動によって、電荷を、行毎に水平シフトレジスタ203に移すことができる。同様に、各行の電荷を、水平シフトレジスタ203に沿って出力段204に転送することができる。各電荷が出力段に現れると、出力段204は瞬間的に出力ピン205に電圧を与えるが、この電圧はその時点で出力段204に現れる電荷の量に比例する。したがって、出力ピン205における電圧は、垂直シフトレジスタ202に電荷がシフトする直前に、CCD200上のある特定の場所に照射された光の量に比例する。
 結果として生成される一連の電圧を、アナログ/ディジタル(A/D)コンバータ(図示せず)を用いてディジタル表現に変換することができる。そのディジタル値は、垂直シフトレジスタ202に電荷がシフトする直前の期間中のCCD200上の光の分布を表しており、適切に解釈すれば、この分布を用いてディジタルカメラによって視認されるシーンを再現することができる。このディジタル値を集めたものは、画像ファイル、ディジタル画像、ディジタル写真、または、場合によっては単に写真または画像と呼ばれる場合がある。本開示の目的上、これらのディジタル値をディジタル画素輝度値と呼ぶことがある。
 通常、カメラは、シーンのより明るい部分ほど、より大きなディジタル画素輝度値によって表されるように構成される。たとえば、500のディジタル画素輝度値は、通常、250のディジタル画素輝度値の場合よりも明るい画素を表す。この関係を逆転して、より低いディジタル値がより明るい画素を表すようにカメラを構成することも可能である。当業者には、いずれの構成のカメラにおいても本発明を具現化できることが理解されよう。
 高品質のディジタル画像を得るために、そして特にそのディジタル画像において種々の雑音の影響を最小限に抑えるために、写真を撮影するために用いられる露光レベル(または露出レベル。以下同じ)を制御することが望ましい。露光レベルは通常、レンズ口径または露光時間、または、その両方を変更することにより制御される。適切な露光を達成するための通常の技法は、カメラで非常に短い露光時間で試し撮り写真を撮影し、その後、試し撮り写真の特性を調べることにより決定された露光時間を用いて最終的な写真を撮影することである。最終的な写真のための適切な露光時間を決定する際に、カメラは通常、各写真の露光レベルが露光時間に正比例するものと仮定するであろう。すなわち、露光時間を2倍にすると、2倍の光を取り込み、センササイト201において2倍の電荷が生成され、その結果として、出力205における信号が2倍になるであろう。
 シーンの照明が急激に変化しないときには、機械式シャッタを用いて露光を終了する場合、またはCCD垂直シフトレジスタ202から電荷をシフトするために必要とされる時間に対して露光時間が十分に長い場合には、この比例するという想定は概ね正しい。しかしながら、機械式シャッタが用いられず、露光時間が短いときには、その写真の露光時間(フラッシュ動作と、垂直シフトレジスタ202への電荷のシフトとの間の時間)と露光レベルとの間の関係は、厳密な比例関係から大きく逸脱する場合がある。
 図3は、あるディジタル画像内の平均ディジタル画素輝度値によって測定された露光時間と露光レベルとの間の関係の実際の測定結果を示す。この両対数プロットでは、直線が、露光時間と平均ディジタル画素輝度値との間の厳密な比例関係を表すことになる。曲線301は、いくつかの露光時間についてのディジタル画素輝度値の測定値を示す。線302は、輝度値が露光時間に厳密に比例した場合に生じる理論的な関係を示す。曲線301に示す関係は、明らかに、露光時間が非常に短くなるにつれて厳密な比例関係から徐々に逸脱する。
 カメラの素早い動作を保持するとともに、飽和の影響によって露光の決定がゆがめられないようにするために、露光を決定するために用いられる試し撮り写真は非常に短い露光時間を有することが望ましい。しかしながら、非常に短い試し撮りの露光から読み取られる露光レベルに依存するカメラは、シーンの輝度を過大に評価する傾向があり、したがって最終的な写真が露光不足になる場合がある。
 それゆえ、本発明の目的は、写真が適切に露光されるようにするために、インターライン転送CCDを用いる場合の露光時間とディジタル画素輝度値との間の非線形な関係を補償するための手段を提供することである。
 遮蔽されたシフトレジスタに光が到達することに起因してインターライン転送CCDの垂直シフトレジスタに蓄積される電荷を補償するために、ディジタルカメラがその露光測定を較正する。カメラは短い露光を実行し、オプションとしてCCD上のセンササイトから垂直シフトレジスタへの通常の電荷のシフトを抑制し、その後、垂直シフトレジスタの内容を読み取る。平均ディジタル画素輝度値がこの試し撮り写真について記録される。試し撮り写真の平均ディジタル画素輝度値が、後続の光測定による写真のディジタル画素輝度値から除去される。オプションとして、試し撮り写真の平均ディジタル画素輝度値が、後続の最終的な写真のディジタル画素輝度値から除去される。
 本発明によれば、ディジタル写真撮影において適切な露光を行うための手段が提供される。
 図1は、1つの例としてのディジタルカメラの簡略化されたブロック図を示す。レンズ101はあるシーン(図示せず)からの光を集める。レンズは、その光の向きを変更して、その向きが変更された光102が電子アレイ光センサ103上にそのシーンの画像を形成するようにする。電子アレイ光センサ103は、インターライン転送タイプの電荷結合素子(CCD)センサである。電子アレイ光センサ103からの画像データ104を、論理ユニット110に伝送することができる。論理ユニットはマイクロプロセッサ、ディジタルシグナルプロセッサ、メモリ、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、またはこれらの(全てまたはいくつかの)組み合わせから構成することができ、制御信号105を用いて、電子アレイ光センサ103の動作を制御することができる。また論理ユニット110は、制御信号113を用いて、レンズ101の動作を制御することもできる。また論理ユニット110は、ディジタル写真に画像圧縮技法を適用することを含む、種々の方法でディジタル写真を処理することもできる。カメラは、シーンに光107を与えるためのストロボ106を備えることができる。ストロボ106はストロボ電子回路108によって制御することができ、その電子回路はさらに論理ユニット110によって制御される。
 カメラは記憶部111を備えることもでき、その記憶部は、カメラによって撮影されたディジタル写真を比較的長期間にわたって記憶するための不揮発性メモリとすることができる。論理ユニット110は、記憶部111にディジタル画像データを格納することができ、記憶部111からディジタル画像データを取り出すことができる。
 また、カメラは種々の目的のために用いることが可能な表示装置109を備えることができる。表示装置109は、リアルタイムの(またはライブの)ビューファインダ機能を提供することができ、それによりカメラはそのシーンの視覚表現を繰り返し表示し、撮影者が写真を構図するのを支援することができる。また、表示装置109を用いて、品質および構図を得るために写真をレビューすることもできる。さらに、表示装置109をユーザコントロール112とともに用いて、撮影者がカメラの機能を制御するのを支援することもできる。ユーザコントロール112は、ボタン、ダイヤル、スイッチ、タッチパッド、または他の入力装置を備えることができる。
 図2は、インターライン転送CCDセンサ200の概念的な概略図である。センササイト201は、それぞれがレンズ101によってCCD200上に投影される画像内の特定の位置に対応するように、及び、その特定の位置を検出するように、規則的なパターンで配列される。CCD200は1組の制御信号105によって制御され、ディジタルカメラの論理ユニット110により動作させることができる。明瞭に示すために、図2には限られた数のセンササイトおよび他の構造しか示されない。ほとんどのCCDは、図2に示される画素よりも数多くの画素を備えており、本発明を、任意の数の画素を有するCCDを用いて容易に具現化することができる。CCDセンサ200をカメラに用いて、以下のようにシーンの表現を記録することができる。
 CCD200に対して「フラッシュ」信号207をアサートすることができ、それにより、CCD200は、センササイト201の電荷をCCD基板に放出させることにより、センササイト201から全ての電荷を吐き出させることができる。フラッシュが完了し、センササイト201に光が照射されるのに応答して、センササイト201に電荷が再び蓄積できるようになると、写真の露光が開始される。所定の時間が経過した後に、機械式シャッタ(図示せず)を閉じるか、または「格納部へのシフト」信号208に応答して、センササイト201から垂直シフトレジスタ202(格納サイトと呼ばれることもある)に、蓄積された電荷をシフトすることにより、露光を終了することができる。垂直シフトレジスタ202は、センササイト201と構造的には類似しているが、その製造中にCCD上に配置されるシールド材料206によって入射光から遮蔽される。CCDにおける電荷のシフトは、電荷が移動先サイトに移動するように、移動元サイトと移動先サイトとの電位を操作することにより達成される。
 電荷が垂直シフトレジスタ202に配置された後に、「垂直方向へのシフト」信号209に応答して、電荷は行毎に水平シフトレジスタ203内に垂直にシフトされる。各垂直シフト毎に、各行の電荷は、垂直シフトレジスタを通って、水平シフトレジスタ203により近いほうに1行シフトされる。
 水平シフトレジスタ203に1つの行の電荷がロードされると、その行の電荷は画素毎にCCD出力段204に水平にシフトされる。各水平シフトは、「水平方向へのシフト」信号210に応答する。各水平シフト毎に、各電荷は、水平シフトレジスタを通って、出力段204により近いほうに1画素シフトされる。
 各画素の電荷が出力段204に現れる毎に、出力段204はCCD出力205に瞬間的に電圧を与える。この電圧を、多くの場合にカメラロジック110の一部であるA/Dコンバータによって読み取ることができる。次の水平シフトの準備として、「リセット」信号221により画素毎に出力段をリセットすることができる。
 電荷がCCD200から読み出され、それらの対応する電圧がディジタル値に変換された後に、結果として生成された一連の値は、露光時間中にCCD200上に当たった光の分布を表す。これは、カメラレンズ101によってCCD200上に投影された画像のディジタル録画である。CCD200から電荷をシフトするステップによって、名目上は、電荷の垂直および水平シフトレジスタ(202、203)が空になり、センササイト201から次の電荷を取り込むための準備がなされる。
 当業者であれば、これがCCDの簡略化された概念的なモデルであり、実際のCCDおよびその動作が他の動作モードまたは他の複雑な処理を含む場合があることが理解されよう。たとえば、電荷をシフトするための制御信号は、電荷転送を達成するために適切にシーケンス処理されなければならないいくつかの段階を含む場合がある。センササイト201は、異なるサイトが異なる光の波長の組に応答するように重ねられたカラーフィルタを含む場合があり、それによりカラー画像を読み出すことができるようにする。CCDは、センササイトよりも少ない数の垂直シフトレジスタ格納サイトを有するインターレースタイプの場合があり、その場合には、電荷を、2つ以上のフィールドにおいてセンササイトからシフトする必要がある。CCDは、高速、低解像度の動作を可能にするために、画素の一部のみを読み出すことができるようにする動作モードを有する場合がある。本発明を、これらのCCDの変形形態、並びに他の変形形態を有するカメラにおいても、同じ機構で具現化できることは当業者には明らかであろう。
 図3は、あるディジタル画像内の平均ディジタル画素輝度値によって測定された露光時間と露光レベルとの間の関係についての、本発明者によって実施された実際の測定結果を示す。この実験は、いくつかのカメラ露光不良の誤差の一因を明らかにするのに役立つ。図3に示されるように、露光時間とディジタル画素輝度値の関係は、露光時間が短いときに直線性から大きく逸脱する場合がある。この逸脱の重要な原因は、電荷がCCD220からシフトされている期間中に、垂直シフトレジスタ202の光の積分に起因して垂直シフトレジスタ202に電荷が蓄積することである。垂直シフトレジスタ202はセンササイト201と構造的に類似しており、それゆえ光にさらされると電荷を蓄積することができる。
 垂直シフトレジスタ202および水平シフトレジスタ203は、名目上は入射光から遮断されているが、その遮断は不完全な場合がある。ある量の光がシールド材料206を通り抜ける場合があり、または、シールド材料206の縁部を迂回して伝搬して垂直シフトレジスタ202に達する場合がある。垂直シフトレジスタ202も、到達する光に比例して電荷を蓄積し、結果として、垂直シフトレジスタ202に達する光によって、センササイト201に生成された電荷以上に電荷が生成されるようになる。露光時間が経過した後に、機械式シャッタを用いて光がCCD200に達するのを防がない場合には、露光時間が経過した後に、余分な電荷が垂直シフトレジスタ202内に蓄積される。
 多くの写真条件下で、余分な電荷は無視することができる。しかしながら、周囲光が明るい条件に起因して露光時間が非常に短い場合には、レジスタシールドを通り抜ける光の漏れのレベルがより高くなることに起因して、遮蔽された垂直レジスタ内に、より多くの電荷が発生されることになる。露光時間が経過した後に垂直シフトレジスタ202において生成される余分な電荷は、露光時間中にセンササイト201において生成される電荷と比べて、有意な量になる場合がある。
 この影響によって、カメラが、適切な露光時間を決定するためにシーンの光レベルを測定することが難しくなる場合がある。通常、ディジタルカメラは、シーンの輝度を測定し、かつ最終的な写真を撮影するために、電子アレイ光センサ103を用いる。カメラは、光の強度を測定するために、そのシーンの1枚または複数枚の試し撮り写真を撮影することができる。測定されたシーンの輝度に基づいて、カメラは、露光時間を含む、結果として適切に露光された最終的な写真を生成することになるパラメータを計算する。たとえば、カメラは、画像内の画素の平均ディジタル輝度値が最も高い利用可能なディジタル値の約18%である画像の生成を試みることができる。たとえば、0〜1023の範囲のディジタル輝度値を有する画素を表すことができるカメラは、平均シーン輝度を約184のディジタルカウントに設定しようとすることができる。写真の露光を設定するために数多くの他のアルゴリズムが利用可能であり、本発明を、種々の露光設定方法を用いるシステムにおいて具現化できることが当業者には理解されよう。
 最終的な写真のために用いられることになる露光時間を計算する際に、カメラは、カメラによって指示されたディジタル画素輝度値が、露光時間に厳密に比例して変化するものと想定することができる。たとえば、カメラは、2ミリ秒の露光時間で50の輝度値を指示した画素が、30ミリ秒の露光時間では750の輝度値を指示するものと想定することができる。シーンへの光の当たり方が急激に変化していないときには、この比例関係に関する想定は、露光時間が比較的長い場合、または、機械式シャッタを用いて露光時間を終了する場合には、概ね正しい場合がある。
 しかしながら、適切な露光時間を決定するために用いられる試し撮り写真が、これらの条件を満たさない場合がある。露光測定用の試し撮り写真は、機械式シャッタを用いることなく、短い露光時間で撮影されることが多い。これらの露光時間は特に、明るい照明条件において短くなるであろう。たとえば、試し撮り写真のための露光時間が2ミリ秒の場合がある。この例の場合、CCDセンササイト201は、そのわずか2ミリ秒の露光時間の間に、光を積分し、電荷を生成し、その後、センササイト201からの電荷が垂直シフトレジスタ202内にシフトされる。
 CCD200内の画素の数およびその動作モードによっては、CCD200から画素電荷をシフトして、出力段204を通過させるのに要する時間が30ミリ秒以上になる場合がある。このシフトして出力する時間中に、垂直シフトレジスタ202内に光が漏れる場合があり、それにより、垂直シフトレジスタに、露光時間中に収集された電荷より多くの電荷を蓄積させることになる。CCD200から電荷をシフトするために要する時間が露光時間に比べて長いので、垂直シフトレジスタ202に達する光がセンササイト201に照射される光に対して非常に弱い場合であっても、露光時間中に蓄積される電荷に対して、余分な電荷がかなりの量になる場合がある。
 余分な電荷の量は露光時間とは概ね無関係であるので、露光を設定するために用いられる試し撮り写真のような非常に短い露光時間を有する写真に対しては、その影響は、露光時間の短さに比例してより大きくなるであろう。その余分な電荷によって、カメラは、シーンの輝度を過大に評価し、それゆえ最終的な写真が露光不足になる場合がある。たとえば、2ミリ秒の露光の試し撮り写真は、20の平均ディジタル画素輝度値を生成する電荷の量をセンササイト201において生成する場合がある。さらに、電荷をシフトして出力する間に、2の追加のディジタル画素輝度値を生成する余分な電荷が垂直シフトレジスタ202に蓄積される場合がある。したがって、2ミリ秒の露光でカメラが録画する結果として、22の平均ディジタル画素輝度値が生成される。カメラが上記のように平均ディジタル画素輝度値を184に設定しようと試みるようにプログラミングされている場合には、カメラは必要とされる露光時間Tを以下のように見積もることができる。
 T=184/22×2msec=16.72msec
 しかしながら、最終的な写真が撮影されるとき、センササイト201に蓄積される電荷だけが、露光時間が長くなるのに応じて変化する。余分な電荷は大きな影響は受けない。ディジタル画素輝度値の単位を用いると、最終的な写真の平均輝度Bは以下のようになる。
 B=20×16.72/2+2=169カウント
 この値は所望の184カウントよりも小さく、最終的な写真が露光不足であることを意味する。
 本発明の例示的な一実施形態では、カメラは垂直シフトレジスタに蓄積される余分な電荷を測定し、最終的な写真のための露光時間の計算時にその余分な電荷を考慮(この場合は相殺)する。余分な電荷を測定するための例示的な一方法では、カメラは極端に短い露光時間で試し撮り写真を撮影し、センササイト201から垂直シフトレジスタ202への電荷のシフトを阻止または抑圧する。この試し撮り写真を撮影するための手順は、1)フラッシュ動作を実行し、2)電荷が蓄積し始めるようにし、3)非常に短い露光時間、おそらく1ミリ秒だけ待機するが、「格納部へのシフト」信号208をアサートせず、4)CCD200から電荷を行毎に、および画素毎にシフトし、各画素についてのディジタル画素輝度値を読み取る、といったものとすることができる。
 代替的には、「格納部へのシフト」信号208を、上記のステップ3)においてアサートすることができる。露光時間が非常に短い場合には、センササイト201に蓄積されて垂直シフトレジスタ202内にシフトされる電荷は無視することができるであろう。この動作モードは、「格納部へのシフト」信号208を停止することができないCCDタイミングシステムを用いるときに必要な場合がある。
 この試し撮り写真がディジタル化されると、結果として生成されたディジタル画素輝度値は本質的に、垂直シフトレジスタ202に蓄積された余分な電荷のみを表す。なぜなら、露光時間が極端に短く、かつ、センササイト201からの電荷が垂直シフトレジスタ202内にシフトされなかったためである。上記の例では、この試し撮り写真についての平均ディジタル画素輝度値は2カウントである。
 今や、カメラは、露光時間を設定する計算においてこの情報を用いることができる。上記の例を用いると、カメラは2ミリ秒の露光時間で試し撮り写真を撮影し、その撮影から22の平均輝度値を計算することができる。それらの輝度カウントの2が余分な電荷に起因することがわかると、カメラは、その量を減算し、実際の平均ディジタル輝度値が20カウントであるはずであることを計算することができる。
 この平均値を用いて、次に、カメラは適切な露光を達成するために必要とされる露光時間を以下のように計算することができる。
 T=184/(22−2)×2msec=18.4msec
 この露光時間で最終的な写真を撮影する際に、センササイト201は、それに比例する多くの信号で応答するであろう。この場合、最終的な写真についての平均ディジタル画素輝度値は以下のようになるであろう。
 20×18.4/2+2=186カウント
このカウント値は184カウントという所望の値に非常に近い。カメラはオプションとして、同じく最終的な写真について記録された値から、余分な電荷から生じる平均輝度値の2カウントを減算することができ、最終的な写真についての平均ディジタル画素輝度値を所望の184カウントにすることができる。
 図4は、理想的な関係および補正されていない関係と比較した場合の、露光時間と平均ディジタル値との間の較正された関係を示す。線302は理想的な関係を示しており、平均ディジタル画素輝度値が露光時間に厳密に比例している。曲線301は補正されていない関係を示しており、CCD垂直シフトレジスタによる光積分によって、その関係は理想的な直線性からはずれている。曲線401は、本発明の例示的な一実施形態を適用した後の関係を示す。余分な垂直シフトレジスタの電荷についての平均ディジタル画素輝度値は、上記の例で説明したように測定された。この較正平均ディジタル画素輝度値は、曲線301の各データ点から減算された。その結果として生成された曲線401は、理想的な線302の非常に近くに位置しており、この較正方法がカメラの露光関係を概ね線形化し、露光の決定を改善できることを示している。
 較正プロセスにおける1つのステップは、試し撮りの露光についての平均ディジタル画素輝度値を計算することを含む。カメラはこの計算を種々の手段で達成することができる。論理ユニット110の一部であるマイクロプロセッサが、格納されたプログラムの制御下で、画像内の各画素を検査し、平均値を計算することができる。代替的には、論理ユニット110は、露光ヒストグラムを構成するための専用回路114を備えることができる。露光ヒストグラムは各画素輝度値を「ビン」に割り当てて、各ビンが、指定された範囲内の輝度値を有する画素のカウントを含むようにする。たとえば、カメラは、0〜1023の全範囲における輝度値を表すことができる場合がある。この範囲は、0〜15、16〜31、32〜47などの輝度値範囲を表す64個のビンに分割することができる。ヒストグラムを構成した後、第1のヒストグラムビン値は、輝度値が0〜15であった画像内の画素の数になるであろう。第2のヒストグラムビン値は、輝度値が16〜31であった画素の数になるであろう。64個のヒストグラムビン値のうちの残りは、それぞれの範囲内の輝度値を有する画素の数になるであろう。
 ヒストグラムを専用ハードウエア114によって構成することができるので、平均ディジタル画素輝度値の計算を容易に行うことができる。マイクロプロセッサが行う必要があるのを、ヒストグラムの値を検査し、各ビン内の画素の数に基づいて重み付けされた平均値を計算することだけとすることができる。平均ディジタル画素輝度値を計算するために要する時間を著しく短縮することができる。
 図5は、本発明の例示的な一実施形態の流れ図である。ステップ501では、非常に短い露光時間で、試し撮り写真が撮影される。ステップ502では、その試し撮り写真についての平均ディジタル画素輝度値が計算される。ステップ503では、第2のディジタル写真が撮影される。ステップ504では、第2のディジタル写真のディジタル画素輝度値から、平均ディジタル画素輝度値が減算される。
 上記の例では、カメラは、より高いディジタル画素輝度値ほどより明るい画素を表すものと想定されており、それゆえカメラは、後続のディジタル画像内のディジタル画素輝度値から平均ディジタル画素輝度値を減算することにより、垂直シフトレジスタ202内に蓄積された電荷の影響を除去する。より低いディジタル値ほどより明るい画素を表すカメラの場合は、後続のディジタル画像内のディジタル画素輝度値に平均ディジタル画素輝度値を加算することにより、余分な電荷の影響を除去することができる。
 上記の本発明の説明は、図示および説明の目的で提示したものである。本発明を余すところなく述べることや、本発明を開示した形態そのものに限定することは意図されておらず、上記の教示に鑑みて、他の修正形態または変形形態を実現することが可能である。たとえば、試し撮り写真についての平均ディジタル画素輝度値を計算する際の計算上の複雑さは、水平シフトレジスタから電荷をシフトする事象の間に、垂直シフトレジスタのいくつかの行からの電荷を水平シフトレジスタに蓄積するようにCCDを制御することにより低減することができる。本発明の実施形態は、本発明の原理およびその実用的な応用形態を最もわかりやすく説明し、それにより、当業者が、意図する特定の用途に適するように、種々の実施形態および種々の変更形態において本発明を最良に利用できるようにするために選択し説明したものである。特許請求の範囲は、従来技術によって制限される場合を除いて、本発明の他の代替実施形態を含むものとして解釈されるべきである。
 本発明のさらなる例示的な実施態様を以下に示す。
1.ディジタルカメラであって、
 a)垂直シフトレジスタ(202)を有するインターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)と、
 b)前記インターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)を制御し、前記インターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)から画像データを受け取る論理ユニット(110)
とを備え、
 前記論理ユニット(110)は、試し撮りディジタル写真を撮影し(501)、前記試し撮りディジタル写真の平均ディジタル画素輝度値を計算し(502)、第2のディジタル写真内の画素輝度値から前記試し撮りディジタル写真の平均ディジタル画素輝度値を除去する(504)ことにより、前記垂直シフトレジスタ(202)内の光積分を補償するように構成されることからなる、ディジタルカメラ。
2.前記インターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)は、さらに水平シフトレジスタ(203)を含み、前記垂直シフトレジスタ(202)は少なくとも2つの行を含み、前記垂直シフトレジスタの前記少なくとも2つの行の電荷量は、前記水平シフトレジスタ(203)の電荷量が前記水平シフトレジスタ(203)からシフトして出力される一連の事象の間に、前記水平シフトレジスタ(203)内にシフトされることからなる、上項1に記載のディジタルカメラ。
 本発明によるディジタルカメラは、シールドされたシフトレジスタ(202)に到達する光に起因してインターライン転送CCD(200)の垂直シフトレジスタに蓄積された電荷を補償するために露光測定を較正する。カメラは、短い露光を行い、次に、垂直シフトレジスタ(202)の内容を読み出すが、オプションとして、この読み出しの前に、CCD上のセンササイトから垂直シフトレジスタへの通常の電荷のシフトを阻止する。平均ディジタル画素輝度値がこの試し撮り写真について記録される。この試し撮り写真の平均ディジタル画素輝度値は、続く光測定写真のディジタル画素輝度値から除去される。オプションとして、試し撮り写真の平均ディジタル画素輝度値が、次の最終写真のディジタル画素輝度値から除去される。 本発明によれば、インターライン転送CCDを用いる場合の露光時間とディジタル画素輝度値との間の非線形な関係を補償して写真を適切に露光するための手段を提供することができる。
例示的なディジタルカメラの簡略化したブロック図である。 インターライン転送CCDセンサの概念的な概略図である。 インターライン転送CCDから生成されたディジタル画像の平均ディジタル値によって測定された、露光時間と露光レベルとの間の関係の測定結果を示すグラフである。 理想的な関係および補正されていない関係と比較した場合の、露光時間と平均ディジタル値との間の較正された関係を示すグラフである。 本発明の例示的な1実施形態の流れ図である。
符号の説明
114 専用ハードウエア(または専用回路)
200 CCD
201 センササイト
202 垂直シフトレジスタ
203 水平シフトレジスタ
206 シールド(遮蔽)材料

Claims (10)

  1.  インターライン転送CCD内のシフトレジスタによる光の積分を補償する方法であって、
     a)第1のディジタル写真を撮影するステップ(501)と、
     b)前記シフトレジスタによる光の積分に起因する前記第1のディジタル写真内の平均ディジタル画素輝度値を計算するステップ(502)と、
     c)第2のディジタル写真を撮影するステップ(503)と、
     d)前記第2のディジタル写真内のディジタル画素輝度値から前記第1のディジタル写真の前記平均ディジタル画素輝度値を除去するステップ(504)
    とを含む方法。
  2.  前記第2のディジタル写真は光測定のために撮影される、請求項1に記載の方法。
  3.  a)最終的なディジタル写真を撮影するステップと、
     b)前記最終的なディジタル写真内のディジタル画素輝度値から前記第1のディジタル写真の前記平均ディジタル画素輝度値を除去するステップ
    とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4.  CCDセンササイトからCCD垂直シフトレジスタへの電荷のシフトを阻止するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5.  前記試し撮りディジタル写真内の平均ディジタル画素輝度値を計算するステップは、露光ヒストグラムを構成するための専用ハードウエア(114)によって容易に行われる、請求項1に記載の方法。
  6.  ディジタルカメラであって、
     a)垂直シフトレジスタ(202)を有するインターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)と、
     b)前記インターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)を制御し、前記インターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)から画像データを受け取る論理ユニット(110)
    とを備え、
     前記論理ユニット(110)は、試し撮りディジタル写真を撮影し(501)、前記試し撮りディジタル写真の平均ディジタル画素輝度値を計算し(502)、第2のディジタル写真内の画素輝度値から前記試し撮りディジタル写真の平均ディジタル画素輝度値を除去する(504)ことにより、前記垂直シフトレジスタ(202)内の光積分を補償するように構成されることからなる、ディジタルカメラ。
  7.  前記インターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)は、さらに、センササイト(201)を備え、該センササイト(201)に蓄積される電荷は、前記試し撮り写真の撮影中に前記垂直シフトレジスタ(202)内にはシフトされないことからなる、請求項6に記載のディジタルカメラ。
  8.  前記第2のディジタル写真は、最終的なディジタル写真に対する適切な露光時間を決定する際に用いられ、前記論理ユニット(110)はさらに、最終的なディジタル写真を撮影し、前記最終的なディジタル写真のディジタル画素輝度値から前記試し撮りディジタル写真の前記平均ディジタル画素輝度値を除去するように構成されることからなる、請求項6に記載のディジタルカメラ。
  9.  露光ヒストグラムを構成するための専用ハードウエア(114)をさらに備え、前記試し撮り写真の前記平均ディジタル画素輝度値の前記計算は、露光ヒストグラムを用いることにより容易に行われることからなる、請求項6に記載のディジタルカメラ。
  10.  前記インターライン転送CCD電子アレイ光センサ(200)は、さらに水平シフトレジスタ(203)を含み、前記垂直シフトレジスタ(202)は少なくとも2つの行を含み、前記垂直シフトレジスタの前記少なくとも2つの行の電荷は、前記水平シフトレジスタ(203)の電荷が前記水平シフトレジスタ(203)からシフトして出力される一連の事象の間に、前記水平シフトレジスタ(203)内にシフトされることからなる、請求項6に記載のディジタルカメラ。
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