JP2004088016A - 洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PCB類の付着したトランスやコンデンサ等の電気機器類の鉄芯やコイルや素子や容器等のような金属製の被汚染物1を内部に載置される密封容器110と、密封容器110内を排気する排気装置120と、密封容器110内の被汚染物1を電磁誘導により加熱する電磁誘導加熱装置130とを備えて洗浄装置100を構成した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄装置に関し、特に、トランスやコンデンサ等のPCB汚染機器類を洗浄する場合に適用すると有効である。
【0002】
【従来の技術】
近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCB類は、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。
【0004】
このPCB類は平成4(1997)年に廃PCB、PCBを含む廃油、PCB汚染物が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく特別管理廃棄物に指定され、さらに、平成9(1997)年にはPCB汚染物として木くず、繊維くずが、追加指定された。
【0005】
PCB処理物となる電気機器としては、高圧トランス、高圧コンデンサ、低圧トランス・コンデンサ、柱上トランスがある。このようなPCBの付着したトランスやコンデンサ等の電気機器類の鉄芯やコイルや素子や容器等のような金属製の被汚染物は、従来、例えば、図3に示すように、洗浄装置10の加熱炉11の内部に入れられ、排気ポンプ12で加熱炉11の内部が高真空に減圧されると共に、加熱器11aで内部を高温に加熱されることにより、付着しているPCBが離脱して活性炭槽15内で吸着除去されることで、洗浄処理されている。なお、図3中、13はスクラバ、14は冷却器である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の洗浄装置10においては、加熱炉11の加熱器11aからの輻射熱により被汚染物1を加熱していることから、被汚染物1を所定の温度にまで加熱するのに時間を要してしまうと共に、被汚染物1の加熱温度制御が難しく、加熱処理にかかる効率の向上が強く求められていた。
【0007】
このような要求は、PCB類の付着したトランスやコンデンサ等の電気機器類の鉄芯やコイルや素子や容器等のような金属製の被汚染物1を洗浄処理する場合に限らず、有害物質の付着した金属製の被汚染物を洗浄浄化させる場合であれば、上述した場合と同様にして生じている。
【0008】
このようなことから、本発明は、有害物質の付着した金属製の被汚染物を効率よく洗浄浄化することができる洗浄装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明による洗浄装置は、有害物質の付着した金属製の被汚染物を内部に載置される密封容器と、前記密封容器内を排気する排気手段と、前記密封容器内の前記被汚染物を電磁誘導により加熱する電磁誘導加熱手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
第二番目の発明による洗浄装置は、第一番目の発明において、前記電磁誘導加熱手段が、前記被汚染物の近傍に位置するように前記密封容器の内部に設けられたワークコイルと、前記ワークコイルに接続された交流電源とを備えていることを特徴とする。
【0011】
第三番目の発明による洗浄装置は、第一番目の発明において、前記電磁誘導加熱手段が、前記被汚染物を内側に位置させるように前記密封容器の内部に設けられたワークコイルと、前記ワークコイルに接続された交流電源とを備えていることを特徴とする。
【0012】
第四番目の発明による洗浄装置は、第二番目または第三番目の発明において、前記交流電源が高周波交流電源であることを特徴とする。
【0013】
第五番目の発明による洗浄装置は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記有害物質がポリ塩化ビフェニル類であることを特徴とする。
【0014】
第六番目の発明による洗浄装置は、第五番目の発明において、前記被汚染物が、ポリ塩化ビフェニル類含有電気絶縁油を内蔵した電気機器類を構成している金属製の部材であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明による洗浄装置の実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
[第一番目の実施の形態]
本発明による洗浄装置の第一番目の実施の形態を図1を用いて説明する。図1は、洗浄装置の概略構成図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る洗浄装置100は、有害物質であるPCB類の付着したトランスやコンデンサ等の電気機器類の鉄芯やコイルや素子や容器等のような金属製の被汚染物1を内部に載置される密封容器110と、密封容器110内を排気する排気手段である排気装置120と、密封容器110内の被汚染物1を電磁誘導により加熱する電磁誘導加熱手段である電磁誘導加熱装置130とを備えている。
【0018】
前記密封容器110は、両端が開放された円筒状をなす容器本体111と、容器本体111の両端側に開閉可能にそれぞれ設けられた蓋部材112とを備えている。
【0019】
前記排気装置120は、前記密封容器110の内部を排気する排気ポンプ121と、密封容器110と排気ポンプ121との間に配設されて密封容器110の内部からの排気中の微粒子を洗浄除去するスクラバ122と、スクラバ122と排気ポンプ121との間に配設されて排気を冷却する冷却器123と、排気ポンプ121の後流側に連結されて排気中の有害物質を吸着除去する活性炭槽124とを備えている。
【0020】
前記電磁誘導加熱装置130は、被汚染物1の近傍に位置するように密封容器110の容器本体111の内部の軸心部分に軸方向に沿って配設されたワークコイル131と、密封容器110の外側に配設されてワークコイル131に接続された高周波交流電源132とを備えている。
【0021】
このような洗浄装置100を使用する本実施の形態に係る洗浄方法を次に説明する。
【0022】
密封容器110の蓋部材112を開放して容器本体111の内部に前記被汚染物1を載置した後に蓋部材112を閉鎖して密封容器110の内部を密閉する。次に、排気装置120を作動して、密封容器110の内部を排気して高真空にすると共に、電磁誘導加熱装置130の高周波交流電源132を作動して、ワークコイル131に高周波(約400kHz前後)の電流を流すと、被汚染物1は、ワークコイル131の電磁誘導作用によって急速に自己発熱し、所定の温度にまで短時間で加熱される。
【0023】
このため、当該被汚染物1に付着しているPCBは、被汚染物1から迅速に離脱し、前記排気装置120により、密封容器110の内部から排出される。この排気は、スクラバ122で微粒子等が除去され、冷却器123で冷却され、活性炭槽124でPCBが吸着除去された後、外部へ排出される。これにより、被汚染物1は、その表面に付着しているPCBが迅速に除去され、無害化処理される。
【0024】
つまり、本実施の形態においては、被汚染物1を電磁誘導により直接的に自己発熱させて洗浄処理するようにしたのである。
【0025】
このため、被汚染物1を所定の温度にまで短時間で加熱することができると共に、被汚染物1の温度制御を容易に行うことができるので、加熱処理にかかる効率を大幅に向上させることができる。
【0026】
したがって、本実施の形態によれば、PCBの付着した金属製の被汚染物1を効率よく洗浄浄化することができる。
【0027】
また、高周波交流電源132により高周波(約400kHz前後)の電流をワークコイル131に流すようにしたことから、被汚染物1の表面側を中心に自己発熱させることができるので、被汚染物1の表面側に付着するPCBを効率よく加熱離脱させることができ、洗浄効率をさらに高めることができる。
【0028】
[第二番目の実施の形態]
本発明による洗浄装置の第二番目の実施の形態を図2を用いて説明する。図2は、洗浄装置の概略構成図である。ただし、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一番目の実施の形態の説明で用いた符合と同一の符合を本実施の形態でも用いることにより、前述した第一番目の実施の形態での説明と重複する説明を省略する。
【0029】
図2に示すように、本実施の形態に係る洗浄装置200は、有害物質であるPCB類の付着したトランスやコンデンサ等の電気機器類の鉄芯やコイルや素子や容器等のような金属製の被汚染物1を内部に載置される密封容器210と、密封容器210内を排気する排気手段である排気装置120と、密封容器210内の被汚染物1を電磁誘導により加熱する電磁誘導加熱手段である電磁誘導加熱装置230とを備えている。
【0030】
前記密封容器210は、両端が開放された円筒状をなす容器本体111と、容器本体111の両端側に開閉可能にそれぞれ設けられた蓋部材112と、容器本体111内の底部に設けられて被汚染物1を支持する支持台213とを備えている。
【0031】
前記電磁誘導加熱装置230は、前記支持台213に支持される被汚染物1を内側に位置させるように密封容器110の容器本体111の内部の軸心部分に軸方向に沿って配設されたワークコイル231と、密封容器210の外側に配設されてワークコイル231に接続された高周波交流電源132とを備えている。
【0032】
つまり、前述した第一番目の実施の形態による洗浄装置100は、密封容器110の内部に配設された被汚染物1の近傍にワークコイル131を位置させるようにしたが、本実施の形態による洗浄装置200は、密封容器110の内部に配設された被汚染物1をワークコイル131の内側に位置させるようにしたのである。
【0033】
このため、本実施の形態においては、前述した第一番目の実施の形態の場合よりも、被汚染物1を貫通する磁束密度を高めることができる。
【0034】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、前述した第一番目の実施の形態の場合よりもさらに加熱効率を高めることができる。
【0035】
[他の実施の形態]
なお、前述した第一,二番目の実施の形態では、密閉容器110,210の内部を高真空環境下としたが、他の実施の形態として、例えば、密閉容器110,210の内部に窒素等の不活性ガスを送給する不活性ガス送給手段を設け、密閉容器110,210の内部を不活性ガス雰囲気下として被汚染物1を処理することも可能である。
【0036】
また、前述した第一,二番目の実施の形態では、PCBの付着したトランスやコンデンサ等の電気機器類の鉄芯やコイルや素子や容器等のような金属製の被汚染物1を洗浄処理する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、有害物質の付着した金属製の被汚染物を洗浄浄化させる場合であれば、前述した第一,二番目の実施の形態の場合と同様に適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
第一番目の発明による洗浄装置は、有害物質の付着した金属製の被汚染物を内部に載置される密封容器と、前記密封容器内を排気する排気手段と、前記密封容器内の前記被汚染物を電磁誘導により加熱する電磁誘導加熱手段とを備えていることから、被汚染物を電磁誘導により直接的に自己発熱させて洗浄処理することができるので、被汚染物を所定の温度にまで短時間で加熱することができると共に、被汚染物の温度制御を容易に行うことができる。その結果、加熱処理にかかる効率を大幅に向上させることができ、有害物質の付着した金属製の被汚染物を効率よく洗浄浄化することができる。
【0038】
第二番目の発明による洗浄装置は、第一番目の発明において、前記電磁誘導加熱手段が、前記被汚染物の近傍に位置するように前記密封容器の内部に設けられたワークコイルと、前記ワークコイルに接続された交流電源とを備えていることから、被汚染物の電磁誘導加熱を簡単かつ確実に行うことができる。
【0039】
第三番目の発明による洗浄装置は、第一番目の発明において、前記電磁誘導加熱手段が、前記被汚染物を内側に位置させるように前記密封容器の内部に設けられたワークコイルと、前記ワークコイルに接続された交流電源とを備えていることから、被汚染物の電磁誘導加熱を簡単かつ確実に行うことが効率よくできる。
【0040】
第四番目の発明による洗浄装置は、第二番目または第三番目の発明において、前記交流電源が高周波交流電源であることから、被汚染物の表面側を中心に自己発熱させることが容易にできるので、被汚染物の表面側に付着する有害物質を効率よく加熱離脱させることができ、洗浄効率をさらに高めることができる。
【0041】
第五番目の発明による洗浄装置は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記有害物質がポリ塩化ビフェニル類であるので、上述した処理を最も効果的に行うことができる。
【0042】
第六番目の発明による洗浄装置は、第五番目の発明において、前記被汚染物が、ポリ塩化ビフェニル類含有電気絶縁油を内蔵した電気機器類を構成している金属製の部材であるので、上述した処理を最も効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による洗浄装置の第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図2】本発明による洗浄装置の第二番目の実施の形態の概略構成図である。
【図3】従来の洗浄装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
1 被汚染物
100 洗浄装置
110 密封容器
111 本体容器
112 蓋容器
120 排気装置
121 排気ポンプ
122 スクラバ
123 冷却器
124 活性炭槽
130 電磁誘導加熱装置
131 ワークコイル
132 高周波交流電源
200 洗浄装置
210 密封容器
213 支持台
230 電磁誘導加熱装置
231 ワークコイル
Claims (6)
- 有害物質の付着した金属製の被汚染物を内部に載置される密封容器と、
前記密封容器内を排気する排気手段と、
前記密封容器内の前記被汚染物を電磁誘導により加熱する電磁誘導加熱手段と
を備えていることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1において、
前記電磁誘導加熱手段が、
前記被汚染物の近傍に位置するように前記密封容器の内部に設けられたワークコイルと、
前記ワークコイルに接続された交流電源と
を備えていることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1において、
前記電磁誘導加熱手段が、
前記被汚染物を内側に位置させるように前記密封容器の内部に設けられたワークコイルと、
前記ワークコイルに接続された交流電源と
を備えていることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項2または請求項3において、
前記交流電源が高周波交流電源である
ことを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
前記有害物質がポリ塩化ビフェニル類である
ことを特徴とする洗浄装置。 - 請求項5において、
前記被汚染物が、ポリ塩化ビフェニル類含有電気絶縁油を内蔵した電気機器類を構成している金属製の部材である
ことを特徴とする洗浄装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009233657A (ja) * | 2008-03-07 | 2009-10-15 | Hitachi Zosen Corp | Pcb汚染電気機器の無害化装置及び方法 |
JP2010253464A (ja) * | 2009-03-30 | 2010-11-11 | Hitachi Zosen Corp | Pcb汚染ofケーブルの無害化処理方法 |
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2002
- 2002-08-29 JP JP2002249996A patent/JP2004088016A/ja active Pending
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